新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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エピソード52「サンクキングダム・ホーリーナイト」

 

 

 クリスマスシーズンのサンクキングダムにMDシルヴァ・ビルゴの降下部隊が次々に押し寄せる。

 

 それは一足早い余計なクリスマスプレゼントに他ならなかった。

 

 降下部隊のMDはシルヴァ・ビルゴ一択で構成されており、降下の時点でビームランチャーを撃ち放ちながら攻め入る。

 

 だが、その狙いはサンクキングダムの市街地を点で攻撃しており、どこか手加減をしているようでもあった。

 

 迎撃している最中のミリアルドにも違和感が宿る。

 

 降下射撃中のシルヴァ・ビルゴの懐に攻め入り、ビームサーベルの薙ぎや袈裟斬り、唐竹の斬撃をくりだしてトールギスは母国をまもらんと猛撃をかける。

 

 

 

 ギュジュギュイイッッッ、ゴッッッドォアアアア―――ズバギャアアアアアアッッ、ザシュドオオオッッ、ディギギイイイイイッッ!!! ザディガアアアアアッッ!!!

 

 

 

 そしてトールギスは再びエネルギーがリロードされたドーバーガンで射撃を開始し、単発的なビーム渦流でシルヴァ・ビルゴを撃墜していく。

 

 

 

 ディシュウウウウウッ!!! ダシュウウウイイィッ、ダシュイイッッ、ダシュイイイイイッ!!!

 

 ゴバアアアアアアアアッッッ!!! グバガァアアッッ、ドォズグウウウウッッ、ダディゴオオオオオオッ!!!

 

 

 

「しかし、このMDの部隊……狙いが一定過ぎる……心なしか手加減されているかのようにも見て取れる……!!!」

 

「ミリアルドもそう感じるか?!!さっきから我々の射撃を躱そうともせずに直撃を受けて行っている!!!」

 

 ミスズ機のリゼル・トーラスもまた百発百中で撃墜していっており、その手の抜いたかのような侵攻の仕方に違和感を感じていた。

 

 

 

 ヴィギュイイイイッッ、ディシュイッ、ヴィギュアアアッ、ディシュイイイッ、ヴィギュアアアアッ!!!

 

 ディズゴオオオオオッッ、ダッディガアアンッ、ギュズドォオオオオッ、ダズグンッッ、ドォズグウウウウアアアアッッ!!!

 

 

 

 射撃の間合いを取りながらミスズ機のリゼル・トーラスはメガ・ビームランチャーとビームライフルの二挺で射撃しながら降下攻撃するシルヴァ・ビルゴへと直撃させ、連続的に撃墜していく。

 

 ライト機のリゼル・トーラスはメガ・ビームランチャーによる狙撃を駆使して撃墜していく。

 

 

 

 ヴィギュリリリリ……ヴィギュアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 ドォズアアアアアアアッッ……ゴバダアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

「1機でも多く撃墜する……!!!」

 

 

 

 ヴィギュイイイイイイイイッッ!!! ヴィギュイイイイイイイッッ!!!

 

 ディギュッゴオオオオオンッッ!!! グバガアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 ライトが狙い撃つ赤い高出力ビームがシルヴァ・ビルゴのボディーを抉り、機体を爆散させていった。

 

 この戦闘をデジタル双眼鏡で安全地帯からウォッチングを決め込む少女の姿があった。

 

「今こうしてクリスマスプレゼントを届けてくださるなんて、お爺様ったら孫娘の私になんて粋な計らいをしてくれるんでしょう!!!」

 

 侵攻部隊の攻撃が加減しているのもそのはずであり、サンクキングダムにはデルマイユ公の実の孫娘・ドロシー・カタロニアが正規に入国していた。

 

「でも……私がここにいるからって、お爺様は手加減するおつもりね……これじゃ本当の命の輝きが見られないじゃない……新しい小型タッチパネルフォンで連絡しましょ♪」

 

 状況的に見て、あからさまに彼女にスパイ疑惑があっても至極当然だが、厳密にはそうではないようだ。

 

「ん?!!一旦失礼する」

 

 デルマイユ公は優雅に財団の食事会に出席しており、語らいの最中にその場を外す。

 

「……ドロシー!!!何かあったのか!!?」

 

「何かあったのか……じゃないわよ!!?仮にも孫娘が居住している国に攻め入っておいて!!!」

 

「いや……それはだな……」

 

「……なぁ~んて☆嘘よ、お爺様!!今安全な場所から戦場をウォッチングしてるんだけど、MDがなんか締まりがない攻撃してるのよ」

 

「それはお前の身を案じて敢えてそうしているのだ!!お前の戦い好きは今に始まったわけじゃないが、今は流れ弾の危険もある!!どうか安全なシェルターにいてくれ!!これも相手の疲弊を狙った作戦なんだ!!!一定の動作をし続けるとやがて集中力がおぼつかなくなる時があるだろう?」

 

「じゃあ、いつまでもだるい攻撃が続くわけ??退屈……」

 

「ドロシー!!!遊びじゃないんだぞ!!!」

 

「ええ♪れっきとした戦争ですもの☆」

 

 ドロシーの我儘に振り回され、孫馬鹿な一面を見せたデルマイユ公は、当初の予定よりも大幅に早めてMD部隊のキルモードレベルを上げるよう指示した。

 

 ジェガンタイプのメインカメラを高速点滅させながら、シルヴァ・ビルゴのプログラムが一斉に切り替わる。

 

 唐突にビームランチャーの狙いが鋭くなり、近衛師団のリーオーやエアリーズ部隊は虚を突かれ、次々に撃墜され始めた。

 

「ぐあああああああ?!!」

 

「ふぁあああああああああッッ??!」

 

「ああああああああああッッ??!」

 

 部下の部隊が次々に撃破され始める状況に、ミスズは事態が変貌した事と憤りを重ねる。

 

「?!!急に攻撃パターンが変わった?!!おのれッッ!!!」

 

 シルヴァ・ビルゴ部隊は急激に狙いの制度が上がり、ビームランチャーの高出力ビームが回避行動をとるミスズ機のリゼル・トーラスを掠めていく。

 

 ライトの狙撃も躱されるようになりはじめ、狙い来る高出力ビームが機体を掠め取り、レフトショルダーアーマーを破壊する。

 

「くッ?!!いきなり性能が上がった?!!」

 

 市街地には次々にシルヴァ・ビルゴの部隊が着地し始め、迫りながらビームランチャーを連発する。

 

 それでも尚、トールギスは攻撃を躱しながら辛うじて善戦をみせる。

 

 バスターランスでシルヴァ・ビルゴの胸部を突き砕き、連続でドーバーガンのショットを見舞いながら空中で各個撃破すると、地上のシルヴァ・ビルゴ部隊にドーバーガンを上空から叩き込む。

 

 しかし、狙いすれすれのシルヴァ・ビルゴの対空射撃が連続でトールギスを掠める。

 

 一つミスすれば、虎の子の高出力バーニアを破壊されかねない程の精度だ。

 

「ちいッ……!!!ならばいっそ……!!!」

 

 トールギスは一気に低空位置に滑空し、高速かつ連続のビームサーベルの斬撃を叩き込む。

 

 

 

 ギュゴアアアアアアアアッッ……ォォオオオオオオアアアアッッ、ザシュガアアアアアアッッ、ディッキガアアアアンッッ、ズドォシャアアアアアアッッ、ドォズギャアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 バスターランスの強烈な一撃を浴びせ、低空飛行しながらビルの角に飛び出すと、途端にビームランチャーの射撃が襲い来る。

 

「ちいいッッ!!!」

 

 ミリアルドは巧みなコントロールでその射撃をギリギリで回避してみせ、敵機群の懐に飛び込み斬撃を繰り出し続けて駆け抜ける。

 

 

 

 ドォアアアアアアアッッッ……ディッガギャアアアアンッッ、ジュズウバアアアアアアッッ、ズバキャアアアアアンッッ……ディゴオオオンッッッ、ドォドォドォドォドォガガガガガガアアアアアアアア!!!

 

 

 

 出合い来る敵機を斬り捨てた後に、トールギスは1機のシルヴァ・ビルゴの胸部のど真ん中にバスターランスを刺突させ、そのまま着陸したシルヴァ・ビルゴの敵機群に突っ込んでいった。

 

 無茶ぶりな戦闘をし始めたミリアルドにミスズは激戦に身を置きながらも憂う。

 

「ミリアルド……攻め過ぎるな!!!くッ!!!」

 

 ビームランチャーの連続射撃の中、ミスズ機のリゼル・トーラスはメガ・ビームランチャーを破壊されてしまう。

 

「っ……有効な武装が……!!!叩き込む!!!」

 

 

 

 ドォズアアアアアアア!!! ドォシュダアアアッッ、ドォシュダアッ、ドォシュダッ、ドォシュダアアアアンッッ!!! ヴィヴィヴィヴィギュギュイイイイ!!!

