新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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大変長らくお待たせ致しました。今回、最も辛い展開になります。残酷かつ辛い描写も有ります。

苛烈な激戦の先にあるものは……前半期の最終話、開始です。


エピソード26「JUST WORLD BEAT」

ガンダムジェミナス・バーニアン02を穿つバスターファンネルのビーム渦流。

 

それに呑まれる瞬間、オデルの意識はスローモーションの感覚に充たされた中で呟く。

 

(父さん……母さん……トリシア……みんな……そして……アディン。俺は……みんな(MO-5)の敵を討てないっ……エナにもっ、あの答えをっ……返せない……畜生……すまない……すまないっっ……!!!)

 

無念の中、オデルは瞬間の最中に生きていたデータ送信機器を操作した。

 

(アディンっっ……俺の意志とグリープのデータ、託すっ……それと、多少の年齢差はあるが、プルと仲良くな……!!!)

 

そして目映い閃光がオデルを呑んだ。

 

 

 

 

オデル・バーネット 戦死

 

 

 

 

「兄さぁあああああああああん!!!」

 

オデルの命を散らせながら爆発したガンダムジェミナス02。

 

絶望や悲しみ、怒り、信じたくない気持ち……悲痛かつ複雑を混ぜ合わせたアディンの叫びがガンダムLOブラスターのコックピットに響き渡る。

 

「ああっ……うぁああああっっ……くっっそぉおお!!!」

 

アディンの中でこれまでのオデルと過ごした日々が去来する。

 

MO-5での幼少時代からMO-5崩壊までのコト、Gマイスターとして再起し、新たな道を踏み出したコト、そしてオペレーション・メテオからここまでに至った日々のコト……アディンは哀しみと怒りを混ぜた感情で喚くように叫ぶ。

 

「まだっ……MO-5のみんなの敵っ討ってねーじゃんかよ!!!トリシアさんに合わす顔あんのかよ!!?俺達はまだまだこれからだろ!!?嘘っぱちであってくれよっっ!!!ちっくしょぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

アディンにとって唯一の肉親であったオデルの死の現実に、アディンは全霊で否定して抗う。

 

さらにアディンは吠え続け、ガンダムLOブラスターに暴れ狂う激しい感情を乗せた。

 

故にアディンは受託されたグリープなるデータに気づかずにいた。

 

「うおあぁああああああっっ!!!」

 

この時、重い苦痛を伴うマリーダと感受性の激しさから離れて過ごしていたプルにもこの瞬間のただならぬ感覚が伝わった。

 

「っ……!!!何?!この激しい感覚……アディン……!!?」

 

宇宙空間を航行するガランシェール船内の一室の窓ガラスに手を当てながらプルは憂いの表情を浮かべる。

 

「激しい……それに凄く悲しい感覚……アディン……!!!」

 

アディンによからぬ事態が降りかかったコトは確実に感じていた。

「あたしは……今は何もできない。歯痒いよ……!!お願い……また会いたいから無事でいてよ、アディン……!!!」

 

 

 

「そ、そんな……こ、こんな事がっ……オデル!!!オデル!!!」

 

イリア達がいるラボコロニー内の管制ルームのモニターにも、彼女達の目を疑う衝撃的な現実を見せた。

 

ガンダニュウム合金を破壊数値に満たしてしまう程のガンダムデルタカイの火力。

 

そして確実に解るオデルの死。

 

震えながらウィナー姉妹の一人が現状を報告の声を伝える。

 

「が、ガンダム……ジェミナス02、大破っ……機体損壊状態っ……Gマイスター生存、共にっ……絶望的っ……!!!」

 

その声を皮切りにして絶望的な報告が管制ルーム内に満ち始めた。

 

「ガンダムデスサイズも中破……!!!機体、敵新型MSに鹵獲されましたっ……!!!」

 

「各スペースポート、新型の攻撃を受け広範囲に渡り破壊が拡大!!!巻き混まれたガンダムヘビーアームズ、機体状況、トロワの生死、共に不明!!!」

 

「カトルのサンドロック、尚も戦闘中……ですが、新型の猛攻を受け、劣勢に追い込まれてます……!!!」

 

かつてない絶望的な状況下に晒される中、更に絶望的な報告が重ねられていく。

 

「ラボコロニー、ECHOES部隊に内外部から完全に包囲されてます!!!」

 

「隔壁閉鎖エリア、爆破されました!!!管制施設内部にも侵入者!!!恐らくECHOESの特殊部隊と思われます……!!!」

 

イリアの表情が更に凍りついた。

 

ECHOESの部隊の別名はマンハンター。

 

すなわち殺人部隊だ。

 

昨今行われるECHOESによる反乱分子弾圧においても、攻撃対象に対し女子供だろうと容赦なき殺戮を実行している。

 

「そんな……!!!」

 

シェルターに避難しているウィナーシスターズ達のエリアが突破されれば、彼女らの身は人溜まりもない。

 

その間にもECHOES部隊は、アサシンのごとく無言のまま素早くかつ不気味に展開していく。

 

時同じくして、内部制圧に回っていたECHOESの一部隊が、とあるMS格納ゲートに差し掛かっていた。

 

サインで意志の疎通のやりとりをし、迅速に用意されたゲートコードパネルにコード解除ツールが繋がれる。

 

数分に渡る作業が終わり、厳重なセキュリティコードの解除が実行。

その巨大なゲートがゆっくりと左右に開いていくその先に存在するモノがECHOES隊員達の視界に入り込んだ。

 

「こ、これは……戦闘機っ!!?いや、モビル・アーマーか!!?」

 

「奴らの新型か……!!!ならば、新たなガンダムの可能性が高いな……機体のシルエットが奴らの可変式ガンダムと酷似している……ある程度調べた上でダグザ中佐に報告だ!!!」

 

「はっ!!」

 

ECHOES隊員達はその機体を見るなりウィングガンダムと同系統の機体と確信していた。

 

だがこの時、新型の機体からただならぬ説明し難きモノを感じるECHOES隊員達も少なくはなかった。

 

俗にいう第六感的なものとでもいうべきか。

 

「しかし……何か得体の知れないモノを感じる機体だな……」

 

「あぁ……何とも言えないが、何か……ん?!」

 

更にそのECHOES隊員の一人が製番が刻印されたプレートを発見し、読み上げる衝動に押された。

 

「XXXG-00W0……型式か?」

 

この部隊の他に展開していた部隊は他の開発施設等を発見し更なる調査に踏み込もうとしていた。

 

同時刻。

 

バルジを目指して超音速で加速し続けるウィングガンダムリベイクの中で、ヒイロは奇しくもウィングゼロの置かれた状況を危惧していた。

 

「……ウィングゼロはラボコロニーの内部に厳重なセキュリティで格納されている。だが、ECHOESならばそのセキュリティを解除しえるスキルがある……もし奴らの手に落ちれば……」

 

ひたすら見え続ける宇宙と月を見つめながらヒイロは、ウィングゼロが危惧される可能性を過らせ考察し続ける。

 

「間違いなく鹵獲したウィングゼロで運用実験をする流れになるだろう。そうなればパイロットや周辺施設が犠牲になる……特にコロニーや資源衛星がな……」

 

