ループなハイスクール。二番煎じですね、はい。   作:あるく天然記念物

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マジで主人公はどこに向かっているのか心配でならない


シーン29~35

 さてさて、シロとじゃれ合いながら平和を噛みしめている今日この頃。

 何故か俺はグレモリー先輩に呼ばれて旧校舎にきていた。

 何でも、取り敢えず来て欲しいといわれたのだ。

 理由も詳しく教えてくれなかったことに一抹の不安を覚えるが、危険は無いと思うので行くことに決めた。

 というわけで、オカルト研究部のドアの前にいるのだが────って、固ッ!!!!

 部室前についた俺は入ろうとドアを開けようとしたら、予想外の硬さに驚く。

 何これ、接着剤でもつけたのか? もしくは建て付けか? 見た目同様古かったのであろうか。

 引っ張ってみてもビクともしねぇ。

 どうすっか。

 ぶっちゃけ帰りたい。でも帰ったら帰ったでなんか言われるのもしゃくだし。

 うーん。

 悩む俺だが、その時、ある有名な人の言葉が頭を過ぎる。

 

『ヤハハ、知ってるか? ドアを手も使わずに開ける方法があるだぜ?』

 

 やれと? 俺にそれを? マジ?

 

 ………………………ヒョオォ───ヒャオッ!!

 

 何者かの期待を裏切られず、健康一滴、思い切りドアを蹴り破る。

 

 ドゴォォッ! ギャァアアアアッ!!

 

 ん? なんかドアが壊れた音と違う生々しい叫びが聞こえたぞ?

 とりあえず部室に侵入。するとそこにはポカーンとした兵藤を始めとするグレモリー眷族の皆様方と、メイド? となんかたくさんのおんにゃのこ達がおった。

 

 …………失礼しました~。

 

 俺はここにいるのが場違いだったと思い帰ろうと──

 

「「「「「「帰るな(いで)!!」」」」」」

 

 ──冗談だよ。流石の俺でもそこまで無責任ちゃうわい。

 とりあえず状況が把握したい。

 比較的「あぁまたか」的な目で落ち着いていた木場に話を聞く。

 ねぇねぇ、これってどういう状況? ふむふむ、なるテロ。つまりグレモリー先輩には婚約者がいてその婚約者がこの部室に来ていたのか。

 あれ? それだとおかしくね? 部長って女性だよな。なら婚約者は男になる。ここにいるのはグレモリー眷族を除いたらみんな可愛いおんにゃのこ達だぜ?

 ………………ハッ!? まっ、まさか部長は男───そげぶっ!!?

 ………痛い。いくら俺がアホみたいな言抜かしたとしてもさ、魔力の塊ぶつけてこなくてもいいじゃないか。

 グレモリー先輩のお仕置きに若干萎えつつ、もうちょっと婚約者について詳しく話を聞く。

 え? 俺がぶっ飛ばしたドアに巻き込まれて吹っ飛んで行った?

 ………………これって………やっちまったパティーン? やっべーマジどないしよ。

 

「き、貴様ぁぁああぁあっ!!!!」

 

 へ?

 俺がどうしようと考えていると、突然窓からホスト被れ的なお兄さんが俺につっこんできた。

 もれなく炎を全身から吹き出しながら。

 おいおい、ここは木造建築だぜ? そんな炎吹き出してくるなよ。てか暑苦しいわ。こちとら心の中にもつと暑苦しい人飼ってるんだからもう少し考えてくれよ。熱中症になるわ。

 

『暑いのは俺のせいじゃないぞ!』

 

 なんか聞こえたが無視した。

少なくとも俺が常時暑いのはお前のせいだよ。おかげで最近水分補給怠ったら直ぐに脱水症状になってるわ。

 取り敢えず暑苦しいのは本気でいやだったので全身に魔力を纏わせ、全力で蹴り返した。

 

 ところがぎっちょんてな、ちょいさぁー!!

 

 バキィイイイイイッ!!

 

「ギィイイイイヤァァアアアアッ!!!?」

 

 再び星となるお兄さん。ふぅ、地味に疲れた。もう帰っていい? ダメ? さいですか。

 その後お兄さんが戻ってくるのに五分ほど時間を要した。

 

 無事お兄さんが戻ってきたところで話し合いが再開する。

 俺はとりまホスト被れ改めて、フェニックス家のご子息ことライザーさんに詫びを少しばかりして場を収める。

 全く、なんで俺がこんな事をせにゃならんのだ。

 え? お前がやったんだから責任とれ? さーせん。

 なんでもグレモリーが勝手に両親が決めた婚約に反対らしく、それを良しとしないライザーさんがやってきたという事らしい。なるほど、つまりは犬も食わない痴話喧嘩ということになるのか。

 取り敢えずお互いに納得するまで話し合ってみればと俺が提案してみたが、グレモリー先輩はどうしてもいや、ライザーさんは結婚したいの一点張りで話になんねぇ。

 お前ら、分かり合う気はないのか? ない? あぁそう………もういいや。

 んで結局なんかレーティングゲーム? たらなんたらで決着をつけることに。

 んまぁそんなんで決着ついて互いに納得したんならいいんじゃね? なんて思ってたら、何を思ったかライザーさんは俺に参加しろとのこと。

 なんで他人の色恋沙汰に足つっこまにゃなんねぇのよ! ってツッコミ入れたらドアをぶち当てたのと、思い切り蹴りを入れたことの落とし前をつけてやると言われてしまった。

 謝ったやん。それで許してくれねぇの? なんて器の小さい野郎だぜ。

 などと思っていたらどうやら口にしていたようで、ライザーさんは顔を真っ赤にして俺にぶち殺すなんて殺害予告をしてきた。

 …………あれ? これってよくよく考えたらマズくね? 相手フェニックスの悪魔。俺パンピーどすえ。

 もはや後の祭りであった。

 

