BLEACHへの転生者   作:黒崎月牙

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お久しぶりです!

約三か月以上も凍結させてしまい、すみませんでした!
いよいよ、再会しますんで、期待してください!

今回は卯ノ花隊長メインですね。
どんどんハーレムメンバーが作られていくなぁ~。
こんな人生あると、さぞかし楽しいんだろうな~。

あと、今回は難航しました。
鈍ったというのもありますが、ちょっと心情に浸りすぎたもので・・・

合計12000文字以上です。読んでいただけると幸いです。

※今回はエロ注意です!(笑)


癒すことに意味がある

オッス!オラ鬼柳院京夜!

13番隊に所属している無名の下級死神だ!

多忙な毎日を送っていて、もう俺の心のLPはゼロよ!

 

なんて、冗談はさておき、いつも通りに仕事に追われる日々なんだが、今回も海燕さんから頼まれた仕事なんだが、普通のとちょっと違う。

 

「京夜くーん、こっち手伝ってー!」

 

「はーい、今、行きまーす!」

 

「おーい、包帯が足らないぞぉー!?」

 

「はい、こちらどうぞ!」

 

「患者を運ぶのを手伝ってくれ!」

 

「はい、了解です!」

 

今、俺がいるのは4番隊隊舎、救護詰所。

そこで俺は、人の手が足らないと言われていたので、海燕さんに抜擢された。

 

選んでくれるのは嬉しいんだけど、こんなに忙しいなんて聞いてないんですけど!?

 

海燕さんには、『先輩や俺たちは皆最低でも1回は経験してんだよ』『大丈夫!そんな忙しくないって!けっこー暇な所だから安心しろ!』って言われてたんだけどな~。

しかも、他から聞いた情報によると海燕さんは1回もそんなことをしてないって、そもそもそんな経験はあんまり聞かないって・・・・・騙しやがったな!あの下まつ毛ヤロー!

 

しかも、運悪く、今日は何故か患者がたくさん来るんだけど!?

なに、新手のいじめ!?・・・もう泣けてくる

こんなにあると1人じゃ終われないよ!?

まぁ、俺は全部終わらしてんだけど。

 

っと、そんなことを考えても時間は待ってくれない。

俺は新たな仕事、タオルを運ぶ作業に取り掛かった。

 

 

京夜はタオルを運ぶクエストを受注した!(テロ~ン★)

 

 

ドラクエ的なノリで運んでいると、前方に白い羽織を着た女性死神がやってきた。

 

あれって・・・もしかしてっ!

 

「卯の花隊長!お疲れ様です!」

 

「あなたもご苦労様、鬼柳院さん」

 

四番隊隊長、卯の花烈。

その顔は美貌で、誰をも虜にし、その顔を見ただけで癒される存在。

ただ、怒るとどの隊長よりも怖いらしい。

 

俺は卯の花隊長を見ても動じない。

そんな性格だからな。

あと、この人は絶対に怒らせないようにしないと!

俺の運命はこの人にかかっていると言っても他言ではない!

 

「すみません、他の隊の方なのに手伝わせてしまって・・・」

 

「いえいえ、気にしないでください。人手が足らない今、協力することに意味があるんですから」

 

卯の花隊長は申し訳ない表情をする。

そんな顔は似合わない。

だから、俺はフォローした。

 

卯の花隊長の顔に再び笑顔が戻った。

 

「フフッ、あなたは優しい方ですね」

 

「いいえ、騙されやすい、ただの仕事バカですよ」

 

お互いに笑う。

いいね、この感じ。

乱菊さんとまたちがって、穏やかな大人の女って感じで話していると楽しい。

 

おっと、こうしちゃいられない。

仕事が残ってんだ。

 

「それでは、俺は仕事に戻りますので」

 

「はい、がんばってくださいね」

 

「はい!」

 

俺は卯の花隊長と話したお陰か、その足取りは軽かった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~い、終わった終わった~」

 

時刻は夕暮れ、朝から始めてもうこんな時間なのか。

一日が終わるのが早かった気がする。

 

俺は仕事終了の報告を連絡するために、隊長室へ向かった。

 

「失礼します。卯の花隊長いらっしゃいますか?」

 

「はい、いますよ」

 

卯の花隊長は花瓶の水を取り替えていた。

そういえば趣味が華道だっけ。

 

「一三番隊隊員、鬼柳院京夜、これより四番隊の仕事補助を終わらさせていただきます」

 

「はい、今日はありがとうございます。ご苦労様・・・」

 

「た、隊長!大変です!」

 

