るろうに使い魔‐ハルケギニア剣客浪漫譚‐   作:お団子

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第二十八幕『奇跡の勝利、宵闇の悪夢』

 すかさず砲撃を始める『レキシントン』号に、ルイズ達もこれ以上近付けないでいた。

「で、どうする気よ?」

 お手上げ、そう言わんばかりにキュルケは聞いた。タバサも、これはどうにもならないと首を振る。

 だが、ルイズは諦めなかった。

「砲撃は、ケンシンがきっと止めてくれる。だから、合図をしたら向かっていって、その周りを旋回して!!」

 言葉の意味をとれば、何を言い出すんだと言いたくなるような内容だった。剣心が、アズーロから飛び降りて『レキシントン』の所へ乗り込んだのは、遠目でルイズ達も分かっていた。

 だが、普通ならそれを理由に闇雲に突っ込むというのは無謀そのもの。返り討ちは必定ともいえた……『普通』なら。

 しかしアルビオンでの旅のおかげで、剣心の力量を知っているルイズは、これくらいの事ならどうにかしてくれると信じているからこそ、そう言えるのだ。そしてそれはタバサ達も同じだった。

「…分かった」

 正気か、と思うかもしれない。だが、これから何かが起こる。そう予期させるからこそ、タバサもキュルケも何も言わなかった。

「今よ!!」

 そのルイズの言葉と共に、シルフィードは怯えながらも旋回。砲弾の嵐へと突っ込んでいった。

 

 

 

第二十八幕『奇跡の勝利、宵闇の悪夢』

 

 

 

 砲撃の中を駆け抜けるルイズ達を見ながら、志々雄は的確な指示を下す。

「一斉掃射、用意!! 目標、あの風竜!!」

「何!!?」

 それを聞いた剣心が、ハッとしてそちらを見やった。それはワルドからしてみれば、千載一遇の隙であり、そして好機だった。

「隙ありだ、抜刀斎!!!」

 風竜の放つ、特大のブレスが剣心の真上から、突如襲い掛かった。ブレスは、剣心を巻き込み甲板に大穴を開けながら、彼を船の中へと追いやった。

 まともに喰らった。生きてはいまい。ワルドは大きく高笑いをした。

「シシオ様、やりましたぞ!! 人斬り抜刀斎、恐るるに足らず!!!」

 しかし、志々雄から返ってきた言葉はこうだった。

「…ワルド、お前、しくじったな」

「はっ……?」

 刹那、船の中から喧騒が聞こえてきた。何かと戦っている様な声と音。そして悲鳴も上がってくるのがワルドの耳にも入ってきた。

「なっ…なんだてめえ!!?」

「ぐああっ!!!」

 まさか、と思いワルドは船の大砲の方を見る。そこは、志々雄が命じたにもかかわらず、シンと静まり返っており、弾一つ放つ気配はない。

 ここに来て、ようやくワルドは、『わざと』攻撃を誘われていたことに気づいた。油断すれば、必ず甲板を破壊するような大技を放ってくると、奴は踏んでいたのだ。

 そして、中へと潜入して、恐らく今、砲撃を準備していた兵士たちを薙ぎ払っているのだろう。そうやってルイズ達を守っているのだ。

 だがどうやって…あのブレスを…。しかし、その答えはすぐにピンと来た。

(あ…あの喋る剣…あれで吸収したのか…!!!)

 ワルドは、ギリと歯軋りをした。あの一連の行動から、ここまで正確に読んでいたとでも言うのか。

 そして改めて身震いをした。恐るべき機転の速さ。そして今成すべきことへの迅速な行動。これが、最強の人斬りと謳われる所以なのか……? と。

 

 ともあれ、こうしている場合ではない。ワルドは頭を切り替えた。犠牲は出るかもしれないが、やむを得ない。

 甲板の中から、何度でもブレスを放ってやる。幾らあの剣でも、怒涛のブレスを何回も吸収出来るはずがない。

そう考え、ワルドは風竜を甲板に着陸させ、そこから覗かせる様に顔を突っ込ませた。しかし――――。

「なっ…!!?」

 声にならない叫びを、ワルドは上げた。風竜がブレスを放とうとしたとき、ここぞとばかりに剣心の姿が躍り出てきたのだ。

 しまった、これも計算の内か!? そうワルドが逡巡したときには、もう遅い。

 

