黒子のバスケ ー影と光を助けた太陽のキセキー   作:フリュード

12 / 13
ついにインターハイ予選が開幕です!とはいえ原作でも描かれているので試合描写は軽めです!!!

わ、私のつたない試合描写は大丈夫かな・・・?

どうぞ!


第10Q インターハイ予選開幕!

「皆~いるわね~?」

朝7時。誠凛高校の正門前にてリコが主将である日向に皆の出欠を確認した。

 

5月も終わりに近づいた今日はいよいよインターハイ予選の初日。誠凛高校が所在する東京都では都内に実在するバスケ部の数が多すぎるため、4ブロックの予選に分けられ各ブロックを勝ち上がった4チームで決勝リーグを行い上位3チームがインターハイに出場する事が出来るのだ。

 

「いや、水島が来ていないな。」

話を戻すがリコの問いに対し日向は頭を掻きながら水島が来ていない事を話す。

 

「んも~何やってるのよ・・・」

 

「悪い悪い!遅くなっちまった!」

腰に両手をあて、溜め息を一つ吐いたリコ。すると遅れて水島が息を切らしてリコたちの元へと向かってきた。

 

「おせぇわダアホ!」

 

「すまんなぁ・・・うっかり寝過ごして。今度からないようにするから。」

日向が遅れた水島に叱ると水島は両手を合わせ謝った。

 

「(・・・・)ま、気持ちは分かるからな。許してやれよ。」

 

「・・・分かった。」

若干だが水島の目が充血しているのが分かり、木吉は水島を庇った後日向に許してやるよう言うと日向は怒りを鎮め水島を許したのだった。

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ!会場に行く前にさ!写真撮らない?」

改めて全員集まったのを確認し、いざ行こうとした時小金井が不意にそう提案してきたのだった。

 

「はぁ?これから行くって時に写真だぁ?」

 

「何でこのタイミング?」

小金井の突然の提案に日向は当然ありえないと言った反応を見せる。伊月は少し困惑しながらも何故なのか聞いてみた。

 

「ご、ごめん!タイミングもだけど練習漬けの日々でなかなか切り出せなくて・・・・でも・・・」

小金井は一区切りを置いた。

 

「なんか・・・バスケ部が出来たって言うのを形に残しておきたいんだ!」

小金井はありったけの思いをみんなにぶつける。

 

「・・・・・いいんじゃない?俺はそう言うの好きだけどな?」

 

「木吉に同じく。何かしら形に残すというのは良い事だしね。」

小金井の思いを聞いた後、木吉はニコリと笑顔になり小金井の意見に同意した。水島も同意の意見を言った。

 

「まぁ、良いじゃないか?こういうの楽しいし。」

 

「そうだね。」

 

「まだ時間もあるし、いいと思うよキャプテン?」

 

「・・・分かったよ。」

全員から同意の意見が出たので日向も了解せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

 

「よ~し。オッケーだよ!」

全員位置に着いたのを確認してから小金井はカメラのタイマーをセットし、自らもみんなの輪の中に入る。

 

「おい木吉!肩組むんじゃねェよ!」

 

「ん?良いじゃないか。仲良くしよーぜ!」

 

「うぜーよボゲェ!!」

 

「日向、キャラ壊れてるよ。」

部員がポジションについてポーズを決める中、木吉はやたら日向の肩に組もうとしているので日向はその腕を振りほどくのだが、何度も組んでくるので若干キャラが壊れそうになったので伊月が諌める。結局肩を組んだままになってしまい日向はそっぽを向いてしまう。

 

「(肩組むくらいいいのに・・・)」

水島はその様子に苦笑しながらも小金井と一緒にピースを決める。

 

・・・・ピピピピ、カシャ!!!

