【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第三十五話 八神家の日々2

 

 

 

 

 

 本日も八神家にてシャマルさんの魔法講習会続編。

 お題目は【ベルカ式魔法陣を書いてみよう】

 まずは実際に画用紙に大きく書いて、その上を魔力でなぞって魔法陣を形成する。

 俺はそれを何度も繰り返して、なぞらなくても自然に魔法陣が展開出来るように感覚で覚えこむ。

 はやてちゃんもリインさんがいるから魔法を使ってれば自然に覚えるけど、勉強の為にと俺の様子を見ていた。

 

「なかなか形が安定しない」

 

「ですけど、初日からデバイスを介さずに魔法陣を展開出来るのは凄いですよ

 基本的な術式もほぼ間違いなく書き込まれてますので、もう少し頑張れば簡単な魔法くらいは出来ると思いますよ」

 

 やっぱり『努力すれば(略』が効いているらしく習得が早いみたいだ。

 今俺が作り出してる魔法陣は確かに形には成ってるけど、どことなく文字が歪んでたりして形が安定してない。

 しかもじっくりと集中して維持し続けているので、他のことをする余裕があまりない。

 これじゃあ発動した魔法を制御する事もできないだろう。

 

 シャマルさんに教わったが次元世界のミッド式やベルカ式の魔法は、魔法陣とそこに書き込まれている基本術式をベースに発動する。

 魔法陣に書き込まれている基本術式に使用したい魔法の術式を繋げる事で、使用したい魔法の発動が可能となる。

 なのはちゃんがディバインバスターを使う時に魔法陣以外にレイジングハートの周りに付く円環の術式も繋げる術式の一部だ。

 念話などの簡単な魔法であれば魔法陣すら必要ないが、強力な魔法であれば魔力量に耐える為や術式の膨大さから魔法陣自体が大きくなる。

 ともかく魔法陣が展開できて漸く初心者というところだろう。

 

「魔力ってみんな色がちがうんやな

 拓海君は私と同じ白やし」

 

「そうえばはやてちゃんも白だっけ」

 

「おそろいやな

 皆は何色やったっけ」

 

「私は紫です」

 

「あたしは紅色だな」

 

「私は緑色ですね」

 

「私は主と似ていますが少々青みが掛かった白です」

 

「私はシグナムよりも濃い紫色です」

 

「私は一応青よ」

 

「こんだけ魔法が使える人がおると結構色が被るんやな」

 

 まあ魔力光に資質の違いは現れないらしいから、ただの個性の違いなんだろうけどね。

 魔法陣を維持しながらそんな事を考えられるようになってきたのは、少しは慣れて余裕が出てきたからか。

 この調子ならホントに二・三日で簡単に出せるようになりそうだ。

 

「けど拓海、あなた古代ベルカ式を正式に学ぶつもりなの?

 昔はベルカ式も栄えてたけど、今はミッド式が主流でそんなに使い手がいないわ

 だから古代ベルカ式デバイスってなかなか手に入らないし、術式とかもそんなにないはずよ

 それにミッド式も勉強してみたいって言ってたけど、魔法系統は一つに絞ったほうがいいわ

 最近はミッド式でエミュレートした近代ベルカ式ってのもあるらしいんだけどね」

 

 古代ベルカ式の魔法を学んでいる俺にアリアが忠告してくれる。

 確かにアニメでも両方の術式を使いこなしてるなんて、蒐集をして暴走した闇の書時のリインさんくらいしかいなかなかった。

 両方の術式を学ぶというのはまあやっぱりいろいろ無駄が多いんだろう。

 

「どっちかが好みだから優先して学びたいって訳じゃないんだ

 本格的に極めるくらい学ぶかどうかはまだ決めてないけど、とりあえず初歩の魔法が使えるくらいにはなりたいと思ってる

 使っていて気に入ったなら本格的に学ぶかもしれないけど、今はほどほどでいいよ」

 

「それは残念だ

 拓海なら良い騎士に成れそうだというのに」

 

「…やっぱりベルカ式はいいかな

 俺に騎士って向きそうに無いし」

 

「な!?」

 

 シグナムさんに指摘されて、ベルカ式の使い手は騎士って呼ばれるのをすっかり忘れてた。

 騎士には強さとか高潔さとかの憧れはないこともないけど、だからこそ俺には騎士とか立派な役職は勤まらないと思う。

 立派な騎士を名乗ってる人たちに失礼だと思うし。

 

「別にいいんじゃねえか?

