新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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エピソード51「内乱の攻防戦」

 

 

 

 アルトロンガンダムとガンダムヴァサーゴの相対は、五飛にとってまた一つの因縁の敵であった。

 

 決闘として敗北したトレーズの存在も去ることながら、ガンダムヴァサーゴのシャギアに関しては、一方的に痛め付けられ鹵獲までされたに至った。

 

 ある意味、トレーズ以上の敵である。

 

「覇ぁあああああ!!!」

 

 五飛の気迫と共に、アルトロンガンダムはツインビームトライデントを片手で振り回しながら、ガンダムヴァサーゴへと加速する。

 

 対するガンダムヴァサーゴは、背部の悪魔的ウィングバインダーを展開させながら同じくビームソードを発動させて加速した。

 

 

 

 フォッフォッフォフォフォッッッ……ギャジュギィイイイイ!!!

 

 

 

 回転をかけたツインビームトライデントの薙ぎと、繰り出されたビームソードの刺突が刹那にスパークしながら光を唸らせた。

 

 すれ違う両者は反転し合い、舞い戻るように互いの獲物を激突しながら拮抗し合わせる。

 

 

 

 ギャギイイイイイイイッッ!!!

 

 ギガジュゴォォォ……!!!

 

 

 

「忘れもしない!!!俺と哪吒に晒したあの屈辱ッ、今ここで存分に返してやる!!!」

 

「ふッ……!!!あの日一方的にこちらから痛めつけた龍がこうも私に牙をむくとは……面白いものだ!!!」

 

「ほざけ!!!」

 

 

 

 ギャディガアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 アルトロンガンダムのツインビームトライデントと、ガンダムヴァサーゴのビームソードとが捌き弾き合うと、両者の断続的なつばぜり合いの乱撃の流れに入った。

 

 

 

 ギャガアアンッッ、ディガンッッッ、ディギャギイッ、ジディイイイイイイイィィ……ギャギイイイイッッ、ディギャズッッ、ディギャガアッ、ディギャギイィイイイイィィ……ジュガィィイイイィィィッッ……ギャジィイイッッ、ザジュガアアアッ、ギャオオオンッ、ジュガオオオオォォォォオオオオオォォォ……!!!

 

 

 

 スパークにスパークが継ぎ、時折ギリギリと拮抗させてはまた互いに斬撃をぶつけ合う。

 

 両者の斬り払いがぶつかったその刹那に、加速しながらその宙域より離脱する。

 

 流星のぶつかり合いのようにスパークを断続的に放ちながら宇宙を駆け抜け、僅かな差でガンダムヴァサーゴがアルトロンガンダムを追尾する。

 

 再び三度つばぜり合いをした直後、ガンダムヴァサーゴは一瞬の隙の中でストライクシューターを装備したレフトアーム側のストライククローを見舞う。

 

 

 

 ディガギイイイイイインッッ!!!

 

 

 

 アルトロンガンダムの胸部にそれが直撃するも、堪え止まって同じくレフトアーム側のツインドラゴンハングを繰り出してガンダムヴァサーゴの胸部にその牙を直撃させた。

 

 

 

 ディギャゴオオオオオオッッ!!!

 

 

「くッ……!!!想像以上にパワーがある……流石は君達、メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムと言ったところか……だが、私の愛馬とて、伊達に彼らの手塩が加えられているわけではない……!!!

 

 

 

 ダシュダアアアアア!!! ダシュダッッ、ダシュダッ、ダシュダ、ダシュダアアアアア!!!

 

 

 

 ガンダムヴァサーゴは、クロービームキャノンと合わせて、ストライクシューターの二対三門のビームキャノン……即ち六連ビームキャノンを連発させながらアルトロンガンダムへと浴びせる。

 

「ちいッッ……!!!」

 

 対し、アルトロンガンダムはレフトショルダーのシールドで全砲撃を防御し、テールビームキャノンで反撃をかける。

 

 

 

 ドゥバアアアアアッッ!!! ドゥバアアッッ、ドゥバアアッッ、ドゥバアアッ、ドゥバアアアアア!!!

 

 

 

 乱発する高出力ビームが直撃するが、ガンダムヴァサーゴもまたガンダニュウム合金製装甲のようで、破壊されることなく距離を置きにいく。

 

「少々侮っていたか……!!!」

 

 

 

 ガンダムヴァサーゴの禍々しいデザインの胸部ハッチが開き、腹部が上にスライドした。

 

 更に醜悪な悪魔の顔面の様相になった胸腹部が、スパークを時折帯びさせながらエネルギーをチャージさせると、トリプル・メガソニックキャノンを撃ち放つ 

 

 

 

 ジジジジュコォアァァ……ヴィグヴルゥヴァアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!

 

 

 

「ちぃっ!!!」

 

 超火力の三軸線のビーム渦流が解き放たれ、アルトロンガンダムを仕止めようと直進する。

 

 あろうことか、それは五飛の故郷のコロニーの外壁を掠めとり、コロニーの一部を吹き飛ばして破壊を拡大させた。

 

 内部では一般区画が爆砕され、甚大な被害が巻き起こる。

 

 これに五飛は激昂を制御できずに斬り掛かりにいく。

 

「き、貴様ぁああああああ!!!!」

 

 かっと見開いた眼光で五飛はガンダムヴァサーゴを睨み貫き、胸部を刺突せんと連続突きを浴びせようとした。

 

 連続する突きをガンダムヴァサーゴはビームソードで受け止め続ける。

 

「貴様のような悪魔は、今ここで突き砕く!!!覇ぁあああああアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

「くうぅぅぅぅぅッ……!!!」

 

 この状況の中、シャギアは咄嗟の機転でストライクシューターのビームキャノンを前方斜め側方から直接アルトロンガンダムへと浴びせた。

 

 

 

 ダシュダアアアアアッッ!!!

 

 ディダゴオオオオオオンッッ!!!

 

 

 

「ぐおあッッ……!!!」

 

 その直撃を受けたアルトロンガンダムの攻勢が止まり、ガンダムヴァサーゴはその隙に牽制射撃をしながら後退して態勢を立て直す。

 

「これ以上ここで戦闘を持続させたら厄介だな……ここまでやるとはな……む?!!」

 

 その時、被弾しても尚、アルトロンガンダムはその牙をガンダムヴァサーゴへと突き立て攻め入る。

 

「貴様のような奴に哪吒がやられっぱなしな訳ないだろう!!!」

 

 唸るツインビームトライデントの高速斬撃がガンダムヴァサーゴに再度迫る。

 

 断続的なつば競り合いを繰り返す中、両者の牙の激突に変わった。

 

 

 

 ガッッッディオオオオオオンッッ!!!

 

 

 

 レフトアーム側のツインドラゴンハングとストライクシューターを装備したストライククローがまた激突し合った。

 

 その瞬間に五飛は火炎放射器を牽制で使用する。

 

「何?!!」

 

 一瞬のシャギアの狼狽えの隙を突き、舞い上がるような軌道でガンダムヴァサーゴの頭上に加速した。

 

「でりゃあああああああああ!!!」

 

 一気にもう一方のツインビームトライデントの刃で突き刺そうとアルトロンガンダムは襲い掛かる。

 

 しかし、またしても間一髪でガンダムヴァサーゴのビームソードがそれを食い止めてしまった。

 

 だが、精神的な競り合いは確実に五飛が優勢にいた。

 

 突き立てられたツインビームトライデントとそれを防ぐビームソードが拮抗する。

 

「ぬううッ!!!」

 

「そう読んでいたッッ!!!」

 

 再びストライクシューターを向けるガンダムヴァサーゴに対し、アルトロンガンダムはテールビームキャノンを頭上より先手を取りながら射撃した。

 

 その攻撃で崩れた守りの型に、ツインビームトライデントの薙ぎとツインドラゴンハングの打撃を浴びせた。

 

 

 

 

 ザギダアアアアンッッ、ディッガギャアアアアアアン!!!

