新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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エピソード42「解放への閃光」

 

 ジュリに迫る似非なる死神の鎌。

 

「あ……え……?!!」

 

「もらいー!!!」

 

『敵機のガンダムが急速接近!!!逃げて下さいっっ!!!ジュリさん、カトリーヌさん!!!』

 

 危機的状況を呼び掛けるエイーダの通信が響く中、マグアナック隊も急接近するフォビドゥンガンダムの反応を捉え、それがジュリとカトリーヌ目掛けてきているのを確認する。

 

「いかん……!!!あの位置にはカトリーヌ様達が女性達の解放を……!!!野郎共いくぞ!!!」

 

 ラシード達4機のマグアナックが飛び立ち、向かい来るフォビドゥンガンダムの機影に向かいビーム射撃を慣行する。

 

「うおおおおおおおお!!!カトリーヌ様達を死守だあああ!!!」

 

 だが、超高速の機体スピードにビームは悉く躱されてしまう。

 

「中らねえ!!!なんてスピードだ!!!」

 

「敵のガンダムかああ!!?」

 

「このままでは、カトリーヌ様達がああ!!!」

 

 アブドゥル、アウダ、アフマド達も難敵の急接近に焦りを見せる。

 

「くッ……敵の接近を許してしまう!!!野郎ども、奴のスピードを見越して撃つぞ!!!」

 

 ラシードの瞬時の判断で、超高速を見越した軌道読み射撃の射撃方式で一同は攻撃を続けた。

 

 だが、低い命中率の中でようやく命中する一撃も、ゲシュマディッヒパンツァーの特性でビームが曲げられてしまう。

 

「何い!??くうっッ、カトリーヌ様ぁあああああ……お離れ下さい!!!」

 

「ジュリちゃん!!!うあああああ!!!」

 

 カトリーヌもまたビームライフルで応戦するも、PXの超高速により、全てが躱されてしまった。

 

「うっ……速過ぎて中らない……!!!誰かっ、ジュリちゃんがやられちゃう!!!」

 

「しーねっ」

 

 マグアナック・カトリーヌ機を通り越したフォビドゥンガンダムが、ジュリの面前にシャニの狂気と共に迫り来る。

 

 そして悪魔のようなフォビドゥンガンダムはM1アストレイに対し、容赦なくニーズヘグを超高速で振り下ろした。

 

「え……嫌ッッ!!!きゃあああああああああッッ!!!」

 

 ジュリが恐怖に支配された表情で悲痛な悲鳴を上げながら顔を手で隠しかざす。

 

 その直後、巨大な鈍い金属音が響いた。

 

 

 

 ダギャキイイイイイイッ……!!!

 

 

 

 一方でヒイロはユセルファーを高速度で追撃する。

 

 追われ追う攻防戦が展開し、ツインバスターライフルとバラエーナ・プラズマキャノンの射撃が高速域で撃ち合う。 

 

「くそぉ……!!築き上げた私の独裁場を終わらさせられるだとぉ……?!!権力、欲望、虐殺……私のアイデンティティを満たす場が……!!!」

 

「戦争による非人道な闇はいつの時代にも生じる……集団的にも、貴様のような利己的にも……だが、少なくとも俺達の行動範囲にそれが飛び込めば……全力をもって止める!!!」

 

 ヒイロがユセルファーに言葉を叩き付けると同時にツインバスターライフルの中出力のビーム過流が放たれる。

 

「やかましいっっ……ぐうううう?!!」

 

 辛うじて躱せると踏んだユセルファーだが、掠めたツインバスターライフルのビーム過流はシールドを歪ませた。

 

「あああああああ!!!気に入らんっっ!!!気に入らん、気に入らん、気に入らああああああん!!!」

 

 ノワール・フリーダムガンダムは、バラエーナ・プラズマキャノンをユセルファーの怒り任せの感情に乗せて乱発する。

 

 無論、それはウィングガンダム・ゼロに中る事はない。

 

 次のタイミングでユセルファーはチャージしたバラエーナ・プラズマキャノンを放ってみせたが、それに生じる減速を利用してヒイロが懐に斬り込みに突入し、ウィングガンダム・ゼロはビームサーベルを力強い抜刀軌道で斬り払う。

 

 ノワール・フリーダムガンダムはそれをビームサーベルで受け止め、両者が生じさせるスパークが月下にはしった。

 

「ぐうううううっっ……!!!憎たらしいなっ!!!貴様ああああ!!!」

 

 拮抗するビームサーベル同士のつばぜり合いの激突を捌き弾いて、何度も叩き斬ろうとするノワール・フリーダムガンダム。

 

 だが、全ての斬撃はウィングガンダム・ゼロのビームサーベルで受け止められ続ける。

 

「生憎だが、俺もだ。ユセルファー・ツーセンタ……!!!だが、貴様は決して俺には勝てない。もう俺には貴様の結末は見えている……!!!」

 

「っっ……どこまでっ……どこまで気に入らない奴なんだっ貴様はぁあああああ??!」

 

 繰り返されるビームサーベルの激突の中、両者は剣撃を弾き合わせるような軌道で高速移動をしていく。

 

「貴様が口に繰り返す気に入らない存在……部下だろうが、何であろうが、自分の気に触れた存在をことごとく潰して来たんだな……!!!」

 

「だから何だという??!気に入らなければ潰すっ!!!潰すんだよ!!!無論、この状況自体も気に入らんがね!!!それに貴様たちは何様だ!!?正義のミカタ気取りのテロリストがあああああ!!!」

 

「俺達は元々、力でコロニーを虐げる連邦とOZに反抗してきた。時代が動き、今や連邦を乗っ取ったはずのOZがOZプライズに乗っ取られようとしている……OZプライズが成す世界をOZプライズの貴様が先行して……オーブを通して示してくれた……絶対に存在を許してはならないとなっ!!!俺達は貴様達のような理不尽な強大な力を叩くっ……!!!」

 

 ビームサーベルの捌き合いから一転し、ウィングガンダム・ゼロはレフトアーム装備のツインバスターライフルを撃ち飛ばす。

 

 

 

 ヴウゥッッ―――ドォズヴァアアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

「ぐぅッ?!!うおおおおおおッッ……!!!」

 

 

 

 ドォオオオオオオオッッッ……ドォズアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 咄嗟にユセルファーは防御を取ってしまい、ツインバスターライフルのビーム過流がレフトアームごとシールドを吹き飛ばした。

 

 小爆発を起こしながら態勢を崩されたノワール・フリーダムガンダムは、力の限りに飛び立つ。

 

 この時点で戦闘のイニシアチブは確実にヒイロとウィングガンダム・ゼロに在り、自身に敗北と理想郷の終わりが迫っている事をユセルファーは嫌でも思い知らされていた。

 

「くうぅそおおおおおおッッ……今夜で終わってしまうならばッ……もういっそ……この手で私の好むモノを……!!!」

 

 ユセルファーは、女性達が収容されている区画は幾つも点在して存在している場所を思い出しながら、自らの欲望を満たす場所の破壊に思考を転換する。

 

 その思考はゼロシステムを通じてヒイロにも伝達され、怒りを通り越した呆れにも似た感情を懐いた。

 

「ユセルファー……この期に及んでその発想か……つくづく救えん下種だ……!!!」

 

 はしるツインバスターライフルの一撃だったが、不の意地でも見せつけるかのようにユセルファーはこれを躱し切りながら加速した。

 

