【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第三十話 すべては神の掌の上

 

 

 

 

 

 猫を捕らえて戻ってきた八神家。

 気絶してる猫の使い魔には俺特性の金縛りの札を貼っておきました。

 更に周囲には守護騎士達が陣取って、何時起きても問題ないように臨戦態勢。

 

 さらに念には念を入れて八神家にのみ封鎖領域を張って転移で逃げられないようにしている。

 範囲を小さくしてる分、強度はより頑固。

 なのはちゃんのSLBにも耐えられるんじゃないかな。

 …ごめん言い過ぎた、ディバインバスターいくら撃っても壊れないくらいだと思う。

 いや、もしかしたら一発くらいはSLB耐えられるかも…

 

 この猫の使い魔がSLB並の攻撃がノータイムで出来るとは思えないので取り会えず脱出は不可能だろう。

 魔力量を感じてみる限りなのはちゃんほどではないみたいだし。

 ところでこの猫の使い魔って、リーゼロッテだろうか、リーゼアリアだろうか。

 人の姿でも髪の長さくらいしか違わない双子らしいから猫の姿だと余計分からん。

 あれ? 長いほうがロッテ、アリア? どっちだったっけ?

 まあいっか、この後聞いてみるんだし。

 

 使い魔の片側を確保した以上、戻ってこなければ何かあったと感じてもう一匹の使い魔が探しに来るはず。

 それの時この使い魔を見つからないように隠す必要ない。

 重要なのはギル・グレアムをはやてちゃんとの話し合いの場に引き摺り出す事だ。

 結果、人質という事になるが致し方ない。

 

 もう一匹の使い魔は恐らく異変を感じる今日中か明日にでも確認に来るだろう。

 そうしたら念話をしてくるだろうから、その子にギル・グレアムの計画が全て知られている事とはやてちゃんが話したがってる事を伝える。

 そうすれば判断を仰ぐためにギル・グレアムに伝えざるを得ないだろう。

 

 これからもう一匹の使い魔が探しに来るのを待つことになるけどどうしよう。

 今日はここに泊まる事になるか?

 

「え、拓海君今日家に泊まるん!?」

 

「まあこの子を見張るだけならシグナムさん達だけでも問題ないんだけど」

 

「かまへんかまへん、友達の初めてのお泊りや

 晩御飯おいしいモン用意せなな!!」

 

「あー、お構いなく」

 

 友達とはいえ女の子の家に泊まるのはどうなんだろうな。

 守護騎士達もいるから問題ないんだろうけど。

 あれ…守護騎士いたほうが女性率上がるのか。

 まあ後で親に連絡しておかないと。

 

 そろそろ猫の使い魔を起こそうと揺すってみる。

 触ってみればなかなかツヤツヤな毛並み。

 撫でてみたいけど猫だけど女の人なんだよね。

 あーでも久遠も女の子だけど子狐で良く撫でてるし。

 

「うーん……にゃ!?」

 

 毛並みのツヤツヤさに少し魅了されていたら漸く起きた。

 にゃって言ったよ、にゃ!?って。

 かーわいーいなー、やっぱ使い魔作るなら猫かなー。

 早く闇の書事件終わらして気楽に魔法研究進めたい。

 専用の式神も余裕が無くて試せてないし。

 

 少々緊張感が欠けてきてたが、気を取り直して猫を見ると周囲をキョロキョロ見渡して現状を把握している。

 気づいたら監視してた敵陣の中。

 あまりいい気分じゃなさそうだ。

 

「(ど、どうして私はここに!?

 確か遠くから監視してたら突然気を失って…

 それよりどうやって逃げよう

 逃げられなくても父さまのことは話せない

 何とかして誤魔化さないと…えーと…)に、にゃー…」

 

 か、可愛い…

 戸惑って冷や汗掻いてる普通の猫とは思えない仕草も逆に可愛い。

 誤魔化すようになく猫真似する猫の鳴き声なんてもう。

 久遠とどっちが可愛いかなんて聞かれたらちょっと迷ってしまいそうだ。

 

 ごめん久遠!! 俺はちょっと間違えた!!

 俺は久遠のこと大好きだ!!

 いくら可愛くてもこの子は今は敵。

 しっかりお話してやろう。

 

「お前が誰かなのは分かってる

 ギル・グレアムの使い魔の猫だろ?」

 

「にゃ!?(な、なんでそれを!?

