BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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お久しぶりです。

ようやく投稿できました!

もう1つの小説が長くて長くて、区切りがつかず、こんなに空いてしまいました。

さて、気を取り直して、題名でもわかるとおり、原作崩壊、つまり、海燕が生きる話です。

京夜の始解が見えるという感想をもらいましたが、残念ながら、まだしませんよ。
もう少し先でございます。

では、どうやって、救うのか、それは、見てのお楽しみ~~~!


原作崩壊させることに意味がある

緊迫した時間が流れる。

 

時刻は夜、場所はとある森林の中にある洞穴の前。

 

そこに、1体の虚がいる。

そう、先日に海燕さんの妻、都さんを殺した虚だ。

 

俺、ルキア、海燕さん、浮竹隊長はその虚を木の上から見下している。

 

「海燕殿、まずは私が出て様子を・・・」

 

ルキアが構えて虚に向かおうとしたが、海燕さんは前に出て、妨げる。

 

「隊長」

 

海燕さんは決意を込めて言い放つ。

 

「俺1人で行かせてください」

 

 

ルキアは呆然としていた。

俺は、やっぱりか、と目を伏せた。

 

都さんの仇討ちだと思うから、1人でやりたいんだと思う。

・・・でも、この戦いで海燕さんが死んでしまう。

 

「・・・ああ」

 

浮竹隊長は静かに了承した。

 

俺は何も言えず、海燕さんの後ろ姿を見ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

虚と海燕さんが対峙する。

 

動けなかった・・・

死んでしまうとわかっていても、海燕さんと長く過ごしていたから、わかる。

 

こういうことに邪魔をしてしまうと、海燕さんは絶対に許さない人、だって。

 

でも、海燕さんを生かしたい。

俺はどうしたら・・・

 

「ひひっ!ひっ!まずはお前からか!小僧!」

 

「・・・戦う前にオメーに訊いておきたいことがある」

 

虚の挑発に乗らず、海燕さんは冷静だった。

 

「今迄に・・・何人の死神を喰らった?」

 

「・・・はて、何人かのう?ひひっ、悪いが数まで覚えちゃおらんよ」

 

こいつは、どんだけ死神を殺したんだっ!

 

俺は拳を握りしめた。

震える拳から血が流れてた。

 

「それを・・・1度でも悔いたことはあるか?」

 

「―――――・・・」

 

虚は少し考えていた。

やがて、口を開く。

 

「・・・愚問じゃのう、小僧。儂とてぬしらと同じ心は有る」

 

確かに心はある。

が、それは悲しさや苦しさ、同情などといったものはないと思う。

 

続けて、虚は話す。

 

「死神を喰ろうて悔いぬ夜などあるものか・・・。今とてそうじゃ・・・。昨夜のことをくいておる・・・!」

 

虚は霊圧を上げ、叫ぶ。

 

「昨夜、喰ろうた女の死神の!乳から上を喰い損ねたことを!!悔いておったところだ、小僧!!!」

 

こいつ・・・何が心があるだよ!

そんなの心なんかじゃねー!

 

この、クソ野郎が!!

 

「ひひひひひひひひひひひひひひっ!!!」

 

「・・・そうか」

 

虚の笑い声を遮るように海燕さんは静かに答えた。

 

その瞬間だった。

 

オアッ

 

海燕さんは虚よりも高い霊圧をだし、虚に迫る。

 

(来るか・・・。来い!来い来い来い!喰ろうてやるわ!)

 

バンッ

 

海燕さんは虚の前左脚を切断し、虚の胴体に乗る。

 

その左手には虚の触角。

 

「ダ・・・!」

 

ダメだ!あれに触れたら!

俺の言葉が言い切る前に、海燕さんは次の行動に出る。

 

(触れたな!!)

 

「水天逆巻け!『捩花』!」

 

その瞬間。

 

海燕さんの斬魄刀が消失した。

 

「1夜ごとに1度だけの能力だ。その夜、最初に儂の触腕に触れた者は―――斬魄刀が消滅する!」

 

(バカな・・・ッ。斬魄刀を消滅させる・・・!?そんな能力が・・・!)

 

隙ができてしまった海燕さんは、虚の攻撃を受けてしまう。

 

「海燕殿!!!くっ!」

 

ルキアは海燕さんの窮地だと思い、向かおうとする。

だが、浮竹体長に止められてしまう。

 

「! 隊長・・・!?お・・・お放しください!海燕殿を助けなければ!」

 

「海燕を助けて・・・それで奴の誇りはどうなる?」

 

そうだ。海燕さんは俺たちに手助けされるのを望んでいない。

でも、このままだと死んでしまう・・・

くそっ!くそっ!くそぉ!!!

