「パチュリー!負けたよー!」
寝ている藍のとなりで本を読んでいると、泣きながらレミリアが部屋に入ってきた。もうカリスマも何もない状態だった。仕方ないから膝の上に乗せてやる。それだけだけどレミリアは落ち着いたらしく抱きつきながら泣いてた。そりゃ、あんなチート巫女にボコボコにされたらプライドもへし折られるようなもんだ。
「何か変なこと考えなかったかしら?」
いつの間にか楽園の巫女様も来ていたようだ。
「おぉ?!こんなにいっぱい魔道書があるなんで……」
魔理沙も来ていたらしく早速本を盗もうとしていた。残念だったな、ここにある奴は全部細工済みだ。魔理沙が本を引き抜こうとしたが本を掴もうとした手がすり抜け掴めなかった。ここの本には私以外には掴めないようにしてるからまず持ち出すこと自体できないようにしている。まあ無断で持ち出すようなのはこの幻想郷にも一人しかいないけど。
「おい、なんでこの本取れないんだ?!手がすり抜けてるぜ!」
「パチュリーが何か細工でもしたんだよ」
フランが丁寧に解説してるが納得いかなかったのか、何度も手を入れていた。当然掴めるはずないけど。
「……何の用」
「レミリアが負けた途端泣きながらここに来たからついてきただけよ」
「なぁ、ここの魔道書ちょっとでいいから貸してくれないか?」
「……いいけど」
「よっしゃ!」
一部、
「……先に言っておく」
「ん?なんだパチュリー」
「……一週間返さなかったら、本が暴走するから」
「…………ちゃんと持ってくるぜ」
「珍しい、魔理沙が返すなんて」
「私だって返すときは返すんだぜ!」
「そうね、主に要らないものとか」
なんでもいいけど用がないなら帰ろよ。
「そろそろ帰るわ。レミリア、さっさと霧引っ込めなさいよ。洗濯物が乾かないから」
霊夢達が帰ると、レミリア達も自室に戻っていった。
「……いるんでしょ」
「
独り言を呟くと、背後の空間に裂け目が出来てそこから一人の女性が出てきた。こいつこそがこの幻想郷の管理者、八雲紫だ。
「あらあら、藍もぐっすり寝てるわね」
「…………何の用」
「貴方、今日はそればっかりね。もうちょっと他の言葉を喋らないと」
うっせえ、コミュ障にそんな高レベルな要求を求めるな。
「まあいいわ、藍……起きなさい」
紫が声をかけるとゆっくりと藍が起き上がった。
「ここは……ゆ、紫様?!」
「どう?ぐっすり眠れた?」
「す、すいません……紫様のお役に立てず」
「いいえ、十分役にはたったわ」
「そうだと良いのですが……」
なんでそこで俺を睨むの?負けたのが悪いんじゃん。
「……何?」
「い、いや!なんでもない……」
「……ふふっ、それじゃあ私たちはお暇させてもらうわ」
「……もうこれで終わりにしてもらえる」
「それは保証できないわね」
再び隙間が開き、紫が藍を連れて帰っていった。
「……結局なんだったんだよ」
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「紫様、よろしかったのですか?」
「何がかしら?」
「あの場ならあの者を倒せたはず。それに紫様が私に命じたのはあの者を
「せっかくのチャンスを無駄にした、そうね?」
「ええ、何故なんですか」
「自分で考えてみなさいな、私の式なら少しくらいは分かるんじゃないかしら?」
(……それにしても、何処かしら違和感を感じるのよね。……まるで一つの体の中に別の者が入り込んだような。気のせいかしら?)