お待たせしました。
今回の話、少々端折り過ぎな気もしますが、これ以上書くとぐだぐだ感が半端ないことになりそうだったので、諦めました。
文才のない私を許してください……
では、どうぞ。
翌日、俺たちはいつもより早めに家を出て、駅で人を待っていた。
「会長、おはようございます」
「達也くん、紅夜くんと深雪さんも、どうしたの?」
「昨日のことが気になりまして、あの後、壬生先輩たちとの話し合いはどういう結論になったか教えていただけませんか?」
そう、俺たちは昨日のことが気になって真由美を待っていたのだ。
あの後、壬生以外の全員を捕らえたが真由美が交渉が出来ないと言って解放して、そのまま交渉に入ったのだ。
「明日の放課後、講堂で公開討論会を行うことになったの」
随分と急な展開と言えるが原作通りなので特に驚くこともない。
だが、もし原作通りに物事が進むとすれば討論会の後にブランシュの襲撃があるはずだ。問題が無さそうとはいえ、一応対応は考えておいた方がいいかもしれない。
いや、潜伏場所は分かっているんだ、いっそのこと襲撃の前に潰してしまおうか?
一瞬そんな考えが頭に浮かんだが別にそこまで大事ではないので、しばらくは傍観していようと決めた。
そしてついに公開討論会当日。
講堂には全校生徒の半分近くが集まっていた。他の人たちは予想外に集まっていることに驚いているようだが、この討論次第では学校のありかたが変わるかもしれないのだ。そこまで驚くことでもないだろう。
「実力行使の部隊が別に控えているのかな……?」
「同感です」
摩利の独り言のような問に、達也も同意を示す。
実際にその予想は当たっているのだから、二人の洞察力はさすがといえる。そんなことを考えているうちに、ついに討論会が始まった。
討論会の結果は言うまでもない。
具体的な案を考えているわけでもない同盟側が真由美に勝てるわけもなかった。言うなれば、同盟側は無謀な夢を語る子供と、現実を認識してそのうえで夢を掲げる大人との討論ともいえないものだ。
もはや真由美の演説となった討論会は真由美への満員一致の拍手で終了した。
その時、突如轟音が響き渡り校舎が震えた。
同時に、この事態を予測していた者たちが一斉に動き出した。
「では俺は、実技棟の様子を見てきます」
「お兄様、お供します!」
「じゃあ俺は、実験棟に向かいます」
「気をつけろよ!」
俺は兄さんたちと別れ、実験棟に向かった。
実験棟に向かう途中、俺は襲撃者たちを片手間に一掃しながら思考にふけっていた。
少し気になることに、実験棟に向かうほど敵が多くなっているのだ。敵の狙いは図書館だったはずなのだが……やはり、あわよくばとの考えだろうか? 敵の襲撃目的として予想には上がっていたが、原作では描写されていなかったので念の為という程度の気持ちで覗きに来たのだが、どうやら当たりだったようだ。
襲い掛かってくる生徒は気絶させ、生徒でない者たちは一瞬で焼滅させる。
今回敵を焼滅させるのに使っている魔法は【
さすがに殺すのはまずいかもしれないが、敵である以上できるだけ殺しておきたい。その分この魔法なら敵を殺した証拠は一切残らないのでとても便利だ。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか敵を殲滅し終えてしまったようだ。
途中でアンティナイトを持っている敵が数人いたが、とっくに対抗魔法を作っているので速攻で片付いた。別にわざわざ対抗魔法を使わなくてもサイオンのコントロールを完全に掌握した今では、膨大なサイオンを放出することでキャストジャミングのサイオン波を無効化することもできるのだが、対抗魔法を使った方が燃費がいいのだ。
随分呆気なく終わってしまったので、少し消化不足に感じる。もっと手ごたえのある敵が欲しかった、などと戦闘狂のようなことを考えながら図書館に向かうことにした。
図書館に向かう途中、突き当りの廊下の先から戦闘音がすることに気が付いた。通りたい道で戦闘しているようなので、状況を把握するために一瞬だけ【
とはいえ、このままだと戦闘が終わるのにはもう少し時間がかかりそうだ。別にレオに任せても問題はなさそうだが通行の邪魔なので、生徒が混じっていないことを確認してから、敵の足をすべて消し飛ばす。
「……は?」
「ようレオ。大丈夫か?」
「紅夜!?」
突然敵の足が消え、絶叫を上げ始めたことに戸惑っているレオに声を掛ける。悲鳴がうるさかったので、片手間で振動を遮断しておく。
「兄さんたちが何処に向かうか知ってるか?」
「あ、ああ。達也たちなら図書館に向かうらしいが……今のは、お前がやったのか?」
「確かに俺がやったが? それよりレオはこれからどうする? 俺は図書館に向かうが」
レオは俺が詳しく話す気は無いと分かったようで、少しオーバーに肩を竦めると首を振っると、呆れを含ませた声音で言った。
「分かったよ。オレも行くぜ」
「じゃあ先に行っててくれ。俺はこいつらを誰かに預けてから向かうよ」
「おう、任せた」
レオが素直に頷いて走り去っていくのを眺める。その後ろ姿が見えなくなったところで、足を抑えて倒れ伏す敵に目を向けた。
「……さて、片付けるか」
小さく呟き──眼前の敵にCADの銃口を突き付ける。それに気付き、何かを言いたげに口を動かすテロリストたち。そんな奴らを見下ろし、嘲笑うように呟く。
「ごめん、何言ってるか分かんないや」
そして、引き金を引いた。
◆