「……まだ墜ちてなるものかぁあああ!!!最高のお気に入りの場所っ……道連れだぁあああ……!!!」

 

 ノワールフリーダムガンダムが向かうは、ユセルファーが好むマユラやアサギ達が収容されている場所だった。

 

 そこでは絶望の中、都市部の方面からは通常では在り得ない戦闘音が聞こえて来ていた。

 

「ねぇ……さっきから聞こえてくる音……これって戦闘の音……だよね?」

 

 マユラが寄り添い合うアサギに問いかける。

 

「うん。何かが起こっているのは確か……さっきまでは悲鳴と嘆きばかりだったけどさ……」

 

「……あいつらも途中で辞めざる得ない状況になったみたいだった……これってまさか……誰かが助けに来てくれたってこと?!!」

 

 状況からしてマユラは助けが来たのかと感じた。

 

 アサギもまたそう感じていた。

 

「うん、きっとそうだと思う……でも、一体誰が今のオーブを助けてくれるっていうの??」

 

「もしかしたら……ジュリだったり……なんてね……」

 

 マユラは万が一の希望を抱きながら冗談交じりにアサギにそう言った。

 

 だが、その当事者には闇夜を斬り裂く死の鎌がコックピット越しに振るわれていた……。

 

 

 

「―――……え……??!」

 

 

 

 だが、ジュリのM1アストレイにはその切っ先は微塵も触れていなかった。

 

「……似非死神のヤロウ……どうやら、俺を本気で怒らせたみてーだなぁ……」

 

 

 

 ♪WILD WING ※

 

 

 ※デュオのキャラソンです

 

 

 

 ジュリが瞑っていた瞼(まぶた)を開くと、そこにはライトジョイント側のアクティブクロークでニーズヘグを受け止めているガンダムデスサイズ・ヘルの姿があった。

 

 同時に聞こえたデュオの声。

 

「デュオの……ガンダム?!!」

 

「生意気ィいいいっっ……!!!」

 

 シャニの歯ぎしりの後に更なる力が加わるが、この瞬間に互いのPXシステムがタイムオーバーで強制解除された。

 

「おやおや……更にお互いPXが解けたみたいだな……さて、この胡散臭い鎌……そろそろ退けてくれ!!!偽死神さんよぉ!!!」

 

 

 

 ギュウィィイイッッ―――ザシュガアアアアアッッ!!!

 

 

 

 防御維持のまま薙いだアームド・ツインビームサイズの一撃が、フォビドゥンガンダムを吹っ飛ばす。

 

「がぁあああ!??」

 

「インチキ死神ガンダムヤロー、エゲツない力でか弱いコ狙いやがって……!!!本物の死神様は怒り浸透だぁっっ!!!第一、俺がてめーの相手だったんだろーが!!!」

 

「デュオ……!!!ありがとう……!!!」

 

「おっと、礼はまだ早いぜジュリ……俺はヤロウに鉄槌を下してやらなきゃならない!!!とにかく奴は遠のかせる……捕らわれている人達の救出を引き続きたのむぜ!!」

 

 そう言いながらデュオはフォビドゥンガンダムに向かって加速した。

 

 その姿を見つめるジュリには熱い何かが込み上げるような感覚を覚えていた。

 

「デュオ……」

 

「デュオが助けてくれたんだ……!!ジュリちゃんが助かってくれて本当によかった!!もう……本当にダメかと思った!!」

 

 サイドモニター画面からジュリの無事に安堵するカトリーヌが呼び掛けた。

 

「うん……!!本当に……!!!もう、カッコいいとしか言えないよ……デュオは……!!!」

 

「ジュリちゃん……!!」

 

「よし、救出作業再開しようっ!!今の私にできる事だから……!!!」

 

「ボクも手伝うよ!!ラシード達は周囲警戒をお願い!!エイーダさんもナビゲートありがとう!!デュオが助けてくれたから、大丈夫だよ!!引き続きナビお願いします!!」

 

「了解です!!!」

 

『よかったァ……!!!本当に……ッッ!!私は一時どうなるかと……!!!わかりました!!こちらこそ引き続きよろしくお願いいたします!!』

 

 カトリーヌの指示に、ラシード達の熱い返事とエイーダの安堵の言葉が漏れた。

 

 その一方で、アームド・ツインビームサイズを唸らせながらニーズヘグと刀身を激突させたガンダムデスサイズ・ヘルは、加速を止めることなく、フォビドゥンガンダムを押し下がらせる。

 

「こいつ、ムカつくぅううう!!!」

 

「それはこっちのセリフだってのっ!!!」

 

 純粋なパワーは、やはりガンダムデスサイズ・ヘルに軍配があり、スパーク閃光を放ったままフォビドゥンガンダムを押し下がらせていく。

 

「くっそぉっ!!!」

 

 フォビドゥンガンダムはバックユニットを展開装備し、フレスベルグを至近距離から撃ち放った。

 

 それと同時にブースターと反動を利用した離脱に至る。

 

 

 

 ガキシャンッ……ヴギィヴァアアアアアアアアッ!!!

 

 ディギィイイイイイイッ!!!

 

 

 

「へっ……浴びせてやったよ……あれ?!何でだよ!?!」

 

 撃破してやったと思い込んだシャニは、すぐに過度な苛立ちにのまれる。

 

 モニターには平然と原型を留めているガンダムデスサイズ・ヘルの姿があった。

 

「……その気になりゃ、ウイングゼロのバスターライフルだって防げるんだぜ……ま、理論上らしいがっ。てかさっきからも防いでるだろーが。学習力ねーなぁ……ま、とにかく俺の相棒にビームは効かねーよ!!!」

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルは、アームド・ツインビームサイズを振りかざし、フォビドゥンガンダムへ再び加速する。

 

「わあああああ!!!更にムカつくぅううう!!!」

 

 迫る死神にフォビドゥンガンダムは、懲りずにフレスベルグとレールガンのエクツァーンを乱反射して対抗した。

 

 ガンダニュウム合金に加え、高精度のビームコーティングが施された同合金製のアクティブクロークには、ダメージが表層で相殺されるも同然だ。

 

「無論、実弾も効かないけどな……だぁりゃあああああ!!!」

 

 

 

 ザギシャアアアアアアッ、ザギャガァアアアアアンッ!!!

 

 

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルは一気にフォビドゥンガンダムの懐に飛び込み、左右のエクツァーンの砲身をアームド・ツインビームサイズで斬り飛ばす。

 

「ちぃいいいいっ!!!」

 

「おらおらぁ!!!斬って、斬って、斬って、斬ってぇっっ……斬りっ……まくるっっ!!!」

 

 ザギシャアッッ、ガギガァアッ、ザギャインッ、ディッガギャアッ、ザァドォガッ、ザシャガァアッ、ズバガァアアアアアアッッ!!!

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルのアームド・ツインビームサイズの斬撃の乱舞がフォビドゥンガンダムのアーマーユニットに集中する。

 

 辛うじてトランス・フェイズ装甲の恩惠でダメージが半減していた。

 

 だが、本来受けるダメージが高ければ高い程、バッテリーの消費が著しくなる上、やがては効力が無くなる。

 

「おらぁあああああ!!!」

 

 短間隔での連続ダメージに装甲材質変換にバグが一時的に生じ、その部位のアーマーユニットにバスターシールド・アローのビーム刃が突き刺さった。

 

 

 

 ザシュゴォオオオオオッッ!!!

