新機動闘争記ガンダムW LIBERTY   作:さじたりうす

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アディンやカトル達はオルタンシアでしばしの休息をとっていた。

その最中、アディンの不用意な一言がオデルとの小競り合いを作り、アディンはブルーなってしまうが、プルの励ましで立ち直り、ガンダムジェミナスの操縦トレーニングに打ち込む。

一方、ヒイロは任務の最中、ソマリアエリアで野党MSに生身で襲撃されるマリーダを確認し、彼女を助ける。

傷ついたマリーダの為、任務時間を割いた後、再び任務を遂行し、デュオと共に連邦軍・OZのソマリア基地を陥落させた。

もう一方では、ゼクスとリディ達が、ボルネオ島で起こったジオン残存軍とテロ組織の抗争に軍事介入をしていた。

その抗争を鎮圧させた後、ゼクス達はソマリア基地壊滅の報告を受け、リディ達を残しガンダムの迎撃へ向かう。

そして、事後処理を終えて帰還するリディ達もまたガンダムを捕捉する。

ヒイロとゼクス。

アディンとリディ。

彼らの激突の火蓋が落とされる……。




エピソード10 「宿命の序曲」

 

 

 

オーストラリア 地球連邦軍・メルボルン基地

 

 

 

ディッガキィンッ、ザカギャン、ギャガァァアアンッッ!!!

 

 

斬撃音が響き渡り、ジェガンが斬り飛ばされていく。

 

シェンロンガンダムが振り払う僚牙が、ジェガンを斬り飛ばしていた。

 

次なるジェガンに激しい斬撃を振り払う。

 

 

 

ザァガギィィィィィッッ!!!

 

 

 

分断されたジェガンが爆発を巻き起こす。

 

そこへスタークジェガンが、仇をとらんとばかりにビームサーベルを突き立てて攻め居る。

 

「はぁああああああっ!!!」

 

だが、相手の加速を利用し、シェンロンガンダムは五飛の気合と共に、ドラゴンハングを伸ばした。

 

破壊音を響かせながら、シェンロンガンダムのドラゴンハングがスタークジェガンの胸部を噛み砕く。

 

 

 

ディッガギンッッッッ!!!!

 

ヴォガゴォオオオオンッッッッ!!!!

 

 

 

噛み砕かれた部位を爆発させながらスタークジェガンが滑走路に倒れこんだ。

 

シェンロンガンダムは、眼下のロト部隊へと向きながら、両眼を発光させた。

 

その悠然たる姿勢に畏怖されながらも、ロト部隊がシェンロンガンダムへとミサイルランチャーを撃ち放つ。

 

連続で唸り続けるミサイル群がシェンロンガンダムへと注ぎ込まれていく。

 

巻き起こる爆発は凄まじい。

 

だが、その爆煙の向こう側からは殆ど無傷のシェンロンガンダムが姿を表した。

 

そしてシェンロンガンダムは、ドラゴンハングをロト部隊へとかざし、火炎放射を放った。

 

ジェット音にも似た唸り音と共に、青白い超高熱の炎がロト部隊へと襲いかかった。

 

瞬く間にロト部隊は超高熱による誘爆を巻き起こして3機が瞬く間に爆発していく。

 

その場からシェンロンガンダムは加速をかけ、突き進む先から射撃するジムⅢ部隊へと襲いかかった。

 

「無意味な攻撃をかけるな!!!退け!!!」

 

五飛の気迫に連動するかのごとく、僚牙を振り払う。

 

その大刀は一気に3機のジムⅢを凪ぎ飛ばして破砕させる。

 

巻き起こした爆発を突っ切り、ビームライフルを構えるグスタフカール部隊へと目指す。

 

シェンロンガンダムのコックピットモニターには3機のグスタフカールを捉えられていた。

 

「目標捕捉!!!行くぞナタク!!!」

 

五飛は加速をかけ、更に突き進んだ。

 

僚牙が、1機のグスタフカールを串刺しにした。

 

 

 

ガザギャアアアアアアアア!!!

 

 

 

そのままの勢いで基地に串刺しにされたまま突っ込んだ。

 

激しい破砕が巻き起こる中、シェンロンガンダムが瓦礫の粉塵を突き破って、ドラゴンハングでグスタフカールを砕き潰す。

 

その勢いでグスタフカールは地表に叩きつけられ破砕された。

 

3機目のグスタフカールはビームサーベルに武装を変えてシェンロンガンダムに斬りかかる。

 

だが、凄まじい速さで五飛はこれに反応し、振り返り様にドラゴンハングを突き穿つ。

 

グスタフカールは胸部を突き抜かれ爆砕された。

 

そして五飛は格納庫へと照準を会わせ、ドラゴンハングをかざさせる。

 

「連邦の次世代機など必要ない!!!」

 

グスタフカールが格納されている格納庫へと、シェンロンガンダムが火炎放射で襲いかかる。

 

破壊の炎が注がれ、瞬く間にグスタフカール達を誘爆させていった。

 

グスタフカール破壊の任務を終え、炎の野原と化したメルボルン基地を見つめながら五飛は呟いた。

 

「モノ足りんな、ナタク。やはり好敵手との戦いこそが、真の戦いだ………ナタク、俺達はこの先の任務に備えるぞ。雑魚潰しは他の奴らに任せる……!!!!」

 

炎を見つめた五飛はそう呟きながら瞑想した。

 

 

 

白と黒の閃光のごとく、ウィングガンダムとガンダムデスサイズが突き進む。

 

羽ばたくように展開するウィングバインダーが一層ウィングガンダムの攻撃的オーラを宿す。

 

ガンダムデスサイズもビームサイズを振りかぶり、轟と死を引っ提げる。

 

奇しくも対するトールギスとオーバーエアリーズも白と黒。

 

高速域で、トールギスがドーバーガンを構え、オーバーエアリーズが、ビームライフルを突き出す。

 

ゼクスは一瞬でウィングガンダムをロック・オンし、高速ビーム弾を二発撃ち飛ばす。

 

「狙いはこうつける!!!」

 

「……!!!」

 

 

 

ドゥヴァウ、ドゥヴァウウウウウウウッッ!!!

 

 

 

ヒイロも一瞬の素早い反応と動体視力で機体をコントロールし、これを躱す。

 

躱されたビーム弾は、虚空の夜の闇に消えていく。

 

そして、ヒイロは直ぐ様バスターライフルの反撃を見舞う。

 

 

 

ギュヴァアアアアアアアアアウッッ!!!

 

 

 

撃ち出される中出力のビーム渦流が、トールギスへと突き進む。

 

「躱す!!!」

 

トールギスは素早い機動力でバスターライフルのビーム渦流を躱し切った。

 

「躱された?!!」

 

ヒイロは初めて狙った敵機を撃ち逃す。

 

次の瞬間に、ウィングガンダムとトールギスは、互いに発生させている衝撃波を当て合いながらすれ違う。

 

空気の衝撃波が唸り響く。

 

トールギスは瞬時に反転し、ドーバーガンのビーム弾を撃ち飛ばす。

 

 

 

ドゥヴァウウウウウウウ!!!

 

ゴォガォオオオオオオ!!!

