「さてと、それでは色々と教えてもらいましょうか?」
西行妖に手を出して仕掛けをした数時間後、レミリア達が起き出す時間に紫がやってきた。ちょうど西行妖の花弁がもうすぐ解析できたというのに。タイミング悪すぎだろ、見てたな。
「……変態」
「どうしてその様な結論に至ったのか気になりますけど今は置いておくわ」
「……そう」
「それで?あなたはどこまで知っているのかしら?」
「……わたしはただの魔法使い」
ただの(チート持ち)だけどね。
「ただの魔法使いが西行妖の封印式に干渉できるのかしら?」
「…………封印式が弱かったんじゃない?」
実際干渉できたんだし考えられるのなんてそんくらいでしょう。黙ってぐうの音も出ないゆかりんマジかわ。
「そうね…………このまま放置しておくのも勿体ないくらいね」
「……生憎だけど、生涯自宅警備就職だから」
「それは就職なのかしら……?」
こっちにはニート文化はないのか?まだ永遠亭出て来てないし仕方ないね(落胆)
「それともう一つ、うちの藍の様子がおかしいのだけど気づいているのかしら?」
藍?最近おかしかったのか?確かになんか顔赤くしたり変な質問してきたけどスッパテンコーしてない分まだマシなんじゃないか?
「……特別変わった様には見えないわね」
「あなたも結構鈍いわね」
「……貴方みたいに過敏じゃないだけマシよ」
そんな毎日神経詰めてたら老けるぞ。
「…………今、何か考えた?」
「何も」
こえーよ、考え読むなよ。ちびっちまうだろうが。脅し、ダメ絶対!
「まあいいわ。最後に幽々子があなたのことを呼んでいたわ。話はそれだけ」
来た時と同じ様に唐突に地面に落ちていく紫。話すことだけ話したら帰るとか自己中過ぎやしないか?この世界自己中多いしそうでもないか?天人とか妖精とか邪仙とか。
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紫の『幽々子が呼んでいる』発言を聞いて次の日白玉楼に行くと妖夢がいた。
「……幽々子が呼んでいると聞いたのだけど」
「幽々子様のお客ですか。今案内します」
なんか昨日に比べて丁寧な物腰になってない?そんなに昨日のことショックだったのか……。
「ここです」
そのまま妖夢はどこかへ行ってしまった。ただ腰に白楼剣と楼観剣吊ってたから剣術練習とかかね。まあ今は幽々子とのお話タイムだな。
「……入るわよ」
「入りながら言われてもね。どうぞ」
幽々子が机に置かれてる菓子を食べながら勧めてくれた。なんでもいいけどお茶請けをそんな本気で食べて昼入るのか?入るか、幽々子なら。存在がプチブラックホールだし。
「……それで?なんで呼んだの」
「せっかちねぇ。もう少しゆっくりしてもいいのに」
「………………」
「そんな無言で見られても……分かったわ。少しお話したかっただけよ」
「……何が聞きたいの」
「話が早くて助かるわ……なんで私のやろうとしていることが分かったのかしら?紫も直前まで教えなかったら分からなかったみたいだし」
原作知識ですねすいません。ほんと便利なんだけどこういう時辛いわ。なんかいい切り返し今度考えておこう。
「……それは「幽々子ーお茶飲みに来てあげたわよ」……」
「おいーす、ってパチュリーか?珍しいな。お前がどこかに出かけてるなんて」
俺だってたまには外でかけてるわ。夜中だけど。何故か昨日の攻略組三人衆が勢ぞろいしていた。てか咲夜まで来てたのか。
「……咲夜、どうしたの?」
「すいません、妹様が退屈していてパチュリー様と遊びたいと……」
遊びたいのはいいけど、それで壊れた屋敷の修理を誰がやるんですかねぇ……?咲夜の方見ても目逸らされてるし。酷えメイドだ。
「……夜まで待って」
「分かりました、今はめいり……中国に相手をしてもらってるのでそれで平気かと」
おい名前、会ってたのになんで言い直したんだよ。この前間違えてフルネームで呼んだら泣かれちゃっただろ。どんだけ中国呼びしてんだよ。
「まあ難しい話は終わりにしましょう。それより妖夢の作ってくれたこのお菓子おいしいのよ?」
「……あんまり甘いのは好きじゃない」
俺は正直辛かったりする方が好きだからそこまで菓子類は食べてない。まあ疲れた時とかは甘いもの取るけど必要以上に取ることはないな。元が男ってのもあるけど。
「まあまあ一口。……あーん♡」
ゔぇえ!?なんだ今の声。ちょっと無理しすぎな気が痛い痛い。フォークで頬をさすな。なんで考えてることわかるんだよ。
「愛……かしら?」
「……それは」
ないだろう。どこに惚れる要素あったんだよ。
「……貴方、根元に何かしたわよね?」
…………ばれてるし。何故だ。
「ふふっ。どうしてって顔してるわね。簡単よ、あそこにあるものを考えてみれば。私も昨日の異変で初めて知ったのだけれどね?」
「…………貴方の「それ以上はね」」
「はい、あーん」
笑顔で菓子を差し出してくる幽々子。過去にいろいろあったんだろうけど一つだけ言わせてもらいたい。お前がそういうことしてると
「……パチュリー。一体何をしてるんだ?」
「あらあら、泥棒猫ならぬ泥棒狐かしら?」
「な?!何を言っている、私はただこいつが紫様の言葉を聞いたかどうか確認をしに来ただけだ」
「本当にそれだけかしら?」
無言で睨む藍と笑顔だが目が笑ってない幽々子。外野で好き勝手冷やかす三人衆。ひたすら板挟みの俺。これどうしろと?軽く詰んでるわ。そんな空気も幽々子が壊してしまった。いい意味で。
「それじゃあパチュリー?あーん」
「な、何をしているんだ!」
「あら?見ればわかることでしょう?」
「ぐっ……パチュリー!」
今度はなんですか。振り返ると藍が顔を真っ赤にして菓子を突き出していた。
「…………あ、あーん……」
「それじゃあこっちも、あーん♡」
やめてくれ、どっち食べても面倒だし既に魔理沙がうるさいくらい煽ってきてるから。下手したらこれブン屋に取られたりしないよね?そんなことしたら妖怪の山に殴り込み行くわ。
「……ほんと、どうしてこうなった」