BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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皆さん、大変遅くなりました。
やっと更新できたと思ったら、あんまり進まなくて驚きの作者です。

さて、今回はロリ好きには堪らない、雀蜂たんが出ます。
ただ、話し方が変かもしれません。
というか、雀蜂って、けっこう出番少なかったイメージなんですよね・・・。
声は可愛いんですけど。

アニメを観てない方はわからないかもしれませんが、どうぞご覧ください。


斬魄刀に意味がある3

「・・・で?何で覗いてたんだ?」

 

「ふん。貴様に奇襲をかけようとしていたんだが、興味深かったからな」

 

砕蜂は茂みから身を乗り出し、そこから出る。

そのまま、俺の元へと歩いてきた。

 

「砕蜂が興味を持つなんて珍しいな?」

 

「他人の斬魄刀の精神世界へ行けるなど、誰でも興味を持つと思うが?―――――饅頭頂くぞ」

 

「あ、てめっ!」

 

俺の隣へ腰かけたと思ったら、何の気なしもなく、饅頭を頬張る。

 

こいつ・・・、勝手に食べやがって・・・。

 

「別にいいじゃないか。ケチくさいぞ」

 

「はぁ・・・。話を戻すけどよ、興味を持ったからって、やり方とか教えねえぞ。というか、教え方とか知らないし」

 

「教えなどいらん。他人の斬魄刀と話して何の得がある」

 

そう言われると何も返せないな。

死神と斬魄刀の仲を取り持つのはいいけど、結局はボランティアみたいなものだ。

でも・・・、それが俺にとっていいことだと感じている。

 

「お前には私の斬魄刀『雀蜂』と話してもらおうと思う」

 

「ええっ!?」

 

これには驚いた。

だって、あの砕蜂が頼みごとをするなんて!?

 

「なんだ?なぜ、そんなに驚く?」

 

「いや・・・、砕蜂が俺に頼むなんて・・・。ちょっと、予想外でよ・・・」

 

「ち、違う!誰がお前如きに頼みごとをするか!私はただ、どのように斬魄刀と会話をするのか、近くで感じたいだけだ!」

 

焦って、訂正する砕蜂。

その頬はほんのり赤い。

焦っている所がまた怪しいな。

 

「あ、あと、前もって言っておくが、雀蜂と最近話してないからとか、意見が噛み合わないからとか、そういうのは関係ないからな!勘違いするなよっ!」

 

「・・・・・・・・」

 

・・・あ、この子、バカだ。

素で本心言っちゃったよ。

 

「うん、そうか、そうか。じゃあ、早速雀蜂と話そう」

 

「な、なんだ!?その生暖かい目は!?」

 

いやね・・・、こんなのが隊長だと思うとね・・・。

自然とそうなっちゃうよ・・・。

 

砕蜂は雀蜂を俺に渡した。

俺は意識を集中し、意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?ここは・・・」

 

目を開けた俺は木の枝に座っていた。

周りを見渡すが、何もない。

俺が座っているこの木だけだ。

 

「これは・・・、何だ・・・?」

 

木の幹に繋がっている、木で作られた小さなトンネル。

入口は、目の前では大きいが、木の幹に近づく毎に小さくなっていく。

 

なんか、ドラ〇もんがこんな道具を出しているのを見たことがあるような・・・。

なんだっけ、名前。

ガリバー、なんとかだった気がする。

 

「とりあえず、中に入っていくか」

 

他に行く所ないし。

俺はそのトンネルに入っていった。

 

「・・・あ、光が見える」

 

少し歩くと、前方から光が見えた。

光の先へ歩くと、俺は不思議な感じがした。

 

「・・・女の子の家だ」

 

入ると漂ってくる、メープルのほんのり甘い香り。

星をデザインしたベッドや、ハートのクッション、綺麗な白い机や、可愛らしい緑のタンス。

てっきり、巣穴みたいなものかと思ったが、違うみたいだな。

灰猫の時は普通の家で、質素だったが、こっちは色々着飾られていい。

ただ、広さが違うな。

灰猫の家は2階建てだったが、こっちはなく、1DKしかない。

 

「ん~?誰かいるの~?」

 

奥から女の子の声が聞こえた。

当然、それが誰だかわかってる。

 