 お父様の名前は八神はやてに伝わってるはずだけど魔導師とは伝えてないのに!?)」

 

「普通に喋ってくれていいぞ

 リーゼロッテかリーゼアリアのどっちか」

 

「……」

 

「せめてどっちなのかは知りたかったんだが

 まあいいや、俺達はお前らがやろうとしてることを知っている

 お前らが闇の書を完成させるタイミングではやてちゃんごと封印しようとしてる事も」

 

「ど、どうして…」

 

「誤魔化しきれなくなってきたな

 まあ、全部説明してあげるよ」

 

 

 

 俺が知ってることを猫に説明してやった。

 封印するためのデバイス、デュランダルの名前をしっかり言ってやったときが一番驚いていた。

 そしてこっちにはそちらにはない解決方法がある事も言ってやるが、それはさすがに信じなかった。

 

「まあ、そういうわけでそちらのやろうとしてることは全部知ってるから

 こちらに目的が知られてたら計画成功させるのは難しいだろ」

 

「わ、私をどうする気!?」

 

「特にどうにもする気はないんだけどね

 ギル・グレアムの計画は管理局に隠して行動していた

 探しに来るとしたらもう一匹の使い魔

 目的はそっちのほうだ」

 

「ロッテに何する気よ!!」

 

「てことは君はリーゼアリアってことか

 別にどうもしないよ

 君を探した時に主人であるギル・グレアムに伝えて欲しいんだ

 はやてちゃんが話をしたがっているって

 全部知ってるとしたら主人の判断を仰がざるをえないだろ?」

 

「ぐぅ…」

 

 悔しそうな声を出すけど、猫の姿じゃいまいち悔しそうに見えない。

 そこへはやてちゃんがリーゼアリアの前に出て話しかける。

 

「わたしはグレアムおじさんと話し合いで解決したいんよ

 私も皆も誰にも迷惑かけとうないから」

 

「そんな理由で全て解決できると思わないで

 あなたにお父様の苦しみは理解出来ないわ!!」

 

「うっ…」

 

「貴様!!」

 

 リーゼアリアの予想以上の剣幕にはやてちゃんがたじろいで、その様子にシグナムさんが怒ってレヴァンティンに手をかける。

 向こうにも思惑があって覚悟して動いているのはわかっていた。

 そう簡単に説得どころか話を聞いてくれるとは思ってはいなかった。

 はやてちゃんにはこの話し合いで相手に意見が通らない事も理解して欲しいと思っている。

 

「シグナムさん、落ち着け

 危害を加えれば話し合いどころじゃないぞ」

 

「クッ……解った」

 

 少なくともはやてちゃんが望んでいる以上、危害は加えずに監視し続けるしかない。

 言った通りこちらは敵対する事を望んでるわけじゃないから危害を加えるわけにはいかない。

 リーゼアリアもこの包囲から逃げられないとわかってるからか、おとなしくしてくれているから良かった。

 金縛りの札がどこまで効いてるかわからないけど。

 

「恐らく探しに来るだろうリーゼロッテが来るまで大人しくしてて」

 

「私が言う事を聞くと思ったら大間違いよ!!」

 

「けど、守護騎士達に囲まれてたらさすがに逃げられないだろ」

 

「……」

 

 やはり守護騎士全員を相手にするのは無理とわかってるらしい。

 強さが良くわからないから、この状況をどうにか出来るほど強かったらどうしようかと思った。

 

「まあ、それでも大人しくしててくれないなら大人しくさせるまでだけど」

 

「拓海君、乱暴はあかんで」

 

「大丈夫、乱暴はしないよ

 乱暴はね……フフフフフ」

 

 指の骨をコキコキと鳴らすように動かしてから、掌をリーゼアリアに向けていく。

 その時の俺の顔はきっと口角の辺りが釣りあがってニヤリと笑っていただろう。

 その様子にリーゼアリアも少し危機感を覚えて…

 

「な、何する気

 私は絶対に屈したりしないわよ

 にゃ、にゃ、にゃ……にゃあぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第三者視点】

 

 闇の所を確認に行ったリーゼアリアが戻ってこなかったことに不安になって、リーゼロッテが探しに海鳴市にやってきた。

 

「いったい何があったのかしらアリアは

 『ちょっとアリア、聞こえるー?

 聞こえるなら何があったのか返事しなさーい』」

 

『……ぁ』

 

『ん、アリア?』

 

『…はぁ、はぁ…、ろ、ロッテ……』

 

『ど、どうしたのよアリア。

 なんだか様子がおかしいけど

 何があったの?』

 

 念話は繋がったがアリアの様子に疑問を抱くロッテ。

 

『ご、ごめん…捕まっ…ちゃった…』

 

『捕まったって、まさか闇の書の守護騎士!!

