新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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メテオ・ブレイクス・ヘルのGマイスター達が、巨大施設サルベージ船・オルタンシアに招集してミーティングを行う中、同じ遺伝子を持つマリーダとプルも同じ場所で再開する。

初めは違和感を抱いていた二人だったが、すぐに打ち解け、互いの人生経緯を確認しあう。

一方のゼクスは、同期のOZ士官・ミスズのもとへ赴き、彼女の基地にてリディ達と共に演習を行う。

そして、ヒイロ達はウィングガンダムの修理に力を入れ、仲間同士力を合わせ、時間をかけてウィングガンダムの修理を完了させた。

クシャトリヤも修理が完了し、マリーダはプルとヒイロに再開する事を約束し合い、ヒイロとマリーダはそれぞれの任務に赴く。

復活したウィングガンダムは、それまでの眠る力を解放させるかのごとく、猛威を巻き起こして羽ばたくのだった…


エピソード6 「アジア圏強襲」

オルタンシアを後にしたマリーダは、とあるジオン残存軍の野戦キャンプポイントに合流していた。

 

フロンタルらのオペレーションファントムのメンバーと合流する為だ。

 

テント内で彼女は、今回の一件を謝罪していた。

 

「……今回の作戦において、長期音信不通というミスを犯し、長らくの期間ご心配をおかけしまして、誠に申し訳ありませんでした」

 

「全くだ!!!作戦発動早々大佐のご心配を煽るなど!!!どこで何をやっていた!??」

 

眉間にシワを寄せて叱責するアンジェロ。

 

叱責する感じにはとても彼女を想うようなモノは伝わってこない。

 

「はっ、大気圏突入後にガンダムとの戦闘に入った結果、海中へ墜落し、その衝撃で気を失い……」

 

「気を失っただと!??貴様は強化人間であろう!??海中に墜ちただけで気を失うとは、飛んだ強化人間だな!!!マリーダ中尉?!!」

 

アンジェロは、理由を述べるマリーダの言葉を遮り、偏見を交えたかのように私情を挟んだ発言を押し付けた。

 

マリーダも心苦しさと苛立ちを交える。

 

だが、上官故に耐えるしかない。

 

「くっ………申し訳ありませんでした…!!!」

 

「アンジェロ………少しは感情を押さえろ」

 

そこへフロンタルが姿を見せて、感情を高ぶらせたアンジェロを制止させた。

 

アンジェロも、心酔する上官には自然に感情が収縮してしまう。

 

「大佐!?」

 

「アンジェロは下がりたまえ。後は私が聞こう」

 

「…はっ!!」

 

フロンタルはアンジェロを下がらせると机に身を置き、両手を重ねて諭すような言動でマリーダをなだめた。

 

だが、あくまで表向きの顔であった。

 

「マリーダ中尉、過ちを気に病める必要はない。ただ認めて次の糧にすればいい………中尉が言うガンダムとはあの例の私設武装組織のガンダムなのか?」

 

「はい………ですが、彼らは敵ではありません。私が禁断症状で戦闘に及んだだけで……彼は私を連邦のように葬る事なく、あくまで退けるように行動してくれました」

 

「また敵となるか……と思いきや真逆な状況……予想は当たるな。中尉の証言や各地から寄せられる情報で彼らは味方と踏んでよいな。ダカール制圧の時には是非とも協力して欲しいものだ………」

 

「ダカール…」

 

フロンタルはマリーダに次の任務を要請する。

 

「早速であるが、マリーダ中尉にはジオン残存軍の援軍に行ってもらう。ダカール制圧まで連邦側に目的を濁す必要があるからな………場所は……」

 

マリーダは決してヒイロ達とのことは口に出さなかった。

 

ジンネマンからの言い付けでもあるが、マリーダ自身もフロンタルやアンジェロを信用していなかった。

 

万が一の可能性で、ヒイロ達に悪影響が及ぶことのないようにしていた。

 

(フロンタル大佐は確かに現ネオジオンの代表者…しかし………何故か信用とは遠いモノを感じてならない。マスターも心を許すなと言っていた…それを踏まえると、ヒイロ達の事は話せないな)

 

マリーダはフロンタルの説明を受けた後、クシャトリヤで任務エリアへと向かう。

 

そのコックピット内でジンネマンとの会話に浸る。

 

マリーダは先程の一件やこれまでの事を話す。

 

マリーダにとって、ジンネマンを始めとするガランシェールクルーは、同胞以上に信頼できる関係にあった。

 

「……そうか。くれぐれもそのガンダムのパイロット達の事は内密にしておいた方が良いな。お前自身もそう感じているのなら尚更だ」

 

「はい…後、エルピー・プル……私の姉さんに会えました。彼女は今、メテオ・ブレイクス・ヘルが保護してくれています」

 

「何!?そうか…姉妹が生きていてくれたんだな…よかったな、マリーダ」

 

画面越しにも、ジンネマンの喜びの感情がマリーダにも伝わる。

 

感謝せずにはいられなかった。

 

「ありがとうございます。いずれは……闘いに収拾がつけば、迎えにいきたいと思います。私は姉さんとパラオで暮らしたいです」

 

「ああ……無論だ。俺もガランシェール隊の家族として大いに受け入れたい」

 

「その為にもこのオペレーションを完遂させて、早くマスターの所へ帰りたいと思います」

 

ジンネマンにとってもプルの生存は思ってもみなかった朗報である。

 

娘が一人増えたかのような気持ちが、喜びを深く感じさせる。

 

「ああ…待っている。くれぐれも身体は大事にな」

 

「はい。では……」

 

マリーダは通信を切ると、改めてガランシェールのメンバーが、家族として信頼できる存在であることを実感した。

 

「最終的な目標は、スペースノイドの自治権確立………更に突き進めば、完全平和の実現か…だが、今は同胞を一人でも多く救う事だ。行こう」

 

マリーダは今やるべき事に目を向けて、クシャトリヤを加速させた。

 

 

 

中東・アラビア海

 

 

 

アラビア海の海上を進む地球連邦軍の空母艦が突如攻撃を受け、船体の一部を炎上させて航行していた。

 

その空母は、中東・アジアエリアのジオン系やその他の反乱分子の壊滅を図り、リゼルやアンクシャ、OZ所属のエアリーズ、リーオーフライヤーを多数機搭載している状態にあった。

 

全てを空中から制する目論みは明らかだ。

 

そのMS部隊へと、ガンダムヘビーアームズが多数のミサイル群を放って襲い掛かる。

 

一発、一発のミサイル弾頭が、意思を持つかの如くエアリーズやリゼルの機体に高速で突っ込み、機体を砕き散らす。

 

爆風を巻き起こすMS群の連続爆発。

 

その爆風がブリッジにもおよび、誘爆発を起こして燃え盛り始める。

 

拡がる炎の海と化した滑走路へと、重い地響きと共にガンダムヘビーアームズが着地した。

 

拡がる炎の情景と対象的に、トロワは冷ややかなまでに冷静を維持できていた。

 

「先手を打たれる前に先手を打つ。特に要になる敵対象はその概念で殲滅させてもらう」

 

モニターに映る映像の画面上では、機体を起動させながら各間接を可動させてアンクシャとリーオーフライヤーの部隊が行動に移ろうとしてる。

 

だか、行動に移らせる前にガンダムヘビーアームズは、ビームガトリングとブレストガトリングを連動させながら容赦なくぶっ放す。

 

重い連続射撃音と共に唸るビーム弾丸が、アンクシャとリーオーフライヤー達の装甲を容易く砕き散らして破砕させる。

 

唸り続くガンダムヘビーアームズの攻撃が撃ち注ぎ、

行動を起こそうとするMSや待機中のMSを次々に撃破させていく。

 

MSの爆発音も後を絶たない。

 

追い討ちをかけるかの如く、ガンダムヘビーアームズはガトリング系の攻撃を放ちながら、レフトアームのグレネードランチャーを撃ち放つ。

 

1機のアンクシャの胸部に撃ち込まれたプラズマ光弾が、着弾と共に一気に爆発。

 

ドーム状の爆炎で周囲のアンクシャやリーオーフライヤー、リゼル達を巻き込みながら豪快に吹き飛ばして破砕させた。

 

