BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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お久しぶりです。

アンケの結果、ぶっちぎりで2になりました。
たくさんの読者様のご協力、ありがとうございます!

さて、作者的にはこの話はブリーチの中で3本の指に入る程好きな話です。
映画でも使われてたしね!
中々無いと思われます、第1話のシーンを映画で使うことは。


一部、オリジナル要素はありますが、どうぞ。

※今回から、1話毎に、話に合ったことわざを使おうと思います。


第3章 原作介入編
原作開始されることに意味がある


 

青天の霹靂

 

思いがけなく起こる突然の大事件や出来事。

突然受ける思いもよらない衝撃

 

 

 

 

 

 

 

 

十三番隊隊舎。

晴れ間が広がる、のどかな天気の下、隊士ルキアにある命令が下された。

 

「転属命令・・・ですか!?」

 

「ちっがうちがう!転属とかそんな大層なモンじゃないって!」

 

そう笑いながら手を振るうのは十三番隊第三席 虎徹清音。

 

「現世への駐在任務!むかーし、ウチに入りたての頃、あたしのサポートで行ったでしょ!」

 

「・・・・・・・・・あ、あの時のですか」

 

しばらく、時間を置いて、ルキアはふと思い出した。

 

「思い出すのに間があったぜ!悪い思い出だから脳みそから消えかかってたんだよ!」

 

「あぁ!?うるさいっての!あんたは庭にでも埋まってなさいよ!」

 

まるで水と油のように喧嘩し合うのは清音と同じ、三席の小椿仙太郎。

このような喧嘩は既に日常茶飯事だ。

 

「・・・駐在地は空座町という町を中心にした半径一霊里・・・」

 

「・・・ダークワンを倒すために行ったから、そう問題じゃないと思うぜ。朽木」

 

部屋から突如現れたのは、十三番隊隊長 浮竹十四朗。

その副隊長 志波海燕。

 

「浮竹隊長!?海燕殿!?」

 

「た、隊長!?」

 

「ダメですよ、寝てなきゃ!副隊長もどうして止めないんですか!?」

 

ルキア、仙太郎、清音が慌てる。

病で床を伏せていることが多い浮竹だ。

皆が体調を心配するのは当然だろう。

 

「いやな、止めたんだが、言うこと聞かなくってよ・・・」

 

「いやぁ、今日は調子が良くてな!ハッハッハ!」

 

笑う浮竹、本当に身体は良好みたいだ。

 

「それに、一月程の短期とはいえ、初の単独駐在は朽木も不安だろうと見送りに来たんだ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「よせよ、堅苦しい」

 

浮竹の気遣いに、ルキアは頭を下げる。

苦笑いする浮竹。

 

「・・・白哉に報告は?」

 

「あ!はい、まだ・・・あ・・・」

 

ルキアの脳裏に過ぎったのは、白哉の大きすぎる背中だった。

 

「―――――いえ・・・、朽木隊長はきっと・・・、『この程度のことでいちいち報告に来るな』と仰るでしょう・・・」

 

小さくなった京夜が絡んだ一件の後、結局、相変わらず関係は平行線だった。

あの時、白哉とマトモ話したのも本当に久方振りだった。

その点でも京夜には感謝している。

京夜と婚約して子作り云々の話でも、白哉は『朽木家存続のため』ということで、自分を見てくれてはいない。

ルキアにとっては棚から牡丹餅だが・・・、複雑な心境だった。

 

「だから、報告はせずに発とうと思います・・・」

 

「・・・そうか、わかった」

 

浮竹は優しく、微笑みながら、座り込んでいるルキアに合わせるように、片膝を着く。

 

「お前がそう思うなら、それでいいだろう。白哉には俺から伝えておこう。安心して行って来い!」

 

浮竹の言葉はルキアにとって心強かった。

 

「はい!」

 

それを表すかのように、ルキアは元気よく返事をした。

 

「・・・あれ?そういえば、京夜ちゃんは?茜雫もいないし」

 

清音がそれに気付き、辺りを見回す。

 

「ああ、京夜と茜雫は今朝方、遠征に出かけたぞ」

 

「え、遠征!?」

 

「流魂街へ、虚の調査及びその討伐だ」

 

「なんとまあ、タイミングが悪い・・・」

 

海燕が説明する。

清音はそれに反応し、驚いていた。

そして、ルキアは―――――

 

「・・・・・・・・」

 

瞳を下に向け、少し哀しく、寂しい感じがした。

やはり、想い人に見送られたいものだろうが、こればっかりは仕方がない。

 

「ま、逆に、ルキアにとっては都合がいいかもしれねえな」

 

「え・・・」

 

その様子を感じ取った海燕は、ルキアにぶっきらぼうに言った。

ルキアは予想外の言葉に、言葉を漏らした。

 

「帰ってきたとき、自分の成長した姿を京夜に見せられるだろう?」

 

「・・・・・・・・」

 

ルキアは呆気にとられたが、すぐに微笑んだ。

 

「フフ、確かにそうですね。丁度良かったです」

 

ルキアの眼には迷いはなく、力強い意志がはっきりとした。

 

「行って来い、ルキア」

 

「行ってきます!」

 

ルキアは歩きだし、穿界門を潜った。

 

 

 

これはルキアがある少年と出会う前日のことである。

少年と出会うことで、ルキアが激闘のきっかけとなり、自分の心が変わるのだが、それはまだ先の話。

 

1枚の白い歯車が動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「グッモーニンッイッチホブッ!?」

 

ガスン

 