 

カメラは音の間隔が短くなった後、写真を撮る音が聞こえた。こうして、いっそう絆(約一名は違うが)誠凛高校バスケ部は気持ちを新たにインターハイに挑むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はここか。学校の体育館じゃない?」

 

「そうだろ?」

インターハイ東京都予選会場に着いた誠凛高校は会場を見て小金井はそう呟く。水島は小金井の呟きに溜息を吐きそう返す。

 

東京都は先述したとおり、学校が多いのでブロック別に分けられるため一斉に大きな体育館で試合が出来ないので学校の体育館を借りて試合をするのだ。

 

「水島君の言う通りよ。まずはブロック予選を勝ち抜けないと大きな体育館には行けないわよ!」

 

「そーゆー事。ま、楽しんで行こうや!」

木吉は笑顔で答える。

 

「気楽すぎるわ木吉!」

 

「喧嘩していないでさっさと準備するわよ!たしか私達って・・・」

気楽な木吉を諌めようとした日向をなだめたり子がこの後の予定を水島に聞いた。

 

「10時からだな。相手は・・・教律だな。」

水島は置いてあったインターハイ予選の看板を見て答えた。

 

「いまは・・・9時か。」

土田が時計を見て9時という事を確認する。

 

「そんじゃあ、さっさと控室に行って着替えてアップだね。」

 

「そうだな。この場に留まるのもアレだしな。」

小金井が時計を確認した後、アップを取ろうと催促する。伊月もそれに同意した。

 

「ちっ!・・・そうだな。んじゃ行くか!」

日向がそう言うと案内された控室へと向かった。他の部員もそれに続いていった。

 

 

 

 

 

 

「・・・いい?相手は大した相手じゃないわ!これまで練習してたことをやってね?いい?」

各自入念にアップを取った後、ユニフォームに着替えた水島たちはリコから指示を聞いていた。

 

「おう!」

 

「さて、約1年ぶりだ・・・」

全員がそう言った後、水島は利き腕である右腕をぐるりと回して一言つぶやく。

 

「そうだな。これまでの結果を出してやろうぜ!」

日向は皆にそう言いスターター陣はセンターサークルに向かっていった。

 

「あっ!水島君・・・」

 

「なに?」

するとリコは水島を呼び寄せ、耳元で何かを囁いたのだった。

 

「これより、インターハイ東京都予選一回戦の誠凛高校対教律高校の試合を始めます!」

両チームが揃った所で審判がそう言い、両チームのスターターが礼をする。

 

誠凛高校

 

PG 5番 伊月 俊    172cm

 

SG 4番 日向 順平(C) 176cm

 

C  7番 木吉 鉄平   192cm

 

SF 9番 水島 悠太   185cm

 

PF 8番 水戸部 凛之助 184cm

 

試合最初のジャンプボールは木吉が入った。

 

試合開始(ティップオフ)!!」

審判がボールを上に放り、ボールの高さが頂点になった時に両選手のジャンパーが飛ぶ。最初のボールを拾ったのは。

 

「よっしゃぁ!」

誠凛だった。ジャンプボールを拾った水島は誠凛コートから見て左45にいた位置からすぐさま仕掛ける。

 

自陣に戻り切れていない教律コートに水島はドライブを仕掛ける。

 

「水島!!??」

これには誠凛も驚きの表情を見せた。

 

『試合開始直後に水島君だけで攻めてくれない?』

 

「言われたらやるだけだ!おおお!!」

水島は試合前リコに言われたことを思い出し、高まる気持ちを抑えきれず教律に襲い掛かる。

 

「この!」

 

「ふっ!!!」

いきなりの奇襲に教律の選手も対応する。が、自陣に戻る途中であったため体勢が不安定である。

 

教律のマークマンの体制を確認した水島はレッグスルーで左側に行く。教律のマークマンも対応するがすぐさま繰り出されたクロスオーバーには対応しきれず、水島のペネトレイトを許す。

 

マークを振り切った水島はすぐにゴール下に迫りシュート体勢に入る。

 

「ふざけるな1年が!!!」

 

「・・・・1年でもなめたらいかんだろ先輩。」

すぐさま教律は対応し、水島の前に跳びシュートコースを消すが水島は右手にボールを持ちかえながら、体を右に傾けボールをゴールに向けて放った・・・ダブルクラッチだ。

 

「なっ!?」

高身長ながらキレのいいダブルクラッチに教律のマークマンは驚くが、対応はできない。ボールはゴールに吸い込まれ水島の奇襲は成功した。

 

【誠凛】2-0【教律】

 

