新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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エピソード40「月下の燃え尽きない流星」

オペレーション・ノヴァ。

 

それはロームフェラ財団がOZプライズに指示した大規模なMD降下作戦であり、各地の旧連邦及びジオン残存軍、その他武装勢力の徹底排除・制圧を目標とするものだ。

 

その標的はトレーズ幽閉を異に唱え、ロームフェラ財団やOZプライズに反発したOZもまた例外ではなかった。

 

とある激化する戦地にて、リーオーやエアリーズがOZプライズのプライズリーオーやプライズジェスタに対し徹底的な攻勢をぶつける。

 

ビームマシンガンやドーバーガン、ビームバズーカが唸り、レーザーチェーンガンの高速連射撃がはしる中で、ギガハープーンが飛び交う。

 

対しOZプライズサイドもまたビームライフル、ドーバーバスターで徹底的に排除しにかかる。

 

無論、この戦乱が民間施設に及ぶ事も少なくなく、市街地に容赦の無いビーム弾雨が注ぎ、罪なき民間人達を呑み込んでいた。

 

またあるエリアではジオン残存軍とOZの攻防が展開し、マシンガンやバズーカで応戦するドムトローペンやディザートザク、ガルスK、重層型グフに対し、リーオーが放つビームマシンガンやビームバズーカ、ドーバーガンによる一方的な射撃で蹂躙たる戦況を押し寄せさせる。

 

 こういった状況が広がる地球の戦況は、地球連邦軍が統治していた第二次ネオジオン抗争後の状況よりも明らかに最悪な一途をたどっているのは火を見るよりも明らかだった。

 

 そしてこの状況の中にオペレーション・ノヴァが実行され、漆黒のMDシルヴァ・ビルゴや紅のサジタリウスα、青のサジタリウスβの三機種のMDが次々に武力介入を開始し始める。

 

 ビームランチャーやパーシスタービームライフル、ビームカノンといった圧倒的な最新鋭の火力は、最早量産機の域を超えていた。

 

 それに加え、無人機故に躊躇いやミスも皆無であり、味方認識しているOZプライズ関連の目標以外には容赦ない攻撃を加え、OZや地球連邦軍残存勢力、ジオン残存勢力、第三、第四の各地に存在する武装組織を圧倒的に蹂躙・駆逐をしていった。

 

 更に武力対武力の戦況のみならず、その一方的かつ圧倒的な武力をもってOZプライズの部隊が各国の主要都市や地方区画を制圧し、部族部落や先住民族に対しては無差別に虐殺の攻撃を推し進めるエリアも存在する。

 

 オーブ首長国連邦にメテオ・ブレイクス・ヘルの名を騙りながら侵攻したユセルファーのようなOZプライズの上級兵達が主となり、特定エリアにそのような状況を敷く状況が拡大の一途を辿ってていた。

 

 その一方 、オペレーション発動より以前に先駆け的にオーストラリアを拠点にする反政府組織マフティーの壊滅が実行され、エアーズロック以外のポイントでは大々的な成果を上げたツバロフとペルゲに対し、ロームフェラ財団の長・デルマイユが賞賛の言葉を送っていた。

 

「この度の成果は聞いている。オセアニアの反抗勢力壊滅は大いに成功したそうだな。その功績がオペレーション・ノヴァを一早く実行に運べた。よくぞやってくれた」

 

「は!!ありがたきお言葉……しかし、デルマイユ公。一部の部隊は壊滅されました。恐らくは新たに活動を開始したガンダムによるもの……100%の成功は成しえなかったのです。そのようなお言葉はまだ頂くわけには……」

 

「まずはOZプライズを使ったロームフェラ財団とブルーメンツによる地球圏絶対の統治だ!!その広大な計画を敷いて奴らを包囲する……それからでも遅くはあるまい」

 

「はぁ……しかし……」

 

「案ずるな。MO‐3と接収したアナハイム月面基地で今後ともより一層MDの生産に励んでもらう!!頼んだぞ、ツバロフ!!並びにドクター・ペルゲ!!」

 

「はっ!!」

 

「お任せを……くくくく!!!」

 

 

 

 オセアニアエリア上空

 

 

 

 夕暮れの太陽が光り照らす中をネェル・アーガマが飛ぶ。

 

 その艦内の一室にはマフティーとミヘッシャの姿があった。

 

 多くの仲間をOZプライズによるMD部隊により壊滅され、組織としてのマフティーは壊滅したが、マフティーことハサウェイは僅かに生き延びた仲間と共にヒイロ達のネェル・アーガマに身を寄せていたのだ。

 

 ネェル・アーガマ格納庫では、生き残ったマフティーの仲間達が切磋琢磨してΞガンダムのメンテナンス作業にとりかかっていた。

 

 マフティーは夕暮れの太陽を見ながらヒイロ達と共闘した報復戦を回想する。

 

 

 

 …

 

 

 

 オセアニアエリアのとある基地に襲撃をかけるヒイロ達のガンダムとΞガンダム。

 

 空中より、ウィングガンダム・ゼロとΞガンダムが基地の主要MS格納庫やその他の軍事施設をツインバスターライフルとビームバスター、ショルダービームバスターで一掃攻撃を与え、エアリーズ部隊を巻き込みながら強烈なダメージを基地に与える。

 

 その直後、マグアナックチームが一斉射撃をかける中、ガンダムデスサイズ・ヘルがアクティブクロークを展開させながらリーオーとジェスタに迫り、アームド・ツインビームサイズの二連刃で薙ぎ払うように次々に斬り飛ばす。

 

 ガンダムヘビーアームズ改とサーペントが全武装の火力を前面に放ちながら一気にMS部隊を駆逐粉砕させ、ガンダムサンドロック改がビームマシンガンで数機のリーオーを撃ち倒し、駆け抜けるようにクロスクラッシャーのヒートショーテル部でジェスタ部隊を一線軌道に斬り抜ける。

 

その一瞬の斬撃が切断部を繊細に焼灼しながら連続でジェスタの機体群を破壊する。

 

 この混乱に乗じ、ヒイロが管制塔にマシンキャノンで牽制攻撃をかけながらツインバスターライフルを管制塔施設基地に突き刺した。

 

 そしてヒイロは基地施設に突き刺したツインバスターライフルを解き放ち、施設中心部をビーム過流で豪快に一掃する。

 

 更に上空に飛翔した後、基地施設一帯に二挺持ちにしたツインバスターライフルによる自転式ローリングバスターライフルの射撃を与え、巨大な爆炎の柱を噴き上げさせながら壊滅に至らせていった。

 

 

 

 …

 

 

 

 進む黄昏の空に視線を向け続けるマフティーの隣には、然り気無く彼に寄り掛かるミヘッシャがいた。

 

立場上では諜報員とオペレーターの彼女だが、マフティーとは恋仲でもあったのだ。

 

ミヘッシャはそのまま彼の本名を呼びながら投げ掛ける。

 

「ハサウェイ……わざわざ危険を侵して報復したの、余計かえって狙われやすくなったんじゃない?」

 

「ああもしなければ気が済まなかった。もう状況が変わったんだ。組織上のマフティーが壊滅させられた今……」

 

マフティーはふぅっとため息を吐いて一度間を置くと、片手をミヘッシャの肩にかけて身を寄せさせる。

 

「ハサウェイ……?!!」

 

「耐えよう。今は生き残ってく事が死んでいった仲間達にできる手向けだ」

 

急なマフティーの行動にミヘッシャは顔を火照らせて呟く。

 

「うん……そうだね……」

 