 そういうことで、レーティングゲームに向けて、グレモリー眷族と強制連行された俺は急遽強化合宿を行うこととなった。

 ちなみに行き先はグレモリー先輩が所有している山だ。

 マジなブルジョアですね、わかります。

 てか、修行特訓=山って形から入るのに失笑を禁じ得ない。つーかのどかな山で修行して強くなれるのはアニメの世界だけってゆうに。事実俺も陸上やりまくってたから戦えたわけだし、寧ろ人生の汚点を唯一作り出した山にいいイメージが沸かん。それ以前に強制連行ってどうよ。出るとこ出たら勝てるぜ? 主に七三のぼったくり弁護士に頼るけどさ。

 まあそんな事思ってる俺のことなど無視され、合宿は始まった。

 

 一日目。

 木場との剣術試合。

 

「はぁあっ!」

 

 ところがぎっちょっん!!

 

 ガキィイインッ!

 

「きぁっ!?」

 

 木場が俺に向けて振り下ろしてきた魔剣を魔力を纏った脚で受け止め、逆にカウンターを打ち込む。

 木場は予想以上だった威力のカウンターを受け流せきれず、その場に尻餅をついた。

 気持ちとしては某戦争マニアのひろしだ。

 やっていて結構すがすがしい。

 木場と剣術の試合なのだが、俺に剣の心得などあるわけがなく、俺は脚で、木場は魔剣を使用してでの試合をやり合っている。

 基本的には直情的でまだまだ甘さのある木場を俺があしらっているのが現状だが。

 ふぅー、ここまでにしとくか。

 木場を立たせ、次に戦う兵藤と交代してその場を後にする。

 去る瞬間、何やら兵藤がいやらしい笑みを浮かべていたのを見てしまったが大丈夫だろうか?

 心配になって振り向くとそこにはコテンパンにされた兵藤の姿が。

 ………………南無三!

 

 二日目。

 塔城との組み手。

 とりあえず相手してやるからかかってこいよ。

 俺の微妙に挑発されると思われる言葉と共に塔城が飛びかかってくるが、甘い!! まるでメープルシロップだぜ!!

 俺は赤子の手をひねるが如くよ的なノリであしらう。

 その時滅茶苦茶先輩って人間ですかって感じの目を塔城向けられる。

 おいおい、俺パンピーだっつうの。

 さーて、次は兵藤だな。その煩悩滅却してやるから本気で来いよ! じゃないと────怪我するぜ?

 

「え゙………」

 

 結果、汚い花火を作っちゃった。

 

 三日目。

 姫島先輩のパーフェクト魔術教室。

 本日は座学のようだ。

 姫島先輩の話を聞いて魔力のなるたるかを学ぶ。

 ふむふむ。纏わせて身体能力を上げたり集中させて魔力弾にしたりすると。

 うむ。まるっきり俺の我流での解釈と何ら問題ねぇな。

 とりあえずこの日は俺一人武空術に費やした。

 だってやる気でねぇもん。

 何かと言ってきた姫島先輩は俺の松岡陸上魂キャノンを見て何も言わなくなってしまった。

 さーて、んじゃ飛行訓練がんばりますか!

 

 結局この日は武空術は習得できなかったでござる。

 

 四日目

 基礎的な筋トレ

 今度こそ一緒にトレーニングしたいと言ってきたので、俺はそんなに懇願するならとみんなに俺のいつもの陸上のメニューを見せたら顔を真っ青にして自主トレしてくれと頭下げられた。

 なんか心にチクってする痛みが走ったのは気のせいだと思いたい。

 かっ、悲しくなんかないやい!

 しかし、そんな俺を気にしてか木場が一緒にトレーニングしたいと言ってくれた。

 恐らく俺に初日であしらっわれた事が悔しかったのだろう。

 それに俺の瞬足に同じ速さを求める彼女も何かしら思うところがあったのかもしれない。そこまで速さを求めるか、良かろう。ならば、共にピリオドの向こうに行こうぜ!

 その結果、木場の地味に足が少し速くなった。

 

 さて、そんなこんなでグレモリー眷属の楽しい合宿も無事終了。

 その成果を確認すると、参加する前までは俺と同じ位にパンピーの気配丸出しの兵藤が土地狂ったのか山を一つ消し飛ばしていた。

 ……ははっ、笑えねぇよ。兵藤、お前もう人間じゃねえよ。あ、悪魔だった。

 

 そんでなんやかんやで日にちも軽く過ぎていき、遂にライザーさんとのレーティングなんチャラの日を迎えた。

 その日の夜、というか深夜に部室に集合するグレモリー眷属プラスパンピー代表格の俺。

 集合と同時に魔法陣が展開され、気がついたら同じ部室に立っていた。

 はて? ここって部室だよな? 何故? 失敗か?

 取り敢えず近くにいた木場に話を聞く事にする。

 えっと? 今回のゲームのフィールドが駒王学園で、ここは作られた世界だと。なるほどね~。

 それはそうと、時間帯に殺意を覚えてしかたがない。

 なんで深夜なん? こちとら人間だぜ? パンピーなんだぜ? 普通ならこの時間帯は夢の中じゃボケェ!! 眠いんだよ! さっきから目蓋が下がってきて耐えるのに必死なんだよ! 落とし前つけるんならこっちの都合も考えろや!