どうすれば・・・どうしたら、海燕さんを生かせられる・・・!?

 

浮竹隊長は続けて語る。

 

「お前が今力を貸せば、なるほど、奴の命は救われるだろう。だが、それは奴の誇りを永遠に殺すことになる」

 

「誇りが何だというのですか!命に比べれば誇りなど!」

 

・・・!!!

ルキアの叫びに、俺はハッ!となる。

 

・・・そうだ。俺は何を思い悩んでいたんだ?

”命に比べれば誇りなど”

命はそう容易く失くしちゃいけないものだ。

 

・・・俺はバカだな・・・

確かに、海燕さんは生きられる。だが、誇りは失われる。

けど、本当に誇りってのはそんな簡単に失うものなのか?

 

否、誇りは生きていれば、ずっと有りつづけるものだ!

 

「・・いいか。よく憶えておけ。戦いには2つあり、我々は戦いの中に身を置く限り、常にそれを見極めなければならない」

 

俺が思考している間にも浮竹隊長は語る。

 

「命を守る戦いと―――――誇りを・・・守るための戦いと・・・!」

 

浮竹隊長の顔が今まで見せたことのない顔をしている。

汗をたらし、自分を自制している。

それを見るだけで、歯がゆい思いが伝わってくる。

 

見極める・・・か。

俺はまだ未熟だ。

その見極めがまだできてないと思う。

 

海燕さんは未だに虚と戦い続けている。

斬魄刀も持たずに・・・

 

「今・・・奴は誇りのために戦っている。妻の誇り、部下たちの誇り、そして何より―――奴自身の誇りのために」

 

俺もそれはわかっている。

でも、海燕さんを生かしたい!

恨まれたって構わない!

 

だから・・・俺は・・・

 

「・・・つまらん意地と思ってくれて構わん・・・。奴をこのまま戦わせてやってくれ・・・」

 

ルキアは浮竹隊長の話を聞いて、悔しいながらも身を退く。

 

この様子だとルキアも浮竹体長も動かないだろう。

だから、俺は動く!

 

「・・・すみません、浮竹隊長」

 

「鬼柳院・・・?何を―――・・・」

 

いままで黙っていた俺が急に話だし、前に出たことで2人は驚いている。

 

「命令違反を、します!」

 

俺は海燕さを救うために向かった。

 

「なっ!?おい、待て、鬼柳院!?」

 

浮竹隊長の静止も聞かず、俺は飛び出した。

 

 

 

 

 

 

「・・・ひひ・・・斬魄刀なしでここまで粘るか・・・。なかなかやりよるのう小僧・・・」

 

海燕さんは身体の到る所から血が流れている。

疲労の様子も見られる。

 

だが、戦意は消えていない。

 

「・・・当たりめーだろ。テメー如き、鬼道があれば充分だ。悪いがこのまま倒させてもらうぜ」

 

「・・・小僧がなめた口を利きよるわ」

 

虚は海燕さんの挑発に乗ったらしい。

ボコボコと触手が所々膨らむ。

 

「仕方ないのう・・・昨日の今日で使いとうはなかっ・・・っ!」

 

ブンッ

 

「ちっ!」

 

「ふん、とうとう、動きよったか・・・」

 

俺は虚の後ろから切ろうとしたが、瞬時に俺の気配を感じ、避ける。

 

「おい、京夜!!」

 

「・・・海燕さん」

 

最初、呆けていた海燕さんは我に返ると、俺に歩み寄り、胸倉を掴む。

 

「テメー!これはどういうつもりだっ!」

 

「・・・見ての通りです。助けに来ました」

 

「助けだと!?言ったよな!俺、1人でやらせてくれ、って!テメーは上司の邪魔をするのか!」

 

「・・・しかし、今の状況で勝てると思っているんですか・・・?斬魄刀がなく、満身創痍の海燕さんに・・・」

 

「テメー・・・ふざけたことをっ―――――」

 

「ふざけていませんっ!」

 

「っ!?」

 

突然、俺が声を張ったせいで海燕さんは驚く。

 

俺はそれを無視し、叫び続ける。

 