「これからは、彼らと共に……メテオ・ブレイクス・ヘルと共に真の反撃をしていくさ……過酷な道のりになるが、俺はミヘッシャを死なさせはしない……今後は諜報活動はない。しなくていい。オペレーターとして、俺を支えてくれ」

 

「ハサウェイ……」

 

マフティーはミヘッシャの髪を撫でながら彼女と暫く向き合うと、その唇を重ねた。

 

 

 ネェル・アーガマ艦内―――ヒイロはウィングガンダム・ゼロのセットアップに徹する中、ウィングガンダム・ゼロの解放したままのコックピットハッチにデュオが腰かけ、ヒイロに話しかけている。

 

「……経緯は非常に苦いが、マフティーが加わってくれたな。俺達からすればコイツはかなりの戦力増強になってくれたはずだぜ……」

 

「だが、厳密に言えば俺達は奴の敵(かたき)になる。アデレードでの武力介入の時、奴の父親であるブライト・ノアが乗っていた艦を撃墜している」

 

ヒイロはデュオを見ず、インターフェースに配線接続したデータベースを操作しながら答え、デュオはハッチに寝転ぶ体勢に変えて喋り続ける。

 

「そーなのかよ……またなんつー因果なんだかなぁ……けど、マフティーは連邦が好き勝手してやがる時から活動してんだろ??てことはその時点で父親と敵対してたんじゃねーか??」

 

「俺達がそんな事に首を突っ込む必要はないがな……話を変えるが、ここから先は占領されたオーブの奪還だ。デスサイズ・ヘルのメンテぐらいしておけ。特に機体ハードウェアのアップデートはな」

 

「アップデート?!」

 

「ハワードから俺達のガンダム共通の強化アップデートツールを受け取っている。基本性能は勿論、PXも強化される。無論、ゼロのシステムもな。それを今やっている……オーブ攻略は徹底的にやる必要がある。俺達の名を騙り、オーブの民を人質に独裁弾圧する奴らを全力で叩いて世界に示す必要がな」

 

ヒイロがやっているのは、ヒイロ達がピースミリオンを離れる際、ハワードが託してきたガンダム専用アップデートツールのアップデートであった。

 

この時トロワもまたガンダムヘビーアームズ改のアップデートに黙々と打ち込んでおり、ガンダムサンドロック改にはマグアナックチームの面々がメンテ作業にあたっていた。

 

「そんなの渡されてたのかぁ?!!聞いてないぜ?!!」

 

デュオが、ガバッと飛び起きるリアクションをしながらヒイロに問いかけると、ヒイロはしれっとだけ言葉を返す。

 

「話くらい聞いておけ……」

 

「へいへい!!聞いていなかった俺がわるーございましたっと!!そんじゃ、早速とっかかるか!!オーブ戦に間に合わせねーとな!!」

 

ヒイロは出ようとするデュオにアップデートツールメモリーを無言で投げ与えた。

 

デュオはそれを片手でパシッと受けとると、頭をかきながら言った。

 

「お?!へっ……素直じゃねーんだか、素直なんだか!!サンキュッ……!!」

 

デュオはウィングガンダム・ゼロのコックピットから勢いよく飛び出すが、そこには偶然デッキ通路を歩いていたジュリがいた。

 

「おわ?!」

 

「きゃっ?!」

 

スローモーションに流れる二人の瞬間の一時。

 

デュオの姿がジュリの眼鏡に反射し、デュオの瞳にジュリの姿が映る。

 

次の瞬間、デュオはぶつかりそうになる間際、瞬発的にジュリをかわした上、体勢を崩して倒れる彼女を受け止めた。

 

「お~……悪い、悪い!!ジュリ、大丈夫だったかい?!」

 

「え?!!あ、う、うん!!」

 

ジュリはデュオの腕に受け止められながら顔を赤くさせながら短く答える。

 

対しデュオは、然り気無くジュリを受け止めていた腕を離しながら申し訳なさそうに片手で「悪い」のサインをしながら謝罪した。

 

「いや~、マジで悪かった!!危うく乙女をケガさせちまうトコだった!!」

 

ジュリは面と向かって言って来るデュオから恥ずかし気に少し視線をずらして飛び出した理由を尋ねた。

 

「あ、あたしは大丈夫だから……デュオ。気にしないで……えっと……どうしてそんなに慌ててたんですか?」

 

「あ?あ、あぁ、相棒のアップデート、オーブ攻略までに済ませなくちゃならないっていうやぼな急用ができたもんでね!!急いでやんなきゃならね!!」

 

そう言うデュオに、ジュリはもじつきながらも一呼吸おいて話した。

 

「あ……そう言う事なら手伝ってもいい……かな?あ、あたし、M1アストレイのエンジニアでもあるし……それに、これからオーブの為に動いてくれるんだからあたしにもできることしたいなって……」

 

デュオは基本的に愛機は自分でいじるスタンスでいるのだが、この時は違っていた。

 

「そうか!!急ぎだから助かるぜ!!それに、ジュリにいじってもらえば相棒も喜ぶだろうよ!!」

 

「え?!!あ、あぁ……そんな……あたしなんか……」

 

「謙遜しない、しない!!相棒は今まで開発者のジジィや男にしかいじられたことないからよ!俺も相棒も男の子なんでな……っとまぁ、とりあえず俺がメンテする間、アップデートの処理を頼むぜ!!」

「う、うん!わかった!」

 

 

 

オーブ首長国連邦

 

 

 

表向きにはメテオ・ブレイクス・ヘルが占拠したと報道されているが、その一件以降は完全に情報統制が敷かれ、全くと言っていい程情報が隔離された状況にあった。

 

 実際はOZプライズ中級特佐・ユセルファーが乗っ取った独裁放置国家の状況となり、既にウズミ国家首長は殺されており、人質のようにされた国民は強制労働を強いられ、ユセルファーが気に入らないと判断した国民たちは老若男女、大人子供問わずに虐殺実験(MSによる直接攻撃)の対象にされていた。

 

 またある主観から選別した女性達を「戦利品」と称し、自らの欲望の肥やしにして、満足した対象は部下に回していた。

 

 首長国本島の各地においても強化人間特殊部隊・バーナム所属のバーナムジェガンやOZプライズ所属のプライズリーオー、プライズジェスタが配備された状況下にあった。

 

 このような状況はOZプライズの特権乱用に味を占めた幾つかの幹部クラスの者達が行っており、他の幾つかの国や幾つかのコロニーにおいても似たような独裁隔離状態が引き起っていた。

 

 L5コロニー群に属するエリアの一部のコロニーにおいても中華覇権派OZプライズ上級特佐・醜季煉(シュウキレン)による独裁虐殺が横行しはじめていた。

 

 こういった個々の幹部クラスの特佐達の横暴を見て見ぬふりをする財団に対してもまた、OZプライズとOZを対立させる要因の一つとなりつつあった。

 

そこにはブルーメンツの幹部特権や同秘密結社による資金提供が共通で存在していた。

 

 

 オーブ首長国連邦のMS製造施設

 

 

 ここでは依然、国防の為のM1アストレイやムラサメが製造されていた施設であったが、現在はOZプライズの為の施設となっており、新たなガンダムの開発が行われていた。

 

 ユセルファーが直接乗る為の専用の黒いガンダムである。

 

 視察に訪れたユセルファーが狂気の笑いを含みながら完成間近に迫っていたその機体を見上げる。

 

「ふふふっ、まさに私の為に造られたガンダム……ノワール・フリーダムガンダム。黒き自由……私の感性を体現している……ブルーメンツからの資金提供により可能になった……実に素晴らしい」

 

一人で心酔するユセルファーにデータボードを手にした部下が歩み寄り、報告をする。

 