「飛天御剣流 -龍巻閃・旋-!!!」

 

 空中で回転しながら放つ、遠心力の一閃。それが風竜の脳天に強かに打ち込まれた。

「グッ…!! グゥオアアアアアアアアア!!!!」

風竜はその衝撃で口を閉ざされ、結果、ブレスは口の中で暴発。大きな身体を舞い上げながら、風竜は崩れ落ちていった。

 

 

「バカな…あの男は何者なのだ…」

 この戦いを、艦長であるボーウッドは唖然として見ていた。

 急に飛び込んできたと思えば、風竜のブレスを的確にかわし、あまつさえ一回の攻撃を

受けただけでこちらの対抗手段を悉く粉砕した。

 そして、一瞬の隙をついて風竜までも倒した。殆ど無傷同然の格好で。

(本当に…奴らは一体…?)

 風竜を倒したにも関わらず、その余韻に浸ることなく志々雄を睨む剣心と、それを受けても悠然としている志々雄を見て、ボーウッドは、そんな感想を抱かずにはいられなかった。

 

 

「ぐおっ!!! がぁあああ!!!」

 ワルドは、風竜に振り落とされ、乱暴な形で甲板へと叩きつけれた。その顔は屈辱と羞恥で歪んでいる。

(何故だ!! 何故……)

 またしても圧倒的な敗北。しかも剣心はもう、自分では無く、志々雄の方を見ていた。自分など敵ではないということか、その事実が、ワルドにとって、とても悔しかった。

「絶対に…おれも…あそこまで…上り詰めてやる…」

 拳で床を何度も叩きながら、ワルドは誓うように、震える声で呟いていた。

 

 

「終わりだ、志々雄真実」

 逆刃刀を向けながら、剣心はゆっくりと告げた。

 対する志々雄は、どこか含んだような笑みをして言った。

「終わり…か」

 志々雄はそう笑って、外の方を親指で差した。そこには、『レキシントン』号程の大きさではないにせよ、多くの艦隊がずらりと鎮座していた。

「幾らあんたが足掻いたところで、この数はもう止まらねえぜ。それでも闘るっていうのか?」

「それでも、お前を止めねばこの国の全てが犠牲になる。そうはさせん」

 剣心は毅然とした態度を崩さず言った。普通の人間なら絶望するかのような戦いでも、一歩も引かない。

「本当に頑固だな。あんたも…」

 志々雄もまた、そんな剣心を見て、『剣客』としての顔を覗かせた。ニヤリと笑い、腰の刀の柄に手を触れる。

 途端に弾けるような剣気が、辺りを漂う。

「まあいい。それじゃああの時つけられなかった決着の続きを、今始めようじゃねえか」

 剣心も、それに応えるように腰を落とし、逆刃刀を強く握る。

 周囲がゴクリと、固唾を呑んで見守る中、二人は同時に動いて、そして…。

 

 

エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ

 

 

 お互いの剣が交わる瞬間、剣心の頭の中に、朗々とした声が響き渡った。

 

 

オス・スーヌ・ウリュ・ル・ラド

 

 

 剣心は、ルイズ達の方を見やった。志々雄もまた興味を、上空に飛び交う風竜に移す。

 ここからでは誰が乗っているかまでは分からなかったが…何か仕掛けてきているという事だけは、志々雄も分かっていた。

 

 

べオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシェラ

 

 

 ルイズは、不思議そうな顔をしているキュルケはタバサをよそに、呪文を読み上げていった。

 今の自分には、何も聞こえない。何も見えない。ただ、体の底から溢れてくる力を、言葉にして吐き出していた。

 力はルイズの中でうねり、循環していく。

 そして感じる。今から使う呪文は、それこそ今までのとは規模が違う大魔法だということも。

 選択を迫られる。『殺すか』、『殺さぬか』

(ケンシン……)

 

 

ジェラ・イサ・ウンジュー・ハガル・べオークン・イル……

 

 