 俺は怒り心頭に殺意を漏らしていたら、木場に頭を撫でられ宥められる。

 …………き、気持ちよくなんか………ご、ゴロニャン~───ハッ!? な、無しっ! 今のなし!! ………無理?

 撫でられてとろけきったという真実の抹消を図るも木場は苦笑いを浮かべて首を横に振った。

 おふっ……こりゃ黒歴史確定ではないか。

 もう穴があったら入りたい気でいっぱいな俺であるが、レーティングなんチャラはそんな俺を待ってはくれなかった。

 

『これより、リアス・グレモリー様とライザー・フェニックス様によるレーティングゲームを開始いたします』

 

 おいおい、開始しちゃったよ。

 何はともあれ始まったもんは仕方ない。

 なんか作戦でもあるのかグレモリー先輩に話を聞く。

 なんでもグレモリー先輩の作戦だと、旧校舎と新校舎の中間地点である体育館を囮とした作戦を用意していた。

 ふむ。作戦としては及第点だと思うが、なんかめんどい。てかこんな時間に巻き込まれた俺の気持ちがちっとも晴れない。

 と、言うわけで、皆! 俺ちょっくら遊撃に出かけるわ!!

 そう言うや否や俺は部室の窓に手をかけると、一気に外に飛び出す!

 なにやら部室から色んな人の声が聞こえるが気にしない。俺は今、鳥になっているんだ! そうだ、俺よ、鷹になるんだ!!

 まあ鳥になれる訳なく、普通に二本足で着地。

 地味に足に凄い振動が伝わる。恐らくこれがパズーが味わった刺激なのだろう。ちょっと痛いでござる。

 さて、遊撃に出るとしたはいいが何も考えてなかった。というより敵はどこにおるのだろうか。

 ま、歩いとけばいずれエンカウントすんだろ。

 そうと決まれば行くとしますか。

 地面に片膝と両手をつけ、腰を上げる。

 オンユアマーク? セット……………ゴー!!!

 当時画期的だったポケットなモンスターの捕獲旅のルビーやらサファイアの主人公顔負けなレベルで走り出す!

 これだ……コレだよ!! 全身に風を受け、自身がまるで風になったかのような錯覚と共に走り抜ける。陸上はこうでなきゃ!

 うぉおおおおおっ! 駆けろ俺! 風の向こうまで!!

 旧校舎の森を走り抜け、ようやく開けたグラウンドが見えてきた。

 よし、後少し、ラストスパー───トッ! …………………えぇ…。

 

 グラウンドに飛び出した俺。その俺の目の前にはなんと、この前部室で見た沢山のおんにゃのこたちがいた。

 

 いきなり現れた俺に全員の視線が釘付けになる。

 

 ……………………………………………………………………………………………………………えっと………は、ハッピーうれぴーよろぴくねー?

 

 その視線に答えるかのように、俺は持てる最大の挨拶をぶつけてみた。

 

 瞬間、目の前が真っ白になった。無念!

 

享年17歳 死亡原因 集団的リンチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーン30

 

 いやー、死んだ。ひっさびさに死んだわ。もうね、この死ぬかもしれないなんていう緊張感も忘れかけてたわ。

 さて、取り敢えず恒例の反省会。

 うむ。あれだな、やっぱ広域殺戮にはどうしようもねぇな。

 いやさ、ハッピー、うれぴー、よろぴくねー? なんてバカなネタをかましたけどさ、いきなり全員で襲ってくることもないだろ。

 てか、コレってゲームなんだよね? グレモリー先輩の話だと死にそうになったり戦闘不能になったら強制転移させられるって話だったよね? 何が起きたん!? 俺強制転移と言っても人生から強制転移させられたわ! 何でやねん!! 責任者出てこいや!!

 ……ふぅー、まあ落ち着こう。ここで怒ってもどうしょうもないし。

 さーて、反省会もこのぐらいにして現状を把握しねぇとな。

 カレンダーを確認してみると合宿の前日である事がわかった。

 うーむ。となればあの広域殺戮という名の集団的リンチを合宿でどうにかしろって事だな。良かった良かった。

 いきなり対処しろってわけではないことにひとまず安心する。

 なに、二週間もあるんだ。なんとかなるさかい。

 

 なーんて軽い気持ちで合宿を終え、迎えたレーティングゲームで俺は汚い花火と化した。

 

 たーまやー!!?

 

享年17歳 死亡原因 集団的リンチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーン31

 

 言い訳? あるよ、遊び過ぎたんだよ。時間はたっぷりあるから本気出すのは明日でいいやーなんて思ってたら普通にレーティングゲーム前日にまでだらけきってたよ。

 おかけで汚い花火になっちまった。

 さてと、再び時は合宿の前日。

 よし、遊びはこのくらいにしてそろそろ真面目に修行すっか。

 合宿で一人行動を開始する。もうね、グレモリー眷族のゆるゆるな修行は俺の糧になんない。だって、俺が朝の軽く流すメニューで顔が真っ青になってたんだもん。

 そんなわけで一人行動でた俺。

 先ずは前回と前々回での課題を見つける。

 とにかくね、あの広域殺戮はダメだ。人としてあれには勝てない。てか、やく一名空中で爆撃かましてきたぜ。あれをどうしろと? つーか物理的に無理難題だし。向こうは10人以上でこちとらパンピー代表格の俺一人。どないせっちゅうねん。まあ嘆いても現状は一ミリも動かん。それに考えればなんか道があるはず。

 とにかく目下最大の課題は圧倒的不利な人数とどう戦うかだ。

 うーむ………………見敵必殺しかないか。

 

 と言うわけで、

 

 サーチアンドデストロイじゃ! 喰らえ! 波紋乱旋疾────ギャァアアッ!!!?

