ついに異なってきます。
ルビの補強とミスを修正。ご指摘ありがとうございました。
「バトルだ。《
「ぐあぁぁあ!」
アカデミアに対してタレイアが一閃を放つ。その斬撃を受けてオベリスク・フォースの最後の一人はLPが0となり、その場で倒れ伏した。気絶したようだ。
「ふぃー、やっと終わったか。こりゃ流石にデュエルマッスルを鍛えないといけないかねぇ」
眼前に伸びているアカデミアの人間を眺めつつ、自分の体力の低さを痛感した聡はそう呟く。3人とデュエルをした後、目覚めたと同時に乱入してくるとは思わなかった。すぐにまた意識を飛ばしてもらったのだが、結局5人とやり合う破目になるとは。
向こうでは一般的な成人ラインの身体能力であると思っていたのだが、こちらの世界ではそれも全く通じない。崖から転落したり、ダイナマイトで爆破されたり、バイクから転落したり、オゾンの上に行ったりしても無事な肉体を持たなければ今後起こる出来事に挑めない気がする。上記で上げたものは全て
『精鋭と言ってもデッキが全員同じでしたね。そのお陰でさっきのような連携が取りやすいのでしょうか』
「かもなー。まさか全員最初に《
≪
確かにこの乱戦を乗り越えられない者を次元戦争に駆り出しても無駄に被害を増やすだけだろうからその考えもわからなくはない。しかし少々劇薬だとしてもリスクが大きいとも思ったりする。
「こっちは終わったけど幽香さんのほうはどうなってるかわかる?」
『・・・・・・・・・・・・』
『姉さん曰く彼女は始めの3人を倒した後、目を覚ました4人目を倒して、同じように気がついた5人目を倒そうかというところのようです。向かいますか、マスター?』
「そりゃな。突然いなくなったら負けたと思われてしまうし、他に隠れている奴がいるかも知れないからね。場所わかる?」
『・・・・・・』
道案内を頼むと
隠れている者がいるかもと言ったが精霊たちに周りのことは聞いているため、これ以上のイレギュラーはいないことは知っている。それに彼女の引きとエースを考えればそう易々と負けることはないと聡自身そう考えている。最もこの考えは正しく、幽香の元に辿り着くころには既に戦いも終盤となっていた。
オベリスク・フォース
LP2500
藤原 幽香
LP2100
片や肩で息をしながら融合モンスターである《
そしてもう一方は家族の焚き付けで更に進化した《
いくらアカデミアの物量作戦でもフィールドで発動する効果を1回無効にする効果を持ち、3200という高打点を誇る《
「バトルです。《
オベリスク・フォース
LP2500→2100
「ぐぅ!?」
「このカードがダメージを与えたことにより、効果を発動!墓地からチューナーモンスターを守備表示で特殊召喚します。レベル1の《シンクローン・リゾネーター》を特殊召喚!!」
「だがしかし、これで貴様の攻撃は終了した!トラップオープン《
やられはしないという意思の表れか、アカデミアの戦士は切り札を再び蘇らす。永続罠の効果によって3000まで攻撃力を上昇させたが、どうやら既にアビスのモンスター効果を使っていたようだ。
「俺の場にモンスターが存在しないときに〔
「くぅっ!」
幽香
LP2100→600
「これで次のターンで俺が貴様を葬る準備は整った!俺の手札には《
「残念ながらそうはいきません。永続トラップ《リビングデッドの呼び声》を発動!墓地のモンスター《
「何!?ぐっ!」
見事なフラグを立てたオベリスク・フォースに幽香は罠を発動。これで3000の打点を持つ琰魔竜を特殊召喚し、攻撃を行う。同じ攻撃力を持つために互いのモンスターがその場から消滅し、オベリスク・フォースを守るモンスターが居なくなった。
「更にトラップオープン《
「何!?バトルフェイズ中にシンクロ召喚を行なうだと!?」
「私はレベル9の《
泰山鳴動!!山裂き、我が想いの焔ほむらと共にその身を曝さらせ!!