それは空母の船体をも半球状に抉り飛ばす程の威力だ。

 

「集中している敵を排除するにはこれが適切だな…」

 

トロワはそう言いながらアラートを聞き、向かい来る次の敵機をターゲットに絞る。

 

反撃に転じたエアリーズとリゼルの部隊が、数機掛かりでガンダムヘビーアームズへと攻撃をかける。

 

ガンダムヘビーアームズは付き出したビームガトリングと展開中のブレストガトリングを撃ち飛ばして、これらを次々に撃墜させ、次々に迫るMS達をごり押しで殲滅し続ける。

 

空しく機体を砕き散らしてバラバラに四散する機体群を視認しながらトロワはコントロールトリガーを握り続けた。

 

ビームガトリングとブレストガトリングを組み合わせた攻撃方法は、ガンダムヘビーアームズの基本的な攻めのスタイルだ。

 

そして状況により、グレネードランチャーを断続的に撃ち放つ。

 

攻め入るリーオーフライヤー達の後方にMS部隊が密集している箇所を見つけたトロワは、そこへグレネードランチャーを数発撃ち込む。

 

一気に爆炎がMS部隊を消し飛ばした。

 

これ以上好きにさせまいと、アンクシャ部隊がビームサーベルを取り出してガンダムヘビーアームズに向かおうとした。

 

だが、その後方でリゼルが斬撃音と共に撃破される。

 

振り向くアンクシャ。

 

ガンダムサンドロックがヒートショーテルで攻め混んできたのだ。

 

攻め入るガンダムサンドロックは、巧みにヒートショーテルを使いこなしながら、リゼルとリーオーフライヤーの機体群に斬撃を見舞う。

 

薙、叩き斬り、左右同時斬りと次々に斬撃を繰り出して、装甲を斬り砕く。

 

駆け抜けたガンダムサンドロックの後方で爆発が巻き起こされていく。

 

そしてガンダムサンドロックは、威風堂々とビームサーベルを装備したアンクシャの前に立ち聳えた。

 

「あなた方には投降の余地はありません!!ジオン残存軍やゲリラの方々を空から一方的に攻撃する事は、蹂躙以外の何者でもない!!!」

 

カトルは投降を呼び掛けずに攻める。

 

空から一方的に弱者を蹂躙しようとする連邦軍の行動に、怒りを示していたのだ。

 

アンクシャはガンダムサンドロックへ斬り掛かる。

 

ガンダムサンドロックは瞬時にヒートショーテルを振りかぶり、交差斬撃をアンクシャに食らわせた。

 

×の字の斬撃で斬り刻まれたアンクシャは爆発四散される。

 

ガンダムサンドロックは、その爆発を突き抜けながらアンクシャ達へ斬り掛かり、レフトアームの薙払われる一閃の斬撃から、ライトアームの叩き斬りに繋げる。

 

更にその爆発を駆け抜け、左右から斬撃で迫るアンクシャにヒートショーテルを振りかぶり、左右同時に叩き斬りを食らわせた。

 

滑走路をスライドしてブレーキをかけ、ガンダムサンドロックは空中から迫るアンクシャとリーオーフライヤーに、ジャンプして飛びかかる。

 

ビーム攻撃を物ともしないガンダムサンドロックは、勢いをかけながらレフトアームのヒートショーテルで2機のリーオーフライヤーを斬り飛ばした後、1機のアンクシャをライトアームのヒートショーテルで真っ二つに叩き斬る。

 

加速しながらレフトアームをグオッと振りかぶり、轟と一気に振り払ってリーオーフライヤーを2機同時に斬り飛ばした。

 

そこから瞬発的に飛び立ち、ブースターと機体角度を変えながら一気に急降下する。

 

その勢いを乗せたまま、アンクシャ2機が左右で叩き斬りを食らい、爆砕した。

 

ガンダムサンドロックのカメラアイが光る。

 

ヒートショーテルにボディーを斬り刻まれ爆発していったMS達に語りかけるように、カトルは呟いた。

 

「一方的に攻撃される恐怖。この恐怖が………彼らが味わっている恐怖さ………!!!」

 

強者による弱者の蹂躙。

 

連邦のやり方は、0080年代後半のぶり返しに他ならなかった。

 

やり方は過剰であれ、ジオン残存の想いは共通してコロニー市民の為であった。

 

それを延々と力で捩じ伏せる。

 

空母に配備されていたMSの数からも、それが感じられた。

 

中にはコロニーとは別に、庶民の為にジオン残存軍と結託して闘う者達もいる。

 

その一つがロニ達である。

 

カトルは彼女や彼らが空から蹂躙されることを思うと、優しさを退かす他なかった。

 

 

 

日本・地球連邦軍・佐世保工厰

 

 

 

旧世紀より軍艦に縁のある佐世保工厰に、ロンドベルの旗艦・ラー・カイラムがミノフスキー・クラフトの試験の為にドック入りしていた。

 

連邦屈指のロンドベルの旗艦故に、警備体制は万全を尽くして行われていた。

 

リゼルやジェガン、リーオーフライヤーが海上の警備を固めており、海中にもアクアジムの部隊が警備にあたっている。

 

尚、艦長であるブライト・ノアは休暇の為に不在の状態であった。

 

その最中であった。

 

突如として二つの高出力ビームがリゼルを撃ち墜とす。

 

射抜かれた2機のリゼルは空中で爆砕された。

 

海上の空に咲く爆発。

 

佐世保工厰に緊急サイレンが鳴り響いた。

 

佐世保の整備兵長が颯爽と駆けつけ、居合わせた部下に問い質す。

 

「なんだ!?何があった!??」

 

「海上のリゼルが爆破されました!!!突然ビームが!!!」

 

「って……お前、あの海上の空にいるMS―――!!!」

 

整備兵長が遠方に目にしたMS……それはアクセラレートライフルをかざしたガンダムジェミナス01、02であった。

 

「ガンダム……!!!まさか、反乱分子のガンダム?!!」

 

「くそ!!!艦長が不在の時に!!!」

 

これを確認したMS部隊が、順々に攻撃態勢に入って加速していく。

 

佐世保工場施設一帯に緊急命令が響き渡る。

 

「海上上空に未確認MSを視認!!!警備部隊は直ちに撃破に当たれ!!!繰り返す!!警備部隊は撃破に当たれ!!!」

 

ジェガン部隊が、サポートユニット・ベースジャバーに乗って出撃していく。

 

各機がビームライフルを放って2機のガンダムジェミナスへと迫る。

 

ガンダムジェミナス01のコックピットモニターに迫るジェガン部隊が映し出される。

 

各機をオートロック・オンすると共に、ターゲットであるラーカイラムがアップされ、画面上のサブモニターの枠内に映し出される。

 

「おあつらえ向きが来たな………なんか、ヒイロが借りを返すとか言ってたけど先にキメさせてもらうぜ!!」

 

アディンはニヤリとしながらレバーを押し込み、ガンダムジェミナス01の機体を加速させる。

 

「流石に連邦軍の要艦隊の旗艦だ。警備部隊が予想戦力値を上回っている。だが、それだけの事!!!撃ち砕くまでだ!!!」

 

オデルは機体の進行速度を維持させたまま、ターゲットを狙い射つ。

 

ガンダムジェミナス02は、アクセラレートライフルをシールドに添えながら断続的にチャージショットを撃ち放つ。

 

バスターライフルの縮小版のビーム渦流が撃ち放たれた。

 

その狙いは狂うことなく、立て続けに3機編成のジェガン部隊を二つ撃破する。

 

加速するガンダムジェミナス01は、 真っ直ぐにアクセラレートライフルを突き出したまま、銃口からGNDエネルギーの高出力ビームを撃ち出す。

 

「どんなに警備を敷こうと、俺達を前にしたら意味ないぜ!!!」

 

一発、二発、三発と放つ高出力ビームがジェガンを破壊し、ガンダムジェミナス01と破壊されたジェガンの爆発がすれ違う。

 

更に攻撃を仕掛け始める警備部隊が次々と迫り、2機のガンダムジェミナスへ回り込むように両サイドから迫る。

 