「あ、お兄ちゃん、朝ご飯出来てるよー」

 

「おー」

 

空座町内にある小さな町医者。

そこから聞こえる、のどかな家族の声が聞こえた。

 

 

 

 

「イーッチグォーイ!」

 

夕刻の空座第一高校。

ある1つの教室からうるさい声が響いた。

 

「見た見た!?コレ!『決闘街(バトルシティ)シリーズ~名もなきファラオの魂~』!」

 

「・・・バトル・・・何だそりゃ?」

 

「ええっ!?」

 

少年に友達が話しかけるが、予想外の返答に友達は驚く。

 

「イヤイヤ、こないだTV版、DVDで見て面白かったって言ってたじゃないっすか!?」

 

「忘れた」

 

「えーーー!」

 

少年はぶっきらぼうに答え、友達はショックを受ける。

すると、別の友達が話に入り込んできた。

 

「あ、決闘街2だ。僕、それ好きだよ」

 

「うるせ!オメーには聞いてねえ!」

 

「かっこいいよね、遊儀役の風真が僕好きなんだよね」

 

「ハハッ!そんなの社長役の津駄の方が、全然芝居もうめーし・・・」

 

「2では社長死ぬらしいよ」

 

「マジで!?」

 

そんなどうでもいい会話が少年の耳に入る。

少年は何かに気付き、帰り支度をする。

 

「あ、か、帰るの!?黒崎君!」

 

「おう!ちょっと用事がな!じゃな、井上!」

 

少女が頬をほんのり染めながら手を振る。

少年は教室を後にした。

 

ある場所に、約束をした子供に会うために。

 

だが―――――

 

「・・・・・・・・」

 

そこには子供がいなかった。

少年は唖然とする。

 

場所は歩道の電信柱の近く。

そこには子供の代わりに、小さな血溜りだけだった。

 

「・・・ああ、本当に来てくれたのかい、兄ちゃん」

 

少年が振り返ると、そこには老人がいた。

ただ、普通とは違う。

半透明で、足がなく、宙に浮いていた。

 

「すまんね、あの子消えちまった」

 

「・・・ああ」

 

少年は霊が見える、触れる、言葉を交わせる。

しかし、それだけだ。

 

「・・・無駄になっちまったな。その飛行機」

 

少年が子供に渡すと約束していた玩具の飛行機。

それが無情にも約束を果たすことが出来なかった。

 

「いーって、どうせウチの押し入れにあったモンだ」

 

少年はこの光景を体感するのはこれが初めてではない。

少年は乾いた笑みを見せる。

 

霊たちは時々、こうして消える。

どうして消えるのか、少年にはわからない。

時折、その場に残るのは、少年だけに見える血の跡と、痛みに似た感情。

 

「・・・仕方ねえさ」

 

少年から笑みが消え、辛く、哀しい表情を見せる。

 

いくら少年が鍛えても、霊たちのことは護れない。

少年がそれを思う時、少年の心は刃に似る。

 

「これやるよ、じいさん」

 

「いらんよ。あんたがもういらんのなら・・・、そこに置いといてやっとくれ」

 

少年は飛行機をそこに置くと、前を向いて歩きだす。

新たな霊がいる所に。

悲しみ、迷っている霊の元へ。

 

「よーしわかった!んじゃ、明日、もっかい来てやるよ」

 

「ありがとう・・・お兄ちゃん」

 

別の所で少女が泣いていた。

ただ、その少女も足が無く、顔半分血みどろだ。

少年は霊である少女の話を聞いた。

 

「いーから、もう泣くな。わかったか」

 

「うん」

 

少年は再び別の霊と約束をする。

次こそは必ず約束を果たすと、心に誓って。

 

少年はこうして家に帰り、1日を終える。

 

少年の名は黒崎一護。

 

これは一護がある少女と出会う前日のことである。

少女と出会うことで、一護は激闘に飛び込み、自分の世界が変わるのだが、それはまだ先の話。

 

1枚の黒い歯車が動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

1枚の白い歯車と1枚の黒い歯車は引き合わさる。

2枚の歯車が嵌まり合った時、白と黒の歯車は稼働する。

まるでそれが必然であるかのように。

物語の歯車が廻転する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

翌日、一護は自宅へと帰ってきた。

 

改めて、彼のプロフィールを簡単に紹介しよう。

 

名前:黒崎一護

髪の色:オレンジ

瞳の色:ブラウン

職業:高校生

特技:幽霊が見える

 

前日、幽霊の少女と約束を果たした一護。

最近、不良が近くで遊んでいたらしく、お供え物が壊されていたりしていた。

一護は平和的に解決(物理)したのだった。

 

そして、玄関の扉を開けた瞬間だった。

 

「遅―――い!!!」

 

ガン

 

一護の頭に父親の回し蹴りがクリーンヒット。

たまらず、一護は吹き飛ばされた。

 

父親の名は黒崎一心。

この自宅及び『クロサキ医院』の医者である。

しかし、どうやら、親バカというか、コミュニケーション能力が幼稚である。

あと、髭が濃く、暑苦しい。

 

「今何時だと思ってんだ、この不良息子!我が家の夕食は毎晩7時だと決まっているだろうが!」

 

「てめえ!これが必至こいて除霊して帰ってきた息子に対する挨拶か!」

 

「やかましい!どんな理由があろうと、我が家の鉄の団欒を乱す者には、血の制裁を下すのみ!」

 

ドカッ バキッ グシャ

 

「もーやめなよ、2人ともー」

 

「ほっときな遊子。おかわり」

 