「誇りを守ることは大事です!それが間違いだとは言いません!ただ―――――」

 

俺は1度話すのを止め、今度は俺が海燕さんの胸ぐらを掴む。

 

「命を大切にしてください!」

 

「っ!?」

 

「考えたことがありますか!死んで、残された人たちの思いを!海燕さんが死んだら、悲しむ者たちがたくさんいます!俺はもちろん、ルキアや浮竹隊長、清音3席、仙太郎3席、その他にもたくさんいます!」

 

「・・・・・・・・・」

 

俺は原作を知っているから、こんなことが言えるんだろうな。

ルキアや浮竹隊長は海燕さんが死んだ後も悔いが残っている。

その証拠に13番隊副隊長の席は長い間、空席だったんだ。

 

「海燕さんはここで死んではいけません!あなたが死んだら、都さんの誇りを伝える人がいなくなってしまう!」

 

「伝える・・・?」

 

「そうです!後生までその誇りを伝えましょう!きちんと伝えられるのは海燕さんしかいません!」

 

「・・・・・俺は・・・」

 

これで考えを変えてくれ!

 

「海燕さんは生きてください。死んだ部下の分まで。都さんの分まで―――――それを都さんは望んでいるはず」

 

「都・・・!」

 

俺が話終わった後、海燕さんは上を見上げた。

驚いたような、嬉しさを含んでいるいるような、そんな表情をしていた。

 

「海燕さん・・・?」

 

「・・・今、都の声が聞こえた・・・」

 

「!?」

 

俺は驚いた。

まさか、死者の声が聞こえただなんて・・・

 

「『生きて・・・私の分まで・・・』って・・・」

 

海燕さんは涙ぐむ。

 

ありがとう、都さん。

多分、原作と変わったから、都さんの声が聞こえたのかな。

 

「・・・フーーー、スーーーっ!」

 

ゴッ!

 

「か、海燕さん!?」

 

いきなり海燕さんは自分の顔面を殴った。

額から血を流しながらも、海燕さんの顔はどこか吹っ切れた様子だ。

 

「・・・京夜のおかげで目が覚めた。もう1人よがりな真似はしねえ」

 

「海燕さん!」

 

「俺が死んだら、みんな悲しむ。俺の心にいる都がいなくなっちまう。だから、生きる。生きて伝えるぜ。都のことを。それに、遺言だしな。都の分まで生きるって」

 

「よ、よかっ―――――」

 

「なんじゃ、話し合いは終わったのかの?」

 

「「っ!?」」

 

どうやら虚は俺たちの様子を見ていたらしい。

あの状況だったら、簡単に手傷を負わせられるか、逃げることができたのに。

バカなやつだな。

 

「全く、味方同士で潰しあってくれればよかったものの・・・。なんじゃ、結局、和解しおって・・・。つまらん」

 

「んだと!」

 

「落ち着いてください。海燕さん」

 

虚の挑発に乗ってしまいそうだった所を止める。

 

「ひひっ!お前らみたいな仲間を信頼しあい、助け合っている奴らは確かに強い―――――じゃが」

 

虚は話を区切り、再びボコボコと触手が膨らみだす。

 

何か来る!

 

「1度崩れると脆いものじゃ!味方が敵になったりのう!」

 

「!! 海燕さん!」

 

ドンッ

 

「うおっ!」

 

俺は危機を感じ、海燕さんを押す。

そのせいで、海燕さんは倒れる。

 

その瞬間だった。

 

ドパン!

 

破裂音が聞こえ、虚が弾け飛ぶ。

 

「・・・京・・・夜・・・?」

 

まだ木にいるルキアが問いかけるのと、虚の霊子が俺の手首に入ってくるのはほぼ同時だった。

 

くっ!よけられっ―――――っ!?

 

「ぐ、ああああああああっ!?」

 

「京夜!?」

 

地に伏せている海燕さんが驚く。

 

頭が痛い!痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!