 まさかとは思ったけど起動したの!?』

 

『う…ん……だけど、それだ…けじゃない…

 こいつら…計画のこと…全部知ってる…』

 

『どういうこと?』

 

『それは…ひゃん!!』

 

『どうしたのアリア!?』

 

『……あー、あー、聞こえるかな?』

 

『!! 誰!? 念話に割り込んでくるなんて。』

 

 ロッテはアリアにのみ向けていたはず念話に突然割り込んできた拓海に驚いた。

 本来念話は対象を限定するなら傍受するための魔法を使わないと割り込めない。

 

『(アリアに触れてたらアリア宛の念話の魔力を感じ取る事が出来るとは

 そこから逆に魔力を送ることでこっちからも念話繋げられたし

 シャマルさんが傍受の準備をしてくれてたけど無駄になったな

 まあとっとと用件を伝えるか)

 とりあえず八神はやての友人とだけ答えておくよ

 悪いけど君達の計画は全て把握している

 闇の書を完成させたタイミングではやてちゃんごと封印する事も、使用するデバイス:デュランダルのことも』

 

『な!?』

 

『ああ、このリーゼアリアから聞き出したわけじゃないよ

 事前に知ることが偶然出来たんだ

 そしてそちらが知らない闇の書の破壊方法もこっちは持ってる』

 

『何ですって!!』

 

『以上の事も含めて、主人のギル・グレアムに伝えてくれ

 はやてちゃんは魔力の蒐集を行うように守護騎士には絶対命じない

 そしてそちらと話し合いで解決したがってる、と

 ギル・グレアムが以前から闇の書を把握していたのは、はやてちゃんの援助者の名前が証拠になる

 管理局にとっては捜索指定を受けている闇の書を報告しなかったことは犯罪に当たるはずだ

 俺は管理局への連絡方法を別に持ってる』

 

 ぶっちゃげ匿名でなのはちゃん宛に事実を伝える方法しかないけど。

 

『…脅しってこと?』

 

『はやてちゃんが話し合いを望んだからだ

 もし応じるなら本人が直接八神家に来るように伝えてくれ

 計画が全てばれてる以上、主人にこの会話の内容を伝えないわけには行かないだろ?』

 

『クッ…アリアをどうしたの』

 

『危害は加えてないよ

 ちょっと遊んであげてるだけ

 出来るだけ早く来てくれよ』

 

『アリアに何かあったら承知しないからな!!』

 

 そして慌ててロッテは転移して、主人の元へ報告に行った。

 

【第三者視点解除】

 

 

 

 

 ふう、作戦第二段階終了。

 これでギル・グレアムにこちらの実情と用件は伝わるはずだから、再び向こうの動きを待つのみ。

 もしこれで管理局の戦力を使った強攻策に出てきたら逃亡生活になる。

 マジでそれは勘弁だぞ。

 頼むから大人しく本人達だけでこっちに来てくれ…

 

 結果がどうなるかはまた待つ事になるが、それまでは八神家で待機。

 そして今俺が何をやっているのかと言うと…

 

「にゃ、にゃぁ、そんなのだめぇ…」

 

「ダメと言いながも体は全然嫌がってないじゃないか

 金縛りの札はもう取れちゃってるのに少しも逃げようとしない」

 

「だ、だってぇ、こんな、気持ちよくて…

 体に力が入らないぃ」

 

「ふむ、今度はここかな?」

 

「あん、だめ、気持ち良いのぉ」

 

「もうすっかり従順になっちゃって

 口でもいつまで反抗的でいられるやら」

 

「言わないでぇ」

 

 俺とアリアの様子に、見ていたはやてちゃんと守護騎士達は…

 

「………(真っ赤)」

 

「拓海君すごいわぁ」

 

「だ、ダメですはやてちゃん、ヴィータちゃん!!

 二人に早すぎます!!」

 

「そ、そうです主はやてには少々早すぎるかと」

 

「(俺はどうすればいい)」

 

 ヴィータは顔を真っ赤にしておりはやてちゃんは興味津々。

 シャマルさんが二人を見せないようにしようとするけど自分も目を離せず、シグナムさんも同じ。

 ザフィーラは犬型のまま前足で両耳を塞いで関わらないようにしている。

 

「ええやないか、シャマル、シグナム

 拓海君はただ撫でとるだけやろ?」

 

「えっと、そうなんですけど」

 

「これは主の教育上よろしくないかと」

 

「………(真っ赤っか)」

 