 呪文が完成した。後は杖を振るだけだ。

 だが、このままでは向こうで戦っている剣心をも巻き込んでしまう。

 だから、その分『抑える』。

 レキシントン号には機関部辺りを狙い付け、他には人を殺さないよう、船だけを破壊する。

 そう決めて、ルイズは杖を振った。

 

 

 

『エクスプロージョン!!!!!』

 

 

 

「―――――――――!!!?」

 瞬間、誰もが目を疑った。

 突然大きな光に包まれたかと思いきや、船が炎上を始めたのだ。

 辺り一面、燃え上がる船。無事に難を逃れたものは一隻もなかった。それは、レキシントン号も同じだった。

「マ…マスト破損!! これ以上舵は効きません!!」

「か、『風石』消失!! 浮力が足りません、墜落します!!!」

 あちこちで、船員の慌てた声が飛んでくる。臆病風に吹かれた連中は、既に脱出の準備まで始めていた。

「シシオ様、指示を、脱出の指示を!!」

 しかし、このような事態にも関わらず、志々雄は平然として剣心と睨み合っていた。

(してやられたか。…そうか、あれが…『虚無』ってえ奴か…)

 燃え上がる戦場の中、二人は対峙する。

「…煉獄の時といい、これで二度目か。…ここは一旦退くしかねえか」

「そうだな」

「決着も、少しの間先延ばしだな」

 無論、続けようと思えば、今始めても出来た。

 だが、それでは志々雄に忠誠を誓っている部下の何人かは、志々雄と共に残る決意をするだろう。

 それだと、脱出が間に合わず、結果死人が出る。志々雄をタルブから追い払えたのだから、現状、今はこれで良しとするしかなかった。

 

 悠々な姿勢ながら、剣心と離れる際、志々雄は言った。

「抜刀斎、俺とあんたとの決闘は、あくまでも『余興』に過ぎなかった。それは前に言ったな」

「…ああ」

「だが、この戦いでやはり再確認させられた。この世界を盗るには、やはりあんたを消さねばならないとな」

 そして、最後に剣心に向かって、志々雄は凄惨な笑みを浮かべた。

「精々気をつけるこったな。これから先あんたのもとに、様々な刺客を送り込む。だが、それを全て倒し這い上がってこれたなら、それでもまだ生き残っていられたら、今度こそ『あの時』の決着をつけようじゃねえか」

 そして高笑いを残しつつ、志々雄もまた、墜落寸前の『レキシントン』号から離れていった。

「あばよ。『ガンダールヴ』。精々この国を守る『盾』とやらに、なってみるんだな」

 

 

 誰もいなくなった…燃える船の中、剣心は一人佇んでいた。思いを馳せるように。

そんな彼に業を煮やしたのか、デルフが口を開いた。

「さっきの奴、相棒の知り合いか?」

「…元人斬りの後輩で、時代を懸けて剣を交えた宿敵でござるよ」

 剣心は、昔を思い返すように口を開いた。

 

 あの時もこんな風に炎が猛っていた。

 

『死闘』。そうとしか言い表せない激戦だった。

 燃え盛る炎の中、互いに持てる力全てをぶつけたあの戦い。『生』という勝ちこそ拾えたが、一歩間違っていれば自分の方が死んでいてもおかしくなかった。

 何故今、奴がこの世界にいるのか…それはもうどうでも良い。

 ただ、このまま奴を野放しにしておけば、いずれこの世界は志々雄の手中に収まってしまうだろう。

 それを可能にする力が、あの男にはあると、剣心が一番身をもって知っていたからだ。それだけは絶対に阻止せねばならなかった。

 奴を生み出したのは、他ならぬ自分の所為でもあるのだから……。

 

「何にしてもアイツはヤベェぜ。見た瞬間震えが来ちまった。色んな奴俺は見てきたが、アイツみたいなのは初めて見たぜ」

「…だが、引くわけには行かぬでござるよ」

 改めて決意し直すように、剣心が言った瞬間、突然上に影が現れた。

 見上げてみれば、そこにはシルフィードに乗り出して、手を差し伸べているルイズの姿があった。

「早く、掴まって!!」

 最早あちこちで爆発するような音が聞こえてくる。

剣心は、迷わずルイズに向かって思い切りジャンプし、その手を掴んだ。

その時、同時に大爆発を起こし炎上。ハルケギニア最強と謳われた船『レキシントン』号は、あえなく墜落していった。

 その光景を遠くで見守りながら、ルイズ達はその場を後にした。

 