 細かい事気にしなくても」

 

「そうですよ

 拓海君なら立派な騎士になれます」

 

「そうやで、シグナムとリインはともかく他の皆はそんなに騎士っぽくないしなー」

 

「「え?」」「むぅ」

 

 はやてちゃんの言葉にヴィータとシャマルさん、そしてザフィーラが声を漏らす。

 逆にシグナムさんとリインさんは少しだけ機嫌が良くなった感じがした。

 

「は、はやて!! アタシ、はやての騎士らしくないか!?」

 

「はやてちゃん、私に何か至らないところが!?」

 

「主、我は…」

 

 ヴィータとシャマルさんが慌ててはやてちゃんに尋ねて、ザフィーラもそれほどではないが少し気にしている。

 

「ああ、そやない

 皆が悪いわけやあらへんよ

 ヴィータは可愛い妹みたいやし、シャマルは良く家事の手伝いもしてくれる(よく失敗もするけど)

 ザフィーラは……そのままでええと思うよ」

 

「そ、そうか//////」

 

「よかった、お役に立ててたんですね(失敗しすぎちゃったかと)」

 

「心得ております」

 

 ヴィータは少してれながら納得して、シャマルさんはほっと安心した。

 ザフィーラははやてちゃんが初めからどう思ってるのか察していたのか落ち着いていた。

 まあ、ペットポジションだという事に本人が納得してるならそれでいいんだろうけど。

 

「んんっ、まあ、なんだ…

 我らと同じベルカ式を学ぶというなら私も手を貸そう

 お前には主と我等を救ってもらった借りがあるのだからな」

 

「シグナムのいうとおりだ

 私は仮にも魔導の本

 知識については自信がある

 主はやてと同じようにとはいかないが、必要ならば知識を授けよう

 遠慮なく言ってくれ」

 

「そんなに気負わなくてもいいんだけど

 ベルカ式を学びたいと思ったのは好奇心からなんだ

 闇の書の一件も借りとか思われると気が滅入る」

 

 ほっといたら不味そうで、自分に何とか出来そうな感じがしたから手を出しただけ。

 感謝よりも被害を被りたくないと思ってやったことだから、あまり気にされ続けると少々困る。

 

「私も皆も拓海君には感謝しとるんやで

 だからなんか恩返ししたいと思っとるから、貰えるもんはありがたく受け取っとき」

 

「んー、まあはやてちゃんがそういうなら…

 だけどはやてちゃんってやっぱり図太いよね」

 

「図太いっていうなや!!」

 

 後日からはシャマルさんだけじゃなくて、守護騎士の皆が魔法についていろいろ教えてくれる事になった。

 補助と防御が興味があるからシャマルさんとザフィーラ、全般に知識のあるリインさんと万能型なヴィータの順で学ぶ物があり、シグナムさんが一番教える物がなかった。

 なので今度剣道場の講師を務める予行練習を含めて剣の指南をしようと張り切られるのは想像してなかった。

 

 

 

 ベルカ式の魔法陣の展開→維持→消去→再び展開を繰り返してだいぶ扱いを覚えてきた頃、霊力でもしかしたら陣を書けないかと考えた。

 試しにまずは魔力+霊力でベルカ式魔法陣を展開してみると、特に何事もなく展開出来た。

 ただし魔力だけの時より魔力光がより一層輝きを増した感じになった。

 

「あれ、拓海君何かしましたか?