 

 結果、逆にデストロイ。

 

享年17歳 死亡原因 集団的リンチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーン32

 

 さーて、そろそろ真面目に考えるか。

 考えなしに突っ走っていい結果をもたらした事なんて一度も無かったな。

 さてと、マジであの圧倒的人事不足をいかに解消するか。

 他の人たちに頼る?

 無理。だって皆俺の言うことよりグレモリー先輩の言うこと優先じゃん。却下。

 とは言うものの、手数が足りないのは致命的だよな~。

 せめてどこぞの赤い人もしくはマフィアのボスみたいに相手の行動を二手三手先読みできれば────────あ、できるじゃん、俺。

 そうだよ、俺持ってんじゃん。予測可能な神器──《刹那の懐中時計》を!

 となれば話は簡単だ。神父をコロコロした時は予測できる時間が短いからどうしょうもなかったから放置していたが、マフィアのボスレベルで数十秒先の未来を予測したら完璧ではないか!

 そう結論付けだ俺は合宿の時間を全て神器の強化に費やした。

 その結果、なんと数十秒とまではいかなくとも十数秒先の未来を観ることに成功した。

 ふふふ、完璧ではないか。もう、何も怖くない!

 迎えるゲーム当日。

 場所、グラウンド。

 おんにゃのこたちの視線は俺に釘付け。

 

 さーて、刹那の懐中時計よ、俺に未来を見せよ!

 

 神器を発動させ、未来を予測。するとそこには、ぐちゃぐちゃな死体となり果てた俺の姿が─────

 

享年17歳 死亡原因 集団的リンチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーン33

 

 あっさり死んでたな。もう少し早めに予測しとこ。なんでグラウンドに出てから予測したのだろうか。

 そんなわけで今回は少し早めに予測してみた。

 

 刹那の懐中時計!

 

 発動により未来の映像が俺の脳内に流れ込んでくる。

 そこには地面にヤムチャしている俺の姿……だとっ!?

 早めに予測しているにも関わらず結果が変わってない!!

 どうやら未来は俺が思っていたよりも果てしないほどにヤバいようだ。

 というか光が見えない。むしろ闇しか広がってねぇよ。

 おっかしいな? 元来未来を予測できる能力保持者は全員チートレベルで強かったのになぁ~……なんで俺はこんなにも無力なのだろうか。

 と、とりあえず行動しなくては未来は永劫変わることはない!

 そう意気込み、グラウンドに躍り出た俺。

 狙うは何一つ武器らしい武器を持ってない上空のおんにゃのこだ!!

 

 うぉおおおおおっ! とうっ!!

 

 地面を力一杯踏みしめ、上空に舞い上がる。

 

 うひゃひゃひゃ、行くぜ! 受ふ─────ちょっ!? ば、バリ───

 

享年17歳 死亡原因 爆殺

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーン34

 

 あのさぁ、跳んでる間は攻撃しないでよ! 無防備なんだからさ! そりゃさ、攻撃する事に夢中になりすぎてバリア張るのが遅れたけどよ、だからってさらに追い討ちで更に爆破してこなくてもいいじゃんか。おかげで恐ろしいほど痛かったぞ。

 ちくしょう、この仕打ち忘れんぞ。もう油断しない。本気で行かせてもらう!

 

 つーことで、

 

 うぉおおおおおっ! とうっ!! 

 上空に舞い上がる俺、上空のおんにゃのこは既に俺に狙いをつけている。だが、今回は対策済みよ!

 

 バリア!!

 

 魔力のバリアを全身に展開! それによって俺は爆発を完全に防ぎきる。

 

 ふふ、完璧だ。さーて、そんじゃあお返しと行きますか──って、あれ? なんか、下がってきてない? 具体的には高度的な何かが。

 

 そう、俺は失念していた。

 爆発するということは、洩れなく爆風もついてくるということを。

 

 …………………やべっ!

 

 無残に地面に叩きつけられる俺。

 

 その後もなんとか殺されまいとバリアを展開するも結局脳の限界ががががががが………

 

享年17 死亡原因 集団的リンチ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シーン35

 

 というかさ、もう死んだの何回目? え、35回? どえらく死にすぎたな。

 さーてそろそろ本格的に道が無くなってきたな。

 現状どうしようもないくらいにお先真っ暗である。もはや何をしたら殺されないのかを考えるより、何をしたら楽に死ねるかを模索する方が簡単だと思えてくる始末だ。

 しかし、爆風がこれほど厄介だったとは。あの勢い、痴女どもの光の矢より威力がでかかったぞ。

 ほんとどないしよ。ぶっちゃけ全てを見捨てて逃げたい。むしろアルプス山脈でのうのうと暮らしたい。でもそれは叶わないんだよなぁ~。逃げたら絶対ドロッとした何かに圧殺されるのが目に見えてるし。

 ていうかなんで未来予測できる敵キャラって皆チートなんだ? 一体俺と何が違うのだろうか。そこが分かれば何かが変わるかもしれない。うーむ。

 しばらく瞑想すること三分。画期的な答えに俺はたどり着いた。

 あ、そうだよ、基本予測できるキャラは結果だけじゃなくて過程も予測できたり、その未来に対して人外的な行動がとれたがらチートだったんだ!

 だがその真理に気がついたとしてもハードルが高すぎる。いかに俺が人外に片足突っ込んでると言っても、タキオン粒子の世界に突入できるわけでも、時間を吹き飛ばすこともできやしない。

 さーてと、どうすんの?