ヒイロの考察の考察内で、両腕に握りしめたバスターライフルの銃身を広げ構えるウィングガンダムゼロ。

 

エネルギーチャージされた銃口から凄まじい規模の高エネルギーが撃ち飛ばされ、左右にいたMS群が蒸爆発を巻き起こす。

 

そして更に左右にバスターライフルを放ったまま機体を回転させ、周辺のコロニーを巻き込みながらの大規模な破壊を拡大させていく。

 

実際に起こればこれまでのMSの常識はおろか、ヒイロ達のガンダムの常識さえも逸脱するほどの破壊規模だ。

 

その光景を想像し終えたヒイロは、ラボコロニー方面へ振り替える。

 

「……いずれにせよ俺達は今を闘い抜く必然性がある。ラボコロニーの現状を闘い抜くにはアディンのLOブラスターの性能と火力が要になる……!!!」

 

ヒイロはアディンに重きを置くことを前提にしてバルジ破壊に行動していた。

 

ラボコロニーの状況があらゆる意味で過酷さを増していく中でそのガンダムLOブラスターが駆け抜ける。

無惨な形に変貌したガンダムジェミナス02をモニター越しに目の当たりにしたアディンは悲しみを凌駕した怒りに駆られ、叫び続けずにはいられなかった。

 

「兄さんっ!!!兄さぁあああんっ……っくぅっ……!!!ぁああああああああああっ!!!」

 

アディンは怒りの限りにLOブースターユニットを全開にさせ、アクセラレートレールガンを乱射する。

 

周囲にいたECHOESジェガンやECHOESロト、そしてECHOESジェスタがそれに対して反撃を開始するが、次々に粉砕され砕け散る。

 

「邪魔すんなぁあああああああああ!!!」

 

更にPXを怒り任せ発動させながらの射撃になり、超高速でラボコロニー周辺を駆け抜け始める。

 

鮮やかな青白い光を纏いながら、ガンダムLOブラスターはコンマ数秒の間隔でECHOESの部隊を確実に破砕し続ける。

 

その神がかった攻撃は非情なECHOESパイロットにも恐怖を与える。

 

「なっ……なんだ!!?なんなんだ、あのガンダムはっ……あれが……PXシステムだというのかぁあああがぁあっ!!?」

 

コックピットを粉砕され、恐怖を叫びながらECHOESジェスタと運命を共にするECHOES隊員。

 

更にスラスト・ビームブラスターを展開させ、PXを発動させた状態からビーム渦流を撃つ。

 

 

 

ギャギンッ……ヴィギギィゴォオオオッ……!!!

 

ヴィズゥルゥヴァアアアアアアアアアアアアッ!!!

 

 

 

突き進む青白いビーム渦流の渦がECHOES部隊を呑み込み吹き飛ばしていく。

 

更にそのままラボコロニーを守るように扇型に反転し始め、更にECHOES部隊を爆砕させた。

 

この状況が後方指揮を執るディセットとダグザに通達された。

 

通達する通信士も青ざめた状態で報告を叫ぶ。

 

「展開していたECHOES部隊が次々に撃墜されていきます!!!ECHOESMS部隊、損耗率70%を超えます!!!」

 

「やはり侮れんなっ……メテオ・ブレイクス・ヘル!!!」

 

「くっ……我がECHOESの精鋭部隊がっ……奴らのガンダムにっ……!!!」

 

なす統べなく消えていく部下達に、組織の歯車と認識するダグザも怒りの感情を露にせざるを得ない。

 

「我が部隊を一時的に待避させろ!!!残りのリゼル・トーラス部隊による第二次一斉砲火を行う!!!」

 

ディセットの下したその命令が伝達し、トラントやミューラ、アレックス達が、ECHOES部隊が離脱していく。

 

「離脱だぁ?!!!ちっ……!!!」

 

アレックスは水をさされた事に半ば腹いせまがいな感情をいだき、離脱間際にクラッシュシールドの零距離発動をガンダムサンドロックにぶつける。

 

胸部面にエネルギー爆発が起こり、そのエネルギー発動により、ガンダムサンドロックはラボコロニーの外壁に打ち付けられた。

 

「うぁぁあああっくぅ……!!?くっ……み、みんなっ……!!!」

 

カトルは自分の機体を危険にさらされても尚、仲間を、姉達や妹を心配していた。

 

だが、その気持ちを踏みにじるように、仲間達は窮地に立たされていた。

 

内部半壊したコックピット内で気を失ったまま機体ごとトラントのアスクレプオスに連行されるデュオ。

 

レフトアームを失い、ガトリングユニットを損壊したガンダムヘビーアームズのディスプレイを操作する流血したトロワ。

 

更には恐怖の窮地に立たされている姉達とカトリーヌにECHOESの魔の手が迫る。

 

ECHOESの兵士達は迅速な動きで開放させたルームを制圧していくと共に、リモートコントロール式の爆破装置をセットしていく。

 

この時点で既に宇宙港は、部隊脱出経路以外は完全に潰されていた。

 

この状況を把握したイリアは、歯痒さと悔しさに苦悩し、手を震わせはじめる。

 

しばらくの無言の時間が流れた後に、ゆっくりと姿勢を正し、覚悟を吐露した。

 

「みんな……ラボコロニーからの脱出はできなくなった……全てECHOESに脱出ルートがやられた……もう私達はまず逃げられないわ……仮にアディンが打開してくれても……ラボコロニーの内部には既にECHOES達が占拠している状況っ……もう、解るわね?」

 

ウィナーシスターズの誰もが覚悟をせざるを得ない状況となった。

 

「っ……いやっ!!!死にたくない!!!」

 

「あたしだってっ……!!!」

 

「うっ、うぁああぁっ……!!!」

 

嘆き泣く彼女達の声が連鎖してオペレータールームに響き繋がる。

 

完全なる包囲網がウィナーシスターズを包み込む状況とECHOES部隊の組み合わせは明らかに虐殺へのカウントを始めていた。

 

妹達の嘆きにどう対するかも解らなくなったイリアは涙を流しながら唇を噛みしめ、静かな声でこの状況に妹達を投じさせてしまった謝罪の想いを溢した。

 

「ごめんなさい…………こんな状況に妹達を巻き込ませて!!!姉としても最低よ……本当に……ごめんっ……なさいっ……!!!」

 

状況把握ができない各シェルターにいるカトルの姉達に、恐怖と緊張の張り詰めがじわじわと励ましを掻い潜り始める。

 

「姉さん……今、どんな状況なんだろ?段々と不安になってくる……トロワ達、無事かな?!」

 

エナに抱き締められながら不安混じりに問うカトリーヌ。

 

無論答えようもなく、オデルの死すら知らないエナだが、今彼女にできる事はカトリーヌの頭を撫でて励ます事が精一杯だ。

 

「きっと……きっと大丈夫!!カトリーヌもわかってるでしょ?みんなの強さ!!今頃きっと……ね!!セルビア姉さん!!」

 

「ええ!こういう時にこそ希望は絶やさない!!特にまだ二人のデートを見届けて無いんだから!!お店再開しなきゃ!!」

 

セルビアは迫り来る緊迫の中でも、笑顔を絶やさずに二人を撫でて励ます。

 

「姉さん……!!!」

 

「あたし達も見て見たいな……カトリーヌやエナの彼氏!!」

 

