インフィニット・ストラトスΔ(デルタ)   作:Empire

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初投稿…頑張りますよー



第一話 始動

北アイルランド…とある都会

 

 

 

燃えていた…町が…ビルが……何もかも燃えていた…

 

景色が赤い……決して普段が赤い景色ではない…炎の色、そしていろんな所に横たわる多数の血まみれの遺体

 

 

 

そんな廃墟同然の町を、一人の少年と二人の幼い少女が手を繋いで歩いていた

 

 

 

 

 

 

 

「…とお…さん……かあ…さん……」

 

 

少年はそう呟いた…何故なら…彼の親はもういない…少年と二人の幼い少女を残して死んでいった…

 

 

途端に遠くから爆音が聞こえた

 

 

その爆音に思わず身構える少年

 

 

「お兄ちゃん……こわい……こわいよ……」

 

「にぃに……」

 

二人の幼い少女、恐らく少年の妹だろう…爆音を聞いて恐怖心が芽生えたのか少年に抱き寄ってきた

 

 

「……」

 

そんな二人を強く抱き締め…髪で隠れていた目が虚空を見上げる

 

 

それはまるで、今のこの世を恨んでいる様な目、悲しみと憎しみの目であった

 

 

「…っ…ぬあああああぁぁぁぁぁぁあああっ!!」

 

 

少年は叫び続けた…声が枯れるまで憎しみにも、悲しみにも聞こえる叫びを…

 

しかしその声は煙によって覆われた虚空のみが受け止めるだけだった

 

 

 

 

その後少年とその妹二人はアメリカ軍によって保護され、アメリカへと国籍を移して政府の援助で暮らし始めたのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ ニューヨーク州

 

 

Ppppppp!

 

 

「う……ん……(カチッ)………Zzz……」

 

 

朝の8:00、枕元に目覚まし時計を止めたがまた睡魔に負けて寝てしまった

 

 

 

 

ドガァッ!!

 

と少年が寝ている部屋のドアが勢いよく開けられた

 

「ちょっと!!何時まで寝てるのよ!!」

 

 

女の子の声が部屋中に響いた、その声でやっと目が覚めたのか

 

 

「……ん…ああ……ウィノ?」

 

 

ウィノと呼ばれた少女は窓のカーテンを開け放ち、部屋中が太陽の光で明るくなった

 

ウィノ「あのねぇ…今日はあんたの…」

 

 

「わかってる…入隊式だろ……」

 

 

 

 

今アメリカ軍に新たな部隊が発足された

 

国際特殊精鋭部隊デルタ・フォース

 

 

これはアメリカ軍が多方面に活躍できるように様々な種類の軍隊の精鋭ばかりを集めた総合的な部隊である

 

爆発処理、海上防衛、航空部隊などの部隊の精鋭が召集され、一つの大きな部隊へと変わっていった

 

 

そしてそのデルタ・フォースにIS(インフィニット・ストラトス)部隊が結成される事になった

 

 

ISは日本の科学者、篠ノ之束博士が開発したパワードスーツでこれまでの現代兵器を凌駕する兵器である

 

現在467のコアが世界中にあり、それらが国際IS委員会によって登録、管理されている

 

 

しかしこの画期的な兵器は欠点があった

 

 

それは『女しか扱えない』事である

 

それが原因で世は女が権力を持ち、男は蔑まれる女尊男卑に染まっていったのだ

 

 

ウィノ「早く!集合時間に遅れるわよ!」

 

「わかった…」

 

そう言ってウィノは部屋を出ていった

 

 

少年は寝癖で跳ねた髪を手櫛で直し、着る服を選別して着替えて部屋に置いてあった荷物を持って部屋を出た

 

 

 

 

 

 

「おっと…忘れ物…」

 

 

そう言って少年はまた部屋に戻り、机の上に置いてあったカードを持った

 

 

そこに書かれていた名前

 

 

【カズマ・アーディガン】

 

これがこの少年の名前である

 

 

 

 

 

 