卯の花隊長がお礼を言い終わる前に、いきなり四番隊の死神が入ってきた。

いや~な予感が・・・

 

「どうなされました?」

 

「きゅ、急患です!それも多数!皆、重傷を負ってます!」

 

「・・・わかりました。鬼柳院さん、もう少しだけ手伝っても構わないでしょうか?一三番隊の方には後で説明をしますので」

 

「俺は大丈夫です。それより急ぎましょう!」

 

俺と卯の花隊長は目的の場所へ出向いた。

 

歩きながら卯の花隊長は現状を把握する。

 

「それで状況は」

 

「はい、患者は十一番隊の者たちです。重軽傷者、合計三七名。しかも、やっかいなことに傷口には火傷と微量ながら毒があることが判明されました」

 

「毒・・・どうやら傷口を早く広めるための毒ですね。なぜ、そのようなことに?」

 

「どうやら虚と戦闘を行ったようですが、倒す寸前、自爆と毒を散布したらしいです。さらに、爆破した距離が広く、隊長以外、全員巻き込まれたといっていいでしょう」

 

「わかりました。・・・つきましたね」

 

大部屋の前に辿り着いた。

 

生半可な覚悟で挑んではダメだ。

状況は一刻を争う。

 

俺は深呼吸をし、中に入った。

 

「こ、これは・・・!?」

 

酷い、といった方がいいだろう。

まさにそこは野戦病院のように負傷した者たちがそこへ集められ、寝そべっていた。

 

「う、うぅ・・・」

 

「い、いたい・・・いたいよぉー」

 

「誰か、たすけ・・・」

 

頭が真っ白になってしまった。

それだけ衝撃的だった。

多分、普通の人が見たら、悪臭やその場の様子を見ただけで吐き気を起こすだろう。

俺は何もなかったが、動けずにいた。

 

そんな時、1人機敏に動いているのが見えた。

 

「大丈夫ですよ。もう安心してください」

 

「あぁ・・・卯の花隊長・・・」

 

卯の花隊長は手を添え、霊力によって傷をみるみる治していく。

そして、専用器具を使い、毒を絞り出していく。

 

「す、すごい・・・」

 

俺はふと言葉を漏らしていた。

やっぱ、すげーな。

俺なんて場違いすぎる・・・

 

そんな時、四番隊の死神とぶつかった。

 

「邪魔だ!」

 

ドカッ

 

「いてっ!」

 

「何もしないんだったら引っ込んでてくれ!」

 

「・・・・・・・・・」

 

何もできない・・・

いくら仕事ができるからって、いくら強くなったからって、ここでは俺は無力だ・・・

俺の心が崩れそうになる・・・

そうだ、俺は邪魔なんだから、いない方が・・・

 

「・・・た、す・・け、て・・・」

 

「!?」

 

どこからか少女のような微かな声が聞こえた。

 

辺りを見渡すと、端の方に火傷まみれで死覇装を着た、少女が苦しんでいた。

 

他の四番隊の方たちは他の患者に忙しいのか少女に目を向けていない。

 

俺は少女の所にかけよった。

 

「大丈夫?すぐに治せるからもう少し待ってて…」

 

「いたいよ・・・おにいちゃん・・・たすけて・・・」

 

涙声でそう呟く。

震えている手を優しく握った。

 

「・・・バカ野郎だな、俺」

 

俺は何を考えてた!

こんなに大勢苦しんでいるのに見過ごそうと、逃げようとした!

助けるんだ!せめてこの少女だけでも!

 

「(応急処置は済んでいるけど、このままじゃいけないよな・・・何か助ける方法は・・・)」

 

俺は思考した。

俺には強さがある。

膨大な霊力と鬼道のセンスもある。

これらを有効活用できないだろうか・・・?

 

その時、ふと卯の花隊長を見た。

十数秒見た後、何か閃いた。

 

「!?・・・一か八か!」

 

俺は少女の傷口に卯の花隊長がやったように手を添えた。

 

そう、俺がこれからやるのは模倣。

見ただけで霊力の流れ、質、量を治療用にする。

 

「(ここはこうか?ちがう、もっと細く、繊細に・・・)」

 

霊力を調整する。

 

もうちょっとだ。

もうちょっとで掴めそうだ!