 

 

 

 ミスズ機のリゼル・トーラスは即座にビームライフルを持ち替え、速射射撃を叩き込んでそれに追従するようにレフトアームのビームキャノンを高速で撃ち放った。

 

 

 

 ディガアアアアアンッッ!!! ディディガアアンッ、ドォドォアアアアアンッ!!! ドォドォドォドォバアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 一方のライト機のリゼル・トーラスは後退しながらメガ・ビームランチャーを撃ち放ち続ける。

 

「二度もこの国を失わせることはさせない!!!だから、俺はこうして戦っている!!!」

 

 

 

 ヴィギュアアアアアアアアアッッ!!! ヴィギュアアアアアアアアアアア、ヴィギュアアアアアアアアアアア!!!

 

 ズドォシャアアアアアアァァァ……グバゴオオオオオオオオオッッ!!!

 

 

 

 二発が躱され、残りの一撃が1機のシルヴァ・ビルゴに炸裂し爆発させる。

 

 撃ち漏らした2機はビームランチャーを撃ち放ち迫る。

 

「俺はリリーナの所に戻る……!!!俺は死なないッッ!!!」

 

 

 ライトは生還し、リリーナにまた会う一心で集中力のゾーンに入り、メガ・ビームランチャーをロック・オンする。

 

 次の瞬間にライト機のリゼル・トーラスは二発のメガ・ビームランチャーを撃ち込んだ。

 

 

 

 ヴィギュウイイイイイイイイイイッッ、ヴィギュイイイイイイイイイッッ!!!

 

 

 ドォズオオオオオオオオオッッ、ヴァドォアアアアアアアアアッッ……ゴゴバガアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

「はぁッ……はぁ……はぁ……ッく……やれた!!!」

 

 狩りは勝った瞬間が危険といわれている。

 

 まさにそれがライト機のリゼル・トーラスを襲う。

 

 上空から注がれるビームランチャーの高出力ビームが迫り、メガ・ビームランチャーごとライトアームを吹き飛ばす。

 

「しまったッッ……おおおおおおおおおお!!!」

 

 ライトは被弾の瞬間に気迫と共にすぐに事を切り替え、レフトアームのビームキャノンを叩き込んだ。

 

 

 

 ヴィヴィヴィヴィギュギュイイイイッッ!!! ヴィヴィヴィヴィギュギュイイイイッッ!!!

 

 ディディデガアアンッ、ドォドォドォディガアアアンッ、ディディディグボアアアアアアアアン!!!

 

 

 

「俺としたことが……だが、まだいける!!!」

 

 ライトは眼前に迫っていたシルヴァ・ビルゴを撃破すると、レフトアームにビームサーベルを装備して迫りくるシルヴァ・ビルゴに立ち向かっていく。

 

 ゾーンに入ったライトは寸前で向かい来るビームランチャーを躱し、斬撃を見舞いながら駆け抜けていった。

 

 

 

 このサンクキングダムに対するロームフェラ財団の侵略行為の目的は、大きい括りでいえば恫喝であった。

 

 清く正しい平和論を唱えるサンクキングダムの存在は、かつての連邦も今のロームフェラ財団、更にいうなればブルーメンツにとって目の上のたん瘤のような存在であった。

 

 月面におけるMDの生産ラインは順調に流れ、日々生産機数を一定に保っていた。

 

 デルマイユ公はその流れに目をつけ、湯水のようにMDがサンクキングダムに降り注ぐ作戦を考えていた。

 

 そこには彼曰く、防衛を疲弊させる狙いもあり、実際にミリアルド達の疲労はMDのキルモードレベルが上がった時点で加速しつつあった。

 

 攻撃するのも躱すのにもエネルギーや集中力を損耗する。

 

 善戦を見せていたトールギスも掠め被弾を浴びるようになる。

 

「……ッ!!!集中力が切れかけている!!!」

 

 いびつな軌道で辛うじて攻撃を回避しながら、ビルの陰に隠れたミスズ機のリゼル・トーラスと合流する。

 

「ミリアルド……!!!このままでは我々は犬死になるな」

 

「ミスズ……君だけでもライトと一緒に離脱しろ!!!」

 

「バカッ……!!!私はお前とサヨナラなんてしない!!!」

 

「そうか……わかった……く!!!」

 

 隠れていたビルの建造物がビームランチャーで砕き散らされ、トールギスとミスズ機のリゼル・トーラスは同時に飛び立って離脱回避する。

 

「おおおおおおおおおお!!!」

 

 ライト機のリゼル・トーラスはビームサーベルとビームキャノンを駆使し、獅子奮迅の立ち回りを見せていた。

 

 

 ザギャダアアアアアンッ、ズバドォオオオオッッ、ザシュガアアアッッ、ヴィヴィヴィヴィギュギュイイイイッッ、ヴィギュイイイイイイイイインッッ!!!

 

 だが、ほんの僅かなタイミングを搔い潜り、背部のブースターにビームランチャーが被弾してしまう。

 

 

 

 ディガアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

「ぐううううう??!」

 

 機体を立て直しつつもビルに突っ込みライト機のリゼル・トーラスは瓦礫に埋もれてしまった。

 

 近衛部隊のリーオーやエアリーズ達も回避に一杯になり、被弾・撃破されるものが続出した。

 

 その光景をドロシーは正に高見の見物と言わんばかりのポジションで見ていた。

 

「そうそう!!!これよ!!!戦闘の質が一気に上がった!!!一瞬も油断できない命のやり取り!!!撃破され戦死していった彼らは後世で尊い犠牲として語り継がれることだわ!!!そうよ……戦争は悲惨でなんぼなんですもの……!!!」

 

 そう独り言を高めのテンションで言いながら更にドロシーは戦闘を見続けた。

 

 ドロシーがデジタル双眼鏡を覗き込んだその瞬間だった。

 

 聞き慣れない幾つもの起動音が上空から聞こえてきたのだ。

 

「?!!何?!!この音……ッッ!!!ウソ……あれって……!!!?」

 

 想定していなかった予想外の存在をドロシーはその目に確認した。

 

 戦場の方ではとうとうトールギスは防戦一方となり、ミスズを守ることで手一杯となる。

 

「何度も言わせてもらう……サヨナラは言わないぞ、ミリアルド!!!」

 

「当然だッッ!!!」

 

 絶体絶命という四文字が差し迫るようにシルヴァ・ビルゴが迫りくる……その時―――。

 

 

 

 ディッカアアアアンッッ、ディッカアアアアッッ、ディッカアアッ、ディッカアアアッッ、ディギャイイイイイイイイイン……ドォドォドォドォドォゴバアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 

 降下中のMD部隊を5機連続で叩き斬って迫る機体が現れた。

 

 

 

 ヒュフォアッッ―――ディッカイイイイイイン、ディッカイイイイイイイイインッッ!!!

 

 

 

 ミリアルドが前方モニターを見た次の瞬間にはガンダムサンドロック改が二刀流のバスターショーテルでトールギスとミスズ機のリゼル・トーラスに迫っていたシルヴァ・ビルゴを破断させていた。

 

 更にそこからガンダムサンドロック改は攻め込み、もう2機をその巨大な刀剣で叩き斬る。

 

 

 

 グオアッッ―――ディッギガアアアアアアアアアアアアンッッ、ディッギガアアアアアアアアアアン!!!

 

 

 

「が、ガンダム?!!」

 

「まさかメテオ・ブレイクス・ヘルの……??!」

 

「騒がしい入国の仕方になっちゃいましたが、この理不尽な状況は手助けせずにはいられないですからね!!!僕たちが来たからには後はお任せください!!!」

 

 カトルはミリアルド達にそう告げると、仲間達に指揮を執る。

 

「デュオ、トロワ!!二人は降下しながら既に地上に展開している部隊を僕と一緒に叩いて!!!マフティーさんとヒイロは降下中の機体群の破壊をお願いします!!!そしてヒイロはMD部隊を壊滅させたら、日本の時と同じように衛星軌道上の輸送機を叩いて!!」

 

「あいよぉ!!!」

 

「了解した」

 

「こちらも了解!!」

 

「任務了解」

 

 各Gマイスターの返答を聞いた後にカトルは本腰を入れた撃破にかかる。

 

「さぁ、いくよサンドロック!!!」

 

 

 ガンダムサンドロック改は機体を加速させ、左右軸線上にいるシルヴァ・ビルゴを次々に叩き斬り墜としていってみせる。

 

 

 

 ゴアアアアアアアアアアアッ……ギュオッ、ディズガアアアアアアッッ、ダッキギャアアンッ、ズガドォオオオオッ、ディズダアアアアアンッッ……ギュグオッッ、ディディッギガアアアアアアアアアアアアン!!!