その後、図書館に向かったわけだが、俺たちが着いたころには戦闘は終わっていて気絶した壬生を保健室に連れていくところだった。少し物足りない気分だが、既に襲撃者は鎮圧されており校内は日常的な静けさを取り戻していた。
結局は何があるわけでもなく壬生を保健室に連れて行き、間もなく真由美、摩利、克人を含めた事情聴取が始まった。
途中でいろいろとあったが、特に原作と流れが変わることはなく、そのままブランシュの拠点に襲撃をすることになった。
ブランシュの拠点に突入した俺は兄さんと深雪と一緒に工場の中を進む。
正直、そろそろ面倒になってきたので拠点ごと消し飛ばしたい気持ちに駆られるが、さすがにまずいので自重する。そうして進んでいると、ホール状のフロアで隠れもせずに待ち構えている敵集団と遭遇した。リーダーである司一が何やらいろいろとやっていたが、見るに堪えなかったのでスルーする。
いつの間にか話が進んでいたようで、敵から銃弾が撃たれそうになるが兄さんが全て分解した。敵がパニックに陥る中、リーダーである司一が真っ先に逃げ出した。
「お兄様、紅夜、追ってください。ここは私が」
「分かった」
「頼む」
言われた通り残っている敵は深雪に任せ、兄さんと一緒に司一を追う。
司一を兄さんと追い駆ける中、次の部屋に敵が待ち構えていることが視て分かった。俺同様に敵を把握している兄さんは壁越しに分解を使いサブマシンガンをバラバラにした。
敵の狼狽を知覚しながら部屋の中に足を踏み入れる。瞬間、キャストジャミング独特の騒音を感じるが、兄さんは分解、俺は対抗魔法を使うことで即座に無効化する。
司一は俺たちが魔法を使えないと思い込み狂気的な高笑いをしているが、煩かったので簡単なレーザー魔法で手の平を撃ち抜いてやる。途端に痛みと混乱で絶叫を上げ始めるが、もう一度、煩いと忠告と共に反対の手を撃ち抜くと地面を転げ回りながらも必死に声を抑えていた。
その様子に妙な達成感を感じながら周囲を確認すると兄さんの分解で足を撃ち抜かれた敵が転がっていた。どうやらもう終わってしまったようだ。
そんな時、突然司一が立っていた後ろの壁が切り裂かれ、そこから桐原が乗り込んできた。
「よぉ。コイツらをやったのは、お前たちか?」
軽く首肯をすると感心したように頷いた後、怯えている司一に目を移した。
「こいつは?」
「それが、ブランシュのリーダー、司一です」
兄さんの返答を聞いた瞬間、桐原の態度が一変して驚く程の怒気が桐原から発せられた。
「テメェの所為で、壬生がぁぁ!」
「ぎゃああぁぁぁぁぁ!」
憤怒の表情で詰め寄る桐原に対し、司一が咄嗟にキャストジャミングを使うが、まるで怒気そのものが魔法的干渉力を持っているかのようにキャストジャミングのサイオン波を無効化し、振り下ろされた刀はあっさりと司一の腕を切り飛ばした。
そこに桐原の後ろから克人が姿を現し、腕から血の吹き出す司一を見ると少し眉を顰めた後、魔法で傷口を焼くことで止血をする。司一はその痛みに耐えられなかったようで、泡を吹いて失神した。
事件の後始末は克人が受け持つことで、特に何か問題が起こることもなく終わった。本来ならいろいろと問題が起こった可能性があったのだが、それを無視出来るほどに十師族の権力は強いのだ。そもそも学校側としても俺たちが敵の拠点に乗り込んだことはあまり公にはしたくない事柄らしく、俺たちがあの場にいたこと自体がなかったことになっていた。
当然のように壬生のスパイ未遂もなかったことになっていて、壬生は表向き怪我の治療ということで入院することになった。
そんなこんなで、気づけば既に五月になっていた。
今日は壬生の退院の日だ。兄さんと深雪と一緒にお祝いに病院を訪れると、そこには桐原とエリカが既に来ていた。少し話してから壬生に声を掛けてお祝いの花束を贈る。もちろん深雪が。嬉しそうに笑う壬生とそれを囲む人たちを兄さんと一歩引いた位置で眺めていると、突然見知らぬ男が俺と兄さんに声を掛けてきた。
「私は壬生雄三、沙耶香の父だ」
「初めまして、司波達也です」
「妹の司波深雪です。初めまして」
「弟の紅夜です」
お互いに自己紹介をすると、俺と兄さんに用事があるようなので深雪には下がってもらう。
「司波達也くん、紅夜くん、君たちには感謝している」
そう言って俺と兄さんに何度もお礼と感謝の言葉を伝えてくる。少しその勢いに困惑しながら、特に特別なことはしていないと言うと、壬生雄三は小さく笑った。
「君たちは風間に聞いていた通りの男なのだな」
その台詞に俺と兄さんはかなり驚く。少し聞いてみると既に引退をしてはいるが風間と共に兵舎で過ごした同年代で、未だに親しくしてもらっていると教えてもらった。だが、俺と兄さんのことを知るとなると、ただ単に親しいだけではないということが伺えた。
その後も少し話をして、最後にもう一度、ありがとうと言って壬生雄三は離れていった。
もう少し聞きたいこともあったが話すつもりはないようなので気分を変える為にも軽く頭を振ってから、笑顔を浮かべ壬生の周りに出来ている輪に加わった。
これにて入学編は終了です。
さて、ヒロインの意見募集についてですが、このまま続けててもアレなので、九校際編が終わった頃に締め切りとさせて頂くことにしました。注意して欲しいのはあくまで意見の募集だということです。必ずしも票が多かったキャラクターがヒロインになるわけではありません。ご注意ください。
ですが、票が多い方が私の書く気が上がります。(笑)
九校際編が終わる頃までは活動報告にてじゃんじゃん意見を募集しているので、宜しければ書いてください。
よろしくお願いします!