 拓海君から出る魔力の質が変わった感じがするんですけど」

 

「試しに霊力と混ぜて出してみたんだけど、特に問題無く出せるみたいだ」

 

「霊力と混ぜて使うとどうなるのだ?」

 

「さあ? 俺まだ魔法自体は使えないからなんとも

 使えるようになったらいろいろ試してみるさ

 それじゃ次」

 

 魔力+霊力の魔法陣を消すと、今度は霊力だけでの魔法陣を展開を試みる。

 描く感覚は同じだから、魔力から霊力に切り替えてもちゃんと展開出来た。

 ちなみに霊力は薄く青白い色で光っている。

 

「こっちも成功か」

 

「? 何が成功なんだ?」

 

「なにって、これ」

 

「何もあらへんよ」

 

「え? ああ、霊力だから見えないのか」

 

 霊力は魔力や気よりも存在を感じ取るのが難しい。

 なんとなくで感じ取れない事もないけど、実体への影響が少ない分かなり密度を上げないと普通の人には見えない。

 なので魔法陣に込める霊力を最大にしてみる。

 

「んぐぐ…これで、見えるようになった?」

 

「あ、ぼんやりと見えるようになってきたで」

 

「やはり魔力とは違う物なのだな

 ベルカ式の陣が描かれていたのにも気づかなかった」

 

「というか、霊力でベルカ式の魔法陣も展開出来るんですね」

 

「霊力から魔力に切り替えただけで簡単に出来た

 術が使えるかどうかはまた今度だな

 で、本題はこれから」

 

『?』

 

 みんなは俺が何をやろうとしているのかさっぱりの様子。

 だけどこれが成功すれば術に新たな可能性が開ける。

 ちょっとだけわくわくしながら霊力によるベルカ式魔法陣を消して、新たに出す霊力を手に溜める。

 他の皆にも見えるように霊力量は出来るだけ多めにして、ベルカ式とは別の紋様を出した。

 

「これが何かわかる?」

 

「えーとなんやったっけ?」

 

「私も見覚えがあります

 たしかごく最近で…」

 

「あ、それって式神を作る札の模様じゃねえか」

 

「ヴィータ、正解」

 

 俺が出したのは式神の札に書き込む術式の内容。

 ヴィータからすれば唯の模様にしか見えないけど、一応文字なんだよな。

 昔の文字は達筆すぎて、現代人には殆ど読めないよ。

 式神や陰陽術の本の一部がこういう字だったから読むの苦労した。

 今はだいぶ慣れたから別の本でもそこそこ読めるだろうけど。

 

「霊力で魔法陣形作れるなら、式神の術式でも形作れると思った

 問題は発動するか……よし、これでいこう」

 

 何を出そうか考えて、ふとザフィーラが眼に入り思いついた。

 俺は展開している式神の術式の紋様に生み出す物のイメージと発動を命じる。

 

 

-ボオンッ!!-

 

 

 発動には成功して周囲に煙が発生する。

 ちょっと大き目の物をイメージしたので、その分煙の量も多かったようだ。

 

「凄い煙の量や」

 

「拓海、周りが見えんぞ

 こうなるなら先に言っておけ」

 

「ごめんごめん

 じゃあ、出て来たものにも驚かないようにしといて」

 

「なに?」

 

 だんだんと煙が晴れてくると俺の作り出した式神が姿を現す。

 そこには白い毛並みと口角から見せる牙、二本の尻尾。

 そして五メートルを優に越える巨体を持った犬が横たわっていた。

 

「な、なんだこれは!?」

 

「でっけー犬だな」

 

「も、モロや!! モロの君や!!」

 

「モロ、ですか?」

 

 俺が出してみたのは式神はもののけ姫に出てくる山犬の長、モロの君だ。

 はやてちゃんはジブリアニメの有名度とリアル差に直ぐに気づいたが、作品自体知らない皆は式神と知っていてもその巨体に少し警戒していた。

 

 式神符で出せる式神の最大の大きさは3mくらいだ。

 それ以上は素材の紙が持たなくて弾け飛んでしまう。

 ヴィータが出してた特大呪いウサギが限界サイズだ。

 

 だけど今やったのは紙に書かずに術式を魔法陣のように宙に描いて発動させた。

 その御蔭で術式の容量に理論上限界はない。

 もしかしたら数十m級の怪獣のような物も作れるようになるかもしれない。

 そう考えるとわくわくが止まらない。

 こういうことが出来るから不思議な力に興味が尽きないんだ。

 

 せっかくなので式神に思念を送ってモロを演じる事を命令させる。

 その辺りのイメージも纏めて作るときに収まってるからそれくらいは簡単だ。

 

『いかにも私がモロだ』

 

「おおー、しゃべった!!