2人の喧嘩に困っている少女は黒崎遊子。

一護の妹である。

家事を全てこなせるしっかり者。

 

そして、毎度の事で呆れながら、夕飯を口にしている少女は黒崎夏梨。

これも一護の妹である。

遊子と夏梨は双子である。

 

「大体、この家はな、ルールがキツすぎなんだよ!どこの世界に健全な男子高校生を毎日7時に帰宅させる家が―――――」

 

「うぅ・・・、お母さーん。お母さんも何か言ってよー」

 

一護の憤慨は止まらず、遊子は黒崎家の大黒柱と言っても過言ではない、母親呼んだ。

 

「あら?またなの?フフ、しょうがないわね」

 

母親の名は黒崎真咲。

家族全員、近所からもその人格の良さから、信頼を得ている。

黒崎家は真咲を中心に回っていると言ってもいい。

 

「ほらほら、2人とも、喧嘩は後回し。今は―――――」

 

「スキありぃ!」

 

「食らうか!そんなもん!」

 

2人には真咲の声は届いてないみたいだ。

 

「おらぁ!」

 

「ご飯が冷めちゃ・・・・・え?」

 

バスン

 

一護が投げたカバンが真咲の顔に直撃した。

 

「フハハハハ!バーカバーカ!止まって見える―――――」

 

「あ」

 

「わ―――――え?」

 

「・・・・・・・・」

 

一護と一心は見てしまった。

真咲の笑顔を。

ただ、何故か、笑顔が怖く、何より、背後から黒いオーラが見えていた。

 

「「・・・・・・・・」」

 

「貴方たち、ご飯が冷めちゃうって言ってるわよね?」

 

「「はい・・・」」

 

「調理器具の一部にして欲しいのかしら?」

 

「「す、すみませ―――――」」

 

バギッ

 

今日も黒崎家は平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

「お兄ちゃん、おかわりいる?」

 

「おう」

 

一護は静かに席に着き、夕飯を食べていた。

ただ、頭にたんこぶを付けて。

ちなみに、今日の夕飯は唐揚げである。

 

「全く、一兄もバカだよね。毎日、クソ親父の相手して、結局、母さんに怒られてんじゃん」

 

「うるせえ」

 

夏梨にバカにされ、ぐうの音も出ない一護。

真咲はその光景を楽しく見ていた。

 

「ダメよ、夏梨ちゃん。一護はお父さんの変な所似ちゃったから、誰かに構ってくれるのが内心嬉しいのよ」

 

「学校じゃぼっちなの、お兄ちゃん!?」

 

「ぼっちじゃねえよ!?おふくろ、禄でもない事を言うな!」

 

「テヘペロ☆」

 

「・・・はぁ」

 

一護は溜め息をついてしまう。

子供の頃はまだマシだった真咲だったが、自分の歳が重ねることにつれて、変なボケや天然性を見せる。

ある意味、一心とは違う意味で疲れる母親だった。

 

「あれ?そう言えば、お父さんは?」

 

遊子が辺りを見回す。

一心がまだ夕飯の席に着いていないのだ。

 

「ああ、お父さんなら―――――」

 

「・・・・・・・・」

 

「キッチンで失神してるわ」

 

「親父―――――!?」

 

一心はケツを丸出しにし、気絶していた。

ケツにはお玉が刺さっていた。

 

「何やってんだよ!?やりすぎだろ!?」

 

「痛みを分かち合う事が『愛』ってある人が言ってたから・・・」

 

「誰だよそいつ!?しかもこれ、分かち合ってねえよ!?一方的だぞ!?」

 

真咲のバカ丸出しのボケ発言に一護はツッコむ。

すると、一心の指がピクッと動いた。

 

「心配するな、息子よ!娘たちよ!」

 

「うおぁ!?」

 

「心配なんかしてねーよ」

 

「あ、お父さん、ご飯早く食べてよー」

 

一心が急に起き上がった。

一護は驚き、夏梨はTVを見続け、遊子は夕飯を促す。

 

「これこそが俺と母さんの愛の象徴!母さんの愛、存分に受け取ったぞ!」

 

「いや、それ言う前に、ズボン履けよ・・・」

 

一心は立ったまま、パンツ一丁である。

ついでに言うと、ケツ丸出しで、パンツが機能していない。

 

「俺も母さんに愛をお返ししなければいけないな」

 

「やだ、お父さん・・・、皆の前で・・・」

 

一心は近づき、指を真咲の顎に添える。

2人の甘い空間が出来つつあった。

もう1度言う、一心はケツ丸出しだ。

 

「母さん・・・」

 

「お父さん・・・」

 

(何だよ、これ・・・)

 

一護は頭痛がした。

何で、息子、娘の前でこんな熱愛を見せつけているのだろうか・・・。

そして、まだケツ丸出しの親父に呆れた。

 

「・・・ダメ、恥ずかしい!や・め・て!」

 

ドン

ドガッシャン

 

「ぐふ・・・」

 

真咲は一心を吹き飛ばし、壁に激突させた。

ケツ丸出しのまま。

壁にはちょっとしたクレーターと罅が入っていた。

そのまま一心は動かなくなった。

 

「・・・風呂入るわ」

 

「あ、お兄ちゃん、シャンプー切れてるから、入れといて~」

 

「わーった」

 

一護は一心を一瞥した後、何事も無かったように動く。

遊子もまた然り。

 

「も~、お父さんったら、いい歳なのにお母さんのこと誘っちゃって!今夜はやる気満々のようだけど、どうしたらいいかしら、夏梨ちゃん?」

 