ジェガンのビームライフル、リゼルのビームライフルの一斉射撃が唸る。

 

「相手も必死か…」

 

オデルは瞬発的にガンダムジェミナス02を加速させ、海上を滑るように旋回飛行する。

 

モニター画面が流れるような光景の中、シールドに添え続けたままアクセラレートライフルを撃ち続ける。

 

自らが放つ弾道も計算に入れ、狂いなくアクセラレートライフルのビームが敵機に向かう。

 

ジェガン部隊が3機、リゼル部隊も3機と、連続で撃ち仕止めた。

 

更にリゼル部隊が3機編成で、一撃離脱戦法を考慮して迫る。

 

ガンダムジェミナス02は、一旦機体をホバリングさせてリゼル部隊へ銃口を向ける。

 

「さぁ、来い……!!!」

 

銃口にGNDエネルギーがチャージされ、ビーム渦流を発射。

 

一気にリゼル3機まとめて撃ち飛ばし、機体をかき飛ばして爆砕させた。

 

ガンダムジェミナス01は、そのまま真っ直ぐに進撃しながら側面方向へ射撃していく。

 

リゼル3機、ジェガン2機に一発、一発命中させてみせる。

 

撃ち墜とされた機体群は、空中爆発、又は海面で爆発を起こして破壊された。

 

「さぁ、これならラー・カイラム一直線だな!!」

 

だがその時、海面からアクアジム部隊が浮上し、ミサイルランチャーの役割も果たす魚雷を撃ち放つ。

 

不意を突かれ、直撃を受けるガンダムジェミナス01。

 

「おわ!??って……水中にもいたのかよ!??流石ロンドベルの旗艦だな!!警備にこだわってるぜ!!だが、このまま突っ込む!!!」

 

アディンは直撃の震動を受けるものの、敢えて攻撃をスルーし、ラー・カイラムを目指す。

 

その行く手を阻むリーオーフライヤーの部隊。

 

アディンは、アクセラレートライフルをロック・オンし、連続で撃ち込む。

 

アクセラレートライフルのビームが、4機のリーオーフライヤーを撃ち抜いて爆砕させる。

 

その勢いのままで、アクセラレートライフルをシールドに収め、ビームソードに武装を切り換えた。

 

「邪魔すんじゃねぇぇ!!!」

 

勢いよくビームソードを薙払い、リーオーフライヤーを斬り飛ばして破壊するガンダムジェミナス01。

 

近接戦を得意とするアディンの本領発揮だ。

 

リーオーフライヤーに射撃させる余地を与えず、袈裟斬り、薙、右斬り上げの斬撃を繰り出し、一気に3機を立て続けに破壊する。

 

爆発するリーオーフライヤーを背景に加速するガンダムジェミナス01。

 

更にアディンはリーオーフライヤーに斬り掛かる。

 

「遠慮しないぜ!!!」

 

一気に斜め上から斬りかかり、威力を増大させた斬撃をリーオーフライヤーに見舞い、破壊する。

 

そこからガンダムジェミナス01は、3機のリーオーフライヤーを睨み付けるかのように振り向いて斬り掛かる。

 

轟と薙払われる斬撃が、一気に3機を斬り飛ばしてみせた。

 

「さぁ、終いだぜ!!!ラー・カイラムを……」

 

ホバリングしながらラー・カイラムへ向かおうとした矢先、ラー・カイラムから1機のガンダムが甲板に姿を現した。

 

ライトニング・リ・ガズィ。

 

狙撃戦法を特化させた最新式の連邦のMSだ。

 

「そうこなくっちゃな………来てみろよ!!」

 

ライトニング・リ・ガズィは、銃身の長いスナイパービームライフルを構え、ガンダムジェミナス01を狙撃した。

 

高出力の紅いビームが一気に迫り、ガンダムジェミナス01の装甲に直撃する。

 

「ぐおっ………!!」

 

発射持続性の長いビームが、一気にガンダムジェミナス01を押し戻していく。

 

そしてライトニング・リ・ガズィは、巧みに銃口を操り、ガンダムジェミナス01を海中へ押し込むように墜落させた。

 

ガンダムジェミナス01は水しぶきを上げて、海中へ沈む。

 

更にタコ殴りのように、アクアジムが放つ魚雷の集中砲火を浴びてしまう。

 

「だああああ!!!ちくしょー!!!」

 

これに対し、オデルは呆れながら射撃した。

 

「あの馬鹿野郎!!!だから調子に乗るなと言っている!!!」

 

だが、ガンダムジェミナス01は装甲に焦げ跡が残っただけで全くダメージは受けていなかった。

 

ガンダムジェミナス01はメインカメラを光らせ、何十倍にして反撃に転じた。

 

水中でも威力を維持できるビームソードの斬撃の一振りが、瞬く間にアクアジム3機を破壊した。

 

しばらくの間、海中戦が巻き起こる流れとなる。

 

ライトニング・リ・ガズィが、ガンダムジェミナス02を狙撃しようとした矢先、突如として高熱源体を展開中のMS達が捉えた。

 

オデルは確信し、呟く。

 

「借りを返しにきたな……」

 

ガンダムジェミナス02は、熱源の軸上から離脱する。

 

直後、佐世保工厰へ迫る高熱源が一気に迫る。

 

直進するビーム渦流が、オデルが相手にしていたMS部隊を呑み込み、佐世保工厰へと激突。

 

警備MS部隊が諸ともかき消えた。

 

後方の断崖を抉り飛ばしながら施設の三分の一を呑み込み、瞬く間に破砕させた。

 

巻き上がる大爆発が更なる被害をもたらす。

 

海上上空には、バスターライフルをかざしたウィングガンダムの姿があった。

 

コックピットでは、ヒイロが任務エリアの分析をしていた。

 

「佐世保工厰の戦艦ドックを破壊した。施設機能は半分以下に降下と推定。残存MS、6機、メインターゲット、1隻………アディン、借りを返すぞ」

 

加速するウィングガンダム。

 

後方では、ビームサイズを担いだガンダムデスサイズがホバリングしていた。

 

「借り返し……か…あいつ、意外と律儀なとこあんのなー……ま、今回はゆっくりみてようぜ、相棒」

 

デュオは出番はないと踏み、栄養ゼリーを飲みながら見物を決め込む。

 

ウィングガンダムは、一気にラー・カイラムを目指して直進する。

 

対し、ライトニング・リ・ガズィもウィングガンダムへと照準を絞った。

 

やられる前にやる。

 

だが、パイロットの手は震えていた。

 

本能的にウィングガンダムが異常なガンダムであると察していたのだ。

 

それでもと狙撃するライトニング・リ・ガズィ。

 

だが、紅いビームは虚しく躱された。

 

ウィングガンダムがラー・カイラムに接近し、バスターライフルを構えチャージを開始する。

 

モニター画面上のロック・オンマーカーが、確実にラー・カイラムを捉えた。

 

その射軸線上にリーオーフライヤー3機とリゼル2機が割り込み、抵抗のビームを放つ。

 

ウィングガンダムへと着弾していくが、全く効果的ではなかった。

 

その抵抗に続くように、ライトニング・リ・ガズィが狙撃しようとした。

 

その矢先、バスターライフルの銃口から最大出力のビーム渦流が撃ち放たれた。

 

直進する大規模なビーム渦流がリーオーフライヤーとリゼル達を砕き飛ばし、ラー・カイラムに直撃する。

 

ビーム渦流は甲板に立つライトニング・リ・ガズィを吹き飛ばしながら、ラー・カイラムの船体を激しく破砕させていく。

 

後方の断崖に直撃しながら、バスターライフルのビーム渦流は、全てを焼き尽くす。

 

ウィングガンダムは、バスターライフルのビーム渦流を維持させたまま、銃口を左へ旋回し、確実にラー・カイラムを破砕させる。

 

その状態が続き、動力炉を抉られたラー・カイラムは大爆発を巻き起こして轟沈した。

 

巻き起こる炎が、佐世保工厰施設を一帯に拡がる。

 

生き残った兵士達は。ただただ恐怖する他なかった。

 