 

 

 

「ちいいッ……!!!」

 

 

 

 ダメージを与えられたガンダムヴァサーゴは、苦し紛れのようにトリプル・メガソニックキャノンを再び撃ち放つ。

 

 

 

 ヴァギュリュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 

 

 当然のことながら、アルトロンガンダムはそれを躱してみせる。

 

 だが、次の瞬間にはガンダムヴァサーゴは高速で宙域離脱を図っていた。

 

「貴様、逃げる気か!!!」

 

「こうもやられてはな……私の認識が甘かった……次はこうはいかん!!!本来の任務に行かせてもらおう!!!」

 

 撤退するガンダムヴァサーゴを体勢姿勢制御しながらアルトロンガンダムはその空間に止まった。

 

「トレーズにあのガンダム……俺とナタクには厄介な宿敵二つか……!!!面白い……俺は正々堂々と戦うまでだ」

 

 宇宙の海原に飛び込んでいくガンダムヴァサーゴをしばらく見つめた五飛は、瞳を閉じて瞑想に入っていった。

 

 

 

 地球圏において、OZ、OZプライズ、中華覇権派OZによる本格的な内戦の開戦がカウントダウンに入っていた。

 

 現時点で考えられる主な戦場は、地球でユーラシア大陸中華エリア全域、宇宙では中華覇権派OZプライズの拠点があるL5コロニー群エリアである。

 

 地球では、ロームフェラ財団及びOZプライズが現在進行させているMD降下作戦・オペレーション・ノヴァの強化が中華圏に行われ、最悪バルジⅡによる宇宙からの戦略的攻撃を行う計画でいた。 

 

 一方の宇宙ではOZ、OZプライズの両陣営がクラップ級巡洋艦や高速宇宙戦闘艦、MS輸送艦を編成した大艦隊を投入し、中華覇権派OZプライズの拠点があるL5コロニー群を目指している状況にあった。

 

 中国の各地のエリアで中華プライズリーオーや中華プライズジェスタ、中華プライズリゼル・トーラスが武装蜂起をし、正規のOZプライズ部隊と戦闘を繰り広げる。

 

 一斉蜂起したが故に、以前のオペレーション・プレアデスのように正規軍陣営は虚を突かれる形となって、そのほとんどが劣勢に立たされていた。

 

 だがその後、CPUをハイ・キルモードに設定運用されたMDシルヴァ・ビルゴやMDサジタリウスα、βの混合降下部隊がオペレーション・ノヴァの一環で次々と中華エリア各地に降下を開始。

 

 高出力のビームや中小規模のビーム渦流がが飛び交い、それらが戦場を統べり、プラネイト・ディフェンサーが展開させるフィールドに、中華覇権派のMS達のビーム射撃群が弾かれ消滅していく。

 

 更に、揚子江基地ではこの事態に緊急覇権されたアスクレプオスやヴァイエイト、メリクリウス、プロヴィデンスガンダムまでもが介入を開始する。

 

 中華プライズリーオーや中華プライズジェスタが攻撃をかける中を猛撃を仕掛けて攻め入る。

 

「日本の一件が終わったと思ったらこの事態だ!!!中華かぶれの裏切り者がぁああ!!!駆逐してくれる!!!」

 

 トラント駆るアスクレプオスは両腕のパイソンクローを駆使し、手当たり次第に中華覇権派のプライズジェスタや、リゼル・トーラスを次々と文字通りに駆逐していき、左右にいた中華プライズリーオーに突き刺して零距離でパイソンビームランチャーを撃ち放つ。

 

 その爆発を突き抜け、再びパイソンクローで数多の中華覇権派のMS勢を駆逐していった。

 

「せっかくまーたガンダム追い回せると思ったのによー!!!まー、真っ赤っかーな雑魚駆逐しまくれるからいいか!!!粛清、粛清!!!」

 

 ミュラーはヴァイエイトのレフトアームに装備されたレーザーガンを乱れ撃ちながら、十八番のビームカノンを撃ち放っていく。

 

 そして多重ロック・オンしたターゲット群に向け、背部のジェネレーター出力を最大にさせたチャージショットを撃ち放って正面軸線上のMS達を一掃させた。

 

「同じ色してんじゃねーよ!!!裏切り民族共め!!!おらおらおらおらああああ!!!」

 

 アレックスはメリクリウスの前後にプラネイトディフェンサーを発動させ、被弾を無効にさせながら中華覇権派のMS群に突っ込んでいく。

 

 両腕に装備されたクラッシュシールドのセンターからシールド・ビームキャノンを撃ち放ちながらある程度の機体群を撃ち砕いていくと、その部位の出力をビームサーベルモードに切り替える。

 

 そして斬撃の乱舞を見舞いながら、連続で斬り飛ばしては叩き切り、斬り飛ばしては叩き斬っていく。

 

「ふふふふ……こういう身の程を知らない雑魚を駆逐するのも一興だ」

 

 上空から見下すようにプロヴィデンスガンダムの中からアメンズが眼下の紅いMSの群れを見下ろす。

 

 下方から対空射撃をするそれらに対し、ユーディギム・ビームバスターを何発も撃ち込んで、文字通り天帝のごとく駆逐していき、それに合わせドラグーン・ファンネルを展開する。

 

「ふふッ、僕の名にちなんで雨を降らしてあげよう……なんちゃってね……」

 

 次の瞬間、展開した各ドラグーンから夥しいビームが高速かつ連続で乱れ撃たれ、正規軍や中華覇権派のMS諸共駆逐していった。

 

 その勢力のイニシアチブは早くも傾きつつあった。

 

 降下と共に、シルヴァ・ビルゴがビームランチャーを絶え間なく放ち続け、破砕の限りを押しきり、サジタリウスαがパーシスター・ビームライフルで正確無比にターゲットを狙撃・焼灼・爆破、サジタリウスβがビームカノンの圧倒的火力の砲撃で赤い反乱分子達を粉砕・駆逐させていく。

 

「我々民族が世界を統治するんだ!!!貴族かぶれに屈しはしないっ……がぇああああ!!!」

 

「ひいいい!!!」

 

「ふぉあああああああっ!!!!」

 

 中華覇権派の抵抗する者、怖気づいて逃亡を図る者、に二分していずれも撃破される者達が続出した。

 

 ロームフェラ財団本部の会議室では攻撃に向けての最終会議が開かれ、事の状況がモニターに映し出されていた。

 

 「現在、我が陣営は中華圏エリアにオペレーション・ノヴァを強化し、続々と各地にMD降下部隊が展開しています!!既に状況はこちら側にイニシアチブが傾きつつあるようです!!」

 

「この分ではバルジⅡの出番はなさそうだな?」

 

「MDだけで十分か」

 

「バルジⅡを衛星軌道上に持っていくだけでも莫大な手間と浪費をしているんだ……」

 

 財団の中からバルジⅡ介入不要論が出る中、デルマイユはそれを止める論を放つ。

 