「あたしも!!羨ましいな~」

 

「彼氏ってどんな!!?」

 

セルビアの言葉を聞いた他のウィナー姉妹達も恋ばなという微かな光に歩み寄る。

 

少し嬉しげな気持ちを覚えて、カトリーヌとエナは笑みを再び見せ、姉妹達に話し始めた。

 

「えっと……クールで……何か相手にしてくれないようでしてくれる……人っ」

 

「まだ付き合ってる訳じゃないけど……告白の返事待ち!!」

 

恋する乙女達の表情を見せるカトリーヌとエナ。

だが、その相手達は過酷かつ残酷な現実の渦中にあった。

 

トロワは自己修復可能なエラーを模索し、疲弊しつつある中でダメージに晒されたガンダムヘビーアームズに最善を尽くそうと行動していた。

 

「わずかでもいい。現状で体制を建て直すには今しかない。PXを再起動させる上でも今を生かす。最も、戦闘は最早できないがな」

 

そしてバラバラになりながら過酷な戦域を漂うガンダムジェミナスバーニアン02の残骸。

 

改めてオデルの死が確実にある事を物語っていた。

 

更にその遥か遠方にはメガ・ビームランチャーを構えたリゼル・トーラスの大部隊がずらりと配置に就き始めていた。

 

「リゼル・トーラス部隊、配置に就きました!!!」

 

「うむ!!もう一度ガンダムとコロニーに打撃を与える……MDシステムに最大レベルで敵ガンダムの狙撃を指示!!」

 

ディセットの指示により、一斉にリゼル・トーラス部隊はメテオ・ブレイクス・ヘルのガンダムに照準を絞る。

 

各機はコロニー内部奥面のガンダムヘビーアームズや外壁にめり込むガンダムサンドロック、アスクレプオスに捕らわれたガンダムデスサイズを完全に捕捉していた。

 

だが、PXが発動していたガンダムLOブラスターだけは捕捉できず、一部の機体達は発射にもたつく。

 

「一部の機体が捕捉しきれません!!恐らくは敵ガンダムのPXかと……!!!」

 

「標的を他のガンダムに変更させろ!!!確実に仕止めれる機体から減らせ!!!」

 

「はっ!!!」

 

オペレーター通信兵に指示を下すと、ディセットは唸りに似たため息をつく。

 

そしてダグザに向かい投げかけた。

 

「ここで必ず仕止め、完全に壊滅させる……ダグザ中佐、我々はMSを仕止める。中佐は『人』の壊滅に……」

 

「無論。だが、機体の差し押さえにも我々が動く。先程ECHOES専用暗号が、携帯データベースに送られてきた。どうやらまたとない何かを感じさせる新たな機体をコロニー内で鹵獲できたようだ」

 

「ほう……興味深い」

 

「……人も間もなく駆逐する……我々の部隊を先に離脱させて頂きたい。射撃指示はそれまで一時待機だ。いいかな?ディセット特佐」

 

「無論」

 

ディセットは頷き、ダグザの指令が早急に下る。

 

ラボ内のデータや機材、開発中だったパーツ、そしてネオ・バードモードのウィングガンダムゼロが迅速にECHOES部隊によって押収されていく。

 

そして遂にイリア達がいるルームにECHOES部隊が襲撃を仕掛け、ルームドアゲートを爆破した。

 

「きゃあああああああ!!?」

 

室内にいた姉妹達の悲鳴の直後、爆破の煙が充満する中、慈悲無きECHOES部隊のマシンガンの射撃がはしる。

 

 

 

ダダララララ!!! ダダラララララララン!!! ダダダダダダラララララァアアアアッ!!!

 

 

 

「きゃああああああああっっ!!?」

 

「嫌ぁああああああああ!!!」

 

「あぁああああああああああ!!!」

 

 

 

姉妹達の悲痛な叫びが幾つも重なり、彼女達は次々と銃弾に倒れる。

 

ECHOES隊員達は狂いなく瞬間的に銃口をターゲットに向け、冷酷無慈悲たるECHOES隊員の眼差しで銃撃を止めない。

 

そして、イリアにECHOES隊員の眼光が照準を絞った。

 

 

 

ダダダダダダラララララァアアアアッッ!!!

 

 

 

「うっくああああああああぁ……っっ!!!」

 

瞬く間にイリアへマシンガンの銃弾が襲いかかり、悲鳴と共にイリアはデータベースを伏せるように倒れ込む。

 

手を伸ばしてその目先の中にカトルの姿を過らせ、狭まれた声量でカトルの名を溢した。

 

「カトルっ……っ!!!」

 

一瞬の出来事であった。

 

覚悟をしていた先程まで生きていた彼女達は、一瞬にしてその生命を致命的に痛め付けられた。

 

彼女達は即死を免れはしたが、それがかえって残酷な痛みに身体を固められる。

 

「うくっぅっ……あぁっ……あぐっ!!!」

 

「あぁああっ!!!はぁああっ……あぁっ!!!」

 

悲痛に呻き苦しむ彼女達に確実な止めの銃撃を放ち、ECHOES隊員達は部屋を出ていく。

 

「うくっ……あっ……カトルっ……!!!」

 

イリアは銃弾による致命傷を受けながらも、力をふり絞りながら通信機器に手をのばした。

 

「カトル達だけはっ……ここからっ、離れさせなきゃ……!!!」

 

時を同じくして、カトリーヌ達が避難していたシェルターにもECHOES部隊の攻撃の魔の手が降りかかっていた。

ダダダダダダラララララァッッッ!!! ダダダダダダダダダラララララランッ、ダダダダダダラララララァッ!!!

 

「きゃあああああああああああっ!!!」

 

「やぁああああああっ、あががぐっ!!!」

 

「やだっっ、あああああああああぁあ!!!」

 

姉妹達の悲鳴と銃殺劇。

この襲撃にセルビアは咄嗟に傍にいたカトリーヌとエナを、身を投げ出すように庇う。

 

セルビアに非情の銃弾群が襲いかかり、声を上げる間もなく床に身を落とす。

 

ほんの一瞬にして胸と首に複数の銃弾を浴びており、心臓や肺、喉周りを致命的に射たれていた。

 

「セルビア姉さんっ!!!」

 

セルビアの瞳は虚ろな視線をさせたまま笑顔を維持していた。

 

如何なる時も笑顔を絶やさずに徹するセルビアは、虚ろな瞳に涙を流し、悲鳴という悲鳴の中で手を伸ばす。

 

(カぁ……フェ……みんなっ……で……またっ)

 

再び姉妹やカトル達に自分の店で振る舞う事を願って呟いたセルビア。

 

伸ばした手が儚く落ちた。

 

「セルビア姉さっ……うかふっ……あぐくぅ……ぁっ!!!」

 

エナはセルビアの犠牲も虚しく、カトリーヌを強く抱き締めながら背中に銃撃を浴び続けた。

 

エナは吐血しながらもカトリーヌを庇い続ける。

 

「~……!!!~……!!!」

 

エナの胸に押さえつけられた状態で、カトリーヌは叫び続ける。

 

カトリーヌの髪にはエナの吐血の血が落ちて、明るいブロンドヘアーに赤い色が散りばめられた。

 