 

 

 

ビーム弾丸はウィングガンダムの背部に直撃し、機体バランスを一気に殺す。

 

突き飛ばされるようにウィングガンダムは吹っ飛んだ。

 

「がっ………?!!……直撃か!?!やるな………!!!」

 

一方のガンダムデスサイズには、オーバーエアリーズが放つビームの集中砲火が浴びせられる。

 

だが、デュオはお構いなしに突き進む。

 

「ビームがウザイぜ!!!とっとと……あの世逝きな!!!」

 

デュオのテンションの勢いに乗せたビームサイズがオーバーエアリーズに振るわれた。

 

「オーバーエアリーズを舐めるな!!!」

 

だが、トラントはビームサイズの斬撃を躱して離脱する。

 

デュオもまた初めて斬り損じた。

 

「躱しやがった!??」

 

「オーバーエアリーズは、言わばトールギスの力を半分与えられたエアリーズだ!!!見くびるなよ!!!」

 

トラントはオーバーエアリーズを加速させてガンダムデスサイズの周囲を旋回飛行する。

 

撃ち放たれるビームが、ガンダムデスサイズへ撃ち込まれていく。

 

「へっへへ………エアリーズのクセに馬鹿みてーに速いな!!!あー、ビームがウザっ!!!」

 

デュオは素早い機動力を持った相手に反撃のチャンスを伺う。

 

その間に、オーバーエアリーズは瞬発的にガンダムデスサイズへ加速する。

 

両翼のミサイルランチャーから四発のメタルミサイルを撃ち飛ばす。

 

高速で突き進むメタルミサイルが、ガンダムデスサイズに直撃した。

 

鉄甲弾独特の衝撃ダメージを受けたガンダムデスサイズは、衝撃でホバリングのバランスを崩される。

 

「な!!?なんだこのミサイル?!!」

 

「メタルミサイルは鉄甲弾!!!頑丈な装甲程、内部の衝撃が大きくなる………そこから私は……」

 

更に右翼下部に備えたビームサーベルを手にし、オーバーエアリーズはガンダムデスサイズに斬り掛かる。

 

駆け抜ける斬撃がガンダムデスサイズに見舞われた。

 

「斬り刻むっ!!!」

 

 

 

ガギャガァアアアアアア!!!

 

 

 

「ちぃぃ!!こんちくしょっっ!!!」

 

一方、ウィングガンダムとトールギスは、互いに振り向き合いながらバスターライフルとドーバーガンのチャージショットを撃ち放つ。

 

二つの唸るビーム渦流が突き進み、激突しながら相殺し合い、眩いまでの高エネルギーの爆発光が耀く。

 

その耀きの向こう側から2機が横に飛び出し合って姿をみせた。

 

高エネルギービームとビーム弾丸を撃ち合う。

 

並行に高速移動しながらの銃撃戦は、互いに直撃を許さない。

 

だが次の瞬間、ウィングガンダムのシールドにドーバーガンのビーム弾が直撃した。

 

ヒイロは弾き飛ばされる反動を利用して、射撃角度を合わせる。

 

「これがトールギス……俺達のガンダムに引けを取らない性能だ!!」

 

勢いよく撃ち放つバスターライフルのビーム渦流。

 

そのビーム渦流を、トールギスは瞬発的に離脱して躱す。

 

「これが反乱分子のガンダム……相手にとって不足はない!!!私はこの瞬間を求めていたのかもな!!しかし…!!」

 

バスターライフルとドーバーガンの銃撃戦の最中、トールギスはドーバーガンのグリップを離し、シールドに収容されているビームサーベルを取り出した。

 

発生したビームの刃がヒイロへの接近戦の合図になり、それを促す。

 

「ビームサーベル……いいだろう!!」

 

ヒイロはゼクスの促しを察知し、バスターライフルをシールド先端に取り付ける操作をした。

 

そしてビームサーベルをシールド内から抜き取り、ウィングガンダムもまたビームの刃を形勢させる。

 

「ここは騎士道の性分!!!互いの刃を交わさねばな!!!さぁ、受けて立て!!!反乱者のガンダム!!!」

 

ウィングガンダムの戦闘姿勢を確認したゼクスは、トールギスを再びウィングガンダムへと加速させた。

 

対するヒイロも、ウィングガンダムを加速させる。

 

ビームサーベルを互いに振りかぶり合った2機は、一気にビームサーベルを振るう。

 

次の瞬間、高出力のビームサーベル同士が激突した。

 

 

 

ヴィギュギャアアアアアアアッッ!!!

 

 

 

一方、ガンダムジェミナス01とユニコーンは、断続的に旋回しながら銃撃戦を繰り広げていた。

 

チャージショットのエネルギーを溜め合い、ほぼ同時のタイミングで撃ち放つ。

 

 

 

ヴァヴヴシュヴゥウウウウウウンッッッ!!!

 

 

 

アクセラレートライフルとビームマグナムという似通った性格の高エネルギービームが、すれ違っては幾度か相殺し合う。

 

2機は時おり何度もブースターダッシュをして、射撃を躱し、旋回スピードを上げる。

 

アディンは銃撃戦の中で、これまでに対峙した機体群とは一線を画す存在であることを察していた。

 

「こいつ………できるヤツだ!!!性能の差はあるんだろうけど、機体の動かし方が他の奴等と全く違う!!!」

 

「反乱者め………!!!」

 

リディは全周モニターに捉えるガンダムジェミナス01を睨みながら、これまでの同胞の無念を思い返す。

 

「……っ!!!ガンダムは連邦の象徴であった筈だ………それを貴様らは……っ!!!!」

 

リディいわく、ガンダムは本来連邦の英雄たる存在であった。

 

だが、「ガンダム」の存在はメテオ・ブレイクス・ヘルの犯行声明により、短期間で「反乱の象徴」のイメージとなってしまったのだ。

 

世界、地球圏各地のメディアもそれを強調していた。

 

リディの怒りを溜め込めた一発が撃ち放たれる。

 

 

 

キュリュイィィィ………ヴィシュヴゥウウウウウウウウゥゥゥン!!!

 

 

 

「ちっ!!躱しきれない………!!!」

 

 

その弾道が躱しきれないと判断したアディンは、シールドでそれを受け止める判断をする。

 

ガンダムニュウム性のGND合金は、しっかりとビームを受け止めた。

 

「何!??ビームマグナムを受け止めた!!?」

 

「お返しだぜ!!!」

 

アディンはアクセラレートライフルのフルチャージショットを撃ち放つ。

 

 

 

ヴィギュリュリリリィィィ………

 

ヴァヴダァアアアアアアアアッッッ!!!

 

 

 

躱しきれないビーム渦流が、ユニコーンへと突き進む。

 

「果たしてもつか!?!」

 

ユニコーンもまた、アクセラレートライフルのビームをシールドで受け止める。

 

ビーム渦流はシールドの僅か手前で相殺された。

 

「打ち消された!!?Iフィールドってやつか!!!」

 

「試してみたが……奴等のガンダムの攻撃にも十分対応できるな!!!」

 

リディは、そうとなればと言わんばかりに、ビームを受け止め始める。

 

何発アクセラレートライフルを放っても打ち消され、

何発ビームマグナムを放っても、躱されては受け止められる。

 

こうなれば躱し打消しの戦いのループだ。

 

アディンは、アクセラレートライフルをシールドに収容させ、ユニコーンへ向かって瞬発的に加速した。

 

「ならば………これしかないよな……いくぜ!!!!」

 

ブーストダッシュしたガンダムジェミナス01はビームソードを手にし、一気にユニコーン目掛けて斬りかかった。

 

「でやぁあああああっっ!!!」

 

「ちぃぃぃっ!!!」

 

咄嗟にリディはビームマグナムで防御しようとしてしまう。

 

一瞬で振るうビームソードが、ビームマグナムの銃身を叩き斬った。

 

ユニコーンは破壊されたビームマグナムを捨て、ビームサーベルで対抗する。

 

ビームを形成させたビームサーベルを振りかざして、ガンダムジェミナス01に斬り掛かった。

 

「はぁっ!!!」

 

ビームソードとビームサーベルが激突し合い、スパークの閃光を発生させる。

 

「うぉおおおお!!!」

 

 

 

ズバギャァアアアアアアアア!!!