「っしゃあ!!」

得点し水島は吠えた後、自陣に戻ったが待っていたのは非難の嵐だった。

 

「いきなり何するんじゃダアホ!」

日向は水島にチョップを食らわした。

 

「イデッ!!だってリコちゃんに!」

 

「はっ?」

日向にチョップを食らった頭をさすりながら水島が反論すると日向はとぼけた顔をするので水島は説明する。

 

「はぁ、あいつもとんでもないことしやがる。」

 

「ま、それで点が取れたからいいんじゃないか?」

 

「そうだな。」

日向が頭を抱えると木吉と伊月は水島を諌める事はせず、日向をなだめた。

 

「・・・・」

 

「たのしんでこーぜだって!!」

水戸部が日向の肩をポンとおきながら微笑む。小金井は水戸部の心情を代弁した。

 

「なっ!?まさか水戸部にパクられるとは・・・」

木吉はまさか水戸部に自分の台詞がパクられるとは思っていなかったのかがっくり項垂れる。

 

「・・・はぁ。わぁったよ。楽しむか。」

 

「おっ、遂に日向も!?」

 

「喧しいわダアホ!とりあえず、奇襲は成功したんだ!ディフェンス一本!」

日向が呟いた一言に木吉が目を光らせるが日向は一蹴して部員に声をだし気を引き締める。

 

奇襲を受けた教律は自分たちのペースを作ろうとゆったりとボールを運ぶ。誠凛は教律に対してマンツーマンディフェンスを展開していた。PGには伊月、SFには水島と基本は自分と同じポジションのマークについていた。

 

ダム、ダム・・・

 

教律のPGはボールを数回ドリブルした後SFにパスをする。パスをもらったSFはボールをもらいトリプルスレットの位置に入ったが・・・

 

「!!!!!!」

教律のSFは動く事が出来なかった。水島は全体を見るように見ており、背を低くして対面するように構えていた。しかもローポストにいるCにパスを出さないようにパスコースを消すディナイも抜かりなく行っているこれ以上ないDFを行っていた。

 

「(どこかで見たような・・・でもこのままじゃCにもパスできない。なら・・・)よし!」

SFは水島を見て一瞬どこかで見たような覚えがあったが、SFはこれではパスできないと悟り、勝負に出た。まずはクロスオーバーで水島を抜こうとした。が。

 

「・・・甘いっすね先輩。」

水島は教律SFのクロスオーバーに着いて行った挙句クロスオーバーで左から右にボールが届く寸前にスティールを炸裂させる。

 

「はぁ!?」

まさか付いて行った挙句、スティールさせるなど思いもせずSFはただ驚いた。しかも審判から見ても手をはじいている素振りは無いと分かり、ファールは流された。

 

「帝光にあなた以上のドリブラーはいましたから。抜けるとでも?」

 

「!!!!!!あっ・・・」

ボールを奪った水島は去り際にSFにボソッと呟く。SFは抜かれた瞬間抜いて行ったものが誰かなのか気付いた。

 

「ターンオーバーだ!」

試合を見ていた観客が叫んだ。ボールを奪った水島はワンマン速攻を展開し、レイアップシュートで追加点を取る。

 

【誠凛】4-0【教律】

 

「おおお!というか・・・あの9番って・・・」

水島のレイアップを見た後、僅か創部1年のチームがリードしている事に観客の興奮も覚める事はない。ふいに誰かが水島を見て思い出した。

 

「・・・間違いない。帝光であのキセキの世代並みの実力を誇るって言われた『闘将』水島だ・・・というか何でこんな無名に!?」

教律のSFは鋭い目つき、やや明るい青色の髪。そして水島のトレードマークとも言われる両腕のひじ部分に着けている水色のリストバンドを見て瞬時に水島だと分かり驚愕する。

 

しかし、誠凛高校は水島だけではないのは知っている事。

 

ガシャン!!!

