【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます   作:ルルイ

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第十六話 ライバ・・・・・・ル?

 

 

 

 

 薫さんに技を披露してから数日後、その間だけ剣術の指南をしてから薫さんはまた仕事で遠くへ行ってしまった。

 退魔師の仕事は活動範囲が広く、全国を回る事になるらしいので頻繁にはこちらに来れないらしい。

 代わりに那美姉さんに見てもらってるけど、見てもらう分には那美姉さんの剣術のへっぽこさは出ないので監督役は果たせていた。

 それを那美姉さんに言ったら膨れて不機嫌になり、その直後久遠までへっぽこと言って凹んでしまい、久遠と二人で笑ってた。

 

 薫さんに自分の流派と言われて、名前をつけるなら何がいいかと思った。

 驚いた事に那美姉さん達の神咲一灯流の兄弟流派に神咲真鳴流(かんざきしんめいりゅう)なんてものがあるらしい。

 そっちの方は弓術らしいけど、これじゃ俺の流派で神鳴流とは名乗れないだろう。

 だから町の名前からとって海鳴流(かいめいりゅう)と名づけてみる事にした。

 字が被ってるし語呂も割りとよかったのでこれに決めた。

 

 

 

 流派の名前を決めたところで、俺いったい何やってるんだろうと思い返してしまった。

 『おれのかんがえたかっこいいまほう』もとい魔法陣を作ったり、流派名乗ったりなんて人が普通に言ったら恥ずかしいこと。

 まあこの世界じゃ技名叫んだり魔法少女名乗ったりするような輩がいるから可笑しくないんだろうけど、思い返してみると俺の第二の人生これでいいんだろうかとちょっと悩んでしまう。

 気や霊力の訓練とか実際出来るから張り切っていたけど、現実的に考えて一般的な人間だったらそんなこと出来なくてすぐやめてしまうはずだよな。

 平凡に生きていたいと思うけど、既に平凡から離れていた事に気づく。

 日頃は久遠と遊んだりモフモフしたりしているから平穏一色なんだけどな。

 

 とりあえずがんばり過ぎないようにしよう。

 俺のやりたかった事はもう殆ど叶ってるんだし、この平穏を壊さないようにすればいいや。

 剣術もせっかく教えてもらってるんだからってくらいで、自作魔法陣は最近は殆ど手付かず。

 式神はいろいろ作って操ったり大型動物や空想の動物が作れないか試行錯誤してる。

 自分で空を飛ぶのもいいけど、動物に乗って飛ぶのも憧れるなと思った。

 こういう本来出来ないような平凡な願いを叶える為に努力するのが俺には丁度いい。

 

 

 

 

 

 今日は久遠と式神を使って遊んでいた。

 式神の操作に丁度いいと思い、猫の式神を作って久遠と鬼ごっこしていた。

 最近感覚などを式神と共有出来るようになったので、遠隔操作で式神の視点から林の中で久遠を式神で追いかけていた。

 本体である俺は神社の建物から式神に指示を飛ばしていた。

 その内自立型の式神も作れそうだ。

 

 ちなみに今回式神に使ってる力は魔力だ。

 気はこれまで十二分に、霊力は文殊を目指して栄光の手モドキで練習している。

 なので魔力のコントロールがこれまで殆どやってなかったので式神には魔力を使っての操作練習だ。

 

 

 

 ここからは式神の視点で見てみる

 式神は猫の姿をさせているから、普段の視点とだいぶ違うので逃げる久遠を見続けるのも一苦労だ。

 その上、式神の体は猫の姿をしているので普通は行わない四足歩行の動きに慣れていないから、よく操作を誤って転んでしまう。

 

『うわっ。』

 

 今も追いかけていたら久遠の方向転換に踏ん張りが効かずにゴロゴロと転がってしまった。

 痛覚は繋いでないから痛みはないけど、大きなダメージを受けると式神はすぐに札に戻ってしまう。

 転んだ程度では問題ない強度はあるので、式神を操作して立ち上がらせると久遠が距離を置いて待ってくれていたのが見えた。

 

『拓海、式神大丈夫?』

 

『ああ、これくらい平気だ。

 動物の視点から走り回るのは面白いけど、やっぱり動くのが難しいな。』

 

 ユーノは一応人間なのにどうしてあそこまで自在にフェレットの動きを出来たんだ?