 取り合えずば過程も含めて予測できるように鍛えてみるか。

 

 そうして鍛えてみたらあっさりと習得に成功した。

 どうやら俺にはボス的な素質があったみたいだ。

 まあ過程さえ分かれば回避なんて赤子の手を捻るが如しよ。

 

 そして、ゲーム当日!

 

 グランドに降り立つ俺。

 全員の視線が突き刺さる。

 さぁ行くぜ!

 

 刹那の懐中時計! 俺は貴様の未来を予測する。

 

 俺は地面を踏みしめ、一気に上空のおんにゃのこに接近!

 途中でおんにゃのこは俺を爆殺をしてくるが、もはや予測済みよ! 爆発のタイミングを完璧に掴み取り、自分の足元で爆発するように行動していた俺にはなんの問題は無いわ!

 すぐさま足元で爆発が発生するが、脚を踏みしめ、その爆風を利用し、逆に更なる接近を可能とした!

 ……………え? 踏みしめた? マジで!?

 よく考えてみると、俺は空気を踏みしめて接近していたことに気がついた。

 おふ……おぉ俺よ、とうとうそこまで人外の領域に踏み込んでしまったのか。

 しかし、今は好都合だ! 行くぜ行くぜ行くぜ!!

 おんにゃのこの目の前に接近した俺、さあ殺りますかねぇ!

 やる技は前回大敗を期した上空なら大ダメージ必至のこの技!

 足首をおんにゃのこの首に引っ掛け、一気に降下! 圧倒的重力落下速度による破壊エネルギーは大概の連中の意識を刈り取る!

 

 受付!!

 

 俺は破壊エネルギーもろとも地面におんにゃのこを叩きつけた。

 そして叩きつけられたおんにゃのこは犬神家様々など上半身埋まった姿を晒し、その光景に残りのおんにゃのこ全員がポカンとしている。

 ふぅースッとしたぜ。かれこれ三回ぐらい殺されたからな。これぐらいしても罰は当たらんだろ。向こうは知る由もないけどってあれ?

 気がつくと上半身埋まったおんにゃのこは光に包まれるとどこかに消えてしまった。

 そして消えると同時にアナウンスが聞こえてきた。

 

『ライザー・フェニックス様の女王、リタイア!?』

 

 なんかアナウンスの人がすごく驚いていらっしゃる。

 てか、ちゃんとリタイアできるのかよ! なら俺の時もできるようにしとけや! このバカ共が!! マジで出るとこ出たろうか!!

 俺の怒りが有頂天となる中、ポカンとしていたおんにゃのこの一人が気を取り直したのか剣を片手に向かってきた。

 なにやら仇だの何だの言いながら。

 いや、仇って。別に死んだわけでもないじゃん。こっちは命がけと言うに。

 まあ向かって来るというのなら相手をするだけだ。

 

 刹那の懐中時計! 貴様の未来を予測する!

 

 俺は振り下ろされる剣を数歩先に歩いてただけでいとも簡単に回避し、逆にカウンターを仕掛けた!

 

 簡易版松岡陸上魂キャノン!

 

 脚に込めた魔力と共におんにゃのこを蹴り込み、遙か遠くに飛ばす。

 簡易版松岡陸上魂キャノンとは、いろいろ込める物を簡略した松岡陸上魂キャノンで、威力が幾分か下がる分、繰り出す速さが比べものにならないくらいに速くなっている。そのおかけで殺戮ではく対象の無力化に特化した技となっているのだ。

 魂キャノンの直撃を受けたおんにゃのこは遙か彼方へ───

 

『ライザー・フェニックス様の騎士、り、リタイア』

 

 どうやら未だにアナウンスの人は困惑しているようだな。

 だがしかし、今目の前で起こっていることこそ現実よ!

 さーて、次は───おふぅ……

 仲間が二人消えたことにより、もうなりふり構ってられなくなったのか、残っていたおんにゃのこ全員が襲いかかってきた。

 その数、総勢十三人!

 

 ふん。無駄なことを。刹那の懐中時計! 貴様等全員の未来を予測する!

 

 未来を確認した俺は先に向かってくると分かっていたチェーンソーを持った二人のおんにゃのこに向かう。

 俺の接近に伴い二人はチェーンソーで攻撃してきたが、未来を観ている俺には既に予測済み。

 軽く体を逸らしただけで華麗に避けてきる。無駄にジョジョ立ちを込めて。

 そんでもって回避したことで隙が生まれた二人に俺はカウンターのプレゼントを与えた。

 

 よく頑張ったな。褒美だ

。受付!!

 

 二人を地面へと叩きつけ、それと同時に光に包まれ何処かへと二人は転送される。

 ほんで予測だと後一人──っと来た来た。

 転送されて数秒後、続いて俺に向かってきたのは何やらチャイナ服という少しエロチックな服装を身にまとった女の子だった。

 なにやらカンフー的な技を仕掛けてくると予測で判ったので取りあえず普通に撃退しにかかる! 女子供には優しくした方がいい? んな慈悲など痴女に襲われてからとうにどぶに捨ててくれたわ!

 やってくると予測した場所のお腹あるであろう位置に予め膝を滑り込ませる!

 ところがぎっちょんてな! オラァッ!

 襲いかかってくるのと同時に膝を一気に突き出す!