 

 

 

「はぁ?!!うっぜぇえええなっっ!!!」

 

 対し、フォビドゥンガンダムは破損したアーマーを展開して、ニーズヘグを振りかざす。

 

 両者の鎌が激突し合い、幾度も振り払い合う。

 

 ガキィギャンッ、ザシャガァアアッ、ガギガァアアアッ……ガギャンッッ……ザギガァアアッッ!!!

 

 その光景は正に死神同士の決闘であった。

 

 アームド・ツインビームサイズとニーズヘグ、ビームと実体鎌の激突は止まる様子を見せない。

 

 

 

 ギャイイイイイッッ!!! ザバガァアアアアンッッッ!!!

 

 ザシャガァアアンッ、ジギャガァンッッ、ガギィイイイイイイ!!!

 

 

 

「ふぅぅっ……!!!絶対コロス!!!」

 

「やってみなっ……!!!」

 

 殺意を押し付けるシャニに対してのデュオの不敵な一言を合図に、両者は再び刃をガインッと捌き合いながら機体を舞い上がらせる。

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルとフォビドゥンガンダムは空中で斬撃の打ち合いを始める。

 

 アームド・ツインビームサイズの薙ぎ払い。

 

 ニーズヘグの振り下ろし。

 

 すれ違い際のスパーク。

 

 再び舞い戻りながらの斬撃。

 

 繰り返されるスパーク。

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルは幾度も来るフォビドゥンガンダムの斬撃を捌き弾いては、アームド・ツインビームサイズのカウンターの薙ぎ、叩き斬り、バスターシールド・アローの刺突を見舞う。

 

 この光景を救出作業の合間に、ジュリとカトリーヌ、ラシード達の一行が息をのんで見届けていた。

 

「すごい……!!!」

 

 ジュリはその一言しかでなかった。

 

 運命が半ば間違えば、シャニの刃に殺されていた。

 

 それを救ったのは紛れもない死神だった。

 

 その死神は死すべきではない人の死を斬り払い、万死に値する存在に向けて死の制裁を下そうとしていた。

 

「がはぁあああ!!!くっそ!!!クッソおおお!!!お前なんか!!!お前なんかぁああああ!!!」

 

 

 

 ガギャジュイイイイインッッ!!! ジュジィイゴォアアアアアァァァアアアアァァ……

 

 

 

「ぐぅッ……!!!」

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルは、アームド・ツインビームサイズの両刃の間にニーズヘグの刃を受け止めた。

 

「どうした?殺すんじゃないのかぁ?まぁ、所詮は似非の死神は似非ってコトで……本物には及ばないってコトだ……」

 

「ぎぎぎぎぎぎッ……!!!」

 

「今から本物の死神って奴を……そのイカレタ頭に刻み付けて……やんぜッッ!!!」

 

 

 

 ギュギギギィイイイイッッ……ギィグググゥッッ!!

 

 

「なっ……!!?」

 

 眼光を光らせたガンダムデスサイズ・ヘルは、そのパワーでニーズヘグの刃に力を加え、鋼の柄の首根っこからへし曲げてみせた。

 

「へっへへへ……!!!」

 

「くそぉっ!!!」

 

 フォビドゥンガンダムは一度離脱し、再びアーマーユニットを展開装備してフレスベルグを撃ち飛ばす。

 

 無論ながらそのビーム渦流は、アクティブクロークに阻まれて相殺していく。

 

「くそクソくそクソ、くそぉォァアアああああ!!!」

 

 更に気が狂ったかのようにフレスベルグが乱発される。

 

 デュオは敢えてその攻撃を受け止めながらガンダムデスサイズ・ヘルを空中に佇ませた。

 

「……だから効かねーよ……後もう一つ言っておくぜ……こいつは偶然なんだろうが、お前は俺の貧乏~くじな人生で出会えた極めてレアケースな存在に手をかけようとした……一足間違ってたらあの状況で彼女がやられちまってたかもしれねー……意中の相手に牙向けるなんざ、誰だって怒り浸透するよなぁ??」

 

「ごちゃごちゃうるせー!!!俺は八つ当たりにやっただけだぁ!!!お前じゃ気分悪くなるだけだからさぁ!!!」

 

「ゲス外道な回答どうも……さぁ、本物の死神の鉄槌、受けて貰うぜ似非死神さんよぉっっ!!!!!」

 

 

 ギュウィィイッッ、ドォアアアアアア!!!

 

 

 ライトジョイント側のアクティブクロークを展開したガンダムデスサイズ・ヘルが、フォビドゥンガンダムに鉄槌の猛進をする。

 

 

 撃ち放たれ続けるフレスベルグのビーム渦流は、レフトジョイント側のアクティブクロークに相殺され続けた。

 

「おらおらぁ!!!死神様の鉄槌っ……だっ!!!」

 

「わああああああああ!!!ムカつくんだよぉおおお!!!」

 

 へし曲げられたニーズヘグを振り上げ、フォビドゥンガンダムはガンダムデスサイズ・ヘルに突っ込んだ。

 

 両者の斬撃がぶつかる。

 

「そらぁよぉおおおっっ!!!」

 

 

 ザァギィガァアアアアアッッ!!!

 

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルとフォビドゥンガンダムの斬撃が重なった刹那、ニーズヘグの刃の首とライトジョイント側のゲルマディッヒパンツァーがアームド・ツインビームサイズによって斬り飛ばされた。

 

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルは駆け抜けながら瞬発的な機動力で再び舞い戻り、アームド・ツインビームサイズをかざしてフォビドゥンガンダムへと高速で斬り掛かった。

 

 

 

「斬ってぇっ!!!」

 

 

 ザシュガァアアアアアッッ!!!

 

 

「あぐがっ!!!」

 

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルは袈裟斬り軌道の斬撃でバックアーマーユニットの装甲に裂傷を見舞わせ、間髪入れずにフォビドゥンガンダムの胸部目掛けての回し斬りを浴びせる。

 

「斬って、斬ってぇっ!!!」

 

 

 

 ザァバガァアアアアッッッ、ズゥドガァアアアアッ!!!

 

 

 

「がぁっ……!!!」

 

 回し斬りと同時に、バスターシールド・アローの刺突の一撃も加えられた。

 

 アームド・ツインビームサイズの斬撃は、ここからラッシュを開始した。

 

 二連刃のビーム鎌が、フォビドゥンガンダムを本格的に屠りに暴れた。

 

 

「斬りまくりだっ!!!そらそらそらそらぁああああ!!!」

 

 ザッガギャッ、ザバガァッ、ザシュガアッ、ズバンッ、ギャガァッ、ディッガインッ、ジュズガァッ、ジュゴガァッ、ザジュバァッ!!!

 

 乱舞するアームド・ツインビームサイズの斬撃は、遂にトランス・フェイズ装甲の許容バッテリー消費を超え、ガンダニュウム合金に近い強度特性の化けの皮が剥がれ始めた。

 

「ぢっきしょおおおお!!!くそぉォァアアアアアア!!!」

 

 シャニが怒り叫ぶ中、装甲はガンダリウム並みの強度に落ち込み、斬撃部位が焼灼されていく。

 

 更にガンダムデスサイズ・ヘルの無双斬撃は重なり続けた。

 

「更に斬ってぇっ!!!斬って、斬って、斬って、斬って、斬って、斬って、斬ってぇっ!!!斬りっっ……まくるぜぇえええ!!!!」

 

 

 ザジュガアッ、ギャザガッ、ジュガギャッ、ズザガァッ、ジャギャギィッ、ザジュバッ、ジュギャシャッ、ザバガァアアッ、ズバシャッ、ザゴシャアッ、ズバドォッ……!!!