 相当あの姿に慣れているのか、あるいは魔法自体に動作パターンみたいなものが入ってるんだろうか?

 

 まあ、才能とイメージという説明でも納得出来ない事もない。

 式神の動物の操作もイメージがしっかりしてれば自然な動作が出来る。

 もしコンピューター操作となると筋肉の動きとかを細かく設定しないと自然な動きにはならない。

 イメージをそのまま現実にすることが出来るのが魔法の不思議さの原点なのかもしれない。

 

『ん、那美姉さんが来たみたいだ。

 久遠、式神を札に戻すから拾ってこっちに戻ってきて。』

 

『分かった。』

 

-プチンッ-

 

 頭の中で式神との繋がりが切れた感じがした。

 繋がりを切った事で林の中の様子は分からないが式神が札に戻っているだろう。

 それほど遠くで久遠と式神で遊んでたわけじゃないから、久遠もすぐこっちに戻ってくるだろう。

 

 式神を操りながら円をしていたので、那美姉さんが神社の石段を登って来ていることに気づいた。

 ただ珍しく一人ではなく、誰か他にも一緒の来ている。

 円での認識能力は既に視覚に次ぐほどの認識判断が出来る。

 つまり円の範囲内なら殆ど見てるようにそこにあるものを知る事が出来る。

 

 円の範囲は半径約100mそろそろ達しそうで、神社の敷地くらいなら既にすっぽりと覆っていた。

 ただ最近は範囲拡大の速度が遅くなってきているのでそろそろ限界かなと思ってる。

 既に破格の範囲だからこれ以上広げる必要もないんだけど、これまでの習慣でちゃんと続けている。

 止めたら逆に範囲が縮小しそうな気がするから、暇がある限りは堅や絶と一緒に繰り返し行っている。

 

 

 ところで那美姉さんと一緒にきたのは、円で確認した限り知らない人間だ。

 さざなみ寮の誰かか薫さんかなと思ったけど、円では容姿や体格に気の質や量などが判別できるが誰とも合わない。

 というかこの人物、これまで会った誰よりも気の質と量が高い。

 今の俺よりは少ないっぽいけど。

 

 久遠が林の中から戻ってくるのと那美姉さん達が石段を上がり切って来るのはほぼ同時だった。

 座ってた俺の膝の上に久遠は飛び乗って丸くなり、俺はいつものように撫でてやる。

 石段を登ってきた那美姉さんの後ろから一緒に来ていたのは丸いメガネのポニーテールの同年代の女性だった。

 学校帰りなのか那美姉さんは制服姿で、後ろの人も同じ制服で同じ学校の人だろう。

 

「あ、拓海君。もう来てたんだね。

 紹介する人がいるの。

 こちら高町美由希さん、私の学校の後輩なの。」

 

「こんにちわ。」

 

 ・・・・・・え?

 

 

 

 

 

「じゃ、始めよっか?

 どこからでもかかってきて。」

 

 あ・・・ありのまま起こった事を話すぜ。

 突然高町美由希が現れたと思ったら、気が付いたら相手は両手に小太刀の木刀を構え俺も愛木刀海林を構えていた。

 何がどうしてこんな事になっているのかわからねえが、俺は今から奴と戦う事になる。

 この状況に何か恐ろしいものの片鱗を感じているぜ……。

 

 

 

 ポルナレフの言い回しって面白いなと思いつつ、真面目に何故こうなったと叫びたい。

 原因は那美姉さんなのは百も承知だ。

 

 那美姉さんが剣術と刀について学校で話が合ったという事で、俺の剣術を見ている事が話題に挙がった。

 剣の腕はへっぽこなので相手がいない事から、高町美由希が立候補し那美姉さんが推薦。

 八束神社までつれてきて自己紹介。

 練習用の木刀小太刀を取り出し、俺も渋々海林を構えて臨戦体勢。←今ココ

 