 

「あれは…ルイズ殿がやったのでござるか?」

 ルイズ達の手を借りて引き上げられる中、剣心は聞いた。

 キュルケとタバサも、興味深気にルイズの方を見る。

 ルイズは、どう言おうか迷っているようだったが、意を決したのか思い切って口にした。

 

「実はね…選ばれたみたいなの…『虚無』の力に…」

 

 その言葉に、キュルケとタバサは唖然としてルイズを見た。剣心はむしろ、驚きというより先行きの心配そうな顔をした。

 ルイズは、そんな剣心の心配を知らずか、困ったような口調でまくし立てた。

「あのさ…これ、内緒にしてくれない? ほら…ね…」

「分かってるわよ。それくらい」

 真っ赤な髪を掻き上げながら、キュルケは言った。タバサも同じように頷く。

 いきなり伝説の話をしたって誰も信じないだろうし、逆に信じてもらっても、戦争や政治の道具に利用されたりするのは目に見えたことだった。

 こう見えても、キュルケはしっかり者だし口が堅い。タバサも喋らないだろうし、剣心だって口を滑らすようなマネはしないだろう。

 そう考えると、ルイズはホッとした。そして安心したら、急に眠気が襲いかかった。

 すっかり疲れたのか、ルイズはそのまま剣心に寄りかかるように身体をあずけると、そのままスヤスヤと寝息を立て始めた。

「伝説の虚無ねぇ…まさかルイズがね…」

「…これから大変」

 感慨深そうに呟くキュルケと、端的に言葉に表したタバサ。

 この二人の話を聞いて、剣心は、これから待ち受けるであろう戦いと、それを知らないで安らかに眠るルイズを思いながら、空を見つめていた。

 

「あれ、そう言えばあの色男の神官は?」

 キュルケがふと、そんなことを尋ねる。

 剣心も気づいたように周囲を見渡したが…いつの間にかかのロマリアの神官の姿は、影も形もなかった。

 

 

 

「…やはり彼女が担い手だったか」

 タルブより離れた上空。燃えて落ちて行くレキシントン号を見やりながら、ジュリオは呟いた。

 器用に竜の背に立ち、かの『爆発』の光をその目にしていたのである。

 あれは間違いなく、始祖より賜りし力の一端。剣心の左手のルーンを見た時から、多分そうだという予感はあったのだが…これで確定した。

「いずれまた、ゆっくりと話をしようじゃないか。…ケンシン」

 本音を言えば、トリステインに渡ったというかの『秘宝』を探してタルブまで来たのであるが…。それは見つからなかった。

 だが、かわりにこの国の『虚無』の担い手と使い魔の所在は分かった。それだけでも収穫としよう。

 とりあえず、この日あった事を己の主人に伝えるため、ジュリオは再びロマリアへと帰国した。

 

 

 

「聞いたかお前!? 此度の戦!!」

「ああ、絶体絶命の所を女王陛下が奇跡を見せたそうじゃないか!!」

「アルビオンめ! ざまあみろってんだ!! 陛下の婚姻を邪魔した罰があたったのさ!!」

「なるほど! 此度の光は女王陛下の怒りという事か!!」

 タルブにて勃発した、トリステインとアルビオンによる抗争。

 誰が見てもアルビオン側が圧倒的優位だったにも関わらず、結果は…突如として起こった『謎の光』による現象で、艦隊は全滅。何もしていないトリステイン勢の勝利と相成った。

 兵の大半は捕縛され、おまけにこちら側の被害は、ゼロではなかったがこの戦果を鑑みれば贅沢と言えるほどに少なかった。

「聖女万歳!! アンリエッタ万歳!!」

「彼女がついている限り、我々トリステインは決して屈しないぞ!!!」

 まさに完璧な勝利。人々はアンリエッタを『聖女』と称え、騒ぎ立てた。

 