「・・・知らん」

 

と、言いつつも、真咲は終始笑顔だ。

身体をクネクネしている。

そして、そんな大人の内容を小学生の娘に聞く母親・・・。

夏梨は思う『ナニを小学生に相談しているんだ、このおバカな母さんは・・・』と。

 

こんな感じで黒崎家はいつも騒がしい。

主に、両親によって・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃ、私は出かけてくるわね」

 

「ん?おふくろ、どっか出かけんのか?」

 

風呂から出て、頭をバスタオルで拭いている一護が出た時、真咲が玄関先にいた。

 

「町内会の集まりなの。ちょっとした会議だから、すぐに終わるわ」

 

「そうか」

 

一護が簡潔に返事をすると、真咲は笑顔のまま、踵を返した。

 

「じゃ、いってくるわね」

 

「おう。いってらっしゃい」

 

バタン

 

真咲が出かけるのを見送った後、一護は自室へ向かった。

 

(家の中でも、あんな風にしっかりすればいいのに・・・。家族の前だからか?)

 

フゥ、と溜め息を1つ零す。

一護の悩みとは?と聞けば、確実に『両親』と即答で出来るだろう。

 

「さて、と。軽く勉強して寝るか―――――」

 

そう思い、ベッドに腰掛けようとした時だ。

 

それは唐突に起きた。

 

1羽の黒アゲハが飛んできた。

 

「黒アゲハ・・・?コイツ、どこから入って―――――」

 

黒崎一護は幽霊が見える。

が、“死神”という存在は見たことも、出会ったことも、考えたこともない。

 

「・・・・・・・・」

 

そいつは机の上にいた。

黒い死覇装、腰に刀、小さな身長、凛とした目つき、黒い短髪―――――。

どこから、現れたのか、どうやってここにいるのか、わからない。

ただただ、唐突に現れたのだ。

 

「・・・な・・・」

 

彼と彼女が出会った。

 

「・・・・・・・・」

 

死神の彼女は机から降り立ち、一護の事を気にせず、歩いた。

 

「近い・・・!」

 

「『近い・・・!』じゃあるかボケェ!」

 

ズコン

 

一護は死神の彼女を蹴りつけた。

 

「随分と堂々とした泥棒じゃねえか!?この野郎!」

 

「???」

 

一護は怒っているが、当の本人は未だに状況が掴めてない様子だ。

 

「き、貴様・・・、私の姿が見えるのか・・・?」

 

「あ?何ワケのわかんねえこと言ってやがんだ?こうしてはっきりと見えてらぁ」

 

「バカな・・・。常人が私の姿が見えるだと・・・!?」

 

死神である彼女は狼狽える。

今まで、空座町に居て、一度も姿を見られたことはなかった。

なぜ、この少年が見えるのか、わからなかった。

 

「ったく、一体、何なんだよ、お前・・・」

 

「私は―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――死神だ」

 

これが彼と彼女の出会い。

今まで同じように過ごしていた日常は無くなり、非日常が絡み合うことになる。

 

外で1匹の化け物が高く吠える。

少年を求めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・そうか。その『ソウル・ソサエティ』とかいう所から遥々、悪霊退治にやってきたワケか。よし、信じよう!」

 

2人が出会って、少し経った。

死神の彼女は一護に自分の存在を説明した。

一護はそれを聞き入れ―――――

 

「・・・って、信じられるか!ボケッ!」

 

「なっ!?」

 

―――――は、しなかった。

死神の彼女は驚く。

 

「貴様、幽霊が見えるくせに死神の存在は信じぬというのか!?」

 

「当たり前だ。生憎、今まで死神は1度も見たことねーんだよ。目に見えないモンは信じない主義なんでね」

 

死神の彼女の説明も虚しく、一護は死神という存在は信じられなかった。

だが、心の奥底―――一護自身には気づいてないだろうが、そこでは微かに反応していた。

死神ということに、2つの力が確かに、反応していたが、一護は知る由もない。

 

「ったく、壁から出てきたから、人間じゃねーって所までは認めてやる。ただし、死神ゴッコはよそでやれ。クソチビ」

 

「(カチン!)」

 

一護のバカにした言葉に、死神の彼女は頭にきた。

 

「ほざきおったな・・・。『縛道の一・塞』!」

 

ビキン

 

「いってえ!?」

 

死神の彼女が口にした言葉―――鬼道によって、一護の腕は後ろで動けなくなる。

 

「て、てめえ・・・!?」

 

「フフ、動けまい!私はこう見えても、貴様の10倍近く生きておるのだ。それをクソチビだと?この戯けが」

 

「く・・・、この野郎・・・!」

 

「それから―――――」

 

瞬時、死神の彼女は真剣な表情になる。

そして、腰に差してある刀を抜いた。

 

「ちょっ・・・!?」

 

一護は斬られる!そう思ったが、死神の彼女は一護に目掛けてはなかった。

 

トン

 

一護の隣にいる、霊に向けて、柄の先を当てたのだ。

 

『い、嫌です・・・。地獄へは行きたくない・・・!」

 

「臆するな。お主が向かう先は尸魂界だ。地獄と違って、気安い処だ」

 

キュン・・・

 

霊は光に包まれ、消えた。

 

「ど、どうなったんだ・・・?」

 

「ソウル・ソサエティに送ったのだ。貴様らの言葉では『成仏』、我々、死神では『魂葬』。死神の仕事のうちの1つだ」

 

「・・・・・・・・」

 

一護は一筋の汗を流しながら、死神の彼女を真剣に見た。

 