女の子は俺の姿を見て、驚いていた。

 

「あれ~?あんたは確か・・・鬼柳院京夜、だっけ?」

 

女の子は雀蜂だ。

茶髪でツインテール、少しツリ目だが、顔が整っているから、怖さはない。

寧ろ、可愛い。

白い肌に、蜂模様のズボンをはいている。

 

そんな雀蜂の手には、大きめの瓶。

中身は棒状のアイス。

 

「ああ、そうだ。初めましてだな」

 

恐らく、俺のことは大まかに知っているみたいだ。

砕蜂が何か話したのかもな。

 

「なんで、私の部屋にいるわけ~?」

 

「俺は他人の斬魄刀の精神世界へ潜り込める力があるからだ」

 

「ふ~ん」

 

そう言いながら、アイスを舐める雀蜂。

 

ありゃ?あんまり驚かないんだな。

てっきり、こういう子は驚くと思ってたんだけどな。

 

「あのさ、さっきから気になってたんだが・・・」

 

「なに~?」

 

「何食べてんだ?」

 

「アイスよ。蜂蜜アイス」

 

アイスを咥えながら、前後へ動かす。

う~む・・・、何か美味しそうだな・・・。

 

「・・・いる?」

 

「いいのか?」

 

「いいよ、1本くらい。たくさんあるし~」

 

じゃ、お言葉に甘えて。

俺は1本貰い、アイスを食べた。

 

「おおっ!これは美味い!」

 

「えっ?ほ、本当に?」

 

「ああ、美味いよ、これ!ほんのり甘いし、アイスの冷たさがまたいい!」

 

これは今まで食べてきた中で一番美味い!

まさか、この世にこんなに上手い食べ物があったとは・・・。

俺のグルメ細胞が唸っているぜ!

 

「・・・初めて」

 

「ん?」

 

「初めて、褒められた・・・」

 

雀蜂は驚きと笑顔が混じった、少しもどかしい表情をしていた。

 

「あんたが初めてよ。アイスを褒めてくれたの・・・」

 

「えっ?こんなに上手いのにか?」

 

「うん。私の主は和菓子しか食べないのよ。アイス出しても、「そんなものは好かん!」って言われるし」

 

「そ、そうか・・・」

 

「ってか、主以外にここに来たのはあんたしかいないしね。だから、初めて褒められて嬉しいな」

 

今度は綺麗な笑顔を見せてくれた。

子供のような純粋無垢な笑顔。

少し、ドキッてしてしまった。

 

「あ~、え~、と。あっ、ここに入る前にトンネルのようなものがあったんだが、あれは何だ?」

 

照れ隠しの要領で、話題を変える俺。

それも含めてだが、気になったんだよ、あのトンネルが。

 

「あ~、あれね。あれはね、入っていくと、身体が小さくなっていくの」

 

「あ、だから、身長が同じ・・・」

 

今頃だが、雀蜂と俺の目線がほぼ同じ。

詳しく言うと、雀蜂の方がやや小さいくらい。

俺の腕に収まりそうだ。

 

「私は身長がミニマムだからね~。誰かと話す場合にはあそこを通ってもらわなくちゃちゃいけないの」

 

「成程、納得」

 

あのトンネルは大きくなったり、小さくなったりできるのか。

すげえな。

 

さて、話もそこそこ済んだし、本題へ移るか。

 

「なあ、雀蜂」

 

「・・・・・・・・」

 

プイッと背けてしまった。

え?どうしたんだ?

 

「ど、どうした?」

 

「私、その名前あんまり好きじゃないの」

 

「自分の名前だろ?」

 

「嫌ってら、嫌なの。だって、蟲みたいじゃん・・・」

 

た、確かに実際に存在はするが、それはどうなのだ・・・?

解号する時、いつもそう呼ばれているだろ。

 

「・・・じゃあ、なんて呼べばいいんだ?」

 

「ん~と、ハニーって呼んで!」

 

ハニー、ねえ・・・。

蜂を英語にしただけじゃないか?