「ユセルファー特佐、失礼致します。本日の国民浄化のデータと、満たしの時間の戦利品リストです」

 

「ほう……どれ」

 

ユセルファーはデータボードを操作しながらそのデータを閲覧する。

 

ちなみにそのデータはオーブ国民の虐殺データとユセルファーの欲望を満たす対象の女性達のラインナップだ。

 

「気に入らない存在は削除する。それが私の持論であり最も素晴らしいやり方だ……それに今は実験的段階ではあるが、OZプライズ全体にリベラル的管理体制と徹底的な弾圧理論が普及していっている……良い流れだ」

 

そして一通りの虐殺リストを早々に閲覧し、女性達のラインナップに目を通す。

 

「ふふッ、やはり引き続きこの二人を一人占めにしたいな……態度が気に入らなくも容姿、体は素晴らしい……」

 

いやらしい不屈な笑みをしながらユセルファーは以前にも指名したマユラとアサギを指名した。

 

「了解です。では今宵も手配しておきます」

 

「うむ。また使い飽きたら私の趣味と口封じも踏まえて処分する。その処分の時……下半身に銃口を仕込んで脅している時の命乞いと絶望感の表情、そして悲鳴や泣きじゃくる声が最高だ!!!特にいきなりメインディッシュに手を付けた時……そう、ここの公女か?確かカガリとか言ったな。美しいゆえに硬骨だったなァッ……!!!ンッ、ゴホッ!!!とまァ、その後処理は頼むぞ。今後ともここをプライズの領地とし、運営していく。あくまでも表向きには反逆ガンダムの連中でな……!!」

 

「はっ!!無論であります!!」

 

一方、収容施設から引き出されたオーブ国民が島の一ヶ所に留められ拘束されていた。

 

その上空にはカラミティーガンダム、フォビドゥンガンダム、レイダーガンダムが控えていた。

 

「早く合図しろってんだよ!!!焦らさせんな!!!」

 

「ワクワクするな~……ククク」

 

「やってやんぜっ!!!早くしろ!!!」

 

オルガ、シャニ、クロトが各ガンダムのコックピットで今か今かと何かを待ちそびれる様子を見せる。

 

次の瞬間、合図と思わしき信号弾が上がった。

 

三人はかっと目を見開き、一斉に機体を島の地上目掛けて飛ばす。

 

「やっとキタかぁああああっ!!!」

 

「楽しみぃ~!!!」

 

「しゃあああ!!!」

 

3機が向かう先には捕らわれているオーブ国民の収容ユニットがあった。

 

これこそが虐殺の実態であり、彼らのストレスのはけ口であった。

 

無論、如何に非人道の業かは言うまでもない。

 

カラミティーガンダムが敢えて近距離まで詰めた状態で全ての火器を放つ。

 

「はははっ!!!消えろよ、虫けら弱者ぁ!!!」

 

収容ユニットには老若男女、大人、子供問わず押し込められており、誰もが悲鳴を上げる中で一瞬にして高エネルギーに蒸発させられながら爆砕されてしまった。

 

「あはは!!!あははははは!!!たのしぃ~!!!」

 

シャニは恐ろしくも無邪気にフォビドゥンガンダムの巨大鎌、ニーズヘッグを収容ユニットに何度も振り下ろし続け、快楽の為に無実のオーブ国民達を潰し砕く。

 

「虫けらは抹殺っ!!!滅殺ぅううう!!!」

 

更にレイダーガンダムが巨大ニードル鉄球・ニョルミルを執拗に乱舞して収容ユニットを潰し砕いた。

 

これが一日に幾度かの割合で行われているのだ。

 

最早正気の沙汰ではない。

 

そして夜には欲望の屈辱が女性達を蝕む。

 

今夜もユセルファーの対象にされてしまったマユラとアサギが涙を浮かべてバスローブ姿でベッドに横たわる。

 

その間にもユセルファー以外の部下達が順繰りに廻る。

 

今のオーブには狂気と絶望以外のモノは存在しなかった。

 

完全にまで隔離された独裁と大量虐殺の地。

 

 この間に他の場所でも彼の上階級の部下達が欲望を各地で嗜んでいる。

 

 実はこれらの行為はロームフェラ財団、並びにブルーメンツに属するの男性陣の闇の伝統行為であり、決して歴史の表に出る事無く行われているのだ。

 

オーブ国民の若い女性達は時代の犠牲に潰れるのを待つしかなかった。

 

来る日も、また来る日も虐殺と凌辱が繰り返される。

 

月明かりが射し込む女性専用収容施設内にて、虚ろな眼差しでマユラが月を見て呟く。

 

「……もう楽になりたい……」

 

「マユラ……」

 

「もう耐えられない……」

 

虚ろな瞳から涙をながすマユラにアサギが寄り添いながら諭そうとする。

 

「あたしも……限界だよ。でも、アストレイチームで生きてるの、あたし達だけだよ?今終わったら死んじゃったみんなの分はどうするの?宇宙に行ってるジュリだって悲しむんだよ?」

 

「……みんなの分……ジュリ……」

 

「そうだよ。みんなの分がんばろ?それに悪は栄えない。必ず滅びる時が来る。歴史が証明してるよ?旧世紀にあったとある独裁国家も最終的に世界の国々の制裁で滅んだ……必ず助かる時が来るよ」

 

アストレイチームでリーダーをしていたこともあり、チームメイトでもあり友人でもあるマユラをなだめるアサギ。

 

寄り添う頭を寄せて温もりを与えてくるアサギにマユラは涙を止めれなかった。

 

「うっ……アサギっ……アサギぃっ……!!!」

 

感情が溢れ、泣きながらマユラはアサギの胸元に頭を寄せ付け、アサギもまた自然に涙を流していた。

 

その後、泣き疲れたマユラに寄りかかられたアサギは月を見る。

 

すると月の中に浮かぶ一つのシルエットを目にした。

 

「え……何?UFO??」

 

月の中にある黒いシルエット。

 

だが、次のアサギの瞬きの瞬間にそれは消えてしまった。

 

「ネェル・アーガマ、光学迷彩展開!!目標ポイント到達まで後僅かです!!」

 

エイーダの声が響くCICブリッジ。

 

収容ユニットからは黒い点でしかなかった上に消え去った未確認飛行物体の正体はネェル・アーガマであった。

 

ケネスはエイーダの報告を受けると、次の段階の指示を通達する。

 

「うむ。では目標ポイントに到達後、直ちにガンダムを投下する!!その後、ネェル・アーガマは高度を海上付近まで下げ、サーペントとマグアナックチーム、M1アストレイを艦上に展開!!加わってくれたマフティーのΞガンダムも共に、オーブ国民の解放にあたる!!そして……世界にこの行動を発信する!!!」

 

ネェル・アーガマのブリッジクルー達は、ケネスのその言葉に誰もが頷いた。

 

ケネスは続ける。

 

「この国に及んだOZプライズの暴挙を暴露し、メテオ・ブレイクス・ヘルの無実を証明し、オーブ国民を救う!!我々には集めたオーブに関するデータがある!!!実態を地球圏の情報網にリークさせる!!!これが更なる反撃の狼煙になる……!!!」

 

 張り詰めると同時に高揚感にも似た空気も同時に宿り始めるCICブリッジ……ヒイロ達や志を同じくする者達、そしてジュリが長らく待ち望んだオーブへの武力介入の瞬間が目前に迫る。

 

 ネェル・アーガマの航行高度はおよそ地上から10㎞上空を航行していた。

 

 ネェル・アーガマのカタパルトデッキの各四つのゲートがオープンし、スタンバイしたウィングガンダム・ゼロ、ガンダムデスサイズ・ヘル、ガンダムヘビーアームズ改、ガンダムサンドロック改の機体が姿を見せる。

