新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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エピソード45 「コニーマン・アッガイ、無双」

 

 

 夜間の日本近海上空に戦端の閃光が飛び交う。

 

 アスクレプオスがパイソンビームランチャーを撃ち放ちながらガンダムデスサイズ・ヘルを追従し、ヴァイエイトがビームカノンとレーザーガンを交互に放ってガンダムヘビーアームズ改を狙い撃つ。

 

「久しぶりだなぁっ、死神ガンダム!!!パワーアップしたような見てくれだなァ!!!」

 

 好戦的に眼差しを見開くトラントと不敵にニヤついたデュオが激突は、死神と毒蛇の激突でもあった。

 

「いつしかのズゴックもどきヤローか……!!!あんときはよくも相棒を痛めつけてくれたなぁ……」

 

 躱され続けていたパイソンビームランチャーの連続射撃がガンダムデスサイズ・ヘルを捉えた。

 

 だが、アクティブクロークにより全く効果は意味を成さない。

 

「な??!効いていない?!?」

 

「へっ……効かねーよ……確か前は零距離でやってくれたっけなァ……じゃあ、こっちから仕掛けさせてもらうぜ!!!」

 

 シュバッとライトアームをかざし、アームド・ツインビームサイズを発動させたガンダムデスサイズ・ヘルがアスクレプオスへと斬り掛かる。

 

 二連刃となった死神の鎌と毒蛇の牙とが激突し、激しいスパークをはしらせた。

 

 トラントは手応えからしてパワーが強化されている事を悟る。

 

「見かけ倒しっ……と罵倒したかったがっ、そうはいかないようだなっ……!!!」

 

 トラントはそう言いながらレフトアームのパイソンクローを激突させるが、デュオはこれもバスターシールド・アローのビーム刃で受け止めた。

 

「へっへへへ……!!!真ん中がお留守番してるぜ」

 

 がら空き状態となったアスクレプオスに至近距離のヘッドバルカンを見舞う。

 

 表面で連続する小爆発がアスクレプオスを離脱させた。

 

「ちぃっ!!!」

 

 離脱しながらのパイソンビームランチャーとバスターシールド・アローの撃ち合いになるその一方で、ヴァイエイトの方はレーザーガンをガンダムヘビーアームズ改の胸部に直撃させる。

 

「命中!!!こいつの胸部をぶっ壊したくなるのは何故かなァ!!?妙な癖だぜ!!!」

 

 そう吐きながらビームカノンの出力を上げて撃ち放つミュラーだが、この一撃はガンダムヘビーアームズ改のアームバスターカノンの洗礼を垣間見る。

 

「奇遇だ。そのような武装は持っている。皮肉にも貴様の武装をヒントにさせてもらったがな……」

 

 放たれたアームバスターカノンのビーム渦流が突き進み、ビーム渦流同士のエネルギー相殺の爆発に闇夜の夜空が照らされた。

 

「なん……だとぉ?!?やつの新装備か……!!!」

 

 まばゆいエネルギー相殺光の最中を突き抜けるかのようにガンダムヘビーアームズ改はバスターガトリングキャノンとダブルビームガトリングをヴァイエイトに射撃する。

 

 夜の闇を砕くように放たれたそれは、おもむろにヴァイエイトに直撃して装甲表面での連続爆発の衝撃を与えた。

 

「ぐぅうううっ……!!!チキショーが!!!生意気なんだよっ!!!火薬ガンダムの分際でぇっっ!!!」

 

 以前の戦いからガンダムヘビーアームズ改を格下と決め付けてきたミュラーは、苛立ちながらビームカノンを乱発する。

 

 トロワもまたこれに答えるかのようにアームバスターカノンを低出力で連発射撃した。

 

 その向こう側ではガンダムサンドロック改とメリクリウスがクロスクラッシャーとライトアーム側のクラッシュシールドを激突させる。

 

「あの時の赤いMSだねっ……!!!今度こそ目にモノを見させるよ!!!」

 

「大層な武装だなっ……ま、防ぎ切るがな!!!」

 

 そう言いながらアレックスはレフトアーム側のクラッシュシールドのビームサーベルを捌き引き弾き、プラネイトディフェンサーを展開させた。

 

 瞬時にカトルはバスターショーテルをレフトアームで抜刀し、クロスクラッシャーとの交互にパワーを付加させた斬撃でそれを弾き飛ばす。

 

「くっ……!!!パワーが以前より上がってやがる……!!!」

 

「屈辱は二度もしないよっ……はぁ!!!」

 

「ちぃいっ!!!っのやろがぁ!!!」

 

 カトルはメリクリウスが咄嗟に振りかざした左右のクラッシュシールドをクロスクラッシャーとバスターショーテルで受け止めて見せる。

 

 更にそれを捌き弾き、クラッシュシールドの大胆な刺突とバスターショーテルの袈裟斬りの連続斬撃を食らわせた。

 

「くそっ……っ?!がぁあああああっ?!?!」

 

 吹っ飛ぶメリクリウスの上では、Ξガンダムとプロビデンスガンダムが邂逅を果たす。

 

 双方のガンダムはビームバスターとユーディギムビームバスターを撃ち合いながら探りを入れ合っているようだった。

 

「このガンダムからは以前感じたような感じを覚える……何者だ!!?」

 

 両者の並行移動しながらの撃ち合いの中、アメンズはマフティーことハサウェイを感じとる。

 

「へぇ……このΞガンダムの今のパイロット……強化人間ではなく、ニュータイプか……それに……あの有名な亡くなられた艦長様の息子か……」

 

 やがて両者は、サイコミュウェポンを展開させた。

 

 ファンネルミサイルとドラグーン・ファンネルが解き放たれる。

 

 向かい来るファンネルミサイルに対し、3基の長細い形状のドラグーン・ファンネルで射撃を、6基の平坦なドラグーン・ファンネルでファンネルミサイルに対抗する。

 

 ファンネルミサイルとドラグーン・ファンネルが空中で激突し合うが、両者共に破壊される様子を見せない。

 

「このファンネルも、打撃系なのか?!?」

 

 ハサウェイは飛び交うドラグーン・ファンネルに対し、ビームバスターの射撃も加える。

 

「君のは撃てないファンネル。僕のは撃てるのさ」

 

 飛び交うドラグーン・ファンネルはビームの攻撃もしてみせる。

 

「ちっ……!!!だが、こいつから感じる感覚は……っ!!!まさか?!?いや、あの人は……シャアの反乱の時に……!!!」

 

 アメンズは驚愕したマフティーの感覚を感じて覚り、回線を開く。

 

「……君、面白いね」

 

「な?!!やはりその声……アムロさん……なのか?!?」

 

「おやおや……実に運命的だね。アムロ・レイの知り合いだったなんて……」

 

「アムロさんなのか!!?だが、何かが違う!!!」

 

「僕はアメンズ・レイ・アルマーク。アムロ・レイのクローンであり、OZプライズ初の強化人間。いや、ニュータイプさ」

 

「アムロさんの……クローンだと?!?」

 

「旧連邦の伝説のエースパイロット……アムロ・レイ。彼の遺伝子そのものが僕。敢えて言おうか??くくっ、僕が一番ガンダムを上手く動かせるのさ!!!」

 

 更に攻勢に出るプロビデンスガンダムはドラグーンとユーディギム・ビームバスターを同時に発射し始めた。

 

「ほざけ!!!貴様はアムロさんであってそうではない……!!!」

 