 

 

 

拮抗するパワー。

 

だが、パワーは僅かにガンダムジェミナス01に分があるようにも見えた。

 

ユニコーンはビームソードを引き捌いて再び斬り掛り、ガンダムジェミナス01が再びビームソードを激突させた。

 

「ガンダムぅぅぅっ!!!」

 

焼灼音のようなスパークが響き渡る中、再度ビームの刃を弾くかのように捌き合いながら打ち合う。

 

薙ぎの斬撃、袈裟斬りの斬撃を互いに食らわせようとする。

 

次に放ったガンダムジェミナス01の回転をかけた一瞬の薙ぎ斬撃を、ユニコーンは薙ぎの斬撃で受け止める。

 

一方のウィングガンダムとトールギスも、激しくビームサーベルを打ち合っていた。

 

その軌道は流星同士のぶつかり合いのようにも映る。

 

ウィングガンダムの薙ぎ斬撃をビームサーベルで受け止めた後に、加速を利用して押し斬ろうとするトールギス。

 

ウィングガンダムは押されながらも、ビームサーベルで受け止める。

 

そこから一瞬の反射神経でビームサーベルを離し、再度激突させた。

 

ウィングガンダムの唐竹の斬撃をトールギスはビームサーベルで力強く受け止める。

「彼らのガンダムは……予想を越えるパワーだ!!!だが……!!!」

 

トールギスのパワーがウィングガンダムの斬撃を打ち飛ばし、更にウィングガンダムが斬り掛かる。

 

トールギスはその攻撃を一瞬の後退で躱し、力強く斬りつけてみせた。

 

ウィングガンダムは唐竹の斬撃で、その斬撃を受け止める。

 

「我がトールギスも、この化け物と渡り合えると言うわけだ…!!!」

 

「っ………やはりかなりの手練れだ……!!!」

 

幾度もなくビームサーベルを激突し合わせ、力を拮抗させる2機。

 

トールギスのパワーは、ウィングガンダムと殆ど互角のパワーであった。

 

2機はビームサーベルを捌き合い、高速で空域を移動し始めた。

 

二つの閃光が激突しては弾き、激突しては弾き合う。

 

あたかも流星が、意思をもって踊るかのような光景だ。

ウィングガンダムとトールギスは、スレ違いながら斬撃を交差させる。

 

一瞬激突したビームサーベル同士が、スパークを起こした。

 

2機はその先で瞬発的に折り返し、そこからの加速を乗せて斬撃を激突させる。

 

威力は更に増していた。

 

2機は更なる威力を乗せた斬撃をぶつけ合う。

 

交差するビームサーベルが強烈なスパークの閃光が巻き起こる。

 

「おおおおおおおおおおっっ!!!」

「づぁあああああああああ!!!」

 

正に決闘とも言える斬撃戦が夜空に展開した。

 

弾き飛ばし合うライトアームの反動を利用して間合いをとりながら離脱し、再び斬り掛かる2機。

 

ウィングガンダムとトールギスの激しき斬撃戦の向こう側には、防戦を強いられるガンダムデスサイズがいた。

 

トラントのオーバーエアリーズが、幾度もなく攻撃を加え続ける。

 

「はははは!!!手も足も出させはしない!!!!」

 

連続でビームライフルの直撃を浴びせられ、接近時にはビームサーベルの斬撃が食らわされる。

 

だが、斬撃と言っても打撃に近い斬撃であった。

 

GND合金であるが故に。

 

高速で離脱しながら旋回飛行をするオーバーエアリーズを睨むデュオ。

 

「ちっきしょー……いい加減にウザくなってきたぜ!!!このままじゃ機体が………!!!」

デュオが苛立つうちに、オーバーエアリーズが再び迫る。

 

モニターにターゲット・ロックさせたまま、レフトアームをかざした。

 

トラントはオーバーエアリーズを加速。

 

ビームサーベルで突き飛ばすつもりでいた。

 

「防戦一方にしてやる!!!手も足も出まい!!!」

 

デュオは間近にオーバーエアリーズが迫った時、ニヤリと笑う。

 

「なーんてな♪」

 

バスターシールドが展開し、ビームの刃が突き出した。

 

「何ぃぃぃ!?!」

 

トラントは躱そうとしたが、展開したバスターシールドのビーム刃と爪が、オーバーエアリーズのレフトアームと左翼を丸ごと破砕させた。

 

 

 

バギャラガァアアアアアアア!!!

 

 

 

「ぐおぉっっ……!!!」

 

機体が損傷されたオーバーエアリーズは、姿勢を崩しながら海面に落下していった。

 

デュオは海面を見下ろしながら、不敵に吐き捨てた。

 

「いつまでもハエごっこに付き合っていられるかってんだ!!さーて………あちらさんはまだ取り込み中ってか!!」

 

モニターの画面の向こう側では、ウィングガンダムとトールギスが刃を交え続ける。

 

スパークが眩い不規則な光りを照らしながら反発するエネルギー音を響かしていた。

 

デュオは決して加勢はしなかった。

 

その闘いが、戦士同士の闘いと見据えているが故に。

 

ウィングガンダムはトールギスのビームサーベルを捌き返し、斬撃を浴びせる。

 

「ちぃいいい!!!」

 

ゼクスは一瞬でこれを躱し、胴を打ち込むように薙ぎ斬撃を浴びせた。

 

「ぐおっっっっ………!!!」

 

ビームサーベルはコックピットハッチ部に直撃し、ヒイロに衝撃を与えた。

 

同時にゼクスにも衝撃を与える。

 

「何!?!この手応えがビームサーベルの手応えだと!?!」

 

斬れない感触が違和感を与えてならない。

 

ウィングガンダムは突き飛ばされるように後退したに過ぎなかった。

 

ヒイロはコックピットに衝撃を受けたも関わらず、ならばと機体をトールギスへぶつけるように加速させた。

 

並みの人間ならば、嘔吐や気絶する程の衝撃である。

 

「退くことを知らない………正に戦士の姿勢だ!!!」

 

接近するウィングガンダムの斬撃にトールギスの斬撃が答えるように激突。

 

再度両者のビームがスパークを帯ながら交えた。

 

ジェミナス01とユニコーンも斬撃戦を尽きることなく続ける。

 

幾度となく両者の斬撃の打ち合いが断続的にスパークを巻き起こす。

 

「任務じゃねーけど、やらせてもらうぜ!!!角ヤロウ!!!」

 

「図に乗るな、反乱者ぁ!!!!」

 

アディンもリディも互いに退くことを知らない斬撃戦。

 

クロスされたビームソードとビームサーベルが弾いてはまた弾き飛ばし合い激突させる。

 

ギリギリと駆動部を軋ませながら拮抗するパワーとパワー。

 

そこから弾き合い、ガンダムジェミナス01は回転をかけながらビームソードを薙ぎ斬撃で見舞う。

 

リディは咄嗟にシールドでこれをガードした。

 

ビームソードの斬撃が、Iフィールドの機能により磁石が反発するように阻害され、小刻みにアームが振るえていた。

 

「くっそ、このヤロウ!!!」

 

「一太刀でも浴びせてやる!!!」

 

ガードしながらユニコーンが斬撃を繰り出す。

 

その斬撃は、ガンダムジェミナス01の胸部装甲にヒットした。

 

そしてリディもまたゼクス同様、斬撃の手応えに違和感を感じ取る。

 

「何だ!?!ビームサーベルで斬りつけた筈が………!!?」

 

「っっ……やりやがったな!!!しゃあああああ!!!」

 

唸るビームソードの反撃がユニコーンに斬りつけられる。

 

「くっ!!!」

 

リディは再びシールドでガードし、ビームを遮断させ、再度ビームの刃を交える。

 

その頃のウィングガンダムとトールギスは、機体をすれ違わせながら斬撃を激突させていた。

 

ヒイロとゼクスの両者が己の機体を加速させ、再度ビームサーベルをぶつけ合う中、トールギスのコックピット内に緊急通信が入った。

 

緊急アラートがコックピットに鳴り響く。

 

「緊急通信!??」

 

サイドモニターに映し出された送信者。

 

それはトレーズであった。

 

「閣下!?」

 

「ゼクス………君達がガンダムの撃破に向かったと聞いた。言ったはずだ。オペレーション・イカロスまで待てと………今すぐ戦闘を止めたまえ」

 

「しかし閣下、我々は一度として彼らと戦ってはいませんでした!!データも兼ね、今が闘い時と思ったのです!!!」

 

「私とてゼクスの騎士道精神を理解した上で言っているのだ。確かに君の言うことも一理ある。だが、失うわけにはいかないのだ。君達も……機体も……聞き分けてくれゼクス」

 

ゼクスは、拮抗させていたビームサーベルを解除させ、ウィングガンダムのビームサーベルを弾いた。

 

「了解しました………ここはご命令に従い撤退致します」

 

ウィングガンダムとトールギスは、互いに向き合いながら静止する。

 