 

 ザシュガァアアアアアッ!!!

 

 回し斬りの斬撃が炸裂し、アームド・ツインビームサイズがフォビドゥンガンダムの胸部にめり込む。

 

「ぐぎぃはぁああああああっっ……!!!」

 

 シャニが焼灼滅却される中、更にガンダムデスサイズ・ヘルの力尽くの斬り込みが加わり、ズタズタになったフォビドゥンガンダムを上下に破断させた。

 

 

 ジュギィゴォォ……ググギギッ、ズバギャアアアアンッ!!!

 

 

「これが……真の死神様の鉄槌だっ!!!せいぜい地獄で懺悔でもするんだな……!!!」

 

 

 デュオは鋭い眼光でシャニに鉄槌のセリフを吐きかける。

 

 同時にガンダムデスサイズ・ヘルの眼光が光り、直後にフォビドゥンガンダムはスパークを帯ながら爆発・破砕した。

 

 

 

 ドォゴバガァアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 一方、ガンダムサンドロック改とレイダーガンダムはPX同士の攻防を繰り広げる。

 

「滅却、滅殺っっ!!!がぁあああああ!!!」

 

 両者は超高速で飛び交い、ガンダムサンドロック改のクロスクラッシャーとバスターショーテル、レイダーガンダムのクローが幾度もぶつかり合い、弾き合う。

 

 

 

 ガッキャイインッ!!! ディギャインッッ、ガッキャガアッ!!! ギャキャイッッ、ディガオンッ、ガズガアアアアアアン……ッ!!!

 

 

「確かに相手もPXならではの速さだっ……長引けば互いにシステムが解除される……できれば発動中に決着をつけたい。いきなり射撃戦に持ち掛けて……!!!」

 

 

 虚を突く意図で、カトルは迫るレイダーガンダムにビームマシンガンを放った。

 

 

 

 ヴィヴドォドドドドドォアアアアァ!!!

 

 ディギャドォドォドォドォドォオオオッ!!!

 

 

 

「ちい?!!なんだよ、コノヤロー!!!」

 

 急なビームマシンガンの直撃を受けたレイダーガンダムは一撃離脱しながら旋回し、再びガンダムサンドロック改へと攻勢に出る。

 

 ツォーンとクロープラズマキャノンのアフラマズダ、ショルダービームマシンガンの乱発の応酬がガンダムサンドロック改に向けて発射されていく。

 

 

 

 ヴギュゴォァアアアアッ!!! ヴィギュアアアッッ、ヴィギュアアアアアッ!!!

 

 ヴィズゥダァアア!!! ヴィズダア、ヴィズダアアアア!!!

 

 ヴィディリリリリリリィイイッ!!!

 

 

 

「中らないよ!!!」

 

 カトルはレイダーガンダムの波状攻撃を巧みに躱しはじめていた。

 

 

 ガンダムサンドロック改は青白い残像を描きながら超高速でレイダーガンダムの攻撃を躱しながら、クロスクラッシャーと連動装備したビームマシンガンを撃ち放つ。

 

 

 

 ドゥドゥドゥドゥドゥヴィイイイイ!!!

 

 ドゥドゥドゥヴィッ、ドドドゥルルルルルヴィイイイィッ!!!

 

 

 ディギャラララララン!!! ディディディディディディディディディディディギャラララララランッ!!!

 

 

 

「くっそがぁ!!!絶対にぶっ殺すぞっ!!!」

 

 レイダーガンダムもまた、残像を描きながら猛攻を加え続ける。

 

 カトルは一撃離脱しては攻め来るレイダーガンダムに対し、再度旋回してからの攻勢にチャンスを伺う。

 

「一撃離脱戦法をしてくるね……それを利用させてもらうよ。怪鳥はロック鳥の名を持つ、僕のサンドロックが狩るさっ!!!」

 

「うおらあああああああ!!!」

 

 クロトは怒り任せの射撃攻撃をガンダムサンドロック改に幾度もぶつけにかかる。

 

 その攻撃の最中、ツォーンとアフラマズダの射撃がガンダムサンドロック改に中った。

 

 

 

 ドォコガアアアッ、ズドォオッッ、ドォズゴオアアアアッッ!!!

 

 

 

「ひゃぁはああああっっ!!!滅殺……何ぃ?!!!」

 

 クロトが狂気じみた笑みを浮かべたその時、着弾爆発の中からガンダムサンドロック改が飛び出す。

 

 飛び出したガンダムサンドロック改は、両眼を光らせながら、クロスクラッシャーを構えていた。

 

 殴るようにクロスクラッシャーをかざした刹那、レイダーガンダムの機体にガンダムサンドロック改の一撃が加わる。

 

 

「はぁあああああッッ!!!」

 

 

 

 ギュウィィイッ……バッギャラガァアアアアアアアン!!!!

 

 

 

「がぁああああああっ?!!!クソッタレェエエエエぇぇっ!!!」

 

 僅かに回避しようとしたのが祟り、レイダーガンダムはライトウィングバインダーを破壊され、激しく姿勢制御を乱した。

 

「よし!!本当は捕まえるつもりだったけど、これで取り乱せた!!さぁ、いくよサンドロック!!!」

 

 

 墜落するかのようなイビツな軌道で飛ぶレイダーガンダムに、両眼を光らせたガンダムサンドロック改が狙いを定める。

 

 それはさながらロック鳥が怪鳥を狩る瞬間とでもいうべき瞬間だった。

 

 残像を残しながら超高速でレイダーガンダムに迫ったガンダムサンドロック改は、レフトアーム側装備のバスターショーテルの斬撃を浴びせにかかった。

 

 

 

 ディカイィイイイイイイイインッッ!!! 

 

 

 その斬撃を皮切りに、PXのポテンシャルを最大限に活かしての縦横無尽なる超高速軌道斬撃を開始した。

 

 

 

 ディッガイインッ、ディッキャイッ、ガッギャガアアッ、ザダギャアアッッ……ドォドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥルルルゥゥッ……ザギャガアアアッ、ズガギイイイィィッ、ダギャオンッ、ディッガイイイッ、ズバギャアアッ、ギャジュシャンッ……ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥルルルゥゥゥッッ、ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥルルルヴヴヴヴゥゥゥ!!!

 

 

 

 クロスクラッシャーとバスターショーテルを連携させた超絶的波状斬撃が飛び交う。

 

 ガンダムサンドロック改のその超高速攻勢に加え、ビームマシンガンの実質オールレンジの超絶的波状射撃がレイダーガンダムの装甲にダメージを過大体積させていく。

 

 間もなくしてトランス・フェイズ装甲の発動バッテリーの効力もオーバーし、直なダメージがレイダーガンダムを削り削ぎ始めた。

 

 

 

 ズガオンッッ、ギャガガアアッッ、ザドォギャァアッッ、ズドォガオンッ、ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥルルルッッ、ギャギイイッ、ズガギイイイィッ、ガズドォオオッッ、ギャギィザァッッ、ドォドゥドゥドゥドゥドゥルルッルルルルルルルルゥゥッッ、ギャインッッ、ザシュバンッ、ズダギャッッ、ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥルルルルルッルルルルルッッ、ザズガアアアッ、ズギャガアッ、ディッガギャイイイイイイインッッ!!!