 

「じゃあ、ハニー」

 

「な~に?♡」

 

なんだ、そのハートは。

 

「砕蜂のことをどう思っている?」

 

「主のこと?ん~、あんまり、良くは思ってないかも」

 

考えるってことは、灰猫のように名前を出しただけでも嫌う程ではないかもな。

まだそこまで嫌ってないのかもしれない。

 

「なぜだ?」

 

「だってさあ、けっこう堅気じゃん?それに、女の子らしくないし」

 

「あ~・・・」

 

それは俺も分かる。

お前、本当に女か?って思う時があるからな。

でも、顔だちはいいんだよな。

ちょっと、勿体ない。

 

「でさでさ~、聞いてよ~。他にもあってさ~」

 

「お、おう」

 

ん?この展開・・・。

なんか、嫌な予感がするような気が・・・。

 

~~~30分後~~~

 

「―――――それでね、全然、私の言うこと理解してくれないの!女の子なんだから、もっとオシャレしないといけないよね」

 

「・・・うん」

 

「考え方がさ~、古いんだよね。あんなんじゃ、男一生出来ないよ」

 

「・・・うん」

 

「ね~、聞いてるの~?」

 

「き、聞いてるぞ!?うん、ちゃんと、聞いてるからっ!」

 

こんなやり取り、何回目だろう・・・。

30分間、一方的に喋りまくってる・・・。

訂正、雀蜂ちゃんも、不満たっぷりです!

 

しかし、これ以上、聞いてたら、埒があかない。

ここは何とかして話題を変えよう!

 

「あ、あのさ、ハニー」

 

「ん~?」

 

「アイス、本当に好きなんだな」

 

もうかれこれ30本は食べてる。

流石に食べ過ぎだと思う・・・。

 

「アイスが好きなんじゃなくて、蜂蜜が好きなの」

 

「ということは、この部屋から香る匂いは・・・」

 

「蜂蜜~」

 

芳香剤とかじゃなくて、蜂蜜かよっ!?

通りで甘い匂いがずっと匂ってる訳か・・・。

 

「それに、蜂蜜は私の主食だしね~」

 

「・・・まさか、朝昼晩、蜂蜜ってことは・・・」

 

「おおっ!よくわかったね!そうだよ~」

 

な、なんという、不健康な食生活・・・。

これは、調教しなくてはマズイ!

 

「今すぐ止めた方がいいな・・・」

 

「え~!?なんでっ!?」

 

「不健康すぎる。そんなんじゃ、成長しねえぞ」

 

「ガーン・・・」

 

俺の言葉がショックだったのか、雀蜂はorzの状態になってしまった。

 

「そんな・・・、蜂蜜は栄養価高いって聞いたのに・・・」

 

「いや、確かに高いけどよ・・・。ちゃんと、栄養バランス考えろよ」

 

蜂蜜は栄養価高いが、それは他の食材と一緒に使うことで、発揮するんだ。

よく、カレーやトーストとかに使うだろ?

皆も、料理を作る時は蜂蜜を隠し味に使おう!

おススメはヨーグルトだ!栄養満点だよ!

京夜の豆知識お終い!

 

「ねえ!?身体が成長しやすい料理って作れる!?」

 

「え・・・、まあ、栄養バランスが取れた料理は作れるが・・・」

 

「本当っ!?じゃあ、作って!」

 

雀蜂は必死の形相で俺に詰め寄ってきた。

 

なんという急展開。

灰猫では掃除をし、雀蜂では料理をしろというのか・・・。

 

「わ、わかったから。少し離れろ」

 

「本当っ!?やったー!」

 

おーおー、無邪気に喜びやがって。

焔を見てるみたいだ。

 

さ~て、何を作ろうかね・・・ん?

 

「・・・なあ、ハニー」

 

「な~に?」

 

「料理をした経験は・・・?」

 

「私、料理しないよ」

 

ワオ・・・、何のための台所なんだか・・・。

なぜ、俺がそのことに気付いたのかというと、シンクが汚れてないからだ。

あと、食器も出てなくて、全部棚にしまってある。

これで、わかった。

 

「はぁ、蜂蜜ばっか食べているのが、別の理由で理解したかも・・・」

 

「いいから、早く作ってよ~」

 

「へいへい、待ってろ」

 

え~と、冷蔵庫の中は、っと・・・。

大瓶に入ってる蜂蜜が、1、2、3―――――10は越えてるな・・・。

どんだけ好きなんだよ。

まあ、野菜とかあったから、なんとかイケる。

というか、野菜しかない。

 

「何で、肉や野菜がないんだ?」

 

「動物さんやお魚さん、可哀想じゃん」

 

いや、野菜も生き物だからね・・・。

仏教とか習った方がいいんじゃないか?

 

とりあえず、あるだけの材料で作るか。

 