「いいや!!!今回のような身の程知らずの反乱分子をこれ以上出さないためにも、今!!!今、抑止力としてバルジⅡを介入させるべきだ!!!」

 

「デルマイユ公……!!!」

 

「OZは過去、連邦と分裂したのを期に、分裂を繰り返している!!!財団としてはこれ以上のそのような事態は避けるべきだ!!!故に!!!強力な抑止力が必要なのだぁ!!!違うかね?!!更には新たに建造中のリーブラも完成が間近との報告が来ている!!!これらの力を持って今こそ我々の力を誇示し続けねばならない!!!」

 

 確かに財団の立場の視点ではデルマイユの言うことも一理あった。

 

 只でさえ、OZとOZプライズの二分内乱の渦中の中、更にOZプライズが二分しているのだ。

 

 由々しき事態に他ならない。

 

 財団直々の命により、衛星軌道上を目指していたバルジⅡは移動の途中の段階から砲撃体勢に移行していく。

 

 文字通り、宇宙空間から中国エリアを撃つ流れとなったのだ。

 

「ここでバルジ砲を撃つというのか?!!まだ衛星軌道上に達していないぞ!!!」

 

「財団直々の命令だそうだ!!!完全なる抑止力として知らしめたいらしい!!!」

 

「しかし……こんなのが地上に降り注いだらとんでもない被害が出るんだろうな……ま、俺達の知ったことじゃないがな」

 

 バルジⅡの内部があわただしく発射態勢に移行する一方で、OZプライズとOZの攻撃艦隊が中華覇権派のOZプライズの拠点を挟み込むような図式で向かう。

 

 それは即ち、三勢力入り乱れてのかつてない大規模なOZの内乱を意味していた。

 

 両勢力は、クラップ級巡洋艦と高速宇宙戦闘艦、輸送船の編成を成して刻々と接近する。

 

 そして更にOZの勢力の艦隊指揮を執るのはトレーズの側近であるディセットだった。

 

 (トレーズ閣下が幽閉されている昨今……トレーズ閣下が望まれるであろう行動をとる……OZの正規軍として、必要ない存在を叩く!!!)

 

 彼が率いる戦力の部隊の全てが、リーオー、ジェスタ、リゼル・トーラスといった有人機甲MSであり、それは当に本来のOZの本質の姿勢であった。

 

 迎え撃つ側である、宇宙のL5コロニー群エリア・X-37564コロニーに拠点を置く中華覇権派のOZプライズは、季煉を筆頭に向かい来るOZとOZプライズ艦隊に対して徹底抗戦の構えでいた。

 

 全て赤にカラーリングされたリゼル・トーラスやプライズリーオー、ジェスタといった混合部隊が展開していた。

 

 季煉が乗り込んでいるラー・カイラム級戦艦は・刃海を旗艦とし、クラップ級やサラミス級改の巡洋艦達が張り巡っている。

 

「やはりそう来るか……欧米かぶれのOZめ……我々には切り札が存在する。きっと駆逐してくれよう」

 

 OZとOZプライズが向かい来る情報を得る

中、展開する艦隊の光景を見ながら季煉は悠々とそう口こぼす。

 

 しかし既に彼の言う切り札は存在していなかった。

 

 五飛の故郷に出向いた部隊は、ガンダムC-フェネクスが撃破された情報を送る間も無く全滅していたのだ。

 

 そしてそれが示唆される情報が季煉に通達される。 

 

「醜特佐!!反抗勢力駆逐の為にA-0206コロニーに派遣されていた部隊との連絡が通じません!!」

 

「何?!!どういうことなのかね?!!」

 

「あのコロニーにはメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムが確認されており、その為にC-フェネクスを投入したはずですが……指揮にあたっていた部隊とも連絡が付かないのです!!!」

 

 ガンダムC-フェネクスありきを想定していた醜に戦慄が走る。

 

「何だと??!ま、まさか……??!」

 

「おそらくッ……ガンダムと交戦した為に……!!!」

 

「ばかなあああ!!?あれには我が勢力の象徴の役割があったのだぞ?!!それをここで失うなど……!!!こうなったらもう一つの切り札を用意しろ!!!」

 

「はッ!!」

 

 季煉は脂汗を流しながら、もう一つの切り札の投入に踏み切った。

 

 ガンダムとは別に、MAの切り札が彼らには存在していたのだ。

 

 季煉は手元の操作パネルを操作し、その切り札を表示させる。

 

 そこにはかつてシャアの反乱の少し前に引き起った「ペズンの反乱」※で投入されたゾディアックというMAと同型のMAが表示されていた。

 

「型は古いが、近代改修されている!!!これで一網打尽にしてくれよう……!!!」

 

 

 

 ※本二次小説では実際の作品放送・公開・掲載時期に基づいた時間設定。ただし、デラーズの反乱はそのまま0083年。

 

 

 更にその頃、デルマイユが口にした新たなOZプライズの宇宙巨大戦艦・リーブラが完成間近に迫っていた。

 

 建造を指揮するセディッチ特佐に現状の状況を確認する通信がデルマイユ直に入電する。

 

「セディッチ特佐!!リーブラは完成間近と聞いている!!現状はどうか?!!」

 

「これは……!!!デルマイユ公!!!は、はっ!!リーブラは完成の段階に入っており、後は起動テストと主砲テストを残すのみです!!」

 

「そうか!!ならば直ちにテストも兼ねてL5コロニー群エリアの中華覇権派共の一掃を命ずる!!!地上への砲撃はバルジⅡで行う!!!」

 

「はッ!!では、リーブラはテストも兼ねて、即実戦投入致します!!!」

 

 急な指令であるにもかかわらず、セディッチは淡々とその流れに事を移行させた。

 

「リーブラ……いよいよか!!!まずは起動と移動のテストを兼ねる……か!!!」

 

 セディッチはそうつぶやくと、腕に白い手拭いを巻く動作をすると、各員に命令を下す。

 

「これより、リーブラを起動する!!!運用テストと主砲実射テストも兼ねてL5を目指す!!!これは財団からの指示だ!!!」

 

 セディッチは指揮を下すと、不敵な笑みを浮かべながらその超巨大戦艦リーブラを建造宙域よりL5宙域へと向かわせる。

 

「もっとも……『今は』財団の指示だがな……!!!」

 

 リーブラは巨大な菱形の四つの内の二つが起動し、出力を上げてその船体を加速させていった。

 

 リーブラ発進を命じたロームフェラ財団……もといデルマイユは更に強行姿勢を示す。

 

「……昨今、北欧圏においても今後の我が財団に悪影響を及ぼしかねない存在がある……それはサンクキングダムだ!!!」

 

 そのワードを聞いた他の財団幹部達もざわめく。

 

「現在、近衛自衛団的なものを発足させているそうだが、その平和の象徴たると謳われる国家が厄介な希望と団結力を生み出しかねん。実際に亡命してきたトレーズ派を取り込んでいるとも噂されている。もっとも……ここには私の孫娘がいる故手荒な真似は避けたいが、警告は必要だ……オペレーション・ノヴァの一環として、威圧的侵略を決行を進言したいが……いかがかね?!!無論、我が孫娘には事を伝える上でだ」

 

 多少のざわつきが起こるものの、最終的には誰もが賛同の声を上げ、唯一かつてからサンクキングダムと親交のあったウエリッジ侯爵も同調圧力の前に屈してしまった。

 