 

「あなた!何をしてるの!?」

 

突如、後方から女性の声が降り注いだ。

そして、俺の肩を掴み、引き離そうとする。

 

「・・・やめてください」

 

「それはこちらの台詞です!あなたは一三番隊の方でしょう!?知識も経験も碌にないのに勝手なことをしないでください!」

 

「それでもっ!」

 

俺の声が部屋中に広がる。

女性死神は驚き、何人も俺たちの方を向いた。

久しぶりにこんな大声を出したな。

 

「それでも、放っておけません。患者を救いたい気持ちはあなたも俺も同じです」

 

「だ、だからって・・・」

 

「あと少しだけ待ってください。何か掴める気がするんです」

 

こうか・・・?ちがう、なら、こう!・・・これでも、だめか・・・なら、次は・・・

 

「患者の気持ちを思い、霊力を込めなさい」

 

「卯の花、隊長・・・?」

 

卯の花隊長はニコッと微笑んだ。

俺は頷き、集中する。

 

「(患者の気持ち、思い・・・俺が全て受け止めてみせる!)」

 

その時、傷がみるみる治って行った。

 

「や、やった・・・!」

 

「そんな・・・四番隊の者でもないのにこんな高度な医療を・・・」

 

女性死神は驚き、目が点になっていた。

 

俺は卯の花隊長に再度向く。

 

「鬼柳院さん、この傷を早急に治せそうなのは私とあなただけです。他の患者の方にもお願いできませんか?」

 

「任せてください!」

 

俺は少女の傷を治し、次の患者へと向かう時だった。

 

「・・・お、にいちゃ、ん」

 

「ん?なんだい?」

 

「たすけて、くれて・・・ありがとう」

 

「・・・俺からも言わせてもらうよ。君のお陰で目が覚めた。ありがとう!」

 

俺と卯の花隊長は次々と患者を治療していった。

終わる頃には既に次の日になっていた。

でも、気分は爽快だ。

 

ちなみに、俺がやった治療は傷を治すと同時に毒も追い出す、という摩訶不思議な治療だったもんで、皆をさらに驚かせた。

 

 

 

 

私の名は卯ノ花烈、四番隊を指揮する隊長です。

 

今、とても深刻な状況に陥っております。

十一番隊の方々の多くが負傷しており、緊急で治療を行っています。

 

ただ、運が悪く、副隊長の勇音を他に隊の者たちのほとんどが出払っており、四番隊隊員は数が少ないです。

 

「(・・・今夜は徹夜、夜通しですかね)」

 

私は患者を治療しながら思います。

 

現段階で素早く、かつ、的確な処理を行えるのは私しかおりません。

患者をできるだけ早く治したい気持ちはありますが、やはり状況が状況。

患者の方々には申し訳ないのですが、遅くなってしまいます。

 

「(せめて、勇音かもう1人いてくれたら・・・)」

 

そんな儚い希望を抱きましたが、無論、そんなことは叶わない希望。

 

そんな時、突然、部屋中に大きな声が響きました。

 

「それでもっ!」

 

私は声を荒げた主を見ます。

その方は急遽、一三番隊から派遣された死神、鬼柳院さんでした。

 

私は驚きました。

いきなり声を荒げたこともそうなのですが、彼が行動していることに目を疑いました。

 

「(彼が行っているのは・・・治療!?四番隊ではないものが治療を!?)」

 

信じられませんでした。

専門ではないのに治療をしようとしているのです。

 

そんな無謀なことがよくできるな、と思いましたね。

 

続けて、彼は自分が思っていることを口にしました。

 

 

「それでも、放っておけません。患者を救いたい気持ちはあなたも俺も同じです」

 

「・・・・・!」

 

その言葉が私の心に響きました。

 

そうですね・・・患者を救いたい気持ちは皆同じ。

 

私は愚かでした。

私だけでは時間が掛かってしまいますが、他の隊員がいます。

人は少ないですが、できるだけ早く治療を済ますことができるでしょう。

そうすれば、予想よりも早く終わることができるかもしれません。

 

そんな彼は少女を救おうと汗水を流していました。

 

「あと少しだけ待ってください。何か掴める気がするんです」

 

「・・・・・綺麗」

 

私はその様子につい見惚れてしまいました。

 

滴る汗、それが揺れる銀髪に落ちる。

彼の表情は必死に救おうと頑張っていました。

 

彼の全ての言動が美しく、凛々しく、とてもかっこよかった。

 

私の心の何かに響きました。

 

「(彼だったら・・・もしかしたら・・・!)」

 

一抹の希望を持ち、彼に助言をしました。

 

「患者の気持ちを思い、霊力を込めなさい」

 

「卯ノ花、隊長・・・?」

 

私はただ微笑むだけでした。

彼はそんな私を見て、何かわかったのか、頷き、集中しました。

 

なんでしょう・・・彼の力になれたと思うと、胸が熱く感じる・・・

 

私は不思議な感覚と希望への興奮が入り混じり、変な気分でした。

 