~~~京夜、料理中~~~

 

「クンクン・・・。何かいい匂い・・・」

 

「もうすぐ出来上がるぞ」

 

「わーいっ!」

 

と言うのと同時に出来上がりました。

皿に盛りつけて、茶碗にご飯をよそって、お椀に味噌汁入れて、はい完成。

 

「ほら、出来ました。あんかけ野菜炒めだ」

 

「おお~!」

 

もっとマシな料理を作りたかっただが、肉と魚がなく、短時間で作れるっていうから仕方なく、野菜炒めだ。

でも、この程度の料理で喜んでくれるとはな。

作ったかいがあるもんだぜ。

 

「食べていい!?ねえ、食べていい!?」

 

「いただきますをしてからだ」

 

「いっただきま~す!」

 

「召し上がれ」

 

雀蜂は一口食べる。

すると、みるみる目を大きくし、笑顔になった。

 

「スゴイ!スゴイ美味しいよ!」

 

「ありがとう。口に合って良かった」

 

続いて俺も食べる。

うん、我ながら美味い。

雀蜂はどんどん箸を進める。

 

「そんな慌てて食べなくてもいいだろう」

 

「だって、美味しいんだもん!」

 

「全く・・・。あーあ、口元汚れてるぞ」

 

「ほぇ?」

 

「ほら、拭いてやるから」

 

俺はふきんを手に取り、雀蜂の口元を拭く

 

「あぅ」

 

「・・・よし、綺麗になったぞ」

 

「・・・テ、テヘへ。なんか、照れちゃうな・・・」

 

恥ずかしそうに頬を赤くしながら、照れ笑いをする。

うっ・・・、その笑顔は反則だろ・・・。

続けて、雀蜂は嬉しそうに話してくれた。

 

「あのね、私、こういうことやってもらうの、初めてなんだ」

 

「そうなのか?」

 

「うん。料理食べたのも、料理作ってくれたのも、アイス褒めてくれたのも初めて。それと-----」

 

「それと・・・?」

 

「こうやって、長く会話したのも初めて!」

 

・・・そうか、雀蜂にとっては俺がしたことは何もかもが初めてだったのか。

ったく、砕蜂は何やってんだよ。

もっとコミュニケーション取れよ。

問題があったのは、雀蜂じゃなくて、砕蜂の方だったのかもな。

 

「ねえねえ」

 

「ん?」

 

「はい、あ~ん」

 

「えっと・・・」

 

話しかけたと思ったら、急にそんなことをしてきた。

 

「一度やってみたかったんだ~。はい、あ~ん」

 

「そ、そうか。んじゃ、あ~・・・」

 

パクッと雀蜂からの、「はい、あ~ん」を頂く。

うん、普通に美味い。

 

「美味しい?」

 

「ああ、美味いぞ」

 

「フフフ!また初めて1つ増えた!」

 

楽しそうにしてるな~。

こっちまで和む。

 

「なら、こっちもお礼だ。はい、あ~ん」

 

「え!?してくれるの!?」

 

「当たり前だろ」

 

「わーいっ!いただきますっ!」

 

雀蜂もパクッと一口。

 

「どうだ?」

 

「・・・うん、美味しいよ!でも、ちょっと、は、恥ずかしいね・・・」

 

軽く俯きながら、頬を赤く染める雀蜂。

まあ、初めてやるんだからしょうがないよな。

 

「2回目!はい、あ~ん」

 

「またやるのか?」

 

「なんか、いいんだもん!」

 

「わかったよ」

 

パクッ

 

「次は俺だ。ほれ、あ~ん」

 

「あ~・・・」

 

パクッ

 

といった感じで、俺と雀蜂は料理を食べさせあった。

雀蜂は食べ終わるまで、頬が赤かったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~、お腹いっぱ~い」

 

「料理って素晴らしいだろ?」

 

「うん!今度から私も料理に挑戦しようかな!」

 

俺と雀蜂は食後の休憩を取っていた。

うんうん、料理の素晴らしさが伝わってよかったよかった。

 

「あのさ、1つお願いしてもいいかな?」

 

「お願い・・・?」

 

急にどうしたんだ?

