黒子のバスケ ー影と光を助けた太陽のキセキー   作:フリュード

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久々の投稿で変なタイトルですが気にしないで下さい!なかなかインターハイ予選に入れないですが、ようやく試合に欠かせない奴が届いたという話です。少し短いですがどうぞ!


第9Q ヤツが届いた!

「はい!今日の練習はここまで!」

インターハイがとうとう今週に迫った月曜日。リコは笛を吹き、鬼練習の終わりを告げる。笛が鳴った瞬間部員は汗だくになりながらその場に倒れた。

 

「バカヤロー。この後リコちゃんからの話があるって練習前言ってただろーが。日向、集合かけろ。」

 

「だ、ダアホッ・・・こっちは体が動かないのに・・・」

倒れる部員がいる中、水島は止まる事の無い汗をリストバンドで拭きながらもしっかりとした足取りでリコのところへと向かいながら日向に対し集合を掛けろと言ったので、日向は未だ立てないので文句を言う。

 

「(な、なんで・・・?初日はその場に座っていたのに・・・凄いわ・・・)」

しっかりとした足取りで立っている水島に流石のリコも顔を引きつらせる。他の部員はまだ立てないという事で少し休憩を入れてから話を聞く事になった。

 

「水島~今日やっていたターンアラウンド?ってどうやるの~」

 

「ああ、あれはね・・・」

練習が終わってしばらく経ち、小金井が今日練習で使ったフェイント技のやり方を聞いてきたので水島は身振り羽振り付けて丁寧に教える。帝光出身の水島だが決しておごらず誰にも優しく接し、また自分の経験をもったいぶらず教えるので多くの後輩からは尊敬されていた。

 

「へぇ~練習すればできるよね!?」

 

「当たり前だ。『努力は報われる』ってな。」

水島は小金井に教えた後、小金井は目を輝かせてそう言ったので水島はサムズアップサインを出し笑顔で言った。

 

「あっ!それじゃ僕も教えてほしいんだけど!」

 

「うん。良いぜ!」

土田もそれを見て水島に教えを請うと水島は嫌な顔せず笑顔で快諾する。

 

「・・・(うんっ!いい感じね!)」

リコはその光景を見て笑顔になる。

 

「・・・(ま、アレが水島の良いところだな。俺も見習わないと。)」

伊月も微笑みながら思う。

 

「・・・チッ(アレがあるから恨むに恨めねぇんだよ)。」

日向は舌打ちをし悪態をつく。

 

3人はそれぞれ思う所は違うがともに水島を褒めているのは変わらない。

 

 

 

 

 

 

「さて!皆が動けるようになったところでアレ(・・)を配ろうと思います!」

 

『あれ?』

皆動けるようになったのでリコの下に全員集まるとリコは気になる発言をする。

 

「うん!2つあるんだけど・・・・っと。」

 

「ん・・・?あっ。」

リコはそう言い、大きいダンボールを持って来る。それを見た水島は何なのかを察した。

 

「ま、まさか!?」

小金井も気付いて、目を輝かせる。

 

「じゃーん!ユニフォームとジャージが出来たのよ!」

 

『おおお!』

胸部分に大きく書かれた『SEIRIN』の文字に、サイドに白黒があしらわれ赤の縁取りが付いたユニフォームを2つ(白ベースと黒ベースの2枚)と白ベースで袖部分とズボンのライン部分を黒くしたクラブジャージを取り出してみんなに見せると部員から歓喜の声が上がる。

 

「『じゃあ、次回はジャージかい?』キタコレ!」

 

「・・・・・(ひゅおおおおお・・・・)」

 

「じゃあ、皆落ち着いた所で『オレ落ち着かせる役じゃないよ!?』これから呼ばれた者からジャージと共にユニフォームを取りに来て!この番号が今回のインターハイの登録番号だからね!まず日向君から!」

伊月のダジャレにさっきまで盛り上がっていた部員が一斉にツンドラ地帯になったのを確認してリコがそう言い(伊月は若干涙目になっていたがリコはスルーした)、呼ばれた順にジャージとユニフォームを取りに行かせた。

 

 

 

 

「・・・・(ニコニコ)。」

 

「どうした水島?何かやけに生き生きしているが?」

 

「何でか?これだからかな?」

水島が取りに行き、元の場所に戻ると木吉が取りに行く前と比べてかなり嬉しそうだったので聞いてみると、水島は笑顔になりながら木吉にユニフォームを見せる。皆に配られたのと変わらないが、一つだけ違うとすれば・・・

 

「番号か?」

 

「そうなんだ!」

木吉がそれに気付き水島に聞いたら正解だった。。水島に渡されたユニフォームの番号は「9」だった。普通なら順当にレギュラーの順から渡せば9番は控えの番号になるが・・・

 

「いやぁ、前日にリコちゃんにこの番号が良いって言ったんだ。小学校(ミニバス)からずっと『9』を付けていたからね。」

 