 

更に五つ目のハッチが開き、Ξガンダムもスタンバイ態勢に入った。

 

マフティーは見つめるモニター上のカタパルトデッキを見据え、この戦いに組織だったマフティーとしてのリスタートを見出だしていた。

 

「腐ったオーブの実状は……彼らと共に、マフティーが粛正する!!!これが反撃の狼煙だ!!!」

 

「ひゅーッ……高い高度だぜ!!!けどまっ、当初の俺達も大気圏から降下したからなぁ。ちょいと懐かしいな!!」

 

 デュオがサブモニター表示された高度計を見てテンションを上げるとそれを聞いていたトロワが一言放つ。

 

「やはりオペレーション・メテオ、いや、リ・オペレーション・メテオはこうあるべきだ」

 

「へっへへ、だな!!再度反撃の狼煙を上げさせてもらうぜ!!!」

 

 デュオはそう言いながらコントロールトリガーをなでる。

 

 (ジュリが手伝ってくれたおかげでメンテと同時にアップデートも済んだ。サンキューな、ジュリ。きっと相棒も女の子にいじってもらえて嬉しいだろうぜ!!)

 

(待ってて……マユラ、アサギ、オーブのみんな。もうすぐ……もうすぐだからっ!!)

 

 ガンダムデスサイズ・ヘルのアップデートを手伝ったジュリもまた、M1アストレイのコックピットで待機しながら迫るオペレーション開始時間に息をのんでいた。

 

「くすっ、デュオらしいね!!みんなで盛大にいきましょう!!ミーティングにもあった通り、現在オーブは本島に幾つかの戦力を配備しています。指定したポイントには最も多くの戦力を有しています。そこを一気に電撃的に叩きます。そして出てくるはずの厄介そうな敵ガンダムを叩き、その間にラシード達にオーブ国民の開放をしてもらいます」

 

「如何に迅速に厄介な奴等を叩くかが肝だな!!!」

 

「えぇっ!!解放にあたるラシード達やオーブ国民に及ぶ危険を回避するかも関わりますから……」

 

「デュオ、カトル!!間も無く目標ポイントだ。そろそろ会話は控えろ」

 

デュオとカトルが通信をし合う間にも目標ポイントへの距離が迫り、ヒイロがそれを促した。

 

「お!!いよいよってか!!!」

 

「了解、ヒイロ!!それでは皆さん、スタンバイしてください!!」

 

ヒイロ、デュオ、トロワ、カトル、マフティー、カトリーヌ達マグアナックチーム、ジュリ、メッサー、そしてネェル・アーガマクルー達に緊張の一時が流れる。

 

「……配備中のガンダムの各カタパルト・リニアボルテージ上昇開始と同時にハッチオープンします……射出タイミングを各Gマイスターに譲渡します……目標ポイント到達まで後僅か!!カウントダウン開始します!!10……9……」

 

CICブリッジのオペレーター席ではエイーダが到達までのカウントダウンを開始すると共に、各ガンダムがスタンバイする四つのカタパルトゲートが開いていく。

カウントダウンが毎秒進む中、えのガンダム達のメインカメラが決意と闘争を示すように光る。

 

艦内全放送にエイーダのカウントダウンの声が響く中、医務室のベットにいるマリーダも本格的な戦闘の間際の空気を感じていた。

 

「……始まるか。ヒイロ達の降下が……!!」

 

「……3……2……1……降下ポイント、到達!!!」

 

そして医務室にエイーダのポイント到達の声が響いた直後、ケネスはバッと手をかざして叫んだ。

 

「リ・オペレーション・メテオ、発動!!!」

 

 

 

BGM ♪「思春期を殺した少年の翼」

 

 

 

ヒイロ、デュオ、トロワ、カトルの眼差しが引き締まり、眼光が出撃直線上を見据える。

 

そしてほぼ同時にカタパルトから5機のガンダムが一気に飛び出した。

 

飛び出したガンダム達は、以前のオペレーション・メテオの時の如く、閃光のような軌道を描きながらオーブを目掛け舞い降り、それぞれが空気を切り裂くように標的のポイントへと突き進む。

 

 

 

オーブ北西部軍港

 

 

 

OZプライズ所属のイージス艦や空母艦が停泊する本島の北側に位置する軍港。

 

この地点にはバーナムジェガン以外にも、後に増強されたフライト機動ユニットを装備したプライズリーオーやプライズジェスタが配備されていた。

 

夜間警備を行う彼らの機体達の発光するカメラアイが突如高速点滅し、各機が一斉に夜空を見上げた。

 

 

 

ゴッ―――ドォオオオオッ……ギュウィイイイッ!!!

 

 

ネオバードモードのウィングガンダム・ゼロが電光石火のごときスピードで軍港に突き進み、ソニックブームを巻き起こしながらバーナムジェガンやプライズリーオーの頭上を滑空する。

 

そして舞い上がりながら高速で機体を変形させ、突き出すようにツインバスターライフルの銃口をバーナムジェガンやプライズリーオー、プライズジェスタに向けた。

 

一瞬で展開する機体群がロック・オンされる。

 

「ターゲットロック。排除開始……!!!」

 

 

 

ヴゥウッッ、ヴァズドォオオオオォオオオオオオオオッッ!!!!

 

 

 

ツインバスターライフルの銃口にGNDエネルギーが瞬く間に充填され、ウィングガンダム・ゼロは一気にビーム渦流を撃ち飛ばす。

 

躱す余地もなく、ビーム渦流が容赦なく射撃直線上の敵機群を呑み込んだ。

 

 

 

ズゥグワォオオオオオオオオオオオオ……!!!!

 

ドォゴバッッ!!!ドォドドドドドドゴォバオオオオオオオオオッッッ!!!

 

 

 

駆け抜けるツインバスターライフルのビーム渦流は、夜の軍港を幾つもの鮮やかな爆炎の爆破光に照らさす。

 

その間にもプライズリーオーやジェスタが一斉にビームライフルを放ち、それを援護射撃の形にするように、バーナムジェガンがビームランサーのビームエネルギーを発動させてウィングガンダム・ゼロへと突っ込んでいく。

 

ウィングガンダム・ゼロに夥しいビームが着弾するが、ビームは弾くように消滅するのみだ。

 

「……無駄だ」

 

ヒイロのその一言の後、ウィングガンダム・ゼロはツインバスターライフルを二分割にし、ビームランサーで突っ込んでくるバーナムジェガンを筆頭にしたターゲット群へ突き出し向ける。

 

そしてウィングガンダム・ゼロが両眼をギンッと光らせた直後、双方のツインバスターライフルにチャージされたエネルギーが解放され、凄まじい二連ビーム渦流が一気に突き進む。

 

 

 

ヴズゥヴァアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

ドゥバガァアアアアアアアアアア……ドッドドドゴゴゴバァッッ、ドドドゴゴゴゴバガァ!!!!

 

 

 

左右二軸の射線の敵機群を一掃するツインバスターライフルのビーム渦流。

 

強力無比なその攻撃は瞬く間に幾多の敵機群を駆逐させた。

 

 更に左右両端にツインバスターライフルの銃身を突き出し、ビームサーベルを振りかざして迫っていたプライズジェスタやビームランサーで突貫するバーナムジェガンの機体群を一気に吹き飛ばす。

 

 

 

 ジャカキンッ、ジャキンッ―――ヴヴズドォアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!

 

 ヴァズダアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 ヴァズアァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 ドォドドドドドゴゴゴゴバババアアアアアアアアアアアッッッ!!!!