エナは最早持つ事のできない意識の最中、オデルの事を想いながらカトリーヌを庇い、彼女を抱き絞めたまま倒れた。

 

「姉さん!!!!姉さん!!!!」

 

周囲がECHOESの銃声と姉達の断末魔で埋め尽くされるなか、カトリーヌは必死に呼び掛けた。

 

するとエナは、カトリーヌを最後の力で抱き締めながら、カトリーヌの耳許で囁いた。

 

「あなたは……生き残るのっ……だから今はっ……耐えてっ……死んだフリしてればっ……きっと大丈夫っ」

 

「エナ姉さんっ……死んじゃやだっ……!!!」

 

「……カトリーヌ……もし、オデルに会ったらっ、答えを聞い……て……ね」

 

エナは息絶えた。

 

オデル亡き今、彼女は向こう側のセカイでその答えを聞くことだろう。

 

それが幸か不幸なのかは二人の捉え方次第に尽きる。

 

「っ……姉さんっ……!!!ぅっ……~……!!!」

 

カトリーヌは声を押し殺しながら、今しがた息を引き取ったエナのうつ伏せの胸元に押し当て泣き続ける。

 

その間にも姉達の悲鳴もとい断末魔は重なり続け、悲痛に悲痛が巡りめぐる。

 

「いやっ……!!!トロワっ、助けてよっ……トロワ!!!」

 

カトリーヌは地獄たる惨劇の中で想うトロワの名を叫んだ。

 

その強く瞑った瞳を見開いた瞬間にトロワの姿を思い浮かべる。

 

そして、今置かれているような状況に陥った事に備えて携帯していた発信器を操作した。

 

一方、別のフロアにいたウィナーシスターズ達に、想像を絶するモノが襲いかかった。

 

それは突如として、かつリアルな熱を帯びながら、うねり狂うように襲いかかった。

 

 

 

「きゃあぁああああああああああっっ―――!!!」

 

 

非情かつ非人道な兵器・火炎放射機。

 

ECHOESの最も非情な殺戮方法だ。

 

彼女達の狂い咲く断末魔の悲鳴たる悲鳴にも、一切の情を向けることなく火炎放射機を連発するECHOES隊員達。

 

超法規的殺戮のプロが成す非道たる非道にウィナー家の姉妹達は叫び逃げる。

 

「いやっ!!!熱い熱い熱いっっ……嫌っ、嫌ぁあああああああ!!!!!」

 

「あぁああああっ!!!あぁああああああっっ!!!」

 

「ぃやあああああっっ、熱い熱い熱い熱いっ!!!助けてっ!!!やだっ、やだやだやだやだ、やだぁああああぁ……!!!!!」

 

連続で放射が開始され、更に追加された火炎放射が彼女達を襲う。

 

「助けて、助けて助けてぇっ!!!熱いのは嫌っ、熱い熱い熱い熱いっ!!!痛いっ、やだぁああああああああ!!!!!」

 

手を伸ばしながら叫ぶカトルの姉達の悲痛な姿と声が非道の炎に呑まれた。

 

同時タイミングで発信器信号を受信したアラームが、ガンダムヘビーアームズのコックピットに響き、トロワは応急自己修復装置の操作の手を止めて振り返った。

 

「ん?!これは……カトリーヌ……?まさか……!!?」

 

トロワは機体から下り、ハンドガンを片手に通信の発信場所を目指した。

 

混沌と悲劇渦巻く戦闘域の中、刻々とメテオ・ブレイクス・ヘルと彼らのガンダムもまた壊滅のカウントダウンが進む。

 

リゼル・トーラス部隊がずらりと並列陣を展開し、メ・ガビームランチャーをフルチャージで構え続けていた。

 

オペレーターの通信士が発射態勢を伝える。

 

「発射態勢はいつでも万全です!!MD部隊は完全にガンダムを捉えています!!!」

 

「後はECHOESの離脱と共に一斉に放つのみ……か」

 

だがその時、そのECHOES隊は急襲を仕掛けるトロワと交戦していた。

 

トロワは、鮮やかな身のこなしで射撃をかわしながらハンドガンを一人のECHOES隊員に命中させ、マシンガンを奪う。

 

その奪ったマシンガンで次々にECHOES隊員を銃殺して駆け抜け、神業の戦闘テクニックで戦闘のプロフェッショナルを圧倒。

 

更には火炎放射器を装備したECHOES隊員を零距離のマシンガン射撃で銃殺して奪い、その火炎放射器をECHOES隊員に浴びせた。

 

「ぐああああああああああっ!!!」

 

襲撃していたECHOES隊を逆に襲撃して壊滅させたトロワは、カトリーヌの発信器が示したフロアへと突入した。

 

皆殺しにされたカトルの姉達の惨状にトロワは眉を潜めながら周囲を見回し、その中にカトリーヌの姿を見つけた。

 

「カトリーヌ!!」

 

「トロワ?!!っ……守ってくれてありがとう、姉さん……トロワが来てくれた……さよなら……!!」

 

カトリーヌはもう答えないエナに感謝と別れを告げ、エナを仰向けに寝かせ、トロワに振り向いた。

 

「トロワぁああああ!!!」

 

まさかのトロワとの再会に涙ぐんで抱きつくカトリーヌ。

 

トロワは抱きつくカトリーヌの体の震えから彼女のこれまでの恐怖心を感じながら告げる。

 

「残念ながら俺達は負ける。今の時代には逆らえない……受け入れなければならないらしい。恐らくコロニーも時期に自爆するだろう……いくぞ。生かされているならばいくべきだ」

 

「トロワ……!!!」

 

そして、イリアはトロワの予測通りに、最期の力を振り絞り、最後の抵抗を計ろうとコロニーのシステム操作に手を伸ばし始めた。

 

イリアは振るえる指先でゆっくりと操作をしていく。

 

彼女は全身から伝わる自身の終末の痛みを耐え続けながらカトルに通信を入れた。

「カトル……これはっ最後のお願いっ……こふっっ……!!!」

 

「姉さん!!?イリア姉さんっ、最後ってどう言う意味なの?!!」

 

「かはっ……ふふふ……姉さん、射たれてもう……もたない……だから最後のお願いを……」

 

「そんなっ……!!!嫌だよ、イリア姉さん!!!今すぐ助けに行くから……!!!」

 

「ダメなの……もう……カハッ!だから本当に聞いて……カトル!!!」

 

カトルはガンダムサンドロックをラボコロニーの側面に沿わせるようにして突き進ませる中で、深い深呼吸をして、イリアに改めて問いかけた。

 

向き合いたくない現実である姉に忍び寄る死にカトルの声は震える。

 

「イリア姉さん……何?頼みって……!!!」

 

「あなた達は今すぐにラボコロニーから逃げるのっ……!!!私達に構わずに、逃げるの!!!そしてっ……再起を図りなさい!!!」

 

「再起って……どうやって?!!」

 

「アジアのオーブ首長国連邦……もしくはそのオーブの息がかかったコロニーに身を……寄せなさい……こんな時の為に以前から彼らとの繋がりを作っていたっ……彼らならば……理解してくれるはずよ……」

 

「オーブ……わかったよ……でもっ、イリア姉さん!!!こんな、こんな……別れ方がっ……あっていいの?!!いまからでもっ……!!!」

 