そしてゼクスはウィングガンダムへ向かい、通信回線を飛ばした。

 

騎士道精神の現れであった。

 

「ガンダムのパイロット!!私はOZのゼクス・マーキス特佐だ………急な事情によりこの勝負はまたの機会に持ち越す。君も戦士であるなら意図は読める筈だ……!!!」

 

突然のゼクスからの通信であったが、ヒイロはこれに言葉を返さず、無言のままトールギスを凝視した。

 

「……」

 

「……また会おう………ガンダム!!!」

 

そう言い残したゼクスは、トールギスを戦場から離脱させ、機体を海へと下降させた。

 

墜落したトラント機の救出の為だ。

 

やがて、オーバーエアリーズをかかえたトールギスが姿を見せた。

 

ヒイロは寡黙なまでに去り行くその背を見続けていた。

 

しばらく見続けた後に、ヒイロはゼクスの名を口にする。

 

「ゼクス……マーキス………!!」

 

そこへデュオがノリよく通信を入れてきた。

 

「よぉ!!かなり入れ込んでたなぁ!!あいつかなりのクセもんと見たけどよ、どーだった!?実際に刃交えて?」

 

「……奴はかなりの腕だ。自ら単機で俺達に挑むだけはある………」

 

「お前と張り合える時点で只者じゃねーな!!俺に挑んできたカスタムエアリーズもちょっとクセもんだったけどな……」

 

ヒイロはゼクスと渡り合った瞬間を思い返し、自らの手のひらを見る。

 

「やつのトールギスも性能的に俺達に退けをとらなかった………パイロットと機体の性能が合わさった結果だ……」

 

「連中も連中で手を打ってきたってことか!!ま、今はとりあえずオルタンシアへもどろーぜ!!」

 

間もなくして、ビームサーベルを交えていたアディンとリディもビームソードとビームサーベルを弾き合わせ、戦闘を解除させた。

 

ガンダムジェミナス01とユニコーンが向き合いながら静止する。

 

「――――っく、かなりできるぜ………角ヤロー……」

 

「ガンダム………!!!」

 

リディが再びビームサーベルをかざしたその時、ゼクスからの撤退命令が下された。

 

「リディ少佐!!リディ少佐もガンダムと交戦していると聞いた。直ちに撤退せよ!!これは命令だ………直ちに撤退せよ……我々は彼らと闘うステージがあるようだ………もう一度言う!!撤退だ!!!今は耐えろ………」

 

「くっ………了解………しました!!」

 

ユニコーンはギンとメインカメラを光らせ、ビームサーベルを振るった。

 

ガンダムジェミナス01もメインカメラを光らせ、ビームソードを振るう。

 

「さぁ………これでキメるぜ!!!」

 

2機は手にした武装を構え、その刹那にブースターを響かせて加速し合った。

 

「でやぁあああああ!!!」

 

「くぅっっ……!!!」

 

そしてガンダムジェミナス01とユニコーンは、振りかぶったビームソードとビームサーベルを唸らせ、すれ違いながら斬撃をぶつけ合わせた。

 

 

 

ギャヴィギィィィイイイイイィンッッ!!!

 

 

 

稲妻のようなスパークが瞬間的にはしり、激しい光が暴れるように周囲をまばゆく照らす。

 

だが、ユニコーンはその流れのまま離脱した。

 

「?!?」

 

先程までに刃を交えていた相手が急に離脱したことに、アディンは違和感を感じながら機体を反転させた。

 

「離脱!?!逃がすかよ!!」

 

アディンが、ガンダムジェミナス01を加速させる操作をしようとした矢先、リディの声がコックピットに響く。

 

「ガンダムのパイロット!!口惜しいが、撤退命令が出てはこうせ去るを得ない!!!いずれ必ず仕止める!!!連邦のプライドを掛けてな!!!!」

 

その言葉を掃き捨てたリディは、口惜しさを噛み締めながらも、ユニコーンの機体を加速させた。

 

加速を止め、飛び去るユニコーンを見つめるガンダムジェミナス01。

 

コックピットの中でアディンは、姿を見ぬリディにただならぬモノを感じてならなかった。

 

「角ヤローのパイロット、通信してきやがった……!!?へへ………連邦のプライドか!!こっちだってGマイスターのプライドを見せつけてやるさ!!!」

 

アディンはモニターに映るユニコーンの姿に向かい、強気な姿勢を掃き飛ばした。

 

「ふぅ……テスト・トレーニングのつもりが、飛んでもない方向へ行っちまったけど………これはこれでいいウォーミングアップになったぜ!!じゃ、念を押して海中から帰るか!!」

 

アディンには既にネガティブさは全く無かった。

 

オルタンシアへと帰還したアディンには、プルの言葉通り、アラカルトが待っていた。

 

腹を空かせたと言わんばかりにがっつくアディン。

 

その食欲の光景にプルも安心し、両手で頬杖をつきながら嬉しそうに見る。

 

二人のほっこりとした光景を見たオデルは、やれやれと言わんばかりに少しだけ笑いながらその場を後にした。

 

 

 

数日後

 

 

 

オルタンシアへ戻ったヒイロとデュオのガンダムは、機体メンテナンスの為にドック入りしていた。

 

機体のメンテナンスはどのMSにも共通する生命線である。

 

因みに彼らのメンテナンスパーツ(武装を含む)は、全て裏ルートから郵送されてくる仕組みだ。

 

どの世界にも死角があるもので、地球圏内の監視の目をすり抜けて海や空を使い送られてくる。

 

無論、ラルフをはじめとする各地のエージェントのバックアップがあってこそのものだ。

 

ハワードが他のメカニックと共に、ウィングガンダムの各ジョイントをチェックしていた。

 

「ふむ………ジョイントはいいな。後は武装の補充で十分行ける」

 

そこへ共に作業するメカニックがハワードに疑問を投げかけた。

 

「ところで、何でまたパイロット………Gマイスター達をここから外したんです?少しでも居てくれれば助かるんすけど……」

 

以前はパイロット達自らも作業していたが、ここ最近のハワードはパイロット達に、休憩を取らす方針に変えていた。

 

「やはりパイロットは休息も必要だ。一度任務へ赴けば戦場だからな。此処に居る居るときくらいは十分な休息もさせてやりたいと思ったのさ………さて、次はデスサイズのチェックだ!」

 

「了解!」

 

バルコニールームでは、ヒイロとデュオが先日のトールギスとの戦闘を、コーヒーを飲みながら振り返っていた。

 

ちなみにではあるが、アディンやカトル達は既に任務へと出撃していた。

 

「しっかし、あちらさんにも俺達に張り合える馬鹿がいたなんてなぁ………ま、予想はしてたんだけどな!とにかく戦い方が厄介だったなぁ」

 

「ゼクス・マーキス……データベースで調べた所、奴はOZのエースパイロットである事が判明した。歴代のエースに匹敵するか、あるいはそれ以上らしい…」

 

「俺に突っかかってきた奴は名乗ったりはしてなかったが、それなりの腕はあったぜ………っと、可愛いお嬢様達が差し入れ持ってきてくれたぜぇ~!!」

 

デュオが会話中に差し入れを持ってきてくれたプルとロニに話題を切り換えた。

 

ヒイロも彼女達の方向へ視線を向けコーヒーを啜る。

 

「二人とも差し入れよ。よかったら食べてみて。ここのシェフが分けてくれた具材で作ってみたの」

 

「あたしとロニお姉ちゃんで作ったビーフシチューとスープだよ~!シーフードいっぱいだよ~!」

 

ヒイロとデュオの所へ具だくさんのビーフシチューが置かれる。

 

海上の上だけであり、シーフードの具だ。

 

デュオは出来立てのビーフシチューに目を輝かせてスプーンをとった。

 

「おぉ!!こいつはうまそーだ!!んじゃ、早速頂きます…………あく、あふ!!」

 

「あ、出来立てだから気をつけて!水もあるから!」

 

デュオはロニの気遣いを受けてもらいながら、口に含んだ熱いビーフシチューではふはふしながら食す。

 

「あひあひ………わりぃっ!あっついけど、シーフードとよく合う旨味が効いてるぜ!!いやいや……これはうまい!!カトルもアディンも料理上手のいいパートナー持ったよな~!!」