 

 

 

「はあああああああああああああ!!!」

 

 カトルはそこに密集していた残り2機に狙いを定め、強烈なバスターショーテルの斬撃を見舞った。

 

 

 

 ギュゴフォアアッッ―――ディッッギィガアアアアアアアアッッッ、ディッッギィガアアアアアアアアアンッッッ!!!

 

 

 

 それに続いて済んだ夜空の月をバックにガンダムデスサイズ・ヘルが姿を見せる。

 

 まだハイパージャマ―を展開させていないために、その機影はシルヴァ・ビルゴの格好の的となった。

 

 連発で集中砲火を浴びるガンダムデスサイズ・ヘルであったが、次の瞬間には全く無傷で爆炎を突き抜けていた。

 

 アクティブクロークを展開させ、アームド・ツインビームサイズの二連刃を発動。

 

 次の瞬間には1機を斬り飛ばし払うと同時に、その向こう側にいた3機にバスターシールド・アローのビームの刃を撃ち込む。

 

 

 

 ギュウィイイイイッッ―――ザギャガアアアアアアアアアアアアッッッ!!!! ディシュウウッッ、ディシュウウッ、ディシュウウウウウウンッッ!!!

 

 ゴドォバアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!! ディッギャンッッ、ドォズウウウンッッ、ズガギャアアアアッッ、ゴババババアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

「そーら、死神様がクリスマスプレゼント届けに来てやったぜええええ!!!」

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルは降下しながら迫りくるシルヴァ・ビルゴを次々と狙い斬る。

 

 斬り払いから機体を回転させて次の敵機の懐に入り、袈裟斬り、逆袈裟斬り、右斬り上げの斬撃を浴びせまわった。

 

 

 

 ザズドォオオオオオオオオッッ、ギュアッッ、ザディギャアアアアアッッ、ズバシャアアアアアアンッッ、ザギャシャアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 ドォゴバアアアアッッ、ズグアアッッ、ドォドォゴバアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 降下するガンダムデスサイズ・ヘルの上で爆発の華が咲いていく。

 

 そして降下滑空しながらのアームド・ツインビームサイズの右斬り上げとバスターシールド・アローの刺突を連続で叩き込む。

 

 

 

 ザギャアアアアアアアッッ……ドォズガアアアアアアッッ、ディッヤギャギャギャギャゴゴゴゴゴゴオオオオオオン!!!

 

 

 

 バスターシールド・アローを突き刺したままシルヴァ・ビルゴの機体群にガンダムデスサイズ・ヘルは突っ込む。

 

 派手がましくシルヴァ・ビルゴの群れをなぎ倒しながら刺突した機体を別機体に押し当て、そのシルヴァ・ビルゴ諸共爆砕させた。

 

 そしてガンダムデスサイズ・ヘルは爆発の炎の中に死神然として立ちながら両眼を発光させ、面前にいるシルヴァ・ビルゴ4機にアームド・ツインビームサイズの大ぶりの薙ぎ斬撃を食らわせる。 

 

 

 

 ギュグアッッ……ディザギャアアアアアアアアアアアアアアッッッ(ディッカインッ、ディッガイイッ、ディッキガン、ダギャガアアアアン)……ドォズゴバオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!

 

 

 

「地獄っていうプレゼントをな!!!楽しいねぇ、バカっばっかりでよォ!!!」

 

 

 

 ディズギャアアアアアアッッ……ゴバオオオオオオオオオオンッ!!!

 

 

 

 更なる斬り払いで破断されたシルヴァ・ビルゴの向こう側にガンダムデスサイズ・ヘルの姿が現れ、破断部が爆砕した。

 

 

 

 ギュウィイッッ、ジャカジャカカカン……ドォドォドォドォドォドォドォドォシュシュシュシュシュドォオオオオオオオオッッ!!!

 

 ドォドォドォゴゴバアアア、ドォゴゴゴババアアアン、グワッッゴオドォドォドォドォゴオオオッッ、ドォドォドォググワッッ、ゴゴゴオオオオオンッッ、ドォドォドォドォドォババオオオオッッ、グバガッグババガガゴゴォッッ……ズズズズズズゴゴゴゴアアアアアアンッ……

 

 

 

 その上空ではガンダムヘビーアームズ改が放った多数のミサイルが、夜空より降下するシルヴァ・ビルゴの機体群を次々と着弾・撃破させていく。

 

 その弾頭は1機、1機に着弾して確実に個々を爆砕させるに至っていた。

 

「まずはミサイル射撃でこれらの降下部隊を殲滅させる……!!!」

 

 トロワは降下しながらあらかじめ着地ポイント付近のシルヴァ・ビルゴの機体群に狙いを定め、着地ポイントより進撃する機体群に狙いを定めた。

 

 既に多数の機体を同時ロック・オンして、シルヴァ・ビルゴ達を妨げるような形で着地する。

 

「全てを殲滅させる……!!!」

 

 ダブルビームガトリング、アームバスターカノン、バスターガトリングキャノン、ブレストガトリングをスタンバイさせ、持ち上げた重火器を一気に開放する。

 

 

 

 ヴァヴルゥララララララララダダダダダダダダダダダダダッダダダダダヴドゥドゥヴルゥルルルルルルルルルルルルルゥゥゥゥゥゥゥ!!! 

 

 ドォズヴァアアアアアアアアアッッ、ドォズヴァアアア、ドォズヴァアアアアアッッ、ドォズヴァアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 ディディディディギャラララララッララララララアアアアアァァ……ドォズギャアアアアアアッッ、ドォズオオオオオオオッッッ、グバガアアアアアアアアアアッッ、ゴドォバアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 ディディギャバララルルルルルディディディガガガガガアアアアンッッッ……!!!!

 

 

 

 シルヴァ・ビルゴ達は砕き散らされ、高出力ビーム渦流に吹き飛ばされ、文字通りに殲滅させられていく。

 

 その前面軸線上の敵機群は、射撃地点から微動だにせず重火力射撃をぶっ放すガンダムヘビーアームズ改の猛攻に次々に撃破され朽ちていく。

 

 倒れた1機のシルヴァ・ビルゴは小刻みに痙攣するような動きでスパークを連続させる。

 

 ガンダムヘビーアームズ改はガトリング系の武装の射撃を持続させながら、アームバスターカノンのエネルギーをチャージし始めた。

 

 

 

 ヴォヴルゥヴヴヴヴァダダダダダダッダダダダッダダッダダダダダダララララアアアアアアアアアアアアアアアァァ……

 

 ヴィリュリリリリリリリリリリリリリリィィ…………ヴォヴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 

 

 左側と中央軸線のターゲットを砕き散らせながら、ガンダムヘビーアームズ改はアームバスターカノンのチャージエネルギーを開放させた。

 

 一直線に突き進むビーム渦流がシルヴァ・ビルゴというシルヴァ・ビルゴを吞み込んで破砕流となる。

 

 攻撃ポイントを移動したガンダムヘビーアームズ改は、次のターゲット群に向け、低空ホバリングしながら持てる全火力を撃ち放つ。

 

 

 ヴァダダダララララルルルルルルルルダダダダヴァララララララアアアアアァァ……

 

 ヴィギュダアアアアアアア!!! ヴィギュダアアアッ、ヴィギュダアアアア、ヴィギュダアアアア、ヴィギュダアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 

「日本の一件よりは機体数は少ない。MDを殲滅するだけなら何とかなる」

 

 淡々とトロワは攻撃をこなし続け、サンクキングダムに蔓延るMDを駆逐していく。

 

 その上空ではウィングガンダム・ゼロとΞガンダムが空戦を展開する。

 

 

 

 シュシュシュシュシュゴオオオオオオオオオォォォ……ディディディディディディディディディガガガガガガガッガガアガガガガガガアアアアアンッッ!!!

 

 グバアアアアッッ!!! ディッガアアンッ、ディガアアアアンッ!!! ズズズズドォオオオオオオ!!!