 Ξガンダムもまた同じくビームバスターとショルダービームバスター、ファンネルミサイルの連携攻撃で対抗する。

 

 4機種対4機種の戦端はネェル・アーガマのCICブリッジからも確認されており、そこにいるそれぞれが見守る中、後から駆けつけてきていたエイーダが伝える。

 

「ガンダム各機は、敵高性能MSと交戦中。内3機は以前のラボコロニー襲撃時の記録にあったMSです!!ですが、それ以外の1機はデータに無い新型の……巨大なガンダムです!!」

 

「巨大なガンダム……!!!映像の拡大を!!!」

 

「はい!!」

 

 ケネスの指示にエイーダがモニターを拡大させた映像には、Ξガンダムに対峙しているプロビデンスガンダムの姿が映し出されていた。

 

 それを見たミヘッシャは反応と共に、すぐにサイコミュ兵器に気付く。

 

「戦ってるのはハサウェイ……!!!それに、あの謎のガンダムが使っている武器はファンネル?!?」

 

「ということは……ニュータイプか、強化人間……!!!難しいのは承知だけど、戦闘データ記録を……!!!Ξガンダム、可能であれば今後の為の敵の戦闘データ記録をお願いします!!!」

 

 エイーダは咄嗟の判断で、マフティーにエイーダは通信を入れた。

 

「問題ない!!!既にやっている!!!何せ……相手がっ……ちぃ!!!」

 

 マフティーとの通信がONのまま途絶え、スパーク音が聞こえてくる。

 

 大きさの対比からしても劣性的に見えてしまう状況に、当然ながらミヘッシャは憂いを隠せず、思わず本名で呼びかけてしまう。

 

「ハサウェイ……!!」

 

 戦闘状況は、ビームサーベル対メガビームサーベル。

 

 レフトアームに装備したユニットの先端から発動する大型ビームサーベルだ。

 

 スパークで照らされながらアメンズは不敵に笑みを浮かべ、マフティーに言った。

 

「僕はね、君達が近づいていることはわかっていた。けど、あの三人には伝えなかったよ」

 

「何だと?!?」

 

「言ったらそれなりの動きになってしまうじゃないか。僕は一気に殲滅かけるより、今回みたいな感じで挨拶しながらちょくちょく戦いたいのさ……それに、僕だけがわかっている優越感にも浸れるしね……!!!」

 

 捌き弾き合い、ビームサーベル同士の打ち合いとなる。

 

 その最中に、マフティーはシールドをプロビデンスガンダムの胸部に刺突させて見せた。

 

「おっと……やるね、やっぱり!!!」

 

「こちらこそ、手応えが固い。やはりガンダニュウムか……!!!」

 

「あぁ。だが、君のはガンダリウム。少しばかり僕が優利!!!」

 

「だが……結局は中らなければいいさ!!!」

 

 両者は幾度も刃を交わせた後、吹っ切れたようにビームバスターを撃ち込み、ファンネルミサイルをプロビデンスガンダム本体に向かわせた。

 

 プロビデンスガンダムの胸部やレフトショルダーにビームバスターが直撃し、上空からファンネルミサイルが穿ちかかる。

 

「っっ……!!!いきなり攻勢にでたか……なんか、生意気に感じたよ……!!!」

 

 ビームランチャーライフルをお返しとばかりに放ち、Ξガンダムに被弾させた。

 

「くぅっ……!!!」

 

「言ったそばから被弾しちゃったね!!!」

 

 アメンズがドラグーンファンネルで狙いを定めたその時だった。

 

「各機、ここは一度撤退する!!!本来のOZ側MSの先行殲滅任務に支障が出たが、その分、本来入手するはずがなかったガンダム改修機の戦闘データレコーダーが録れた!!!持ち帰る!!!」

 

 (おいおい……四人でも十分殲滅可能だよ……まぁ、いいか。いい挨拶になった)

 

 トラントの指示に、心中で文句を言いながらアメンズは攻勢を解いて撤退態勢に入る。

 

 アスクレプオス、ヴァイエイト、メリクリウス、プロビデンスガンダムの各機が夜空の虚空へと飛び立って行った。

 

 そんなかれらに対し、デュオが追撃をかけようとする。

 

「逃がすかっ!!!」

 

 そんなデュオに制止をかけたのはトロワであった。

 

「待て、デュオ。深追いはいい。今回は偶発的な戦闘だった。それに奴らは因縁的な存在だ。またいずれ激突する」

 

「そーかい。俺達のガンダムを見た奴らは生かさないのがモットーかと思ったよ」

 

「全てそうとは限らないさ……だろ?カトル」

 

「まぁね。それに、今は前みたいに僕達だけが行動していない。常にネェル・アーガマの皆さんもいるんだからね。下手に戦闘に巻き込ませないように」

 

 そんな中、マフティーは去る彼らに眼光を向け続けていた。

 

「……アムロさんのクローン……アメンズ・レイ・アルマーク……!!!」

 

 

 

 アディンとプルがクレヴェナールとの戦闘中、待機していたガランシェールでも戦闘が引き起ころうとしていた。

 

「キャプテン!!!やはり連中の別動隊みたいなのが来ましたよ!!!数は12機です!!!」

 

「問題ない。二人とも……護衛頼むぞ!!!」

 

 プルツーとコニーマンはそれぞれにガランシェールのおよそ500メートル先の前に出て迎撃態勢に入っていた。

 

「さて……来たみたいだな。ジュピトリス・クルー達の敵、とらせてもらうぞ!!!」

 

「ほんまですね。来なはったなァ……今度はしっかり反撃させてもらいますわぁ……いくで~、アッガイ!!!皆の敵とるんよ!!!」

 

 キュベレイMk-Ⅱとアッガイ・コニーマンカスタムの両眼とモノアイが光り、各々臨戦態勢に身構える。

 

 先に仕掛けたのはヤクト・ドーガやRジャジャに従えていたバーナムジェガンとハイザックの集団だった。

 

 モノアイやカメラアイを光らせながら、2機に向かってビームライフル、マシンガンの射撃やビームランサーでの突撃などの攻撃を慣行してくる。

 

「身の程知らずめ……!!!」

 

 プルツーは鋭い眼差しで機体を前に飛び込ませる。

 

 キュベレイMK-Ⅱがライトアーム側に装備していたビームサーベルを発動させ、ビームやマシンガンを躱しながら突撃してきたバーナムジェガンを斬り捌く。

 

 

 

 ザシュバァアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 横一線に破断され吹っ飛んだバーナムジェガンは、宇宙空間にしばらく漂いながらやや遠方付近で爆発する。

 

 それを尻目にビームライフルを放っていたバーナムジェガンとハイザックに向け、レフトアームのハンドランチャーの連発射撃を見舞う。

 

 

 

 ダシュウウウウウウッ!!! ダシュ、ダシュ、ダシュウッッ、ダシュウウウウッッ!!!

 

 ズガウウウウッ!!! ズギャディッッ、ドォズウッ、ズガドォオオオッ、ダッディギャアアアンッ!!!

