俺はなんだってこんなところに   作:駄作

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急用が決まったのでストックしている内の2話を投下。
明日から二日は投稿出来ません。


22話 魚類人猿 3

ステッペンウルフのモーター音が鳴り響く。

口の中が乾く・・・相手のオランウータンはまだ動きを見せない。

様子見をしているようだ。

 

「・・・どうしたもんかな、これが」

 

いい加減にじれったくなってきた。

 

アンが背中で震えている。

 

あのエテ公が・・・(怒)。

 

「相手の方がパワーが圧倒的に上だ。気をつけるんだぞ!」

「大亜、相手の領域は全てだ!

マジシャンズレッドと違う意味で際限が無いからバリアーを絶やすな!」

 

ジョセフさんとアヴドゥルさんの注意に耳を傾ける。

 

実際に言った通りだからこっちは下手に仕掛けられない。

突っ込んでも隠れられて壁とストレングスの能力に嵌って圧死するだろう。

 

どうすればいいんだよ、こんなの・・・。

承太郎はよく倒せたな。

 

「・・ウホホ!」

「来た!」

 

試し撃ちだろうか?

ボルトとネジを弾丸の如く俺の全方位で連射して来たのでバリアーで防ぐ。

走りたいがまっすぐならともかく自在には行けない広さだ。

 

これ位なら余裕だが回転する羽や大きいのが複数来ると不味い。

基本的に鋭い斬撃に弱いからなぁバリアーって。

後者はパワーが相手のがかなり上だからだ。

 

タイミングを計るか。

 

「ウホ!」

「今度は釘にパイプかよ!

しっかり捕まってろよ!激しく行くからな!」

「う、うん・・・」

 

飛ばして来たのは釘に長いパイプ!

 

恐らく貫通するかの見極めと拘束かぁ。

だが、【リズムが単調なんで風で掴んだ】ぜ。

 

「オォオォオ!ウウゥゥアアォオ!!」

 

釘は柔らかく弾力を付けて受ければ風船と違って破裂しない。

やたらと伸びてくるパイプはバイクをその場でスピンさせて風とともに弾く!

 

防がられたんで怒ってるな。

いいぞ、もっと怒れ。

 

何であろうと必ず【クセ(癖)】がある。

機械であろうと物であろうと。

特にオランウータンは生き物だ。

今、怒ってるようにストレスがあれば個性がある。

ある時、足を動かすのに連動して上半身が少しぶれたり。

またある時、追い込まれると呼吸が荒くなるのもいる。

嫌いな物に触れられると肩が怒って筋肉が収縮して固くなるのもいる。

体を沈める奴、歩幅が変わる奴。

戦闘中に個々のクセを読み取り、そこから仕掛ければ・・・どんな相手でも先制攻撃や回避と予測

する事が出来る!

 

・・・DIOじみた事を考えてるけど7部のiとoが小文字のあいつだから突っ込まないで欲しい。

前世のいじめでの相手から逃げるのに顔と動作を伺うコレが役に立つのが複雑だが、そうも言ってられない。

攻撃の起こりさえ解かれば。

 

「その時がお前の最後だ」

 

ステッペンウルフにスロットルを掛ける。

 

まだだ、慌てるなよ・・・。

 

「ウホォオオ!」

 

回転する羽を複数作り始めたな!

 

今、この一瞬こそ。

 

「ステッペンウルフ!【ウィンドブレイカー】!」

 

全てだ!

 

風のバリアーを前面に展開して高速回転させる!

さっきの採掘機と違って前面だけなのがポイントであり弱点だ。

 

そのまま突っ切る!

 

要するに物凄い轢き逃げだ。

 

「ウホ・・・ニヤリ」

「・・!な、なにぃ!?」

 

攻撃をせずに作りっぱなしで地面に潜って回避した!

今までのは演技でわざとだったと!?

 

壁に激突する所を風で防いだがそのままパイプが伸びてバイクごと拘束された!

壁に減り込む。

 

「あ、あ、ああああ」

「ウヒヒ・・・」

 

み、身動きが取れない!