「信じる気になったかどうかは・・・、訊くまでもないようだな。貴様のような阿呆の頭でも分かるように説明してやる。黙って聞け」

 

それから、死神の彼女は一護に説明をする。

今の出来事を、死神とは何たることかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――で、あるので・・・」

 

「ふあぁぁ・・・」

 

一方、真咲は町内会に出席してるのはいいものの、退屈であった。

会議とか、長々と人の話を聞くのは苦手である。

どちらかというと、自ら動き、話し、楽しむタイプだ。

 

(今頃、皆、何してるかしらね~)

 

暇な真咲の頭の中は家族のことを考えていた。

 

遊子ちゃんは洗濯物畳んでいるのかな、あ、私の靴下、穴空いてるんだった。

花梨ちゃんは多分、まだTV見てるんだろうな~、あ、ドラマ録画するの忘れてた・・・。

一護は勉強、捗ってるかしら、あ、借りた漫画返してないや。

お父さんは・・・、何してるんだろう?

 

・・・という感じで。

 

(とにかく、早く終わらないかな~)

 

町内会会長の話が長過ぎて、眠くなってきたのだ。

 

ふと、窓を見る。

月がとても綺麗に映っていた。

そして、視界に月を横切るように蝶が飛んでいくのが見えた。

 

「・・・黒アゲハ、か」

 

今のが黒アゲハなのか、他の虫なのか、わからない。

だが、暗さも相まって黒い蝶―――黒アゲハに見えたのだった。

 

(近くに、死神でもいるのかしらね・・・)

 

無事でいてください、名も顔も知らぬ死神さん。

 

真咲は祈るように、目を瞑った。

 

 

 

「zzz・・・」

 

・・・そして、眠ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『3分でわかる!死神の役目!』

 

「はじめまして、チャッピー1だよ~」

 

「チャッピー2だよ。これから、しにがみのやくめを、せつめいするよ」

 

「たましいには、2しゅるいのたましいがあるんだ~」

 

「1つは、プラスってよぶ、いいれいだよ」

 

「ぞくにいう、ユウレイだね~」

 

「もう1つが、ホロウってよぶ、あぶないれい、あくりょうだよ」

 

「ひとはもちろん、プラスもおそうんだよ~」

 

「それで、しにがみは、そのプラスをソウル・ソサエティにおくるんだよ」

 

「ホロウはたおすんだよ~」

 

「「わかったかな?」」

 

 

 

 

「―――――ということだ。わかったか?」

 

「・・・えーと、とりあえず、お前の絵が異常に下手な理由と、ムカつく紙芝居を作った理由を聞こうか」

 

「ふん!」

 

「ぐあっ!?」

 

一護は死神の彼女が投げたスケッチブックを顔面に食らった。

 

「いつつ・・・、ちょっと待て、お前がその任務でここに来たってことはその『虚』ってのは今この近くにいるってことか?」

 

「そうなるな」

 

「バカか!?じゃあ、こんな所でウロウロしてねえでさっさとソイツ片付けに行けよ!」

 

「いや、それが・・・」

 

一護が慌て、死神の彼女に行くように催促するが、歯切れが悪く答えた。

 

「先程からどういうわけか、そいつの気配を全く感じなくなってしまったのだ・・・」

 

「な、何だよ、それ。どういう・・・」

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

「!?」

 

突如、不気味で、馬鹿でかい吠える声が一護の耳に聞こえた。

 

(な、なんだ・・・今の・・・)

 

「まるで何か大きな力に阻害されているような・・・」

 

しかし、死神の彼女には聞こえていないみたいだった。

一護は一刻も早く、こいつに伝えようとした。

 

「おい!死神!」

 

「何だ?」

 

「今のスゲー声聞こえなかったのか!?ありゃ一体何の声だ!?」

 

「凄い声?そんなものいつ―――――」

 

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

「!?」

 

今度は死神の彼女の耳にも入ったようだ。

あの悍ましい声が。

驚き、一瞬身震いした。

 

(聞こえた!間違いなく、虚の声!)

 

しかし、死神の彼女はまだ疑問を持っていた。

それは、見えないフィルターのようなものがかかったように聞こえる感覚。

なぜ、このように、正常に聞こえないのか、わからなかった。

 

(いや、それよりも・・・、こいつは・・・、この声に私よりも早く気付いたというのか・・・!?)

 

死神の彼女は一護を訝しんで見る。

この少年は一体何者なのかと・・・。

しかし、そのような考えは一瞬でなくなる。

 

「きゃあ!!」

 

「!」

 

「遊子の声だ・・・!」

 

妹の遊子の悲鳴。

今は人命救助が先だと思い、死神の彼女はすぐに動いた。

 

「おい、待てよ!どこ行く!?さっきの声がやっぱり虚の声なのか!?」

 

「そうだ!私が片付けてくる!貴様はそこにいろ!」

 

「バカか!襲われてんのは俺の家族だぞ!?早くこの術解けよ!」

 

「何を言っている!?貴様が来ても何も出来ん!死人が1人増えるだけだ!私に任せて大人しくここに居ろ!」

 

激しい抗議をし、死神の彼女は扉を開ける。

 

ゴゥッ

 

「なっ・・・!」

 

扉を開けた瞬間、凄まじい霊圧が当たる。

なぜ、ここまで大きな霊圧が確認出来なかったのか、甚だ疑問である。

 

(私は一体、どうしてしまったのだ!?)