その時、データ受診のアラームがコックピットに響いた。

 

それはイリアから送られ来た機密データ一式であった。

 

「これは!!?機密のデータ……?!!」

 

「これからのカトル達に必要なデータ…………託したわ……私達はいつでも……味方でいるから。カトルにとって重すぎる哀しみになるけど、決して見失わないで……過剰な悲劇も越えるのよ……だから今は逃げなさいっ……さようなら……カト……ル」

 

「姉さん!!姉さんっ……!!!」

 

通信を切ったイリアは満足なえみを浮かべ、最後の抵抗を始めた。

 

レバー型の有線式スイッチを取り出したイリアは、最期の一声を放ちながら絞り出した。

 

「これでっ……彼らもろとも終わりよっ……!!!」

 

イリアがレバーを握った瞬間、ラボコロニーの外壁から並列に突き進む爆炎が生まれた。

 

その爆炎はドミノ倒しの如く瞬く間にラボコロニーを内外部から吹き飛ばしていく。

 

内部のラボ施設やMSドック、開発ブロック、 展開しているECHOES部隊を一瞬にして塵芥と化させた。

 

そして満足気なような哀しみを懐いた表情で、イリアは息絶えた。

 

直後、イリア達を爆炎が吹き飛ばして巻き込み、炎の熱さに悶え苦しんでいたウィナーシスターズ達もまた、悲痛な想いの中に消えていく。

 

この爆炎の衝撃にトロワとカトルのガンダムも巻き込まれ、外部へ吹き飛ばした。

 

「くっ……!!!ECHOESによる破壊工作か!!?だがっ……爆発の規模がっ……破壊工作の類いではないっ……まさか自爆か!!?」

 

トロワとカトリーヌは巻き起こる爆発に機体を晒されながら、イリア達が自爆の判断をした現実を理解した。

 

眼前に拡がるラボコロニーの爆発に、既に彼女達の運命はその炎の中に有るものと理解するしかなかった。

 

トロワは震えるカトリーヌを抱き寄せながら静かに右片手拳を握りしめ、歯を食い縛った。

 

カトルもまたコックピットの中で破壊と爆発が拡がるラボコロニーに叫び続ける。

 

「姉さん!!!姉さぁああああああああんっ!!!」

 

砕け散るラボコロニーの爆発の向こうで確実に散る姉達の命の現実がカトルに突き付けられた。

 

「……くっ……うっ……っ、うぁああああああああああああっっ!!!ああああああ!!!」

 

カトルは発狂しながら去来する姉達の死に感情が暴走する。

 

ただただに感情がかきむしられ続ける。

 

荒ぶる感情に計器類やモニターに拳を叩き続けた。

 

同時刻、自爆しECHOES部隊を巻き込んだメテオ・ブレイクス・ヘルの行動に通信が錯綜していた。

 

「メテオ・ブレイクス・ヘルのコロニー、自爆!!!」

 

「ECHOES部隊も巻き込まれた模様!!!被害、甚大!!!」

 

「ガンダムも爆発に巻き込まれたと思われる!!!発生した爆煙の影響でMDに標準をロストする機体も!!!」

 

「かまわん!!!標準を確定させている機体だけで砲撃!!!MD隊、放て!!!」

 

「了解!!!MD部隊、コメンス・ファイア!!!」

 

ディセットの命令により、MD部隊への攻撃プログラムが入力され、ガンダムに標準を絞ったMD部隊が一斉にメガビームランチャーを放つ。

 

その時のタイミングを見計らったかのように、トラントはパイソンクローに掴んだガンダムデスサイズをビーム群が突き進んでくる方角へと投げ飛ばす。

 

「はははっ!!死神は死神らしく地獄に帰るんだな……そらよぉっ!!!」

 

アスクレプオスに投げ飛ばされたガンダムデスサイズは、迫り来るビーム群に突っ込んでいき、夥しいビームを浴びた。

 

「があああああああああっ!!!」

 

遂にガンダムデスサイズはそのビーム群の中で外面を爆破させ、大破しながら完全に戦闘不能となっていった。

 

それに継いでビーム群は更にガンダムヘビーアームズとガンダムサンドロックに被弾を浴びせた。

 

「くっ……!!!高出力と物量か!!!」

 

「うぁああああああ!!!」

被弾し、爆発と共に宇宙の中を吹っ飛ぶガンダムヘビーアームズとガンダムサンドロック。

 

損傷は装甲表面をわずかに熱融解させるに止まったが、内部損傷のエラーがトロワとカトルの身体を振るわせるような勢いで鳴り響き渡る。

 

その一方でデュオは気を失いながら再びガンダムデスサイズをアスクレプオスに捕らわれていた。

 

トラントがモニター越しの瀕死の死神に見下すように吐き捨てる。

 

「死神には死神らしい監獄が待ってるそうだ……くっくくくく……」

 

「トラントさんよぉ!!!ガンダムが2機逃げやがるぜ!!!あれも監獄にぶちこみますか!!?」

 

アレックスからの通信に、トラントはメリクリウスがクラッシュシールドでさすその方角に飛び去る2機のガンダムを確認する。

 

PXを発動させたガンダムヘビーアームズが、ガンダムサンドロックを掴まえながら急速離脱する姿があった。

 

トロワは今できる最善の選択をし、PXの出せる全ての加速性能を引き出し離脱していた。

 

カトリーヌも必死に未知の加速Gを体感しながらシートにしがみつく。

 

「今は俺達だけでも再起に繋ぎ止める行動をする!!!今は耐えてくれ、カトリーヌ!!!」

 

「う、うん……!!!」

 

少しばかり2機のガンダムの姿をモニターで見ていたトラントは、溜め息混じりにアレックスの期待を跳ね返す命令を出した。

 

「いや、いい……こいつを含めればいい機体を手に入れている……特にアレなんかヤバい機体の予感だ……ガンダム10機分のヤバさを感じさせる。あの爆発でほとんど無傷だ。アレックスは解るか?」

 

トラントが示した方向には爆発に巻き込まれたウィングガンダムゼロを回収するミューラのヴァイエイトと、リーオー部隊の姿があった。

 

アレックスはなるほどとばかりに不敵な笑みをした。

 

「確かに……なんか感じますね。ビッとクルってヤツですか」

 

「だな。ニュータイプになりかけてたりしてな?」

 

「まさかまさか!!俺は変人種にはなりたくないっすよ!」

 

「はははっ、冗談はさておき……恐らくは羽付きガンダムの新型だ。射撃や格闘特化を幾つも捕らえるよりもいいだろう。後は元連邦サイドの兄ちゃんに任すまでだ」

 

 

 

ゼロシステムとナイトロシステムに支配され、一時的に激痛をはしらせていたリディは、虚ろな視線で、迫るガンダムLOブラスターへと機体を向けた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁっく……はぁ……はぁ、はぁああっ……ガンダム……あのガンダムはっ……!!!」

 

その時、システムがリディの脳内にアディンの姿を過らせ、瞬間的な闘争本能がリディを襲う。

 

リディの表情が険しく攻撃的に変貌する。

 

「アディン……バーネット―――っっ!!!ぁあああああああああっ!!!」

 

リディの意思に呼応するかのようにカメラアイを光らせたガンダムデルタカイが、迫るガンダムLOブラスターに向けて加速する。

 

憎しみを昂らせた感情を宿した2機は、互いに銃ユニットを投げ、ビームソード、ビームサーベルを抜き取った。

 

エネルギーの刀身を発動させ、激突し合わせたビームスパークは、二人の渾身の感情を表すかのように宇宙に弾き、拡がる。

 

 

ヴィギギャァアアアアアアアアッ!!!