 

 

空母よりバーナムジェガンやプライズリーオーが飛び立ち、下方からウィングガンダム・ゼロに射撃を慣行するが、ヒイロはそれをゼロシステムで見通していた。

 

二挺のツインバスターライフルを交互に放ち、低中出力のビームやビーム渦流が二機種の部隊を次々に吹き飛ばして撃破していく。

 

その最中に再びツインバスターライフルを連結させ、その銃口から中出力のビーム渦流を放って3

、4機づつ向かい来る敵機群を破砕させていった。

 

そして停泊するMS空母やイージス艦をロック・オンし、GNDエネルギーチャージを充填させる。

 

「艦隊群を破砕する」

 

容赦のないツインバスターライフルのビーム渦流が撃ち放たれ、空母を直撃。

 

凄まじいビーム渦流が甲板を貫通し、大規模な爆破と水柱を上げた。

 

 MSや停泊中のイージス艦や空母も破壊し、武力介入程なくして最初の強襲ポイントの敵勢力を一網打尽にして見せるヒイロとウィングガンダム・ゼロ。

 

 ヒイロはコントロールパネルをタップしながらオーブのマップデータを確認する。

 

「……オーブ軍港ポイント敵勢力の壊滅を確認。次のポイント、第一北部都市へ向かう!!」

 

 4基のウィングバインダーを展開させたウィングガンダム・ゼロは、GNDエネルギーをバーニアから吐き飛ばして爆発的な加速で飛び立った。

 

 

 

 オーブ第二北部都市

 

 

 

都市部に配備されたバーナムジェガンやプライズジェスタが佇中、熱源感知を捉えた機が上空にアングルを移動させる。

 

すると月に照らされながら一気に降下、滑空してくる機体を目にする。

 

「―――?!!」

 

滑空した後に突き進んでくるそれはガンダムデスサイズ・ヘルだった。

 

各機が一斉にビームライフルやビームランサーを発射を開始するが、アクティブクロークを纏うガンダムデスサイズ・ヘルに弾かれて尽きていく。

 

突き進みながらガンダムデスサイズ・ヘルは手始めのようにレフトアーム側のバスターシールドアローをかざし、ビームの矢を三発放った。

 

 

 

ディシュッ、ディシュ、ディシュィィィ!!!

 

 

 

プライズジェスタと2機のバーナムジェガンの胸部に突き刺さり、三連爆破を巻き起こさせる。

 

 

 

ディッギャイッ、ディギャイッ、ディギャイィィッ―――ドッゴゴバガァ!!!

 

 

 

「さぁて、死神様のお通りだぜぇ?!!」

 

ギンと目を光らせたガンダムデスサイズ・ヘルはアクティブクロークを展開させながらバーナムジェガンとプライズジェスタの小隊に突っ込み、ビーム刃を発動させたアームドツインビームサイズを大いに振るう。

 

 

 

 ギュウィィィッ!! ヒュゴッ―――ザッディガッ、ディシュガッ、ディシュギィッ、ザギャガァアアア!!!

 

 ゴッガァドォドォドォドォゴオオオオオオオンッッ!!!

 

 

 

ガンダムデスサイズ・ヘルは一振りでバーナムジェガン2機プライズジェスタとプライズジェスタ2機を斬り払い、裂断された機体達が巻き起こす爆発に照らされながら、一気に隊長機らしきプライズジェスタとバーナムジェガンに接近して袈裟斬りに叩き斬り、続けながら更に斬り払った。

 

 

 ザシュガァアアアッッ、ザバギャアアアアンッッ―――ドォドォアアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

 その最中、バーナムジェガンの1機がビームランサーを突き刺そうと突き進んできたが、見据えていたかのように、かつクイックな可動速度でバスターシールド・アローで受け止めてみせる。

 

「おおっと……突き出た刃は引っ込まさなきゃ……なっ!!!」

 

 一時的に拮抗したビームの刃同士の激突は一瞬にして捌き解かれ、バスターシールドアローのビームの刃がバーナムジェガンのコックピット目掛け刺突を食らわした。

 

 

 

 ドォガァズゥウッッ―――ゴバァガァアアアアッッ!!!

 

 

 眼前で破裂するように爆発が巻き起こるものの、ガンダムデスサイズ・ヘルは、なんの影響もなく次々に接近する敵機軍に目を光らせた。

 

 炎に照らされるその黒い様相は地獄の死神そのものだ。

 

 バーナムジェガンとプライズリーオー、プライズジェスタの混同部隊がビームランサーに組み込まれたビームマシンガンやドーバーバスター、ビームライフルを乱れるように撃つ中、ガンダムデスサイズ・ヘルはこれらを全てアクティブクロークを閉じて受け止める。

 

「おいでなすったなぁ……これまたゾロゾロとよ……恒例行事と行くか!!!」

 

 アクティブクロークを再び解放したガンダムデスサイズ・ヘルは、アームドツインビームサイズをかざしながら一気にこれらの部隊に突貫する。

 

 その最中にハイパージャマーを発動させ、敵機側のモニターから自機の存在を消させた。

 

 バーナムやOZプライズの兵士達からはモニターからノイズ交じりにガンダムデスサイズ・ヘルが消える映像が映るのだ。

 

「斬って斬って斬りまくるっっっ……てねぇっ!!!」

 

 

 

 ザギャアアアッ!!! ザシュバァアアアンッ、ザッギャガアッ、ザァゴォガァアアアッ!!! ザシュオッ、ザズガァアアア!!! ドォズウウウウウッ!!! ズバシャアアアアッ、ディズガアッ、ズシュアアアアアアアアアアッッ……!!!

 

 

 

 動揺し、射撃狙いが乱れる中にガンダムデスサイズ・ヘルの乱れるような斬撃乱舞が、占拠されたオーブの夜の街を駆け抜ける。

 

 斬り払い、叩き袈裟斬り、大振りの斬り払い、袈裟斬り、更にはバスターシールドアローの刺突や射撃も交え、死神の無双乱舞の風を巻き起こしていった。

 

「そして……見た奴らはっ……死ぬぜぇ!!!」

 

 

 

 オーブ西部都市

 

 

 

プライズリーオーやプライズジェスタ、バーナムジェガンの機体群が交代制で警備する最中、全ての機体達が慌ただしく武装を構えはじめる。

 

既に襲撃の情報が飛び交っており、どの機体達も対空・対地警戒を厳とさせていた。

 

その最中に、1機のプライズジェスタが熱源を感知してその方向へとビームライフルを向ける。

 

だが、その方角から来たモノは多数のミサイル群であった。

 

「?!!」

 

マイクロミサイル、ホーミングミサイルの混合弾頭群が選りすぐるように各機体群に狙いを定めて直撃していく。

 

 

 

 シュシュシュシュシュゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴアアアアアアァァァ……

 

 ドォドォドォドォドォドォグオガダガガガガガゴゴゴゴゴゴゴガアアアアアアアァァ……ゴゴッゴガガガガアアアアァ……ゴッゴカカカカアアアアァ……!!!

 

 

 

一瞬にして爆発劇が各所に巻き起こり、夜の都市部を炎で照らした。

 

「急激な多数のミサイル群による奇襲と撹乱。敵の精神を乱させるには十分だ」

 

トロワの声がコックピットに響く中、夜の街へ飛び込むガンダムヘビーアームズ改が、ダブルビームガトリングを突き出し構える。

 

そして両眼を光らせた直後に、向かう敵機群へそれを連続射撃で放ち、次々にビーム弾をプライズリーオーやプライズジェスタに中て、その装甲を砕き散らす。

 

 

 

 ヴィドゥドゥルルルルルルルルルルゥゥッ!!! ヴィドゥドゥルルルルルルルルッッ、ヴィドゥドゥルルルルルッ、ヴィドゥルルルルルゥヴゥウウウウウウウッッ……!!!