 突き出された膝はクロスカウンター気味に寸分違わずカンフーおんにゃのこの鳩尾にめり込み、そのままおんにゃのこは光に包まれてリタイアとなった。

 ちなみにこの間、つまりは俺が三名ほどリタイアさせたのは、俺が予測できた約十数秒間の出来事である。

 

『ライザー・フェニックス様の兵士三名、リタイアです』

 

 ようやくアナウンスの人もなれてきたのか、声に平穏が戻ってきている。

 

 ようやく事実を認めたか。さーて、残りは─って、おいおいマジかよ。

 ある意味ごく短時間の内に三名ほど脱落させたのが予想外だったのか、襲ってきたおんにゃのこたちはアナウンスが流れると同時に次々に撤退をし始めていた。

 ふ、何処へいくんだぁ? 見逃すと思っていた──ん? なんか微かな声が聞こえる。なんだこれ? 通信機? それにこの声……はっ!? ぐ、グレモリー先輩ぃ………

 さすがにこのままみすみす見逃すのもイヤだと思ったんだが、あいにくこっちもグレモリー先輩から連絡が入ってきてしまった。

 というかいつの間に通信機が俺のポケットの中に入っていたのだろう。木場か?

 なんか出ないと後々面倒になると思い、通信に出て話してみると、すぐに戻ってこいとのこと。

 まあ深夜に呼び出された苛立ちも殺された逆恨みもある程度はスッキリしたので戻ることにした。

 

 で、戻ってきた俺に待っていたのはグレモリーによる説教だった。

 何で勝手な行動したのかって? んなもん俺が深夜に呼び出された苛立ちをぶつけるために決まってるじゃねぇか。もう二度とこんな行動をしないで? それは約束できないな。てか俺グレモリー眷族じゃねぇし。なんで命令聞かにゃならんのよ。

 俺の言いぐさにグレモリー先輩たちは頭を抱え、何を土地狂ったか兵藤は殴りかかってきた。まあ兵藤はリタイアしない程度にグーパンしてやったけど。

 というか、単身で行った俺も少なからずとはいえ悪かもだけどさぁ、それでも五人もリタイアさせたんだぜ? その点に関しては何にもないわけ?

 俺がそう聞くとグレモリー先輩は更に取り乱してきた。なんでも一般人が女王を倒せるなんてあり得ないことらしい。マジ? 俺って女王どころか騎士と兵士三人ほどやったんだけど?

 それからは俺は部室の拠点で待機となり、時間を潰すことになった。

 んじゃおまえ等程々に頑張ってこい。それとアーシアちゃんや、何かあったら起こしてくれない? それまで寝るから。

 そう近くにいたアーシアちゃんに伝え、俺は意識を闇に移した。

 

 

 

 ん? なんか揺らされてる気が…………。

 取りあえず意識を戻し手目を開けると、アーシアちゃんが必死に俺を起こしていた。

 アーシア、いったいどーしたというんだ。

 アーシアちゃんに詳しく事情を聞くと、なんでも向こうのライザーさんがグレモリー先輩と一騎打ちを望んでいて、それをグレモリー先輩が飲んでしまったと。

 バッカじゃね? なんでわざわざ王同士で一騎打ちするんだよ。このゲームってみんなでリンチにするのが定石だろ?

 まあそんなこんなでグレモリー先輩とアーシアちゃん、そして不本意ながら俺はライザーさんの本拠地である新校舎に赴くことに。

 

 グレモリー先輩の準備が済み次第足元に魔法陣が展開され、気づいたときには学校の屋上に来ていた。

 おぉ、屋上ってこんなに高かったのか~。お、兵藤見っけ。

 俺が兵藤を発見すると、兵藤も此方に気づき、向かってきた。なぜか階段で。 おい、お前悪魔だろ? 羽使えや!!

 それから三分ほど経ってようやく兵藤が到着した。あれ? なぁ兵藤、お前他のメンバーはどうしたん?

 兵藤以外のメンバーがいないことに疑問を持った俺は兵藤に話を聞くと、なんでも自分を向かわすために囮になって今も戦っているとのこと。

 えぇ~だったら兵藤以外を向かわせようぜ~。絶対木場とか姫島先輩持ってきた方が明らかに戦力になるだろうに。

 そんな失礼な事を思いつつ、俺は兵藤の神器の変化に気がついた。

 ところで兵藤よ、なんかお前の神器姿形変化してね? どしたん?

 兵藤の持つ神器が元々からゴテゴテしかった籠手が更ゴテゴテしくなっているのだ。

 え? 倍加の力を他の皆に与えられるようになった? すっげー。

 どうやら俺の神器との格差は更に広がっているみたいだな。いや、未来予測も大概にチートになってきたけどさ。

 さて、ようやく兵藤が到着したことにより、ライザーさんが俺たちと戦うことに。

 いやー面倒だがテメェにも多大なる恨みがあるからな。ライザーさんよぉ、覚悟はいいか?

 なーんて思っている内に兵藤のバカがバカ丸出しでライザーさんに向かって突撃しだしただと!?

 だからさぁ、バカじゃないの! まずは相手の戦闘力を把握───って嘘だろ!?

 俺が止めるまもなく、兵藤はライザーさんにコテンパンにされてしまった。

 えぇ…もう少し頑張ってこいよ。なんでそんな特攻かまして無様に敗北すんのよ。

 兵藤をぶちのめしたライザーさんは声高らかに兵藤に向けて弱点を口にし出す。

 えっと、兵藤の神器は化け物レベルだけど、使う者がしょぼかったら倍加に制限がかかるし、使うための負荷も酷いから直ぐに使い物にならないって。

 ふむ。どうやら兵藤はまだまだ凡夫のレベルから脱却できなかったのか。山一つ吹き飛ばしたのにな。

 さーて、兵藤がダウンしたことによりライザーさんの標的は俺に必然と変わる。

 やれやれ、結局は俺がやるんかい。てか主人公差し置いて俺がボス的な何かに挑んでいいの?