 

 

 

 Ξガンダムが放ったファンネルミサイルが、貫通弾のごとき攻撃でシルヴァ・ビルゴの装甲を抉り砕く。

 

 ファンネルミサイルは、マフティーの意思通りに飛び、次の獲物を求めるようにシルヴァ・ビルゴを撃墜させていく。

 

 

 

「MD……殺戮マシンめ!!!」

 

 

 

 シュシュシュシュシュゴオオオオオオオオオ……ディディディディディディディディディガガガガガガガッガガアガガガガガガアアアアアン、ズギャギャギャガガガゴオオオオオッッ!!!

 

 

 

 一度射出されたファンネルミサイルは終わることなく敵機を高速追従し、必ず抉り貫いてシルヴァ・ビルゴを仕留め続ける。

 

 だが、物体兵器故にその残骸は墜落していく。

 

「ちッ……場所が場所だ!!!」

 

 マフティーは仕留めた機体にビームバスターを撃ち込んで空中爆発させる。

 

 

 

 バズダアアアアアアアアッッ!!! バズダアアアアッッ、バズダアアアアッ、バズダアアアア、バズダアッッ、バズダアッッ、バズダアッ、バズダアアアアアアアアア!!!

 

 ディガアアアアアアンッッ!!! ドォズグウウウウッッ、ドォバオオオオオッ、ドォディギャアアアッ、ゴバガアアアッッ、ディゴバアアアアアアアアッッ、ドォドォゴオオオオオオオオンッッ!!!

 

 

 

「ならば、併用しながら撃破するまでだ!!!」

 

 マフティーは次からのターゲット選定から、ファンネルミサイルとビームバスターを連携併用しながら撃破に移った。

 

 ファンネルミサイルが抉り砕いた直後にビームバスターを撃ち込んで爆散させて見せる。

 

 

 

 ディディディッディディガガガガガガガッガアアアアンッッ!!!

 

 バズダアアアアアアアアッッ!!!

 

 デュギャオオオンッッ、ゴバガアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

「よし!!!この戦法なら残骸墜落は最小限に留めれる!!!」

 

 

 シュシュシュシュゴゴゴゴォッッ、ディガガガガガガガァオオンッッ!!! ディディディディディディギガガガォオオオオオンッッ!!!

 

 バスダァアアアアアッッ、バスダァッッ、バスダァ、バスダァ、バスダァアアアアア!!! バスダァアアアアア!!!

 

 

 シルヴァ・ビルゴが放つビームランチャーのビーム群を躱しながらΞガンダムはファンネルミサイルとビームバスターの連携射撃を浴びせ続けていった。

 

 そして、ウィングガンダム・ゼロが降下するシルヴァ・ビルゴ部隊を突き出し構えたツインバスターライフルで一掃する。

 

「敵……OZプライズMD部隊……排除開始っ……!!!」

 

 

 

 ヴゥゥッッ……ヴヴァオオオオオォアアアアアアアアアアアアオアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 ドォヴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォオオオオォォォォォオオオオォォ……ドォドォドォドォドォゴゴバアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 一撃の強烈なビーム渦流がはしり、幾多のシルヴァ・ビルゴ部隊を呑み込み込んで文字通りに一掃・消滅爆破させる。

 

 ヒイロは同じ上空で戦闘しているΞガンダムや街への被害を考慮し、同高度かそれ以上の高度に存在する降下中のシルヴァ・ビルゴ部隊に狙いを選定する。

 

 

 

 ヴドォヴァアアアアアアアアアアアアッッ!!! ヴドォアアアアアアアアアアアアッッ!!! ヴヴァアアアアアアアアアッッ!!! ヴヴァオアアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 ヴァヴォダアアアアアアアアアアアアアァァァッッ……ドォドォドォドォゴババアアアアアアア!!!

 

 ヴオオオオオオオオオオォォォォ……ゴゴドォドォゴバアアアアンッッ!!!

 

 ヴァズオオオオオオオオオオォォォォ……ドォドォドォゴゴバアアア!!!

 

 ヴギュオオアアアアアアアアァァァ……ゴバアアン、ゴバアアン、ドォゴゴゴゴバアアアンッッ!!!

 

 

 

 チャージをしない単発のツインバスターライフルのビーム渦流も一発につき、3~5機のシルヴァ・ビルゴを撃破していく。

 

 この間にもヒイロはゼロシステムの予測と向き合いながら敵機撃破に務めていく。

 

「最終的な狙いはサンクキングダム宮殿か……現段階で1機も降り立っていないのは意図的なものか……」

 

 更にゼロシステムはヒイロに情報を流し込み、その真意を示す。

 

「……ロームフェラ財団のデルマイユ・カタロニアの孫……ドロシーがこの国にいる……だと?!!それを考慮しての手加減も踏まえた、サンクキングダムに対する恫喝が目的か……」

 

 その間にも次々にシルヴァ・ビルゴが降下を仕掛けていく。

 

 ヒイロは現段階よりも上の高度に上昇しながらツインバスターライフルを二分させ、前面軸線上にいるシルヴァ・ビルゴに向かいチャージショットを見舞う。

 

 

 

 ヴィギュリリリリリリィィィ……ヴヴヴォヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ……ズガガゴバババアアンッッ、ディズゴゴゴン、ババババゴゴゴゴオオオオオオンッッ!!!!

 

 ヴァルダアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ……ズズドォドォドォゴババンッッ、ガガガズズズズウウウウンッ、ドォオッドォッドォゴゴゴババアアアンッッ!!!!

 

 

 

 二軸線のビーム渦流がその各射撃軸線上にいたシルヴァ・ビルゴを一気に呑み込んで破砕・駆逐させる。

 

 そして二挺のツインバスターライフルを更なる上空……衛星軌道上に向ける。

 

「ターゲット、MD輸送機……一定のポイントから降下させているようだな……」

 

 ヒイロは当初のカトルの指示通りに、衛星軌道上の輸送機を狙う行動に出る。

 

 ここを抑えれば後は地上に降り立った部隊を殲滅することに専念すればよい状況となる。

 

 チャージを開始し、衛星軌道上の輸送機をロック・オンする。

 

「……破壊する」

 

 

 

 ヴィギュリリリリリリィ……ヴァズウヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 

 撃ち放たれたツインバスターライフルの二軸線ビーム渦流が寸分の狂いなく衛星軌道上の輸送機に向かって突き進む。

 

 この時、降下部隊の輸送機内では緊急熱源アラートが鳴り響いていた。

 

「な、なんだ?!!」

 

「熱源アラート?!!一体何が……?!!」

 

 そして下方から一挙に二本のビーム渦流が迫り、一瞬にしてMD輸送機6隻を吹き飛ばしにかかった。

 

 

 

 ……ォォォォオオオオオオオヴルヴヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 

 

「わあああああああああああああ??!」

 

 

 

 ゴオオオオオオオオォォォォ……ドォドォグワアアアアッッ、ゴバガッ、ドォドォゴバアアアアアン!!!!

 

 

 

 ガンダム達の武力介入を目の当たりにしたドロシーは感銘に近い感覚をえるように自分の世界に入る。

 

「ああぁ……これがあのメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムの戦い!!!なんてすばらしいの??!サンクキングダムの近衛部隊を窮地に追いやったお爺様のMD部隊を悉く撃破していくなんて……強いって素敵☆愛しちゃう☆」

 

 サンクキングダムの市街地各地でガンダムの戦闘音が響く中、ミリアルドはミスズと共に安全なポイントに移動していた。

 

「事前に警告文が送られてきたのが不幸中の幸いだった。市民の避難ができたのもそのおかげだ」

 

「ああ。だが奴らの『外部に情報を流したら相応の処置を慣行する』という脅迫がなければ、当に彼らに援護要請をしていた……」

 

「結果的には来てくれた。ヒイロ・ユイ達がな……ッ、そういえばライトは無事なのか??!」

 

 ミリアルドは自ら口にした「ヒイロ・ユイ」というワードから、ライトを思い出し、通信を取ろうとする。

 

「ライト!!聞こえるか?!ライト!!」

 

 だが、ミリアルドの声にライトの反応はない。

 

「っく……返答が来ない……!!!」

 

「なんだと?!」

 

 その時のライトは搭乗機をビルの瓦礫に埋もれさせた状態で気絶していた。

 

 コックピット内にミスズの声が響く。

 

『ライト!!!応答しろ!!!ライト!!!ライト!!!』

 

 気絶したままの状態では当然のごとく返答が返るはずもなく、ミスズの通信音声だけが響いた。

 