ウィングガンダムが脅威的に印象づけられた瞬間であった。

 

海中から上昇したガンダムジェミナス01。

 

アディンは変わり果てた光景に唖然とした。

 

「は!?なんだこりゃ!??まさか………!!!」

 

モニターにも直ぐにウィングガンダムが映る。

 

直後、ヒイロからの通信が入った。

 

「ヒイロ!!これって…」

 

「ああ、ラー・カイラムは破壊した。借りは返したぞ……俺は次の任務に就く」

 

そう言いながらヒイロは直ぐに通信を切り、ウィングガンダムを離脱させた。

 

アディンは感謝より、やられた感に晒された。

 

「あ、おい!!!ちくしょー………借りを返すとか言ってたけど………人のターゲット持ってくなよな~!!!これじゃあ、びんぼーくじだぜ!!」

 

「お前が調子に乗るからだ。ヒイロは確かに借りを返したと思うぞ。連邦屈指の軍艦を破壊したんだからな………お前が調子に乗らなければ、共に撃ち仕止めていたろうに………反省しろ!!」

 

通信を入れてきたオデルの言葉にアディンはぐうの音も出なかった。

 

「うっ………」

 

 

 

カンボジア・アンコールワット周辺

 

 

 

ここは世界的にも有名な遺跡があるが、ここの周辺には今も尚、一年戦争当時からのジオン残党が隠れ潜むエリアであった。

 

アンコールワットの巨大な仏面がある場所の周辺に、銃を構えたジオン兵士達がかけていく。

 

その向かう方角にはカスタマイズされたザクが、7機隠れ潜んでいた。

 

駆けるジオン兵士が並走する相方のジオン兵士に、息を切らして話す。

 

「連邦の連中が迫っている!!いよいよここにも連邦の連中がのりこんできやがる!!」

 

「今日で皆が死ぬってか!?ゴメン被るぜ!!!」

 

連邦が自分達のテリトリーに踏み入れることは、彼らの死を意味していた。

 

彼らはいよいよ迫る死と精神戦闘して平常心を維持しようとしていた。

 

二人のジオン兵士が仲間のザクと合流できたその時、ザクのコックピット内のレーダーに敵影を捕捉した。

 

コックピットに警戒アラートが鳴り響く。

 

「ちっ!!本当に奴等が迫っていやがる!!輸送機2機だ!!対MS戦闘に備えろよ!!」

 

スピーカーモードで、足下の二人に呼びかけるザクのパイロット。

 

二人のジオン兵士は茂みに隠していた対MS用のミサイルランチャーに装備を切り替える。

 

「ただでやられてたまるか!!」

 

散らばる他の歩兵達も、茂みに隠れながらランチャーを手にして構えた。

 

MS輸送機からは、連邦とOZのMSがそれぞれ5機編成で投下される。

 

エアリーズ3機、リーオー2機、ジムⅢ3機、ロト2機が投下された。

 

残党を掃討する事に10機のMSを投下するその行為は、えげつない事この上無かった。

 

「俺達を掃討する事に……そこまで戦力が必要なのか!??畜生!!!」

 

1機のザクが放つマゼラトップ砲の砲撃を皮切りにジオン兵士達は、一斉に先制攻撃を仕掛ける。

 

ザクが次々と茂みから飛び出して、連邦とOZのMS部隊へ攻撃を放つ。

 

ザクマシンガン、マゼラトップ砲、バズーカの各弾丸が重い銃射撃音と共に敵へと向かう。

 

だが、その攻撃は虚しさに吸い込まれる。

 

エアリーズの機動力にかわされ、ロトに向かう弾丸が、リーオーやジムⅢ部隊のシールドに阻まれていく。

 

無駄あがきも良いところである。

 

それでも、一矢報いる覚悟でザク達は抵抗し続けた。

 

だが、次の反撃で全てが覆される。

 

リーオーの放つビームマシンガンとジムⅢが放つ新型ビームライフル(ジェガンのビームライフル)のビームが、第一声に唸る。

 

進攻しながら断続的に撃ち注がれるビームが、ザクのボディーにヒットし、装甲が容易く撃ち砕かれていく。

 

ボロボロになったザクは、地表に倒れ込んで爆発を巻き起こした。

 

更に追い討ちをかけるように、ロトが放つミサイルランチャーとキャノン砲の弾丸が襲いかかる。

 

茂みに撃ち注がれる弾丸が、絶望的な爆発を巻き起こしながら、ザクや兵士達を虚しいまでに躯へと変貌させた。

 

生き残った最後のザクが、エアリーズに向けてザクマシンガンを撃ちまくる。

 

ジオンの誇りを掛けたザクマシンガンの弾丸が虚空に吸い込まれていく。

 

吸い込まれた弾丸は、エアリーズのビームチェーンガンのビーム弾丸と引き替えになり、ザクに帰ってくる。

 

茂みの木々や遺跡を巻き込みながらビーム弾がザクを砕き散らした。

 

更にエアリーズは歩兵達が隠れるポイントに発砲を繰り返す。

 

「がぁああ!!!」

 

兵士達が断末魔の叫びと共に一方的に蹂躙されていく。

 

その中で先程の兵士が額から血を流した状態で、ミサイルランチャーをリーオーに向けて放った。

 

「くたばれクソゲス野郎!!!」

 

憎悪の怒りを籠めて撃ち放ったミサイルが、リーオーに向かい、シールドと胸部に着弾した。

 

着弾の爆発がリーオーに立ち込める。

 

だが、その爆煙を払いながらビームマシンガンの銃口がジオン兵士に向けられる。

 

「ちっ!!畜生が………!!!」

 

鳴り響くビーム弾丸が大地を粉砕する。

 

ジオン兵士は玩具同然に吹っ飛ばされて転がっていった。

 

彼の今際の際、憎き連邦のMS・ジムⅢの姿が視界に入った。

 

「れ………連邦めがぁ………!!!」

 

連邦の憎さと自分達の不甲斐なさを加味させた悔しげな声を漏らすジオン兵士。

 

彼は満身創痍の状態で、胸にしまっていた一枚の写真を取り出した。

 

「っ………いよいよ…そっちに逝くときが………来たみたいだ…」

 

彼の持つ写真には、一年戦争当時に連邦軍に撃墜されたザンジバル級・ケルゲレンに乗っていた女性士官の姿があった。

 

彼は彼女の恋人だったのだ。

 

彼女の為に一矢報いる事もできず、悔し涙を流した次の瞬間だった。

 

ジムⅢがボディーを金属を熔解させる音と共に斬撃され、上半身と下半身に分割されて吹っ飛ぶ。

 

吹き飛ぶ上半身が爆発を巻き起こした。

 

 

BGM「龍が泳ぐとき、全ては終わる」

 

 

そして、ズンと地表に地響きを轟かせて、1機のガンダムが爆発の中から姿を見せた。

 

それはシェンロンガンダムであった。

 

ビームグレイブを振り切った状態で静止している。

 

「ガ…ガ…ガンダム……!!?」

 

その状態でギンッとメインカメラを発光させながら、左マニピュレーターに握り締めた僚牙を、隣接位置にいる2機のジムⅢ目掛け、大きく振り払って斬撃を食らわせる。

 

連続で破断される装甲。

 

2機のジムⅢは一振りで動力炉ごと斬り砕かれ、爆発と共に鉄屑と化した。

 

先程の蹂躙劇を一気に覆す光景を見ながら、ジオン兵士は自分達の口惜しさをシェンロンガンダムに託した。

 

「あ、あれが………メテオなんとかの……ガンダムなのかっ………!??ははは………口惜しさ、託したぞ……あとは………たのむ………いま…逝くからな……」

 

ジオン兵士は、力強き存在を最期に目にした事に安堵し、無念をシェンロンガンダムに託しながら息を引き取った。

 

コックピットモニターに映るザクの躯へ注視しながら五飛は彼らに対するように叫んだ。

 

「弱い者が戦うなっ!!!死ぬだけだ!!!」

 

その時、コックピット内にアラートが鳴り響く。

 

熱源急接近。

 

五飛は、直ぐにその方向へ視線を突き刺した。

 