「では……決まりですな。サンクキングダム侵略作戦、オペレーション・ノヴァの一環によるオペレーション・オリオンを実行に移す。発動時刻はグリニッジ標準時、21時とする!!!」

 

 かくして、大きい括りとしてのOZの大きな動きが地球圏に巻き起ころうとしていた。

 

 

 

 L5コロニー群エリアとL1コロニー群エリアの堺を越え、プル達は無事にムーンムーンの難民達をL5コロニー群エリアから脱出させることに成功していた。

 

 この先の航行が問題なしと判断したロッシェの部下達はプル一行に離脱を通達する。

 

「確かに我々はロッシェ特佐の命令に従い、貴方方を送り届けた。これよりロッシェ特佐との合流と共に本来の任務に移行する」

 

 この時、レディとノインは手の平を返すのではと一瞬過るが、それは杞憂に終わる。

 

「現在、我がOZプライズの艦隊が中華覇権派の拠点へと向かっているとのことだ。そこへ合流する。では失礼する」

 

 OZプライズも基本は騎士道に根差しており、紳士的に別れを告げてプル達のもとを後にしていった。

 

「いくらプライズとて人間……彼らのような人もいるということか……」

 

 レディがそうつぶやく一方で、ノインが難民受け入れ先のコロニーとの打電結果に安堵する。

 

「そうだな……コロニーからも難民受け入れ返答も来た。これでムーンムーンの民達の安全が確保された!!」

 

「あぁ!!我々はムーンムーンを受け入れてくれるコロニーに先導する!!もうすぐそこだ!!」

 

「あたしとプルツーはここで待ってるよ。後から来るアディン迎えなきゃ……」

 

「そうか……了解した。それではまた迎えに来る!!」

 

 難民船を先導しながらレディ達の高速宇宙戦闘艦がコロニーを目指していくのを見つめ、プルは一つの大事が終息したことに胸を撫で下ろした。

 

「はぁ~……一時はどうなるかと思ったぁ~」

 

 張り積めていた緊張がほぐれたプルに、妹であるプルツーが気遣いの言葉をかけたマニピュレーター接触通信をする。

 

「お疲れ!!プル姉!!無事に難民達を送りとどけれたし、一先ずは安心だな!!それで、少しは悪しき戦場の空気の感覚に慣れたか~?」

 

「う~ん……最初よりはね……受け流すというか、気を張り詰めるというか……」

 

「そっか!でも大したもんだよ、プル姉。短時間で適応しちゃうなんてさ」

 

「……多分、慣れたのはこのコの……ユニコーンガンダムのサイコフレームのおかげなんじゃないかなって……あたしは……そう感じた」

 

「そのガンダムのか……あながち間違いでもないかもな……サイコフレームが遮断してくれてたりしてな」

 

「確かに乗ってから楽になった感じしたよー……はぁ~……急に眠くなってきた……少し仮眠するね、プルツー。アディンやみんなが来たら起こしてね……」

 

「あぁ。プル姉は少し寝てな」

 

 プルはユニコーンガンダムのコックピットシートに背を預け、僅かな間に寝落ちしてしまった。

 

 プルツーはプルとの会話が静まったコックピットで、女王様座りの姿勢にして静寂の宇宙を見つめる。

 

「ふぅ……あの地球連邦軍がOZという組織に刷り変わり、そのOZが内部分裂か……いつの時代も変わらないな……本当に人類ってのは……」

 

 かつての第一次ネオジオン抗争の最終局面においても、ハマーン派とグレミー派に分裂した歴史がある。

 

 身を持って駆け抜けたその歴史を今のOZに重ねて振り返るプルツーは、その上で当時初めて相対したもう一人のプルを殺めてしまった記憶をどうしても過らせてしまう。

 

「……あの日のプル姉……今いるもう一人のプル姉……あたしは……本当に不思議な経験をしている。罪滅ぼしってわけじゃないけど、このラプラスの一件の最後まであたしは協力していくつもりだ……あ!!」

 

 自ら呟いた言葉からプルツーは、次のラプラス座標開示を思い出した。

 

「そーいえば、次はどこなんだっ……て……プル姉、もう寝た?!ふふっ、ま、起きてから聞けばいいかっ」

 

 そう言いながらプルツーは宇宙空間を見つめ続けた。

 

 

 

 

 

 プルは夢の中で、一人の少女と出会う。

 

「あなた、誰??あたしはエルピー・プル!!」

 

「プル……私は、リタ!!リタ・ベルナル!!お願い、私を助けに来て!!!」

 

「リタ?!!助けるって?!!」

 

「私は今ッ、とてつもない過ちに取り込まれてるのッ……ううッっ、苦しい!!!悲しい……怖い!!!お願いっ……プル……あなたなら、あなたら……できるからっ……きゃああああ!!!」

 

「リタ!!!」

 

 リタの背後にMA・パトゥーリアの影が映り、触手のようなモノによって彼女を羽交い締めにすると、それはそのまま中に取り込んでしまう。

 

「いやああああ!!!助けて、プル!!!ヨナ!!!ヨナァアアアア!!!」

 

「リタァアアアアアア!!!」

 

 その瞬間に彼女のうったえる悲痛な声の向こうから、ヨナと思われる青年が浮かび、プルに振り返る。

 

「この人がヨナ……??!」

 

 そして眼下に月面が拡がったかのように見えた直後、プルツーの声が聞こえてきた。

 

「……姉っ……ル姉……プル姉!!!」

 

 

 

 

「ふえ??……あれ??リタってコは……??ヨナっていうお兄さんは??ん~……プルツー??」

 

 聞こえてきたプルツーの声に目覚めたプルは、周囲を見回した。

 

 幻でも夢でもないモニター上のプルツーの姿がそこにあった。

 

「プル姉!!やっと起きたかぁ~……みんなが帰ってきたぞ!!ていうか誰だよ?その二人??寝ぼけてるな~」

 

「みんな??」

 

「キメテきてやったぜ、プル!!!中華プライズのクソ外道野郎達は全滅させてきた!!!」

 

「こっちも無事に送り届けた!!とりあえず状況は安心の域に来れたようだな」

 

「ムーンムーンのサラサ代表や、助けたユッタという少年も改めて感謝の気持ちを伝えて欲しいと言っていた」

 

 アディンやレディ、ノインの声がユニコーンガンダムのコックピットに聞こえてくる中、ようやくプルは先程のリタという少女との邂逅は夢だったことと認識した。

 

「そっか……そうだった……あたし、あの後すぐに寝ちゃってたんだ……みんなおかえり!!」

 

 プルはリタという少女とヨナという青年の存在に引っ掛かりを覚えつつも、満面の笑みでアディン達の帰投を迎えた。

 

 その後アディン達一向は再びピースミリオンに向かいながらの、暫しの小休止に入る。

 

 キュベレイMk-Ⅱのハンガーデッキでは、シェルドがプルツーにドリンクを差し入れしながら語らう光景が見られ、同様にユニコーンガンダムのハンガーデッキにおいてもアディンがプルにドリンクを差し出す光景があった。

 

「お疲れ、プル!!ドリンク持ってきたぜ!!」

 

「あ!!ありがと、アディン!!でも、アディンの方こそ疲れてるんじゃない?だって、たくさんの追っ手を相手にしてたんでしょ!?!」

 

「俺は大丈夫だっ!!スタミナは自信あるからな!!!プルだって精神的にも今回の件でかなり疲れたんだろ?暫くはラプラスに関する行動は休むか?」

 

 アディンもムーンムーンの一件でプルに過度な精神的負担が強いられていた事を知っていた。

 