 

「い、一兄・・・、平気・・・?」

 

死神の彼女が自分がおかしくなってしまったのかと思った矢先、ズルズルと身体を引きづりながら、夏梨がやってきた。

 

「夏梨!」

 

一護から悲痛な声があがった。

 

「突然なんだ・・・。お父さんが背中から血を流して、倒れて・・・、あたしもユズも何かでっかい奴に襲われて・・・、一兄に知らせなきゃって・・・。一兄はあいつに見つかる前に・・・、逃げなよ・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

そのまま夏梨は目を瞑り、意識を手放した。

 

「大丈夫だ、気を失っただけだ。魂もまだ―――――」

 

ビキン

 

「!?」

 

嫌な音が聞こえ、死神の彼女はそちらへ目を向ける。

そこには、鬼道を解こうとしている一護がいた。

 

ベキン

 

「よせ!何をしてる!?」

 

ギシッ・・・

 

「やめろ!それは人間の力では決して解けん!」

 

ギギギッ

 

「ぅぉぉぉぉぉぉおおおお・・・」

 

「無理をすればお前の魂が―――――」

 

「おおおおおおおおおおおおおおああああああ!!!!!」

 

バキィ

 

一護の両腕が自由になった。

自力で鬼道を破ったのである。

 

それを見て、ルキアは唖然とした。

 

(バカな・・・。人間が鬼道を解くだと・・・?そんなバカな話聞いたこともない・・・!)

 

そのまま、息つく間もなく、一護は1階へと向かった。

 

ダッ

 

「っ!?待て!」

 

ルキアは一護の行動を止められず、見送ってしまった。

 

(奴は一体・・・!?)

 

 

 

 

 

 

 

(遊子!親父!)

 

一護は焦っていた。

自分の家族が襲われたと聞けば、誰もが冷静に行動出来なくなるだろう。

一護も例外ではなかった。

 

そして、見てしまった。

壁に出来た穴から。

『虚』という存在を。

 

『・・・・・・・・』

 

「っ!?こ、こいつが、虚・・・!」

 

ゾクッ

 

視界に入れた瞬間、悪寒が走った。

初めて見る物だった。

 

自分より優に超える巨体。

斑点模様の胴体。

灰色の無骨な腕。

鋭い爪、巨大な手。

そして、白い仮面。

 

一護の額から冷や汗が流れる。

 

(悪霊っていうから、人の姿しているとばかり思っているのに・・・、化け物じゃねえか・・・!)

 

本能的に恐怖が全身を包み込んだ。

一護は震える腕を抑える。

 

(怖くねえ!あんなやつ怖くねえぞ!幽霊なんて腐るほど見てきたんだ!あいつも所詮、幽霊じゃねえか!)

 

その時、一護は見てしまった。

虚の手に掴まれている、妹の遊子(大切な家族)を。

 

「遊子!!!」

 

「・・・おにいちゃん・・・」

 

「ああああああああああああああ!!!」

 

一護の冷静さは一瞬で無くなり、救おうと、バットを持ち、突貫する。

しかし―――――

 

『!』

 

ドゴッ

 

「げほっ・・・はっ・・・!?」

 

一護は虚の腕に振るわれ、吹き飛ばされる。

間一髪、バットで防いだが、バットは見るも無残にへし折れてた。

 

『・・・・・・・・』

 

ズ・・・

 

「!」

 

一護は気配を感じ、顔を上げる。

そこには、目の前で腕を振り上げている虚の姿が映し出された。

やられる・・・!そう思った瞬間だった。

 

ザン

 

『グオオオオオオオオオ!?』

 

死神の彼女が虚の腕を斬りつけたのだった。

その拍子に、遊子が虚の手から落ちるが、一護がキャッチした。

 

「遊子!大丈夫か、おい!」

 

「狼狽えるな小僧!貴様の家族は誰1人、奴に魂を喰われてはおらん!」

 

「誰1人・・・?」

 

「ああ、そうだ」

 

「ちょ、ちょっと待てよ!虚ってのは魂を喰うために人を襲うんじゃなかったのかよ!?それじゃ、あいつは何のためにウチの連中を・・・」

 

「・・・虚はより霊的濃度の高い魂を求めて彷徨っている・・・。そのために、無関係な人間を襲うというのは多々あることだ」

 

「・・・どういう・・・」

 

「―――私は・・・、死神が見え、鬼道を自力で破る人間など・・・。それ程に霊的濃度の高い魂を持った人間などは・・・、今までに見たことも聞いたこともなかった・・・」

 

一護は次に発する死神の彼女からの言葉を聞き、驚く。

 

「・・・恐らく、奴の狙いは―――――貴様だ!」

 

「・・・!」

 

同時に、一護は落胆した。

 

「・・・俺を狙って来ただと・・・?それじゃ、これは俺のせいだってことか・・・?家族が血だらけになってんのも・・・全部・・・」

 

「待て、私は別にそんなつもりで―――――」

 

ドゴォン!