 

「うわぁ!??」

 

「おお!?ダンク!?」

 

「てか1回戦からみれるプレーじゃねぇ!?」

伊月からのパスをハイポストで貰った木吉は教律のマークマンをものともせず、ダンクを決めるとともに教律のマークマンを吹っ飛ばす。木吉のダンクにギャラリーは驚愕するとともに木吉の姿を見て驚いた。

 

「おい・・・『闘将』だけでなく『鉄心』もいるのかよ!?どうなってやがるんだこのチーム!?」

 

「おい、カメラ撮っておけ。」

 

「これは・・・まずいな。」

あまりの豪華なメンバーにギャラリーは驚きを隠せない中、他校の偵察部隊らしき生徒も動き始める。

 

ギャラリーが驚く中、試合は誠凛ペースに引き込まれていく。

 

【誠凛】97-65【教律】

 

第4Qも残りわずかで、誠凛が圧倒的なリードを保っている。

 

『はぁ・・・はぁ・・・』

教律も全員息切れをしており、スタミナが無いのは一目瞭然である。

 

何故ならここまで40分間走り続けているのだからだ。誠凛のラン&ガンに翻弄されている教律は守備を崩され誠凛に大量リードを許してしまったのだ。

 

「今度は水島か!木吉か!?」

PGの伊月がゲームを組み立て始めると、ギャラリーから合わせて50点以上は取っているこの試合の立役者でもある水島と木吉のどちらにボールを回すか、期待が高まる。

 

「・・・・(はは。確かにこの主役は水島と木吉だけど・・・あいつを忘れたらいけないよね!)日向!」

伊月はコート全体を見渡す自身の能力、「鷲の目(イーグル・アイ)」を使い、終盤から得点を決めている木吉にパスを出させない為にインサイド寄りにいたDFを見逃さず伊月はSGである主将、日向にパスを出す!

 

「さっきから、『鉄心』や『闘将』ってうるせぇよ!ダアホ!!」

 

「あ・・・」

日向にボールが渡ると教律のマークマンはインサイドに寄っていたのを後悔するが、日向は気にも留めずしっかりと溜めてスリーポイントエリアの外からシュートを放つ。

 

綺麗なスピンがかかったシュートは美しい弧を描き、ゴールリングに潜った。スリーポイントシュートが決まった。

 

【誠凛】100-64【教律】

誠凛が100点台に乗せてきた。

 

「シャア!!」

日向はシュートが決まると雄たけびを上げた。

 

この試合、水島と木吉に隠れているが、日向のスリーが決まっていた。

 

「あの4番もシュートが落ちていないぞ!」

 

「まさに百発百中!スナイパーみてーだな!」

日向の活躍を見ていたギャラリーもこれには歓喜する。

 

「どうすりゃいんだよ・・・インサイドを固めても外からのスリー・・・」

 

「はぁ・・はぁ・・」

教律は誠凛の怒涛の攻撃に手が出ず万事休すだった。

 

そして・・・

 

 

『ビ―――――』

 

【誠凛】100-64【教律】

誠凛の初陣は大勝で発進した。

 

「しゃああああ!!」

 

「よし!」

勝利し部員は大いに喜んだ。リコはこの結果に喜ぶように両手を上げていた。。

 

「・・・・・うしっ!!!」

水島は湧き上がる喜びを抑えきれずにガッツポーズをする。

 

「今度はまけねぇぞ!しょうりん高校!」

 

「おい。」

挨拶を済ませた後、教律から次は勝たないと宣言した後に高校名を間違われたので日向はため息を一つ吐き、教律の方へと目を向く。

 

「しょうりんじゃねぇ、誠凛(せいりん)高校 バスケ部だ!」

日向はしっかりと言い切った。

 

このメンバーならインターハイもいける!誰もが思っていたが・・・・

 

 

 

・・・・ピリッ!

 

「・・・・・?」

木吉は左膝から違和感を感じ左ひざを見るとわずかながらに震えている。

 

「・・・・(大丈夫・・・だよな。)」

木吉は左膝を見ながらそう自分の中で自己完結させ、ベンチへと引き上げて行った。

 

「・・・・・・」

しかし、その様子を水島は見逃さなかった。

 

しかし水島は何も言わずに彼もまたベンチへと引き上げる。

 

そして誠凛は一抹の不安を抱えてインターハイ予選が幕を開けた。




試合描写について何かあれば感想下さい!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。