 彼女を想ってが故に、いつまで続くかわからないラプラスの宝探しを一旦休む提案をする。

 

「アディン……確かにラプラスの件で期限なんてなさそうだけど……だけど……」

 

 カーディアス託された責任を感じているのか、プルはラプラスの箱を探す行動を休むアディンの提案に対して、拒み気味な感じを示した。

 

「プルの体だって一つしかないんだから、無理は禁物だぜ!!」

 

「体は一つか……」

 

 プルはそのワードからクローンである妹二人を過らせると、通じるかのようにプルツーがドリンクを飲みながらコックピットに覗き込んできた。

 

「そーだ。アディンの言う通り、無理は禁物だぞプル姉」

 

「プルツー!!」

 

「二人息合わせて人の名前呼ぶな!!ふふっ……別にいつまでにラプラスの箱をみつけなきゃどーかなるわけじゃないんだろ?もう暫く休んだらどーだ?」

 

 そう言うプルツーの隣には、何気にシェルドの姿もあり、彼もまたプルを気遣う一言を添えた。

 

「そうだよ。無理しちゃダメだよ。人もメカも休んだりケアしてあげなきゃ……」

 

 皆に揃って気遣ってもらったプルは、口元に笑みを示したため息をつく。

 

「はぁ……みんな、気遣ってくれてありがとう……わかった……あたし、しばらく休もっかな……じゃ、甘えさせてねアディン☆」

 

「え!?!ぷ、プル!!!」

 

 プルはそう言いながらアディンの腕にしがみついて甘えはじめだした。

 

「実の妹の目の前でイチャつくな!!!」

 

「僕達もイチャイチャしてみ……べらば!?!?」

 

 アディンとプルのやりとりを見ていたシェルドが、「自分達も……」とプルツーにもイチャつくのを提案するが、途端にツンデレビンタが飛ぶ。

 

「ふざけるな!!!ば、場所考えろ!!!馬鹿!!!」

 

「あはははっ……あ!!!せめて肝心のラプラスの座標だけでも確認しなきゃ!!」

 

 プルはアディンと腕組みしたまま、サイドタッチパネル操作で次のラプラスの座標を確認しようと操作する。

 

 モニターにいつもの次のラプラスの座標が表示される。

 

「次の場所って、月!?!ッ……(あれ?!!確かさっきの夢の最後あたりで月を見たような……??)」

 

「月って確か……OZプライズの連中が毎日のようにMDを造って地球に送り込みまくってる場所だぜ!!!めんどくせーコトに巻き込まれそうだが、そーなりゃジェミナス・グリープで返り討ちしてやんよ!!!」

 

「ん!?待て、表示がまだ続くぞ!!!」

 

 プルツーが更に座標が表示されていくのを確認する。

 

 これまでは一箇所のみの座標表示だったものが、月の座標を示したと同時に立て続けに線で線を結ぶように連続表示されていった。

 

「なんで座標が月になった途端に連続表示されてくんだ!??」

 

「そんなのわかんないけど……まるで、月に拡がる宝地図だね……」

 

「コレの順番に行けばラプラスに行き着くのか……!?!」

 

「あ、止まった!!」

 

 アディンやプル、プルツー、シェルドが座標停止を見たポイントは月の裏に到達していた。

 

 この表示の様子からして、只事ではない。

 

 その位置にこそラプラスの箱があると言わんばかりに示した点の座標図の航跡点は12箇所もあり、その最終到達点にはこれまでのラプラスの箱の旅の集大成を予感させていた。

 

 プルも先程の夢と重なり、このどこかに夢で出会ったリタという少女がいるかもしtれないという確信を抱きつつあった。

 

 

 

 翌日未明 L5コロニー群 X-37564コロニー

 

 

 

 先のオペレーション・プレアデス依頼の大規模な艦隊戦が勃発した。

 

 OZ、OZプライズ、中華覇権派OZプライズ、各三勢力のクラップ級巡洋艦、高速宇宙戦闘艦が同時に砲撃戦を開始。

 

 宇宙空間をメガ粒子のビームが飛び交い、戦端の火蓋が切って落とされた。

 

 ディセット率いるOZ正規軍勢力陣営からは、ドーバーバスターやビームバズーカをメインウェポン、ビームライフルをサブウェポンとした有人機のリーオーやジェスタ、リゼル・トーラスを主戦力とした部隊が展開する。

 

 対してOZプライズ陣営はシルヴァ・ビルゴとサジタリウスα、β部隊を、中華覇権派OZプライズ陣営はMDのリゼル・トーラス、シルヴァ・ビルゴ、プライズリーオー、プライズジェスタを主力としたMSとMDの混合部隊で戦闘を展開し、中華覇権派陣営のMDやMS達は宇宙をそのカラーリングで赤く染めていた。

 

 主砲のビームやスペース・スパローミサイルの弾頭が飛び交う宇宙の中、双方のMD部隊による機械的な一斉射撃が飛び交い、双方の陣営のMD達が確実な精度で撃破させる。

 

 対して有人機同士もぶつかり合い、プライズリーオーのドーバーバスターの射撃が中華プライズリーオーを破砕させ、そのプライズリーオーに中華プライズジェスタが連発で放ったメガビームランチャーが直撃、爆砕する。

 

 そこへハイスピードなビーム射撃でプライズリーオーが介入し、中華リゼル・トーラスを撃破して駆け抜け、更に中華プライズジェスタに突っ込みビームライフルとビームサーベルの斬撃を仕掛ける。

 

 両者はビームサーベルを刺し合い、相討ちになって爆発した。

 

 更に正規軍勢力が一丸の部隊となっての一斉射撃を行って介入する。

 

 リーオー部隊はドーバーバスター、ビームバズーカ、ドーバーガンをジェスタ部隊はビームライフル、メガビームランチャーを撃ち放つ。

 

 その射撃軸線は中華プライズ勢力に向けられ、OZという組織の内乱に次ぐ内乱が宇宙に爆発光の華を無数に咲かせた。

 

 この宇宙に拡がる戦場の光景を見ながら正規軍陣営でディセットが指揮する。

 

「全部隊は現時点ではプライズ勢力を無視してもかまわん。攻撃を仕掛けられ次第攻撃に移る形でいい!!あくまで今は民間にジェノサイドという外道所業を行う中華覇権派OZプライズを駆逐するのが先決である!!!あれはプライズ以上にOZであってOZではない!!!」

 

 ディセットいわく、OZプライズ陣営もまた正規軍との交戦は二の次と考えており、MDの戦闘プログラムも中華覇権派OZプライズに選定した攻撃を行っていた。

 

 (対立するプライズ陣営と共闘するような形になるとは……また皮肉なものだな。今はトレーズ閣下に代わり、地球圏を汚す膿を掃除させていただこう!!!)

