ミスがあったために一度削除し、修正しました。
ご指摘してくださり、本当にありがとうございました。
矛盾を見つけたので修正しました。
『24時間の激戦を勝ち抜いたバトルロイアルの勝者達が今、このLDSセンターコートに戻ってまいりました!どうぞ盛大な拍手でお迎えください!』
バトルロイアルが終了し、零児とのデュエルを終えた一同はスタジアムへと帰還した。
スタジアムで観戦していた人々は知らないがための歓声であるのだが、バトルロイアル中に起きたアカデミア襲撃を経験した選手たちは全員神妙な顔つきだ。柚子がアカデミアに連れ攫われたと思っている遊矢は特に暗くなっている。まぁ沢渡さんは【ランサーズ】に加入することが出来たこともあり、すごく満足そうな顔なのだがそれはおいておく。
「あれは遊矢兄ちゃん!」
「柚子お姉ちゃんもいる!」
「どうやらミッチーは負けちゃったみたいね…」
遊勝塾の面々はバトルロイアルに出た二人が無事に勝ち残ったことに安堵しているようだが、彼女は柚子ではない(無言の腹パン)。
顔だちは確かにそっくりで衣装も同じだけど、明らかに髪型が変わっていることにはなんの疑問もわかないのだろうか?
ちなみに遊矢と出会うことを禁止された柚子はユーゴと共にLDS本社に待機している。次元移動装置を装着して【ランサーズ】が集まる少し前にシンクロ次元へと飛ぶ。これに自分と幽香も同行し、向こうの場所を把握する手筈だ。何事もなければ柚子と遊矢はそこで再会できるし、ユーゴには申し訳ないが飛ばされたら堪ったものではないので別行動ということになる。
「遊矢も柚子もさすがに疲れているようだな」
「権現坂はいつもと変わらないけどね」
「でも、なんで沢渡がいるんだ?あいつ1回戦で遊矢兄ちゃんに負けたはずだろ?」
「そういえばミエルって子もあの月影っていう忍者に負けたはずだけど…」
「ってなんでユースに出ていた聡と幽香さんもあの場所にいるんだ?!」
彼らだけでなく他の観客らも始めの選手以外の存在に気づいて不満の声を上げている。その対象は主に沢渡なのだが市議会議員の父親の性格や少し前までの沢渡の態度から来るものだろう。親の力でどうのこうの言われていて沢渡自身も言い返しずらそうだ。
「うるせぇぞ!てめぇら!」
でもそんなの関係ねぇと言わんばかりに沢渡は叫ぶ。
沢渡さん。まじメンタル強すぎっすよ!
「俺はズルなんてやってねぇ!赤馬 零児から直々に敗者復活戦の許可をもらったんだ。そして勝ち残って、【ランサーズ】としてこの場に立ってんだ!」
「ミ、ミエルは違うわよ!?ミエルは【ランサーズ】じゃなくて…」
「ランサーズ?」
「何?それ?」
ミエルは否定していたが全く説明されていなかった観客たちは沢渡が発した【ランサーズ】という単語に疑問を抱く。沢渡が説明するよりも早く会場の大画面が切り替わり、理事長を務める赤馬 日美香が画面に映る。そして次のことを述べた。
『突然ですが大会主催者を代表して、ここで皆様に重大な発表をさせていただきます』
赤馬理事長からカメラの不調や行われていた敗者復活戦。そして【ランサーズ】のことなどの説明を期待した観客であったが次の言葉で言葉を失うことになる。
『<舞網チャンピオンシップ>は本日正午をもちまして、“中止”とさせていただきます』
「「「えぇー!?」」」
声を上げたフトシ達は勿論のこと、他の客席からも困惑や激怒の声が上がる。しかし、それは理事長の言葉ですぐに収まることになった。
『チャンピオンシップ中止の理由はバトルロイアル最中に、我々の世界に対する敵対勢力が襲来してきたことにあります。それは想像を絶する別次元からの侵略者であり、彼らは我々が住む次元戦争への侵略を意図してその先兵を送り込んできたのです』
全世界に中継されているこの大会でこのような事態を間違いなく伝えることはとても困難だ。しかし赤馬理事長は一度も目を離さずにスタンダード次元のすべての人間に対して向き合った。
自社の利益のために遊勝塾を陥れようとしていたあの姿からは想像できない姿だ。
『彼らはデュエルモンスターカードを武器として使用し、召喚したリアルソリッドヴィジョンによるモンスターで襲い掛かってきました。バトルロイアルをリアルタイムで中継しなかったのは、この舞網市に…いえ、全世界の人々にパニックが引き起こされないための処置であったことをどうかご理解ください。このことを証明する、実際の映像を今からご覧ください』
そしてバトルロイアルで撮られた映像が流されていく。その中には
『これが彼ら アカデミアの手口なのです。デュエルで容赦なく相手を倒し、情け無用でカード化するのです』
「デュエルに負けたらカードにされるだって?そんなバカな…」
修造塾長も流石の出来事に理解ができないといった感じだ。