 

 ゴバガアアアッッ、ゴバァアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 連発する高出力ビームが2機を連続で穿ち、爆発光を宇宙空間に造り出す。

 

 そして向かい来るバーナムジェガンの特攻刺突やハイザックのマシンガンを躱しに躱し、加速しながら一気に距離を取る。

 

「一網打尽にしてやるよ!!!」

 

 追手の方向に振り向いたキュベレイMK-Ⅱは、虎の子のファンネルを展開して機体前方に横一列にファンネルを並べ構えた。

 

「ファンネルッ!!!ハモニカフォーメーション!!!」

 

 バッとかざしたレフトアームからのハンドランチャーと同時に、ファンネルが一斉にビーム射撃を放った。

 

 

 

 ダダダシュウウウウッッ、ヴィヴィヴィヴィダダダダダダダダダシュウウウウウウウウウッッ!!!

 

 ダディギャッドォドォドォドォドディギャガガガドドアアアアンッッ、ズゴゴゴバアアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 広範囲の扇状に連発するビームの射線軸がハイザックとバーナムジェガン2機を穿ちに穿ち貫いていき、えげつないまでに機体を破砕させた。

 

 一方、別のハイザック達はアッガイ・コニーマンカスタムにここぞとばかりに攻撃を仕掛ける。

 

「さア、撃ってきよた!!!ほな、やらせてもらいますわ!!!」

 

 穏やかな表情から鋭い眼光に一転したコニーマンは、通常のアッガイでは在り得ない機動力を見せつける。

 

 無論、水中用MSのアッガイが宇宙空間を自由にしていること自体が通常ではない。

 

 ガンダムクラスに迫る動きでビームやマシンガンを躱し続けていく。

 

「もろたでッ!!!」

 

 アッガイ・コニーマンカスタムがレフトアームをかざし、高出力化されたアームビームキャノンを発射する。

 

 

 

 ダシュウウウウウウウウンッッ!!!

 

 ディガアアンッ、ズゴバアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 ハイザック1機が高出力ビームに貫かれ爆破する中をアッガイ・コニーマンカスタムが突き抜け、その向こう側にいたハイザックめがけ、材質がジュピタニウム製にカスタムされたハイパーアームクローで穿つ。

 

 

 

 

 ガギャガアアアアアアアアアアッッッ!!!

 

 

 

 胸部を破砕されながら吹き飛ぶハイザックに更にハイパーアームクロー内の高出力ビームの一撃を見舞った。

 

 

 

 ドォシュウウウウウウウッッ!!!

 

 ズギャガドォオオオオッッ、ゴバガギャアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 更にバーナムジェガンがビームランサーで襲い掛かるが、この瞬間にコニーマンは直観的な閃きの電気がはしる。

 

 そう、彼はニュータイプの要素を持ち合わせていたのだ。

 

「見えるでぇ……!!!」

 

 攻撃を仕掛けたバーナムジェガンは、素早い機動性に攻撃を躱される。

 

 そしてその背後からハイパークロービームキャノンの高出力ビームが機体を貫いた。

 

 

 

 ズドォシュウウウウウウウッッ!!!

 

 ゴバアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

 この状況に業を煮やした残ったバーナムジェガンは、怒り任せのようにビームランサーを銃器上から分離させるように撃ち放った。

 

 だが、この一撃はハイパーアームクローで弾き飛ばされてしまう。

 

「そないな、攻撃は通じませんわ!!!これでも昔は連邦軍におった身なんよ??まァ、個人的にアッガイが好きでこうして今乗っ取りますが……いくで!!!」

 

 ゴッと加速するアッガイ・コニーマンカスタムは、レフトアーム側でバーナムジェガンの胸部を殴り突けて吹っ飛ばす。

 

 

 

 ダッディガアアアアアアンッッ、ガズギャアアアアアアッッ!!! ズドォシュウウウウウウウウッッ!!!

 

 

 

 そしてハイパーアームクローのアッパーを見舞いながら吹っ飛ぶバーナムジェガン目掛けて、額の4連ビームキャノンをへこんだ胸部に直撃させて爆砕した。

 

 この状況をジンネマン達はガランシェールのブリッジで度肝を抜かされていた。

 

「なっ……!!?アッガイにあんな芸当ができるものなのか?!!」

 

「まず宇宙空間にアッガイがいること自体稀有な事態っすからね……!!!」

 

「キャプテン、パラオの自警団に彼をスカウトしときますか??」

 

「ギルボア……そうしたいが、彼も木星公社の人間だからな。そうはいかんよ。それにしても……すごいな……ガンダム並みの動きができるアッガイか……」

 

 キュベレイMK-Ⅱは灰色のヤクト・ドーガと、アッガイ・コニーマンカスタムはRジャジャとの戦闘に突入する。

 

 互いのファンネルを展開させての撃ち合いの状況になり、ビームの撃ち合いとなっていた。

 

「流石、ニュータイプか強化人間かわからないが、骨がそれなにりにあるな……!!!それに、嫌な感じを異様に放っている奴だ……!!!」

 

 プルツーは対峙するヤクト・ドーガに対し、先ほどの雑兵とは一線を画すものを感じ取っていた。

 

「このヤクト・ドーガ、ファンネルをキュベレイ並みに増設してやがる。こっちだって下手に借り物ファンネルを墜とされるわけにはいかないんだ。シンプルにいこうか!!!」

 

 プルツーはファンネルを収容し、接近戦を仕掛けた。

 

 無論ヤクト・ドーガはファンネルで執拗に撃ち続ける。

 

 だが、プルツーはこの流星弾雨の中のビームを躱しながら掻い潜り、ファンネルをビームサーベルとハンドランチャーで一蹴し続けながら一気に接近戦を取ってビームサーベルでライトアーム諸共切断する。

 

 しかし、その瞬間にシールドメガ粒子砲を当てられ瞬間的な危機的状況に晒された。

 

「ちッ、それがあったか……!!!だがな!!!」

 

 プルツーは当てられたシールドメガ粒子砲に向かい即座にかざしたライトアームのハンドランチャーの零距離連射撃してみせた。

 

 直の高出力の連続ビームの直撃を浴びたシールドは破壊された。

 

 更に一気に離脱しながら再びファンネルを展開すると、プルツーはヤクト・ドーガの機体の各所という各所にビームを叩き込んだ。

 

 だが、危機感を悟ったのか、ヤクト・ドーガは一気に機体を離脱させる。

 

「逃がすか……!!!」

 

 離脱するヤクト・ドーガ目掛け追撃したファンネル群の攻撃が一点集中に放たれ、そのボディを爆砕させた。

 

 

 ドォドォドォドォドォドォディディディディディシュウウウウッッ……ドォズバゴバアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 その一方で、アッガイ・コニーマンカスタムのハイパーアームクローとRジャジャの銃剣の激突が展開し、爪と刃が撃ち合いを続けていた。

 

「少しは骨があるわ……おうっ?!!」

 

 銃剣でライトアームが弾きのかれた瞬間、アッガイ・コニーマンカスタムの胸部目掛け、連発でビームライフルの攻撃が撃ち込まれた。

 

 だがしかし、それはガンダニュウム合金に中るかの如く弾いて終わるばかりであった。

 

「ふふふふ……効きはせぇへんよ??なにせ胸部面はジュピタニウム合金を三層にしてるんよ??ガンダニュウム合金と同等の強度ですわ。勿論、こっちの爪もねぇッッ!!!」

 

 ハイパーアームクローの爪を刺突させ、Rジャジャのレフトアームの肩目掛け穿ち飛ばす。

 

 装甲の破壊とジョイントの捥ぎ取れの反動でRジャジャが吹っ飛ぶ。

 

 その間にも執拗にビームライフルを放つが、それは弾かれ、躱されていくにとどまった。

 

 コニーマンは右側コントロールグリップの側面にある特殊な操作ボックスを開いて操作し始める。

 

「特別に必殺技食らわしてやりますわッ……!!!」

 

 するとハイパーアームクローの爪がスパークを帯び始め、瞬時に赤熱化する。

 

「これは前の仕事の提携先で会った子の発案を元にしたんよ……右側のクロ―の出力を最大限に引き出して……一気にぶちかましたるわ!!!これが、怒りの一撃やで!!!赤熱ッ……アッガフィンガアアアアアアアア!!!」

 

 ドンッと加速したアッガイ・コニーマンカスタムは、その赤熱化したハイパーアームクローの攻撃、赤熱・アッガフィンガーを叩き込んだ。

 

 

 

 ズドォギャガァアアアアアアアアアアアアッッッ!!!