無茶なお願い以外だったら聞くけどよ。

 

「えっとね、そのぅ・・・」

 

指をツンツンしながら、モジモジとする雀蜂。

なんだ、この小動物は。

 

「・・・お、お兄ちゃんって、呼んでもいいかな?」

 

「お、お兄ちゃん!?」

 

予想外で、驚いた。

まさか、俺のことをお兄ちゃんと呼ぶ奴が、焔以外にいるとは・・・。

 

「だって、私にたくさんの初めてを教えてくれたし、料理もできるし、話しててお兄ちゃんぽかったからさ」

 

「あ~、そういう・・・」

 

「ダメ、かな・・・?」

 

ぐっ、なんだ、その上目使いは・・・!?

こんな頼み方されて、断る奴は人間じゃねえな。

あ、俺、人間じゃなくて、死神だった・・・

まあ、断る理由もないからな。

 

「いいぞ」

 

「本当っ!?やったー!ありがと、お兄ちゃん!」

 

うーん、なんだろう、この感じは・・・。

妹が2人できた気分だ。

焔が長女だとすると、雀蜂は次女か?

そんなことはどうでもいいか。

 

雀蜂は徐に立ち上がった。

 

「お兄ちゃんに私のとっておきの秘密を教えちゃうね」

 

「秘密・・・?」

 

「実は、私・・・、これが本来の姿じゃないんだ」

 

「は・・・?」

 

いやいや、何を言ってるんだ、この子は?

目の前に見えているのが、紛れもなく雀蜂だろ。

や、やめろよな、そんなホラーな展開は・・・あるわけ・・・

 

すると、雀蜂は押入れを開け、金色に光る何かを取り出した。

 

「それは・・・?」

 

「武器だよ。ほら、主がさ、始解したら、こんな感じの武器になるでしょ?」

 

あ~、あの鋭くなっているあれな。

 

「これを右腕に嵌めて・・・んしょ・・・はい、これが私の本来の姿」

 

見ると、アニメに出てきた姿だった。

そうか、さっきまではその武器がなく、腕をさらけ出してたもんな。

自然すぎて、気づかなかったぜ・・・。

って、その武器取り外せんのかよ!?

アニメじゃなかったじゃん!?

 

「これ、私生活だと邪魔なのよ~。だから、ポーイッと」

 

その武器は押入れにすぐにしまわれた。

なんだ、身構えて損しちまったよ。

ホラーじゃなくてよかったぜ・・・。

 

そう俺が安心していたら、雀蜂が飛び掛かってきた。

 

「お兄ちゃんっ!」

 

「え?おわっ!?」

 

「へへ~、膝の上に座ってみたかったんだ~」

 

「ったく、好きにしろ」

 

そうして、雀蜂は俺の膝の上で堪能する。

 

う~ん、しかし、こう見ると、本当に俺の腕に収まりそうだな。

 

俺は雀蜂のお腹に両手を回し、軽く抱いた。

 

「ひあっ!?お、お兄ちゃん!?どこ触って・・・」

 

「いや~、雀蜂が妹みたく可愛くて、つい」

 

「か、可愛い・・・」

 

俯き、顔を真っ赤にしちまった。

頭から湯気が出てるみたいだ。

 

ちょっと、不躾だったかもな。

それに、肌触られるのは嫌だろうしな。

怒っちまったかな・・・?

 

「あ~、悪いな。嫌だろうから、やめ-----」

 

「う、ううん。いいよ、そのままで・・・。それに、初めてなのに、嫌じゃない・・・」

 

肌と肌を触れ合うのが初めてか・・・。

砕蜂はけっこう雀蜂に冷たくしてたんだと思う。

 

すると、雀蜂は背中を俺の胸に預けた。

そして、俺の手に重ねるように手を添えた。

 

「・・・なんでだろう・・・、身体がポカポカする」

 

「ああ、俺もだよ」

 

そう言いながら、俺は雀蜂の頭を撫でる。

それが気持ちいいのか、目を細めている。

 