 

「ぐぅ・・・!うぅ・・・!」

 

「大丈夫か!海燕!」

 

「京夜!しっかりしろ!」

 

「お、俺は大事です!しかし、京夜が・・・」

 

浮竹隊長もルキアも俺の異常な状態を見て、駆けつけてきてくれた。

 

ヤバい・・・意識が、誰かに、乗っ取られる・・・

 

「・・・お・・・俺から・・・は、離れて・・・!」

 

「何を言ってるんだ!今のお前から離れるなど・・・!」

 

浮竹隊長・・・

ダメだ・・・視界がぼやける・・・

限界・・・

 

「うがあああああああ!!!」

 

「きょ、京夜ーーーーー!」

 

ルキアの叫び聞き、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

いきなり京夜は静かになった。

だが、様子がおかしい。

立ったまま頭も腕もダランと下に垂れている。

 

「・・・京夜?」

 

ルキアは心配し、尋ねる。

 

だが、京夜が振り返った瞬間、異様だった。

 

「・・・何じゃ、儂を呼んだか?小娘」

 

「!!?」

 

見ていられない、見たくない、そんな顔だった。

舌は垂れ流し、涎が出続けている。

瞳がなく、瞼には白い模様が施されていた。

 

間違いなく、虚が京夜の中に入った証拠だ。

 

「・・・きょ・・・京夜・・・」

 

「・・・何故・・・そう何度も儂の名を呼ぶ・・・?そんなに心配か小娘・・・?そんなに儂が・・・愛しいか小娘?」

 

ダッ

 

虚はルキアに飛び掛かった。

ルキアはあまりにもショックで、動けずにいた。

 

「そんなに儂が愛しくば・・・先ずお前から、喰ろうてやろう!!!」

 

ガッ

 

刹那、海燕がルキアの前に出て虚の腕を抑えた。

 

「・・・海燕殿」

 

「テメー、京夜から出てけ!」

 

「邪魔じゃ!小僧!」

 

ガブッ

 

「ぐああああああ!!!」

 

虚は海燕の左肩を噛み、鮮血が飛ぶ。

それがルキアの頬に当たる。

海燕はその場に跪いてしまう。

 

「ひひひひひひっ!」

 

「―――!」

 

ガッ

 

今度こそやられると思ったルキアだったが、浮竹が庇い、斬魄刀で虚の攻撃を防ぐ。

 

「・・・隊長―――――!」

 

「・・・海燕を安全な所へ」

 

「・・・え・・・」

 

「早くしろ!死にたいのかっ!」

 

「!!!」

 

初めてみた浮竹の焦り。

我に返り、ルキアはすぐに海燕を担ぐ。

 

「立てますか。海燕殿!」

 

「・・・悪いな・・・」

 

「(どうしてだ・・・どうしてこんなことに・・・どうして・・・!)」

 

そう答えがでない考えをし、海燕を連れて安全な場所へ移動した時だった。

 

「逃がさん!」

 

「なっ!?」

 

虚は浮竹の元から離れ、ルキアと海燕のもとへ向かった。

しかも、浮竹が反応仕切れないほどの速さで。

 

「ま、まてっ―――――ぐっ!?」

 

虚を追いかけようとした浮竹だったが、突然、口から血が流れた。

 

「ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ!(くそっ・・・!こんな時に・・・!)」

 

そう発作が出てしまったのだ。

 

尚も、虚はルキアを追いかける。

そして、追いつき、ルキアの目前に立ち塞ぐ。

 

「逃がさんと言ったじゃろう・・・」

 

「くっ!?」

 

ルキアはたじろいでしまう。

 

自分の傍らには戦闘継続するには厳しい海燕。

浮竹も発作で動けない。

目前には虚に乗っ取られた愛する人。

 

まさに、絶体絶命という状況だ。

 

「しかし、この身体はいいのう・・・。力が溢れでてくる・・・。そこの死にぞこないより使えるわっ!」

 

「か、海燕殿を侮辱するなっ!京夜を返せ!」

 

虚は嘲笑い、海燕をバカにされ、ルキアは怒る。

それにイラついた虚。

 

「・・・自分の状況もわからずに生意気な口を叩くのう!やはり、小娘から喰ろうてやるわっ!」

 

「っ!」

 

虚が襲い掛かる。

万事休す、と思い、ルキアは目を伏せる。

 

「(・・・?)」

 

だが、何も衝撃が来ない。

不思議に思い目を開ける。

そこには驚きの光景が目に映った。

 

「ぐっ・・・!くそっ・・・!」

 

虚の右手が自分の左腕を抑え込んでいた。

 

「(どういうことだ・・・?)」

 

「・・・俺の身体で何勝手にやってやがる・・・」

 

「こ、この声は―――!」

 

虚の顔を見る。

半分は虚の顔つきで瞳がないが、もう半分は瞳があり、京夜の顔つきになっていた。

 

「きょ、京夜っ!」

 