シンクロ召喚!《
《琰魔竜 レッド・デーモン・ベリアル》
星10 闇 シンクロ/効果
ATK:3500
アビスを素材にして生み出されたのは近づくだけで身を焦がしそうなほどの熱量を有する地獄の王。
実体化機能を介しての召喚により、多少の現実味を帯びて生み出された魔竜がその場に現れたことで
「《
「ぐおぁぁあ!?」
オベリスク・フォース
LP2100→-1400
ベリアルの質量を持った攻撃によってオベリスクフォースは吹き飛ばされ、遠くに飛んでいってしまった。
着地場所や体勢なんかでは命に関るかもしれないが、この世界の住人なら命に別状はないだろう。なんでだか、そんな気がする。
「ふぅ・・・あっ、聡さん。ご無事でなによりです」
「幽香さんも無事でよかった。俺が知らない内に新たなシンクロモンスターを扱うようになっていたなんて驚いたよ」
「見られていましたか・・・本当は聡さんとデュエルする際に驚かせようと思って黙っていたのですけどね」
自分の切り札を見られていたことに多少残念そうな顔をするが、すぐに表情を改める。今の現状を省みてすぐに戻したほうが良いと思ったのだろう。氷山エリアに突撃してきたアカデミアの人間は一応全員倒して気絶させているが、他のエリア――それも特に火山エリアに出向いているユースのベスト8が無事に勝ち残れているかが気になっていた。
「これからどうしますか?」
「うーん。柚子達は忍者もついているし大丈夫だとは思う。なんで火山エリアを通ってアカデミアの人がいたら迎撃って形にするか。その後古代遺跡に向かおう」
仮にユースが負けてしまっていたとしても自分達が倒していけばいい。負けた者達は仕方ないが自分ではどうすることも出来ない。この作戦を行う際、関係者全員にカード化の危険は前以って聞かされている。その上で参加しているのならば自分から率先して助け出そうとは思わなかった。
最もユース全員が勝ち残ってアカデミアの戦士を撃退してくれていれば一番良いのだが。
―――ター!
「ん?」
「この声は…」
幽香も聞こえたということはどうやら気のせいではなかったらしい。
振り返るとそこには先に向かったはずの柚子が何故かバイクに乗ってこちらに向かってきていた。
当然アキも一緒だ。
「聡!幽香さん!無事だったのね!」
「おう、お陰様で。でもなんで柚子がこっちにいるんだ?古代遺跡に行ったんじゃ…」
『そのことなんですが…』
話を聞けばこちらに黒咲の妹 瑠璃を攫った張本人 ユーリがこちらに来ていたようだ。そして2人とも狙われないように二手に分かれてユーリから逃げていたらしい。アキが実体化して誘導していたためにそこまで被害はなかったようだが、相手の圧倒的な強さに柚子は手も足も出ずに追い詰められてしまっていたところでブレスレットが光りだした。そしてユーリが消え、柚子を乗せてきたユーゴが現れたとのこと。
ユーゴも黒咲のように柚子を リン という女性と間違えていたようなのだが、話が通用する相手であったために誤解が解けて氷山エリアで聡達がアカデミアの残党と戦っているというとそのままバイクに乗せられてこちらに向かってきたらしい。
ちなみに柚子とユーゴは知らないが傍にいる幽香は聡に精霊が憑いていることを知っている。こちらから話したわけではなく、彼女なりの方法で見つけたらしい。ストーk…愛の賜物だろう。そのおかげでこちらとしては気が楽で助かっている。
「なるほどなぁ…とりあえずこのことは社長さんに報告するか。バトルロイアル中は全体的に物事を把握するためにカメラが各自に設置されているはずだからわかってるかもしれないけど一応ね」
「聡さん。今残っている可能性のあるアカデミアの者はどうしますか?」
「居るなら倒しに行かなきゃいけないだろうけど闇雲に動くのは無意味だし…おっと電話か」
電話先は赤馬 零児。カメラで確認しているのかとてもタイミングの良いことだ。
『もしもし聡ですけど』
『わかっているだろうが私だ。突然だがこのまま君たちは火山エリアのほうに移ってほしい。もうすぐバトルロイアルも終了する時刻になるのでね』
『あーもうそんな時間経っていましたか。了解しました。今から向かいます』
『私も現場に向かうつもりだ。もしアカデミアがいればそのまま交戦しても構わない。では切るぞ』
軽く要件を話して電話を切る。
