少し早めの投稿。
UAが10万を越えました。ありがとうございます!
UAを見た時、ジャスト10万で何だかテンションが上がりました。
キリの良い数字やゾロ目を見た時ってテンションが上がりますよね。
今回はやっと紅夜が活躍します。ですが、あまり期待しないでください。私の頭ではこれが限界です。
それから、後書きにて報告があります。
九校戦四日目の午後一時半頃。
俺は競技選手の控室で男子スピードシューティングの予選の為にCADの最終チェックをしていた。雫はあの後、十七夜栞との激戦を制した後に見事に優勝を飾った。そして今度は俺の番だ。
試合まで残り十分もないが俺の準備は完璧に整っている。少し緊張感が足りていない気がするが試合が開始すれば勝手に引き締まるだろう。まあ俺が負けるなどそれこそ万に一くらいの確率しかないだろうが、それでも気を抜かないようにしなければ。そんなことを考えている内に時計の針は試合開始まで残り五分を指していた。
さて、そろそろ競技場に行くとするか!
◆
達也と深雪を含め、エリカ、美月、レオ、幹比古、雫、ほのかの七人は紅夜の応援の為に男子スピードシューティングの予選会場に来ていた。紅夜の出番は早めということもあり観客の数はそこまで多いわけではない。なので七人分の席でも割と簡単に確保することができた。
いよいよ紅夜の出番となり、紅夜が競技場に姿を現した。途端に会場がざわめく、主に女子生徒が。
「紅夜さん、大丈夫でしょうか……」
そんな会場の様子に美月が心配そうな顔をして呟いた。達也はその呟きの意味を理解して少し笑う。
魔法というのは精神状態に大きく左右される。なので美月は会場の雰囲気に紅夜が呑まれて魔法を失敗しないか心配しているのだろう。
だが紅夜がこの程度で緊張をするとは思えない、寧ろこの状況を楽しんでいるのではないだろうか。そんな達也の予想は大当たりだったようでシューティングレンジに立った紅夜は堂々としていて不敵な笑みを浮かべていた。
スタートのランプが点り始めた。
紅夜が構えを取り、不敵な笑みも少し引き締まる。
そして全てのランプが点った瞬間、クレーが射出された。
クレーが特点有効エリアに入った瞬間、紅夜がCADの引き金を引く。それは文字通り魔法発動のトリガーとなり、全てのクレーが破壊された。
「アレは……!?」
「単純な単体の振動系統魔法だな」
「そうじゃなくて!」
唖然とした様子の幹比古に達也が冷静に説明するが、幹比古の言いたいことはそんなことではなかった。達也もそれを分かった上で落着かせる為にわざとズレた説明をしたのだが、逆効果だったようだ。幹比古以外は呆然としすぎて声も出ないレベルである。だが、そうなるのも仕方のないことだろう。なぜなら紅夜が行ったのはそれほど非常識なことだったのだから。
「これって三校の十七夜選手が使ってた……」
「
ちょうど同じころ、天幕の中で紅夜の試合をモニターで観戦していた真由美も幹比古と同じように驚愕の声を上げていた。
「嘘……まさか試合を見ただけで技をコピーしたって言うの?」
「それだけではありません。もし紅夜君が十七夜選手の試合を見てからこの戦術を考えたとしたら、CADにインストールされた起動式を僅か二時間足らずで変更したということになります」
鈴音の言葉に真由美はさらに驚愕を大きくする。冷静に見える鈴音も内心は驚愕に占められていた。なまじ真由美と鈴音は自分のCADを調整できるだけあって紅夜のしたことがどれだけ非常識なことかを正確に理解できただけ尚更驚きは大きい。
「それにしても、【ドライ・ブリザード】に【
「恐らくは会長と同じように何らかの知覚魔法を使用しているのでしょう」
鈴音の結論と同じように紅夜の試合を見ている魔法に深い人物たちは紅夜が知覚魔法を使用しているのだろうと判断していた。これは紅夜もバレることを承知の上だった。寧ろわざとバラしたと言ってもいい。
実は紅夜にとっては【
原作知識から考えると、この先紅夜が知覚魔法を使えるということは知られていた方が都合がいい。そこで真夜からの全力の許可を機にある程度の効果を見せるつもりだった。【
「それにしても、紅夜くんが強いのは分かっていたけど、ここまでとは思ってなかったわ」
「そうですね。下手をしたら会長も危ういのではないでしょうか?」
「……笑えない話ね。今年の一年生はどうなってるのよ」
「将来有望ということでしょう」
真由美たちが話している間にクレーはラスト一枚となり、紅夜はパーフェクトで準々決勝を確実にした。
◆
さて、そろそろ決勝戦が始まる。出場選手はもちろん俺、そして俺の対戦相手は三校の吉祥寺だ。