 

 ディセットが視認するその戦場の海原を2機の高性能MSが駆け抜ける。

 

 トールギス・フリューゲルとガンダムヴァサーゴであった。

 

 躍動する特徴的なウィングバインダーを羽ばたかせながら宇宙を駆け抜け、ビームサーベルとバスターシューターを駆使させながら攻撃を仕掛ける。

 

「正規軍の陣営もあるが……今は汚らわしい赤い連中の粛清だ!!!」

 

 連続突きに薙ぎ、袈裟、逆袈裟の斬撃を繰り出し、遭遇する中華プライズのMSを次々に撃破する。

 

 その機動性にほとんどの射撃を寄せ付けず、ロッシェの腕による剣捌きや銃裁きが愚かな紅い機影達を次々にハンティングさせていく。

 

 更にそのもう一方ではガンダムヴァサーゴが介入し、ストライククローを伸ばしたビームソードの斬撃やレフトアーム側のストライククローと兼用させたストライクシューターを駆使して中華プライズのMSやMDを次々に駆逐させていく。

 

「この前のガンダムと比べれば、話にならない雑魚ばかりか……何が中華覇権だ……旧世紀の思想を今のOZプライズに持ち込むとは……笑わせる」

 

 非人道な紅い悪魔達に対し、本物の悪魔の名を冠したガンダムヴァサーゴによる猛攻撃が襲う。

 

 ストライククロー・ビームキャノンやストライクシューターの射撃や、それらの打撃攻撃を織り交ぜながら駆け抜け、一定数の敵機を駆逐すると密集的に交戦しているポイントに向けトリプル・メガソニックキャノンをスタンバイさせる。

 

「目には目を……悪魔には悪魔を……!!!」

 

 解き放たれた強力なトリプル・メガソニックキャノンのビーム渦流がはしり、次々に味方機諸共中華OZプライズ勢力の機体群を駆逐した。

 

 戦況はOZプライズとOZ正規軍による同時攻撃が中華OZプライズにぶつかり、早くも五分と五分の戦況が瓦解し始めていた。

 

 戦場は中華覇権派OZプライズの拠点のみならず、L5コロニー群の侵略したコロニー内外で起こっていた。

 

 OZ正規軍やプライズの別動隊のリーオー、ジェスタ、リゼル・トーラスが交戦し、幾多のビームと爆発光が断続する中、どの陣営にも属さない部隊が動いていた。

 

 彼らは共通してセディッチが腕に巻いた白い布をアストロスーツに巻いていた。

 

「鬼畜外道の中華反乱軍から市民を解放だ!!!」

 

「好き勝手はさせん!!!」

 

 火事場泥棒の如く、OZの内乱に乗じて速やかな展開をしていく。

 

 リーオーや有人機のリゼル・トーラスで次々にゲリラ戦を仕掛ける者達もいれば、破壊工作をおこないながら市民を解放する者達もいた。

 

「ルートは確保した!!!市民を逃がせ!!!」

 

「あっちゃならねーんだよ!!!貴様らの存在はぁああああ!!!」

 

 相対する中華覇権派OZプライズ兵に対して、彼らは憎悪の攻撃を下す。

 

 だが、皮肉なことに彼らのおこす銃撃戦により、逃がすべき市民が死傷が出てしまっている事もまた事実であった。

 

 季煉にもそれらの情報が伝えられる。

 

「醜特佐!!!我々に対する攻撃は本拠点のみならず、L5コロニー群の掌握エリア各地で戦端が起こっています!!!更には第三勢力の存在も確認されています!!!」

 

 季煉は、わなわなと思いどおりに運ばなさ過ぎる事態に、憤りの身震いをみせる。

 

「……こうも事が崩されるなどとっっ……!!!」

 

 憤りを巡らせる間にも、交戦状況は収まる事なく続く。

 

 中華プライズサイドのリーオーやジェスタ、リゼル・トーラスが射撃戦を仕掛けていくも、OZプライズ兵駆るプライズリーオーやジェスタの多彩な攻撃や斬撃に撃破されていく。

 

 刃海より望む宇宙の海原の戦場。

 

 幾多のビームが飛び交い爆発が無数に断続する空間。

 

 MS戦も艦隊戦も押され始めている現実を認めざるをえない。

 

「ゾディアックを起動させろ!!!何もかもを破壊させる!!!」

 

 季煉の指令でゾディアックが起動し、メガ粒子砲を撃ち放つ。

 

 バスターライフルの如く戦場を切り裂くビーム渦流が、敵味方関係なくMSやMDを撃破させていく。

 

 この戦局が変貌した事態に対し、OZ正規軍側のディセットも高火力兵器の一斉集中砲火を命ずる。

 

「過去の遺物を持ち出したか。襲るるに足らん!!!全MS部隊、高出力兵装を敵MAに一斉射撃!!!」

 

 正規軍部隊のリーオー、ジェスタ、リゼル・トーラスによるドーバーバスターとドーバーガン、ビームバスーカ、メガビームランチャーの一斉射撃がゾディアックに集中する。

 

 だが、その高出力ビーム群は着弾する手前で弾かれたかのように消滅した。

 

 その返しと言わんばかりにゾディアックは再びメガ粒子砲を撃ち放った。

 

「くッ……Iフィールドか!!!」

 

「ははははっ……ははははあはあはあはっ!!!見たかぁ!!!これが我が覇権の力よ!!!そうとも!!!最強の力だあああ!!!」

 

 季煉は聞き耐え難い笑いをしながらゾディアックの力を過信し始めた。

 

 ゾディアックは連発するようにメガ粒子砲を繰り返し撃ち始める。

 

 しかし、そのビームを躱して迫る二つの閃光があった。

 

 トールギス・フリューゲルとガンダムヴァサーゴであった。

 

 2機は完全なる死角に接近し、トールギス・フリューゲルは装甲表面にビームサーベルを突き刺しながら加速し、ガンダムヴァサーゴはメガ粒子砲射撃機工に直接身を投じてトリプル・メガソニックキャノンの発射形態に移行する。

 

「所詮、古のデカ物に過ぎん。最もこのトールギスも古のMSではあるがな……だが、格と気品の差にあくびが出る!!!」

 

 トールギス・フリューゲルの加速と共に、突き刺されたビームサーベルはゾディアックの装甲表面を一気に斬り裂いていく。

 

 その斬り口を追うかのように爆炎が噴出し続け、表面で一気に爆発を噴き上げさせる。

 

「このような代物を最終兵器とするか……ふッ……笑わせてくれる……!!!」

 

 同時にガンダムヴァサーゴはトリプル・メガソニックキャノンを撃ち放ち、その強烈なビーム渦流はゾディアックの砲門と機体を一気に抉り飛ばした。

 

 クリティカル・オーバーキルダメージを加えられたゾディアックは一気にその巨体を爆散させていった。

 

 その存在を失っても尚も艦隊戦は続く。

 

 だが、気が抜けたかのように中華覇権サイドのクラップ級が轟沈し始める。

 

 それもそのはずであり、撤退……もとい敵前逃亡を無断慣行する者達が続出したのだ。

 

「我が、艦隊、損耗率45%!!!無断で敵前逃亡を図る者達も続出しているとのことです!!!」

 

「おのれ……おのれ、おのれ、おのれ、おのれ、おのれええええ!!!腰抜け共め!!!この私の身を守らんでどうする!!!我が覇権は、覇権はどうしたああああああ!!!」

 

「貴様たちはそうして自分の格下の大衆に理不尽極まりないジェノサイドをし、自分達と同格、格上相手には尻尾を巻いて逃げる……旧世紀も宇宙世紀においても下種の極みに限る……!!!」

 

「??!!」

 

 刃海の面前にロッシェのトールギス・フリューゲルがビームサーベルの切っ先を向けて舞い降りるかのように降臨する。

 

「なあぁ……??!!」

 

「OZプライズよりこのような汚い連中が芽吹いてしまったことは歴史に恥じる。ならば今ここに立たせてもらった身として、OZプライズを代表としてこの汚らしい紅い膿を排除する!!!私の機体の色をしていること自体、貴様らに反吐が出る!!!」