すると、再び彼の声が聞こえました。

そちらの方へ顔を向けました。

 

「や、やった・・・!」

 

・・・にわかには信じられない光景です。

 

彼はこの短時間で少女を治療できたのです。

専門でもないただの下級死神が。

 

「(彼となら、患者をを早急に救うことができる!)」

 

奇跡と言っても過言ではありません。

彼の医療の技術は隊長クラスでした。

 

私はその奇跡の少年に指示をだしました。

 

「鬼柳院さん、この傷を早急に治せそうなのは私とあなただけです。他の患者の方にもお願いできませんか?」

 

「任せてください!」

 

彼は二つ返事で返してくれました。

 

そこからは早かったです。

 

彼と私を中心に世界が動いている様でした。

隣り合わせ、背中合わせになりながらも治療を続けました。

 

そうやってやり続けていると心が次第に彼に満ちていきました。

最初は他と同じ死神から興味の対象へ、気になる存在から隣に居てほしい存在へと、変わっていきました。

 

彼を私の隣にいてほしい。

仕事でもそう、四六時中一緒にいたい。

 

危険で大変な治療でしたが、彼と一緒にいるこの時間がもっと続いてほしいとも思いました。

 

結果、終わったのは深夜に入っておりましたが、夜通しにはなりませんでした。

 

 

 

 

 

 

「ふああぁぁ~、疲れた~」

 

今は満月が煌々と輝いている。

多分、時刻は夜中の1時頃だ。

急患が多数入ってきたものの、俺と卯ノ花隊長を中心にがんばったお陰で、なんとか全員治療を済ませ、一命を取り留めた。

 

「しっかし、まさか四番隊隊舎に寝泊りすることになるとはな~」

 

なぜ、そうなってしまったのか。

それは今より少し遡ることになる。

 

 

 

~~~京夜回想~~~

 

「さてと、これで全員の治療が済みましたし、俺は今度こそ十三番隊の方へ戻りますね」

 

「待ってください。折角ですから、お礼も兼ねてここに泊まったらどうですか?」

 

「えっ!?い、いや、悪いですよ。俺みたいな下っ端の死神が他の隊舎に寝泊りしちゃ・・・」

 

「いいのですよ。正直、今回の事態は私1人ではこんなに早く終えることができませんでした。鬼柳院さん、あなたがいてくれたお陰ですよ」

 

「卯ノ花隊長・・・」

 

「それに、今戻られても隊舎の方は開いてないはずですよ?」

 

「えぇ!?」

 

「確か、この時間で開いているのは緊急の事態に対処しなくてはいけない四番隊と当番の隊だけですよ?」

 

「きょ、今日の当番に十三番隊は・・・」

 

「当番外です!☆」

 

「た、確かめていきます!」

 

 

 

~~~数十分後~~~

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「いかがでしたか?」

 

「・・・開いていませんでした。・・・門番さんもいない」

 

「ふふっ、なら、諦めることですね」

 

「・・・はい、お邪魔にならせてもらいます」

 

 