 ライトの安否がわからない中、遂にミスズは張りつめていたものが弾け、心を折らせてしまう。

 

「私はっ……私は今回の戦いでっ、多くの部下を死なせてしまった……!!!ミリアルド……私はどうしたらいい??!」

 

「ミスズ……思い詰めなくていい。思い……詰めなくていい」

 

 ミリアルドは今こそ彼女に抱擁してあげたい気持ちになるが、MS越し故に言葉のみでしか慰めの方法はない。

 

 そんな中、別回線からトールギスに通信が入った。

 

「?!暗号回線?!!こんな時にどこからの通信だ?!!」

 

 誰かわからない回線に出た瞬間、ミリアルドは唖然となった。

 

「……お前は?!!」

 

「実に久しぶりだ。我が友人、ミリアルド」

 

「トレーズ……!!!」

 

 その通信者の正体は、現在ロームフェラ財団ルクセンブルク本部に幽閉されているトレーズ・クシュリナーダその人であった。

 

「幽閉されている場所が場所でね……財団側のサンクキングダム侵攻の報を聞いて私も憂いでいた。無事であることを有難く思う」

 

 トレーズのその言葉にミリアルドは今の状況上堪に触れる寸前に捉える。

 

「無事なものか……多くの部下が……戦死したのだっ……!!!」

 

「ミリアルド……あとでその彼らの名を教えてくれ……」

 

「何?!」

 

「私は、0095年にOZが表舞台に立った以降の争乱で戦死した犠牲者達の名を記録している……後世の世にその哀悼と尊さを伝えるためにな」

 

「トレーズ……」

 

「では本題に入ろう。単刀直入に言う。今からルクセンブルクに来たまえ。指定位置のデータを送る」

 

 それは余りにもの唐突過ぎる要求だった。

 

 スカンジナビア半島エリアからルクセンブルクまでもかなりの距離がある。

 

「トレーズ!!!急にそういわれてもこちらは簡単に動けん!!!そう……動けん……動くわけには、離れるわけにはいかんのだ!!!」

 

 ミリアルドは今は傷心のミスズの傍にいてやることが自身の懸命な行動と思っていた。

 

 故にトレーズの唐突な要求を呑むわけにはいかなかった。

 

「……言い方を変える。新しい力が欲しくないか?君のトールギスはいくら高性能機とはいえ、昨今のMDを大量に相手にした場合限界がある……恐らくは今回の一件でそれを感じたのではないかね?」

 

「っ……!!!」

 

 まさに図星であった。

 

 あのトールギスでも限界にきていることを痛感していた。

 

 現につい先ほどまで防戦一方に追い詰められていたことがミリアルドの脳裏を過り、痛感させる。

 

「君のトールギスは本当のプロトタイプ。近代改修が施されている私のⅢとは違う……」

 

「ああ……君の言うとおりだ……だがそれを認めたくない私もいる!!!」

 

「長きにわたり機体に愛着があるが故にだ。悪いことではない。だが、現状は……現実はそうはいかない。だからこそこれを期に託したいのだ。エピオンを」

 

「エピオン?!!」

 

 聞き慣れないワードを耳にしたミリアルドは思わずに食いつく。

 

「そうだ。私がこの時代に必要なMSとして秘密裏に開発させていた……最終的には君に託すべきMSとしていた。サンクキングダムからルクセンブルクの往復に半日もかからない性能を有している」

 

「了解した……そちらに向かおう」

 

「待っているぞ。そして今回の一件の私が把握している情報も提供する。財団はまだ攻撃を持続させる。今回のサンクキングダムに限定して、定期的に降下させる流れを作っているらしい」

 

「何?!!終わりはないというのか?!!」

 

 その遥か上空ではウィングガンダム・ゼロが高高度狙撃を繰り返す。

 

「……定期的に降下させるように仕組んでいるか……だが、潰すだけだ!!!」

 

 ヒイロは半ば単純作業になりつつある攻撃に動じることなく攻撃を続ける。

 

 連続で続くツインバスターライフル精密長距離攻撃に悉くMD輸送機部隊は撃沈させられていく。

 

 しかし仮に長時間に渡りこれが続けば、さすがのヒイロも疲弊していくのは火を見るも明らかであった。

 

 地上でも着陸を許した大量のMDと他のガンダム達が戦い続ける。

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルはビームランチャーの総攻撃を受けながらもアクティブクロークで防御しつつも、デュオ的なユーモアを含みつつバスターシールド・アローを撃ち込んでの各個撃破に務める。

 

 放たれる死神のビームの矢が、頭部や胸部を中心に突き刺さっていく。

 

 

 

 ディシュウイイイッッ、ディシュイイイッ、ディシュイイッッ、ディシュイッッ、ディシュイイイイ!!!

 

 ズディガアアアアンッ、ディガギャンッ、ドォズオオオッッ、ジュガオオオオッッ、ドォズガアアアア!!!

 

 

 

「ゴキブリみたいだな、色からしてこいつら!!!はいはい!!!地獄行きのチケットもってきな!!!けどいい加減チケット配るの飽きたからそろそろ派手に動かさせてもらうぜ!!!」

 

 バスターシールド・アローの攻撃を取りやめ、次のビームの矢が生成されたタイミングでデュオはフルブーストをかける。

 

 背部のブースターとそれに増設されたブースター4基を最大出力にさせて、アクティブクロークを前面に閉じたまま突貫した。

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルはビームランチャーを弾きながら、正面衝突ギリギリのタイミングでアクティブクロークを開いてシルヴァ・ビルゴを吹っ飛ばす。

 

 そしてその刹那にアームド・ツインビームサイズの二連刃を振るい、斬撃の無双を展開した。

 

 

 

 ザシュガアアアアアアアアアッッ!!! ジュギャギイイイイイッッ!!! ズヴァギャアアアアアアアアァァ!!! ギャジュゴオオオオオオオッッ!!! ザガギャアアアアアアアンッッ!!! ザズダアアアアアアアアアンッッッ!!! ジュガアアアアアアッッ……

 

 

 

 「やっぱり俺と相棒はこうでなくちゃなああああ!!!」

 

 そのデュオの勢いとノリの薙ぎ払いが、3機のシルヴァ・ビルゴの上半身を斬り飛ばした。

 

 

 ヴァヴァドォッヴォルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルゥゥゥゥゥ……!!!

 

 ドゥバアアアアアアアアアッ!!! ドォヴァアアアアアアッ!!! ドォヴァアアアアアアアアア!!!

 

 

 

 ダブルビームガトリングとブレストガトリング、バスターガトリングキャノンのガトリング攻撃とアームバスターカノンの高出力ビーム渦流の前面ゴリ押し攻勢のスタイルを崩すことなくガンダムヘビーアームズ改は攻撃をし続ける。

 

「攻撃させる隙を与えず、強力な火力を叩き込み続ける……!!!」

 

 

 

 ヴァヴァドォヴォルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルゥゥゥゥ……

 

 ヴィリリリリリ……ヴォウヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!

 

 

 

 左側の射撃軸線上のシルヴァ・ビルゴの群れを砕き散らせながら、右側射撃軸線上のシルヴァ・ビルゴの群れをチャージされたアームバスターカノンのビーム渦流が一気に吹き飛ばした。

 

 

 

 ギュオオオオオオッッ……ディッッッガイイイイイイインッッ!!! ダッキィガアアアアアアアアアン、ダッキガアアアアアンッ!!! ディギャガアアアアアンッッ、ディギゴオオオオオンッッ、ザシュガアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 前進加速と共に、華麗な剣捌きでバスターショーテルの斬撃を見舞いながらガンダムサンドロック改は駆け抜ける。

 

「直ぐに戦いを終わらせられるとは思っていない!!!はあああああああ!!!」

 

 

 

 ディディッガイイイイインッッ!!! ザザギギャアアアアアアアアアアアッッ、ゴッッ……ダダッギガアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!

 

 

 

 ガンダムサンドロック改は駆け抜けながら出くわすシルヴァ・ビルゴにお得意技のクロススラッシュからの十字斬りを、叩き落すような唐竹斬撃を浴びせる。

 

 そしてバスターショーテルをクロスさせ、その刃でフルブーストアタックを仕掛けに行った。

 

 

 

 バズダアアアアアアッ!!! バズダアッ、バズダアッ、バズダアアアアアアッッ!!! バズダアアアアアアッッ、バズダアアアッッ、バズダアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 空中の降下部隊を壊滅させたΞガンダムは低空飛行しながら上空からのビームバスターの射撃を撃ち込み続ける。

 

 有利なポイントから幾多のシルヴァ・ビルゴを狙い撃ち、機体を上半身を爆砕させていく。

 

「後は地上のこいつらか!!!ファンネルミサイルは市街地では運用しづらい!!武器はこいつ一択か、チャンスがあればショルダービームバスターだ!!!」

 

 

 

 バスダアアアアアッッ、バスダアッ、バズダアッ、バズダアッ、バズダアッ、バスダアアアアアアア!!!