「・・・意識が戻った・・・のか・・・?」

 

海燕も京夜の姿を見て、少し安堵する。

 

「き、貴様っ!なぜ、なぜ儂の浸食から逃れた!?」

「・・・これ以上、仲間を傷つかせるわけにはいかねーからな・・・」

 

左腕を抑えながら、ジリジリとルキアから離れていく。

 

「そういや俺とお前は意識が共有してるよな・・・」

「それがなんじゃ?儂とお前は霊体同士!霊体同士の融合だ!儂が貴様の霊体を内から喰らい尽くす!貴様の意識も長くは持たん!」

 

「そうかい。なら、今だったら痛覚や五感も感じれるのか・・・」

「だから、それがなんじゃと・・・」

 

京夜は腰に差してあった浅打を抜く。

そして、自分の太ももに刺した。

 

ザシュ

 

「ぐぅっ!」

「ぐああああ!?じ、自害だとっ!?」

 

「へっ!これなら、痛みを感じるだろ・・・?」

「くっ!き、貴様・・・正気か!?」

 

その様子がわかり、ルキアは京夜と虚の元に向かおうとした。

 

「やめろ!京夜!死ぬ気か!」

 

「来るな!!!」

 

「っ!」

 

「大丈夫だ・・・安心しろ・・・俺は死なない・・・」

 

京夜は優しく微笑んだ。

ルキアはその表情を見て、動きを止め、信じることにした。

 

「・・・・・・・・・」

 

スッと京夜は目を閉じる。

半身が京夜の意識下なので、外から見ると、片目だけ閉じた。

 

―――――おい、鬼神。いつまで寝てやがる。今、ヤベー状況なんだぞ!

 

『む?すまん。今、起きた』

 

『阿像よ、どうやら就寝している間に何者かが侵入したようだ』

 

―――――そうだ!今の俺じゃそいつを追い出せねえ!頼む、何とかしてくれ!

 

『ふむ、主の危機なら致しかたない。やるぞ、吽像よ』

 

『御意、我々の聖地に踏み入れたことを後悔させよう』

 

会話が途切れた瞬間だった。

 

「ぐああああああ!?な、何だ、お前ら!?」

 

いきなり、虚が苦しみだした。

それに目を見開く3人。

 

「ど、どうしたのだ!京夜!」

 

「何が・・・起こった・・・・」

 

「霊力が乱れている・・・?これは一体・・・?」

 

ルキア、海燕、浮竹が固唾を飲んで見守る。

 

「こ、こいつは虚!?な、なんで、こいつの中に虚がっ!?―――――やめろっ!やめろっ!やめろおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

 

今日、1番の絶叫をあげ、そして―――――

 

「おおおおおおおおぇぇぇぇええええええ!!!」

 

京夜はが白い塊を吐き出した。

それは紛れもなく虚だ。

 

そして、京夜は崩れ落ち、倒れこむ。

 

「京夜!」

 

ルキアは京夜にかけよる。

 

「・・・な、言った・・だろ・・・。大丈夫だって・・・」

 

「バ、バカ者・・・心配、心配したではないか・・・!」

 

ギュッとルキアは抱きしめる。

その目からは涙が溢れていた。

 

「・・・海燕さん・・・」

 

「・・・なんだよ・・・」

 

京夜は海燕を呼んだ。

海燕は左肩を抑えながら、京夜の元へ来た。

すると、ルキアをどかし、太ももに刺さっている浅打を引き抜く。

 

ズルッ

 

「ぐっ!」

 

「京夜!?」

 

「大丈夫だ・・・海燕さん、これを・・・」

 

京夜は浅打を海燕に渡す。

 

「お前・・・」

 

「都さんの・・・仇討ちしてください・・・最後は海燕さんの手で・・・」

 

「・・・ああ・・・!」

 

海燕は浅打を手に取り、ゆっくりと虚に近づく。

虚は身体が先程より小さくなっており、身動きとれないでいた。

 

「ぐっ・・・くそぅ・・・こんな・・・こんな、小僧や小娘共に・・・儂は・・・」

 

「・・・テメーは殺しすぎた。終わりだ―――――」

 

浅打を逆手に構え、振りかざす。

 

「死ね」

 

ザン

 

虚は霊子に変わり、消える。

 

それと同時に海燕の腰部分に霊子が集まり、斬魄刀が復活した。

 

海燕は虚空を見上げる。

 

「・・・敵はとったぜ・・・都・・・」

 

三日月が少し輝いたように見えた。

 

京夜はその終わりを見て、安堵したように、静かに目を閉じた。

 

 

 

今宵の激闘が静かに幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

(どこだ、ここ・・・?)

