外から大きな物音が聞こえる。おそらく、霊夢達がついに到着したのだろう。レミリアには悪いが霊夢には勝てないだろう。それこそフランが付いていても。魔理沙がこっちに来るか、向こうに行くかは分からないがこっちには認識阻害の術式を掛けてるから多分向こうのはず。
「ずいぶん余裕そうだな」
だからこそなんでこいつがここに来たのか全く理解できない。
「紫様からの指示でここに来たが……どうやらお前の事のようだ」
八雲藍。八雲紫の式神でそのくせ式神を扱えるといういわゆるチートだ。てか紫の命令って事は紫にも既に目つけられたって事?早くない?まさか向こうにいる時から見てたとか言わないだろうな。
「……何の用」
「なに、一人だけ地下室に篭ってる奴を見てきてくれと頼まれたのでな。紫様が向こうを見ているため私が来た」
要するに霊夢が上手く異変を解決出来るか見てるってことか。過保護か。
「……帰って。忙しい」
「椅子に座って紅茶を飲みながら本を読んでいる奴がか?」
うるせえ、こちとらお前達みたいなチートじゃねえから日々勉強なんだよ。藍は反対側に座るとこっちを見てきた。
「お前は手伝わないのか」
「……何を?」
「上で博麗の巫女が戦っている。後五分もしないうちにあの吸血鬼達は負けるだろう」
「……そう」
「……助けないのか?」
「……本音を言うなら、レミリア達には悪いけど勝てるとは思ってなかったから」
「仲間なのに勝てないような事に手を貸したのか」
「……違う、私が手を貸そうが貸さなかろうが負けてるわ」
「なぜそう言い切れる」
「…………」
原作知識です、なんて言えない。藍はしばらくこちらを見た後、諦めたように首を振った。
「……そろそろ帰ったら」
「残念ながら、私はもう一つ紫様から言われている事がある」
そう言って立ち上がると
「お前の実力を試す事だ」
弾幕を放ってきた。が、
「…………」
特に反応する事もない。無視して本を読んでいた。一方の藍は
「な、どうして
藍の放った弾幕は俺に当たる少し前で止まっていた。それもそのはず。藍と話している間にこっちは防衛魔法掛けまくったから今なら核弾頭打ち込まれても耐える自信がある。地獄烏が出張ってきたら負けると思うけど。自分の攻撃が防がれるとは思ってなかったのか驚き顔の藍だったが、すぐに正気に戻ると距離をとった。流石に賢いからもう同じ手には引っかからないだろうね。
「どうやらお前も少しは出来るようだ。こちらも出し惜しみなしで行こう」
藍が何か言ってるけど無視。さっさと仕留めて勉強の続きだ。藍が動く前に土属性の魔法で鉄の檻を何重にも作り出す。隙間を作り、そこから大量の水を流し込み、重力で檻ごと圧縮する。最後に外側から一気に超高温で熱して中の水を熱湯に変える。しばらくして外側の檻が溶け出し、一気に壊れた。
「……ハァッ!……ハァッ」
息も絶え絶えといった感じの藍が出てきたが、まだ目は戦うといった色をしている。
「……お前は……危険だ…」
「……自覚してる」
この世界のネタバレを知ってる時点で十分危険だから。そんなの前から知ってることだ。藍はついに体力切れなのかその場にばったり倒れてしまった。仕方ないから魔法でベットまで運び、服を着替えさせる。俺と同じ服だけどそこは我慢してもらおう。上の方も静かになったしおそらく終わったはずだ。そろそろレミリア達が来るだろう。それまでは勉強しつつ、藍の様子でも見てよう。