 

「え!?」

 

「えへへ~…」

 

デュオの言葉に、どきっとした表情でロニは赤くなり、プルは嬉しそうな表情をしてみせた。

 

「お二人さん!!顔に出てるぜ!!顔に!!」

「もう……か、カトルは幼馴染みでその……頼りな所と可愛い所があるだけ!!」

 

赤くなりなりながら言うロニの言葉は、否定になっていない。

 

因みにヒイロはその会話に参加せず、淡々とビーフシチューを食べ続ける。

 

「ロニさん、恥ずかしがるのはわかるけど、ごまかし否定になってないぜ?まだ顔に出てるしハッキリ言っちゃいな~」

 

デュオはロニをわざとからかいながらニヤつく。

 

「やだもう、だからカトルは幼馴染みで~………」

 

「ロニお姉ちゃん、さっき作りながら好きだって言ってたのに~」

 

「プルちゃんまで…!もうっ!」

 

ロニは恥ずかしげにそっぽを向いた。

 

「照れてる、照れてる!」

 

ロニは、デュオとプルにからかわれながらも、くすっと照れ笑いする。

 

プルはプルで、ロニを姉のような存在に想うようになっていた。

 

ロニの表情を見たデュオは、オルタンシアへ来た当初のロニとは別人なまでの印象を受けた。

 

「でもよ、ロニさん……ついこの前の事思えばかなり立ち戻れたんじゃね?幸せに救われてる感じがするぜ?」

 

「え!?あ、うん。カトルやここの人達のお陰かな………不思議なまでに癒されて…なんとか立ち直れてきた………」

 

そう言いながらロニは後ろからプルの首もとを抱くように腕を回す。

 

プルもロニに抱き寄せられて、嬉しそうに笑う。

 

「それにプルちゃんが妹みたいで可愛いんだもの……癒される………」

 

「ふふふ♪」

 

「でも……私だけが助かっていいのかな?手配された社員達だって苦しいはずなのに…」

 

ロニは社員達を蔑ろにしてしまっているかのような状況に罪悪感を感じていた。

 

その気持ちがポロリとでてしまった。

 

明るみがあった空気がその一言で沈んでしまう。

 

「きっと………私は卑怯なのかも…」

 

そんなロニへプルはふりかえりながら癒すように言った。

 

「ロニお姉ちゃん……大丈夫だよ…誰もそんなこと思ってないから。あたしはわかる………」

 

「プルちゃん…」

 

根拠はない。

 

だが、彼女の言葉は不思議と信憑性を感じさせてならなかった。

 

「悪いのは連邦とOZだ。あいつら、時に極端な画策するみたいなんでな………特に反乱要素があるやつには………ロニさんの企業は裏でジオンの援助をしていた事で以前からマークされていた。そこへ偶然にも起きたテロを皮切りに、OZが擬装テロを演じて追い詰めた……」

 

それまでデータベースを閲覧していなかったロニは初めてその事を聞いた。

 

「そんな……!!?」

 

会話の流の中で、今まで淡々とビーフシチューを食べていたヒイロが話題に言葉を飛ばす。

 

「………歴史の裏で動いていた連邦内の秘密結社OZ。奴らの秘密裏の行動が、歴史の戦乱を招いてきた。コロニーの自治権の否定、コロニー市民やニュータイプ人種の迫害……俺達はその理不尽の連鎖を叩く為に闘っている………」

 

デュオがヒイロに続くように言う。

 

「本来なら大企業に身を置いて大人しくしているべきだったどっかの御曹子君も同じ想いで自ら闘いを選んだわけだ………」

 

ロニはプルを抱き寄せたまま、カトルを想う自分の中に何か燻るものを感じた。

 

「カトル………!!」

 

 

 

 

 

その頃のカトルはマグアナック隊と共に、軍事介入したOZのカタール駐屯施設を強襲していた。

 

リーオー部隊やエアリーズが迎撃射撃をかける中、マグアナックのラシード機とアブドル機がビームライフルによる援護射撃をかける。

 

高出力のビームライフルが、ガンダムサンドロックの前左右側から連続で撃ち放たれていく。

 

その射撃は、ビームマシンガンを撃ち放つリーオー部隊を押し倒すかのように連続撃破させた。

 

一歩一歩前進しながらガンダムサンドロックとマグアナック隊が進撃していく様はごり押しの戦法に近かった。

 

歩を進ませながらガンダムサンドロックを護るようにビームライフルを放ち続けるマグアナック隊。

 

駐屯施設が無惨に吹き飛ばされていく。

 

「ロニ……こうすることで事が戻る訳じゃないけど、せめてもの僕達ができる行動さ!!!カタール駐屯施設を叩く!!!」

 

カトルは、マグアナック隊の攻撃を受けて破壊されていくリーオー部隊を深く視線を向けて呟いた。

 

マグアナック隊の攻撃は的確なまでにリーオー部隊を排除していく。

 

「あの時行動し切れなかった分、ここで潰します!!!お前ら徹底してOZを潰せぇ!!!!」

 

「はい!!!!カトル様の突破口を開けますぜ!!!アウダ!!行って来い!!!」

 

「おうさ!!!」

 

アブドル機の背後にいたマグアナック・アウダ機が飛び出し、1機のリーオーへ突貫。

 

レフトアームクローを盾代わりにし、一気にリーオーの懐に飛び込み、レフトアームクローをコックピット目掛け突き貫いた。

 

爆発四散するリーオー。

 

更に隣接していた別のリーオーへと、ヒートホークを叩きつけるように降り下ろして斬り砕く。

 

そして更にもう1機のリーオーをレフトアームクローで突き砕いた。

 

この攻撃を頃合いに、ガンダムサンドロックの両眼がギンと光る。

 

「行きます!!!」

 

ヒートショーテルを重ね当てた後に、ブースターダッシュするガンダムサンドロック。

 

振り唸るヒートショーテルが、2機のリーオーを叩き斬る。

 

2機の爆発するタイミングと共に、ガンダムサンドロックは加速し、一気にリーオー部隊へと斬り込んだ。

 

 

 

ディッガキィン、ディッガキィン、ザカギャンッッ、ディディッガキャアアアンッッ!!!

 

ゴゴゴバガゴゴガァアアアアアア!!!

 

 

 

華麗なまでの連続斬りが、その場のリーオー部隊を壊滅させた。

 

更に空中へと、舞い上がりエアリーズ部隊へ攻撃をかける。

 

加速と共に押し当てられたヒートショーテルが、1機のエアリーズを破砕させ、爆発させた。

 

そしてホバリングしていたエアリーズ5機を連続斬り払いで叩き伏せて見せ、降下しながら飛び立つ寸前のエアリーズ2機を叩き斬った。

 

巻き上がる爆発の中、まだ兵士が残る駐屯施設の中枢ポイントをカトルはロック・オンする。

 

「ロニの屈辱はこんなものじゃないよ………もっと、もっと、深く哀しいものさ………!!!」

 

カトルの呟きと共に、ガンダムサンドロックの両肩からミサイルランチャーが放たれ、真っ直ぐに駐屯施設の中枢へ撃ち込まれた。

 

爆発を見つめるカトルは、ゴーグルを外して呟いた。

 

「任務完了………」

 

 

 

 

 

その後に及び、Gマイスター達の任務は随時遂行されていく。

 

その彼らの行動の影響は、僅かではあるが確実に連邦とOZに与えていた。

 

それは、リディいわく「連邦の英雄」というガンダムの意味合いを「反乱の象徴」に変貌させる。

 

地球圏メディアや大衆からは新な解釈として、連邦やOZの関係者からは忌まわしき対象として捉えられていた。

 

その状勢を見向きもせず、Gマイスター達は闘いを止めない。

 

任務のフィールドはヨーロッパエリアへ移っていく

 

 

 

コルス島 地球連邦軍・OZ アレリア基地

任務:基地戦力・機能の壊滅及び新型MS破壊

 

 

軍備増強対象の基地に指定された基地の一つであるアレリア基地にガンダムヘビーアームズが勢いをかけて降り立つ。

 