 

死神の彼女は背後から忍び寄る虚に吹き飛ばされた。

 

『ハァァァァァァ』

 

「死神・・・!」

 

再度、虚は一護に襲いかかろうとする。

もう一護に守るものはいない。

だが、一護は虚を睨んだ。

許さない、という感情がわかった。

 

「・・・いいかげんに・・・しやがれ・・・!!!」

 

一護は虚の前で立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「く・・・、敵前で背後への集中を怠るとは・・・迂闊だった。無様な・・・」

 

壁に激突した死神の彼女だったが、なんとか、立ち上がる。

頭から血を流し、軽い脳震盪を起こしているかもしれない。

 

「!!!」

 

死神の彼女は目を見開く。

その時、死神の彼女が目にした光景が、異様だったからだ。

 

「よぉ・・・、お前・・・、俺の魂が欲しいんだろ・・・?」

 

虚の前にただの人間(・・・・・)が立ち塞がっていたからだ。

 

その人間、一護は虚に対して啖呵をきる。

 

「だったら、俺とサシで勝負しろ!他の連中は関係ねぇ!俺を殺して奪ってみろよ!」

 

「馬鹿者が!!!」

 

死神の彼女は駆け出した。

同時に、虚は大きく口を開け、一護を喰らおうとする。

一護は立ち向かおうとする。

 

三者三様の動き。

死神の彼女が間に合うのが先か。

虚が魂を喰らうのが先か。

ただの人間である一護が虚に抵抗出来るのか。

 

結果は・・・

 

 

 

バキン

 

 

 

虚の口の中に死神の彼女がいた。

そう、虚に喰われたのだ。

しかし、虚の歯の間に斬魄刀を割り込ませることで、飲み込まれるのを防ぎ、虚に傷を負わせた。

ただ、死神の彼女自身も重傷を負うこととなってしまった。

 

「な・・・!?」

 

『ゴアアアアアアアアアアアア!?』

 

ドサッ

 

一護は予想外の出来事に驚く。

虚は傷を付けられ、雄叫びをあげる。

死神の彼女は膝を地に伏せた。

 

「死神!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・この・・・たわけが・・・」

 

一護が心配する中、死神の彼女は満身創痍ながらも、一護に叱責する。

 

「貴様の力では敵わんということは先刻承知済みだろう・・・!それとも、自分の魂さえくれてやれば全て住むとでも思ったか・・・。どちらにしろ、たわけだ・・・!」

 

「・・・悪かった・・・俺はただ・・・」

 

一護は自分があまりにも軽率に、それこそ自殺行動に値することを、冷静になり感じ、酷く反省すると共に後悔した。

 

「気にするな・・・と言いたい所だが・・・、残念ながら、今の私では奴とは戦えそうもない・・・」

 

死神の彼女は身体を引き摺りながら、一護に非情な言葉を投げつける。

 

「このままでは全員・・・、奴のエサになるのを待つばかりだ・・・」

 

「・・・!」

 

一護は絶望する。

そして、自分を責め立てた。

 

(俺のせいだ・・・!皆、死んじまう・・・!)

 

「・・・・・・・・」

 

死神の彼女は一護のその様子を見て、意を決し、希望の言葉をかけた。

 

 

 

「・・・家族を助けたいか・・・?」

 

 

 

「あるのか!?助ける方法が!?教えてくれ!」

 

 

 

「貴様が・・・死神になるのだ!!!」

 

 

 

「何言ってんだ・・・そんなことが・・・」

 

 

 

「貴様がこの斬魄刀を胸の中心に突き立て・・・、そこに私が死神の力を注ぎこむのだ!」

 

 

 

「そんあことして、本当に・・・大丈夫なのか・・・?」

 

 

 

「・・・わからん。私も初めてだ。成功率は高くないし・・・、失敗すれば死ぬ・・・!」

 

 

 

「死・・・!」

 

 

 

「だが、他に方法は無いのだ!・・・迷っている暇もな」

 

 

 

(死ぬかもしれねえ・・・。けど、そうしなくちゃ、家族を助けられねえ・・・。家族を、救えるなら・・・、護れるなら・・・!)

 

 

 

「刀をよこせ、死神!」

 

 

 

「『死神』ではない。『朽木 ルキア』だ」

 

 

 

「そうか・・・、俺は、黒崎 一護だ。お互い、最後の挨拶にならないことを・・・祈ろうぜ」

 

 

 

『オオオオオオオオオ!!!』

 

 

 

「・・・いくぞ」

 

 

 

「・・・ああ」

 

 

 

ルキアの斬魄刀が一護の胸に突き刺さった。

 

ドン

 

途端にその場が光輝く。

尚、虚はその場へ向かった。

 

ザン

 

虚の腕が切断される。

呆気にとられる虚。

そこにいたのは―――身の丈ほどの大刀を抱え、死覇装を身に包んでいる一護だった。

 

「バカな・・・、全ての力を奪い取られてしまった・・・」

 

驚愕するルキア。

更に、一護が死神になったことで、ある疑問も解消される。

 

『そいつの気配を全く感じなくなってしまったのだ・・・』

フィルターのようなものがかかったように聞こえる感覚。

 

(あれはこいつのせいだったのか!あの部屋にはこいつから発せられる霊圧が満ちていた・・・。それが私の感覚を混乱させていたのだ・・・!)

 

ルキアの驚きは止まらなかった。

それは一護が手にしている斬魄刀だった。

 

(斬魄刀は個々の死神の霊力によって姿を変える。だが・・・あんなに巨大になったのは、私が知る限り、2人しか知らない!)

 

ザン

 

『ギィッ!』

 

一護は虚の身体を斬りつけていく。

そして、斬魄刀を天へと振り上げた。

 

「ウチの連中に手ぇ上げた罪を思い知れ!!!」

 

(コイツは本当に一体―――――)

 

ズガン

 

(―――――何者なのだ・・・?)