直後に空間を揺さぶる振動がコックピット内に響き渡る。

 

五飛は眉間に軽くしわを寄せながら、コントロールレバーをギリッと握り締めた。

 

「弱き者を蹂躙する貴様らは………正に悪だっっ!!!」

 

砕かれるような重い着弾音と共にシェンロンガンダムの装甲表面で爆発が起きる。

 

2機のロトが放ったキャノン砲が直撃したのだ。

それに続くかの勢いで、リーオー達がシェンロンガンダム目掛け、ビームマシンガンを撃ち注いでいく。

 

空中からもエアリーズがビームチェーンガンとミサイルランチャーを放って攻撃を注いでいく。

 

更なる爆発や爆煙がシェンロンガンダムを包んでいく。

 

通常のMSならば完全に撃破される量の流星弾雨を撃ち込み、一時攻撃停止のサインを1機のリーオーが合図した。

 

制止する攻撃。

 

その直後、リーオーが熱源を探知し、メインカメラを連続点滅する。

 

「!??」

 

爆煙を突き破りながら、殆ど無傷のシェンロンガンダムが一気に飛び出す。

 

熱源はシェンロンガンダムの加速に伴った、GNDドライブの熱エネルギーであった。

 

「貴様達のような悪は、俺とナタクが叩き潰す!!!覇ぁああああっっ!!!」

 

五飛の気迫と共に、シェンロンガンダムはビームグレイブをリーオーのコックピット目掛け、一気に突き刺した。

 

ビームの刃がリーオーの胸部を刺突。

 

胸部を焼灼されたリーオーは即、爆発を巻き起こした。

 

加速を制動させたシェンロンガンダムは、振り向き際に再び加速。

 

もう1機のリーオーを加速の勢いのまま僚牙で豪快に斬り飛ばし、そのままロトへ直進。

 

撃ち放たれるミサイルランチャーの雨嵐を物ともせずにシェンロンガンダムはビームグレイブをロトに突き刺した。

 

加速と突き放つ勢いが重なり、突き砕かれたロトは地表を押し滑るようにされ、激しく機体を分解された。

 

そのロトの爆発を使ったかのように、シェンロンガンダムは飛び立ち、もう1機のロト目掛けて降下を敢行。

 

そのままロトの胸部目掛け、僚牙を地面に突き刺す勢いでロトを頭上から突き刺した。

 

シェンロンガンダムは突き刺した僚牙を抜き取り、空中から迫るエアリーズにそれをぶん投げた。

 

鋭利なGND合金製の刃が、豪速球の勢いで1機のエアリーズに直撃した。

 

エアリーズは突き刺さった僚牙と共に、白煙を上げながら墜落。

 

森林を吹き飛ばしながら爆発の炎を巻き起こした。

 

「貴様らはこんなものか………!!!」

 

五飛は降下してくるエアリーズを睨みつけて吐き捨てる。

 

エアリーズ2機は、低空位置まで降下すると、間合いをとりながらシェンロンガンダムの前でホバリングした。

 

この時、エアリーズのパイロットは拠点の駐屯基地へ応援要請を出していた。

 

攻撃の手を止めているエアリーズの行動に、五飛は洞察する。

 

「ふん………増援を呼んでいるようだが、無駄あがきだ。増援は来ない!!!」

 

五飛は自信を全開にして吐き捨てる。

 

何故なら、五飛が拠点の駐屯基地を既に壊滅させていたからだ。

 

駐屯基地の至るところで炎が燃え上がり、エアリーズやリーオー、ジムⅢ、ロトが瓦礫と化して破壊されている。

 

派遣用の輸送機も全てが炎上していた。

 

五飛はシェンロンガンダムをゆっくりと前進させてエアリーズに迫る。

 

駐屯基地との通信が取れないエアリーズ2機は、ヤケクソになったかのようにビームチェーンガンを近距離から撃ちまくる。

 

だか、一向に効果はなかった。

 

「そんな攻撃、ナタクに通用しない!!!」

 

シェンロンガンダムはビームグレイブを頭上で高速に振り回す。

 

だが次の瞬間、ビームグレイブではなく、ドラゴンハングが繰り出された。

 

ビームグレイブはフェイクであった。

 

機械的に伸びるライトアーム。

 

瞬発的に打ち放たれた龍の牙が、1機のエアリーズを激しく穿つ。

 

 

 

ディガッキィイイイイインッ!!!

 

 

 

ドラゴンハングに突き砕かれ、胸部が破砕されたエアリーズは後方へ一気にぶっ飛び地表を転がり、爆発。

 

そして最後の1機のエアリーズ目掛け、ドラゴンハングを突き刺す。

 

エアリーズの胸部に頭を埋めるようにドラゴンハングが突き刺さった。

 

その状態で零距離から火炎放射を放つ。

 

エアリーズを内部から焼き尽くし、ジェット噴射のごとく熔解させた部位を吹き飛ばして爆砕させた。

 

ドラゴンハングをかざして佇むシェンロンガンダム。

 

五飛は砕け散るエアリーズを見ながら、シェンロンガンダムに語りかけた。

 

「俺達を相手にするには余りにも弱すぎる!!!ナタク……次こそもっと骨のあるヤツと戦いたいものだな。そしてジオン兵の者達よ、安らかに眠れ……」

 

五飛はサイドモニターを操作し、映し出したジオン兵達に向かい、そう呟いた。

 

 

 

佐世保強襲より四時間後―――

 

 

シンガポール・地球連邦軍セントーサ最新基地。

 

セントーサ島近海を広大に埋め立てて創られた、最新の連邦軍基地である。

 

無論のことながら、OZも関わっている基地だ。

 

メテオ・ブレイクス・ヘルの一件と重なった事もあり、アジア方面の大きな軍備増強の拠点と位置づけられ、日々に渡ってMSが運び込まれている。

 

加えて、ラー・カイラムの一件もあり、更なる警戒が成されていた。

 

中東方面への軍事介入も、この基地を拠点としていた。

 

ジェガン、リゼル、ロト、リーオー、エアリーズといった現在の連邦・OZの主力MSが多数配備されていた。

 

ジオン残党が攻め入ろうものならば、袋叩きに合う事は必至である。

 

実験機として、近代回収をしたΖプラス、FAZZも配備されていた。

 

このセントーサ基地への戦力の生産に力を入れている地球連邦軍・OZフィリピン・ミンダナオMS生産工場。

 

MS工場の中でも規模が大きく、アジアエリアにおいても要たる生産工場である。

 

基本的にMSは空輸か海上の輸送の二つで担っている故に、海に隣接した地形に造られていた。

 

ジムⅢ部隊やジェガン部隊が警備の任務にあたりながら海上を眺めている。

 

その他リーオー、ロトの部隊が警備任務に配備されていた。

 

通常の警備機数に比べ、厳戒態勢の勢いの機数で警備にあたっていた。

 

海上の輸送船に、出荷されるMSが搬入され、空輸経路の輸送機にもMSが搬入されていく。

 

異常のない海上を見ながら上半身を旋回させるジムⅢ。

 

だがその時、海面を突き破りながら黒いMSが姿を見せた。

 

ガンダムデスサイズであった。

 

太陽を背に舞い上がったガンダムデスサイズは、そのまま降下し、ジムⅢをビームサイズで斬り伏せた。

 

やや斜めに破断されたジムⅢは爆炎を上げて爆発。

 

ガンダムデスサイズは近隣のジムⅢに飛びかかると、1機、2機、3機、とビームサイズを斬り上げ、斬り払い、斬り飛ばす。

 

豪快な斬り捌きで爆発を巻き起こしたデュオは、意気揚々と、輸送船にターゲットを絞る。

 

「っし!!!お荷物は没収させてもらうぜ!!!」

 

加速したガンダムデスサイズは、輸送船に目掛けて加速。

 

船舶の動力炉を目掛けてビームサイズで斬り捌いた。

 

爆発する輸送船から飛び立ち、次の船舶を斬り払いながら爆発させた。

 

無論、警備のMSが黙っているわけなく、ガンダムデスサイズに向かう。

 

ビームサイズを構えるガンダムデスサイズにビームが撃ち放たれる。

 