 

 

 

 天空から一直線にはしったクロスクラッシャーの唐竹の斬撃が、ズタボロの鉄塊人形になったレイダーガンダムを裂断させた。

 

「ちっきしょうがああああああああッッ!!!ぐぅッ?!!」

 

 

 

 ガオンッッ!!!

 

 

 

 更にガンダムサンドロック改はクロスクラッシャーで、その裂断されたレイダーガンダムの上半身部を挟み掴む。

 

 その零距離にはビームマシンガンの銃口が控えていた。

 

「さあ……これで終わりだ。君達は散々無益な破壊をし尽して、その罪を僕達にすり替えてきたんだ。その一人として報いを受けてもらうよ……」

 

 普段は優しいカトルもこの瞬間ばかりは冷徹にも感じれる恐怖とプレッシャーを感じさせていた。

 

「ざけんなッッ!!!ここ仕切ってる変態ヤローが仕向けてるに決まってんだろーが!!!滅殺してやる!!!」

 

 この期に及んでクロトはカトルに反を成す言動をし続けた挙句、ツォーンによる至近距離射撃を撃とうとさえしてきた。

 

 当然のごとくその一撃を許す前に、零距離の銃口からビームマシンガンを放った。

 

 

 

 ヴィドドドゥドゥドゥドゥドゥドゥヴㇽルルルルルルルルルルルルゥウウウウウウウウッッ!!!

 

 

 

 「ぎゃあああああああああああッッ!!!」

 

 

 

 ディギャラララゴゴゴゴバババゴバダギララララゴゴゴバガギャランッッッ……ゴォバオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!

 

 

 

 ガッチリとホールドを維持するクロスクラッシャーと零距離の高速ビーム連射撃がレイダーガンダムの装甲を、クロト諸共直に砕き飛ばして木っ端微塵爆散させるに至らしめた。

 

「今回ばかりは投降させるに値しない……僕だって心を獅子にすることもあるさ」

 

 

 

 

 そしてガンダムヘビーアームズ改は、アーム・バスターカノンとダブルビームガトリングの波状連射、連発射撃をカラミティガンダムに浴びせ続けていた。

 

「PXの性能を最大限に活かし、超高速下で敵機へ火力を集中させる。放つ攻撃の全てを受け続ければ、やがて破壊数値に到達する」

 

 

 

 ヴディドゥルルルルゥッッッ!!! ヴァダルルルルルルゥッッ!!! ドォヴァルルルルヴゥゥゥッッ……!!!

 

 ドォヴァアアアアッ、ドォヴァアアッ、ドォヴァアッ、ドォヴァアアアッ、ドォヴァアアアアアアッ!!!

 

 

 

 集中豪雨のごとくカラミティガンダムに超高速ビーム弾と高速ビーム過流が降り注ぐ。

 

 それは徹底的にダメージを蓄積させ、結果的にトランス・フェイズ装甲のバッテリー消費を増幅させていく。

 

 思うようにいかなくなった状況にオルガは怒りを爆発させるように機体操作をする。

 

 

「ぐおああああ!!!調子に乗ってんじゃねえええ!!!」

 

 

 

 ヴヴィダドォアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 

 

 オルガは怒り交じりの感情を乗せ、カラミティガンダムのオールウェポン射撃をガンダムヘビーアームズ改へと見舞う。

 

 シュラークにスキュラ、トーデスブロック、ケーファーツヴァイの各高出力ビームが、ガンダムヘビーアームズ改に向かって迫り来る。

 

 だが直撃を受けたのは縦横無尽に駆け抜けるガンダムヘビーアームズ改の残像であり、その全てが躱されていた。

 

 トロワはこのカラミティガンダムの攻撃を皮切りに、敵機の周囲を旋回する軌道での攻撃に転じる。

 

「前面に全砲火を放つ。確かに眼前の敵を殲滅するには有効だ。だが、PXのトリッキーな戦闘状況でその攻撃は隙が生じるきっかけになりうる」

 

 

 

 

 ドゥヴァドォルゥウウウウウウウウゥヴヴヴヴヴヴヴゥゥゥ!!!

 

 

 ディギャララララララララララララダダダダダダダギャギャラララララァァ……!!!

 

 

 

「ぐるぐるグルグル鬱陶しいんだよ!!!ちきしょうがああ!!!」

 

 

 

 ドォズヴズギュヴァアアアッッッ、ドォヴヴァダギュヴァアアッッ、ドォドォギュヴヴァアアアッ!!!

 

 

 

 トロワのダブルビームガトリングの狙いがカラミティガンダムに超高速で直撃をし続け、追従するようにオルガが自転全弾砲撃を繰り返し始める。

 

 しかしながらガンダムヘビーアームズ改の軌道は更にその攻撃を躱して見せ、遂にはカラミティガンダム背後を取りながらアームバスターカノンを直撃させて吹っ飛ばした。

 

 

 

 ヴァドォヴァアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!

 

 ドォズゥヴァゴガバアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

「があああああああああああ?!!」

 

 この一撃の瞬間、トランス・フェイズ装甲のバッテリー発動がPXと同時に突然ダウンを起こすが、どの道効力が持つのは時間の問題であった。

 

 更にガンダムヘビーアームズ改は吹っ飛んだカラミティガンダムに回り込み、アームバスターカノンを撃ち飛ばす。

 

 カラミティガンダムのレフトショルダーアーマーとレフト側のシュラークの砲身が吹き飛んだ。

 

 

 

 ドォギャズゥゥヴァアアアアアウウッッ!!!

 

 

 

「なァああああ??!」

 

「妙に防御力が落ちたな……GND合金といえど、蓄積ダメージが破壊数値に到達したのか?あるいはそういう特性の装甲だったのか……どちらでも構わんが、無力化させてもらう……!!!」

 

「なめんじゃねええええええ!!!」

 

 機体の態勢を立て直し、残ったシュラークとトーデスブロック、ケーファーツヴァイを射撃し始める。

 

 

 

 ドォヴィガズバァアアアアアアアアッ!!!

 

 シュギュアンッッッ―――ヴァズヴァアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 その反撃は当然中ることなく、ガンダムヘビーアームズ改は再度アームバスターカノンを放ち、ケーファーツヴァイをレフトアームごと吹っ飛ばした直後に背後に回り込んだ。

 

 ブレストアーマーを展開させ、ビームレンジのブレストガトリングが至近距離で火を噴く。

 

 

 

 ヴァヴドォドォドォルルルルルルルルルルルヴゥゥゥゥゥッッッ!!!

 

 ディギャララララララダダダダダゴゴバアアアアンッッ!!!

 

 

 

 この攻撃でバックパックに背面爆発を引き起こされ、カラミティガンダムは再び機体態勢を崩す。

 

 オルガが怒りに任せての振り向き際にトーデスブロックを連発する。

 

「ッッ……ぜってー殺すっッ!!!」

 

 

 

 ドォガオッッ、ドォガオオッッ、ドォガアアオオオンッッ!!!