 ぶっちゃけ恨み晴らしたら兵藤に全てを投げ出すつもりだったため、俺のテンションは今一つ上がりきれていない。

 しかも最悪なことにグレモリー先輩が兵藤がやられた事に意気消沈して諦めムードを全開にしている。

 しゃーない。気は乗らんがやるだけやるか。

 どうせこのままほっといたらなんかグレモリー先輩がさっさとリタイアして負けそうなので、俺はライザーさんの前に立つ。

 だって負けるのは俺のブライトが許さねぇし。これでも俺、勝利にはこだわってるからな。自分がやられて負けるなら納得するが、他人のせいで負けるのは納得なんてできるかよ。

 んじゃ、さっさと殺りますか!

 ライザーさんがな俺に対してなんか一般人がどうとかこうとか言っていたが、ガン無視し、俺は突撃を開始する!

 最初からクライマックスだぜ! うぉおおおおおおっ!

 目の前まで接近したところでライザーさんはようやく俺の事に気がついた。なにやら卑怯だのほざいて慌てている。

 卑怯? 悪魔に卑怯なんて言葉言われとうないわ!! それに小手調べなどしるか! 最初から本気で殺──倒しにかかるぜ! 喰らえッ!! 羽の生えた変態的なオッサンを倒した俺の最強技を! オラオラオラオラオラオラッ!!

 俺は流れるような連続蹴りをライザーにお見舞いし、最後の一撃の為に力と魔力を込めた後、一気に放つ!!

 

 仔牛肉ショット!!

 

 衝撃が血中を通して全身に回り、ライザーさんは全身から血をまき散らせた。

 うーむ。やはりこの技は強いは強いんだがやった後R指定の光景になるのはちょっと──おりょ?

 見せられないよ全開な光景にナイーブになりつつあった俺だが、その気持ちが霧散する。

 というのも、これでリタイアだなと思っていたライザーさんが光でなく炎に包まれたかと思うと、五体満足な状態で復活したのだ。

 なにその高速再生ぇ。

 そう言えば、木場がライザーさんの特性について教えてくれてたっけ。名字であるフェニックスと同じ能力があるから気をつけてって。どうやら俺の知っているフェニックスと同じように再生能力があるみたいだな。

 まあ特性教えてくれたときに弱点として塵も残さず消滅させるか精神をやればいいって言ってたからなんとかなるだろ。

 ということで俺はライザーさんを精神的に追いつめることにした。だって塵も残さずに消滅させるなんてできるわきゃ無いもん。常識で考えろよ。

 そうと決まれば早速行動開始だな。なにやらライザーさんも炎をまき散らせた始めてきたし。

 いつの間にやら俺と距離をとったライザーさん。どうやら俺にボコられたのが気にくわなかったのかライザーさんは沢山の炎を纏わせている。おそらくは俺に向けて放出する気だな。痴女だって乱撃かましてきたし。

 ならば俺のとる行動は二つある! しかし今回は防ぐのではなく回避に力を入れてみようか。新技は練習ないとな。

 てなわけで、

 

 刹那の懐中時計! 貴様の未来を予測する!

 

 予測したと同時にライザーさんは俺に向けて沢山の炎を放ってきた。

 しかし俺は既に未来を観ている。向かってくる炎を歩きだけで全て避けていき、逆にライザーさんの元に歩みを進めていく。

 避けられたことに余計に腹がたったのか、ライザーさんは更に弾幕を厚くしてきた。

 やれやれ、厚くしたとしてむらがあったら避けられというに。

 未来の予測は完璧なため、俺は安全な弾幕の間を進んでいく。 

 そしてようやくライザーさんの本に再びたどり着いた。

 さーて、楽しい楽しい逆恨みタイムだぜ。覚悟はいいか?

 俺は両脚に魔力を必要以上に込めていき、技の下準備を始める。

 今回試す技は俺が合宿中にてきとーに思いついた技だ。だが、てきとーにとはいえ侮る無かれ。思いついた時のに計算した論上と原作的には仔牛肉ショットを遥かに上回る威力を持っておるのだ!

 しかし、この技はある程度コンボを決めなければ発動できず、基本的に途中で邪魔が入ったりして失敗するが、今回は一騎打ち。試すなら今しかない。

 受けてみよ! 囚人系社長の使う鮮やかな脚閃の舞を!

 俺はサマーソルトキックの要領で月を描くようにライザーさんの顎に蹴りを入れ、上空に打ち上げる!

 

 天月旋!!

 

 続いて俺も上空に飛び上がり、ライザーさんに二つ目のつなぎ技を打ちつけ、地面に叩き落とす!

 

 鷹爪蹴撃!!

 

 そして地面へと叩きつけられたライザーさんの頭を鷲掴みして前に放り出した後、更なる蹴りの乱舞を叩き込む!

 

 爪竜連牙弾!!

 

 叩き込んでぶっ飛んでいくライザーさん。しかしここで終わるわけにはいかない。脚に魔力を込めて一瞬で俺はライザーさんとの間合いを積めると、全身に魔力と気合いを溜めていく。そして、臨界点に達したところで、それを全面に解放する!

 

 発!!

 

 魔力と気合いの衝撃波を放つと、俺の中である変化が起きた。それはどう入った原理なのか、放った衝撃波のエネルギーが俺の中に満たされ始めたのだ。

 臨界点をさらに超えていき、圧倒的エネルギーを全身に巡らせた俺は最後の大技をライザーさんにぶちかます!

 おぉおおおおおっ!

 下段中段頭部、その他諸々に怒涛の勢いでエネルギーの籠もった蹴りをこれでもかと浴びせていく!

 まだまだぁああっ!!

 さらに先ほど当てた天月旋と同じ様で明らかに威力の高まった蹴りを放ち、空中で更なる追撃をしていく!