ガードしながらガンダムデスサイズは攻撃を受け続けた。

 

「へへへ………当然騒ぎだすか!!」

 

ジェガン、リーオーがビームライフルやビームマシンガンで、3機機編成づつ攻め入る。

 

ガンダムデスサイズは、機動性を発揮させて攻撃をかわし始めた。

 

攻撃をかわしながら、鮮やかにガンダムデスサイズは敵機の背後を捉えた。

 

「そらよぉっ!!!」

 

勢いを持たせた一振りの斬り上げで、3機のジェガンを斬り飛ばして爆砕させた後に、リーオーを1機斬り伏せた。

 

連続で破壊の爆発がガンダムデスサイズを包む。

 

ガンダムデスサイズは、ギンとメインカメラをリーオー2機に睨みつけ、バスターシールドを展開させた。

 

レフトアームを振り、シールドの先端のビームの刃がリーオーの機体を破斬させる。

 

そして、ガンダムデスサイズはビームマシンガンを撃ち続けるリーオーに、バスターシールドをズドンと刺突させ、機体を砕き散らさせた。

 

だが、警備のMSは絶え間なく砲撃を続け、弾幕がガンダムデスサイズを遮る。

 

ガンダムデスサイズは、ビームサイズを杖のように立てながら、バスターシールドで防御する態勢をとった。

 

「あーあー……弾幕うざっ!!それじゃあ、ここから清掃作業をよろしく!!!」

 

デュオは引き継ぐような言動を吐く。

 

その言動と共に、上空から閃光のごとく飛来する機影………バードモードのウィングガンダムであった。

 

ウィングガンダムのコックピットモニターでは、迫る工場に散らばるMS部隊や輸送機、ターゲットポイントがオートロックされている。

 

「フッ………任務了解。地球連邦・ミンダナオMS生産工場を叩く!!」

 

ヒイロはデュオの冗談めいた比喩に鼻笑いで答え、任務に突入する。

 

ヒイロは、上部レバーをスライドさせ、ウィングガンダムの機体をMSへと変形させる。

 

斜め上の上空からジャキンと真っ直ぐにバスターライフルを構え、工場の中枢部をロックオンする。

 

「破壊する………」

 

コントロールトリガーを操作し、ヒイロはバスターライフルをチャージさせた。

 

銃口に充填されていくGNDエネルギー。

 

カートリッジモニターの一個分までエネルギーをチャージさせた直後、バスターライフルの荒れ狂うビームを撃ち出した。

 

 

 

ギュゴヴァアアアアアアアアゥゥ!!!

 

 

 

凄まじいエネルギーを帯びながらビーム渦流が直進。

 

直撃させた工場施設を、ジェガンやロトの二、三小隊を巻き込み、地表諸とも抉り跳ばして破砕させる。

 

凄まじいエネルギー音や地響きを混ぜ合わせ、巨大な爆炎の柱を巻き上げさせた。

 

その破壊エネルギーが、更に周囲のジムⅢ部隊やリーオー部隊を吹き飛ばす。

 

既にこの時点で工場施設は殆どが機能が停止していた。

 

ウィングガンダムは、そのまま降下して低空位置にホバリングする。

 

バスターライフルの銃口を次なるターゲットに向ける。

 

次なるターゲットは連なる搬入完了した輸送機群。

 

その射撃軸上に、ガンダムデスサイズに攻撃をかけていたジェガンやリーオー、ロトの部隊が入り込み、オートロックの対象となる。

 

「輸送機及び生産ライン施設を破壊する……」

 

ジェガンやリーオー、ロトの部隊はウィングガンダム目掛け砲撃する以外攻める余地はない。

 

それでもその行為は無意味に等しい。

 

ウィングバインダーを展開させながらホバリングするウィングガンダムは、無意味に対する無慈悲な一矢を放つ。

 

バスターライフルが再び撃ち放たれ、ビーム渦流を直進させる。

 

突き進むビーム渦流は、ジェガンやリーオー、ロトを複数機呑み込み、地表を抉りながら爆発させる。

 

掠めた機体さえも誘爆させて破壊していく。

 

更に膨大なエネルギー波で地表がけたたましく爆発し、爆炎を巻き上げた。

 

ターゲットである輸送機群もその直後にビーム渦流に呑まれ、機体を砕き飛ばされていく。

 

ヒイロはバスターライフルを放ったまま銃口を右方向へと移動させる。

 

ウィングガンダムが放つバスターライフルの荒れ狂うビームがゆっくりとスライドし、生産ライン施設を破壊・壊滅させていく。

 

この瞬間にも、リーオーやジムⅢ部隊がビーム渦流に呑まれ、横へ押し潰されるようにかき飛ばされて破砕されていった。

 

生産ライン施設は、ビーム渦流に跡形もなく吹っ飛ばされ爆炎を巻き上げて消滅した。

 

ウィングガンダムの存在そのものが、機動性のある戦略兵器といっても過言ではなかった。

 

デュオはこの光景を目にし、ウィングガンダムの脅威的な存在感を改めて感じていた。

 

「ひゅー…本当に掃除しちまいやがったよ………こいつは本当、ぱねぇーガンダムだぜ!!これじゃ、俺達が形なしだなぁ、相棒!!!」

 

デュオは何気無くガンダムデスサイズを反転させ、ビームサイズを斬り上げる操作をした。

 

ガンダムデスサイズの背後にビームサーベルを振りかぶったジェガンがいたのだ。

 

余裕を見せながらガンダムデスサイズはビームサイズで斬り上げ、ジェガンを撃破させた。

 

ヒイロは常に冷静を通し、セカンドフェイズに移行しようとする。

 

その時、無謀にも攻撃をかけながら3機のジェガンがウィングガンダムにビームライフルとミサイルランチャーで攻め入る。

 

ヒイロは、敢えて攻撃を受けながらバスターライフルをロック・オンする。

 

余裕の表れだ。

 

「障害は破壊する」

 

中出力で撃ち放たれたバスターライフルのビームが、3機のジェガンを容易く機体をかき飛ばしながら爆砕させた。

 

ヒイロはモニター画面上に表示される情報に目を通し、工場施設の壊滅を確認する。

 

「ミンダナオMS工場施設を破壊。これよりセカンドフェイズへ移行する。デュオ、シンガポールへ向かう。カトル達と合流するぞ」

 

「あいよ!!これで借りは返却できるわけだな!!」

 

 

それより約三時間後。

 

ガンダムヘビーアームズとガンダムサンドロックが並行して飛行する。

 

カトルは、セントーサ基地の情報を表示し、任務遂行にあたってトロワと連絡を取り合う。

 

「今回の任務にあたり、僕らとヒイロ達の4機で攻める。まずは予定ポイントでヒイロ達と合流。次に基地の正面から電撃的に攻め込んで、彼らを圧倒させる。最終的に基地全ての武力壊滅、機能停止を図る形にするよ」

 

「了解した。時間的にも頃合いだな………」

 

「そうだね……この基地を落とせば、連邦軍のアジアの要が失われる事になる!!そうすれば少しはロニ達の脅威も減る………来た!ヒイロ達だ!」

 

ガンダムサンドロックのモニタースクリーンに、ウィングガンダムとガンダムデスサイズの姿を捉えた。

 

ヒイロとデュオも余裕の表情で機体を向かわせていた。

 

「カトル坊っちゃんのご登場だな♪」

 

「……」

 

 

 

セントーサ基地では、先刻に陥落したミンダナオ基地の一件で、著しくMSの搬入計画が狂い、同時に警戒体制も最大に稼働させて、MSを展開させていた。

 

「ミンダナオのMS生産工場がやられた事で、配備予定の機体を搬入できずにいるが、それ以上に警戒を怠るな!!!」

 

基地の敷地内では、ジェガン、リゼル、ロト、リーオー、エアリーズの部隊が続々と警戒配置に就きはじめる。

 

格納庫にも、FAZZ部隊が3機、Ζプラス部隊が4機が出撃を控えていた。

 

正に厳戒体制。

 

ネオジオンとて、これ程の厳戒網の中に身を投じはしない。

 

誰しもが敵の強襲はないと錯覚する程の戦力。

 