カメラアイをギンと光らせ、武装のハッチをフルオープンで展開し、眼前のMS部隊と基地施設へ自身の持つ火力を全開で解き放つ。

 

ビームガトリング、ブレストガトリング、グレネードランチャー、ホーミングミサイル、マイクロミサイルが狂ったかのように火を吹く。

 

中近距離にいたジェガンやリーオーの部隊群が、プラスチックの玩具同然に撃ち砕かれ、リゼルとエアリーズの部隊が基地施設諸ともミサイル群の餌食となり、ジェガンやロトの部隊がグレネードランチャーのプラズマ光弾に吹き飛ばされ破砕される。

 

初期の内に大打撃を与えたガンダムヘビーアームズはブースト加速で旋回しながらリーオー部隊へ回り込み、ビームガトリングとブレストガトリングの同時撃ちで撃破していく。

 

向かい来るリゼルとエアリーズの部隊にも同じくビームガトリングとブレストガトリングで撃破し、返り討ちにした。

 

レフトアームのグレネードランチャーを改めて構え直し、砲撃するロトやスタークジェガン部隊へ数発撃つ。

 

爆発するプラズマ光弾が容易くMS群を爆砕させて吹き飛ばしていった。

 

この時点で、基地施設の機能は致命的な状態になり、周囲は瓦礫と炎と化す。

 

その中をガンダムヘビーアームズが駆け抜け、次々と対峙するリゼルやリーオーを個々にビームガトリングで撃破していく。

 

そして、空中から迫るエアリーズを撃破しながら格納庫へと接近。

 

出撃した新型機であるグスタフカール部隊へ向け、グレネードランチャーを撃ち放った。

 

1機のグスタフカールを中心に爆発が発生し、周囲のグスタフカールや格納庫を一気に焼き砕いて吹き飛ばす。

 

ガンダムヘビーアームズのコックピットモニターでは、新型機の破壊を確認する。

 

基地施設全体を索敵しても直、敵機の存在はない。

 

事実上、任務が完了した。

 

トロワは平然とした表情で目をつむり、基地施設を後にした。

 

 

 

オーストリア 地球連邦軍・OZウィーン基地

 

任務:要人シャトル撃破

 

 

 

基地では既に銃撃戦が展開されていた。

 

リーオーとジェガンの部隊が、離陸準備中のシャトルを守るように並列してビームライフルを撃ち放つ。

 

そのシャトルには傲慢や歪みに満ちた連邦軍とOZの要人を乗せていた。

 

以前の実例を踏まえ、彼らに対する防衛部隊も増強されていた。

 

空中からも、リゼルとエアリーズ部隊がホバリングしながらビームライフルとビームチェーンガンで射撃する。

 

その中を反撃のビームがはしり、エアリーズとリゼルがそれに撃墜された。

 

ビームを放ったのはラシードとアブドルのマグアナックだった。

 

2機のマグアナックがビームライフルを放ち続け、空戦部隊から撃墜を開始し、次第に地上部隊へとビーム射撃が下りていく。

 

アウダ機のマグアナックも駆け抜けながら、リーオーやジェガンの機体をレフトアームクローで貫いていく。

 

ビームサーベルで1機のジェガンが斬りかかるが、ビームサーベルを握ったライトアームを容易く握りとられ、アームが握り潰される。

 

そしてコックピットごとレフトアームクローが突き刺され、ジェガンは爆発した。

 

マグアナック達の攻撃がかけられる中、後方よりガンダムサンドロックが突貫。

 

ヒートショーテルを唸らせ、クロス斬りで左右両端のジェガンを叩き斬る。

 

ガンダムサンドロックは背後の爆発と共に威圧するかのごとく両眼を光らせ、瞬発的な衝撃を起こして舞い上がった。

 

ビームチェーンガンで対抗するエアリーズ部隊。

 

ビームはガンダムサンドロックの装甲面で虚しくはじく。

 

ガンダムサンドロックは振り上げたヒートショーテルで2機のエアリーズを同時に斬り潰し、もう2機のエアリーズに襲いかかった。

 

ヒートショーテルを振り払い、1機を横一線に破断。

 

もう1機を立てに振り上げたレフトアーム側のヒートショーテルで一刀両断する。

 

その2機の爆発を掻い潜り、3機編成のリゼルへと迫った。

 

1機のリゼルがシールドの先端からビームガンを撃ち放つ。

 

撃ち飛ばされたビームは、ヒートショーテルの刀身に当たり、また虚しくはじく。

 

轟と接近したガンダムサンドロックはそのリゼルを豪快に叩き斬り、もう2機目掛けヒートショーテルを振り上げた。

 

ギンと両眼を光らせた刹那、ブースターのブーストをかけ、急降下を兼ねながらリゼル2機を同時に斬り捌いた。

 

そしてリーオー部隊の眼前に滑走路を砕いて着地し、

目の前のリーオーに一刀を斬り込んで、胸部面をスバンと容易く斬撃音と共に破断する。

 

リーオー部隊の向こうではシャトルが離陸加速をかけ始めた。

 

ジェガン部隊からの抵抗も激しくなる。

 

ガンダムサンドロックは、ビームマシンガンとビームライフルの攻撃を浴びながらヒートショーテルを振り払い、一気にリーオー部隊へと迫った。

 

その間に、マグアナックの援護射撃がかかり、数機のリーオーとジェガンが破壊される。

 

リーオー部隊の中でヒートショーテルの乱舞を巻き起こし、激しい破壊を繰り広げるガンダムサンドロック。

 

連続斬りが、リーオー達を虚しく葬っていく。

 

ジェガン部隊へと迫り、連続斬撃でこれらを斬り飛ばしながらシャトルへ向かうガンダムサンドロック。

 

シャトルは更に加速をかけ、遂に離陸。

 

ビームサーベルで斬りかかるジェガンを斬り飛ばした後に、ガンダムサンドロックはブーストをかけて持ち前のパワーを活かしてその場から離脱した。

 

ガンダムサンドロックの後方にいたジェガンが吹き飛ばされ、目の前にいたジェガンはヒートショーテルを×の字に食い込まされたまま押し飛ばされていく。

 

その部隊配列が崩れた中へマグアナック隊の射撃が撃ち注がれ、アウダ機のマグアナックがジェガン目掛けレフトアームクローを突き刺した。

 

ガンダムサンドロックはジェガンに食い込ませたヒートショーテルを一気に振り払い、ジェガンを斬り刻むと、更に加速を重ねて上昇するシャトルに向かう。

 

迫るシャトル目掛けヒートショーテルを振りかぶる。

 

そして強力な斬撃が、傲慢や歪みに満ちた者達を葬る。

 

シャトルは斬撃音を響かせながら破斬され、虚空の空に四散。

 

爆発を背にしたガンダムサンドロックの両眼が光った。

 

カトルは任務が完了した事を確認すると、ゴーグルを外してマグアナック隊へ撤退を呼び掛ける。

 

マグアナック隊の面々は誇らしげな笑みを浮かべ、ガンダムサンドロックと共に機体を離脱させていった。

 

 

チェコ プラハ近辺上空

 

任務:ガルダ及びガルダMS部隊破壊

 

 

 

プラハの夜空を悠々と飛ぶ連邦軍の巨鳥・ガルダ。

 

空の要塞とも言える超大型輸送機だ。

 

このガルダは、定期メンテナンスの為、最寄りのプラハ地球連邦軍空軍基地を目指し航行していた。

 

その巨鳥の腹には幾多のアンクシャ部隊を抱え、航空部隊の威厳を見せつけていた。

 

規程された幾つかの機体には有事に備え、パイロット達がコックピットに着座している。

 

パイロットの一人がふとモニターを見たその時、ガルダの格納庫の壁の向こう側より、何かが突き刺さってきた。

 

それはライトグリーンのビームサーベルのようなものであった。

 

格納庫内に警報器が鳴り響く中、そのビームの刃は四角形に壁を斬り刻む。

 

そして吹き飛ばされた壁の向こうより、死神が姿を現した。

 

両眼を光らせたガンダムデスサイズは、ガルダの格納庫内に殺戮の嵐を巻き起こす。

 