 

 つまり那美姉さんの暖かい気遣いという名の、有難い迷惑らしい。

 しかもどうやら高町美由希も気を使えているようで、俺が気を使えることも那美姉さんから聞いているらしくやる気満々。

 俺は高町家の御神の剣士という戦闘フラグが今後も乱立しそうな展開に気分萎え萎え。

 

 とはいえ相手はネタで戦闘民族とすら言われる剣術家の一人。

 その上、俺が凝で見る限り木刀を構えてから更に気が高まってるのが分かる。

 意識的にか無意識か分からないけど、気を使いこなしていて普通に受けたらただじゃすまないと俺は否応無く体を守る堅の防御を最大にして、内部強化をして身体能力を上げる。

 

 更に海林にも気を込めて強度を上げておく。

 言っていなかったが海林の長さは子供の俺にあった丁度いい長さの木刀だ。

 なので高町美由希が持つ木刀の小太刀と同じくらいの長さで、一般的に見ると短い。

 

「!!・・・・・・(グッ)」

 

 気を高めたら高町美由希はそれに察知し警戒して木刀をしっかり握りなおす。

 この人、間違いなく気を認識していますよ……

 

 とはいえかかって来いと言われたので、相手は待ちの体制。

 こちらからいかなければ始まらない。

 ならば一撃で仕留めるつもりで技を叩き込む!!

 仕留めると言っても殺す気はないから、海林には周は行わず威力を上げないようにしている。

 

「いきます!!」

 

 とはいえ技の出し惜しみをする気は無く、瞬動で一気に相手の懐まで入り込みわき腹に向けて海林を振るう。

 

「は、速い!!」

 

-ガキンッ!!-

 

 意表をついた筈なのに反応されて、木刀小太刀をわき腹と海林の間に挟みこんで防御された。

 だが身体能力を上げた俺の一撃はかなりの威力があるので、そのまま振り切る事で高町美由希を弾き飛ばした。

 

「きゃっ!!」

 

 弾き飛ばされた高町美由希は地面を二・三回転がると跳ね起きるように回転しながら勢いを殺して立ち上がり木刀小太刀を構え直した。

 

「ど、どういう腕力してるのよ!?」

 

「気を使っていれば結構な力が出ますから!!」

 

 稽古とはいえ、俺が気を使って戦うのは久遠の時を除けばこれが初めてだ。

 久遠の時はただ雷に耐えながら技を放つだけだったのでまともに戦ったとは言えない。

 だからこれが初めての対人戦になるが、剣術はまともに習い始めて数ヶ月と経ってない。

 そんな俺が剣術で勝つのは普通に考えて不可能だろう。

 

 だが高町美由希から見れば剣術は付け焼刃でも、気の訓練は自己流でもずっと続けていて自信を持っている。

 だから俺の気による身体能力の強化で御神流とどれだけ戦えるか試したくなってしまう。

 自身があるからこそ負けたくなく、勝つつもりで俺は攻め続ける!!

 

 

 俺は追い討ちをかけるべく再び瞬動で相手に近づき海林を打ち込む。

 今度は防がれるのを承知で打ち込んだので容易に防御されたが、俺の攻撃は一撃で終わらせず身体能力を駆使して連続で海林を打ち込んでいく。

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃっうりゃぁ!!」

 

「くっ。」

 

 

-ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガンッ、ガン!!-

 

 

 身体強化で速くなった剣速での連続攻撃。

 残像が見えるほどの速さなのだが、さすがというか高町美由希は二刀の木刀小太刀で受け止めるのではなく捌くといった感じで連撃を受け流していた。

 

 気で強化された身体能力は勝ってるみたいだけど、技術でいなされてる。

 遠距離からの技にしようかと思った時。

 

「このぉ・・・御神流、徹!!」

 

 高町美由希からの反撃が放たれ、とっさに海林で受け止めたら、

 

-ギャンッ!!バキッ!!-

 