だが、警戒飛行していた一部のリゼル部隊が、海上の上空に未確認機を視認する。

 

「上空に未確認機を視認!!拡大します………こ、これは!??」

 

「こちら管制塔。何を視認している!?」

 

「と、鳥………いや、ガンダムです!!!うああああ!??」

 

バードモードのウィングガンダムが放ったバスターライフルの突風のごとき一撃が、リゼル部隊3機を吹き飛ばす。

 

爆発と風を翼で切り、ウィングガンダムは基地目掛け直進。

 

海上からもガンダムデスサイズが海面を突き破りながら一気に基地へ身を投じる。

 

着地地点に待機していたジェガン3機を、着地直後にビームサイズの一振りで斬り飛ばして破砕。

 

そこから1機のリーオーに突っ込んで、バスターシールドを突き刺して爆砕。

 

更にもう2機をビームサイズで斬り払い、機体を斬り崩させて爆破させた。

 

空中からは滑り込むかのようにガンダムサンドロックが加速して突っ込む。

 

その勢いを利用してヒートショーテルを振りかぶり、

ガンダムサンドロックの正面の左右にいたエアリーズ2機が同時に斬撃され爆砕。

 

地表に着地し、その反動を利用してジェガン部隊へ飛びかかり、薙斬り、斬り捌き、叩き斬る。

 

3機のジェガンが爆発を巻き起こす中、ガンダムサンドロックが目を光らせる。

 

ガンダムサンドロックと同じく、空中から攻め込むガンダムヘビーアームズ。

 

ビームガトリングとブレストガトリングを撃ち放ちながら攻め混み、ロト3機を蜂の巣にして爆破。

 

ブースターで落下制動をかけながら着地し、着地地点

にいた1機のロトをビームガトリングの零距離射撃で激しく粉砕させる。

 

そこから更にビームガトリングとブレストガトリングをぶっ放し、ジェガンやロトの部隊を問答無用に砕き散らす。

 

基地にサイレンが鳴り響く中、MS部隊が一斉に攻撃を開始した。

 

ジェガンのビームライフル、リーオーのビームマシンガン、エアリーズのビームチェーンガン、リゼルのビームライフル、ロトのキャノン砲が雨霰にガンダム目掛けて撃ち込まれていく。

 

圧倒される相手に対し唯一無二の抵抗だ。

 

「やはり分厚い弾幕抵抗に出ましたね!!デュオ!!このまま突貫して斬り崩していきましょう!!ヒイロとトロワは、一気に突破口を!!!」

 

「了解!!………いっくぜぇ!!!」

 

「バスターライフルで一気に破砕させる……!!!」

 

「了解した。消滅させていく」

 

迫り来るビームの弾雨を、ガンダムデスサイズとガンダムサンドロックは、躱しては受け、躱しては受けを繰り返し、ビームサイズ、ヒートショーテルを振りかぶって突っ込む。

 

加速の勢いを付けた死神の鎌が、一振りでリーオー3機を斬り払い、 そのまま加速を止める事なく上昇し、正面からリゼル部隊へと突っ込む。

 

片手に握ったビームサイズで、豪快に抜刀的な斬撃を食らわす。

 

 

ザヴァダァアアアアアンッッ!!!

 

 

1機のリゼルが撃破される中、両手持ちに戻して隣接する3機のリゼルを斬り飛ばした。

 

更に加速した勢いに乗せてビームサイズを振り回し、ジェガンを連斬。4機をまとめて斬り飛ばす。

 

「おらよぉ!!!」

 

 

 

ズシュバァアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

その無双劇的な光景の手前をウィングガンダムが駆け抜ける。

 

そして機体を変形させ、ウィングバインダーをギュバンと展開させながら、バスターライフルをスピーディーに構えた。

 

「ターゲット、多重ロック………排除開始……!!」

 

ヒイロはモニター上の眼前の敵機勢に向かい、怪物級のビーム渦流を撃ち飛ばす。

 

 

 

ギュイッッ―――ヴァズガアァァァァァァッッ!!!

 

 

 

全てを砕き散らして突き進むプラズマ渦流が、ジェガン、リーオー、エアリーズ、リゼルの複数部隊を呑み込んで消し飛ばすかのように爆砕させる。

 

強力過ぎるビームエネルギーが地表を爆発させ、更なる被害を巻き起こす。

 

直撃を免れたロトの部隊や他のジェガン部隊も吹き飛ばして破壊した。

 

空中からは複数のエアリーズ部隊とリゼル部隊が攻撃を掛ける。

 

機体を回転させながら軽快にビームを躱していくウィングガンダム。

 

ウィングガンダムは中出力でバスターライフルを撃つ。

 

中出力でもその破壊力や破壊規模は凄まじい。

 

図太いビーム渦流が直進し、迫るエアリーズとリゼルを複数機破砕させる。

 

ビームを掠めたエアリーズ2機とリゼル2機が誘爆して爆発した。

 

ウィングガンダムは、各方向から迫る空戦部隊にバスターライフルの銃口を向けて断続的な射撃をする。

 

「……情報にあったガンダムはまだ確認されていない」

 

ヒイロは連邦製のガンダムにターゲットを置きながら

エアリーズ部隊とリゼル部隊を破壊し続けた。

「行きます!!!はぁああああっっ!!!」

 

地上ではガンダムサンドロックが、バックパックを上部へ持ち上げ加速していく。

 

振りかぶったヒートショーテルで2機のジェガンを斬り砕くと、軽快な動きでヒートショーテルの剣捌きを見せつけながら、連続で標的のMSを叩き斬っていく。

 

 

 

ディッキガァァァァァン!!! ディガギャッ、ディガキィン、ディッガインッッ…………ギュオ………ザガァギャ、ザガドォオオオオオッッ!!!

 

 

 

ジェガン、リーオー、リゼル各MS部隊を駆け抜けながら、巧みに両手のヒートショーテルで叩き斬り、斬り飛ばし、斬り払い、斬り砕いていく。

 

そして振りかぶった双方のヒートショーテルを思いっきり降り下ろして 、リゼル2機を裂断させた。

 

ガンダムサンドロックの駆け抜けた後方に連続で斬られたMS群が爆発し、目の前のリゼルも炎を上げる。

 

両手に構えたヒートショーテルの刀身を銀色に光らせながら、ガンダムサンドロックは悠然と立つ。

 

ガンダムヘビーアームズは、旋回しながら攻撃を躱し、ビームガトリングとブレストガトリングを唸らせながら射撃する。

 

攻撃を食らい続けるロトの部隊や、リーオーキャノンの部隊、ホバリングするリゼルの部隊が流れるように砕き散らされていく。

 

「旋回しながら眼前の敵機勢を駆逐する。そして…」

 

ある程度旋回した位置で着地し、ジェガン部隊をビームガトリングとブレストガトリングで次々に砕き散らし、空中から攻め込むエアリーズ部隊に標準を変え連続で撃ち砕いて破砕させる。

 

 

 

ヴヴォドゥルルルルルルルルルルゥゥゥゥ!!!

 

 

 

だが、狙いの標的はジェガン部隊やエアリーズ部隊ではない。

 

ガンダムヘビーアームズは、集中して固まるロト部隊や、リーオーキャノン部隊に向けてグレネードランチャーを撃ち放った。

 

加速するプラズマ光弾が1機のロトの胸部に直撃し、そこを中心にドーム状のプラズマ爆発が巻き起こす。

 

 

 

ディシュゴォオオォォアァァッッ!!!