 

 

 

 その一撃は完全にRジャジャの胸部を穿ち貫く。

 

 しばらくその爪に突き刺されたままスパークを激しく巻き起こし、Rジャジャは爆発四散していった。

 

 

 

 双方の戦闘が終わり、やがて木星公社との合流の時が来た。

 

 ガランシェールと木星公社の輸送艦が並ぶ中、双方に行き来する為の共通規格のバイパスユニットが接続される。

 

 ジンネマン達ガランシェールのクルーはその中で木星公社の責任者と面会し、双方の握手を交わした。

 

「輸送艦ガランシェールの船長スベロア・ジンネマンというものです」

 

「木星公社の代表取締役代理セーズ・ソワサンです。代表が木星に直接赴いている関係で私が対応させていただきます。多くの船員の犠牲者を出してしまった今回の事は大変大きな悲しみと苦痛、衝撃を受けました。ですが、大きな不幸の中の幸いに、あなた方は僅かに生き残った船員を救ってくださりました。誠に、誠にありがとうございます!!!これは我々からの気持ちです」

 

 社交辞令的な挨拶の後、セーズという人物はジンネマンに金塊が入ったアタッシュケースを差し出した。

 

「いや……我々は当然の事をしたまでです。人として当たり前のことを成したに過ぎません。こんなに頂くようなことは……」

 

「是非とも、是非ともお受け取り下さい!!!」

 

 深々と頭を下げ続けるセーズの姿勢に根負けしたジンネマンは渋々とその気持ちを受け取った。

 

「むゥ……わかりました。では謹んで受け取っておきます……」

 

 振り返ったジンネマンはどこか名残惜しむかのような眼差しで後ろに控えていた船員達に顔を向けた。

 

「ではそろそろお別れだな……」

 

 その眼差しはやはりプルツーを見ていた。

 

 ジンネマンとプルツーは今回の一件が初めての対面であったが、ジンネマンからすれば彼女もプルやマリーダの姉妹故に、娘に感じる他なかったのだ。

 

 そしてガランシェールのクルーと木星公社のメンバーがそれぞれが対面するように向かい合う中、年長のコニーマンから握手して回る。

 

「ほんまにありがとうございました!!!ねぇ!!みなさん素晴らしい方々でまァ……ほんまに、ほんまにお世話になりました!!」

 

 再びコニーマンと対面したジンネマンは再度握手を交わした。

 

「いやァ、キャプテン、くどい様ですがほんまにお世話になりました!!しばらくは木星に行けれないので、もし木星に行く前に機会あったら呑みたいですねぇ!!L1コロニー群のX‐439コロニーにおりますのでまた来てください!!日本の香川県を模したコロニーになっとりましてねぇ、また来てくださった時はうどんや親鳥肉・雛鳥肉おごらさせていただきますわ!!」

 

「いい話じゃないですか!!是非ともそうさせていただきますよ!!その時は呑みましょう!!」

 

 ジンネマンとコニーマンの間で熱い別れ際の盛り上がり話の傍ら、ルーや車椅子のジュドーから別れ際に礼を述べた。

 

「本当に、ジュドーを手当てして下さりありがとうございました!!この船のみんなはこれからも私達の恩人です!!」

 

「キャプテン、クルーの皆さん、本当にありがとうございました!!あと、プルとアディンもな!!」

 

 そう言いながらジュドーはプルに手をかざした。

 

「へへへ……でもあたし、そんな大したことしてないよ??」

 

「何言ってるんだ……船員達の仇バッチリ取ってくれたって聞いてるぜ!!十二分に大したことしてくれたよ!!やっぱり……あのコの姉妹だけあって凄いな……俺も何度も助けられたことあったな」

 

「そう……だったんだ……うん、わかる……」

 

 プルは瞳を閉じながら、感じて来るジュドーの記憶の気持ちから生前のもう一人のプルの事を想っているのだと触れるようにわかる。

 

「色々世話掛けられたことも合ったケドね……砂漠で貴重な水をお風呂に使ったり……」

 

 ルーもまた思い出話を吐露した。

 

「あったな、そんなこと……確かに、俺達の知ってるプルは天真爛漫でいい意味で落ち着きがなかったなァ……そんなプルはあの日ダブリンで……」

 

「ちょっと、ジュドー!!」

 

 ルーはプルツーを気遣いそれ以上の言葉を制止するが、プルツーは更にその気を使う。

 

「いや、いいんだ。ルー。確かにあの日あたしはプルを……」

 

「あー……違うんだ。俺が言いたいのは、運命的にプルツーにそう仕組んだグレミーがやったって思っているし、今目の前にいるプルは形を変えてあの時のプルと再会できたんじゃないかって言いたかったのさ」

 

 そう言いながらジュドーはプルの頭を撫でた。

 

「なんか……はずかしい……な」

 

「プルは本当に俺によく懐いてくれてたっけな……当時はつらくあしらったりしたりしてたけど、今思えばもっと可愛がってやればよかった……」

 

 そう言いながらジュドーはプルを抱き寄せた。

 

 傍らではなに気にムッとしているアディンの姿があったが、プルはくすっと笑いを溢しながらアディンにふった。

 

「くすっ……ア~ディ~ンッ、嫉妬しないの!!」

 

「いい?!!」

 

 ジュドーはそれを聞いて笑いながらアディンを呼び止めた。

 

「え??あはははは!!そうなのか?!ガンダムのパイロットがそんなに小さくてどうすんのさ!!安心しな!俺はプルの事は妹のように感じている。それに今はルーがいるしな!!そっか、そっか!!」

 

「もう、やめてよジュドー!!私が恥ずかしいじゃん!!」

 

「あははは……ま、いいや。こっちへ来なアディン!!」

 

 するとむすっとしていたことに対し、照れ臭そうに感じながら来たアディンにジュドーは右の拳をかざした。

 

「え?!」

 

「今の地球圏、また色々と大変な事になっちまったみたいだな。俺がZZガンダムに乗っていた頃もひどかったが、それ以上と感じてる……出撃していく時の君のガンダム見たよ。一発でスゲーガンダムってわかった。今の地球圏を頼むぜ、アディン!!」

 

「へへへ……任せとけって、先輩!!!俺とガンダムジェミナス・グリープが決めてやるぜ!!!あぁ、それに……プルだってガンダムのパイロットなんだぜ!!」

 

 アディンは自然にプルの肩に手をかけて彼女もまたガンダムのパイロットであることを改めてジュドーに紹介した。

 

 そんなアディンの行動にプルは頬を赤くしながら朗らかに言った。

 

「そうなんだ。あたしもあのユニコーンガンダムに乗ってるの!!今、地球圏の未来に関わるかもしれない『ラプラスの箱』っていうのを探していてね……その為に必要なガンダムなんだ」