 

 ディギャラララララガガガァンッ、バガラララギャギャギャガッッ、ドォドォドォバキララララァッッ、ドォドォドォバキキャッッ、ドゥバガガガララッ、ドォドォドォドォガッガガガガアァン!!!

 

 

 

時折近距離、至近距離でダブルビームガトリングを浴びせ、撃たれた機体群は痙攣するように破砕爆破を次々に巻き起こした。

 

 その最中、ガンダムベビーアームズ改の足許で破壊されながらも一矢報いろうと大破手前のプライズジェスタがビームライフルを向ける。

 

 だがその銃口とガンダムヘビーアームズ改との視点が合った。

 

 

 

 ガキンッ……ヴィドゥバルゥララララララララァアアアアッッ!!!

 

 ヴァダララララドォドォバキャラララァアアアアアンッッ!!!

 

 

 

ガンダムヘビーアームズ改はダブルビームガトリングを突き付け、至近距離で射撃し豪快に砕き散らせ爆破させた。

 

その後もガンダムヘビーアームズ改は、低空飛行を維持しながら順次かつ次々とダブルビームガトリングを放ち中て、道路上へとスライド着地する。

 

 眼前の市街内の道路上には次々にバーナムジェガンやプライズリーオー、プライズジェスタが押し寄せ、個々にガンダムヘビーアームズ改を狙い撃つ。

 

 各部に被弾しながらも全く動じることなく、ガンダムヘビーアームズ改はダブルビームガトリングとアームバスタカノン、バスターガトリングキャノンを臨機応変に放ち、連続で各個撃破の嵐を巻き起こす。

 

その最中に空中からガンダムベビーアームズ改を目掛けてドーバーバスターを放つプライズリーオー部隊がいた。

 

ガンダムベビーアームズ改は、重火力には重火力をと言わんばかりにライトアームのアームバスターカノンを構え、その銃口から放つ中小規模のビーム渦流を撃ち飛ばす一発、一発のビーム渦流が、確実に機体を抉り抜いて破砕爆破を巻き起こさせる。

 

その後もガンダムベビーアームズ改ダブルビームガドリングとアームバスターカノンの銃口を突き出し、時折バスターガトリングキャノンの射撃を交えながら、交互の射撃で撃破を重ねて進撃していく。

 

その先の機体群が密集するポイントに到達すると、全武装の銃身を突き出し、ダブルビームガトリング、アームバスターカノン、バスターガトリングキャノン、ブレストガトリングを一斉射撃の体勢に持ち込んだ。

 

「集まってくれれば好都合だ。まとめて一掃させてもらう」

 

モニターに映し出される敵機群に多数のロック・オンマーカーが表示されていくとガンダムヘビーアームズ改は武装の砲火を解放させた。

 

唸り散らすバスターガトリングキャノンに断続的に放たれるバスターランチャーのビーム渦流、そしてビームガトリングガンの砲火と共にブレストガトリングの砲火も開始する。

 

夥しいビームと実弾の流星弾雨の前に敵機群は豪快な破砕を重ねに重ね、その重砲火を継続しながら右側面方向に砲撃範囲を拡大させていった。

 

 

 

 オーブ南部都市

 

 

 

ガンダムサンドロック改もまた滑空軌道を描きながら降下し、集中するビーム射撃を物ともせずに突き進む。

 

「はぁあああああ!!!」

 

カトルの気迫と共に、加速の慣性力も加えられたクロスクラッシャーとバスターショーテルの轟々たる斬撃が、2機のバーナムジェガンを破断させ、爆発の柱を上げさせる。

 

 

 

 ディディッカィイイイイイイイインッッ、ドォズグオアアアアアアアアアッ!!!

 

 

 

そこから機体を減速させながら、流れるようにプライズリーオーやプライズジェスタに回り込み、クロスクラッシャーとバスターショーテルの混合的な斬撃を叩き込んでいく。

 

 

 

 ギュウィンッッ、ディッカイインッッ、ディッカイイイインッッ!!! ギュゴアッッ……ザッガギャアァアアアッッ、ザァズガァアアアアンッッ、ディッガギャアアンッッ、ザズダァアアアアアァアアアアンッッ!!!

 

 

 

「これ以上のオーブでの好き勝手は今夜までだよ!!!」

 

ガンダムサンドロック改のギンッと発光する両眼のカメラアイは、バーナムジェガン部隊を捉え、彼らが発射するビームショットランサーをもロック・オンする。

 

ミサイルのように高速で向かい来るビームショットランサーをバスターショーテルで個々に叩き落とし、ビームショットランサーそのものを爆破させる。

 

ガンダムサンドロック改はそのままの勢いで強力な斬撃を交互に打ち込み袈裟斬り軌道と薙ぎ軌道の斬撃を組み合わせ、6機のバーナムジェガンと3機のプライズジェスタを斬り砕いては飛ばしていった。

 

それらの破壊した敵機の骸が爆発していくのを尻目にしながら、更にガンダムサンドロック改はプライズリーオー部隊に突撃していく。

 

ガンダムサンドロック改は、加速しながらゆっくりと軌道を上昇させ、空中に舞い上がりながら空中より攻撃を仕掛けるバーナムジェガンとプライズリーオーを斬り墜としにかかる。

 

 

 

 ゴォォオオオオオオァァァ……ザッガギャアァアアアッッ、ガッガギャアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 バズゥゴッゴバァアアアアアアアアアアアアアァァァァッッ!!!

 

 

 

その2機にクロスクラッシャーの一部分であるヒートショーテルの刀身を力強く斬り込んでの破断、爆破。

 

その後再び市街地に舞い降り、縦横無尽の機動力を活かしながらの剣捌きで放たれるバスターショーテルの斬撃が交互に、はたまた同時に敵機群を撃墜させていく。

 

「悪いけど、貴方達には加減できないよ!!!これ以上の愚行を僕達が止める!!!」

 

振り向き様にガンダムサンドロック改は、バーナムジェガンを斬り飛ばして上下に破断させ、次にプライズジェスタの胸部を斬り込んで切断させる。

 

ガンダムサンドロック改はその2機の爆発を振り払いながら大きくバスターショーテルを振りかぶった。

 

「そして……この旅路の向こうにいるロニを……!!!」

 

カトルはこの先にあるロニとの再会を見据えながらモニター越しのバーナムジェガン2機目掛け、轟々とクロスクラッシャーを見舞った。

 

「助けるさッ!!!」

 

 

 

 ディッッガィイイイイイイイイイイィィィィンッッッ!!!

 

ドォドォグォバァアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!

 

 

 

オーブ 第一北部都市

 

 

 

バーナムジェガンがメインに占拠する第一北部都市。

 

 月夜が照らすゴーストタウンと化した都市にバーナムジェガンがメインカメラを光らせ、警戒にあたっていた。

 

その最中、各機のカメラアイの発光が高速点滅する。

 

一斉に同じ方角を向きながらビームランサーの刃を発動させて飛び立っていく。

 

その先には月下の中に突き進むΞガンダムの姿があった。

 

高速ながらも静かに甲高い音を唸らせながらビームバスターを構え、ショルダー・ビームバスターのアーマーを展開させる。

 

コックピット内ではマフティーにサブモニター越しの映像でナビゲートするミヘッシャの声が包んでいた。

 

「……目標地点の都市部には先程言った10機余りの敵機以外にも迫る敵機反応があります。こちらもおよそ10機。機種は不明ですが、恐らく増援です気をつけて下さい!!」

 

「了解だミヘッシャ。これより介入、攻撃する!!!」

 

マフティーは更にレバーを前に動かし機体を加速させ迫る敵機を複数機同時にロック・オンする。

 

対する1機のバーナムジェガンはあくまで近接戦にこだわっているのか、ビームランサーを振るい構えながら加速した。

 

Ξガンダムは迫るバーナムジェガンにビームバスターを放った。

 

 

バズダァアアアッ、バズダァアアアッ、バズダァアアアッ!!!