 

 季煉がいるブリッジ目がけ、そのビームサーベルの切っ先が構えられた。

 

「ま…て……まて……待てって言ってるだろおおおおお!!!撃てぇえええええええ!!!」

 

 季煉が苦し紛れに叫んだ直後、刃海のミサイル発射管より6基のミサイルが放たれた。

 

 だがそのミサイル群はロッシェの背後方面で六つの巨大な爆発と閃光を放った。

 

「何?!!」

 

 それは核ミサイルであった。

 

 彼らは更なる奥の手として核ミサイルを保有していたのだ。

 

 その爆発は三つの陣営の艦あMS、MDを無差別に攻撃し、更には隣接していた周囲のコロニーを一基を半壊させていた。

 

「『核』命じゃ、『核』命じゃああああ!!!中華覇権にひれ伏すがいいいいいい!!!!」

 

 この暴挙はロッシェの怒髪天を突いた。

 

「貴様ァあああああ!!!!つくづく救えん愚物だ!!!!消えろ!!!!」

 

「ぐぎゅるヴぁああああッッッ……―――!!!!」

 

 トールギス・フリューゲルの強烈な刺突が刃海のブリッジに突き刺さり、季煉は肉体を蒸発され無残に一瞬の苦悶を与えられながら消え去る。

 

 ビームサーベルが突き刺さったブリッジの部位が爆発すると、トールギス・フリューゲルは飛び立ち、バスターシューターのビーム渦流射撃を何発も見舞い、刃海を轟沈させていった。

 

 これを機に敗走を試みる部隊が続出するが、見逃すはずがなく、OZ正規軍とOZプライズによる駆逐処理戦に移行していく。

 

「やれやれ……とんだ愚物達だったな。見ているこっちが情けなくなる……!!!」

 

 そう言いながらロッシェのは睨みを利かせながら、中華覇権派のクラップ級を狙い撃った。

 

 

 

 北欧圏・スカンジナビア半島エリア

 

 

 

 澄んだ空気に満天の星空が上空を彩る中、ネェル・アーガマが森林地帯に着陸態勢に移行する。

 

 下部設置ジョイントが展開し、その巨大な艦を大地に着地させた。

 

 辺りは木々に雪が積もっている。

 

「ネェル・アーガマ、着陸完了。引き続き、光学迷彩を展開させつつ、交代で対空見張りを厳とします!!」

 

 エイーダがそう告げると、ケネスは長旅で疲れたオペレーター達に気遣いを見せる

 

「長旅ご苦労だった。夜間に入国するのもいかがなものか……ネェル・アーガマは明朝まで待機する。君達も羽を伸ばしてきても構わんぞ」

 

「やった♪んー……やっと羽を伸ばせるー。私こんな雪国はじめて!!星空も綺麗だし……ミヘッシャも見に行かない?!」

 

「え?!あ、ありがとうございます!私でよければ……私も北欧圏なんて初めてですし!」

 

「決まりね!!それじゃ、行こっか!!」

 

「はい!!」

 

 素に帰ったエイーダは、その流れからミヘッシャを誘う。

 

 唐突な彼女の誘いに一瞬戸惑いながらも、ミヘッシャも星空を見に行った。

 

 戦闘が無ければ普通に何処にでもいそうな女子達の光景にケネスもどこかホッコリを覚える。

 

「宇宙世紀の歴史は旧世紀と同じく抗争や戦争を繰り返している。戦争がなければ彼女達も遊びを満喫する何処にでもいそうな女子か……感慨深いものだ」

 

「キャプテン、俺達も休み入りますよ」

 

「ずっと座りっぱなしもさすがにシンドイぜ」

 

 砲術長と砲術士のアルバとドリットもまた休みに移行する。

 

「……だが、君達はダメだ」

 

「はぁ?!!!」

 

「…………なんてな。無論許可する。対空警戒には交代要員引き継ぎを忘れるなよ」

 

「了解!!エンデもどうだ?!星空つまみにウイスキー呑めるぞ!!」

 

 メルバは元MSのパイロットである操舵士のエンデを呑みに誘う。

 

「あ、あぁ。だが、ノンアルコールにした方がいい。またどこで戦闘になるか……」

 

「だから引き継ぐんだろーが!!!固いこと言うな!!」

 

 三人のやり取りを見ていたケネスも念を押す。

 

「羽を伸ばせとは言ったが、ハメを外せとは言っていないからな、ドリット。呑んでも自制が効く範囲内だ。それ以上は決して吞むな。わかったな?」

 

「はいよ、艦長さん」

 

 三人は艦内通信で交代要員引き継ぎをすると、CICブリッジを後にしていった。

 

 ケネスはサイド立体タッチパネルボードを操作し、日付を確認する。

 

 季節は12月のクリスマスシーズンの只中であった。

 

「ほう……奇しくもこの時期に訪れることができたとはな……まさにホーリーナイトか」

 

 ケネスはCICブリッジの眼前に拡がる冬の夜空に目を送る。

 

「この宇宙(そら)の向こうでは戦闘が巻き起こっているか……にわかには信じがたい美しい夜空だ」

 

 地球で生まれた者でも貴重な北欧圏の冬の夜空に、宇宙育ちの者達はより一層の感銘を受けた。

 

 月夜に照らされて白銀の森林が広がっているのだ。

 

 防寒着を着ながら皆が物珍し気にカタパルトデッキに赴いて眺めに来ていた。

 

「わああぁ……綺麗……!!」

 

 クルー達が続々と生のプラネタリウムを見に来る中、カトリーヌやオーブ三人娘のジュリ、マユラ、アサギ、先程のエイーダとミヘッシャといった女友達的な者同士も多かった。

 

 それぞれが見上げる星空には戦闘があったことを忘れさせるような幻想的にも近い空間があった。

 

 そんな中、ロニはカトルに連れてきてもらう形で手をつなぎながらカタパルトデッキに訪れる。

 

「みんな見てるね!!僕たちはあっちに行こう!!」

 

「うん」

 

 カトルとロニは比較的クルー達がいない場所に移動し、そこで星空を眺めた。

 

 見上げるリアルなプラネタリウムは、ロニの傷つき傷つけられた心に癒しを与える。

 

「なんて綺麗なの……!!」

 

「そうだね。見に誘ってよかった……!!」

 

 ロニは両手で口元を抑えながら感動した様子を見せ、そんな彼女を見てカトルは安堵する。

 

 更に彼女は感極まって涙を流し始めた。

 

「……っっ!!」

 

「ロニ……?!」

 

「ううん……ごめん、カトル。今までの事を思うと今がすごい幸せに感じれて……あんな過ちを犯してしまったのに、私が幸せになってもいいのかな??」

 

「もちろんさ……ロニが幸せになっちゃいけないわけなんて……ないよ……僕も今こうしてロニと星を眺められてることに凄く幸せを感じてるよ」

 

「カトル……!!」

 

 そう言いながらカトルはロニを抱き寄せてみせた。

 

 そんな二人の様子をデュオやトロワ達が見守っていた。

 

「やれやれ……カトルの奴、ロニさんをエスコートしてすっかり王子様だな!!」

 

「ふっ……これまでのカトルやロニの苦難を思えば……今の時間は必然的な価値ある報酬だ。俺達がやるべきことはそれを見守る事だ」

 

「へへ……違いねぇ。今の幸せ空間を嚙み締めろよな、カトル!!」

 