 

「俺も実はあれにプルが乗っている感じはわかっていたよ……二人とも!!改めて地球圏をよろしく!!」

 

 互いにグータッチし合う三人に、かつてのガンダムのパイロットだったジュドーから今のGマイスターであるアディンに、ユニコーンガンダムを託された今のプルにガンダムのパイロットの志が引き継がれたかのような光景に見えた。

 

 そんな中、プルツーは突如として懐き続けていた自らの意思をセーズに早歩きで伝えに行った。

 

「セーズ副社長、少し話が……」

 

 彼女の意思を感じてもいたプルは、はっとなってその後ろ姿を視線で追った。

 

 (プルツー……)

 

 木星公社側の船内に場所を移したプルツーは意思をそこで話した。

 

「セーズ副社長。単刀直入に申します。あたしは今回の一件で木星公社から退社させて頂きたいと思います」

 

「な?!!急に何を言い始めるんだ?!!君!!!急に退社だなんて……君は船団の防衛に自ら志願したじゃないか!!!」

 

「今回の一件で……ガランシェールのクルー達との出会いで、もういないと思っていた血の繋がった姉や、妹の存在があった事を知りました。当初は自分の居場所は地球圏ではなく、ジュドーがいる木星公社が居場所だとしてきた。でも今は違う……姉妹達と暮らしたい。一緒にいたい……そう思えてなりません。それに、ガランシェールのクルー達が追っているもの、『ラプラスの箱』なるものに対する協力もしていきたい……だから今回で退社を希望したいんです!!!」

 

「……確かに一般の家庭で育った人材ならば、独り立ちしろと言いたい理由であるが、君は違い過ぎる。先の大戦をその身で味わってきたと聞いているよ……そうか……我々としては残念だが……君がそうしたいのであるならば……致し方がないな……」

 

「ありがとうございます!!」

 

 それからしばらくして姿を見せたプルツーは、ガランシェールのクルー達の許を後にしたジュドー達にセーズの言葉に続いて宣言した。

 

「急な話になるが……先ほど話があり、プルツー君が退社する意向を示した。理由も理由だった……故に話を呑むことにした」

 

「ええ?!!」

 

「あたしは木星公社を辞めるよ。理由はある意味で再会できた姉と生きていた妹と暮らしたい。新たな居場所……いや、本来在るべき居場所が見つかったからだ」

 

 誰もが急な状況に驚く中、一番憂いの表情をしたのは彼女に好意を懐いていたサイコミュMSメカニックのシェルドであった。

 

「そんな……プルツー……!!!」

 

 一人陰で狼狽えるシェルドをよそに周りはプルツーの意思を歓迎した。

 

「ええ話じゃないですか!!その方が自然ちゃいますか?!行きよん、行きよん!!」

 

「そうね……コニーマンさんの言う通り、その方が自然じゃない。寂しくはなっちゃうけど、在るべきかたちに還るのがいいと思うわ。今までありがと、プルツー!!元気でね!!」

 

「俺も同意見だ!!ガランシェールクルーのプルの傍にいてやれよ!!たまには喧嘩するかもしんないけど姉妹仲良くな!!今までお疲れさん!!ありがとな!!」

 

「ルー……ジュドー……あたしからもありがとう。皆には本当に世話になった……約一名歓迎してくれてないやつがいるのが気になるが……」

 

 プルツーが視線を向けた先にはシェルドが半ば涙目で見ていた。

 

「……シェルド君、そこで『何みよん??』って言わんとぉ~!!」

 

 コニーマンが愛嬌を振舞うが、シェルドはそれどころではなかった。

 

「だって……プルツー、辞めちゃうって……もう会えないも同然……だし……ぐすッ」

 

 そんなシェルドの姿を見たプルツーは早歩きでツカツカと歩み寄ると、彼の頬にビンタをした。

 

 バシンと響く船内に誰もが啞然としてしまった。

 

「男子だろ?!いつまでもめそついてウジウジしてんじゃないよ!!!女一人と離れ離れになるくらいで何泣いてんだ!!!それに……別にあたしはあんたの彼女でもないだろーに!!!」

 

「うぐぅっ!!!……ん……ごめん……でもぉ……!!!」

 

 ほほをポリポリとかきながらはァっと深いため息をしたプルツーはシェルドのその手をバシッと取り、思いもよらぬ行動をした。

 

「ふぇ?!!」

 

「行くよ!!!セーズ副社長、こいつも退社……いや、情けなさすぎるから解雇してやってください!!!連れてきます!!!後、この件の挨拶はあたしがガランシェールのクルー達に伝えておきますから大丈夫です!!!」

 

「なななな?!!プルツー君、君はともかく何故にシェルド君を?!!」

 

「いちおーこいつにはサイコミュ機のメカニックっていう肩書がある……いてくれればガランシェールのキュベレイのメンテナンスに助かるだろう……」

 

「ええ?!!ええ?!!ぷぷぷ、プルツー?!!」

 

「狼狽えるな、シェルド!!!ありがたいと思え、バカ!!!」

 

 そう言いながら、プルツーはシェルドを引っ張ってガランシェールの方に向かって歩み始めた。

 

 するとルーが笑いながらプルツーの行動に関心した。

 

「あっははははは!!あのコったら、なんだかんだ言ってシェルドが好(よ)かったのね!!それに大ッ胆!!!」

 

「ははははははははっ、あのツンデレっぷりがプルツーらしいや!!仲良くな!!!」

 

 一方で、ガランシェールのクルー達がバイパスユニットから去っていく中、プルがまだその場に残っていた。

 

 そんなプルに気づいたアディンは彼女の許に歩み寄った。

 

「なんだ?寂しいのか??プルツーと別れて?」

 

「……ううん。待ってるの……」

 

「え?!待ってるって……??」

 

 するとツカツカとシェルドを引っ張りながらプルツーが照れ臭そうにしながら姿を見せた。

 

「くすっ……やっぱりこっちに来たんだね!!男子まで連れちゃって~」

 

「プルツー……それにシェルド……だっけ??てか、できてたのかよ?!!二人!!!」

 

「はい……みたいですって、痛ァあああっ!!!」

 

「ちょーしに乗って決めつけるな!!!あんたが情けないから連れてきてやっただけだ!!!」

 

 二へラとした表情でアディンに返事したシェルドであるが、ものの見事に彼女に耳を思いっきり引っ張られ否定される。

 

 だが、このやり取り自体がツンデレの典型的行動パターンであることは言うまでもない。

 

 アディンとプルは笑いを隠せない。

 

「ぷっくくくくくっ、こんなにハッキリしたツンデレってなかなか見れないぜ……ぷくくくっ」

 

「くすくすっ……ぷぷぷぷっ、素直じゃないな、プルツー!!」

 

「なっ、何笑っているんだよ!!二人とも!!と、とにかくだ!!あたしは……その、だな……あれだ、ラプラスの箱とやらに関して協力したいと思ったんだ。だから、これからはこの船に世話になろうと思った。それだけだ」

 

 そう伝えるプルツーに対し、アディンは平然とツッコミを入れた。

 

「ラプラスの箱とシェルドが何の関係あるんだよ??」

 

「こ、こいつはサイコミュ機のメカニックが数少ない売りの奴だ。ガランシェールのメカニックにもキュベレイのメンテナンスで役立つ……それだけだ!!」

 