 しかも声がちゃんと美輪さんや!!」

 

「なんと貫禄のある声」

 

「なんだかひれ伏したくなっちゃいます」

 

 俺のイメージが反映されているとはいえ、実際そんなことは無いと思うんだが…

 声優さんのキャラのイメージを生み出す声には感服する。

 あれ? 美輪さんって声優じゃなくて俳優だったっけ。

 

「だけど思ったよりも大きく作っちゃった

 シャマルさん、悪いんだけどまた結界張ってくれません?」

 

「わかりました」

 

 モロの大きさはしゃがんでても塀を越えて見えてしまいそうなほど大きい。

 これを見られると少々騒ぎになりそうなので結界を頼んだ。

 シャマルさんはあっという間に結界を展開して、周囲の空の色が変わった。

 

「なあなあ、拓海君

 モロの背中に乗ってええか?」

 

「作った感じからかなり強度がありそうだから全然大丈夫だよ

 この大きさなら何人も乗れそうだし」

 

「よっしゃ、シグナム、リイン手伝って!!

 ヴィータも一緒においで!!」

 

「は、はい!!」「わ、わかりました!!」

 

「あたしもいいのか、はやて!!」

 

「もちろんや、一緒に乗ろう」

 

「おう!!」

 

 シグナムさんとリインさんの二人ではやてちゃんをモロの背中に押し上げ、ヴィータはさっさと飛び乗ってはやてちゃんを上から引っ張り上げる。

 二人が乗るとモロを立ち上がらせて少し歩かせた。

 

「おお、やっぱり大きいからけっこう揺れるんやな」

 

「だけどなんかスゲー

 でっかいから見晴らしいいし」

 

「視点がザフィーラ乗った時より高いから、歩くと自分が大きくなった感じがするわ」

 

「む、むぅ…」

 

 はやてちゃんとヴィータは庭を歩き回るモロの上で楽しそうにしている。

 話題にザフィーラの名前が出てきたら本人が少し唸った。

 

「ふふふ、大丈夫ですよ、ザフィーラ」

 

「な、何を言っておるのだ、シャマル」

 

 動揺するザフィーラを気遣うシャマルさん。

 いくらザフィーラより大きい犬でも式神だから、八神家のペットポジションは変わらんよ。

 

「拓海、外まで行って走っていいか?」

 

「庭ん中だけじゃ狭くてちょっと退屈やわ」

 

「だけど結界は家の周りにしか張ってないよ」

 

「シャマル、結界ってもっと大きく出来へん?」

 

「出来ますよ」

 

「ほんならおもいっきり大きくして!!」

 

「判りましたー」

 

 はやてちゃんの願いに応えて、シャマルさんが結界の範囲を一気に拡大する。

 結界の隅が一気に遠くなっていって、町全体を超えて広がっていった。

 

「これなら街中おもいっきり走れるな、はやて」

 

「そやな

 ほんならモロさん、お願いします」

 

『仕方が無いな』

 

「ちょっと待った、行くなら俺も行く

 久遠、アリアもおいで」

 

「クォン」

 

「しょうがないわね」

 

 せっかくだから俺もモロに乗ってみたい。

 猫と子狐サイズなら一緒でも問題ないから、二人を抱えて俺もモロに跨った。

 前から順番にヴィータ、はやてちゃん、俺が乗っている。

 走るならはやてちゃんが落ちないように俺が後ろから支える形だ。

 久遠とアリアは俺の肩に乗っかっている。

 

「ヴィータ、はやてちゃんが落ちないように気をつけてやれよ

 はやてちゃんもちゃんと気をつけてね」

 

「わかってるよ」

 

「了解や!!」

 

「じゃあモロ、頼むぞ」

 

『判った』

 