 

 

 

「その声はっ………!!?リディ……マーセナス!!!貴様が兄さんを……!!!くっ―――こぉのやらぁああああああっ!!!」

 

「ガンダムめがぁっ!!!殺してくれるぅっ!!!」

 

眩い閃光に照らされながらアディンとリディの憎しみの感情がぶつかり合う。

 

渾身の感情を機体にのせながら、同時に二人は吠えた。

 

「あああああああああっ!!!」

 

アディンとPXシステムのリンクコンディションが過去最大値になり、ガンダムLOブラスターはカメラアイを発光させ、自身を纏う青白い炎のごとき閃光を更に強く放つ。

 

ガンダムデルタカイも同時にサイコフレームから青白い光を展開させてビームサーベルを捌きあげる。

 

だが、刹那的間隔の中でアディンは捌きあげられたビームソードを再びガンダムデルタカイのビームサーベルに激突させる。

 

憎しみをぶつける相手を斬らんとする両者の斬擊が超高速でぶつかり合う。

 

斬るに斬らせない両者の斬擊は、互いに回転をかけた斬擊をぶつけ合わせた。

 

再び拮抗しながらスパークをはしらせ、パワーとパワーが震える。

 

哀しみを基盤にしたアディンの行き過ぎた怒りの感情が、PX性能のブラックボックスを引き出させていた。

 

リディもまた、脳内に押し寄せるゼロシステムとナイトロシステムの闘争指令と感情に支配され、ガンダムデルタカイを更なる逸脱の次元へ持っていく。

 

「かはぁああああああっ!!!うヴァらああああああ!!!」

 

激しさを増させた両者の斬擊に伴い、ガンダムLOブラスターとガンダムデルタカイは弾き合うようにラボコロニーエリアから離脱していく。

 

アディンとリディの怒り、憎悪、闘争の三拍子の感情が、両者のガンダムから放たれているようである。

 

弾き叩きつけ合う激しき斬擊の軌道。

 

その乱舞する斬擊戦闘の最中に、アディンはスラスト・ビームブラスターを放った。

 

ガンダムLOブラスターの両肩から放たれる大出力のビーム渦流が暴れ狂うかのように宇宙空間を擊進する。

 

そしてそれを驚異的な反応でかわすガンダムデルタカイ。

 

だが、そのビーム渦流は後方で展開していたリゼル・トーラス部隊や艦隊を巻き添えにして吹き飛ばす。

 

リゼル・トーラス部隊や艦が融解爆破を巻き起こし、破壊を拡げ続けた。

 

超高エネルギー渦流を持続させながら旋回するガンダムLOブラスター。

 

それは付近に漂っていたかつての地球連邦軍のマゼラン級の残骸を消し飛ばし、立て続けに同じように漂っていた廃棄コロニーを限りなく破砕した。

 

かわしきったガンダムデルタカイは、シールド・バスターソードに装備されているハイメガキャノンをガンダムLOブラスターに向けて撃ち放つ。

 

そのビーム渦流を、高度な対ビームコーティングが施されているディフェンスシールドで受け止めながらガンダムLOブラスターは一気に斬り込む。

 

更に超高速度の斬擊を、高純度のガンダムニュウム合金性であるシールドバスターソードで受け止めるガンダムデルタカイ。

 

瞬発的に二度、三度、四度とビームソードとシールド・バスターソードとが激しさを増して弾き合って激突し、五度目の激突の直後に互いに弾き合い離脱した。

 

リディの身体と精神の半分はナイトロシステムとゼロシステムにより生態戦闘端末と化していた。

 

リディは歯ぎしりをしながら凄まじい憎しみの表情で、バスターファンネルに意識を飛ばす。

 

反応するバスターファンネルはオールレンジでバスターライフル級のビーム渦流を放ち、その猛威を奮う。

 

「あぁああああああああっ!!!死ね死ね死ね死ねぇええっっ!!!アディン・バーネットぉっ!!!貴様達のガンダムはっ……全て目障りで……俺を狂わせるっ!!!」

 

暴れ狂うバスターファンネル。

 

狙われ続けるガンダムLOブラスターもPXのオーバードライブの次元でかわし続ける。

 

そしてガンダムLOブラスターは一瞬のビームの隙間を掻い潜り、ビームソードを唸らせながら斬り込んだ。

 

「おらぁあああああっっ!!!」

 

だが、その斬擊の薙ぎ払いがガンダムデルタカイに入る寸前、PXが遂に限界を迎えた。

 

「何っ!!?」

 

突如としたシステムの終了にアディンは一瞬の隙を晒す。

 

ガンダムデルタカイはその瞬間にシールドバスターソードで突き飛ばし、ハイメガキャノンを撃ち込む。

 

ビーム渦流はガンダムLOブラスターのコックピット直撃の射軸線上を突き進んだ。

 

アディンは瞬間的な判断でディフェンスシールドで受け止め、さらにLOユニットのバーニアを全開にした。

 

だが、PX停止による悪影響により、機体全体のエネルギー供給率が低下していた。

 

故に少し持ちこたえた所で、一気に吹き飛ばされてしまう。

 

「ぐおぉおぁああ!!?」

 

ビーム渦流に突き動かされたまま宇宙空間を突き進み続け、クラップ級に激突。

 

艦体の激しい爆発に見舞われながら更に吹き飛ばされたガンダムLOブラスターに、ガンダムデルタカイが猛擊を加える。

 

「ガンダム……!!!ガンダム……!!!ガンダムゥゥッッ!!!」

 

ナイトロとゼロの両システムの生態端末と化したリディは、ガンダムLOブラスターにシールドバスターソードを殴り付けるように攻め混んだ。

 

 

 

ガギャガァアアアア!!!

 

 

 

「ぐおぁああっ……!!!」

 

吹っ飛ぶガンダムLOブラスターに高速追従したガンダムデルタカイは、ビームサーベルで滅多斬りの斬擊を胸部やスラスト・ビームブラスターユニットに叩き込む。

 

そして、ハイメガキャノンを頭部目掛け至近距離で撃ち放った。

 

 

ザガギャッッ、ザガギャッッ、ディギャガガガガァッッ!!!

 

ズゥヴァダァアアアア!!!

 

ガンダムLOブラスターは頭部アンテナとカメラを破壊されながら仰向け状に吹っ飛ぶ。

 

「ぐぉああああぁああ!!!」

 

激しい衝撃と共に、コックピットのメインモニターの半分が機能を停止し、ダメージによって機器が小爆破しながら白煙を吹き出す。

 

一方的に追い詰められ、自分が負傷しながらも、アディンは生きているモニターに映るガンダムデルタカイを睨んだ。

 

「クソぉっ!!!貴様だけは……!!!」

 

アディンは最早ロックオンできないスラスト・ビームブラスターを幾度も連発して攻撃した。

 

だが、ビーム渦流は虚しく宇宙空間を撃ち続ける。

 

そして次の瞬間、スラスト・ビームブラスターユニットに真っ向からバスターファンネルが取り付いた。

 

 

 

ヴァズゥダァアアアアアアアアアアッッ!!!