「プルツー、顔赤いよ~……くすくすっ、可愛い~」

 

「ちょっっ……ぐぬぬぬぬっっ……プル姉っっ!!!」

 

 プルが一枚上手の追いかけっこみたいな姉妹喧嘩が始まる中、アディンは改めてシェルドに握手を交わした。

 

「ま……色々あり過ぎたけど、改めてよろしくな!!シェルド!!」

 

「あ、はい……僕こそ改めまして、シェルド・フォーリーです……あ!!」

 

 シェルドが何かに気づいたリアクションをし、アディンが振り返るとそこにはジンネマンがいた。

 

「キャプテン!!」

 

「……いいんじゃないか?歓迎する……改めて、ガランシェールのキャプテン、スベロア・ジンネマンだ」

 

「あ……ど、どうも……あ、あの、急に本当すいません!!」

 

 ジンネマンはシェルドと握手を交わすと、微笑ましくプルとプルツーの姉妹喧嘩を見守りながら答えた。

 

「いいんだ。プルツーが自分の意思で君を連れてきたんだ。もう一度言うが、歓迎している……何か得意分野は?」

 

「あ、この船のキュベレイの整備だったらできます!!」

 

「そうか……よろしく頼むぞ。トムラ達に協力してやってくれ……しかし、こういう日が来てくれるとはな……ラプラスの箱と関わらなければ、今俺達はここには訪れていなかった……そしてあの子達がある意味での再会を果たすこともなかった……何かこう、感慨深く感じるよ……」

 

「キャプテン……」

 

「ジンネマンさん……」

 

 するとジンネマンは振り返りながら皆に指示した。

 

「さぁ、そろそろバイパスユニットも切り離さなきゃならん。いつまでも油売ってるわけにはいかん……プルとプルツーも姉妹喧嘩はそこまでにして帰るぞ!!」

 

『はーい……あ……』

 

「っ……っっっ」

 

 姉妹だけあって返事も全てタイミングがダブるプルとプルツーに、シェルドは笑いをこらえるリアクションをした。

 

 そんなシェルドに気づいたプルツーがまたもやつっかかる。

 

「何がおかしいっ!!?」

 

「だ、だって声のタイミングが一緒過ぎて……いたっ!!」

 

 シェルドをはたくプルツーだが、内の感情が見え見えのプルからしてみればギャップが可笑しくてたまらない故に、一枚上手のからかいが入った。

 

「やたらいちいちかまっちゃって~……プルツー、あたしでもそんなツンデレ再現できないよ~」

 

「プル姉っっ!!!」

 

 そんなシェルドを取り巻いての姉妹喧嘩のループのムードのまま、ジンネマン達は船内に向かって歩き出す。

 

 ジンネマンは歩きながら非常に満足そうな穏やかな表情でアディンに問い質す。

 

「アディン、次のラプラスの座標はどこなんだ?早くラプラスの箱を見つけ出して、サンクキングダムとやらでマリーダ達と合流を果たさねばな」

 

「そうっすね!!そうすれば三姉妹が一緒にいられるからなっ!!今以上に微笑ましいシチュエーションになるんじゃないっすか?!」

 

「あぁ。違いない……で、座標は??」

 

「次の座標はムーンムーン??だぜ、キャプテン!!」

 

「ムーンムーン……ということはL5か……比較的遠いな……しばらく休んでおけ。それと可能であれば今一度ピースミリオンと合流する!!!」

 

「しゃっ!!!次もキメてやるぜ!!!」

 

 アディンはバシッと拳を掌に打ち付けながら次へのステージの意気込みを示した。

 

 

 

 一方、戦闘を終えたカトル達のガンダムがドックインしていく中、カトリーヌやジュリ達がメカニック達に差し入れを分けており、その中にはオペレーター交代時間となったミヘッシャもいた。

 

 彼女達は各々に戦闘を終えたGマイスター達にも駆け寄って軽食とペットボトルを渡す。

 

「デュオ!!お疲れ様!!」

 

「おお!!サンキューな、ジュリ!!助かるぜ……ぷう……みんなで配ってんのか??」

 

「そう!この前、今は貴重なのにも関わらず、私達にオーブのみんなが物資を分けてくれたからね……ケネスさんの意向でその分の差し入れだよ」

 

「なるほどね……オーブもこれからは暫定的にOZの管轄になるらしいが、複雑な気分だ……OZなんてつい今までメインの攻撃対象だったんだからなー……気づけばもっとヤバいOZプライズの台頭……それでもOZの単語には違和感ありあり……」

 

「前は前、今は今だよ、デュオ!!あと、私とカトリーヌちゃんとマユラとアサギで一緒に作ったクッキーも食べてみて!!」

 

「へぇ!!んじゃありがたく………おぉっ!!こりゃ、うまいぜ!!」

 

「よかったぁ!!おかわりたくさんあるから!!」

 

 ジュリはいつの間にか以前よりも少しデュオとの距離が縮んだ振る舞いを見せていた。

 

 カトリーヌもその隣のデッキでトロワに差し入れを渡す。

 

「はい、トロワ!!今、ジュリちゃん達やオペレーターのミヘッシャさんと一緒にみんなで配っているんだ」

 

「助かる……これはこの前のオーブからの差し入れか?」

 

「そーだよ!!さっきラシード達にも配って来た!!あとね……私とジュリちゃん達とでここの調理室借りて作ったんだ……はい!!」

 

「クッキーか……有難く頂く……うん、いい出来だ。うまい。今度また作ってくれ、カトリーヌ」

 

「ほんと!?じゃあ、今度はボクだけでトロワに作ってあげるよ!!」

 

「ふっ……敵わないな、カトリーヌには」

 

 更にその隣ではアサギがカトルに差し入れを入れて来ていた。

 

 本来ならば術後経過の安静のはずだが、彼女は車いすを使うこともなく歩きながら配っていた。

 

「差し入れです!!お疲れ様、カトル君!!みんなで作ったクッキーもありますよー!!」

 

「ありがとう!!助かるよ……うん!!おいしい!!君は確かアサギさんだったね?いいのかい?まだ術後の安静期間じゃ……」

 

「……ちょっと内緒で動いちゃってます☆」

 

「ダメだよ、サリィさんの言うとおりにしてなきゃ!無理はしないほうがいいよ。もしあれならこれ食べ終わったら僕が代わりに配るからさ!!」

 

「え?!!でも、カトル君は戦い控えてるからそれこそ休んでいた方が……(カトル君、なんて優しくて行動力あるコなんだろ……益々気になっちゃうじゃん!!でも……フィアンセの人をこれから助けるんだよね?でもでも……一夫多妻文化圏の人……うーん……)」

 

 アサギが一人の世界に入っていく一方で、マフティーはミヘッシャからの差し入れを受け取りながら頭半分ではアメンズとの戦闘を振り返っていた。

 

「……ありがとう、ミヘッシャ。助かるよ……このクッキーは??君が作ったのかい??」

 

「ううん、カトリーヌちゃん達が作ったんだって。後はオーブから支給された物資でね……それにしてもハサウェイ、顔が恐いよ??」

 

「あ……ごめん、ミヘッシャ。さっきの戦闘の事を考えててつい……」

 

「私もモニターで見ていたよ……大きなガンダムだった……やっぱり強いの??」

 

「ああ。それも事もあろうか、あの旧連邦軍伝説のパイロットであり、俺に影響を与えてくれたアムロ・レイのクローンだった……」

 