支度を終えて一回のリビングに降りてきた時、そこに二人の少女がいた

 

「あ、やっと起きた!」

 

「にぃに!はやくはやく!」

 

二人は既に支度を終えていた

 

カズマを兄と呼んでいる事から彼の妹だろう

 

カズマ「行くぞユカ、ユイ」

 

ユカはカズマより二つ下、ユイは三つ下の妹で、彼女達もデルタ・フォースによって召集されたメンバーである

 

しかし年齢はカズマが14歳でユカが12歳、ユイが11歳でまだ子供の年齢である

 

 

それは軍隊に入る年齢ではなかったのだ

普通なら最低でも15歳からなのにカズマ達はそれ以下の14歳から軍に召集されたのだ

 

 

ユカ「オッケー!」

ユイ「はーい」

 

 

 

 

 

三人は家を出た

 

その家の前に先程カズマを起こしに来たウィノが待っていた

 

彼女はウィノ・マグガバン

カズマと同じスクールに通っていてたが

 

 

ウィノもデルタ・フォースに召集されたメンバーで年齢はカズマと同じ14歳である

 

カズマ「すまない、待たせたな」

 

ウィノ「別に…そんな待って無いわ…早く行くわよ」

 

四人はとある目的地に向けて歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

アメリカ軍 デルタ・フォース本拠点

 

 

四人はデルタ・フォースの拠点に着いた

 

ユイ「わぁ…」

ユカ「おお…」

ウィノ「すごい…」

カズマ「広いな…」

 

拠点の広さはとても広く、様々な施設や工場、更には演習場、滑走路等々、かなりの規模である

 

 

カズマ「ウィノ、俺達の集合場所は?」

 

ウィノは携帯端末を起動させて基地の地図を開き、現在地と場所を確認した

 

ウィノ「えっ…と…IS部隊寮は…此方よ」

 

 

そう、彼らはデルタ・フォースのIS部隊のメンバーなのである

 

しかし疑問が一つ、そもそもISは女しか扱えない

 

 

男であるカズマがそのIS部隊へ召集されるのはおかしい

 

それはアメリカ軍がなんと独自でISを開発、量産する事に成功したのだ

 

その際、ISコアを解析する際、女しか扱えない欠陥部分を特定し、なんと男性でもISが使用出来る様になったのだ

 

それ故、アメリカでは女尊男卑の影響は無く、IS登場前とは何の変わりない生活を送っていた

 

 

独自にISを開発したアメリカは全軍人にIS適正試験を開始した

 

そして一般人でもIS適正試験を実施し、カズマはそれを受けて見事にA+という優秀な結果を残した

 

この結果を見たアメリカ軍上層部は、カズマをデルタ・フォースに迎え入れ、半年間のISの運用、知識等を学ばせ、当時アメリカに亡命して国の援助で暮らしていたカズマは妹達を軍が保有する施設へ入れるという条件を提示してカズマを召集したのだった

 

 

 

 

ウィノ「しかし、なんでカズマはIS適正試験を受けたのよ?」

 

カズマ「ウィノは?なんで受けた?」

 

ウィノ「あのねぇ…質問を質問で返さないでよ!」

 

カズマ「す…すまない…」

 

 

と二人が話していると分かれ道が見えてきた

 

ユカ「じゃああたし達はこっちだから、お兄ちゃんお仕事頑張ってね」

 

カズマ「ああ、わかった」

 

ユカとユイは軍から召集されたのではなく、カズマが軍からデルタ・フォースに入隊した際の条件として二人の面倒を軍が見るという事になったのだ

 

ユイ「にぃに…」

 

ユイは寂しそうな表情だった

 

自分にとって何時も一緒にいた大好きな兄が遠くへ行ってしまう

 

それが不安でたまらなかったのだ

 

そんなユイをカズマはそっと抱き締めた

 

カズマ「大丈夫、いつか必ず会いに行くから、心配しないで」

 

ユイ「にぃに…やくそくだよ…」

 