 

ヴァズゥギャラァアアアアアア!!!

 

 

 

強烈極まりなきビーム渦流が、破壊数値を越えたダメージを与えた事に加え、更に銃口内にビーム渦流が侵入したことが致命的になり、ガンダムLOブラスターの虎の子たるスラスト・ビームブラスターユニットが破砕した。

 

ガンダムデルタカイの攻撃は更なるオールレンジ射撃の猛擊を与えようと攻め入る。

 

「シネェぇあああっ!!!ガンダム!!!」

 

狂気たる表情を剥き出しにしたリディは、完全にガンダムLOブラスターを捉えている。

 

だが射撃の瞬間、遂に身体に限界の負荷がかかり、リディは強烈な目眩や吐き気に襲われた。

 

「かはがっ……!!!ぐおぉっ……おおぅ、かはっ!!!」

 

遠心力に全身が振り回されるかのごとき強烈たる違和感も加わり、リディはある意味戦闘不能に陥った。

 

ガンダムデルタカイも同時に狂気たる行動を停止させた。

 

「……?!!と、止まりやがった?!!っ……!!!」

 

アディンは反撃のチャンスであるにも関わらず攻撃不能であることに悔やみ切れない悔しさと怒りを覚える。

 

「クソ……!!!チクショウ……!!!兄さんの敵が目の前にいるってのに……!!!チッッ……クショウがぁああああああああ!!!!」

 

アディンは全ての想いを要り混ぜてモニターに拳をぶち当てた。

 

怒りに怒り、痛みすら感じない。

 

ラボコロニーが自爆し、ウィナー家もカトルとカトリーヌを残して壊滅。

 

そして、敵に脅威を与えていた自分達のガンダムさえ壊滅的状況になり、オデルが死んだ。

 

最早敗北感の一言では表現できない苦しみがアディンを襲う。

 

先ほどのスラスト・ビームブラスターが敵にも打撃を与え追撃の余地は封じた為、戦況的には痛み分けであった。

 

双方の勢力がほぼ壊滅した宙域に立ち込める絶望。

 

アディンは淡々と自爆シークエンスに移る操作を始めた。

 

だがその時、いつしかプルにもらったガンダムじぇみなすのマスコットが目に留まる。

 

自爆シークエンスの手を止めたアディンは、自然に手に取った。

 

その瞬間にプルが籠めた想いを感じた。

 

プルが籠めた健気な想いが、この絶望的な空間に光を見出ださせる。

 

アディンはガンダムじぇみなすを握りしめて額に当て、プルを思い起こした。

 

過るプルの声。

 

 

 

「アディン……待ってるからね……」

 

 

 

「プルが……俺なんかのために……!!!へっへへへ……そうだった……そうだった!!!!」

 

一噌の事、自爆という思考が過っていたが、その思考はすぐに改まり、アディンに生きる意志を呼び覚まさせた。

「LOユニットは生きている……一気に逃げるぜ!!!」

 

まだ機能が生きていたLOブースターユニットを起動させ、アディンはレバーを押し込む。

 

「兄さんがくれたデータもあるんだ……今は逃げてやる……逃げて生きるぜ。生きて……生きて……生きて、俺は……俺達は、キメル!!!」

 

機体を反転させながら変形しガンダムLOブラスターは宇宙の中へと加速し、忌まわしき宙域を離脱した。

 

「見ていてくれ……兄さん、ルシエ……みんな……必ず仇は討つ……!!!」

 

苦痛なる気持ちと新たな想いを交えながらアディンは半壊したガンダムLOブラスターを進ませた。

 

 

 

L1宙域・宇宙要塞バルジ

 

 

 

「敵機、急速接近!!!」

 

「リーオー部隊各機、射撃開始!!!撃てぇええっっ!!!」

 

 

 

ドゥビィイイイッッ、ドゥビィッッキュウゥッッ、ドゥビィイイイ……

 

 

 

リーオー部隊が一斉にビームライフル、ドーバーガン、ドーバーバスターを一斉射撃する中を凄まじい機動力で掻い潜る戦闘機。

 

膨大なビーム一斉射撃を回転しながら突き進んだそれは一気に変形。

 

ウィングガンダムリベイクへと姿を変えた。

 

「バルジ防衛、あるいは俺が狙いか……いずれにせよ障壁は排除する……!!!」

 

ヒイロは一瞬でモニター越しの宙域を把握すると、すかさずプロトバスターライフルをロック・オンさせた。

 

ウィングガンダムリベイクが突き出すプロトバスターライフルの銃口に充填されたエネルギーがビーム渦流を撃ち飛ばす。

 

 

 

ヴァズゥダァアアアアアアアアアア!!!

 

ドドドドドドァッッ、ゴゴゴゴゴゴバァアアアア!!!

 

 

 

突き進んだビーム渦流は一瞬でリーオー部隊9機と輸送艦2隻を破砕。

 

更に銃身を旋回させ、ピンポイントでビーム渦流を撃ち飛ばし、10機のリーオー部隊を破砕させた。

 

「バルジは目前だ。このまま攻め混み、バルジ砲内部に侵入。破壊する……!!!」

 

機体を旋回、加速させたウィングガンダムリベイクは、中出力でプロトバスターライフルを撃ちながら進撃。

 

撃つ毎に4、5機のリーオーが破砕させられていく。

 

そしてその流れの中で、プロトバスターライフルの銃身を振り回すように自転。

 

ジャイアントスイング要領でプロトバスターライフルを撃ち放った。

 

回転しながらのビーム渦流射撃が、より大多数のリーオー部隊を破壊する。

 

まさしくウィングガンダムの無双進撃の再来である。

 

この絶望的な敵を前に、騎士道の意地を奮わせる仮面の男がいた。

 

「やはり……!!!間違いない、ヒイロ・ユイだ……!!!信じられん……アデレードでのあの瀕死状態から生還するとは……フフッ……どうやら闘いのツキが回ってきたようだな……!!!」

 

騎士道の高揚感から不敵笑みを浮かべたゼクスは、自らが率いる部隊からトールギスを単機で加速させた。

 

「ゼクス特佐!!?単機では危険です!!!」

 

トールギスはレフトアームに装備したバスターランスを突き出してウィングガンダムリベイクへと突き進んだ。

 

「トールギス!!!」

 

 

 

ガギャオンッッ!!!