「えぇっ?!!」

 

 マフティーから語られた言葉にミヘッシャも驚愕していた。

 

「正直、俺は圧倒されていた……あいつを斃すことは、アムロさんを超えることと同義だ……できるだろうか??俺に……」

 

 何時にない弱気な発言を言いながらマフティーは抱擁の合図のようにミヘッシャに手を伸ばす。

 

 ミヘッシャはそれに応じるようにゆっくりとマフティーへ飛び込んで抱擁した。

 

「できるよ……ハサウェイなら……それに、相手はアムロ・レイ本人じゃぁない……私は信じてるよ……後、戦った後は必ず帰ってきてください……」

 

「ありがとう……約束する」

 

 そんな中、マリーダの機体であるクシャトリヤもまた急ピッチで改修整備作業が進まれていた。

 

 その中で、以前にマユラ達が見学しているところに顔を見せたリオズというメカニック少年もまた、手がけていたヘッド周りの改修のラストスパートに入っていた。

 

 「日本のOZ基地へ迫りつつある!!!作業が遅れ気味の班はもっとペース上げるように努力しろー!!!何としても機体稼働可能状況に持っていけー!!!」

 

 拡声器を使いながらクシャトリヤ整備班のリーダーが呼びかける中、リオズは配線周りを整えていた。

 

「あぁ……こういうっ、配線バンド作業、簡単なようで俺がやるとやけに時間かかっているんだよなぁ……こいつが終わったら、マスクユニットつける前の機能テストと……」

 

 リオズは整備しながらあれこれ独り言を言う癖があるようで、終始その独り言が尽きることがない。

 

「まーたあの野郎、独り言いってやがる……おい、うるせーぞ!!!」

 

「ひっ!!!すんません!!!でも、独り言行ってた方が集中できるんだよなぁ~……俺……で、この束やりづらっ……」

 

 するとそこへマユラが差し入れを入れにやって来た。

 

「お疲れ様です。差し入れですよー。オーブからの物資食とあたし達が作ったクッキーでーす☆」

 

「え?!!っ……っと……あっ、き、君は?!!確か、この前クシャトリヤの部品拾い上げてくれた……!!!あ、ありがとう!!!」

 

「え??あ!!あの時の冴えないメカニック君か!!って、ごめんなさい……冴えないとか言っちゃって……」

 

 そんなリアクションするマユラにリオズは自虐的に答えた。

 

「気にしないで、実際冴えないし……それに今、手が汚れているから……後で食べるからそこに置いといていいよ……ああっ!」

 

 そう言いながらやや緊張気味のリオズは配線バンドを幾つもぽろぽろとこぼす。

 

 「しょうがないわね」と言わんばかりの表情にふぅとため息を重ねたマユラは、自分の足許に落ちた分の配線バンドを拾ってあげていた。

 

 マユラは配線拾い集めながらショートヘアーのもみあげをかきあげる仕草をした。

 

 リオズはその一瞬に釘づけになって止まってしまう。

 

 そんな彼に配線バンドを手渡しながらマユラは自然と自らの事も吐露し始める。

 

「はい……この配線バンドもよくオーブのM1アストレイの電装品メンテで使ってたなぁ。あたし、万全になったらここのメカニックのお手伝いさせてもらうつもりでいるの」

 

「あ、ありがとう……そ、そうなんだ!!この前もそんなコト言ってたもんね、エンジニアだったって……」

 

「覚えてくれてたの?そうなの……オーブでエンジニアしててね……あの頃さ……」

 

 自然に二人の間に会話が芽生えていく。

 

 だが、そんな中、様子を見に来た整備班リーダーの目に留まってしまう。

 

「リオ公!!!ちょーしこいて女とうつつ抜かしてんじゃねー!!!ボケナスが!!!戦場が近いんだぁ!!!とっとと作業進めろクソヤローのボケコンコンキチが!!!あんたもちょっかい出すな!!!忙しいんだよ、ここのブースは!!!」

 

 そう罵声を浴びせながら去っていく整備班リーダーに対し、マユラは何故か許せない気持ちになった。

 

「何あの人っっ!!?それに言い方!!!完全にパワハラじゃない!!!」

 

「よくある事だよ……俺、鍛えられてるから、大丈夫。俺の方こそ話し込んじゃってゴメン……怖い思いさせちゃった??」

 

「いや、今までのこと思えばこんなの……怖くもないわ!!!それよかあなたこそ無理してない??あんな上司とっと訴えちゃえばイイよ!!!MSでネェル・アーガマから投げ出しちゃえ!!!」

 

「落ち着いて!!!大丈夫だってば……俺、メンタルはガンダニュウム合金だから!!!」

 

 リオズのその一言が寒すぎてマユラは丸い白目で唖然としてしまう。

 

「あ……滑った……(汗)」

 

「こほん……と、とにかく無理しないでね。今のでここの整備班の見方変わった……オーブの頃じゃ考えられない!!!でも、少なくともこれだけは言える。あたしは君の味方だよ。頑張ってね!!じゃ、クッキーここに置いとくから!」

 

 そう言い残してマユラは次の差し入れ場所に赴いていった。

 

「え……一気に進展??!」

 

 後にするマユラもまた自身の感情に戸惑いを懐いていた。

 

 (あたし……なんであんなムキになったんだろ??まさか……これが母性本能ってやつ??あー、何思ってんだか……)

 

 それぞれの色々な恋事情がネェル・アーガマのドックで展開する一方、ヒイロとマリーダはその究極とも言えるシチュエーションを、マリーダの寝室で身を重ね合っていた。

 

「……ヒイロっ……私は今、これまでにない幸せの中にいる気がす……る」

 

「俺もだマリーダ……だが、俺個人としては引っ掛かりを覚えてしまう。あいつに、カトルに申し訳なくなる」

 

「……仲間の事か……気持ちが伝わるからわかる……」

 

「ああ。あいつは、まだ意中の想い人が敵の最中にいる……場合によってはマリーダよりもひどい状態にあるかもしれない……これから始まる戦いはカトルにとって大きな分岐点となるだろう……できれば仲間達がそれぞれが安心できるラインに立った上でこの感情を懐きたい……」

 

「仲間想いなヒイロ……優しいな。すまない、これは私の我儘の任務だ……赦せ……っ」

 

「マリーダっ……」

 

 キスと抱擁を深く重ね合いながら、マリーダもまた自身に覚える引っ掛かりを吐露した。

 

「私が感じている感覚が確かなら……カトルの想い人はどこかで会ったかもしれない……名前は?」

 

「ロニ。ロニ・ガーベイだ……」

 

「ロニ……!!ロニだと?!!あの時の……ダカールで会った彼女か!!!」

 

 マリーダは、ダカール攻略前に初対面の内からガールズトークで意気投合したことや、囚われた牢獄で彼女と励まし合って過ごした記憶を思い起こした。

 

「知っていたのか?!」

 

「あぁ。ダカール攻略戦の時、初めて会ったが短時間で意気投合してな。お互いの大切な人の話で盛り上がったり、その後捕らえられた牢獄で互いを励まし合った……私の数少ない友人だ。そうか。彼女があの時言っていた砂漠の王子さまはカトルだったか……」

 

 するとマリーダはヒイロを抱きしめていた身を彼の隣に移して、添い寝するように身をシーツに沈ませた。

 

「それを聞いたら、ヒイロと同意見になった。私だけ先行して幸せに浸るわけにはいかない……」

 