「え、マジで!?」

 

「おお・・・俺はころころ変わったから番号に執着は無かったんだが・・・」

水島の言葉に小金井が食いつく。木吉も驚きを隠せず目を丸くする。

 

「うん。ミニバスの大会でMVP貰った時も、1年の全中とジュニアオールスターでMVP貰った時もこの番号だったんだ。だから俺にとってはこの番号は験担ぎでもあるんだ。」

 

「あ~お前とってたな~」

 

「その番号でその結果を残しているなら相当思い入れがあるよね。」

 

「コガ、しみじみと言っているけどMVP取れること自体すごい事だからな。」

水島は目を薄めながらしみじみと呟く。木吉は覚えているのか微笑み、小金井はそれを見てもう驚かなくなったのか分からないが、うんうんと頷きながら言った。そんなコガを伊月は冷静に突っ込む。

 

ちなみに「ジュニアオールスター」とは「都道府県対抗ジュニアバスケットボール大会」の事であり、水島は1年と2年の時に、木吉は2年の時に東京選抜に選ばれており、1年の時にMVPを取っているのだ。

 

「じゃあ、全員にいきわたったわね!間違ってないか一応確認しておいてね!」

リコがみんなに配り終えるとユニフォームに間違いが無いか確認をとらせた。

 

ちなみにユニフォームの番号はこうなっている。

 

4(C) 日向

5 伊月

6 小金井

7 木吉

8 水戸部

9 水島

10 土田

 

「間違い無さそうね。いよいよ今週いよいよインターハイ予選が始まるわ!ラン&ガンも形になり始めているわ!日数が少なかったから失敗もあるかもしれないけど、失敗を恐れずにどんどん攻めていってちょうだいね!」

 

『ウース。』

リコがそう言うと、部員は声を揃えて返事を返した。

 

「うん!それじゃ、明日からは徹底的に動作の確認よ!」

 

『おう!』

リコがそう言った後部員が挨拶したのを機に今日の部活は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

練習後誰もいなくなった部室に水島は椅子に座りながらユニフォームを広げじっと眺めていた。

 

黒の文字色に赤のラインでプリントされた『SEIRIN』と書かれ肩の部分にも同じような配色の白ベースのユニフォーム。しかし水島が見ていたのは「9」の文字。

 

「・・・かれこれ8年間共に「9」と一緒だな。本当に・・・色々あったなぁ。」

「9」を見ながら水島は絞り出すような声で呟く。水島の中ではいろんなことが走馬灯のように蘇る。

 

初めて試合で得点した時、初めて優勝した時、初めてMVPをもらった時・・・・嬉しかったこと・悲しかったことを共に歩んできた番号。色んな思いが詰まったこの番号は水島にとっては「相棒」だった。

 

「・・・・頼むぜ。少しでも長くあいつらと一緒に戦いたいから・・・・」

願うように・・・・そう思ったのかユニフォームを持つ手を強く握りしめる。

 

「当たり前だろ?」

 

「(ギグゥウウ!!!!)、き、きよ~し~~~????なんで?帰ったんじゃ!???」

 

「いやぁ・・・忘れ物をしたら声がしたもので・・・見たら水島が何かに語りかけているから。」

ユニフォームに語りかけていた水島に不意に扉の方から声がしたので全身をびくつかせ、ぎぎぎ・・・とおもちゃのようにゆっくりと扉の方を振り向くと扉に凭れ掛かるようにして木吉が立っていたのだ。水島は顔を真っ赤にしながら質問をすると木吉は苦笑しながら髪の毛をぼりぼりと掻いて答える。

 

「・・・・・・大丈夫さ。俺たちは勝つために練習してきたんだ。今バスケ部は良い雰囲気で来てるよ。」

 

「伊月のダジャレで良い雰囲気が凍ったりしてるけどな。」

 

「ははは!!!まぁな・・・けど。」

水島の辛辣な発言に木吉が大いに笑うが、スパッと表情を切り替え水島の下に歩み寄る。

 

「少しでも長くプレーしたいのは俺も同じ思いだ。だからがんばろーぜ。」

 

「・・・・あぁ。頑張ろうぜ。」

改めて2人は決意を新たにし、今週に迫った県総体予選に向けて気持ちを高めていくのだった。

 

「・・・・ダァホ。その思いは誰だって同じだっつーの。」

2人の会話を聞き誰かがそう呟く。口調から分かる通り日向だった。

 

「(水島にディスられたのはショックだったけど・・・)そうだね。あいつらだけに責任を背負わせたくないしな。頑張ろうぜ。」

伊月もその場にいたのだった。

 

「・・・・まぁな。」

水島と木吉の会話を聞いて2人もまた水島たちに負けないように決意を新たにし、そっと帰っていった。

 

 

どんなにチグハグなチームでも思いは同じ。その思いがチームを、個人を強くするのだ。

 

 

 

そして・・・・ついにインターハイ(県総体)予選を迎える・・・・・


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