このまでは不味い!

 

喜々として放り出されたアンに近づくオランウータンの姿。

 

あいつ殺すのが優先で無く、犯すのが最優先だったのか!

そこまでは予測できねえ・・・。

 

てか、そんな奴のクセなんて読んだ事が一度もねえよ。

 

「ガハァッ!?」

「大亜!」

「クソぉ、シルバーチャリオッツが使えない!

スタンドも掴み取れるのかこいつは!?」

 

ぐぅ、圧迫が酷くて血を吐いた・・・。

花京院が心配で叫び、ポルナレフはスタンドが使えなくて焦ってる。

 

初めからスタンドを封じなかったのは無力を思い知らさせる為か?

鬼畜エロゲー主人公と同じような事しやがってエテ公が!

 

「ペッ!」

「・・・!」

 

ムカつきのあまりに血の混じった唾を吐きオランウータンの首筋に掛ける。

気になったオランウータンが手で拭き目の前でその手を見る。

 

気のせいかプルプルと震えているのに俺は閃いた!

 

「その唾は当たり前だがお前のスタンドじゃあねえぜ・・・フン、怒るか?

確信した勝利の誇りと交尾するのに気分が害されたと言うわけか?

・・・いや気分は害されんな。

・・・エテ公に誇りと品性なんぞねーからな(承太郎、借りるぜ!)」

「ウッギャアアアアア!」

 

怒ってこちらに飛びかかるオランウータン。

 

読み通りだ!

 

「・・・そこんとこが、やはりエテ公なんだな、これが。

害されるのは・・・てめーの脳天だ!」

「・・!?ギャァッヒィイイイイイッ!?!?」

 

風のバリアーを一点に集中して槍の如く伸ばす!

 

勢い余って射出してオランウータンの頭を更に抉ったのは予想外だが。

 

とっさの事だったけど今のを名付けるなら【ガストオブウィンド】かな。

意味は突風、一陣の風。

 

パイプが解けて俺とステッペンウルフの拘束が解ける。

 

オランウータンがダメージで満足に動けない状態で怯えながら服のボタンを引きちぎって腹を見せる。

 

「承太郎がいればやれやれとでも言うんだろうな・・・」

「ヒイイイイイイーッ」

「恐怖した動物は降伏の印として自分の腹を見せるそうだが・・・許してくれという事か?

しかし、お前は既に動物としてのルールの領域をはみ出してしまった。

駄目だね、これが・・・オラァ!」

「ギャヒィ!?」

 

ステッペンウルフでのし掛かり、スタンドエネルギーのタイヤでオランウータンの頭を下敷きにする。

 

「ぶっ潰れろォオオお!」

「ギャァガガガガガッ!?!?」

 

タイヤは高速で回転してオランウータンの頭部に火傷と共に肉を引き潰して振動を与える!

 

悲鳴を上げるがお前さんには漆黒の意思ばりに絶対に容赦しないと決めたんでね。

アンちゃんが助かった喜びと俺の恐怖で複雑な表情なのが心に痛いが・・・。

 

地面が血塗れになると船が崩れ出して皆の拘束が解けた。

 

それにしても油断と怒りと承太郎の前例がなかったら死んでいたのは俺達だな・・・。

真面目に強すぎるぞオランウータン。

 

 

 

承太郎も血が出てる状態で合流して脱出する事になる。

 

船長と船員が手伝って作業してくれるので早く済んだ。

 

やがて崩れ落ちた豪華客船に諸行無常を感じていると。

中型のクルーザーが中から現れた。

ギリギリで全員乗れるやつだな。

 

とりあえずこれで近場のシンガポールに寄港する事に。

不可思議な光景(スタンドバトル)は黙ってくれるように頼んで船長が了承してくれた。

 

余計な事になったのには反省だがここに居る人達が助かって良かったわ、本当に。

 

未だにアンちゃんに怯えられて承太郎に張り付いてる姿を見た時には落ち込んだけどね。


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