 

 

 

 しかし撃ったのは残像であり、次の瞬間上空よりガンダムヘビーアームズ改が放ったアームバスターカノンのビーム過流が降り注ぎ、トーデスブロックとシュラークの先端側の砲身を砕き飛ばした。

 

 

 

 ドォヴァアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

「くっそォがあああああッッ!!!」

 

 カラミティガンダムはダメージの反動でそのまま地面に叩き付けられていった。

 

 ガンダムヘビーアームズ改のPXがタイムオーバー解除されると、トロワは仰向けに墜落したカラミティガンダムの付近に降下する。

 

「……実に無様な有様となったが、これが現実であり結果だ」

 

 そう言いながらトロワはガンダムヘビーアームズ改をカラミティガンダムに向けて歩みさせる。

 

「貴様達は俺達の名を、メテオ・ブレイクス・ヘルの名を騙り、オーブを襲撃・占領したかのようにした……だがそれも終わりだ」

 

 ディギン、ディギンと歩の駆動音を鳴らしながら接近したガンダムヘビーアームズ改は、仰向けのカラミティガンダムを見下ろすように立ちはだかると、その胸部にダブルビームガトリングの銃口を突き付けた。

 

「へっへへへへへへ……はっはああああ!!!ぎゃはははははああああ!!!」

 

 狂ったように笑い始めたオルガはこれを待っていたかと言わんばかりにトリガーを引き、胸部のスキュラにエネルギーが充填された。

 

「虚を突く反撃など、当に見抜いている……!!!」

 

 そのトロワのその一言の直後にオルガの瞳孔が大きくなった次の瞬間、ガンダムヘビーアームズ改の両眼が光ると共に、カラミティガンダムの胸部に押し当てられた零距離のダブルビームガトリングの銃口が唸った。

 

 

 

 キュウィィィィィッッ、ヴィドゥドゥルルルルルルルルルルㇽヴヴヴヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッッ!!!!

 

 ディギャルガゴバガガガガガギャギャララララララドォドォドォドォバギャラアアアアッッッ……!!!

 

 

 

 零距離のGNDエネルギービームの弾丸が、連続かつ高速の小爆発を巻き起こしながら一瞬でカラミティガンダムの胸部を破砕し、オルガとコックピット諸共激しいまでに粉砕した。

 

 そして砕け散った鋼の塊と化したカラミティガンダムに向けてトロワは一言突き付け、その場を後にした。

 

「『俺達のガンダム』を見た敵は生かしては帰さない……」

 

 飛び去るガンダムヘビーアームズ改の下方でスパークをはしらせながら、カラミティガンダムの躯は爆発していった。

 

 

 

 ゴッバァゴォガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!

 

 

 

 ネェル・アーガマCIC・ブリッジでは次々と善戦にむかう戦況が報告されていた。

 

 エイーダとミヘッシャがそれぞれに状況をケネスに通達する。

 

「デスサイズ・ヘル、サンドロック改、ヘビーアームズ改は各々に敵ガンダムの撃破に成功した模様!!デスサイズ・ヘルは救出部隊の護衛に、サンドロック改とヘビーアームズ改は残存敵機の撃破に向かいました。現在、ウィングゼロが残りの敵将機のガンダムを追撃中!!」

 

「Ξガンダムも2機のカスタムバイアランの撃破に成功してます!!Ξガンダムも同様に残存敵機の撃破に行動中。オーブ収容者施設の救出部隊も展開中です」

 

「うむ!!引き続き戦闘部隊は各々の判断に委ねるが、敵機の殲滅が収拾できしだいに救出部隊のサポートに回る方向で頼む!!あと各ガンダムは、戦闘でのリアルタイムのオーブの映像をネェル・アーガマに回してくれ。止めの映像として地球圏に呼びかけたい……!!!」

 

 ケネスの指示にそれぞれが表情で反応を示した。

 

「この島の占拠の罪被せの真実を、地球圏に知らせる!!!オーブの解放と共にな……エイーダ君、この艦の位置が逆探知されない処置を!!」

 

「はい!!!対傍受機密プログラム、起動!!」

 

 エイーダの操作で、通信傍受遮断されたネェル・アーガマからの通信回線が地球圏に繋がった。

 

 そしてケネスは一呼吸入れ、演説とも犯行声明とも言えるような言葉を発信した。

 

 

「我々は、新生メテオ・ブレイクス・ヘル……かつてガンダムで、旧連邦とOZに武力介入した組織です。我々は、壊滅された後に新たに生まれ変わり、現在OZから生まれた悪玉であるOZプライズの一部の勢力によって侵攻・侵略・ジェノサイドされたオーブ首長国連邦の実態と闘っています!!」

 

 ケネスの声と共に、各ガンダムが送ったオーブの現状が映し出された。

 

 占領部隊との戦闘にメテオ・ブレイクス・ヘルの名を騙っていた三狂ガンダムとの戦闘、収容施設からオーブ国民が救出されていく映像などが流れ始めた。

 

 その映像は地球圏全てに流れており、大衆は各地にて驚きと関心にどよめきはじめる。

 

「なんだこの映像?!!あれ、OZのMSなのか?!!」

 

「え?!!メテオ何とかが占領してたんじゃねーの?!!」

 

「戦争の映像?!!怖い!!!」

 

「ジェノサイド?!!」

 

 見えぬ場所で大衆が様々な反応をする中、ケネスは続けた。

 

「OZ、OZプライズは以前、この島国を我々のガンダムがあたかも強襲占領したかのようなプロパガンダを流す形で占領しました。無実の罪を我々は着せられてきたのです。以降、情報は絶たれ、オーブ首長国連邦は権力を握るOZプライズの幹部の一人、ユセルファー・ツーセンタ特佐の独裁場となり果ててしまいました。結果、多くの罪なきオーブ首長国国民が収容施設に押し込まれ、MSによる大量虐殺や一部の女性達に対する監禁・強姦を強いていました。我々はそのような極悪非人道なOZプライズのやり方を許しはしません!!!」

 

 この通信は無論全ての地球圏に流れており、OZプライズ宇宙軍やOZ、OZプライズを統括するロームフェラ財団、潜伏中のフロンタル派ネオジオン、歴史の裏舞台で高みの見物をするグランシャリオサイド、コトを一旦整理し、月へ向かうマーサ一同、そして幽閉されているトレーズにも届いていた。

 

「流れている映像はすべて真実の状況です!!!Gマイスター……すなわち、ガンダムのパイロット達が命を懸けてオーブ解放を目指している映像なのです!!これ程のMSがオーブジェノサイドに投入されていたのです!!!彼らは、オーブ国民をカプセルに押し込み、それを攻撃訓練の対象としていました!!!決して人道的に許されるべきではありません!!!」

 

 ピースミリオンやガランシェールにも映像が流れ、ハワードやジンネマン達も食い入るように映像に見入る。

 

「OZプライズは、これらの残虐非道行為を隠蔽し情報操作の偏向報道を、それを統括するロームフェラ財団は黙認・黙殺をしてきたのです!!!大衆の方々にはプロパガンダで我々の仕業と刷り込まれてきたはずです。それは全くの間違いであり、OZプライズの隠ぺい工作に他なりません!!!」

 

 流れる映像には、リアルタイムで女性達を解放作業するジュリとカトリーヌの現場状況も流れていた。

 

 この時、ネェル・アーガマの寝室ではマリーダもケネスの艦内音声を聞いていた。

 

「オーブの真実が地球圏に知らされたか……この下では、数多くの罪もない犠牲が……息苦しい感覚を感じれてしまう。その中にはかつての私のような思いをした女性達もいる……だが、今まさにその負の状況が解き放たれようとしている……ヒイロ達の手によって……」

 

 マリーダが手を壁に当てて下方のオーブの状況を体で感じとる中、ネェル・アーガマの下方に二つの閃光が過ぎ去る。

 

 それはウィングガンダム・ゼロとノワール・フリーダムガンダムであった。

 

 飛行の轟音を響かせながらの追撃の中、ヒイロが叫ぶ。

 