 海林に衝撃が走り、音を立てて真ん中から砕けた。

 

「あ・・・・・・。」

 

「はい、私の勝ちね。

 剣術は力押しだけじゃ勝てないよ。」

 

「おつかれさま、二人ともすごかったねぇ。」

 

「クォン。」

 

 高町美由希が何か言っていて那美姉さんが久遠を連れて傍まで来たが、俺は呆然と砕けた海林を見ていた。

 

 海林は元は其処の林で拾ったただの枝で、それを気の刃で削って作った木刀だ。

 荒削りでささくれが立つから持ち手の部分に布を巻いたお粗末な木刀だった。

 だけど初めの頃から気を使った技の練習に使って、海鳴流の技は元より出来るかなと思った漫画の剣士の技を放って遊んで来た愛着ある物だった。

 その木刀が途中から砕けて半分に・・・・・・。

 

「う・・・うぅ・・・・・・。」

 

「え、えぇ!! な、なんで泣くの!?」

 

「た、拓海君! どうしたの!? 怪我しちゃったの!?」

 

「クォン!!」

 

「みりんがぁ・・・・・・こわれちゃったぁ・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 海林が折れて人前で泣くなどと想像もしなかった恥をさらした俺は、うちに帰ってきても折れた海林を眺めながら落ち込んでいた。

 いくら愛着が湧いていたからといって自分でも泣くとは思わなかった。

 やはり年相応に精神年齢が退化してるみたいだ。

 

 だが今の俺はそんな事を気にしてる余裕はなかった。

 海林で遊んだ事を思い返しては、折れてる姿を見て涙腺が緩む。

 何とかならないかと考え、文殊が出来れば直せると霊気手甲を出して霊力を収束圧縮してみるが、そう都合よく出来るはずもなくただの霊気の玉が出来るだけ。

 三十分もそれを続けて無駄と悟り、霊気の玉を握って体の中に還元して戻す。

 こんな事も制御が上達して出来るようになったが、海林を直す手立てにはならない。

 

 

 

 もうどうしようもないかと諦めかけた時、部屋に置いてた自作魔法陣が目に付いた。

 中心に太極図、その外側に五行の五角形、更にその外に十二支の十二角形が描かれた魔法陣。

 その中の五行の内の二つ、木行と水行に目がついて閃いた。

 

 まずガムテープで砕けて二つに分かれた海林の断面をくっつける。

 次に洗面器に入れた水を用意して海林をその中に漬ける。

 更に水と海林の入った洗面器を魔法陣の上に置いて準備完了。

 

 水生木、木は水によって養われ、水が無いと枯れてしまうという意味。

 海林は木刀、木で出来ている。

 普通ならこの状態から成長するはず無いが、術を使えば成長しても可笑しくない。

 砕けた部分も成長すればもしかしたら繋がるかもしれない。

 

 込める力は魔力と合成させた霊力。

 魔法陣を通して海林に木行の力が流れていくように力を込める。

 洗面器に入れた水は水気として海林を生かす力にする。

 最後に海林が直る様にという気持ちを込めて呪文を唱える。

 

「水生木 木刀海林よ、活きろ!!」

 

 同時に霊力と魔力を合成させた力が魔法陣を光らせて、木行の力となって海林に注がれる。

 最初の内はいくら力が海林に流れても変化が無かったが、少し経つと海林の表面の色が変化を始めた。

 本来木刀などの木材は長時間放置して芯まで乾燥させてから使用されるので、木材表面は大抵薄茶色をしている。

 海林もずっと使っていたので乾いて薄茶色だったが、だんだんと色が濃く成り始めた。

 始めは水分を吸っただけかと思ってたが水分を吸っただけよりもどんどん濃くなっていき、そこいらに生えている木の表面のように黒に近い茶色にまで変色した。

 

 其処からの変化はよりはっきりとしていた

 海林の刀身の表面から枝が伸び始め、柄の先からは根っこが伸びて洗面器の中で立ち上がった。

 全力で合成した霊力と魔力を魔法陣に送り続ける事で海林からなる木はどんどん成長した。

 海林の成長に伴い、洗面器に張られた水はみるみる減っていく。

 洗面器に入っていた水が無くなったところで十分成長したと思い、力を込めるのを止めると成長も止まった。

 