だが遊矢の母親である榊 洋子はなにか思い当たる節があるのか、他のとは違う反応だった。
『しかしご安心ください。そんな残虐な侵略者達も、バトルロイアルに参加した勇敢なデュエリスト達によって撃退されたのです!』
そして映されるのはアカデミアの【オベリスクフォース】を撃退する黒咲達の活躍だ。遊矢と素良の対決も瞬間的に映されたがそれに気づいたのは遊勝塾の面々だけ。それ以外の人々は大会参加者が争っているのに対して違和感を持たずに流していく。
カード化されるという死と何ら変わりない現状を見せられて困惑していた観客たちにとって、撃退する選手の姿は観客たちにとって自分らを守ってくれる重要な存在という認識となったのだろう。彼らを褒め称える言葉を投げていた。
『彼らこそ、舞網市を守った英雄!私は彼らに ランス・ディフェンス・ソルジャーズ。すなわち【ランサーズ】の称号を贈り、その栄誉を讃えたいと思います』
観客の気を感じ取り、すぐさま行動に移した赤馬 日美香によって重かった会場の空気が一転し、ランサーズを讃える声に塗り替えられた。正直な処、こんなに流されやすくて大丈夫かとも思ったりする。
『ランサーズ諸君の活躍により、ひとまず危機は去りました。しかし敵はいつまた襲い掛かってくるかわかりません。それに備えるためにも今後は自分の身は自分で守るという気構えのもと、より一層のデュエルの鍛錬に励んでいただきたい。そのための場所とカリキュラムは我がLDSが提供しましょう。次の【ランサーズ】にあなた方一人ひとりがなるのです!』
『世界は一変した』
画面が切り替わり赤馬 零児が画面に映る。
『昨日までの安穏とした平和は過去のものとなった。今や戦いの時代に生きていることを認識せよ。全世界のレオ・デュエル・スクール、LDSは本日より
ランサーズ! ランサーズ! ランサーズ! ランサーズ!
世界に誇る天才 赤馬 零児から発された言葉は観客たちを沸き立たせるには十分だった。
会場は歓喜の声に包まれ、それが鳴り止むのにかなりの時間を有するほどだ。
遊矢達が会場を離れても歓声が聞こえるほどに熱されているのを苦笑しながら見て、聡は遊矢を見る。
相当きていたらしく、拳を握りしめたまま歯を食いしばっていた。ずっと傍にいた幼馴染が突然攫われましたなんて聞くとこの反応も仕方ないことではあるのだが。
バトルロイアルが終了し、社長と遊矢がデュエルを行った際に社長は遊矢の甘えを捨て去ろうと煽りに煽っていたが、一度も柊 柚子がアカデミアに攫われたとも、別次元に飛ばされたとも言っていない。遊矢が一度聞いているにも関わらずだ。
だが普通怒り狂った状態でそんなところに気づくほうが珍しいだろう。
「遊矢。少し落ち着け。怒りに身を任せては助けられる人も助けられん!」
「わかってる。柚子は俺が助ける!どんなことをしても!もっと強くなって 敵を倒して 絶対に柚子を取り戻す!」
「残念だけど、今のボウヤでは無理よ」
「ッ!?誰だ!?」
「!?藤原 雪乃殿…!?なぜここに!?」
改めて柚子を助けると意気込む遊矢に無理だという言葉が届く。
振り返ると海外でプロデュエリストとして活動している超大物女優 藤原 雪乃がそこにいた。舞網市にやってきたという情報は流されていないため、驚くのも無理はない。海外にいると思ってた世界的スターが眼前にいると理解すれば驚くだろう。
「ボウヤもストロング石島と戦ったときよりもだいぶ強くなっているわ。でも駄目ね。今の自分を理解出来ていないボウヤじゃ取り戻すなんて無理ね。精々足を引っ張るだけでしょう」
「なんだと!?」
「止せ遊矢!」
雪乃の棘のある言葉を聞いて遊矢が怒る。しかし雪乃はまるで意に介さない。それどころか視界から遊矢を外して別のところを見ていた。というよりも聡を見ていた。
「…なぜこっちを見るのです?」
「デュエルしなさい」
「え?」
「榊 遊勝のボウヤとデュエルをしなさい。今すぐに…ね」
嫌な視線に気づいて念のために聞くと案の定厄介事を持ち込んできた。
それも相手は自分を慕ってくれる女性の母親。面と向かってNOと言えるほど肝が据わっていない。心の中でため息をつきながらも、聡はそれを了承するのであった。
◇◆◇◆
「さて遊矢、準備できたか?」
「・・・・・・」
LDSの一施設を使用して二人は向き合う。
聡は遊矢に声をかけるが遊矢は無言でこちらを見据えるだけだ。なんというか居たたまれない。
自分が責められているように感じるのもあながち間違っていないだろう。赤馬 零児の元で色々と動いていた関係者の一人だ。柊 柚子の事を知らないのかと目で聞いているようにも取れる。最も聞かれても答えないのだが。
遊矢の無言を了承と取り、Aフィールドを展開させる。