カズマ「ああ…ユカ、ユイの事頼んだぞ…」

 

ユカ「うん、わかった」

 

そして二人は手を繋いで軍の施設へ向かった

 

 

カズマはその二人の後ろ姿をじっと見送った

 

ウィノ「寂しいよね…やっぱり…」

 

カズマ「でも国の援助で生きられるには限りがある…俺が15になったら援助が切れて路頭に迷っていたから…それを考えればまだマシさ」

 

カズマが受けていた難民援助はカズマが15になると援助が受けられなくなってしまう

 

15歳のカズマが出来る仕事の給料で、更に妹二人を養うのは難しい

 

ウィノはふと思った

 

 

ウィノ「もしかして…カズマがIS適正試験を受けた理由って…」

 

カズマ「ああ…軍に入って妹二人を養う為でもあるし、護る為だ」

 

ウィノ「でもカズマって親は…」

 

カズマ「…」

 

カズマは黙った…その脳裏にあの時の惨劇が出てきた

次第に表情が険しくなるカズマを見てウィノは

 

ウィノ「カズマ?」

 

カズマ「ウィノ…五年前に起きた…アイルランドの自爆テロ事件…知ってるか?」

 

ウィノ「えっ!?」

 

行きなり過去の物騒の話を出してきたカズマに動揺しつつ、ウィノは答えた

 

ウィノ「うん…ニュースで…でもなんでそんな話を?」

 

カズマは空を見上げて静かに言った

 

カズマ「俺の生まれ故郷は…そのアイルランドだった…」

 

ウィノ「ええっ!?」

 

突然の告白に驚きを隠せないウィノ

 

まさかカズマがあのテロ事件の被害者だとは思わなかったのである

 

アイルランドの自爆テロはIS登場によって女尊男卑が酷くなっていた

そして一部の男性の団体がその抗議として女性の職場を次々と爆破していったのである

 

死傷者7000名という最悪の事態を招いた

 

カズマ「俺の両親はテロに殺された…あの時俺と妹達は地下室で遊んでいたから助かったんだけど…大きな爆音が聞こえた時は何が起こったかは、わからなかった…そして地下室から出て…」

 

ウィノ「もういいよ!!カズマ!」

 

カズマ「ウィノ?」

 

いきなり大声をあげたウィノ、その体は震えていた

 

普段のカズマとは思えない過去の話を聞いていたのだが、耐え切れなくなって話を止めさせた

 

カズマ「ごめん…」

 

 

ウィノ「まさか…ISの事…ずっと前から勉強してたの?」

 

カズマ「そうだ…前はISの技術者になろうとしてたんだけど…まさかアメリカ軍がISを男性でも扱えるようにしちゃうなんてな…凄いよ…この国は」

 

 

カズマは右手で握り拳を作って

 

カズマ「俺は折角ISを扱えるんだ…妹を護るのもそうだが、この世界にテロを起こさせないってのもISに関わった理由だ」

 

 

 

最後に決意を話したカズマ、彼の決意はアイルランドからアメリカに亡命した時からぶれてはいなかった

 

 

ウィノ「そっか…それがカズマのISに関わる理由なのね…あたしなんかただパパのお手伝いをしたかっただけでISに関わったのに」

 

 

カズマ「…確かウィノの親父って…デルタ・フォースを立ち上げた人だよな?」

 

 

ウィノ「そうよ…ってカズマ!!話している内に時間があと5分しかない!!」

 

ウィノが腕時計を見たら集合時間まであと5分というギリギリの時間になっていた

 

 

 

カズマ「ヤバイな…行くぞ!」

 

 

 

 

 

二人はダッシュで目的地へと向かっていった

 

 

この二人がこれから様々な事柄に巻き込まれる事はまだ知らない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キャラのイメージ声優とそのモデル
カズマ・アーディガン 櫻井 孝宏 (FF7のクラウドがモデル、髪色が黒い)

ウィノ・マグガバン 戸松 遥(ToLOVEるのララがモデル、髪が金髪)

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