俺は当然、準々決勝と準決勝をパーフェクトで勝利している。しかし俺の準々決勝と準決勝間、兄さんたちは、ほのかの試合を見に行っていた。というより俺が行かせた。ほのかにはめちゃくちゃ感謝されて深雪には若干不機嫌な視線を向けられたが、もしもあのまま兄さんがほのかの試合を見に行っていなかったら、ほのかは優勝を逃していたかもしれない。
そんなことを考えている内に決勝開始の時間が迫ってきていた。俺は競技用に作成したCADを持つと競技場に向かった。
競技場に入ると途端に観客席から今までにない程の歓声が沸く。比率として女性の声が多いのも今となってはさすがに慣れた。まあ歓声が湧くのも当然と言えるだろう。俺は予選から今までの試合を全てパーフェクトで決めている上に顔も良い。これはスポーツ選手で例えてみると分かりやすいかもしれない。要するに観客は俺をスターか何かのように感じていると言うことだ。と言うわけで、ファンサービスの意味も込めて先ほど見つけた観客席の後ろの方にいる兄さんたちに向けて笑顔でウィンクをしてみると俺自身が驚くような大歓声が返ってきた。
もう一度兄さんたちに視線を向けてみると、兄さんと深雪は呆れた視線を俺に向け、雫も無表情だが兄さんたちと同じような視線を、ほのかと美月はいろいろな意味で顔を赤くしていて、レオと幹比古は感嘆した様子で、エリカは大爆笑と、それぞれが様々な反応をしていた。
そんな皆の様子に少し可笑しな思いを感じながらシューティングレンジに入ると、今度は吉祥寺が競技場に入ってきた。吉祥寺もカーディナルジョージとしてかなり有名なこともあって、これまた大きな歓声を受けながらシューティングレンジに入ってきた。そして俺のCADに目を向けた瞬間に眉をピクリと動かす。どうやら俺のCADが汎用型だと気が付いたようだ。
そう、今回俺が使うCADは照準補助付きの汎用型CADだ。先ほど競技用に作成したと言ったが別に大層なことをしたわけではなく、ただ単に雫の使っていた汎用型を俺専用に組んだだけのものだ。まあ、どうやら吉祥寺の反応を見る限り俺が汎用型を使うのは予想していたようなので、雫の試合のようなアドバンテージはないだろう。それでも負けるつもりなど欠片もないが。
そしてついに競技開始の時間になり、俺と吉祥寺がシューティングレンジでそれぞれ構えを取ると開始の合図であるランプが点り始めた。一つ、二つとランプに光が点り、最後の一つに明かりが点くと同時に俺はCADの引き金を引いた。
少し遅れて射出された紅白のクレーが空中を舞う。そしてクレーが有効エリア内に入った瞬間、全てのクレーが掻き消えた。
「なっ!?」
吉祥寺が驚愕の声を上げる。
しかし俺がそれに構わずCADの引き金をもう一度引くと、中央で俺の狙うべき紅色のクレーが砕け散った。
「くっ、しまった!」
そこで吉祥寺が俺の使った魔法の仕掛けに気が付いたようで慌てて白のクレーに照準を合わせようとするが、既にクレーは有効エリア外、吉祥寺は何もできずに次のクレーを待つしかない。
さて、俺が使った魔法だが実は特に難しいものではない。というか、魔法は雫が対戦形式で使った収束と振動魔法と全く同じだ。収束魔法で有効エリア内のクレーの密度を操り自分のクレーを中央に集め相手のクレーを外に押し出すというもの。
しかし、俺は雫の魔法からさらにもう一つの魔法を組み合わせた。加えた魔法は加速系領域魔法【定率加速】。この魔法は【定率減速】の反対の魔法で、領域内の物体の動きを一定の割合で加速させるというもの。これにより加速したクレーの速度は五倍から八倍。この領域を俺は有効エリア内全域に展開させているので、クレーはエリア内に入った途端に急に加速する。それにより吉祥寺は一瞬クレーを見逃したというわけだ。
吉祥寺の使用する魔法は【
――――残り三十秒。
試合終盤になるにつれて吉祥寺は集中力が落ちて少しずつクレーを逃し、着実に点差が広がっていく。
――――五、四、三、二、一
「パーフェクト、ってな」
最後のクレーを俺が破壊し、吉祥寺が外したところで試合終了のブザーが鳴り、74-100という圧倒的な得点差で新人戦男子スピードシューティングの優勝者は俺に決定した。
ご報告です。
なんと、ヒロインが決まりました。
ヒロインはリーナです!
最初はすっかり忘れていて、ヒロイン候補の中にリーナは入っていなかったのですが、皆様に頂いた意見によりリーナに気が付き原作を読み直した結果、リーナをヒロインにすることに決めました。
意見をして頂いた皆様、本当にありがとうございました!
活動報告に詳しい事を書くつもりですから、気が向いたら見てください。
ここまでやっといてアレですが、私は恋愛については全くの無知ですので、期待に応えられる自信はありません。ですが私なりに精一杯頑張らせていただきますので、これからもよろしくお願いします!
……リーナが出るのは相当先になりそうですけどね。