先程のパイロットがいたアンクシャのコックピット部目掛け、バスターシールドを突き刺す。

 

アンクシャは爆発を巻き起こし、ドック施設を破壊してしまった。

 

ガンダムデスサイズは、容赦なく反対側のアンクシャをビームサイズで斬り刻み破壊する。

 

兵士達はガルダ内部での非常事態にパニックを起こす。

 

閉鎖された空間とガンダムデスサイズが醸し出す死のオーラがそうさせていた。

 

ビームサイズを振るい、格納庫のアンクシャを斬って回るガンダムデスサイズ。

 

有事に備えていたアンクシャ達が起動し、カメラアイを光らせて、ビームライフルをかざした。

 

ビームライフルのビームが、ガンダムデスサイズへと撃ち注がれる。

 

閉鎖空間故に集中放火は免れない。

 

だが、突如としてアンクシャのコックピットモニターからガンダムデスサイズの姿が消えた。

 

更に異常を起こすモニター画面。

 

ガンダムデスサイズのハイパージャマーによるものだ。

 

次の瞬間、ビームエネルギーがコックピット全体に押し寄せ、パイロットが無惨に蒸発する。

 

客観的視点においてバスターシールドを突き刺すガンダムデスサイズの姿があった。

 

破裂するかのように爆発するアンクシャ。

 

ガンダムデスサイズへと撃ち注がれるビームは、時折ガルダの壁を攻撃してはガンダムデスサイズを掠める。

 

射撃をモノともしないガンダムデスサイズは、大きくビームサイズを振りかぶり、2機のアンクシャへ斬り付けた。

 

胸部から破断された2機のアンクシャが斬り飛ばされ爆発する。

 

更にその反対側からアンクシャ達が3機がかりで攻めいる。

 

巻き起こる炎の中、ガンダムデスサイズはビームの方向へと振り向き、ビームサイズをかざして斬りかかった。

 

1機のアンクシャが一振りで破斬され爆発。

 

もう1機のアンクシャが、刃を反転させたビームサイズの一振りに斬り飛ばされた。

 

対峙した者達を次々と葬る死神。

 

アンクシャのパイロット達は既に姿が見えない敵に混乱するばかりだった。

 

ガンダムデスサイズへとビームを撃つつもりが、全く関係ない方向へと射撃してしまう。

 

そのアンクシャは無惨に胸部を斜めに斬り上げられて破砕された。

 

その後方よりガンダムデスサイズ目掛け、ビームサーベルで襲いかかるアンクシャがいた。

 

そのアンクシャは有視界戦闘をしながらガンダムデスサイズへと迫っていた。

 

クロスさせた斬撃をバスターシールドで受けとめるガンダムデスサイズ。

 

ガンダムデスサイズはパワーでアンクシャを圧倒し、ビームサーベルを押し上げた。

 

そしてバスターシールドをアンクシャのコックピットへと刺突させた。

 

巻き起こるアンクシャの爆発がガルダの内部で響き渡った。

 

その後、ガンダムデスサイズは待機中のアンクシャを斬り刻んで回る。

 

無抵抗のアンクシャ達は、ただ斬り刻まれ破砕されていくのみであった。

 

ガンダムデスサイズは内部面からガルダの戦力という戦力を破壊して回り、破壊の限りを尽くす。

 

斬撃音が繰り返し響き渡り、爆発が幾度も巻き起こる。

 

業火に満ちた中、死神は巨鳥の心臓を抉ろうと動力炉の外壁を斬り刻む。

 

外壁の向こうには永続航行を可能にしている動力炉があった。

 

ガンダムデスサイズは容赦せずにビームサイズでこれを斬り刻んだ。

 

激しい内部爆発を巻き起こしながらガルダは激しく爆砕し、夜空に閃光と共に轟音を轟かせた。

 

激しい爆発の中から飛び出すガンダムデスサイズ。

 

コックピット内では、デュオが不敵な笑みを浮かべ二ヤついた。

 

一方のプラハ基地おいて、ウィングガンダムが強襲をかけていた。

 

 

 

チェコ プラハ地球連邦軍・OZ空軍基地

 

任務:ガルダ及びガルダ整備施設の破壊・航空部隊の壊滅

 

 

 

構えられたバスターライフルの銃口からビーム渦流が撃ち出され、斜め上上空より整備施設目掛け直進する。

 

その間に、空中で警備にあたっていたリゼルやエアリーズの部隊がビーム渦流に呑まれ、かき消されるように破砕されていく。

 

掠めた機体群も、エネルギー破で誘爆を巻き起こし、爆発光と化した。

 

突き進んだビーム渦流は整備施設を直撃し、凄まじい破壊力で広範囲を破砕させる。

 

爆発の巨大な火柱が巻き上がった。

 

ウィングガンダムは次の標的へと照準を合わせる。

 

基地の滑走路上にいる3機のガルダだ。

 

無論、内部にはアンクシャ部隊が敷き詰められていた。

 

起動可能なアンクシャ部隊が、ウィングガンダムへの攻撃の為に出撃していく。

 

エアリーズやリゼル部隊と共に舞い上がる。

 

だが、任務に忠実なヒイロはあくまでガルダへと照準を合わせ続けた。

 

下方からは幾つものビーム射撃がはしる。

 

MS部隊が迫る中、解き放たれたバスターライフルのビームが狂ったように突き進んだ。

 

そのビーム渦流は、アンクシャ部隊やリゼル部隊を叩き潰す渦のように破砕させ、1機のガルダ目掛け直進した。

 

ビームがガルダに直撃し、瞬時に激しい破壊を巻き起こす。

 

バスターライフルからのビーム渦流を持続させ、ウィングガンダムはなぞるように残りのガルダへと銃口を向け続けた。

 

ビーム渦流に巻き込まれるアンクシャやリゼルと共にガルダの機体は連続で破砕され、巨大な炎の柱と化していった。

 

そして迫るエアリーズ、アンクシャ部隊へと通常出力でバスターライフルを撃つ。

 

一発で3機が破壊させる勢いでウィングガンダムはバスターライフルの射撃を続けた。

 

一発、二発、三発と放たれるバスターライフルの射撃に、ランダムで撃ち飛ばされるエアリーズやアンクシャ。

 

虚しい爆発光となって夜空に散っていく。

 

その最中、1機のアンクシャがビームサーベルに切り替えてウィングガンダムに襲いかかる。

 

そのアンクシャに銃口を向けるウィングガンダムだったが、エネルギー切れを起こしてしまった。

 

銃口から粒子の粒が吹き出して消える。

 

アンクシャはこの期を逃さまいとビームサーベルを振りかぶりウィングガンダムに突っ込んだ。

 

だが、ビームサーベルを振った刹那、アンクシャの胸部へとシールドの先端が突き刺さる。

 

アンクシャは突き刺された部位を爆発させて墜落。

 

地上で破砕した。

 

ヒイロはバスターライフルをシールドに接続させ、ビームサーベルに武装を切り換えると、急降下しながら1機のリゼルを斬り飛ばした。

 

舞い降りたウィングガンダムは、加速の力を乗せた斬撃でエアリーズやリゼルを各個撃破していく。

 

破断されたリゼルの爆発を突き破り、エアリーズ目掛けビームサーベルを串刺しにし、破壊する。

 

ギンと両眼を発光させたウィングガンダムは、轟とリゼルを斬り付け、隣接地にいたエアリーズを斬り飛ばした。

 

破断面の隙間の向こう側からウィングガンダムの姿が現れ、爆発に包まれた。

 

 

 

ポルトガル リスボン地球連邦軍・OZ宇宙港基地

 

任務:新型MS・ジェスタ関連の破壊

 

 

 

地球連邦軍の次期主力機として、月のアナハイム社から届けられたジェスタは、リスボン宇宙港基地を主軸に入荷され、指定された各基地へと運ばれようとしていた。

 

アナハイム社は民間のMS開発会社で、これまでに幾多のMSを開発してきた大手の民間企業である。

 

民間故に、メテオ・ブレイクス・ヘルの標的にはなっていなかった。

 