「ねえ、お兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「お話して。色んなこと」

 

「ん~、現世の話とか?」

 

「うん、それでいい。話して話して」

 

それから俺は雀蜂に自分が体験した様々なことを話した。

雀蜂はそれを興味深そうに聞きながら、頷いている。

その間は、ずっと雀蜂を抱きしめたままだったな。

雀蜂もまた、俺の手をぎゅっと握っていた。

 

まるで、兄妹のようで、心が温まるな・・・

 

それからしばらく経ったんだが・・・。

 

「う~ん・・・」

 

「眠いのか?」

 

さすがに、ずっと話を聞いているのは無理だろうな。

雀蜂は目を擦りながら、欠伸を溢していた。

 

「・・・だいじょうびゅ・・・ムニャ・・・」

 

「相当眠いだろ」

 

あーあ、涎が垂れかかってるぞ。全く・・・

頭もカックンカックンしてて、限界がきてるな。

 

「ほら、もう寝ろ。俺に頭を預けて」

 

「・・・そうする~・・・おやすみ~・・・」

 

Zzz・・・

 

一瞬の内に雀蜂は寝てしまった。

寝顔が可愛くて何よりだ。

 

「・・・お兄ちゃん・・・ンミュ・・・」

 

そう寝言を言いながら、俺の手と服の袖をギュッと握る。

 

・・・なんか、いいな、こういうの。和むわ~。

 

「ふぁ~。俺も眠くなってきちまったな・・・」

 

人が寝ているのを見ると、つられて自分も寝むたくなってしまうのは、何でだろうな?

 

俺は雀蜂の温もりを感じながら、寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――や―――ぅや-----京夜!」

 

「パチッ」

 

俺は砕蜂の声に起こされ、目を覚ました。

あ、元の世界に戻ったのか。

もうちょっと、あの温もりを味わいたかったな~。

 

「全く、急に意識を失くすものだから、心配したぞ。何度呼んでも起きないしな」

 

「ふぁ~・・・、そうだったの。悪かったな」

 

「なぜ、そんなに眠そうなんだ・・・?」

 

「ん~、まあ、色々あったからな」

 

てか、さっきまで寝かけてたし。

あ、そうだ、砕蜂には少し雀蜂に関しては指摘しなくちゃな。

 

「ハニー・・・雀蜂と話したんだが・・・」

 

「おぉ!ほ、本当に話せたのか!?それで、どうだったんだ!?」

 

・・・こいつ、完全に俺を信じてたわけじゃねえんだな。

 

「ん~・・・雀蜂が悪いよりも、砕蜂に問題がある感じだな」

 

「なっ!?」

 

信じられず、驚愕する砕蜂。

そりゃそうか。自分が正しいと思ってたんだもんな。

 

「砕蜂は雀蜂とどのくらい話す?」

 

「10分程度だ」

 

「はぁ・・・。少なすぎる。もう少し会話しろよ。俺はそれ以上にたくさん話したぜ」

 

「なぁっ!?」

 

砕蜂の問題点、それはコミュニケーション能力が低い、ということだな。

多分、砕蜂と雀蜂では趣味や性格等で、それがあるんだろうけど、それを踏まえても、会話位しろよ。

 

「だ、だが、何を話せと言うのだ!?あいつは服装がどうとか、男がどうとか下らんこと言って、私には理解できん!」

 

「バーカ、別に会話だけじゃなくても、仲よくなれる方法はあるだろうが」

 

「え・・・?」

 

「例えば、料理とか。雀蜂、喜んでいたぞ。初めて料理作ってもらったって。初めて料理を食べたって。初めてたくさん話したって」

 

「そ、そんなことを・・・」

 

軽くショックだったのか、砕蜂は俯いてしまった。

そんなに、落ち込むことはない。

誰にだって、得手不得手はあるもんだからな。

 

「別に料理じゃなくたっていい。囲碁とか将棋とか。とにかく話すきっかけを作ればいい」

 

「きっかけ・・・」

 

「そこから、話は膨らんでいくから。雀蜂は何にでも興味を示すし、明るくて素直だ。砕蜂から一声かけてやれば、盛り上げてくれるさ」

 

「そ、そうだろうか・・・」

 

いつになく、自信がないな。

全く、世話が焼ける。

 

「大丈夫だ、砕蜂は俺が認めたライバルだからな」

 

「!」

 

バッと顔を上げる砕蜂。

よしよし、元気になったみたいだな。

ただ、頬をなぜ、染める・・・?

