・・・おかしい。
時計を見ながら俺は疑問を感じている。
ポルナレフが戻ってこない。
それどころか承太郎達の内で誰もこの部屋に来ないってのは異常だ。
「どうなってるんだ?」
思わず俺は口に漏らした。
時間はもう10分経つ辺りだ。
「だ、大樹!」
「・・!」
いきなりドアが荒々しく開くとそこには銀の電柱、じゃなかったポルナレフが凄く焦った表情でこっちを見る。
「どうしたポル・・」
「スタンド使いだ!新手の・・!?来やがった!【シルバーチャリオッツ】!」
「・・!?」
ポルナレフがドアの外を向いて何かを切り落としている!
するとそこには大きな緑色の虫が。
「うわぁああああああ!?」
「・・!【ステッペンウルフ】!」
落ちたと思ったら大群の虫がシルバーチャリオッツとポルナレフに群がろうとしている!?
急いでバイクを出してバリアーを張って守ると腹部の下から針を出して何度も突っついてる。
こいつら蜂のスタンドか!
飛行機の時と違って自身含めて守れるのが幸いだった。
数がいなければ範囲が広くないしね。
「た、助かったぜ大樹ぃ・・・。すまねえ、巻き込んだ」
凄い安堵した表情している。
だが、巻き込んだ事に謝罪するポルナレフ。
こいつらもしや。
「どうなってやがるんだ。スタンドは1人1体じゃねぇのかよ!」
「群体型のスタンドだ・・・」
「なにぃ!?知ってるのか!」
困惑するポルナレフに答えると驚愕する。
この時代で見る事になるとは・・・誰だこいつの使い手は!
「通常1体のヴィジョンとして顕れるのがスタンドだが、数体から数10数100体というヴィジョンとして顕れるのが群体型スタンド。
ただし基本的概念として1体のヴィジョンが分割しているから1体1体は小さめなヴィジョン。
特長として1体あたりの本体対応ダメージが小さくなる。
ただし、群体数が少ないと1体あたりのダメージ対応が大きいから特長と言えなくなるタイプもいる。
パワーが小さいため比較的遠距離に行くことも可能、だが遠隔視能力を持って無いのが多い」
香港で教えてもらった内容はメモして覚えている。
どうすべきかな、これは。
「つまり何か!本体を狙わないと駄目ってことか?」
「群体型の持ち主は善人悪人を問わずに心の中に大きな空洞や欠落を抱えている事からなるって香港で知り合った親切なスタンド使いが言ってた!」
「誰だよそれ、詳しすぎるだろ。ヒィ!虫がうじゃうじゃして気持ち悪りぃ!」
ポルナレフが困惑する程の詳しさかぁ。
本当にあの人は何者だったんだろう?
虫がさっきからうっとおしい程に群がって苛立ってきた。
バリアーで守られてるから一時期は大丈夫でもこのままだと物量で削り殺されるな。
ポルナレフも怖がっているし、電話でも取ろう。
「もしもし、ジョースターさん!」
プツッ、ツーツーツー
電話が切れてる!
全員に掛けても繋がらないって事は向こうも何かあったのか。
本当にどうすればいいんだこれは。
身動きを取るにも何処に本体がいる?
スタンド使いの恐ろしさを今、本格的に味合わされてるな。
今までは知識があったから対応できたけど。
皆、この恐怖を感じて対応しているのか。
捕らえたデーボにも気を回さなきゃいけないのに・・・。
ガチャ・・・ガチャ・・・
「今度はなんだ!人!?」
振り返るとそこには人が!
ポルナレフが思わず叫ぶ。
「いや、違う!」
俺が否定する。
精巧に作られた人形が手に何かを持っている。
それを放り投げるとその人形は襲いかかってきた!
「っ・・!」
「大樹!シルバーチャリオッツ!」
身動きがとれない俺に襲う人形をシルバーチャリオッツの剣閃が走り切り落とす。
安堵したのも束の間。
『よくも冷蔵庫に閉じ込めっぱなしにしたな!
今からてめーらのタマキンかみ切ってやるぜーッ!
メーン!』
放られたそれを見るとデーボのスタンドが取り憑く人形が!?
取り憑いたそれは口を開けて仕込まれたミキサーの刃が回転している。
どうやら冷蔵庫の傍に落ちて感知したデーボがエボニーデビルを憑依させたようだ。
閉じ込められた怨みでパワーアップしてる・・・。
アカン、状況は最悪だ。