アナハイム社は幾つかの連邦軍の宇宙港を窓口にしてMSの納入等を行い、まつわるデータもそれらの基地と提携して収めていた。

 

だが、連邦軍・OZの手に渡った時点でその柵は解放され、攻撃対象となる。

 

この日、リスボン宇宙港基地には12機のジェスタが納入されていた。

 

周囲にはジェガンやリーオーが武装を構えて警備にあたっていた。

 

1機のジェガンのカメラアイが点滅し、高エネルギー反応を捉えた。

 

次の瞬間、小規模のビーム渦流が撃ち込まれ、警備にあたっていたリーオーやジェガンが破壊された。

 

基地全域に警報が鳴り響き、MS隊が発進していく。

 

基地の滑走路の向こう側からはガンダムジェミナス01、02が軽快な軌道で迫っていた。

 

タイミングよく合わせながら、アクセラレートライフルを構えると、同時に中規模のビーム渦流を放った。

 

二本のビーム渦流は、射軸線上にいた2機のリーオーと3機のジェガンを砕き散らせて突き進み、警備にあたっていたリーオー2機を直撃し破壊した。

 

軽快なブーストステップワークで左右に旋回する2機のガンダムジェミナス。

 

アクセラレートライフルを何発も撃ち飛ばし、ジェガンやリーオー部隊を各個撃破する。

 

その最中、バードモードのウィングガンダムが基地に突き進み、激しい轟音を轟かせながら突っ込んだ。

 

白煙と爆発が巻き起こり、上空へ立ち上る。

 

コックピットから下りたヒイロは、混乱に乗じて基地内に潜入した。

 

ヒイロは銃を片手に基地内部を駆け抜け、出くわす兵士達を次々と銃殺していく。

 

銃にはサイレンサーが取り付けてある為、銃声が響く事はない。

 

ヒイロは、ダクトの排気口への潜入を成功させ、腕時計型の超小型データベースを使いターゲットポイントへと目指す。

 

モニターの情報は、全てスパイ・エージェントが提供したデータだ。

 

その間の外の戦闘は激しく展開されていく。

 

基地の滑走路上をスライドするように飛ぶガンダムジェミナス01、02の動きに翻弄されるリーオー部隊。

 

ビームマシンガンのビームが虚しく外れていく。

 

ガンダムジェミナス01がリーオー部隊に回り込み、1機を近距離からの射撃で破砕させると、ビームソードに切り替え、2機のリーオーをまとめて斬り飛ばした。

 

ガンダムジェミナス02も1機、2機とジェガンを撃ち飛ばし、ジェガン部隊を翻弄させる。

 

左右へと順に撃ち放ったアクセラレートライフルのビーム渦流がジェガン2機を破砕。

 

そして3機のジェガンへアクセラレートライフルのチャージショットを撃ち込んだ。

 

近距離で放たれたビーム渦流が、瞬く間に3機のジェガンを破壊し、リーオー2機を巻き込んで破壊する。

 

出撃したMS隊は抵抗虚しく葬られていく。

 

ガンダムジェミナス01のビームソードの一振りが、豪快に3機のリーオーを斬り飛ばし、爆発の華を咲かせる。

 

そこからのブーストダッシュで一気にジェスタ目掛け加速するガンダムジェミナス01。

 

ジェガンとリーオーがビームライフルとビームマシンガンで行く手を阻むも、高速連斬で斬り捨てられ破壊された。

 

ガンダムジェミナス02も、周囲の敵機を華麗な銃捌きで破壊する。

 

そして、ガンダムジェミナス01は、仰向けになっているジェスタをビームソードで串刺しにしては斬り払い、破壊して回った。

 

やや遅れて到着したガンダムジェミナス02も、ジェスタをアクセラレートライフルで立て続けに破壊した。

 

ジェスタを破壊し尽くした2機のガンダムジェミナスの背後には、スタークジェガンとリーオーフライヤーの部隊が迫っていた。

 

2機のガンダムジェミナスは、ビームソードとアクセラレートライフルを構え、両眼を発光させながら迎え撃って出た。

 

ガンダムジェミナス01が、スタークジェガンをビームソードで斬り払い、ガンダムジェミナス02がリーオーフライヤーを3機まとめてアクセラレートライフルで破砕させる。

 

そしてヒイロはデータベースルームに潜入し、ジェスタとグスタフカールに纏わるデータにコンピュータウイルスを飛ばした。

 

データは瞬く間に破壊され、それは月のアナハイム社のデータにも転送される。

 

コンピュータウイルスは予め、ジェスタとグスタフカール関連のみを攻撃するようにできていた。

 

ヒイロは表情を変えることなくその場を後にし、ウィングガンダムへと帰還した。

 

そして、ウィングガンダムをMSへと変形させ、スペースポート目掛けバスターライフルの銃口を向けた。

 

荒れ狂うビーム渦流を撃ち放ち、基地諸ともスペースポートを破砕させた。

 

破壊し尽くした基地を後にするバーネット兄弟には、任務達成の笑みが浮かぶ。

 

だが、ヒイロは表情を変えることはなかった。

 

 

 

地球連邦軍・秘密結社OZ合同軍事演習当日

 

ニューエドワーズ基地

 

 

 

日々行われたガンダムの攻撃の影響に屈すること無く 地球連邦軍と秘密結社OZの合同の日を迎えた。

 

編隊を組んで飛行するエアリーズとリゼル、アンクシャ。

 

銃を構えて整列するリーオー、ジェガン、ジムⅢ。

 

列を成して走行するロト。

 

膨大な数のMS達が演習に備えた姿勢で望む。

 

少なくとも500機が基地に展開していた。

 

その中には、ディエスのバイアランカスタムの姿も見受けられた。

 

「こいつはすげーぜ……!!!何て数の演習だよ……さて、あの龍は来るかな!??」

 

ゼクスとリディ達も編隊を組んで飛行する。

 

トールギス、オーバーエアリーズ、ユニコーン、リゼルカスタムがVの字を描いて周囲の機体と共に飛行していた。

 

リディは初めて見る光景に圧巻していた。

 

「凄い……!!!これ程までのMSの数は見たことが無いです!!正に圧巻の一言ですよ!!」

 

「ふ……私自身もだ。だが、彼等はこの程度では道程驚きはしないだろう……」

 

通常の感覚ならば、蜂の巣は免れない。

 

ジオン残存軍とネオジオンが一斉に同時に攻めたとしても危ういと言える数だ。

 

リディは流石に自機でこの数の敵を攻めたとしても、生き延びる自信は無かった。

 

「この中へ飛び込むなんて……余程のバカですね……」

 

「ああ……だが……バカは来る!!!」

 

ゼクスは確信にも似た気持ちで言い切ってみせた。

 

そして、OZ総帥であるトレーズも自らトールギスⅢの中へ搭乗し、演習を眺めていた。

 

「実に戦士達の行動は美しい。彼らもこの美しさの中へ身を投じて頂きたいものだ……さぁ……反抗の意思を持つガンダム達よ……かかって来たまえ……」

 

 

 

一方、ジオン残存軍の駐屯地に身を投じていたマリーダも、クシャトリヤのモニターを使い、仲間からの情報でこの数へガンダムが攻め混む情報を確認していた。

 

マリーダさえ、その数に驚愕を隠せないでいた。

 

「そんな……!??これ程の数をどうやって攻める気なんだ!??っく……ヒイロ……!!」

 

マリーダはヒイロの身を案じずには要られなかった。

 

ヒイロを想うが故に。

「ヒイロ……お前は死に場所を求めているのか!??いくらヒイロのガンダムでも……!!!」

マリーダの憂いを他所に、ヒイロ、デュオ、トロワ、カトル、五飛、アディン、オデルがそれぞれのガンダムを向かわせる。

 

彼等はなんの迷いの表情を浮かべていなかった。

 

その頃、L1コロニー群のどこかのコロニー内で、ドクターJは一人でデータベースと向き合って不敵に笑い続けていた。

 

「ひひひひ……くっくくくく!!!わしらのガンダムの性能、思い知るがいい!!!!この任務で……本格的にガンダムの常識と歴史が変わるぞい!!!!」

 

 

 

 

 

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