 

 

 

 低上空からの射撃で敵機を撃ち貫き続ける中、マフティーはまだガンダムヘビーアームズ改の攻撃が及んでいない部隊を視認した。

 

「あいつらならば……!!!」

 

 Ξガンダムは旋回飛行をしながら進軍するシルヴァ・ビルゴの部隊をある程度ビームバスターで攻撃しながらの面前に降り立つ。

 

 そしてビームバスターと共に両フロント肩アーマー部を持ち上げ、ショルダービームバスター発射体勢に入る。

 

「駆逐させてもらう!!!」

 

 

 ヴィリリリリリ……ヴィズダダヴァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 放たれたショルダービームバスターは二軸線上に中規模のビーム渦流をはしらせて、シルヴァ・ビルゴを一掃すると同時に装甲を抉り貫いて破砕させていった。

 

 ミリアルドは闘い続けるガンダム達に敬意を表しながらモニター上の上空を見つめて、決断をミスズに言った。

 

「すまない。私は今からルクセンブルクにいく……」

 

「話は聞いていた。まさかあのトレーズだったとはな……気にするな、行ってこい……戻らなかったら、コロス」

 

「ふッ、穏やかな文言じゃないな……すまない、後はヒイロ達と協力してくれ!!!」

 

「……了解した」

 

 ミリアルドはトールギスを上昇させ、最大出力でルクセンブルクへと飛んだ。

 

「ぐううッッ……この加速Gは、久しぶりだッッ……!!!トールギスよ、最後の任務だ!!!お前の力の限り飛べ!!!」

 

 

 

 

 グリニッジ標準時刻を同じとする頃、地球圏に大きな歴史のうねりが起き始めていた。

 

 デルマイユ公の進言で発射を許可されたバルジⅡが遂にそのバルジ砲を地球に向けて撃ち放ったのだ。

 

 

 

 

 ギュグヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ

ォォォォォ…………ダガゴオオオオオオオオオオオッッッッ……ズズズズズグバゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 

 

 そのコロニーレーザー級の超巨大ビーム渦流が地上に着弾し、コロニー落としに引けを取らない、もしくはそれ以上のレベルの甚大かつ超大規模な被害を与える。

 

 当初は正確に撃ち込める保証がないとされていたが、その狙いは中華覇権派OZプライズの抗争エリアに見事に直撃させており、敵味方関係なく中華エリア各地で戦闘していたOZプライズと中華覇権派OZプライズ両陣営を巻き込んで消滅させていた。

 

 それと奇しくも同じようなことがL5でも巻き起こる。

 

 セディッチがリーブラをL5コロニー群エリアに向かわせる最中、急遽停止命令を下して移動を停止させていた。

 

「リーブラ砲、チャージ完了まで後、10……9……8……7……6……5……4……3……2……1……エネルギー充填率、100%に到達しました!!!」

 

「チャージまで140分とは……なんて代物だ……まぁいい!!!」

 

「セディッチ特佐……いえ、ミスター・セディッチ。『月は輝き続けた』来ました!!!」

 

 意味深な言葉を聞いたセディッチは頷きながらリーブラ砲発射を命じた。

 

「リーブラ砲、発射せよ!!!」

 

「目標、L5コロニー群エリア・X-37564コロニー!!!リーブラ砲、発射!!!」

 

 

 

 

 ギュヴウィウィウィ………ヴィギゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!!

 

 

 

 撃ち放たれたその巨光は、一直線にL5コロニー群・X-37564コロニーを目指して突き進み、OZ、OZプライズ、中華覇権派OZプライズの三陣営が入り乱れての戦場を突き抜ける。

 

 

 

 ……ォォォォォオオオオオオオオォォォォォォギュヴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 ドォドォドォドォドォババオオオオ、ゴゴゴオオオオオン、グバババババグワッ、ドォドォドォドォズズズズズズズズズズゴゴゴゴゴゴオオオオオオッッ!!!!

 

 

 

 戦闘中の三陣営のMS・MD部隊や艦隊を巻き込みながらリーブラ砲の巨光はコロニーへと直撃し、その巨大な筒を抉り吹き飛ばすかのように砕き散らせる。

 

 

 

 ズガドォヴァガガゴオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッッッッ!!!!

 

 

 

 本格的な戦略兵器としてバルジをも超えるスペックのリーブラ砲の威力は、ウィングガンダム・ゼロ暴走時のツインバスターライフルの被害を遥かに上回っていた。

 

 この戦場でそれを目撃することとなったディセットも脅威を覚えてならなかった。

 

「何だ?!!この巨光は?!!バルジのモノではない!!!ならばリーブラ砲……!!!だが……だが……だがッ!!!味方を巻き添えにしているではないか!!!誰だこんな指示をしたのはああああ?!!」

 

 ロッシェもまたその光景を目の当たりにし、脅威を覚える。

 

「なんだ?!!なにが……起こっている??!」

 

 だがこの光景を前にしてもガンダムヴァサーゴのシャギアは薄ら笑っていた。

 

「『彼ら』が動いた……か。これもまたブルーメンツの利益のためのシナリオか……」

 

 そして事態はそれだけに留まらず、MD月面基地全域においてクーデターが発生していたのだ。

 

 この工場にいたツバロフやドクターペルゲもその引き起こされたクーデターに乗じて既に殺害されており、瞳孔が開いたままの二人の躯が虚しく床に転がっていた。

 

 月面基地関係者のほとんどがクーデター実行員であり、OZが買収したアナハイムの工場でも同じクーデターが引き起っていた。

 

 それを指揮していたのはセディッチではなく、眼鏡をかけた白髪の初老の男だった。

 

「ミスター・カーンズ!!ミスター・セディッチより入電!!『てんびん座の光が成った』です!!!」

 

 カーンズという男は眼鏡をくいっと調整すると、彼らのクーデター軍すべてに通信を繋げた。

 

「同志諸君!!!この日までよく耐え抜いた!!!我々、宇宙革命闘士・ホワイトファングはこれよりアルテミス・レボリューションを発動する!!!」

 

 カーンズの指揮でホワイトファングによる一斉蜂起作戦・アルテミス・レボリューションが発動する。

 

 彼らの一斉蜂起以外にも現在宇宙で稼働中のMDのプログラムを乗っ取ることにも目的があった。

 

 リーブラには稼働中のMD全ての統制を取ることができる機関が在り、一瞬にしてハッキングした指定MDのあらゆるデータが統合されていく。

 

 厳密にその指定MDはシルヴァ・ビルゴ、サジタリウスβ、開発段階のシルヴァ・ビルゴⅡに絞って選定されており、各宙域で展開していたその種類のMD達は一斉にOZやOZプライズに対して攻撃を開始した。

 

 つい数秒前まで友軍機だったシルヴァ・ビルゴとサジタリウスβの二機種がビームランチャーとビームカノンを乱発し、プライズリーオーやプライズジェスタ、リゼル・トーラス、サジタリウスαに対して攻撃を仕掛け始めたのだ。

 

 有人機は何が起こったのか理解する猶予など与えられる余地などなく、殆どのパイロット達はパニックに陥ったまま一方的に駆逐される。

 

 MDに関しては味方認識故に何の抵抗もなくただ無機質に破壊され続けていった。

 

 無論、それはサンクキングダム攻撃任務で輸送中のシルヴァ・ビルゴも例外ではなく次々に輸送機を内部から破壊し始める。

 

「MDが勝手に起動しているだと?!!どうなってやがるんだ……ぐあああああああ?!!」

 

 輸送機内部からビームランチャーを放ちまくって内部破砕させるとシルヴァ・ビルゴ達が一斉に展開し始めた。

 

 しかしながらその部隊は大気圏に突入することなく宇宙へと飛び立っていく。

 

「……ホワイトファング……また新たな勢力か……」

 

 ヒイロは既にこの状況をゼロシステムにより認識しており、サンクキングダムに残った残りのシルヴァ・ビルゴの殲滅に専念した。

 

 降下したウィングガンダム・ゼロは二挺持ちのまま急降下し、市街地を滑空する。

 

 そして上空より低出力単発のツインバスターライフルの高出力ビームを交互に撃ち放ってシルヴァ・ビルゴ達を仕留め始める。

 

 低出力とはいえ、ビームマグナムクラスの攻撃力を誇り、敵機の装甲を簡単に吹き飛ばす。

 

 

 

 ダシュアアアアアアアアンッ、ダシュアアアアアアアアンッッ!!! ダシュアアアアアアアアンッ、ダシュアアアアアアアアンッ、ダシュアアアアンッ、ダシュアアアアアアアアンッ、ダシュアアアアアアアアンッ、ダシュアアアアアアアアンッ、ダシュアアアアアアアアンッ、ダシュドォオオオオオオオオオオッッ!!!