 

 

 

シールドとバスターランスがぶつかり合ってすれ違う。

 

軌道転換させたトールギスは、再度バスターランスでウィングガンダムリベイクに突っ込み加速。

 

対し、ウィングガンダムリベイクは腰アーマーにも格納されていたビームサーベルをレフトマニピュレーターで取り出し、抜刀。

 

バスターランスを捌き弾いた。

 

「ふっ……それでこそだ!!!」

 

トールギスは空間上で再度反転し、バスターランスを突き出す。

 

対するウィングガンダムリベイクの斬撃がバスターランスを捌き、両者は互いの武装を繰り返し激突させ始めた。

 

ビームサーベルで受け止めては弾き、バスターランスで突いては弾かれる。

 

攻撃を突き出しながらゼクスは改めて通信回線を開いて問う。

 

「改めて聞く!!貴様は……ヒイロ・ユイか!!?」

 

「そうだっ……ゼクス!!!」

 

「やはりかっ……実に運命染みた闘いだ!!!如何にして生きていてくれたかは敢えて問わん……代わりにっ……この闘いに全力を注ぐ!!!」

 

バスターランスの連撃が繰り出され、遂にウィングガンダム・リベイクのボディーを突き穿ち、一度高速で離脱。

 

バーニアの加速をかけた一撃をウィングガンダムリベイクへと見舞う。

 

「ぐぅっっっ……俺もなぁっっ!!!」

 

突き飛ばされた機体をウィングスラスターのエネルギー噴射で立て直し、マシンキャノンの連射撃で牽制するヒイロ。

 

それをシールド防御で応じ、着弾爆煙がトールギスを包む。

次の瞬間、ウィングガンダムリベイクが再び抜刀の斬撃を食らわせ、バスターランスそのものをトールギスの手から弾き飛ばした。

「ちぃぃっっ……!!!」

 

トールギスはビームサーベルを抜刀しながら発動させ斬撃を叩き込むと、ウィングガンダムリベイクはビームサーベルを激突させスパークを巻き起こす。

 

「今私は……兵士としての任務と騎士道の意地を去来している!!!一つは貴様の鹵獲、もう一つは決着だ!!!」

 

「いいだろう……だが機体は渡さん……!!!バルジも破壊する!!!」

 

「バルジが狙いとはっ……相変わらずの無謀……ぶりだっっ!!!」

 

ビームサーベル同士の斬撃と斬撃をぶつけ合わせてはぶつけ合わす。

 

薙ぎ、袈裟斬り、突きと至近距離での凄まじい斬撃戦闘が高速で流れていく。

 

「初めはECHOESへの反撃が狙いだった……だが、守るべき拠点が狙われ、更なる危険な存在を叩くべく闘いの視点を変えた……!!!」

 

突きを捌き合い、薙ぎ斬撃の弾き合いに転じ幾度も拮抗した後に離れ合う。

 

「だが、その守るべき拠点は自爆して既に無いっ!!!貴様は虚しくないのかっっ!!?」

 

「何!!?」

 

ラボコロニー自爆は情報を得ていなかったヒイロの精神を揺るがした。

 

この瞬間、まさに斬りかかろうとしたウィングガンダム・リベイクの動きを止めた。

 

「ならば私は兵士として、まだある祖国を守る!!!」

 

この時の瞬間にゼクスの去来している覚悟が定まった。

 

ようやく連邦の支配から逃れたサンクキングダムを、己れの騎士道よりも優先させたのだ。

 

トールギスの薙ぎ斬撃が、ウィングガンダムリベイクのレフトアームの関節ジョイント部を直撃する。

 

一点集中のダメージに斬り飛ばされるレフトアーム。

更にドーバーガンの一撃がウィングガンダムリベイクの頭部を直撃する。

 

「ラボコロニーが……自爆だと……!!?カトル達はどうなった!!?ならば……俺はっ……俺がとる任務は……!!!」

 

ヒイロの脳裏にバルジへと突っ込み、自爆を慣行するイメージが過った。

 

その間にリーオー部隊各機が戦闘中のトールギスに追い付き、一斉に中小規模のビーム渦流射撃をウィングガンダムリベイクに撃ち注ぐ。

 

「ゼクス特佐!!鹵獲の止めは我々が!!!」

 

「お前達……!!!」

 

リーオー部隊の射撃はウィングガンダムリベイクの装甲を穿ち続け、衝撃を与え続けた。

 

そして、ドーバーバスターを装備した各機が、改めて一斉にビーム渦流をウィングガンダムリベイクへと集中させた。

 

爆炎に包みこまれた中へ更なるビーム渦流射撃を重ねる。

 

ウィングガンダムリベイクは爆発に包まれた。

 

だが、その爆炎の中にプロトバスターライフルを構えたウィングガンダムリベイクが姿を見せた。

 

「っ……!!!目標、尚も健在!!!」

 

プロトバスターライフルを敵機群にロック・オンしたヒイロに、自爆の選択肢はなかった。

 

 

 

『ヒイロ……必ず生き続けろ』

『世界がどんなに否定しようと信念を貫け』

『私はヒイロとアイスクリームが食べたい……』

 

 

 

脳裏に呼び醒まされたマリーダからの約束と言葉がヒイロに生きる選択肢を与えた。

 

マリーダもまた襲う激痛の中、必死でヒイロを想いながら闘っていた。

 

「ヒイロっ……!!!うあぁああっっくっ……ヒイロっ!!!私もっっ……闘ってる……!!!だから……生きろ……ヒイロぉっっ……!!!」

 

パラオの病室で闘うマリーダと共鳴するかのように、ヒイロは叫びながらプロトバスターライフルを解き放った。

 

「おおぉおおおおおおっっ!!!マリーダァアアアアアアアアァッッ!!!」

 

 

 

ダァズゥヴァアアアアアアアアアアアアッッ!!!

 

ドドドドドドゴヴァッッドドゴヴァゴヴァゴヴァドドドドドドゴヴァアアアアアアァッッ!!!

 

 

 

リーオー部隊は次々に機体をビーム渦流に吹き飛ばされ爆砕し、殆どが壊滅した。

 

更に不意を突かれたゼクスは、トールギスのライトアームを吹き飛ばされるに至った。

 

それを視認したヒイロは一矢報いた事を感じながら流れていく機体に身を委ねた。

 

「ふっ……任務失敗。だが、マリーダからの任務は……続行する……」

 

 

 

 

 

宇宙世紀0097 4月

 

メテオ・ブレイクス・ヘルの壊滅より一年余りが経過した。

 

OZは完全なる地球圏掌握に向け、OZの後ろ楯であるロームフェラ財団直属とする超法規的部隊・OZプライズが発足した。

 

同時期、地球上においてもOZと連邦残存勢力との戦闘が各地にて勃発。

 

ネオジオンやジオン残存勢力の小規模の抗争も交え、世界は更なる混迷を突き進んでいった。

 

凄まじく廻る情勢の直中の地球圏の一角・L2コロニー群・インダストリアル7のコロニーの街中を歩く少女がいた。

 

立ち止まりながらフードを外して振り向く。

 

「やっぱりこのコロニー……何かが……呼んでる……」

 

そう呟いた少女はプルだった。

 

プルは天井に拡がるコロニーの街を見回し、再び歩き出した。

 

 

 

 

 

Next……→

 

新機動闘争記 ガンダムW LIBERTY セカンド・オペレーション




偽りの平和……反抗と弾圧……そして侵攻……歴史が変革した宇宙世紀の時代は更なる混沌をいく。

新たな次世代の力が更なる犠牲を拡大させていく。

その狂った流転は止まらない。

散り散りになったGマイスターの一人、アディンはニュータイプ少女・プルとガランシェールクルー達と共にラプラスの箱なるモノの存在に迫る。

そしてヒイロもまた再び動きを見せ始めていた。

エピソード27「ラプラスの箱」


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