バトルロイアルも終盤に差し掛かっていたようだ。社長が自ら出向くとは言っていたがやはりジュニアユースに出場していた者たちの説明のためだろう。出場選手達からある程度の批難を受けることは目に見えている。
「赤馬社長はなんと?」
「今から火山エリアに向かってくれってさ。社長さんも火山エリアに向かうらしい」
「ということはそろそろ終わりが見えてきたということですね。待たせてしまうのも失礼ですし、向かいましょう」
「ユーゴはどうするの?」
「社長さんは大体知ってそうだから大丈夫さ。シンクロ次元が敵じゃないってのがわかれば十分だけど、本人が良ければ一緒に来てほしいかな」
「あいつらがここで暴れてんだろ?なら勿論いくぜ。どうぜ下手に動いても迷いそうだしな」
ユーゴの同意を得て、そのまま火山エリアへと足を運ぶ。
そして運んだ先にはアカデミアとの戦いが今まさに終了しようとしていた。
それもジュニアユース達が厳しい状況だ。黒咲は怪我しているようだし、それ以外のプレイヤーもライフを全員半分以下になってる。対するアカデミアは3人ともエースモンスターを召還して余裕の表情を浮かべている。
だが今は選手達のターンであるし、また全員終了はしていない。そのため様子を見て乱入しようかと考えていたのだが、どうやらこれは杞憂に終わるようだ。
「現れろ!ランク6《
大会初戦で素良を倒したエースモンスターを召還し、場に並んでいた3匹の番犬を爆撃する。
特殊召還されたモンスターとの戦闘では基本負けない隼の空襲により、3人のライフをまとめて0へと変えた。怪我をしているにも関わらずこの迫力を生み出せる黒咲はかなりの実力者だと改めて思う。
「待ちたまえ」
彼らの元に行こうとしたらいつの間にかいた社長に呼び止められた。どうやら彼もこのデュエルを静観していたらしい。そして今彼らと合流するのは社長曰くよろしくないとのことでこれ以上混乱させる気もない聡達は素直に従う。
「このまま君達が合流するのは些かよろしくない。大会が終了するまでもう少し我慢してくれ」
「おいおい、いいのかよ。こんなところで黙って見ていてよ」
「問題はない。これも一つの試練だ。…カメラ越しではあるが見ていたよ。君がシンクロ次元からやってきたデュエリストで間違いないな?」
品定めをするようにユーゴを見据える零児にユーゴは応よと言う。
「あぁ、俺はユーゴ。あんたもアカデミアとか言う奴らと戦ってんだろ?」
「その通りだ。私はこの大会を使って【
ちなみにユースベスト8も生き残ったのは桜樹 ユウただ一人らしい。ほかの面々がやられていく中で一人だけ抵抗し、アカデミアの一人を倒していたようだ。彼を保護した際、自分の力不足を嘆いていたとのこと。
ユーゴはシンクロ次元は敵ではないが味方になれるかもわからないらしい。
それはシティと呼ばれるユーゴの故郷の環境がそうさせているらしいのだが、零児は完全に敵ではないのなら可能性はゼロではない。と諦めていなかった。
「ま、敵じゃないとわかっただけでも良かった。…って黒咲達は移動してますけど、俺らも動きます?」
「あぁ。だが先ほど言った通り、勝手な行動は控えていてくれたまえ。特に柊 柚子、君は遊矢との接触は避けてくれたまえ。榊 遊矢は当然怒るだろうが私から説明する。それに関しても関与は不要だ」
「どうして…」
「遊矢に危機感を持って貰いたいから…ですか?」
まだ遊矢に会うなという零児の指示に絶望したような顔を見せる柚子。
社長の考えていることはわからないが、遊矢や権現坂に気を抜くなと暗に伝えたいのだろうか?
そんな会話を続けながら黒咲らが入っていった洞窟に入っていく。
歩いていくと遊矢と素良のデュエルが行われているようだ。素良は虎っぽい人形を従えて、遊矢はエクシーズモンスターの…なにあれ?すごく強そう。
そんな盤面を見ていると社長が近くの崖を登っていく。文字通り彼らを見下ろせるぐらいの高さだ。
ソリッドビジョンで出来た崖のため、モンスターでの衝撃がない限り崩れることもない。だがそんな高いところに敢えて登っていく必要も感じないため、疑問を投げかけてみることにする。
「ところで何故わざわざ登ってるんです?」
「こうして登場したほうが大物感が出るだろう?」
そう真顔で返す社長を見て、親近感が湧いた聡であった。
これからどうなっていくのかなぁ