 

~~~回想終了~~~

 

 

 

「まさか、開いてなかったとはな・・・」

 

報告は明日になりそうだな・・・

海燕さんにどやされそうだ~・・・

 

そんなネガティブなことを考えていると、大きく開けた通路の端に卯ノ花隊長が座っていた。

脇にはお茶が2つ置いてある。

卯ノ花隊長はじっと満月を見ながら、動こうとはしない。

 

「卯ノ花隊長・・・?」

 

俺が呟いた瞬間、こちらに気づき、くるっと振り向いた。

 

「待ってましたよ、鬼柳院さん」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・?鬼柳院さん?」

 

「・・・!?あ、そのっ、す、すみません!」

 

しまった、つい見惚れてしまった。

こちらに振り向いた卯ノ花隊長は普段と違って、髪は三つ編みで縛っておらず、先の方を軽く縛ってあるだけ。

さらに寝間着でいるから、見てはいけない部分がチラッと見えてしまっている。

なにより、月明かりで照らされた顔がいつもより美しく、優しく、すごく綺麗だった。

 

卯ノ花隊長はそんな俺の様子に首を傾げながらも気にしておらず、ポンポンっと床を叩いた。

 

「どうぞ、お隣へ」

 

「は、はぁ・・・失礼します」

 

俺は隣へ座った。

 

やっべ、なんか緊張する。

卯ノ花隊長から漂う大人の雰囲気というか、香りというか、よくわからない良い匂いでおかしくなりそうだ。

 

「今日は本当にありがとうございました」

 

「いや、そんな、当然のことをしたまでですよ」

 

唐突に卯ノ花隊長が言葉を発した。

 

一体、何回目のお礼になるのだろうか・・・

でも、悪い気は全くしない。

 

「本来、あれは四番隊が行うことです。なのに、違う隊であるあなたの協力がなければ、このようないい結果には結ばれなかった・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

卯ノ花隊長の拳に力が入る。

身体が震えていた。

 

「・・・それが私には悔しくて・・・私が不甲斐ないばかりに・・・」

 

「・・・それでも卯ノ花隊長はすごいですよ」

 

「・・・?」

 

上手い言葉が出てこない。

でも、俺が思ったことを精いっぱい伝えてみよう。

 

「卯ノ花隊長はあんなに大勢の急患を目の当たりにしても、臆せず、すぐに治療に取り掛かったじゃないですか」

 

「・・・・・・・・・」

 

「それに、卯ノ花隊長の指揮もあるからこそここまで上手くできたんだと思います」

 

「・・・そうですか?」

 

「はい、それに俺や卯ノ花隊長、四番隊の皆さん、誰か1人でも欠けていたら、ここまでできなかったと思います」

 

「誰か1人でも欠けていたら・・・」

 

「そうです。あと、俺のことで悔やまないでください」

 

「・・・え?」

 

「俺は自分でやりたいから勝手にやっただけです。下手したら、処罰ものです。でも、困っていたら、それが別の隊でも助け合うものだと、俺は思うんです」

 

「・・・!」

 

「卯ノ花隊長あっての四番隊なんですから。気を落とさないでください」

 

「・・・ありがとう・・ございます・・・」

 

卯ノ花隊長は俺の手を優しく両手で握った。

俺も優しく握り返す。

卯ノ花隊長の目尻には涙が溜まっていた。

 

「す、すみません・・・隊長が泣いてはいけませんのに・・・」

 

「何を言ってるんですか。隊長にだって泣きたい時くらいあっておかしくないですよ」

 

卯ノ花隊長は袖で溜まった涙を拭きとる。

 

そして、ニコッと微笑んでくれた。

 

「ふふっ、鬼柳院さんはやっぱりお優しいのですね」

 

「違いますよ。言ったじゃないですか。騙されやすい、ただの仕事バカですよ」

 

お互いに微笑む。

しかし、時が経つに連れて、お互いに見つめあう形になってしまった。

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

どのくらい経っただろうか?

まるでそこが止まっているように感じた。

 

なんだろう・・・?

不思議な感覚だ・・・

身体が言うことを効かない。

 

だが、時が動き出した。

卯ノ花隊長が口を動かした。

 

「・・・あの」

 

「は、はい・・・」

 

あ~、ダメだ。

しどろもどろになってしまう。

 

「下の名前で呼んでも構わないでしょうか・・・?」

 

「え!?全然、構わないですよ・・・」

 

「では・・・コホン、京夜さん」

 

「・・・は、はい」

 

「ふふっ、京夜さん」

 

「・・・はい」

 

「京夜さん♪」

 

「はい」

 

「京夜さん☆」

 

「はい・・・」

 

・・・一体、いつまでこのループは続くのだろうか?

なんか、語尾に変なマークまで出ちゃってるし。

 