 

俺は暗い世界にいる。

どこまでも、暗い暗い飲み込まれそうな世界。

 

俺はずっと立ち尽くしていた。

 

(何か、足りない・・・)

 

違和感を感じ、自分の掌を見る。

 

そうだ、仲間がいない。

 

(早く、会いたいな・・・)

 

すると、目の前から光が広がった。

 

「うぅ・・・ん・・・?」

 

俺は目を覚ました。

知らない天井・・・?いや、違う、これは、前にどこかで見たことあるような・・・

 

「やっと、起きたか」

 

「!」

 

横を見ると、ベッドに上体をおこし、自分の斬魄刀を見てる海燕さんがいた。

肩や腰、身体の至る所に包帯が巻かれている。

 

(そうか、あの戦いが終わったんだ・・・)

 

まだ起きてない頭を使い、記憶を呼び覚ます。

よかった・・・海燕さん、生きてくれた・・・

 

そしたら、ガラガラと扉が開いた。

 

「あら、京夜さん、起きていらっしゃったんですのね」

 

「卯ノ花隊長・・・」

 

「よかったですわ。丸1日寝ていらしたので、このまま起きなかったらどうしようかと・・・」

 

「えっ!?丸1日!?」

 

ということは、あの夜から2日経ってるの!?

てっきり、次の日の朝かと・・・

 

あ、そうだ!

 

「か、海燕さん!]

 

[あん?あんだよ?」

 

「あの~・・・命令違反して、すみませんでした!どんな罰でも受けます!」

 

俺は上体を起こし、謝った。

 

ゆ、許してくれるかな~・・・

さ、流石に無理だよね・・・

 

下手したら、辞めろ、とか・・・?

 

「・・・何、謝ってんだ?」

 

「は?」

 

素っ頓狂な返事をしてしまった。

 

は?え?だ、だって、俺がやったことって、結構な重罪じゃ・・・

 

「は~、何か勘違いしてるぞ。俺は自分でやりたいって言ってたんだから、命令なんかじゃねーよ」

 

「じゃ、じゃあ・・・」

 

「ああ、お咎めなしだ。隊長もそう言ってる」

 

よ、よかった~~~~~。

なんだ、ただの俺の勘違いか・・・

 

「・・・謝んなくちゃいけねえのは俺の方だ・・・」

 

「海燕さん・・・?」

 

「お前がいなくちゃ、恐らく、今の俺はいねえ。しかも、お前のおかげで虚を倒すことができたもんだ。感謝してる。―――――本当にすまない、ありがとう」

 

海燕さんは頭を下げた。

 

「ちょ、ちょっと!やめてください!俺は自分で勝手に行動しただけです!しかも、海燕さんの意思を無視して!」

 

「いや、あの時は俺も頭に熱があがってた。お前のおかげで冷えたんだ。俺の方が―――――」

 

「いやいやいや!俺の方こそ―――――」

 

「いや、俺が―――――」

 

「いやいや、俺が―――――」

 

こ、これじゃ、切りがない~~~!

と、思ったら、卯ノ花隊長が割って入ってきた。

 

「はいはい、男同士がペコペコと頭を下げないんです」

 

見ると、卯ノ花隊長は微笑んでいた。

 

「お互いに良し悪しがわかっているんですから、どちらも許すのです。それで、この話はおしまい、ということで」

 

「・・・そうだな」

 

「・・・そ、そうしましょうか」

 

ふと、俺と海燕さんの目が合う。

 

「ぷっ、ハハハ!」

 

「ハッ、ハハハッ!」

 

いきなりお互いに笑い出した。

 

なんか、可笑しくて、こういうやり取り初めてだからな。

 

「ハハハ・・・そういうば、浮竹隊長はどうしたんですか?」

 

「あ、隊長は発作で本舎で寝てるぜ」

 

「そうですか」

 

よかった。浮竹隊長も無事だったんだな。

 

そして、話が途切れ、一瞬、静寂が生まれる。

 

「そういえば、京夜さん」

 

「はい?」

 

「そちらにいる方は誰でしょうか・・・?」

 

「え・・・?」

 

左には海燕さん、前には卯ノ花隊長、ということは、右か?