 海林は小さいが確かに木となってまっすぐ立っており、枝からは葉っぱが生えて根っこは洗面器の端から出そうな所まで伸びていた。

 最後に幹に巻かれたガムテープを取るとその部分は裂けた跡を残さずしっかりと繋がっていた。

 

「な、直った。」

 

 半信半疑で賭けというより縋り付く様な思いで行っただけだったんだが、本当に直るとは信じられなかった。

 とりあえず俺は生えた根っ子と枝を指から出した霊波刀で切り落として、ぼこぼこになった樹皮を剥いて再び木刀の形に変えていく。

 きれいに削り落とすと海林は元の長さよりも成長したぶん伸びて、以前よりしっかりとした木刀になった気がする。

 その上、霊力を込めていないのに海林からわずかばかりの霊力が出ていた。

 もしかして霊剣になったとか?

 

 

 これについては那美姉さんに見てもらうとして海林が直ってよかった。

 壊れたとはいえ愛着のある木刀を捨てるのは忍びなかった。

 そういえば柄に彫っていた海林の銘が消えてしまっている。

 新しくなったんだし名前も新しくしよう。

 

「んー、林って漢字が微妙だったから、鈴に変えて海鈴(みりん)にしよう。」

 

 『海鈴』と柄の部分に名前を彫り直して完成。

 今度また折れても直し方が分かったからもう安心だ。

 後やるべき事は・・・・・・

 

 

 高町美由希へのリベンジプランの作成だ!!

 海鈴が直ったとは別に、負けた上に結果泣かされたままでは腹の虫が収まらん。

 というより男のプライドというやつだ。 恥をかいたままではいられない。

 

 まともに剣術で打ち合ったで今日の二の舞になるだけ。

 ならば勝てる技を考えて、それで意表をついて倒す

 それしかない!!

 

 

 

 

 

 海鈴を砕かれて泣いて直してから一週間。

 那美姉さんに頼んで高町美由希を神社に呼び出してもらった。

 

「よく来たな、高町美由希!!

 先日の借り、返させてもらうぞ!!」

 

「えっと、リベンジって事かな。

 いいけど、もう泣かないでよ~。」

 

 そう言って木刀小太刀を出しての二刀流を構える。

 言ってくれるじゃないか!!

 

 あの日から一週間しか経ってないが高町美由希に勝つためのプランをいくつも考え、それに必要な技を一朝一夕でとりあえずではあるが実戦で即座に使えるようにして、最後に剣術の基礎動作をみっちりとやりこんで少しでも対応できるように練習してきた。

 基礎的な技術は一週間で能力があってもどうにか出来るものではないが、実戦で使えそうな小技程度なら前々から数を揃えていた。

 半分以上はかくし芸みたいなものだったりしたが、応用で戦いに使えるものも多かった。

 戦うつもりがなかったから、かくし芸で使うはずだったけどな。

 

 俺も新生海鈴を構えて気の身体能力強化、それに堅の防御を捨てて円で相手の動作の察知をより正確にする。

 リベンジとはいえ稽古方式なのでお互いに怪我させない様にするから堅はいらないと判断した。

 

「いくぞ!!」

 

 今回も俺から打ち込んでいく。

 瞬動は既に見せているので意表は突けないので、そのまま走って海鈴を打ち込んでいく。

 円で高町美由希の動きを全力で認識して反撃に警戒する。

 

-カァン、カァン、カァン、カァン、カァン!!-

 

 前回は力を込めすぎていたので連続の打撃が速く振ってたつもりが遅くなっていた。

 だから今回は力を入れすぎず、より速く振る為に程よい力で海鈴を振るっていた。

 

「前回より振り方がうまくなってるね。

 けど、それだけじゃ負けないよ。」

 

「そんなのわかってるよ!!」

 

「どうかな? 御神流、徹!!」

 