 

 

 

凄まじい爆発と共にMS群が吹き飛ばされ、一気に破砕させる。

 

爆発の爆風で残骸が転がっていく。

 

正に一点集中型のバスターライフルだ。

 

「集中している部隊を一気に叩く。後は圧倒させる火力をぶつけていくだけだ…」

 

ガンダムヘビーアームズはガトリングをぶっ放したまま、断続にグレネードランチャーを撃ち放った。

 

瞬く間に多数のMSが、爆炎と化して火の瓦礫となっていった。

だが、多数配備されたMS部隊は次々にガンダムへ攻撃をかけていく。

 

ΖプラスとFAZZ部隊も発進し、ガンダムへ向かう。

 

Ζプラスは空を掛け、FAZZはホバー走行しながらヒイロ達のガンダムへ迫る。

 

ガンダムサンドロックとガンダムデスサイズは向かい来る敵機を斬り続けて突き進む。

 

「おらぁあっっ!!!」

 

斬り払われるビームサイズがリーオー3機を斬り飛ばす。

 

「はぁああああ!!!」

 

斬り払われた1機のジェガンが爆発し、降り下ろされたヒートショーテルの斬撃で2機のジェガンが同時に斬り砕かれる。

 

巻き起こす爆発の中でガンダムデスサイズとガンダムサンドロックが並びながら動きを止めた。

 

2機は一旦防御体勢に移り、攻撃の手を止めた。

 

「更に増援の反応がありました!!これは………連邦製のガンダムです!!!」

 

「本家本元って分けか…へへ♪同じこと!!斬りまくるだけだ!!」

 

「ですが、一応はガンダムですから油断はしないでください……それにしても弾幕が凄い!!」

 

「あぁ…流石に最新基地の挙げ句アジアの要基地だ。ダメージは対したことないが、ちょいとうざったいな!!」

 

その時、ガンダムヘビーアームズが2機と並ぶように着地した。

 

「トロワ!!」

 

「お!!射撃のスペシャリストのご登場だな♪」

 

「突破口は任せろ」

 

ガンダムヘビーアームズのガトリングとグレネードランチャーの重射撃の下、ビームを撃ち続けていたリーオーやジェガン部隊が一掃され、砕き散らされていく。

 

そこへ更にウィングガンダムが降り立ち、バスターライフルを最大値の出力で撃ち放った。

 

一気に直進する重ビームが、弾幕を張るMS部隊を一掃した。

 

リーオー、ジェガン、ロトの部隊が複数の爆発を巻き起こしながら破砕しされる。

 

基地のMS格納庫を破壊しながら、バスターライフルのビームを維持したまま右へと銃口を移動させる。

 

ガルダや輸送機、管制塔施設を容赦無く破砕させた。

 

「?!!」

 

そしてそのビーム渦流が、Ζプラス部隊とFAZZ部隊にも襲い掛かる。

 

躱し切れなかった1機のΖプラスと2機のFAZZが、ビーム渦流に呑み込まれて爆砕する。

 

もう1機は要のライトアームを吹き飛ばされ、結果的にプラズマ渦流の影響で誘爆を起こして爆発した。

 

この一撃が基地の機能を殆ど無力化させた。

 

ヒイロはモニターを見ながらトロワとカトルに借りを返した事を告げた。

 

「……トロワ、カトル、後の空の敵機は全て駆逐する。それで修理の借りは返す」

 

「いや、充分だ……」

 

「そんな……借りだなんて…僕は仲間として出来ることをしたまでですから…」

 

ヒイロはそのまままウィングガンダムを加速させ、Ζプラス部隊に向かって飛び立った。

 

「遠慮すんなって!意外に律儀なとこあるんだよ……あいつ…」

 

デュオは遠慮気味なトロワとカトルにヒイロの律儀な面を伝えてヒイロをフォローした。

 

「そうなんですね………解りました!では返しをありがたく受けましょう!」

 

「じゃあ、地上の残り連中の一掃と洒落混もうぜ!!!」

 

「ええ!!行きましょう!!」

 

デュオのノリを合図にするかのように、デスサイズ、ヘビーアームズ、サンドロックの3機のガンダムが残存敵機の駆逐に向かった。

 

上空では、ウィングガンダムが、エアリーズ部隊をビームサーベルで次々に斬り捌いて駆け抜ける。

 

連続で裂断されたエアリーズの機体群が爆発した。

 

更に加速してリゼル部隊に斬り掛かり、加速の勢いを利用して激しい斬撃を食らわせていく。

 

爆砕するリゼル達を尻目に、ヒイロはΖプラスをロック・オンした。

 

ビームスマートガンを撃ち放ってΖプラスが攻め入る。

 

ウィングガンダムはシールドでこの攻撃を防御する。

 

Ζプラス部隊は、一撃離脱戦法でウィングガンダムに攻め続けた。

 

ビームの威力はバスターライフルに到底及ばないが、それなりの衝撃を与える。

 

「流石に多少の火力と機動性はある」

 

次に迫るΖプラスに狙いを定めてウィングガンダムはビームサーベルを構えた。

 

ビームスマートガンを放つΖプラスが、ウィングガンダムとすれ違おうとする刹那、ビームサーベルをΖプラスへ突き出した。

 

 

 

ズガドォァガアアアアァァッッ!!!

 

 

 

相手の加速の勢いを利用し、Ζプラスを激しく突き砕くウィングガンダム。

 

Ζプラスは原型を激しいまでに砕かれて爆砕した。

 

ウィングガンダムはドォンッと衝撃波を発生させながら上昇し、Ζプラスの上を取る。

 

そして急下降しながら斬撃を繰り出し、縦に斬撃した。

 

ガンダリウムの装甲が力強く斬り刻まれ、Ζプラスを裂断させた。

 

 

 

ジュズゴォォォオオォォ………ザガァギャアアアア!!!

 

 

 

その斬撃の爆発で加速したかのようにウィングガンダムが飛び立ち、機動性を活かしながらΖプラスへ回り込む。

 

最早勝ち目はなかった。

 

後がないと判断したΖプラスのパイロットは、機体を変形させ、青白いビームサーベルでウィングガンダムへ斬り掛かる。

 

激突する刃だったが、その斬撃を容易くヒイロは捌いて見せる。

 

そして、一瞬の隙を突き、ウィングガンダムの放った抜刀軌道の斬撃が、Ζプラスを裂断させる。

 

機体の切断面が分断され、その向こう側にウィングガンダムが姿を見せながら、眼光を光らせる。

 

機体を斬り裂かれたΖプラスは、スパークを起こしながら爆砕していった。

 

それより間も無くして、セントーサ基地は壊滅された。

 

瓦礫と炎に敷かれた基地に、ビームサイズを担ぐガンダムデスサイズとヒートショーテルを構えたガンダムサンドロックが雄々しく聳え立ち、基地の港で炎上する空母や戦艦を見つめるガンダムヘビーアームズの姿があった。

 

ヒイロはこの光景を見下ろしながら、サイドモニター上に映し出した戦力状況を見た。

 

「―――セントーサ基地における敵勢力の壊滅を確認………基地施設壊滅及び機能停止を確認…任務完了……」

 

たった4機でセントーサ基地を陥落させたメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダム。

 

その戦闘能力はこれまでの常識を覆し、世界規模で注視せざるを得ないレベルであった。

 

トレーズの下に各所で起こったガンダムの被害情報が送り届けられていた。

 

「空母艦の破壊、ラー・カイラムの破壊、そしてセントーサ基地の壊滅……他にも各所で被害が見られるな。ここまで彼らに反目されるとは………注視せざるを得ない……いや、最早これは警鐘のレベルか…」

 

トレーズは戦死したOZと連邦の兵士の名簿に目を通す。

 

「戦死した者の名は止めておきたい………それも私のOZ総帥たる務めと規定している」

 

しばらくの時間、トレーズは戦死した者の名簿に目を通し続けた。

 

そして大規模演習の計画書に視点を切り替える。

 

「恐らく………この大規模演習で彼らは集結するはずだ。この日、事が予定通りに動けば私は彼らの刃と交えることになる………楽しみだ」

 

トレーズのトールギスⅡを乗せたソニックトランスポーターが、ルクセンブルクを目指して空輸されていた。

 

そして別経路でも別のトールギスが空輸準備の段階に入っていた。

 

トールギスⅢである。

 

他に眠っていた機体をトレーズが大規模演習に備え、追加の要請を出していたのだ。

 

ガンダムに匹敵する力を持つ二つのMS達が、静かに眠りながら主の下へと赴こうとしていた。

 

「戦いは、エレガントでなければならない。そう……エレガントでなければ…トールギスはそれを可能にするMSなのだ……そうであろう…ゼクス……」

 

トレーズは瞳を閉じながら紅茶を啜った。

 

 

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