 

「バ、バカか、お前は!別に認めても、私は認めんぞ!」

 

「あ~、はいはい、そ~ですか~(棒)」

 

元気に戻ったらすぐこれだ。

面倒な奴。

 

あ、そういえば・・・。

 

「くっ、お前という奴は・・・」

 

「あ、そうだ、砕蜂」

 

「な、なんだ・・・?」

 

「茜雫を助けるのに、手伝ってくれてありがとな。しかも、厳龍の部下を倒したんだってな」

 

「ま、まあな!私の力があれば、あんなの敵ではない!」

 

気分を良くしたみたいだ。

俺はそんな砕蜂の頭を撫でた。

 

「すげえよ。それと、ありがとな!」

 

「~~~~~~っ!」

 

あり?顔を真っ赤にしたと思ったら、大人しくなっちまった。

今日はそこまで暑くはないはずなんだけどな。

 

「ハフゥ・・・(こ、これは、クセになりそうだ・・・)」

 

「砕蜂?」

 

「ハッ!?な、何をする!?ふ、触れるなっ!?」

 

砕蜂は俺の手を慌ててどかす。

せっかく、俺が気遣ってやったのに・・・

だが、顔が真っ赤だから、相当恥ずかしかったんだろうな。

 

「きょ・・・」

 

「きょ?」

 

「今日はこれで帰る!今度会う時は必ずお前を倒すからな!」

 

そう言い残し、砕蜂は帰ってしまった。

はぁ、また俺を襲撃するのか。

懲りない奴。

 

「まだこんな所にいたのか」

 

「海燕さん」

 

砕蜂が帰るのと入れ違いに、海燕さんが現れた。

どうやら、俺を探してたみたいだ。

 

「仕事だ。この書類を五番隊に持って行ってくれ」

 

「え~、俺がやるんですか?」

 

普通、そういうのって、席官のやる仕事じゃないような・・・。

 

「他の奴らが出払ってんだ。それに、重要な書類だから、席官の京夜に任せんだよ」

 

「・・・は~い。わかりましたよ」

 

俺は渋々、書類受け取り、五番隊へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?・・・あれ?お兄ちゃん?」

 

雀蜂が目を覚ました頃には京夜の姿がなかった。

 

「あ~、もしかして、戻っちゃったのかな~。お仕事とかあるだろうし・・・」

 

若干、寂しそうな表情をする雀蜂。

また1人だ。

 

「今日は色んなことが初めてだったな~。お兄ちゃんと出会えて良かった」

 

今日のことを振り返る。

全てが雀蜂にとって初めてであり、貴重な経験だ。

 

「・・・お兄ちゃん、温かかったな~。それに、優しいし、私の話ちゃんと聞いてくれるし、こんな私を可愛いって言ってくれたし・・・」

 

京夜の姿、表情を思い出し、自然と顔が熱くなるのを感じた。

 

「はぁ・・・、お兄ちゃんに会いたいな・・・」

 

机の上に頭を寝かせ、ため息を1つ。

雀蜂にとって、京夜の存在は大きかった。

 

「・・・本で書いてあったけど・・・、これが”恋”ってものなんだろうな~・・・」

 

改めて自分の心を探る。

そして、今気づいた。気づいてしまった。

 

いつの間にか、京夜を好きになってしまったのだと。

 

「・・・今度会った時は、もっと積極的なろうかな。あ、料理とかしてみようっと。京夜、喜ぶかな~」

 

恋する乙女は、好きな異性のために、やっと自分から動き出そうとしていた。

 

その後、京夜の話で砕蜂と雀蜂が仲良くなるのは、また別の話。




いかがでしたでしょうか?

作者の独断と偏見で、兄弟愛染みたことを描写したつもりです。
前回が前回でしたからね。
今回はほのぼの。

さて、次回は五番隊に行くのですが、誰に会うかわかりますかね~。
あ、ヨン様には会いませんからご安心を。

では、最後に、斬魄刀異聞編を見るべし!
村正かっこいいよ!

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