 その通り、俺はただいつも久遠にやっているゴッドハンドでアリアを撫でているだけだ。

 ただしこれはただゴッドハンドで撫でているわけじゃない。

 久遠を撫でているうちに、凝や触れる事で相手の体の中の気の流れを読み取る事が出来るようになった。

 気の流れと血の巡りは関係していて、気の流れが悪いところは血の巡りが悪くて凝っているらしい。

 それを治すように気を込めて撫でてやると非常に気持ち良いマッサージ効果を現すのだ。

 

 ゴッドハンドの効果を併せることで気持ちよさは数倍に膨れ上がり声が漏れるほど。

 久遠にはいつもやってあげてるんだけど、アリアを手懐けるつもりでやったらこの通り艶かしい声を上げてしまったのでついつい俺も調子に乗って言葉で責めてしまった。

 アリアはちゃんと猫の姿だからエロくないよ、声以外は。

 

 しかし見た目通りのさわり心地の良い毛並み。

 悶える姿もなかなか愛らしくて、ついつい撫で回しが加速してしまう。

 もはや逃げる様子も見せずに俺の手の内で悦んでいる。

 

 ちなみに久遠は那美姉さんが飼っているので、お泊りというわけにはいかず帰りました。

 俺がアリアを撫でているところを見て少し嫉妬してたけど、またちゃんと撫でて遊んであげるからと納得して帰りました。

 久遠もいつもこんな風に撫でてるけどエロい声は出ないよ。

 普通に幸せそうに鳴いていつの間にか寝ちゃうんだよ。

 

 そんな久遠がいつ見ても可愛いなと思いながらもアリアを撫で続けていた。

 今日はこの子の毛並みを堪能させてもらおうとじっくりと撫で続ける。

 俺はアリアの毛並みを堪能するあまり、周囲の様子を気にしていなかった。

 はやてちゃんと守護騎士達は悶えて声を上げるアリアの様子にいつまでも動けずにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第三者視点】

 

 翌日、八神家の呼び鈴が鳴った。

 シャマルが出迎えに行くと、玄関にはケモノ耳の付いた女性を連れた老人がいた。

 見た目ほど年齢を感じることはなく背筋がピシッとしており温厚そうな顔付きをしているが、今は目尻が上がって怒っている剣幕が伺える。

 

「お呼びに預かったギル・グレアムだ」

 

「アリアは無事なんでしょうね!?」

 

「ええと…危害は加えてないんで無事と言えば無事なんですけど、そうじゃないと言えば違うんじゃないかなと…」

 

「「???」」

 

 二人の剣幕にシャマルさんは少したじろぎながらも少し言い難そうに応える。

 シャマルさんの言い難そうなはっきりしない答えに、予想していたのと違ったからか二人は少し困惑した。

 

「と、とりあえず上がってください、はやてちゃんが待ってます

 守護獣の方も一緒にいますのでそちらで確認してください」

 

「分かった、上がらせてもらうよ」

 

「……」

 

 グレアムがそう言って上がり、ロッテも黙って付いていった。

 二人は居間まで案内されるとそこにははやてと残りの守護騎士、そして拓海とリーゼアリアもいた。

 そしてリーゼアリアがどうなっているかと言うと。

 

「うにゃぁん、ゴロゴロ」

 

「「……」」

 

 拓海の膝の上で撫で回されながら喜んでいた。

 その様子を見た二人は今までの剣幕から気が抜かれて唖然としてしまった。

 

「ねえ、もっとぉ」

 

「もうすっかり口でも嫌がらなくなっちゃって

 最初の警戒心はどうしたんだ?」

 

「だってぇ、貴方撫でるの上手いんだものぉ

 こんなに気持ち良いんじゃ何も出来ないぃ

 だからもっとぉ」

 

 アリアは一晩の内にすっかり拓海のゴッドハンドに骨抜きになっていた。

 今ではすっかり警戒心が解けて猫撫で声で撫でるのを催促するあまり。

 猫だけに。

 

「はいはい、わかったよ

 君の毛並みは触り心地がいいから撫でるの飽きないしね

 ……ところで、君の主人と姉妹が来てるみたいだけどいいのかな?」

 

「うにゃぁ?

 …………にゃあ!?

 お、お父様、ロッテ!!

 こ、これはその!!」

 

 夢見心地で寝惚けてたような沈黙から突然叫び声を上げて、ようやく二人が来ていたことに気づく。

 ワタワタと慌てた様子に無事であることは理解できた二人は…

 

「「…はぁ」」

 

 同時にため息をついて完全に気が削がれた様子だった。

 そうしてる間もアリアはワタワタと慌ててどうすればいいかと混乱してるが、相変わらず拓海の膝の上から動こうとはしていなかった。

 

【第三者視点解除】

 

 

 

 

 

●ゴッドハンド・改を披露


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