黒子のバスケ ー影と光を助けた太陽のキセキー 作:フリュード
時は過ぎ、春、4月・・・・
私立 誠凛高等学校
桜が満開である4月。ここ、私立誠凛高等学校では新入生が校門をくぐり、次々に校舎の中へと消えて行った。
そんな中で一人青い目までかかったロングヘアーに眼鏡をかけた如何にも地味そうな男が校舎の前に立った。
「ここが誠凛高校か。これから楽しみだな!・・・にしても木吉の奴どこ行ったんだよ。」
水島である。バスケの時はスポーツ型のヘアゴムをつけて眼鏡はつけないのだが、普段は髪を下ろし、眼鏡をつけているので中学校時代バスケ部の人でもあまり分からなかったのだ。
『おい、地味そうなやつが校舎のど真ん中で突っ立ってるぞ。』
『地味そうなんだから自重しろよ。』
そんな声が所々から聞こえてくる。
「(ハハハ(怒)明日辺り髪切りにいこ。)・・・まぁとりあえず来たは良いけど、入試の時から気にはなっていたんだよなぁ・・・」
そんな反応に水島はこめかみに青筋を立てながら、水島はそう思うと一つ気になった事があった。
入試に来たときもそうだったがやけに校舎が真新しい。それに来る生徒は全員新入生みたいな感じだ。
(まさか、先生が言おうとしたのってこれ?)
水島は先生が志望届を出した時に変な顔をしていたのを思い出す。
まさかとは思っていた。何故かと言うと、ドが付くほどの天然の木吉。そしてバスケ部出身と知っている教師の俺の進路先を見たときの表情。
・・・明らかにそうじゃないかと言えるだけの証拠はある。
「・・・・・だ、大丈夫だ。うん、何とかなる。」
だが水島はそれを払拭し自分に言い聞かせ、水島は校舎の中へと入っていった。
誠凛高校 校舎内
「うお~きれいだな。」
校舎の中へ入った水島は真新しい校舎を見ながら廊下を歩いていた。
『すまない3年生・・・これからは
「・・・・・・」
ふと思い出し水島はその場に立ち止まった。
3年生のとき、当時帝光の監督であった白金監督から言われた悪魔のような宣告。それまで出ていた主力メンバーはがらっと変わり、バスケのコートに立っていたのは2年生の『キセキの世代』・・・
ろくに試合も出れずにベンチで必死に声を出していた
(思い出したくもない忌まわしい思い出だが・・・自分なりに楽しめた。今はこれからの3年間を歩き出せば良い。)
水島は少し目を閉じ、そう決意した後目を開き再び歩き始めた。
「(しっかしどこにいるんだよ・・・おっ!いたぞ!いたけど・・・隣にいるキンパツの奴は誰だ?)お~い。探したぞ木吉!」
木吉を探していた水島だが、漸く
(はぁ~でかい奴に絡まれたと思ったら今度は地味そうな奴が来たよ。しかもこいつも背が高いし。今日は厄日だなくそっ!)
水島にキンパツが似合っていないと思われた青年、
「ん?もしかして水島か!?」
さっき木吉といった男が地味そうな青髪の男にそう言った。
「おっ!正解だよ~良く気付いたな。」
木吉に水島と呼ばれた男は笑顔を作り、親指を立ててそう言った。
「(ん?水島?聞いたことが・・・)ってうわ!」
日向は水島に聞き覚えがあったのか、頭の中で考えているといきなり肩を捕まれ、水島の前に出された。
「聞いてくれ水島!1人目のバスケ部員だ!」
「はぁ!?オレはそんなこと言ってねえよ!!」
木吉は水島に対して日向のことをそう紹介したので日向はまだバスケ部に入った覚えは無いといわんばかりにまくし立てた。
「・・・やっぱりその言い方だとバスケ部無かったパターンだったのか。」
「すまんな。まさか無いと思って無くて。けどオレは諦めないぞ!だからバスケ部を創るんだ。」
「おぉ。それは木吉らしいな。それで最初のバスケ部員が彼ってことだったのか。」
「そういうこと。」
「・・・おい。なに俺がバスケ部に入った前提で話しているんだ。それにオレはバスケを辞めたんだ!オレはバスケ部にはいらねぇからな!」
「あっ!おい!」
なにやら2人で勝手に話が進んでいると理解した日向は一瞬の隙を突いて逃げていった。逃げたとき、木吉の声が聞こえたが、かまわずその場を後にした。
「はぁ・・・はぁ・・・にげれた。けど思い出した・・・あの青髪、たしか帝光のSFしていた奴じゃねえか。それにあのでかい奴も『鉄心』って呼ばれていた木吉じゃねえか・・・・
何でこの学校に・・・」
暫くして立ち止まった日向は漸く青髪の男と、木吉の事を思い出した。
「・・・けっ!思い出したところでオレはバスケ部にはいらねぇから知った事じゃねえ。」
しかし日向はそう割り切り、教室へと戻っていった。
「(・・・・)あ~あ。にげられたか。けど諦めねえからな。バスケが好きな奴に悪い奴はいねぇ!」
日向君(さっき木吉が教えてくれた)にバスケ部の勧誘を断られても尚、絶対入れると言わんばかりに目を輝かせ、俺に対してそう言ってきた。
「う~ん。あの子がバスケ・・・ねぇ?まずキンパツが似合ってなかったけどな(笑)」
オレは日向君の背格好を見て、特に髪形を思い出し思い出し笑いをしてしまった。
「えっ?似合ってなかったか?」バーン
「・・・(いや、そもそも木吉の
木吉のこういう性格に頭を悩ますオレであった。まぁ、バスケ部を作ろうとしているからまだ良いとは思うけど・・・
「それで何で
オレはさっきから気になった事を聞いた。木吉はさっきから日向君を入れることに燃えているからだ。
「ん~強いて言えばアイツはオレと同じだと思うんだ・・・とりあえず日向を追って意地でも入ってもらうぞ!」
「あ、おい!」
木吉はボソッと俺に聞こえない声でそう言うと、日向を追うと言い日向が逃げていった方向へと歩いていった。俺もそれに続くように木吉の後を追った。