転生世界の多重能力   作:稀猫

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閑話 接触

─── 事件同日 深夜

 

 

私はある人を追っていた。

そのために、第7学区全体にある能力の包囲網を敷く。

私から逃げ切れると思うのはそもそも間違いだよ。

 

「見ーっけ!」

 

私はそのまま座標を計算し、転移する。

 

「いい加減に私を避けても無駄って分からないかなぁ?」

 

私は転移によって先回りして、その男の正面に立つ。

深夜の街を歩き回るには少し不自然な格好の私と、どこからどう見ても不良にしか見えない彼が相対する。

 

「あァ?ッせェんだよォ・・・。別に俺がどォしよォが、テメェには関係の無ェ話じゃねェか?」

 

彼の名は《一方通行(アクセラレータ)》。

明らかに本名では無いけれど、この際気にしない。

 

「私は別にどうでもいいんだけど、上がうるさくてね。」

 

「統括理事会の野郎共か・・・・。チッ・・!胸糞悪ィ・・・・。」

 

「私もあの人たちは好きじゃないけどね。あ、そういえば今日から私も君達の仲間入りだから。」

 

「あァ?ハンッ・・・。どォだかな・・。テメェは掴みどころがなさすぎてよォ・・信用していいのかどォかわかんねェんだよ。っつーかよォ、こんな無駄話しに接触してきたわけじゃねぇだろ?」

 

あ、いけない。

私としたことが。

 

「えっと・・。第一位?」

 

「その呼び方は好きじゃねぇんだがな・・・。」

 

そんなもん知ったこっちゃ無い。

 

絶対能力計画(レベル6シフト)。」

 

「テメェ・・・。」

 

「まぁ、別に実験を止めようとか言うんじゃないけどさ・・・。」

 

「じゃあ何だってんだァ?」

 

一際強く言い放つ。

 

「私の友達に手を出したら、あなたも狩の対象だからね?」

 

「ほォ・・・。言うじゃねェか。テメェの能力は超広感知(ハイパーセンス)・・・のLevel5?だったろォ?そんな感知系の能力で、俺に勝てると思ってんのかよ?」

 

そう。

ここまで彼を追って来た私の能力は超広感知。

軽く学園都市の3つの学区をあわせた程度の広さを網羅する感知系能力。

これもAIM拡散力場を元に感知するから、某AIM追跡者と原理的には大差ない能力といえようか。

 

彼の言っている事は、彼含め(・・)普通の(・・・)超能力者からしたら、常識的(・・・)な判断をしたまでだ。

だがそれは同時にその考えではあくまで常識(・・)の範疇を出ない。

()非常識(・・・)な人間からしたら、その原理は非常に脆く崩れやすいものとなる。

 

「私の能力(ちから)が、本当にそれ(・・・・・)だけならね(・・・・・)。」

 

「あァん?どォ言うことだ?」

 

「おっと。私としたことが、サービスしすぎたかな?」

 

「おい。」

 

「まぁ、後は自分で考えてね。私は君の様子を見に来ただけだから、これで失礼するよ。」

 

「おい!待ちやが・・!」

 

 

私は即座に走り出し、角を曲がった瞬間に長距離転移で自室に戻った。

 

 

 

 


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