【更新停止】転生して喜んでたけど原作キャラに出会って絶望した。…けど割と平凡に生きてます 作:ルルイ
無事退院して一週間経った頃、実家に事件の報告に行っていた薫さんが戻ってきて、早速斬魔剣弐の太刀の練習を行うことになった。
今回は薫さんが場所を用意してくれて、さざなみ寮の近くの山の中の開けた場所で練習することになった。
それとお土産として陰陽術や式神の術について纏められた本を持ってきてくれました。
後で読んで魔法陣の参考にしよう。
最初から作り直しかもしれないけど。
「拓海君、技を教えてもらう前に君の剣の腕を見せてほしいのだが。」
「構いませんけど、前も言いましたが素人ですよ。
気は使わないほうがいいですか?」
「その方がしっかりと君の実力が見れるな。
うちが相手になるから打ち込んできてくれ。」
「わかりました。 では・・・」
薫さんは練習用の木刀を構え、俺はいつもの愛木刀海林で打ち込んでいった。
当然剣の心得などなく気も使っていない子供の俺じゃ、薫さんに一撃を入れるなんて出来るはずもなく全部余裕で受け止められた。
「・・・・・・ほんとに素人のようだね。
構えも太刀筋も振り方も全部めちゃくちゃだ・・・。」
「だからそう言ってるじゃないですか。」
まあ薫さんみたいな剣の実力者なら、そんな子供から何か教わることがあるとはとても思えないんだろうけど。
「拓海君、技を教えてもらうお礼といっては何だが、神咲一刀流の剣術を学んで見る気はないか?」
「エーと、俺技とか考えるのは好きですけど戦いとかはちょっと・・・。
それに簡単に教えちゃダメだって、薫さん言ってたじゃないですか。」
「大丈夫だよ、私の実家では退魔を行う神咲一灯流とは別に、表で剣を教える神咲一刀流があるんだ。
教えるのはその表のほうだよ。
護身術くらいに考えてくれてかまわない。」
護身術か・・・・・・そういえば久遠の時は技を放つ以外に碌に戦わなかったけど、まともに戦ってたら火傷だけじゃすまなかったかも。
いい機会だし身を守るための剣の振り方をちゃんと学んでみるのもいいかな。
「分かりました、よろしくお願いします。
やっぱり教えてくれるだから、薫師匠って呼んだほうがいいですか?」
「薫師匠・・・・・・・・・(コクコク)
よしわかった!! みっちり鍛えて君を一流の剣士にしてみせる!!」
「いや、そこまでは・・・。」
何かデジャブ。
そこまで張り切られると非常にやりにくいのですが・・・・。
護身術レベルでいいのに。
「じゃあ拓海くんも技を教えるわけだから拓海師匠なんだね。」
「「え?」」「クォン。」
これまで黙って見ていたが、那美姉さんと久遠も当然一緒にいる。
俺の呼び方は普通でいいです。
教えるに当たって、俺の剣の技を一通り教えました。
具体的には斬岩剣、斬空閃、斬魔剣の三つの技。
斬魔剣は魔力弾を中に浮かせての実証です。
「とりあえず今のが俺の考えた剣技の基本ですね。
弐の太刀は気に意思を込めることで意思の力で物を切る技です。」
「待ってくれ、うちは霊力は使えるが気は使えないんだが・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「だ、大丈夫!!
霊力でも使えるはずです、たぶん!!」
「たぶん・・・・・・」
「と、とりあえず試してみます!!」
俺は栄光の手モドキを展開して更に霊波刀を作る。
その霊波刀に弐の太刀を使うための意思を少し集中して込める。
そして隣り合わせに並べた的の柱の両方を霊波刀が通り過ぎて片方が切れるように、意思を込めた弐の太刀で的を振り切った。
霊波刀の刃が通り過ぎると、狙ったとおりの片方の的だけが切れた。
やっぱり霊気でも問題なく弐の太刀は使えるみたいだ。
霊力は気よりは威力が弱いかわりに意思の力が通りやすかった。
御蔭で気よりは斬魔剣弐の太刀を使いやすい。
ただ、かわりに気に比べて物理的な威力が感じられなかった。
恐らく霊気がもともと非実体に特化してるから意思が通りやすい代わりに物理的な効果が低いんだろう。
気と霊気は併用出来るからあまり問題はないけど。
「大丈夫ですね。
ちゃんと霊気でも弐の太刀は使えましたよ。
むしろ気よりも意思を込め易かったです。」
「あ、ああ・・・。 ところでそれは何だい?」
「それ?」
薫師匠は俺が展開した霊波刀を指差しながら言った。
「えっと霊気で作った剣、文字通り霊波刀ですが?」
「うちにはそういうことも出来ないんだが。」
「わぁ、拓海君何時の間にそんなこと出来るようになってたの?