 さぁ、フィナーレだ!

 追撃を終えた俺は止めのためにライザーさんを地面へと叩きつける蹴りを放つと同時にその蹴りの勢いを使い、更に上空に舞い上がる!

 最高地点まで到達したところで、俺は自身に身にまとう魔力と気合いを最初の時よりも莫大な量を纏い、技名を叫びつつ、一気に急降下する!

 

 牙連絶─『リザインします』─襲……え?

 

 ………なにやらとんでもないのが聞こえた気がして急遽技の発動を止めた。まあ止めたと言うよりライザーさんの顔面の横すれすれにぶつけただけなのだが。ライザーさんは俺の攻撃で少し頭がいったのか先ほどからヘラヘラしている。はっきり言ってキモイ。

 って、んなことはどでもいいんや。ちょっ、リザイン? えっ?

 放心する俺。そしてそんな俺に追い討ちするかのようにアナウンスが流れてきた。

 

『リアス・グレモリーさまのリザインを確認しました。このゲーム、ライザー・フェニックスさまの勝利です』

 

 ………………………………………………………………………………………な、なんじゃそりゃあぁあッ!!!!!

 なぜか俺の敗北ではなく、グレモリー先輩のリタイア宣言でレーティングなんチャラで俺たちの負けが決まってしまった。

 ちょっと! 俺のライザーさんに対する恨みはまだ晴れてないのにぃ! そして、秘奥義の前でセリフカプセルとか、あんたは鬼か! あぁ悪魔だった。

 とういことで、俺、初の他人のせいで負けました。

 土畜生がぁああああっ!

 俺の魂からの叫びは虚しくゲーム会場に響き渡った。

 

 

……………時間経過中で──キングクリムゾン! ─…!? だれだ! 俺の役目を……………

 

 うーっす。あの後なんだが、グレモリー先輩をとっちめたところ、もう眷族のみんなが傷つくのはイヤなの! なんてほざいていました。

 うん。腹立つな。こちとら何回死んだんだと問いつめてやりたかったが、ループしているのは俺だけなのでそこはぐっとこらえた。やれやれ、二百歳近く生きていんわけだが、俺もまだまだ青いな。

 まあグレモリー先輩が負け認めちまったからライザーさんと結婚する事になっちまった。そんでもって今日はその婚約パーティーが魔界で行われるそうだ。なんで知ってるかって? いつもいつもお世話になっている木場が教えてくれたんだよ。さて、ここで気がつくと思うが、そのパーティー、見事に俺は誘われていません! もうね、腹立ち過ぎて一周してどうでもよくなったよ。

 もう知らね。勝手に巻き込んで勝手に結婚する先輩なんて知らない!

 ぶっちゃけパーティーで美味しいもんが食べられないことにふてくされて寝ている俺だったが、突然電話がかかってきた。

 ん? あ、兵藤からだ。ようやく意識が戻ったのか。

 ちなみに兵藤はずっと気を失ってました。運んだのはなぜか俺! 誰得だよ。

 グレモリー先輩には腹が立っているが、それは兵藤には関係ない。まあ無様に特攻した事に一言言ってやりたい気もするが、とりあえずおいておいて電話に出る。

 ホイホイ、どうしたよ兵藤。ふむふむ──なに? グレモリー先輩を取り返すから力を貸してくれ? そうか……だが兵藤、俺は既に力は貸した。つまり、ここからはお前が一人で頑張るんだよ。なぁに、お前があのフェニックス如きに負けるわけがないだろ? それにな、お前は俺よりもポテンシャルは高いんだぜ? なら、何も恐れる必要はない。思い切り暴れてこい! 最後に、諦めなければどんな事でも達成できる。例えて絶望の淵に立っても何かしらの糸口は見つかるさ。じゃあな、健闘を祈る。

 携帯を閉じ、布団にこもる。そうそう、なんかカッコイいことを兵藤に言ったみたいだけどさぁ、あれ殆ど適当です。いやさ、もう面倒くさいんだよ。とりあえずこんだけ励ましておけば兵藤もなんか起こせるだろ。

 俺は未来にそう期待して今日は寝た。シロはフカフカでたまりません。

 

 後日、どんなミラクルを引き起こしたのか、兵藤は無事にグレモリー先輩を取り返し、一緒に住むことになったそうだ。

 まあハッピーエンドじゃね?

 チャンチャン。




現在までに主人公が修得した技や手に入れたアイテムや使い魔や謎の助言者

魔力

前回参照。

波紋乱渦疾走パート2

前回参照。

受付

前回参照。

仔牛肉ショット

前回参照。

魔力によるバリア

前回参照。満身、ダメ、絶対!!

波紋串焼乱渦疾走

前回参照。

刹那の懐中時計

主人公の特訓によりチート臭が半端なくなってしまった。その能力は、対象の十数秒先を過程を込めて予測できる。どこのエピタフだと言ってやりたい。

松岡陸上魂キャノン

前回参照。

108パウラッシュ

前回参照。

修造さん

前回参照。

シロ

前回参照。もっふもふ。

天月旋

相手の顎を月を描くように蹴り上げる。対空技。空中技に繋げることができる。

鷹爪脚撃

気合いと魔力を込めて急降下。空中技。地上技に繋げることができる。

爪龍連牙弾

怒涛の気合いと魔力のこもった連続蹴り。



気合いと魔力でボーン!

牙連絶襲撃

なぜか取得できた秘奥義。地上技、対空技、空中技、発、と繋げてようやく使える技。相手に尋常ならざるダメージを与える。現時点で主人公がもつ最強の技。

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