 

 

 

 ヒイロは連続で長距離精密射撃を行っていたが、疲労の色を見せることなくMD撃破に集中する。

 

 飛び交うビームランチャーもゼロシステムで完全に読み通し、容易く回避してツインバスターライフルを叩き込む。

 

 そんな中、気絶していたライトが意識を取り戻していた。

 

 ライトははっとなり、コントロールグリップを握る。

 

「俺としてことが……気絶していたとは……!!!く!!!」

 

 ライト機のリゼル・トーラスはなんとか瓦礫を押しのけ、自機を直立させる。

 

 だが、運悪くそこは大通りのT字路ポイントであり、前方にはシルヴァ・ビルゴの部隊が固まっていた。

 

「な?!!くそ!!!」

 

 ビームキャノンを浴びせようとするが、エネルギー切れで攻撃に叶わない。

 

 既にこちらに気づいた機体もいた。

 

 ライトは今度こそ絶体絶命かと思ったその時、そのシルヴァ・ビルゴにビームが降り注いだ。

 

 

 

 ディシュウウウウウウウウウッッッ……ヴァゴバアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 シルヴァ・ビルゴが一瞬で砕け散る。上空を見たライトの視線にはウィングガンダム・ゼロの姿があった。

 

 ウィングガンダム・ゼロは同じように低出力のツインバスターライフルをレフトアーム側の一挺のみで撃ち砕いていく。

 

 

 

 ディシュウウウウウウウウウッ!!! ディシュウウウウウウウウウッ!!! ディシュウウウウウウウウウッ!!!

 

 ゴバオオオオオッッ、グバガアアアアアアアッッ、ゴバズガアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 そしてウィングガンダム・ゼロはライトアーム側のツインバスターライフルをチャージし、絶妙な出力の所でエネルギーを開放する。

 

 

 

 ヴィリリリッヴィギュダアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァアアアアアァァァァ―――ドォドォドォドォズズズズズズズズズズゴゴゴゴゴゴバババババッバババババオオオオオオッッ!!!!

 

 

 

 その放たれた高出力小規模のビーム渦流は扇状に手前から向こうへ射撃線軸を拡げ、大通り上のシルヴァ・ビルゴを一斉に駆逐破砕させた。

 

 絶大なるガンダムの力を目の当たりにしたライトはウィングガンダム・ゼロのその雄々しい姿を見上げ続けた。

 

「これが……ガンダムの力……ッ!!!」

 

 対するヒイロもまたゼロシステムにより、彼の情報が流れ込んできていた。

 

「このリゼル・トーラスに……俺の瓜二つが……だと……」

 

 見上げる者と見下ろす者……二人と2機はホバリングと立ち尽くしを解くことなく固まり続けた。

 

 そして、サンクキングダムを揺るがした侵攻はそれから間もなくして終息を迎えた。

 

 

 

 その後、ネェル・アーガマも到着し、戦闘を終えたガンダム達もまた市街地とサンクキングダム宮殿の間に降下・着陸、招集する。

 

 一応の戦闘終結が成り、ライトの無事も確認したミスズは戦闘終結の報をリリーナに伝えた。

 

「リリーナ様、戦闘は終息いたしました……しかし、今回の戦闘で多くの近衛兵達が犠牲になりました……!!!」

 

「そう……なの……ですね……ッ、ライトやお兄様は無事なんですか?!!」

 

「はい!!無事です!!!お兄様は今回の一件でトレーズ・クシュリナーダとの密会に向かわれました!!」

 

「トレーズ……?!」

 

「はい……今後の国防の為の密会です。そして一足早いメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムの介入行動があった為、戦闘は早期に終息させることができたんです。ですが念のため今しばらくサンクキングダム宮殿地下シェルターにてお待ちください」

 

 その報を受け取ったリリーナは国を代表して礼を述べた。

 

「彼らが……!!?わかりました。今から私からも通信を致します……」

 

「リリーナ様自ら?!了解しました!!」

 

 リリーナは国を代表しての立場からメテオ・ブレイクス・ヘルに対しての礼を述べ始める。

 

『メテオ・ブレイクス・ヘルのみなさん。今晩は。私は現サンクキングダム女王、リリーナ・ピースクラフトでございます。この度はロームフェラ財団の侵攻から国防協力して下さり、深く感謝申し上げます。以前からも私はあなた方のことは聞いておりました。もしよろしければ今後とも、我が国の国防にご協力をお願いを申し上げたいと思っております……』

 

 その通信はネェル・アーガマはもちろん、ヒイロ達やネェル・アーガマのMSドックにて待機していたマリーダ達にも流れていた。

 

 その通信に応えるべくケネスもその通信に応じる。

 

「こちら、ネェル・アーガマ艦長を務めている、メテオ・ブレイクス・ヘルのケネス・スレッグというものです。我々はサンクキングダムが今の時代に必要不可欠な国と感じ、我々が有する力がサンクキングダムの国防と抑止力に力添えさせていただくことができればと思いこの地まで赴いてまいりました。リリーナ女王陛下がそう望まれていらっしゃるならば我々喜んでご協力いたします!!」

 

 ケネスがそう述べると、リリーナは改めて安堵した表情で礼を改めた。

 

『よかった……改めてお礼申し上げます。完全平和主義を抱える国がこんなことを求めてしまうのが矛盾しているのも承知です。今は完全平和主義に向かうには遠回りするしかない時代ですから……』

 

 リリーナがメテオ・ブレイクス・ヘルを正式に迎え入れる形で事態は一応の終幕を迎えた。

 

 その一方では侵攻による戦闘の終結……当初はあり得なかったことが目の前で起こったドロシーは更に感激して自分の世界に入いり続けていた。

 

「戦闘を終結させた……信じられない!!!益々気似っちゃった☆きっとパイロットはイケメンに違いないんだわ!!!」

 

 

 

 

 ・・・

 

 

 

 サンクキングダムを発ってから数時間……ゼクス駆るトールギスは、ロームフェラ財団・ルクセンブルク本部に到達した。

 

 だがそれに至るまでのルクセンブルク基地防衛ラインのシルヴァ・ビルゴ部隊の迎撃により、トールギスは墜落していた。

 

 辛うじて地底ポイント付近に墜落した様子だが、左側のハイパーブースターが破壊された様子が窺える。

 

 そして遂にミリアルドとトレーズは相対し、トレーズはエピオンをミリアルドに見せる。

 

 ガンダムエピオンを見上げるミリアルドに、トレーズは専用のメットインターフェイスを託す。

 

「このガンダムに乗って勝利者になってはならない」

 

 ミリアルドはガンダムエピオンのコックピットに身を投じ、機体を起動させる。

 

「ふっ……相変わらず意味が分からんな」

 

 メットインターフェイス内に映像やデータテロップが並ぶ。

 

「私がこの空間とエピオンのコックピットで導き出した故の言葉だ……その意味はいずれエピオンが示すだろう。そのガンダムは行く末を示してくれるガンダムでもあるのだ……」

 

「……行く末……まあいい……使わせてもらうぞ!!!」

 

 ガンダムエピオンの両眼が光り、ルクセンブルク基地の地下ゲートより舞い上がり、遂にその姿を世に見せた。

 

 ミリアルドが見るインターフェイスモニターに次々とターゲットがロック・オン状態となっていく。

 

 GNDエネルギーで熱を帯びたレフトアームのヒートロッドが、黒から金と銅の中間のような色にシフトした。

 

「さあ、エピオン……!!!私にその力を見せてくれ……!!!」

 

 ヒートロッドを振りかざしたガンダムエピオンは、ミリアルドの言葉に重い発行音を伴いながら眼を光らせる。

 

 

ウィングバインダーを展開させながらガンダムエピオンは基地で展開しているシルヴァ・ビルゴへと滑空して襲い掛かる。

 

 

 

 ギュウィイイイイイイイイイイイアァァ―――ッッッッッ!!!!