「そういうお前はジュリと見たかったんじゃないのか?」

 

「はぁ?!余計な世話だ!!ジュリだって仲良しな友達いるんだからよ!!そういう時だって……あるだろうがっ」

 

「確かにそうだな……失敬した。今はカトリーヌ達とも一緒に見ているだろう。寂しがるなよ」

 

「誰が寂しがってるってんだよ……俺は寂しい感情はないんだ!!」

 

「まぁ、たまにはこうして男同士の語り合いってのも悪くないんじゃないか?バーボン煽りたくなるな……ま、飲むのは俺とマフティーだけだがな!!ほいよ!!」

 

 ラルフはハイボールを持ち抱いており、あらかじめ持っていたグラスをマフティーにと渡す。

 

「いいのか?俺達は有事の際に備えてなきゃならない。飲酒MS運転になるぞ?」

 

「マフティーさんよ、固いこと言うなって。酔わない程度に飲めばいいさ」

 

「ははっ、じゃあ少しだけならいただこうか」

 

 ラルフとマフティーは互いにハイボールを呑みかわした。

 

「あーあー、飲んじゃいましたよ……お?!」

 

 するとトロワもまたノンアルコールのシャンパンを用意しており、グラスをデュオに渡した。

 

「俺やラルフがいたゲリラチームではよく星空の下で吞んでいた。無論、俺はノンアルコールだったがな」

 

「そうか、それでこの流れってか!!じゃあ、頂きますか!!」

 

 デュオ、トロワ、ラルフ、マフティーが男四人で星空の下吞みかわす一方、ヒイロは一人でいたところをマリーダに連れ出されていた。

 

「みんなも見に行っている。私達もいくぞ」

 

「マリーダ……」

 

 リードするマリーダがヒイロの手を引っ張っており、二人の構図はカトルとロニの真逆であった。

 

 いざ二人はカタパルトデッキの甲板に出ると、満天のリアル・プラネタリウムがそこにあった。

 

「宇宙で見る星の感覚と違う気がする。何故か宝石のように綺麗に感じる。不思議なものだ」

 

「あぁ」

 

「サンクキングダムはもうすぐそこらしい。これからは毎日天気のいい日はこの星空が見れるのか」

 

「季節によっては一日中明るい白夜という現象があるそうだ。今の逆だ」

 

「そうなのか……魅力的な地域なんだな、サンクキングダムは」

 

「サンクキングダムは今の時代に必要な国だ。俺達の存在が国防に加担できれば抑止力になる。それは日本で証明してみせたからな」

 

「ああ。わかってる……ヒイロ達がいなければ、あの時ロニと私はこうしていることができなかった」

 

 マリーダはヒイロに腕を回して寄り添い、ヒイロもまたそれに応じる。

 

 二人が見つめるプラネタリウムにオリオン座があった。

 

 だがその時、その夜空の部分……ちょうどサンクキングダムの上空の位置に急に星が増えるように見える光が現れ始めたのだ。

 

「なんだ……?星にしてはおかしい……な」

 

「……まさか!!?」

 

 一方ネェル・アーガマのCICのレーダーにて、サンクキングダム上空に多数の機影が現れたことを察知していた。

 

「サンクキングダム上空に感!!!おそらくMD降下部隊です!!!」

 

「なんだと?!!先手を取られたか……!!!」

 

 サンクキングダムでは既に攻防戦の戦端が開かれ、ミリアルドのトールギスやミスズ、ライト達のリゼル・トーラス、近衛兵達のリーオーやエアリーズが獅子奮迅していた。

 

「夜に侵略を仕掛けてこようなどと……!!!卑劣な!!!」

 

 次々に飛来するシルヴァ・ビルゴに向かい、トールギスはドーバーガンを撃ち放ち、接近した機体にはバスターランスで破砕させて見せる。

 

 その後もシルヴァ・ビルゴから放たれるビームランチャーの高出力射撃をその高機動力で躱しながら、各個にドーバガンとバスターランスを駆使しながら撃墜させていき、更にビームサーベルに切り替えての一撃離脱斬撃戦法へとシフトさせた。

 

「如何なる力にも、我が国が亡びるわけにはいかんのだ!!!」

 

「何としても死守だ!!!この国がここで堕ちるわけにはいかない!!!」

 

「了解!!!」

 

 ミスズ駆るリゼル・トーラスに続くようにリーオー、エアリーズの部隊が一斉射撃で応戦する。

 

 その中にはヒイロの瓜二つのライトが駆るリゼル・トーラスもいた。

 

「この国は……リリーナは俺が守る!!!」

 

 その戦力差は絶望的にあり、唯一トールギスがいてくれているのが幸いだった。

 

 夜間の不測の事態に、リリーナも憂いを隠せない。

 

「遂にこのような侵略行為が起こり始めた……お兄様、ミスズさん、そしてライト……どうか無事に……!!!」

 

 そのような中、夜の公園で優雅にこの戦闘の状況を眺めている特徴的な眉毛のブロンド長髪の少女がいた。

 

「うっふふふ。お爺様から話は聞いていたけど……やっぱり戦闘って命の輝きよね……もうこれってお爺様からの私に対するクリスマスプレゼントね……もう起っちゃってるかもだけどっ、早く戦争になぁーれ!!!」

 

 

 

 

 To Be Next Episode

 

 

 

 次回予告 

 

 

 聖夜を彩る夜空の下、サンクキングダムはロームフェラ財団が送り込みはじめたシルヴァ・ビルゴの降下部隊により侵攻の危機に遭っていた。

 

 ミリアルドやミスズ、ライトも防衛の為に獅子奮迅する。

 

 そんな彼らの戦いを高みの見物をする、デルマイユの孫娘・ドロシーの姿があった。

 

 戦い好きな彼女は、身を案じて電話を入れたデルマイユとの会話中の一言で事態に影響を与える。

 

 デルマイユの指示が変わり、キルモードレベルを上げたシルヴァ・ビルゴの攻撃が始まる。

 

 攻防戦に疲弊し、窮地に立たされるミリアルド達。

 

 そんな絶体絶命の運命が迫る中、5機のガンダム達が姿を現す。

 

 更に幽閉されているトレーズから通信が入り、その内容は新たなガンダム、『エピオン』を取りに来いというものであった。

 

 戦闘が続く中、ミリアルドは決断する。

 

 一方、依然OZの内乱が続く地球の中華圏エリアにはバルジ砲が、もう一方のL5中華覇権派OZプライズ拠点コロニーにはリーブラ砲が放たれる。

 

 だが、そのリーブラ砲は新たなる勢力の狼煙に過ぎなかった。

 

 

 次回、新機動闘争記ガンダムW LIBERTY

 

 エピソード52「サンクキングダム・ホーリーナイト」

 

 

 

 

 





 さて、また今さらですが、なぜガンダムヴァサーゴ・チェストブレイクが「ガンダムヴァサーゴ」として出ているのかというと。

「正義×悪魔」でアルトロンガンダムと対になってくれるからです。

 当時から思ってましたが、XよりもW調のデザインかつ、ツインドラゴンハングと同じコンセプトの腕という所にグッときました。(ロボット魂持ってます。というか主人公サイドやライバルはほとんどロボット魂で統一しちゃったコレクションにしてます)

 で、もう一つのライバルポジションに。名前もいきなり「チェストブレイク」が付いていると違和感あったので、「ヴァサーゴ」にしました。

 モチーフポジションは「アルケーガンダム」的に近いポジションをめざしているつもりです。

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