 前回海鈴を砕いた技を高町美由希は放つ。

 同じ技を放つあたり試しているのだろうが、円で動きをしっかり認識していたので海鈴に打ち込んでくるタイミングで高くジャンプして、木刀小太刀の剣線から逃れる。

 

「高くジャンプすると無防備だよ。」

 

「ところがそうじゃないけど、とりあえずこれを食らえ、太陽拳!!」

 

-ピカァァァァッ!!-

 

「きゃ!!」

 

 ドラゴンボールにおいて格上に非常に役立ってくれる妨害技。

 俺は別に顔に両手を広げるポーズはせずに、海鈴を片手にもう片方の手から雷気などのように強く光るようにした気を放って高町美由希の目を眩ませた。

 強い光に咄嗟に顔をガードするように木刀小太刀を高町美由希は掲げた。

 目をくらまして隙が出来たところを狙い、舞空術で急降下して木刀小太刀に向けて技を打ち込む。

 

「海鳴流、斬鉄閃!!」

 

 斬鉄閃、知っての通り元は神鳴流の技名で、文字通り鉄を斬る技と解釈。

 木刀に纏わせた気を鋭くして鉄をも切れる刃を形成して斬る技として完成させた。

 

 実際鉄が切れるかは的が無かったので試してなかったが、前に岩も木の刃でスッパリ切ったことがあったので木刀小太刀くらい簡単に切れた。

 ガードするように構えていたので一振りで二本同時に真っ二つだ。

 

「よし!! 俺の勝ちだ!!

 海鈴の敵は取らせてもらったぞ!!」

 

「え? あ!! 木刀が切れてる!?

 というか太陽拳なんて卑怯よ!!

 てか、何で使えるの!?」

 

「練習したからだ!!」

 

 想像以上に斬鉄閃は鋭かったみたいで斬られた事を高町美由希は気づかなかったらしい。

 前にも言ったがドラゴンボールの漫画はこの世界にもあります。

 なので太陽拳を高町美由希が知っていてもまったく不思議じゃない。

 

「練習して出来たら私だってやってるよ!!

 それにどうしたら木刀でこんなに綺麗に切れるの!!」

 

「お前だって前回俺の木刀、技で炸裂するように砕いただろうが!!」

 

「あれはうちの流派でそういう技なの!!」

 

「俺のだってそういう技だ!!」

 

「とにかくもう一度勝負よ!!」

 

「断る!! 俺は戦いは好きじゃないの!!

 どうしてもやるっていうならもう遠慮しないぞ!!」

 

「望むところよ!! 私だって遠慮しないんだから!!」

 

 木刀小太刀が切れてしまっているので結局勝負は出来なかったが、高町美由希との言い争いは延々と続いた。

 それを見ていた那美姉さんと久遠は・・・

 

「仲いいな~、拓海君と美由希さん。」

 

「クォン・・・・・・久遠も拓海と遊びたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でね、拓海君て子がすごかったんだよ、恭ちゃん。

 なのはと同じくらいなのに力が強くて剣速も速いし。」

 

 拓海とは最後に口ゲンカを続けていたが、美由希は拓海の強さを認めていた。

 具体的には兄恭也に自慢話をするくらい。

 

「ほう、そいつはすごいな。

 なのはと同じくらいで美由希と同じくらい動けるのか。」

 

「うん、剣の技量はまだまだだけどこれからもっと強くなりそうかな。

 今後時々あの子と稽古することになったんだ。」

 

「そうか、何ならその子をうちに誘ってみたらどうだ。

 うちの道場なら外でなくても稽古出来るだろう。」

 

「うん、誘ってみるね。」

 

 拓海に高町家招待(死亡)フラグが立った。

 

 

 

 

 

「だが、なのはと同い年くらいの子供に負けるとは弛んでるな。

 鍛錬の量を増やすか。」

 

「え”!!!」

 

 美由希の死亡フラグが確定した。

 

 

 

 

 

●式神の技術が向上。

●魔法陣の力を新たに見出した。

●太陽拳、斬鉄閃を披露。


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