「ユセルファー!!!貴様たちの愚行は地球圏に流している!!!もう終わりだっ!!!」

 

「貴様ら一体なんなんだ?!!何の利益があって私の邪魔をォおおおおお!!!」

 

「利益も何もないっ!!!俺達に濡れ衣を着せられた真実を知らせ、一人でも多くのオーブ国民の犠牲を防ぎ助ける!!!それだけだっ!!!」

 

 放たれるツインバスターライフルのビーム過流。

 

 躱すノワール・フリーダムガンダム。

 

 不快なまでのユセルファー意地が、ある意味の奇跡を起こしていた。

 

「許せないっ……全てが気に入らなくなってきたっっ!!!もうすぐあのポイントだあああ!!!」

 

 追撃の一方でケネスは最後の締めくくりを述べようとしていた。

 

「今後、非人道的殺戮や戦略兵器レベルの非人道的虐殺が引き起ってしまい、それが我々の行為、メテオ・ブレイクス・ヘルの行為と放送された場合、120パーセントOZプライズの愚行と判断して頂きたい!!!かつてのアクシズ以上に非人道な彼らは、今後も最悪な戦略を打ち立ててくるだろう。現に今、彼らは無人MSであるMDを使い、事実上分裂したOZの討伐や彼らに反抗する勢力を虐殺しに行動している!!!私の話は以上となるが、大衆の方々にはOZプライズの実態と言うものに意識を持ってほしい!!!しばらく映像を流し続けるので、色々と考えていただきたい次第です!!!」

 

 ケネスの白熱とした言葉が述べられた頃、N1アストレイとマグアナック・カトリーヌ機が次の収容施設の解放に着手していた。

 

 護衛のプライズジェスタとプライズリーオーに彼女達が夜襲をしかける。

 

 闇夜からはしるビームライフルの閃光が2機に着弾した。

 

 だが、通常機よりも装甲が強化されているが故に、一撃では仕留められなかった。

 

「くっ……これでもこの国でアストレイのテストパイロットに選ばれたんだから!!!」

 

「ボクだってGマイスターの兄さんの妹なんだからっ……!!!」

 

 M1アストレイとマグアナック・カトリーヌ機のビームライフルの連携射撃が、プライズリーオーに集中する。

 

 何度も直撃を受け続けたプライズリーオーは間も無くして爆発四散する。

 

 だが、プライズジェスタがビームサーベルを抜き取ってM1アストレイに斬り掛かろうとした。

 

「こんのおおお!!!」

 

 そこへマグアナック・カトリーヌ機が側面から飛び込み、兄のカトルのようにヒートショーテルでプライズジェスタの胸部を切断し、見事に撃破してみせた。

 

 周囲の敵機体の有無を確認すると彼女達は早速解放活動に作業を開始した。

 

「ただいまから私達が解放します!!危ないですからできるだけ壁側に寄って下さい!!私も……この国出身なんです。もう少しですから頑張ってください!!」

 

 響くジュリの外部音声がマユラとアサギの耳に届く。

 

 それはこれまでの日々を思えば悲願たるものだった。

 

「ねぇ……今の声、ジュリの声だったよね……?!」

 

「うんっ!!間違いない、ジュリの声だった!!本当に来てくれたんだっ……!!!」

 

「やっと……やっと助かるんだぁっ……!!!」

 

 涙目になって喜ぶマユラとアサギ達は警告通りに壁際に寄った。

 

 慎重な収容施設の解放作業を終え、ジュリはM1アストレイのマニピュレーターにマユラとアサギを乗せた。

 

 そしてコックピットに近づけ、ハッチから涙目になったジュリが飛び出した。

 

「マユラっ、アサギぃっ!!!」

 

『ジュリぃいい!!!』

 

 マユラとアサギは同時にジュリの名を叫び、三人で再会を喜びたたえ合った。

 

「ホントに、ほんとにジュリが助けてくれたあああ!!よかったぁっ!!!よかったよぉおおお!!!」

 

「ずっとずっと辛かったんだよぉ!!うあああああん!!!」

 

「マユラ……アサギ……頑張ったね!!頑張ったね……!!!もう大丈夫だから!!!」

 

 

 彼女達の涙の再会と喜びをサーチライトを照らして見ていたカトリーヌもまた少しばかりもらい泣きしていた。

 

「ぐすっ……よかったね、ジュリちゃん」

 

だが、感動を分かち合っていたその矢先にジュリとカトリーヌのコックピット内に敵機接近のアラートが響いた。

 

「え?!!またなの?!!」

 

「警告アラート……!!?うっ?!!」

 

 次の瞬間、ドォオオンという風圧の衝撃波が上空から吹き荒れた。

 

 そこにはサーチライトを照らすノワール・フリーダムガンダムがいた。

 

 カトリーヌは敵のその威圧にきゅっと睨みを向ける。

 

「また……敵のガンダム……!!!」

 

『貴様らああああっ、オーブの生き残りかあああ!!?その女どもは私の生きがいっ……それを奪い去ろうとは気にくわないなぁあああ!!!』

 

「あ……嫌っ……この声!!!」

 

「ジュリぃっ……!!!」

 

 マユラとアサギは響き渡るユセルファーの音声に精神的な恐怖がフラッシュバックしてしまい、強くジュリにしがみついた。

 

「大丈夫……大丈夫だよ……だって……!!!」

 

 ジュリが励ます声を書き潰すようにユセルファーの声が響いた。

 

『そのメガネの女もいただいてやるっ……だが、どの道もう終わり……気にくわないったらありゃしないっっ……私が滅ぶならもういらん!!!モノにできないならもう消えてしまえええええええ!!!』

 

 

 

 ヴィギュイアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 ユセルファーは、滅茶苦茶な理不尽を吐き飛ばしながらバラエーナ・プラズマキャノンを彼女達に向けて発射した。

 

 だが、それでもジュリはそのビームを睨みながら叫んだ。

 

「彼らのガンダムがいるんだからッッッ!!!」

 

 

 

 ディギャウイイイイイイイイイイ!!!

 

 

 

 響くエネルギー相殺音……そこにはアクティブクロークで彼女達を守るガンダムデスサイズ・ヘルがいた。

 

「本日二度目の災厄保険だなっ……死神のサービスデーだぁ。しっかし聞いてるだけでハラワタ煮えくり返るぜ!!!この真っ黒ガンダム!!!オーブには相棒のコンセプトをパクる輩ばかりだなぁ、おい!!!」

 

『なぁ?!!ビームが消えたぁ?!!何故だぁ?!!』

 

 ハイパージャマーを最大限に発動させていたが為、その効力でユセルファーはコックピットモニターではガンダムデスサイズ・ヘルを視認できていなかった。

 

「ホント、こういうバカヤローは斬り刻みたいが、こいつを撃つには最適な奴がいるんだ……なぁ?ヒイロ!!」

 

 デュオがそう言った直後、側面上からシールドを突き出したウィングガンダム・ゼロがノワール・フリーダムガンダムに突っ込んだ。

 

「ユセルファー、貴様の相手は俺のはずだッ……!!!」

 

 

 

 

 ゴッッ―――ディガゴオオオオオオオオオオンッッッ!!!!