 準備が整うとモロは一足で塀を飛び越えて外の道に出てゆっくりと走り出した。

 シグナムさんとリインさんが飛んで直ぐに追ってくる。

 

「はやてちゃんに置いて行かれちゃったわね、ザフィーラ

 よかったら私がはやてちゃんの変わりに乗ってあげましょうか?」

 

「……シャマルは俺には重過ぎる

 追いかけるぞ」

 

「な!? 私は重くなんか無いですよ!!」

 

 二人から一足遅れて、ザフィーラとシャマルさんも俺たちを飛んで追いかけてきた。

 

 

 

 モロに命じて出来る限り揺らさないようにゆったりとした速度で走らせる。

 だけどそれはモロの感覚を基準にしたもので、乗っている俺たちには結構な速さと揺れだった。

 それでも恐いというわけではなく乗っている俺たちは楽しんでいた。

 

「アハハハハ!! よっしゃ行けー!!

 もっと早くー!!」

 

「ヴィータ、おもろいけど私にはこれくらいが限界や

 これ以上速いと掴まりきれんで落ちてまう」

 

「あ、ごめん」

 

「大丈夫や、もっとしっかり掴まらせて貰うで、ヴィータ」

 

「ああ、しっかり捕まってろよ、はやて」

 

「ここまで大きいと思ったより揺れるな

 久遠とアリアも大丈夫か?」

 

「クゥ、大丈夫、面白い」

 

「これくらいで振り落とされるほどやわじゃないわ」

 

 はやてちゃんは足がまだろくに動かないから、下半身で踏ん張りきれない。

 なのでヴィータに抱きついて体を支えてる状態だ。

 俺も後ろから支えてるが走る勢いで落ちてしまったら十分怪我をする速度だ。

 いっそリインさんとユニゾンしといてもらったらよかったか。

 

 久遠とアリアは俺の肩に捕まってるだけだけど平気そう。

 軽く俺が痛くない程度に爪を立てて捕まってるからかな。

 久遠はちゃんと楽しんでくれてるけど、アリアはどうなんだろう?

 ついてきてくれる分、付き合いはいいんだろうな。

 

 

 

 街中を一通り走り回って十分楽しんだと判断したらそろそろ戻る事にした。

 式神のサイズが大きい分、普通の式神を使うより少々負担を感じた。

 まだ数体出せるほど十分余裕あるけど、今度いろいろ検証しておこう。

 

「はやてちゃん、ヴィータ

 そろそろ戻るよ」

 

「えー、もう戻るんか?」

 

「もうちょっといいだろ」

 

「感覚ではまだ十分大丈夫だと思うけど、皆は飛んで追いかけてきてるんだ

 程々にしとかないと」

 

 それほど速く走っていないとはいえ、人が走って追いかけるには少々速すぎる。

 なので追ってきてる皆はザフィーラを含めて飛行魔法でついてきていた。

 

「それもそうやな

 戻ろう、ヴィータ」

 

「むぅ、しょうがねーな」

 

 返事を聞くと式神に指示を出して八神家のほうへ戻っていく。

 八神家に戻ってから式神と結界を消そうと思ってた。

 そこへシャマルさんが俺たちに追いついてきた。

 

「ちょっと待って、みんな

 誰かがこっちに向かってきてる」

 

 式神を立ち止まらせて他の皆を見回すと空を見上げて警戒していた。

 

「誰かって、誰やろ?」

 

「はやて、ここはあたし達の結界の中だぜ

 普通の人間は入れねえよ

 間違いなく魔導師だ」

 

「魔導師……あ、忘れてた」

 

 そうしている内に空から、一人の魔導師が降りてきた。

 町中に結界を張ったから町にいる魔導師なら気づく。

 今俺たち以外にいる唯一の魔導師。

 

「あのー、すいません

 何してるんですかー…って、にゃあああ!!

 おっきな白い犬!? モロなの!?」

 

 高町なのはが飛んできてしまいました。

 こんな形で会うとは予想外だ。

 

 

 

 

 

●ベルカ式魔法陣形成成功

●魔法陣応用による式神作成成功


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