霊力を教えたの私だったんだけどなぁ・・・。
いつの間にか霊力の扱い、私よりうまくなってるし・・・。」
結構前だったけど見せたことなかったからな~
文殊の作成のために霊力の収束は練習してるけど出来る兆しはなし。
気長にがんばってみるけど、今度ばかりは自信がないかも・・・
「霊波刀は出来なくても大丈夫ですよ。
さすがに物理法則を無視して切らないように切るのは真剣では無理だから、霊力を飛ばすなりして本来物理的なものじゃない攻撃方法が必要ですけど。」
「それならまあ出来るが・・・。」
そんなこんなで弐の太刀の伝授は薫さんが戸惑いながらも進んだが、いろいろ問題が発生した。
霊気に意思を込めるというものは初めて知った事らしく、攻撃的な意思ならこれまでの経験から非常に容易だった分、逆に攻撃しながら傷つけないと言う意思を込めるのは難しかったらしい。
その上薫さんの剣には十六夜さんが宿っているので意思が混在してしまうから、弐の太刀との相性が悪かった。
その為仕事で十六夜さんを使う以上、弐の太刀を使うなら別の刀を使うか十六夜さんの意思が混在しないように統一しなければならないなどの問題が浮き彫りになった。
今回は仕方ないので練習用の木刀でやっていたが、試しに那美姉さんが弐の太刀をやってみたら薫さんより成果が現れた。
薫さんより込められた霊力が少ないので威力は低いが、切らずに切ると言う意思の込め方は那美姉さんのほうがうまかったみたいだ。
話では那美姉さんは剣はあまり得意じゃないらしい。
その為、那美姉さんの方がうまく出来たことが、薫さんにショックを与えて少し落ち込むこととなった。
斬魔剣弐の太刀の教えられるところは教えたので、その後は剣術の基礎的な事を今度は薫さんから教えてもらいました。
正しい剣の降り方や姿勢や足運びなどの細かなことなので、癖とかがあるので時間をかけて体に覚えさせていくべき事だった。
薫さんは翌日からまたお仕事で遠くへ行くそうで、今日は結局基礎的な事を教えあって次会うときまで自己鍛錬ということになってしまった。
「忙しいのに時間をもらってしまってすいません。」
「それはお互い様だから、気にしなくていいよ。
うちもまだまだ鍛えるべきことが見つかったからね。
それよりも教えると言っておいて時間を取れなくて申し訳ない。
かわりに那美、お前が教えといてくれないか?」
「え、わたしが?」
「那美も神咲一刀流を納めてはいるんだ。
剣の腕を鈍らせないためにも一緒に学びなおしたらどうだ?
うちよりも斬魔剣弐の太刀の適正が有りそうだし・・・・・・」
「あはは・・・・・・拓海君、私じゃ薫ちゃんの代わりは勤まりきらないと思うけどそれでもいいかな?
私も少しだけなら拓海君に教えて上げられると思うし。」
「俺は構わないよ。
その代わりに那美姉さんにも弐の太刀を教えてればいいんだね?」
「私もいいの?」
「かまわないよ。 那美姉さんが覚えてみたいって言うなら。」
「じゃあ、おねがいしようかな。
私も仕事ではあまり剣を使わないほうだけど、これが使えたらきっと久遠みたいに助けられる人がいると思うから。」
那美姉さんは退魔師の仕事の時霊を倒すんじゃなく、出来るだけ話し合いで霊を成仏させようとするらしい。
だから相手を攻撃しようとする意思を剣に込めないから、その分弐の太刀の適正があったんだろう。
「ところで拓海君。
何でこの技って弐の太刀って言うの?
弐があるってことは参があるのかな?」
「参の太刀ですか?
んー・・・・・・」
そういえばこの技に続く技って神鳴流にあったんだろうか?
俺にはちょっと覚えがないんだが・・・
弐ってつけちゃったから続きを自分で考えたほうがいいかな?
「那美、この技は拓海君が苦労して編み出した技だ。
相当苦労して編み出したであろう技だから、これ以上となると相当時間をかけるはずだ。」
「いえ、技の成功自体はそうかかりませんでしたよ?」
「そ、そうなのか?」
技のネタ自体は他所から仕入れたものだしね。
考えたのはどうしたら使えるのかってだけだし。
「んー・・・・・・・・・・・・あ、そうだ。
参の太刀になりそうな技を考え付きました。」
「へぇ、さすが拓海君ね。」
「いや、技と言うものはそう簡単に思いついても出来るものではないんだが・・・」
まあ、思いついた技は弐の太刀の更に発展系だから訓練次第で十分出来る可能性が在る。
ついでに斬魔剣弐の太刀や他の技も実践で自在に使えるようにしておかないと。
久遠の件で技は使えても使いこなせないのは結構不味いと言うことが十二分に理解できたし。
護身術くらいで学ぶんだから戦う事自体そうはないよな。
・・・・・・ないよな。
「次あった頃に披露できる様に練習しておきますね。」
「剣技と言う物は隠し芸じゃないんだが・・・・・・」
俺にとっては隠し芸みたいなものです。
実践で使えるものから宴会芸まで、最近は面白そうな技術は片っ端から習得して回ってるからな~。
次の日からは那美姉さんが剣術の基礎を教えてくれることになった。
ただし那美姉さんの剣の腕は俺から見てもへっぽこっぽかった。
だから基本那美姉さんには素振りするところを監督してもらうだけにした。
下手したら気を使わない俺でも勝てそうなんだもん・・・・
その後は再び平穏な日々が続いた。
久遠が喋れる様になったけどまだたどたどしい喋り方だったので、一緒に歌を歌って発声練習したり那美姉さんに弐の太刀を教えながら俺はその発展系を練習したりしていた。
薫さんにもらった陰陽術や式神の本には俺が求めていた術式について書かれていたけど、俺にはまだ難しすぎて少しずつと読み明かして理解していくしかなさそうだ。
魔法陣に書き込む術式も試行錯誤して効率化を図っている。
成果が出るのはかなり先になるだろうけど、まあそれでも構わない。
また修行っぽい日々にもなってるけど、最近はまあ楽しければいいかと諦めてきていた。
嫌でござる!! 戦いたくないでござる!!
剣術学び始めたからほんとにニート『侍』っぽくなった。
まだ働く年じゃないけどね。
いや、管理局では俺くらいの年でも働くのか?
改めて、嫌でござる!! 働きたくないでござる!!
まだ子供でいていいだろ!?
●術式の本を手に入れた。
●霊気で斬魔剣弐の太刀が出来るようになった。
●魔法陣の改良を始めた。