 

 

 

放たれたビームの閃光はビームランサーを構えるバーナムジェガンに躱されてしまう。

 

だが、その三発のビームが向かった先は後方にいた僚機のバーナムジェガン達であった。

 

高速かつ高出力の小規模のビーム渦流が突き抜ける。

 

 

ドズグゥアッッ、ドズダァガァアアッッ、ゴバガァアアアアア!!!

 

 

 

「?!!!」

 

後方の僚機が瞬時に撃墜され、注意が後方に向いたバーナムジェガンに隙の瞬間が生じる。

 

間髪入れずにΞガンダムは二門のショルダー・ビームバスターを放った。

 

 

 

ヴズダァァアアアアアアッッ!!!

 

ドォズグゥゥガァアアアアアア!!!!

 

 

 

爆破の中を駆け抜けるΞガンダムの眼光が光る。

 

一瞬にして破砕し空中爆破させて見せた4機のバーナムジェガンの閃光の爆発が上空と街に響き渡った。

 

Ξガンダムは滑空しながら街の低空を駆け抜け、ビームバスターとショルダー・ビームバスターを使い分けながら何発も放ち、はびこるバーナムジェガン達を次々に撃ち仕留めて破砕させていく。

 

連発発射するビームバスターのビームが低空よりバーナムジェガンを穿ち爆破。

 

そのビームバスターを連発する最中にショルダー・ビームバスターも時に同時に放つ。

 

マフティーの狙いは完璧であり、かつて敵サイドにいたΞガンダムは彼の手によりすっかりヒイロ達側の反逆のガンダムになっていた。

 

Ξガンダムは低空にホバリングしながら街な通りに待ち構えていたバーナムジェガン達に向け、ビームバスターとショルダー・ビームバスターの同時撃ちを放つ。

 

一瞬の内に斜め下方直線上一斉にいたバーナムジェガン達は滑るようなビーム渦流の閃光に破砕されていった。

 

だかその時、攻撃を逃れた1機のバーナムジェガンがビームランサーでΞガンダムに突撃する。

 

「―――!!!」

 

それに対し、Ξガンダムは躱す事なくレフトアームのトラストシールドを穿ち当て、カウンターアタックを見舞う。

 

バーナムジェガンの装甲を簡単に突き砕き、機体を爆発させた。

 

トラストシールドをかざすΞガンダムに爆発の炎が照らす。

 

12機のバーナムジェガンを撃破し切り、マフティーはふと呟いた。

 

「バーナム……情報では聞いていたが、この程度か……」

 

その直後増援を知らせるアラートが響く。

 

「例の増援か」

 

「増援の中に特異な速度の機体を確認!!量産機ではない可能性が!!!気をつけて下さい!!!」

 

ミヘッシャが増援に関する警告をナビゲートする。

 

モニターセンサー上に2機の異様に速い機体を捉えていた。

 

「あぁ。ありがとう、ミヘッシャ」

 

マフティーは引き締まる眼光をモニターの先に向けながらミヘッシャに答えた。

 

 

 

 5機のガンダム達が各主戦力エリアのMS群を壊滅に追いやりながら目を惹き付けさせていく中、ラルフのサーペント、ラシードのマグアナックチーム、を筆頭に、サポート部隊が予めリサーチしていた民間人の収容施設に赴く。

 

 その間にチーム全機の通信回線を共通回線に合わせた状態で、ラルフとラシードが作戦行動の確認をする。

 

「……予めリサーチしておいたポイントを一つづつ抑え、チームは下手に別れずにこのまま一丸にまとまった状態で動く。いくらガンダムの攻撃で殲滅を兼ねての陽動攻撃があるとはいえ、十分にMSとの戦闘はありうるからな。戦力は分散させないに越したことはない」

 

「そうだな。その上で民間人の解放に専念しよう。散り散りになるのは好ましくない。こちらも絶対に守らねばならないお方もおられるからな……聞いての通りだ。お前ら!!敵MSの大半はカトル様達の攻撃に陽動されて行っているが、油断は決してするな!!!そしてカトリーヌ様とご友人のジュリ嬢を絶対死守だ!!!」

 

「おおおッ!!!」

 

 ラシードがアウダ、アブドゥル、アフマドの部下の三人に士気の拍車を兼ねながら呼び掛け、同時にカトリーヌとジュリにも気遣いの声をかける。

 

「カトリーヌ様にジュリ嬢。自らのご遺志で闘われることは大変ご立派な事です。ですが、くれぐれもご無理をなさらないでください。万が一の事がございましたらカトル様をはじめ、必ず悲しむ方々がおられます。無論、我々がその万が一の事さえも無いようお守りさせていただきます!!!」

 

「ありがとう、ラシード。ボクはその点の意識は十分に気を付けてるから大丈夫だよ。死んじゃったらトロワや兄さんに会えなくなっちゃうからね。ジュリだってオーブの仲間やデュオに……」

 

「ちょっと、デュオって……カトリーヌ!!」

 

「だって今日二人でデスサイズヘル整備してたじゃない☆」

 

「もー!!違うんだってば!!そーいうのじゃ……!!」

 

 カトリーヌとジュリの些細なやり取りを前に、ラシードは少しばかりほっこりした感覚を感じた。

 

 だが、早速目指すポイントに近付くと敵MSの反応を示すアラートが鳴り響いた。

 

「む?!!MSの反応!!!」

 

「おいでなすったか……俺が仕掛ける。マグアナックチームはお二人のお嬢さんを守りながら任務遂行よろしく!!!」

 

 ラルフはそう言いながら接近する警備のプライズリーオーやバーナムジェガンに向かい、二挺のダブルガトリングガンを射撃し、相手が反応したと同時に撃破する。

 

 それを合図にするように数機のプライズリーオーとプライズジェスタが飛び出す。

 

「来るぞ!!!野郎どもッッ、絶対死守だ!!!」

 

「おおおッ!!!」

 

 マグアナックチームも応戦し、ラシード機とアウダ機、アブドゥル機とアフマド機がそれぞれに組んでビームライフルやビームマシンガン、アームビームキャノンで射撃し、そのベテランたる腕前は一瞬でプライズリーオーとプライズジェスタを仕留めた。

 

 ビームサーベルを抜刀し接近するプライズリーオーにアウダ機のアームクローが炸裂する。

 

 その間にカトリーヌ機とM1アストレイがビームライフルで援護射撃をして少しでも敵機を撹乱させようと試み、その射撃は見事にプライズジェスタのシールドとライトレッグにヒットした。

 

「やった!!」

 

「中たった!!」

 

 その直後、ラシード機が放った止めの三発のビームが炸裂し、プライズジェスタは爆発した。

 

「お二人とも、お見事です!!さあ、民間の収容施設を押さえますよ!!」

 

 民間施設に降り立った各機が、生身の兵士達をえげつないまでにMSの理を活かして一掃する。

 

 目には目を、非人道には非人道の制裁だ。

 

 そしてマグアナックチームが警戒する中、ラルフが得意分野の工作手法で収監された民間人達を開放した。

 

「我々はメテオ・ブレイクス・ヘル。あなた達の解放・救出に来た。ゲートも解除した。だが、いましばらくは戦闘状態になる。安全な状況になった時、島の各地で信号弾を撃つ。それまでは扉を閉めた状態で今まで通りここにいてくれ。もう少しの辛抱だ」

