キャラを忘れているかも知れませんがすみません。
もしかしたら、こっちより先に新作を更新するかもしれません。
俺達は雑貨屋に着いたのだが……まあ、居心地は良くない。
雑貨屋と言っても、客が女子ばっかりだ。
「せんぱーい、これとか良くないですかー?」
「いいんじゃねぇの?」
「でもー、やっぱりこっちの方がいいと思うですよねー」
「じゃあ、そっちで」
「でもー、やっぱり……」
早く決めろよ。どっちなの? 本当はどっちがいいの? 決めてから喋ろう? これは聞いといて自分の中では決まってるやつなんでしょ? 自分が欲しいの決めてくれたらいいから。
周りの視線が痛い。お腹痛い。
「あ……」
「どうした?」
「いや、これなんかいいかなーなんて……」
一色が見ていたのは二つセットのマグカップだった。
二つ重ねるとハートになるとかって言う、カップル用のやつだ。
「これ一人で使うのか? 悲しくなるぞ?」
「違いますよ!」
「じゃあ、誰かにやるのか?」
「そ、それは……」
一色はバツの悪そうな顔をしている。
あの葉山とか言うやつにやるのか? そこまで執着しているようには見えなかったが……。
「誰もあげる人いませんけど……このカップは可愛いかなーって……」
「一人で使うのか……」
「いや、それは悲しいんで」
「だよな」
一色がペアのマグカップを一人で使っているとかまじウケるー。
と言うか、本気で悲しいぞ?
「だから、先輩が使ってくれませんか?」
「は? 俺?」
「そうです。一人で使うのも悲しいですし、捨てるのも勿体無いですし……」
「いや、でもな……これ、カップルとかが使うやつだぞ?」
「大丈夫です! 我慢出来ます!」
「我慢しなくちゃいけないのかよ……」
俺とペアってそんなに嫌なの? 八幡泣いちゃうよ?
でも、自分の買ったやつを捨てられるのはな……まあ、最悪、小町に使わせればいいか。
「分かったよ……一個貰えばいいんだな?」
「はい! 初めからそうしていればいいんですよ」
「じゃあ、金渡すから買って来てくれ」
「……はい?」
「いや、金渡すから……」
「一緒に買いに行くんじゃないんですか?」
「は? だって恥ずいし、勘違いされたら一色も嫌だろ?」
「別に大丈夫なんで買いに行きましょうよ」
「二人で行く必要……」
「行きましょうよ?」
「はい」
笑顔で睨まれた。笑顔で睨むって何だよ……。
いろはす怖い。超怖い。
もう嫌だ。あの雑貨屋には行けない。行く気ないけど。
二人で買いに行ったら、店員さん超ニコニコしてたよ。仲良いカップルですね、みたいな目で見てたもん。
二人で買いに行かなければ良かった……。
どのみち強制的に行かされてただろうけど。
「はい、先輩の分ですよー」
「……おう」
一色は買ってもらってから機嫌がいい。現金な奴だな。
「この後どうしましょうか?」
「この後って帰るんじゃねぇの?」
「まだですよー。なんで真っ先に帰ろうと思うんですか」
「そろそろ日も暮れるぞ?」
「まだいいじゃあないですかー」
「そろそろ小町も心配するだろうし、俺は帰るぞ?」
「でも……」
今日の一色はなんかおかしいな。変な物でも食ったのか?
今は六時……外はもう暗い。一色も危ないだろう。
「先輩……」
「うっ……」
一色が少し涙ぐんでいる。
そんな目で見てくるな! 心折れちゃう!
その時、心は折れた。
「今日はクリスマスだしな……ツリーでも見に行くか?」
「はい!」
俺達は外にあるクリスマスツリーの所に向かった。