実体化していく光景は《未来都市 ハートランド》
素良と黒咲が戦ったフィールドであり、遊矢と零児もこの場で戦っている。それに黒咲達の故郷と全く同じ光景であるというのだから驚きだ。どこからこのフィールド情報を取り込んだのか気になるところだ。
「遊矢。今はこのデュエルに集中しろよ?俺程度のレベルについてこれなければ助け出すなんて夢のまた夢だ」
「うるさい!そうやっていつもふざけたような答えをして逃れるつもりか!?赤馬 零児と一緒にその光景を見てたんだろ!なんで助けなかった・・・なんでだ!答えろ!」
「くどい!」
「っ!」
「さっきから言っているだろ“デュエルに集中しろ”と。お前こそなんだ?『もし俺がその場に居たら助けられた』とか思ってるのか?お前の腕で?冗談も大概にしな。高々ペンデュラムを初めて使えるようになっただけで誰にでも勝てるとでも思ってるのか?所詮その程度に収まってるから赤馬 零児に良い様に言われて無様に負けるんだよ」
「黙れ!お前を黙らせて、赤馬 零児に問い詰める!」
「「デュエル!!」」
確かに幼馴染を失ったと思っている遊矢に集中しろと言うのは酷だ。だけど怒りに任せて好き勝手に喚けとは一度も言っていない。これ以上自由にさせれば遊矢は元々持っていた夢であるエンタメデュエリストの道から黒咲と同じような復讐の道に進む可能性がある。
おそらく幽香の母親 藤原 雪乃はそれを察したのだろう。
そして自他共に認める榊 遊矢の親友である権現坂にはこの役は合わない。優しい彼だ。手を緩めてしまうだろう。ならば冷酷に進めれる多少なりとも交友のある者が遊矢を叩く役割を担う必要があるのだ。強引なれども誰かが殴って怒鳴ってやらねばいけないのだ。
「俺のターン!俺は手札からスケール6の《
遊矢
手札:5→3→4
P:①
⑥
「
遊矢
手札:4→5→3
《
星4 闇 ペンデュラム・効果
ATK:1800
《
星4 地 効果
ATK:1700
「カードを一枚伏せて、俺はこれでターンエンド!!」
遊矢
手札:3→2
P :①
⑥
モンスター:EMシルバー・クロウ
EMウィップ・バイパー
魔法・罠 :セット1
「俺のターン。手始めに魔法カード《名推理》を発動!相手は任意のレベルを宣言し、俺はデッキから通常召喚可能なモンスターが出るまでめくる。初めに出たモンスターが宣言されたレベルだった場合、めくったカードを墓地に送り、異なっていた場合はそのモンスターを特殊召喚して他のカードを墓地に送る。さぁ宣言してもらおうか」
「・・・・・・俺はレベル8を宣言する」
「了解。めくるぞ」
捲り:《
「めくられたモンスターはレベル1の《
聡
手札:6→5
《
星1 光 効果
DEF:100
捲り:《森羅の神芽 スプラウト》
《森羅の仙樹 レギア》
「めくったカードはどちらも植物族。よって共に墓地に送られるがこの瞬間、デッキからカード効果でめくられて墓地に送られたことで《
聡
手札:5→4
《
星7 風 効果
ATK:2600
「そしてスプラウトの二つ目の効果でデッキから植物族レベル1モンスター1体を特殊召喚する。来い《
《
星1 地 効果
DEF:800
「俺はレベル1の《
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!
森羅を見守る令嬢《
《
ランク1 光 エクシーズ・効果
ATK1800
「《
「・・・!さっきレギアの効果を最初に使ったのはこのためか!」
「その通り!よってめくるが当然植物モンスター《
捲り:《リビングデッドの呼び声》
「カードは《リビングデッドの呼び声》だ。よって手札に加える。さらに《
聡
手札:4→5→4
《
星8 炎 効果
ATK:2700
「レギアのモンスター効果を発動!レギアもシャーマンと同じように1枚デッキの上からめくり、植物であれば墓地にそれ以外はデッキの下に戻す。そしてこの効果で植物族モンスターが墓地に送られた場合にデッキからカードを1枚ドローする」
捲り:《
「めくったカードが植物だったため墓地に送り1枚カードをドロー。そしてめくられて墓地に落ちた《
聡
手札:4→5
モンスター:《
《
《
《
《
星1→8 光 効果
DEF100
「凄い展開をしているのに手札が減っていない…!?」
「俺はレベル8となったスプラウトとレギアで、オーバーレイ!
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!
対岸に
《魔海城アイガイオン》
ランク8 水 エクシーズ・効果
DEF:3000
森羅特有の機動力を生かした大量展開。そしてランク8と言う高ランクを持つ移動要塞が聡の後ろに現れる。
初めて見るモンスターに構える遊矢に対して、聡は効果を発動した。