 

 ……ヴァズガアアアアアアアアッッッ!!! ズズガアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 ガンダムエピオンが超高速で駆け抜けた2機のシルヴァ・ビルゴの間では、刹那のタイミングでヒートロッドが振るわれており、シルヴァ・ビルゴを瞬時に切断・爆破させる。

 

 低空を超高速で飛びながら、ガンダムエピオンは立て続けにヒートロッドを振るい破壊していく。

 

 そのヒートロッドが振るわれる軌道は閃光に等しかった。

 

 

 

 ギュゥウィィィィィイイイイイイイイイイイアッッッ―――!!!!

 

 ズズグゴガアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 シュギュイイイイイイイイイィィィィィ―――ッッッッ!!!!

 

 ドォグガアアアアアアアアッッ!!! ゴバオオオオオオオオオオオッッ!!!

 

 ヒュギュウィイイイイイイイイッッッ―――!!!!

 

 ダギャガアアアアアアアッッ!!! ゴバギャラアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 ガンダムエピオンが駆け抜けた後には躯しかない。

 

「……これがエピオン……!!!凄まじい性能だ!!!トールギスを遥かに凌駕している……!!!」

 

 ミリアルドは機体を上昇させながら旋回飛行し、基地施設内のシルヴァ・ビルゴを把握していく。

 

 脳内に直接流れ入る膨大な情報の波も同時にやってくる。

 

 それは時として形容し難いイメージの画像を過らせてくるのだ。

 

「……?!!この感覚は??!………ふッ、トレーズめ……」

 

 この機体にはゼロシステムと酷似したシステムエピオンが搭載されていたのである。

 

 ミリアルドは若干翻弄されながらも、驚異的に感覚に対応していく。

 

 彼もまた、ヒイロと五飛同様のシステムの適正者だった。

 

 ガンダムエピオンはメインウェポンであるハイパービームソードの刀身を発動させ、再び滑空する。

 

 

 

 ギュウィイイイイイイイイイイイアッッッ―――ザジュガガガガガガギャアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 ズズズズズズグワガァアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 

 

 抜刀型斬り上げ軌道の斬撃で立て続けに6機のシルヴァ・ビルゴを屠ると、ガンダムエピオンは縦に上昇して再び上空から下降して1機のシルヴァ・ビルゴを真っ二つに破砕させる。

 

 

 

 ヒュゴアアアアァ……ギュイイイッッ、ザジュガアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 グワッゴバアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!

 

 

 

 その爆発から飛び出したガンダムエピオンは、片っ端からシルヴァ・ビルゴを斬り刻みはじめ、連続斬りの無双乱舞を開始した。

 

 

 

 ザジュガアアアアアアアッッッ、ディギャガアアアアアアッッ、ザヴァギャアアアアアッッ、ジュゴオオオオオオッッ、ディッギャガアアアアアッッ、ザヴァシュウウウウッッ、ジュザギャアアアアアッッ、ジュギイイイイイイイッッ、ザガジュウウウウッッ、ガギギャアアアアアアアッッ、ジュズオオオォォッッッ、ザズヴァアアアアアンッッ、ジュギャオオオォォォォオッッ、デュギイイイイイイイッッ……!!!!

 

 

 

 左右上下の薙ぎ、斬り上げ、唐竹、時に突きを繰り出してのハイパービームソードの斬撃の乱舞は攻撃の間すら与えず、シルヴァ・ビルゴを壊滅に追い込んでいく。

 

 駆け抜けたガンダムエピオンの機体を止めたミリアルドは、ハイパービームソードの出力を最大に設定させ、その刀身を巨大化すると共に強烈な威力を誇る唐竹斬撃の一撃を見舞った。

 

「これで終わりだ……!!!!」

 

 

 

 ヒュウウウウウウウィイイイインッ……ヴィギュアアアアアアアアアアアァァァ……!!!!

 

 

 

「覇ぁああああああああああ!!!!」

 

 

 

 ギュヒュアアァッッ―――ディギジュゴガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!

 

 ディギャアアアアアアアアンッッ……グッガアアアアアア……ゴバガアアアアアアアンッッ、ヴァズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 

 

 基地の地表諸共シルヴァ・ビルゴの部隊をバースト・ハイパービームソードの一撃で叩き斬る。

 

 いや、最早斬るというではなく消滅させているに等しかった。

 

 その強大なる出力の影響で斬り砕かれた地表にもエネルギーが暴れまわり、幾度かの爆発を起こし手最終的に地表面ごとシルヴァ・ビルゴを全滅させた。

 

 ルクセンブルク基地はガンダムエピオンによってわずかな間で壊滅した。

 

 燃え盛る炎に照らされ、ガンダムエピオンの目が輝く。

 

 ミリアルドもその炎を見続けていた。

 

「……」

 

 

 

 

 ・・・

 

 

 

 

 戦闘が終わり、サンクキングダム側が受け入れてくれる状況となり、リリーナは歓迎とクリスマスの季節も兼ねて料理を振舞わせていた。

 

 無論、戦死者も出ているが為にどこか厳かな雰囲気でもあった。

 

 デュオやトロワ、カトル、マフティー達が皆で室内で一時を過ごす中、私服に着替えたヒイロとマリーダは聖夜の星々をベンチで座りながら見つめ続ける。

 

 その場所こそ先程までドロシーがいた公園であり、サンクキングダム宮殿の向かいであった。

 

 自ずと二人は無言のまま寄り添い合う。

 

 ライトとリリーナもこの時、暖炉があるリリーナの部屋で二人で時間を過ごしていた。

 

 どちらの二人も相思相愛ならば無言の空気ですら居心地がよかった。

 

 むしろサイレント・ナイトにもなっており、まさに聖夜にふさわしい雰囲気だった。

 

 すると、月明かりに照らされた街の夜景に視点をずらしながらマリーダは呟いた。

 

「ついさっきまであそこで戦闘が繰り広げられていたんだな……」

 

「あぁ。既に明日から復旧支援で俺達が動く。MSは元々作業用のマシンだ。かなり復旧の手助けができる」

 

「なら、私も参加させてもらう」

 

「マリーダも好きにすればいい……」

 

 そう言いながらヒイロは体勢を変え、一言も告げずにマリーダに膝枕をしてもらう体勢になった。

 

「ちょッ……ヒイロ……!!もう……甘えん坊か!!」

 

「……長時間長距離狙撃して疲れた」

 

 その一言に唖然を食らいながらもすぐに小さな笑いがこみ上げたマリーダは、ヒイロの頭を撫でると聖夜かつ静夜の星空を見上げた。

 

「……くすっ、お疲れ様っ」

 

「マリーダ……」

 

 ヒイロの頭を抱え込むような仕草で、マリーダはヒイロに覗き込むように答える。

 

「んー?」

 

「メリークリスマス……」

 

「あぁ、メリークリスマス……!!」

 

 サンクキングダムの心地いい冬の寒さの中、ヒイロとマリーダは二人の時間を過ごし続け、未だに地球圏の戦いは加速する一方であるが、今の時間だけは……と二人は時間を噛み締めていた……。

 

 

 

 コロニー側にホワイトファングという新たな勢力が現れた。

 

 それにより地球圏の対立の図式はOZプライズ対OZ対ホワイトファングという図式になり、時の歴史に更なる激震をもたらす。

 

 宇宙要塞バルジⅡ・バルジⅢ、そして超巨大宇宙戦艦リーブラという戦略兵器が同時に三つ同時に存在するという状況になっていた。

 

 サンクキングダムを取り巻く影響は正か負かがどちらに触れるか見当がつかない状況にあった。

 

 宇宙世紀0097末……地球圏はまた新たな局面を迎えていた。

 

 

 

 

 

 

 To Be Next Third Operation

 

 

 





 クリスマスまでに間に合いませんでしたが、本日掲載致しました!!!

 今回の戦いはエンドレスワルツのブリュッセル戦(を勝つバージョンにして)をオマージュしました。

 コロナにかかり、その休みを逆手にとり、クリスマスギリギリまで書いてましたが、日が過ぎて燃え尽きとの闘いに突入……

 そして本日、やっとセカンド・オペレーションの話が終わりました!!!

 長年散々お待たせさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。


 今後も、サード・オペレーション(原作サンクキングダム攻防篇~イブウォー篇相当)執筆していきますのでよろしくお願いいたします!

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