「京夜さん!」

 

「は・・・へ、えぇ!?」

 

いきなり声を上げたと思ったら、いきなり抱きしめられた!?

ちょ、そんな抱きつかれたら、たわわに実った桃が変形しているんですけど!?

 

「う、卯ノ花隊長!?こ、これは一体・・・」

 

「・・・私、こう見えても、さびしがり屋なんです・・・」

 

「は、はぁ・・・い、意外ですね」

 

卯ノ花隊長!よくわからないんですけど!

ああ・・・こうやっている間にも密着して、俺の理性がガリガリ削られていくぅ~!

 

「・・・だから、あなたには私の傍にいてほしいんです・・・」

 

「・・・えっと・・それって、どういう・・・」

 

お、おお・・・!?

な、なんだこの展開!?

俺がいつフラグを建てた!?

 

卯ノ花隊長は真剣な顔つきから一瞬、目を閉じて、開いた。

その顔はとても微笑んでいた。

終始、頬を赤く染めていたが。

 

「ふふっ、私が言っているのは、四番隊に転属してほしいって言っているんです」

 

「あ、そういう意味・・・」

 

び、びっくりした・・・

まさか、告白されたのかと思った。

 

まぁ、俺みたいなしがない死神じゃなくて、もっと高めの人を狙うよな。

・・・やっべ、なんか泣けてきた。

 

「あの、なんで、俺を四番隊にほしいんですか?」

 

「あら?自覚はないのですか?あなたが行った治療は、私でも難しい高難度の治療法ですよ」

 

「ええぇっ!」

 

は、初めて知ったぞ。

てっきり、卯ノ花隊長の模倣だから、所詮劣化版だと思ってたのに・・・

これが神様チートってやつか、神様!

 

「これはあなたの才能です。その才能を生かしてみませんか?」

 

「う、う~ん・・・」

 

「それに、あなたなら私の助手を任せてもいいと思ってます」

 

「助手ですか?」

 

「はい。丁度、助手のような人がいればいいな~、と思ってた所なので。それに・・・」

 

・・・?

それから言葉が続かない?

何か、言いにくいことなのか?

 

「・・・?どうしたんですか?」

 

「・・・・・・(あなたといる時間を多くしたいから。あなたとたくさん語りたいから。あなたとあんなことやこんなことを・・・)」

 

「卯ノ花隊長~?」

 

「はっ!・・・いえ、その・・な、なんでもないですよ!?(あ、あなとが助手になってからの妄想をしていたなんて、言えません~!)」

 

大丈夫かな?

なんか、ボーッとしてたし。

あ、もしかして、眠いんだな。

 

もう遅いし、これ以上、語っていたら明日にも響いてしまう。

よし、そうと決まれば即行動!

 

「卯ノ花隊長、もう遅いので、就寝にしませんか?」

 

「えっ!?あ、そうですね・・・」

 

また様子がおかしかったな。

相当、疲れているんだろうな。うんうん。

 

いつの間にか抱きついていた腕が緩まっていたから、すんなり立てた。

卯ノ花隊長も続いて立つ。

 

「え~と、寝室は・・・」

 

「こちらですよ。京夜さん」

 

俺は卯ノ花隊長の案内の元、寝室に着いた。

 

そして、襖を開ける。

 

スッ

 

「では、どうぞ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

俺は部屋に入った。

卯ノ花隊長も入る。

襖を閉める。

 

・・・ん?

 

「・・・あの、なぜ卯ノ花隊長が入っているんですか?」

 

「それは、ここの部屋は私の寝室ですから」

 

「えっと、まさかこの1枚の布団で、一緒に寝るってことはないですよね~?」

 

「一緒に寝ますよ」

 

「い、いや・・・それは、遠慮・・・」

 

「一緒に寝ますよ」

 

「あの・・・ですから・・・」

 

「一緒に寝ますよ」

 

「・・・はい」

 

・・・押し通された。

笑いながらも背後に不明なオーラを保たれたら、拒否できねーよ。

 

卯ノ花隊長は、なぜか俺より先に布団に入り、空いているスペースを片手で叩いた。

 

「・・・きょ、京夜さん、いらっしゃい・・・」

 

「恥ずかしいなら、やらなくてもよかったんじゃないですか?」

 

「うっ・・・」

 

顔を真っ赤にするなら、やるなよ・・・

こっちが恥ずかしくなってくる。

でも、まぁ、折角やってくれたんだし、お言葉に甘えますか!

 

「・・・失礼します」

 

「・・・はい」

 

俺は一緒の布団に入った。

もちろん、卯ノ花隊長に背を向ける感じで。

 

「あの・・・京夜さん、なぜそちらを向いているのですか?」

 

「いや、その・・・こちらの方が寝やすいかな~、と」

 

向ける訳ないだろ!

あっちははだけているし、顔は火照ってなんかエロいし、とにかく向いたらマズイ!

色々な意味で!

 

「・・・なら、奥の手ですかね」

 