「マリーダ……」

 

「……私は決めた。クシャトリヤの整備が間に合えば、今回から戦いに身を投じる……!!!もちろんそれはロニを助けるためにな!!!」

 

「そうか……マリーダの感情がそう行動したいのなら間違いはない。カトルに協力してやってくれ」

 

「無論だ……だが、せめてこの時間だけは一緒にいさせてくれ……」

 

 マリーダはヒイロと手を重ねながら瞳を閉じた。

 

「わかった……」

 

 ヒイロもまたマリーダの手を握り返して瞳を閉じた。

 

 そしてその当事者たるロニは、サイコガンダムMk-Ⅲのコックピットに身を投じ、OZ静浜基地を目指していた。

 

「反乱分子の破壊……私の、両親を奪った者達に……復讐を……!!!OZを破壊する!!!」

 

 半ば作られた記憶を刷り込まれ、憎悪に満ちた表情でモニターを睨むロニの姿がそこにあった。

 

 これまでにも幾多のアジア圏の紛争地域に介入し、単機で紛争を撲滅してきた狂気のガンダムであるサイコガンダムMk-Ⅲが遂に日本の領空内に侵入していた。

 

 フットユニットに組み込まれたミノフスキークラフトが巨大なる機体を浮遊させ、空中の進撃を可能にしているのだ。

 

 彼女をここまで仕立て上げたのは、マリーダにも屈辱を与えたあのベントナという男である。

 

 彼はDOMEシステムの開発にあたり、オーガスタ研究所へ送り出す被験体を自身で選別する為、日本の静岡市北部にあるムラサメ研究所に行っていた。

 

 ニュータイプの可能性や強化を施された冷凍冬眠の被検体達が並ぶ中、ベントナと助手達が彼らのデータを調べ続けていた。

 

「ドクターベントナ。やはりどれも優れたものばかりです……月のパトゥーリアのコアユニットの候補は……」

 

「くくくくっ、それに関してはもう月に運んだ。月面研究所に一任している……む」

 

 その時、タブレットデータベースを操作していたベントナの目にある名が止まった。

 

「クロエ……クローチェ。かつてペイルライダーと呼称される機体の実験体だった旧ジオンの捕虜だったものか……君、候補にピックアップだ……くひっひっひひ」

 

「はい」

 

「それとな……私はこういう、うら若き乙女の強化人間の体の堪能と強化人間の人生を潰し上げる私的快楽感をもっているんだよ……ひーひひひひ!!!またマリーダ・クルスをいじりたいなぁ……ひひひひひーひひ!!!」

 

「はぁ……(噂以上にヤバイドクターだ……)」

 

 一方の月面極秘研究施設においても、パトゥーリアへのコアユニット候補の被検体が到着し、居合わせている研究員達に抜擢されようとしていた。

 

 ここにおいても彼らは冷凍冬眠状態で保管される形に晒されていた。

 

「リタ・ベルナル……地球で色々と選別した結果、この少女か……不足はない!!!」

 

「これも月の女帝ミズ・マーサの指示か?」

 

「あぁ。いつでも起動できるように早急に急げとのことだ……またヒステリー起こして、二転三転しそうだがな……」

 

「記録されていたら消される発言だぞ、お前。命が惜しかったら余分な発言は控えろ……」

 

 地球と月とでマーサの関わる黒い動きがうごめく中、成層圏においてOZプライズの勢力が大きく動く様相を見せていた。

 

 継続され続けるオペレーション・ノヴァの一環で、シルヴァ・ビルゴやサジタリウスαとβの三機種のMDを乗せた輸送降下船が世界各地のOZ結集地に向けて発進準備の段階に差し掛かっていた。

 

 無論、OZ静浜基地もその標的の一つとなっており、これらが降下すれば焼津市・藤枝市は間違いなく戦場と化す状況かであった。

 

 そして日が変わり、朝日が安定の輝きを照らす。

 

 ヒイロは寝ているマリーダの傍を後にし、やり残していたウィングガンダム・ゼロの整備を急ピッチで進めていた。

 

 夜を徹して作業が進められたクシャトリヤ・リペアードの改修作業もまた、最終点検が成されていた。

 

 リオズが担当していたメインカメラも無事に作動し、全周モニターも正常に作動していた。

 

 そして夜間の戦闘から休息していたヒイロ達以外の各Gマイスター達も戦闘前の朝食をとりながら戦闘に備える姿が見受けられた。 

 

 日本時間の午前9時、OZ静浜基地及び周辺一帯を占拠しているOZMS部隊のリーダーが宣言を上げた。

 

「日本のみなさん、おはようございます!!!私はOZ所属のイヅミ・ターノフ上級特尉です!!連日この場を占拠してしまい申し訳なく思っている!!!だが、これはあなた方民衆を目覚めさせるためにしてきたのです!!!」

 

 その宣言はOZ静浜基地のみならず、各地で同じように決起したOZの士官達が民衆に対して呼びかけていた。

 

 それは直接聞く者、ネットワークで視聴する者、テレビ媒体やラジオで視聴する者、立ち会った全ての民衆に発信されていた。

 

「我々OZは、内部から派生し新たに台頭したOZプライズのやり方に極めて強く危険視しています!!!島国のオーブ首長国がOZプライズに占領され、彼らによる多大なるジェノサイドが行われていたということを、あなたはご存じか?!!我々と同じ志を持つ、OZ兵士達を切り捨て、無人兵器MDによるジェノサイドが行われていることをご存じか?!!非人道な人体実験を施された人間を戦争の道具のように使かい、世界の闇で死んでいっている者達がいることをご存じか?!!OZプライズが保有する戦略兵器・バルジⅡによって大量のコロニーが破壊され、多大なるコロニー市民に犠牲者が出た事をご存じか?!!全てこれらは、情報工作・偏向報道によって捻じ曲げられ、あなた方民衆に知られないように仕組まれてきたのです!!!」

 

 彼らのその行動はある意味でオペレーション・プレアデスの再現でもあり、状況は正にオペレーション・プレアデス対オペレーション・ノヴァであった。

 

 OZプライズのやり方の警鐘を促すために各地で決起したOZと、それを力で潰さんとするOZプライズとの同時多発の衝突の火蓋が切られようとしていた。

 

 

 

To Be Next Episode

 

 

 

 次回予告

 

 

 焼津市と藤枝市を跨ぎ、イヅミ・ターノフを中心にしたOZの大部隊がOZ静浜基地を占拠した。

 

 それは悪質な侵攻や支配やジェノサイドを行うOZプライズへの武装蜂起と民衆達への現状からの覚醒の為だった。

 

 ネットワークを通じ、世界各地でOZとOZプライズの戦闘が起き、イヅミ・ターノフ達にもオペレーション・ノヴァの一環で降下するMD大部隊が押し寄せ、凄まじき攻防戦が日本の地に巻き起こる。

 

 その戦場にロニが乗り込んだサイコガンダムMk-Ⅲが向かい、近辺エリアのムラサメ研究所ではベントナの愚行が迫害を加速させる。

 

 ヒイロ達がその負の空間がうずめく三ケ所に武力介入を開始する中で、カトルは編成を組んだマリーダと共に、長きに渡り会えなかったロニと遂に再会する。

 

 しかしそれは決して喜ばしい形の再会ではなかった。

 

 次回、新機動闘争記ガンダムW LIBERTY

 

 エピソード 46「悲痛なる再会」

 

 


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