 

 ラルフがそう民衆に伝えると、言葉よりも頷きを返して伝えた。

 

 

 

 当然ながらこのリ・オペレーション・メテオによる状況はユセルファーを混乱させていた。

 

「なんだ?!!一体何が起きているというんだ?!!」

 

「ガンダムッッッ……ガンダムです!!!メテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムがオーブに……!!!」

 

「な、何ぃ?!!」

 

「現在、各主要都市に配備した部隊が次々に壊滅させられていっています!!!」

 

「馬鹿な?!!現在のOZプライズの戦力は奴らのガンダムなど……!!!」

 

「バルジの件をご存じないんですか?!!再起したメテオ・ブレイクス・ヘルの奴らがバルジを破壊し、その後交戦したネェル・アーガマ級グラーフ・ドレンデの消息が不明だと……!!!再起したあいつらの戦闘能力は、我々の予想を超えております!!!」

 

「な……ぐきィッ……!!!」

 

 ユセルファーが歯ぎしりをするその向こうではヒイロ達はオーブ首都に到達し、合流した4機が無双劇を巻き起こしていた。

 

 ウィングガンダム・ゼロがローリング・ツインバスターライフルで空中上のプライズリーオー、プライズジェスタ、バーナムジェガンの機体群を旋回するビーム過流でかき消すように粉砕し続け、ガンダムデスサイズ・ヘルが大降りに振るったアームド・ツインビームサイズの斬撃で一気に4機のバーナムジェガンが斬り飛ばされ、順次に鋼の肉体を爆砕させていく。

 

 全弾砲撃の砲火を浴びせ続けていたガンダムヘビーアームズ改がバスターランチャーの砲撃に切り替え、銃口にチャージしたエネルギーを開放して一気に敵機群をビーム過流で吹き飛ばして一掃し、多数の爆発光を連続させる。

 

 ガンダムサンドロック改は、数機のプライズジェスタとプライズリーオーを叩き斬り、斬り飛ばし続ける。

 

 その最中に両サイドから迫るバーナムジェガンのビームランスをバスターショーテルで受け止め、これを押し捌き返して一気に両端のバーナムジェガンを同時両断した。

 

Ξガンダムは増援のバーナムジェガン部隊と2機の青(α)と紫(β)のバイアラン、バイアラン・イゾルデと交戦していた。

 

2機のバイアランがあくまで高みの見物を決め込む中、バーナムジェガンが執拗に近接戦を仕掛ける。

 

対しΞガンダムは、トラストシールドのカウンターとビームバスターとショルダー・ビームバスターの至近距離射撃で3機を一掃するとその場から一気に上空へと離脱する。

 

複数機のバーナムジェガンが追従するが、Ξガンダムはそれに対し虎の子のファンネルミサイルを放った。

 

一気に目標に向かう多数のファンネルミサイルがバーナムジェガンの装甲を貫通する。

 

無論ファンネルミサイルの攻撃は止まらず、縦横無尽に飛び交うそのガンダリウムγの矢は多方面からマシンガンの如く、次々にバーナムジェガンを駆逐していく。

 

同時にビームバスターのショットも交えながらΞガンダムはバーナムジェガンを撃墜させる。

 

成す統べなくバーナムジェガンはファンネルミサイルの餌食にされ、ズタズタに機体を破砕され墜落、爆砕していった。

 

 予想だにしていなかった急襲にいら立ちを隠せないユセルファーは怒鳴り散らすように命令した。

 

「ぐう……ッッ、なんて気に入らない連中だッッ!!!!例の三人のガンダムを出せッッ!!!返り討ちにしてくれるッッ!!!!私もノワールフリーダムで出るッッ!!!!奴らを始末したら朝まで女どもをむさぼりつくしてやるッッ!!!!私の黒き自由は誰にも邪魔させん!!!これはロームフェラ財団、もとい、ブルーメンツの隠れた伝統なのだからなァッ!!!!」

 

 とち狂ったような動作でOZプライズの軍服を着たユセルファーはノワール・フリーダムガンダムの格納庫を目指し、オルガ、シャニ、クロトの三人も出撃していく。

 

「せっかくイイ気分になってられたってのによッッ!!!絶対に片っ端からぶっ殺してやる!!!」

 

「もう疲れて賢者な気分になってたから俺はイーけどね。今は斬りまくりたいかなー」

 

「楽しみ邪魔されて俺は怒り心頭だぜッッ!!!絶対に滅殺してやるッッ!!!」

 

 利己極まりないセリフを吐き捨てながら狂気のガンダムのパイロット達がオーブの夜空を駆ける。

 

 ユセルファーもノワール・フリーダムガンダムに乗り込み、狂気の薄ら笑いを見せながら呟く。

 

「ここは私の島……誰にも邪魔させん……ふふふふ」

 

 地下の格納庫ゲートから直接飛び立ったノワール・フリーダムガンダムは、月下の夜空に黒い翼を広げる。

 

 その狂った眼差しに見渡す眼下には、首都で巻き起こる4機のガンダム達の成す戦闘の光が拡がっていた。

 

そしてヒイロは迫るバーナムジェガンのビームランスの攻撃にシールドを突き出してのカウンターを与えながら、ゼロ・システムが伝える情報、予測からノワール・フリーダムガンダムが浮かぶ方向を見る。

 

「この状況の元凶が来たか……」

 

ヒイロは更に迫る三凶ガンダムも閉じた瞳の先に見据え、一呼吸置きながら目蓋を開く。

 

「デュオ、トロワ、カトル。3機の相手は頼んだ」

 

ヒイロのその通信に各々がそれぞれの反応で答えた。

 

「ああ?!!って……へいへい……そう言うことね」

 

「了解した」

 

「僕達の名を騙っていたガンダム達ですね」

 

一方のマフティーもまたバイアラン・イゾルデαとβの両機と月下に相対していた。

 

彼らのバイアランのフェイスは完全にガンダムであった。

 

「2機のガンダムフェイスのカスタムバイアラン……望むところだと言わせてもらおう」

 

Ξガンダムはレフトアームにビームサーベルを装備してビームを発動させる。

 

そしてヒイロ達五人は各々にオーブを巣食う禍々しいガンダム達へ向け、己のガンダムの眼光と共に鋭い眼差しをぶつけた。

 

 

 

 To Be Next Episode

 

 

 

 次回予告

 

 

 

 ヒイロ達が一騎当千の戦いにMS群を圧倒し続ける中、オーブを統べる狂気のガンダム達や2機のカスタムバイアランが現れ、マグアナックチーム勢もまた囚われた民間人の解放任務にあたる。 

 

 デュオはフォビドゥンガンダム、トロワはカラミティガンダム、カトルはレイダーガンダム、マフティーは2機のバイアランイゾルテ、そしてヒイロはノワールフリーダムと対峙し、それぞれが猛者達との激しい激戦を繰り広げる。

 

 オーブ解放の意志を携えたガンダムと狂気たる狂気を宿したガンダムの激突の嵐は、月下のオーブを駆け巡った。

 

 その最中、カトリーヌとジュリは女性達の収容施設にたどり着き、母国の女性達にジュリは誠心誠意で救出に臨む。

 

 だが、その場所にはガンダムデスサイズ・ヘルと戦闘していたフォビドゥンガンダムが身勝手な理由で迫っていた。

 

 ジュリのM1アストレイにその狂気の鎌が迫る。

 

 

 次回、新機動闘争記ガンダムW LIBERTY

 

 

 エピソード41「禍々しきガンダム達」

 

 

 

 


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