「え?奥の手?」

 

なんだろう?

嫌な予感が・・・

 

「隊長命令です。鬼柳院京夜、今からこちらに向き、抱き枕になりなさい」

 

「そ、それって、職権らんよっ・・ウプッ!」

 

「きちんと指示通りに動いてくれましたね。良い子ですよ」

 

そう言いながら、俺の頭を撫でる。

あ、ちょっと気持ちいいかも・・・じゃなくて!

ついツッコもうとして、振り向いたら俺の顔がでかい2つのマシュマロに埋もれた!

 

おい、そこ!羨ましいじゃねーよ!

こっちはピンチなんだ!

 

息は碌にできない、独特のいい匂い、理性と本能の競り合いとかで頭がおかしくなりそうなんだよ!

俺はジタバタと卯ノ花隊長に助けを求める。

 

「・・・!・・・・・!?」

 

「ふふっ、そんなに暴れて・・・そんなに嬉しかったのですか?仕方ないですね、サービスをしましょう」

 

ぎゅぅ~~~~~

 

「・・・!?・・・!?・・!!!」

 

さらに埋もれていく~!

息がっ!息がっ!

 

あっ・・・もう限界・・・意識が・・・

 

俺は心地よい温かさ(?)に身を任せ、寝た。

 

 

 

 

 

「あら、京夜さん?・・・寝てしまわれたのですね」

 

今、京夜さんは私の腕の中で寝てしまっていいます。

 

全く、私の胸が気持ちいいからって、話の途中で寝ないでいただきたいですね。

 

「・・・しかし、子どもみたいですね」

 

月光の灯が彼の顔を照らす。

いつもは真面目な彼も寝る時にはこんな無防備な顔になるんですね。

 

ちょっとイタズラをしちゃいましょうか♪

 

「フフフ!」

 

ツンツン

 

「・・・ん」

 

頬をツンツンしてみました。

可愛いくてこの顔をいつまでも見たいですね。

 

すると、いきなり彼が抱きついてきて、呟きました。

 

「・・お母さん・・・」

 

「!!!」

 

ズッキュン

 

胸が・・・胸がときめきました!

何でしょう・・・この母性本能をくすぐる可愛らしさは!

 

すると、いきなり胸をわしづかれました。

 

ムニュ

 

「ひゃっ!?きょ、京夜さん!?」

 

「ん・・・んん・・」

 

「ね、寝惚けているのですか・・・?」

 

でも、その割には的確すぎます!

 

尚も京夜さんは手を休めることはありません。

 

「あ!きょ・・うや、さん・・・・そ、そこは・・」

 

胸、首、くびれ、腹、太もも、様々な各部位を、まさぐり撫で、掴み、まわします。

 

「あ、んん!・・ひゃ!ふわわ・・ああああ!」

 

そして、とうとう、大事なところ・・へ・・・!?

 

「だ、ダメです・・・そ、そこは・・・・あ、ああ・・」

 

快感が身体全身を走り、そして・・・

 

「あああああああああ!ひゃああああああ!」

 

私は笑顔のまま気絶しました。

 

 

 

 

 

 

チュンチュン・・・

 

「ん~~~!いい朝だ!」

 

俺は小鳥の囀りを聞いて、目を覚ました。

 

「あ~、そうだった。卯ノ花隊長と寝たんだっけ・・・」

 

俺の傍らには横になって、すやすやと寝ている卯ノ花隊長がいる。

なぜか、幸せそうな顔をしているが。

 

「ほら、起きてください。朝ですよ」

 

「・・・ん」

 

あ、起きた。

うっすらと瞼を開けるのが、ちょっと可愛く見える。

 

「・・京夜さん・・・!?」

 

ボフッと毛布で顔を隠すように被り直す。

なぜかほんのり顔が赤い。

 

「卯ノ花隊長?」

 

「・・・・・・・・・」

 

顔を赤くしながら、上目使いでこちらをじっと見ている。

 

うっ!なんだ、この可愛すぎる小動物は!

今すぐ撫でまわしたいが、時間も時間。

すぐに支度をしなければ。

 

「ほら、支度しましょ?」

 

「・・・まさか、あんなに積極的だなんて・・・」

 

「何か言いました?」

 

「・・・い、いえ・・なにも・・・」

 

「?」

 

とりあえず、俺たちは支度をした。

 

 

 

 

 

 

俺は治療を行った人を見送っている。

 

俺が治療をした人はほとんど治り、推定3日はいなくてはいけない所を僅か1日で退院させることができた。

改めて、自分がやったことが凄いことがわかった。

よくもまぁ、こんな芸当ができたよな。

本当、自分が相当なチート使いだなってわかるわぁ~。

 

そんな時、少女が俺の元へやってきた。

 

「お兄ちゃん!」

 

「お、君も元気になったんだね」

 

「うん!すっかり元気!」

 

傷を負った時は苦しそうで、桃色の髪も生気がなく感じた。

けど、今は笑顔が輝き、髪は元気いっぱいにフワフワしている。

 

「お兄ちゃんの名前ってなんていうの?」

 

「俺の名は京夜っていうんだよ」

 

「そうなんだ!じゃあ、京兄ちゃんって呼ぶね」

 