 

一護は虚を斬り伏せ、倒した。

 

 

 

名前:黒崎一護

髪の色:オレンジ

瞳の色:ブラウン

職業:高校生 兼 死神

 

 

 

 

 

 

翌日、朝。

黒崎家にて。

 

「しかし、奇跡だよな!トラックが家に突っ込んで一家全員無傷なんてな!」

 

「何言ってんの。おかげで犯人取り逃がしちゃったでしょ」

 

「私が不在の間にこんなことがあったなんて知らなかったわ~」

 

「あ、おにいちゃん、ご飯出来てるよ」

 

「・・・・・・・・」

 

一家全員で家の前にいた。

黒崎家の壁にはでっかい穴が空いていて、一心が簡易的にベニヤ板で塞げていた。

当然、こんな状況だと思いも知らない一護は唖然呆然。

 

(どういうことだ・・・?)

 

一護は死神になり、虚を倒した後は、気絶してしまっていた。

そして、ルキアはその場にいなかった。

 

(全員、傷は綺麗に消えているし・・・、家のダメージは事故のぜいだと思い込んでいる・・・。死神流のアフターケアってやつか・・・?)

 

一護の脳裏に浮かんだのは、あの傷ついたルキアの姿だった。

 

(あいつは・・・尸魂界とかいう所へ帰ったのか・・・?)

 

「よ~し、飯にするか~!」

 

一心の掛け声と共に、家族は家に入っていく。

一護は今考えても仕方がないと、一先ず、考えを頭の隅へ追いやった。

自分も中へ入ろうとした時、ジッと動かない真咲がいた。

 

「・・・・・・・・」

 

「おふくろ?」

 

真咲は一護の呼びかけに反応しない。

ジッと飛び散った壁の欠片と睨めっこしていた。

 

(この残留霊子は・・・紛れもなく・・・、虚・・・)

 

「おふくろ!」

 

「ひゃい!?」

 

「どうしたんだよ?ボーっとしてよ」

 

「あ・・・、ううん。なんでもないよ!それよりも、学校、遅刻しちゃうでしょ。早く、食べてきなさい」

 

「あ、ああ・・・。(もう遅刻してるんだけどな・・・)」

 

現在時刻は9時を回っていた。

既に1限は始まっているだろう。

 

(変なおふくろだな・・・)

 

一護は真咲を一瞥しながら、家の中へと入っていく。

そして、その背中を真咲は見ていた。

 

(一護の霊質が・・・変わっている・・・)

 

真咲は一瞬、死覇装を着た一護を見た感覚におちる。

しかし、それはただの幻覚だった。

 

真咲は哀しそうな表情をする。

 

「・・・本当は私たちの世界のことを知ってほしくなかったんだけど・・・。血筋、なのかしらね・・・」

 

そして、真咲は再び、空いた壁を見つめる。

 

(何が、滅却師よ・・・。肝心な時に役に立てなくて・・・、そのせいで、自分の息子が・・・!)

 

真咲は唇を噛み締めながら、呟いた。

 

「本当・・・、自分が嫌になる・・・」

 

 

 

to be continued.....

 




~~~おまけ~~~

京夜「おい!俺の出番が全く無いじゃねえか!?」

茜雫「いきなりキレてどうしたの?」

京夜「俺、この作品の主人公だよね!?なのに、何で1度も出てこないの!?主人公    あっての物語でしょうが!」

茜雫「別にいなくても話は進むし。っていうか、原作主人公に、オリ主が敵うと思って   いるの?主に、立場的に」

京夜「だからってよ~・・・。俺、皆勤賞だったんだぜ?1話に必ず俺が出てたんだ    よ?」

茜雫「まだ良い方でしょ。次回には出れるんだから。この原作主人公なんて、アニメで   も漫画でもしばらく出番なかったし、某銀パの万事屋なんて、本当に主人公なの   かって位、酷い扱いじゃない」

京夜「・・・それを言われたらな・・・。というか、ここは何なんだ?」

茜雫「なけなし的に主人公を出したかったんじゃない。私はおまけみたいなもので     しょ」

京夜「何だよそれ・・・。だったら、本編に出せって話だよ・・・。しかも、何の指示   もないから、何すればいいかわかんねえし・・・」

茜雫「ん~、じゃあ、何か問題出しますか!」

京夜「問題?」

茜雫「問題!この作品の中で初めて卍解した人はだれでしょうか!」

京夜「え、それって・・・」

茜雫「ストップ!京夜に問題出したんじゃなくて、読者の皆の問題だよ!」

京夜「な、なるほど・・・。危ねえ、答える所だった」

茜雫「ちなみに、原作ではマユリの斬魄刀が卍解したよ」

京夜「そうだったな。当時の読者は卍解と聞いていて、wktkしていたというのに、箱を   開けたら、ビックリ!トラウマ並みの異形な化け物だったんだよな」

茜雫「まあ、マユリの卍解じゃね~・・・。でも、その後、出た、白哉の卍解で盛り上   がったよね」

京夜「卍解同士の一護VS白哉は本誌の中でも、歴代人気戦闘シーン、トップ3に入っ   てるからな」

茜雫「っとと、それはどうでもいいとして!皆、問題に答えてね!正解した暁には~」

京夜「暁には?」

茜雫「なんと!『茜雫ポイント』が5ポイントもらえます!」

京夜「ポイント制!?茜雫ポイントとは何だ!?どんな効果だ!?いつ発動する!?」

茜雫「10茜雫ポイントが溜まれば、作者と読者の皆が笑顔になるよ!」

京夜「ノルマ達成か・・・(茜雫ポイントで・・・皆に・・・笑顔を・・・)」

茜雫「何言ってるの?そういうネタいいから」

京夜「・・・じゃ、次回はいつになるかわかんねえけど、待っていてくれよ~(こい    つ・・・)」

茜雫「じゃ~ね~!

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