 

 

 

「がぐあああああああああ?!!」

 

 轟々とした勢いで、ウィングガンダム・ゼロがノワール・フリーダムガンダムを突き穿つ。

 

 シールドの先端はライトウィングバインダージョイントを突き砕いていた。

 

 黒い自由の片翼を失ったノワール・フリーダムガンダムは、グルグルと回転しながら吹き飛ばされていく。

 

 ウィングガンダム・ゼロはそのノワール・フリーダムガンダムを更に追撃した。

 

 その光景を見ながらジュリは改めてマユラとアサギを励ます。

 

「ね……?言ったでしょ?大丈夫って……」

 

 マユラとアサギはまたより一層ジュリにしがみついてみせ、ジュリは二人の頭をやさしく撫でた。

 

 翼の片方を失ったノワール・フリーダムガンダムはいびつな軌道を描いて墜落していき、オーブの大地にその機体を叩き付けるに至る。

 

「がぐあああッ……おのれッ、おのれええええッッ!!!」

 

 モニター画面が断続的に砂嵐になる中、ユセルファーは夜明けが近づき始めた空に浮かぶ追撃してきたウィングガンダム・ゼロを視認する。

 

 震える手でユセルファーはレフトウィングバインダーのバラエーナ・プラズマキャノンをロックする。

 

「貴様さえッ……貴様さえいなければぁあああッッ!!!」

 

 同じタイミングの時、ゼロシステムが発動する中でヒイロはツインバスターライフルのターゲットを精密照準に捉えていた。

 

 ロックオンマーカー・カーソルが四角からレール状に変換され、ノワール・フリーダムガンダムを完全にロックする。

 

「ターゲット、ノワール・フリーダムガンダム……ユセルファー・ツーセンタ。この一撃こそがお前を殺す……!!!」

 

 ツインバスターライフルの銃口にGNDエネルギーが充填チャージを開始したタイミングで、ノワール・フリーダムガンダムのバラエーナ・プラズマキャノンが放たれた。

 

 

 

 ヴィギュリアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!

 

 ヴィギュリリリリリリィ……ヴゥゥッッッ―――ヴォギュリュヴヴォヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 

 

 バラエーナ・プラズマキャノンの発射よりも僅かに遅れたタイミングで大出力のビーム過流が撃ち放たれた。

 

 両者のビーム過流が向かい合うが、既にツインバスターライフルのビーム過流の次元が違っていた。

 

 

 

 ドォヴリュギュヴヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 ドォズヴァシュアアアアアアアッッ―――!!!

 

 

 

 ツインバスターライフルのビーム過流はバラエーナ・プラズマキャノンのビーム過流を粉砕するように吞み込み、一気にノワール・フリーダムガンダムへと向かって行く。

 

「なぜだあああああ?!!なぜ私ががああああああああ……ヴオウェッ―――!!!!」

 

 最後の断末魔すら許される事無く、ビーム過流の直撃がユセルファー諸共ノワール・フリーダムガンダムを胸部から一瞬でかき消す。

 

 

 

 ダッディギャンッッッ!!!! ヴヴォドォドォギュグゴオオオオオオオオオオオオオオオッッッ―――!!!!

 

 

 

 撃ち注がれていく大出力のGNDエネルギのビーム過流は、ノワール・フリーダムガンダムを完全粉砕していき、機体を消滅させていくようにかき消す。

 

 やがて大出力のビーム過流のエネルギーが大爆発を巻き起こした。

 

 

 

 ドォッッッッゴバゴォガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 

 

 ユセルファーはノワール・フリーダムガンダムと共に巨大な火柱を上げて大爆炎と遂げる。

 

 正に非人道を我が物に行ってきた男に相応しい最期であった。

 

 夜明けの空の中、ヒイロはターゲットの撃破を確認する。

 

「敵機、完全に消滅。ノワール・フリーダムガンダム、およびユセルファーの排除を確認した……」

 

 この一撃の火柱は、収容所のMSを排除していたラルフも確認していた。

 

「ヒイロがアレを撃ったてことは……親玉は排除されたってことかな??さぁ、本当にムダあがきだぜおまえら!!!」

 

 

 

 ドォバドゥルルルルルルルルルルルルルルルルルウウウウゥゥゥゥゥゥ!!!

 

 

 

 サーペントカスタムが放った二挺のダブルガトリングの射撃が、最後の残存MSであるプライズジェスタとバーナムジェガンを砕き散らした。

 

 ヒイロは改めてオーブに展開する敵機群をゼロシステムで確認する。

 

 システムもまた敵機の完全殲滅を示す。

 

「敵は完全に殲滅できたか……」

 

 ヒイロがイメージモニターの夜明けに目を向けているとエイーダからの共通回線通信が入った。

 

「オーブエリアの敵勢力の全滅を確認しました。本当にお疲れ様でした!!戦闘部隊のガンダム達は念の為の警戒をしつつ、引き続き解放部隊の支援、または敵兵士の拘束に回って下さい。休憩は各々でかまいません」

 

 カトルやトロワ、デュオ、マフティーもまたこの通信に一時の安堵を懐いた。

 

 ジュリとカトリーヌはラシードと共に一度帰還し、マユラとアサギの身柄の保護にあたる。

 

 三人が改めて再会を喜び合う中、ジュリがカトリーヌを二人に紹介し、カトリーヌは照れ臭そうに軽い自己紹介をしていた。

 

 ヒイロは昇りくる太陽を水平線に見ながらオーブ解放の成功の余韻に浸りをみせる。

 

「……」

 

 その最中、ネェル・アーガマの回線から通信が入った。

 

「……!!」

 

 それはマリーダであった。

 

「ヒイロ……ひとまず戦闘が終わったようだな……お疲れ」

 

「ああ。だがまだ完全に任務は完了していない。引き続き任務を続行する」

 

「だが、疲れてはいるだろう?一晩戦っていたんだからな。各自休憩は一任されているんだ。一度私の部屋に休みに来い。コーヒーでも用意しておく」

 

「マリーダ……ふっ……任務了解」

 

 マリーダに一杯食わされたヒイロは、少しばかりの笑みを浮かべてそのエリアを後にした。

 

 ツインバスターライフルのビーム過流の一撃が及ぼした大規模な黒煙が立ち上る中、やがてオーブに解放を知らせるかのごとく、太陽の光が照らされさるのだった。

 

 

 

 To Be Next Episode

 

 

 次回予告

 

 

 地球圏を駆け巡ったオーブの真実は、OZプライズと内部分裂を始めたOZや各地の旧地球連邦、ネオジオン、ジオン残存勢力をはじめとする者達に対し影響を与えた。

 

 打撃を与えられたロームフェラ財団は更なる力のねじ伏せの手段を画策する。

 

 オーブでの激戦を終えたネェル・アーガマはゼロシステムが示した次の目的ポイントである南JAPエリアを目指す。

 

 その航行中、カトリーヌとジュリは心身傷つけられてきたマユラとアサギ達を癒すためにネェル・アーガマのMSデッキを見学していた。

 

 熾烈な日々から一転した和みの時間が彼女達の心を癒す。

 

 一方、ラプラスの次の座標であるコア3を目指していたガランシェールは、コア3近辺で突如救難通信を受ける。

 

 それは宙賊から攻撃を受けていた、地球圏へ帰還して間もない木星探査船ジュピトリスⅡからであった。

 

 アディンとプルはジェミナス・グリープとユニコーンで救助を兼ねた戦闘に向かう。

 

 その先にはプルにとって極めて重要な出会いが待っていた。

 

 

 

 次回、新機動闘争記ガンダムW LIBERTY

 

 エピソード43 「ジュピトリスⅡ、襲撃」 

 

 

 

 

 

 

 


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