右を見ると、そこには―――――

 

「ルキア・・・?」

 

ルキアが椅子に座りながら、頭を俺のベッドに横にして眠っていた。

 

「その方、京夜さんが眠り始めてからずっと、そこにいましたよ」

 

「ずっと・・・?」

 

そうか、ずっと俺の傍にいてくれたのか・・・

俺のことが心配で・・・

 

「・・・京夜さん、そちらの方とどういうお関係で・・・?」

 

「ああ、ルキアは俺の幼馴染で、同僚なんですよ」

 

「そ、そうなのですか・・・よかったです・・・」

 

・・・?どういう意味だ?

なんで、卯ノ花隊長が安心してるんだ?

 

それはともかく、かわいい寝顔しやがって。

 

そう思い、俺はルキアの前髪を撫でる。

 

「・・・う・・・んん・・・」

 

「・・・あ」

 

「・・・京夜・・・?」

 

「悪い、起こしちまったな」

 

「~~~~~! 京夜!」

 

「おわっ!?」

 

ルキアは突然、俺に抱き着いてきた!?

てか、痛い!まだ完治してねーんだぞ!?

 

しかし、そんなことは気にとめられなかった。

なぜなら、ルキアが泣いていたからだ。

 

「よかった・・・もう起きないかと思った・・・」

 

「ルキア・・・」

 

俺はルキアを優しく頭を撫でる。

今回はルキアに心配させすぎたな。

自重しよう・・・

 

しばらく、2人の空間が続いた―――――

 

「う~ん、京夜さん?まだ治ってないのですから、安静にしなくてはいけませんよ?」

 

「う、卯ノ花隊長・・・?」

 

わけではなく、卯ノ花隊長は両手を俺の頬に添え、顔を近づけていた。

 

近い近い近い!距離が10センチ未満なんですけど!?

 

それに、気づいたルキアは驚き、みるみる不機嫌な顔をする。

 

「・・・卯ノ花隊長、ここは色々と気遣うものではないのですか?」

 

「あらあら、どうして怒っていらっしゃるのですか?私はただ、京夜さんを心配しただけなのですよ?」

 

卯ノ花隊長、笑顔だけど、なんか怖いっす!

2人の間に火花が散る、ような感じがした。

 

「・・・私は幼馴染で一緒に仕事をしています」

 

「私も京夜さんと一緒に仕事をしましたよ?それに、一緒に寝たりもしましたよ?」

 

「なっ!?」

 

「おいおい、嘘だろ・・・」

 

卯ノ花隊長ーーーーーー!?

何、爆弾発言してんの!?

ほら、そのせいでルキアも海燕さんも―――――

 

「・・・京夜、卯ノ花隊長のことでO・HA・NA・SIがある・・・」

 

「お、俺も聞きてえ!どういうことだ!?」

 

「え、え~と、その・・・」

 

どうすんの、この状況!?

 

と、卯ノ花隊長の方を見ると、妖しく笑っていた。

 

「フフ・・・ということです。私の方が勝ってます」

 

「・・・それはどうですかね。いくら隊長でも、京夜は渡しませんよ・・・」

 

「無論、こちらもですよ」

 

な、何、この状況・・・?

すっごい険悪なんですけど・・・

 

俺が困惑している中、卯ノ花隊長は下がり、退室しようとした。

 

「それでは、私にも仕事がありますので。あ、京夜さん」

 

「は、はい!」

 

「ここは私の担当なので、たっくさん看病してあげますからね☆」

 

「・・・・・・・・・」

 

「それでは・・・」

 

・・・卯ノ花隊長はそう言って、去って行った。

最後の何ーーーー!?

要らんこと言わなかったか!?

 

と、そこで俺は約2名の視線を感じ、ギギギとブリキのように首を動かした。

 

「「さて、どういうことか説明してもらおうか!!」」

 

「ハ、ハハ・・・はぁ~~~・・・」

 

海燕さんを救ったのはいいけど・・・

 

最後にこれはあんまりだろ~~~~~!?




いかがでしたでしょうか?

個人的に最後はグダグダかな?と、思いました。

さて、次回は原作じゃないキャラがでますよ!
オリキャラ?ノンノン!違うよ!
まさか、そこから来るか!と思います!
一応、BLEACHキャラですよ。

これがわかった人は、、、、、お好きなキャラを答え、そのキャラの話を作りたいと思います。

ヒントは、「ルキア」です!

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