「きょ、京兄ちゃん?」

 

いきなりそんな呼ばれ方をされるのは初めてだ。

でも、いいかも。

 

「京兄ちゃん!また怪我をしたら、治してね!」

 

「はは、怪我はあんまりしちゃいけないんだけど、約束するよ」

 

「じゃあ、京兄ちゃん!私行くね!」

 

「うん、またね!」

 

少女は元気よく飛び出していった。

 

今更だが、あの少女、どっかで見たことあるんだよな~。

原作でいたような・・・

 

「京兄ちゃん!」

 

と、考え事をしていたら、いきなり少女が後ろから声をかけられた。

 

「剣ちゃんが一言言いたいんだって!」

 

「え?剣ちゃん・・・て・・・」

 

少女の後ろには鬼がいた。

何本も針のような髪が逆立っており、その先端には鈴がついている。

大柄で眼帯をつけている。

その背中にはどす黒いオーラが見える。

 

十一番隊隊長、更木剣八。

どの猛者よりも強く、どの死神の中でも最強クラス。

 

やっべぇ・・・マジでやっべぇ・・・

何で、こんな所に・・・

俺、殺される?

 

「・・・おい」

 

「・・・は、はい」

 

いつの間にか眼前に来てた。

俺、どうなっちゃうの!?

 

「・・・礼を言う」

 

「・・・は?」

 

そう言って立ち去ってしまった。

 

てっきり「俺と殺し合いをしようぜ!」みたいなことを言ってくるのかと思ってたんだけどな。

俺が小首を傾げていると、少女―――十一番隊副隊長、草鹿やちる―――が説明してきた。

 

「剣ちゃんはね、私が怪我をしたのは自分の責任だと思っているみたいなの!だから、私を救ってくれた京兄ちゃんにはとっても感謝しているんだよ!」

 

「そうだったんだ・・・」

 

人は第一印象で決めるもんじゃないね。

意外な一面が見えたかも。

こういう所は原作では語れないから、転生してきてよかったかも。

 

「やちる!早く来い!」

 

「はーい!じゃあね、京兄ちゃん!また会おうね!」

 

「うん、バイバイ」

 

そうやって、立ち去ろうとたが、途中、ピタッと止まり、戻ってきた。

 

「どうしたの?」

 

「ん~と、耳貸して」

 

「なになに?」

 

やちると同じ高さになるように膝をつき、耳を傾ける。

 

「今日のお礼だよ!」

 

チュ☆

 

「へっ!?」

 

・・・いきなり、頬にキスをされた!?

 

「アハハ!バイバ~イ!」

 

「あ・・・バ、バイバイ・・」

 

今度こそ去って行ってしまった。

 

しかし、最近の若い者は積極的だな~。

お礼でキスをするとか。

元の世界じゃ考えられないな。

 

「まっ、子供のお礼のキスだ。素直に受け取っておこう」

 

嬉しいね。

あんなに喜んで、お礼までしてくれたんだから。

決して、俺に変な性癖があるわけじゃないからな!

 

「よし、あれで最後かな。そろそろ行くか」

 

「・・・行ってしまわれるのですね」

 

「卯ノ花隊長・・・!」

 

荷物を持って、立ち上がろうとしたら、後ろから卯ノ花隊長が現れた。

 

そうだ。昨日言われたことを返してないや。

 

「あの・・・四番隊に転属の件なのですが、やっぱり一三番隊に残り続けようと思います」

 

「・・・そうですか」

 

「はい、海燕さんの下でやり続けようと心に決めていますから」

 

俺が尊重する海燕さん。

その人の下で仕事をしたいし、海燕さんの下で死ねるんだったら本望でもある。

 

「そうですか・・・でも、考えがお変わりになられましたら、四番隊にぜひ来てくださいね」

 

「はい、その時はよろしくお願いします」

 

卯ノ花隊長は少し残念そうな表情をしたが、最後は微笑んでくれた。

ごめん、卯ノ花隊長。

俺は心に決めた人と共にこの世界を歩むって決めているから!

 

「それでは、失礼します」

 

「はい、お元気で。また来てくださいね」

 

「はいっ!」

 

俺は元気よく外へ出た。

今回は色んな経験を積めた。

たくさんの人を救えた。

もう気分は上々だ!

 

ウキウキ気分で自分の隊舎へ帰っていたが、俺は忘れていた。

 

海燕さんには叱られることを。

 

そして、まさか、反省文を書かせられるはめになろうとは・・・




いかがでしょうか?

まさか、剣八とやちるがでるとは思わなかった・・・
当初は考えていなかったんですが、書いてる時に出せるタイミングがあったので、ちょこっと出しました。
ちなみに、やちるをハーレムメンバーに入れるのは、まだ思案中です。
入れてほしいという方が多かったら、メンバーに入れて、やちるメインのストーリーでも考えます。

さて、次回はルキアメインです!
原作でもある、あの海燕が死ぬ前の話です。

次回もお楽しみに~

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