 

 しかしここトリステイン魔法学院は、そんな喧騒とは程遠かった。

 オスマンからタルブでの勝利について語られただけで、学院内ではそこまで何も変わってはいない。

 本質は学び舎であるからして、政治関係や戦争とはあまり無縁なのである。

 そんな中、剣心は暖かい陽を浴びながら一人散歩していた。暇な時にする日課の一つにもなっていた。

(……志々雄真実)

 まさかあの男まで、この世界にやってこようとは…。

 剣心は、これからどうするか本格的に考え始めた。あれだけの敗退だ。奴とて暫くはそう迂闊に攻めては来ないだろう。

(だが、もしあの男が刺客を差し向けるとするなら、これまでとは一筋縄ではいかない筈だ)

最悪、戦場の場はこの学院にもなりかねない。

 それだけは…避けねばならなかった。今やこの学院は、剣心にとってもう一つの居場所になったのだから。

 

(そしてもう一人、ジュリオ殿…)

 ここで剣心は、志々雄とは別の…ロマリアからやってきたという若き神官についても思いを馳せる。

 結局彼は、何を考え此処に来たのか。探し物とは何なのか。

 ただ、何となくだが彼は自分やルイズが『虚無』に気付いたのかもしれない。そんな予感があった。

 ただ、肝心の彼はあれから姿を見せず。もしかしてロマリアに帰ってしまったのだろうか。

 色々聞きたいことがあったが、ジュリオが姿を見せない以上、こちらからはどうしようもない。

 とりあえずこっちは、頭の片隅に止める程度にしよう。だが油断は禁物だ。

 

 そんな風に歩いている内、不意に剣心に声が掛かった。

「あ、ケンシンさん!!」

「おお、シエスタ殿」

 声の主、シエスタはいつものメイド服に身を包み、待っていたと言うような体で、剣心の所まで来た。

「あの、タルブを救ってくれてありがとうございます!!」

 そう言って、シエスタは深々と頭を下げた。

 気球を飛ばしてくれたことに始まり、家族を助けてくれたこと、そして、どうやってかはわからないが、あのレキシントン号を墜落させたのは彼なのだということも含めて、心の底から感謝を述べていた。

 剣心はこそばゆそうな表情を浮かべながらも、そういえば…という表情で尋ねる。

「気球の件、コルベール殿にそのまま渡してしまっても大丈夫でござるか?」

 あの後、気球はそのままコルベールの研究所の中へとまた戻った。今は同じような乗り物を作れないか、他にも様々な『ガス』を作れないかで、色々考えているようだった。

 彼なら決して悪いようにはしないと分かっているものの、一応再三の確認を、シエスタにしたのだった。

「ええ、大丈夫ですよ。わたしも先生なら安心できますし」

 コルベールは他の教師陣とは違い、そこまで差別的な目で使用人を見ていないことは、シエスタたちも知っていた。

 だからこそ、剣心と仲良くできるのだろうと。

 周囲は彼を変人と呼んで憚らないようであるが、剣心が信頼するのなら…、と、シエスタもまた、コルベールに祖父の遺産を手渡すことに、異は全くなかった。

 シエスタは改めてはにかんだ笑顔を見せた。そして、それとなく剣心の散歩に一緒に付いて歩いていく。

 それは、端から見ればカップルにも見えなくもなかった。

 

 

 さて、その後ろには何か掘り進めたような跡があった。

 まるで剣心達の後を追うかのように、ピッタリ追跡して放さない。

 穴の中にはルイズと、連れてこられたデルフと、掘った主のウェルダンデがいた。

「ねえ…何でアイツはメイドなんかといちゃついてんの…?」

「いちゃついてんのか…あれ」

 遠巻きに見るデルフにはそうは見えなかったが、少なくともルイズにはそう感じたようだ。肩を震わせて様子を伺っていた。

 ルイズが丁度見たときには、シエスタと剣心は普通に歩いてる途中だったため、その前の会話については知らなかった、というのもあるが。

「娘っ子の嫉妬も、えらいもんだぁね。もうちっと相棒を信用しろよ」

「分かってるわよ…」

「じゃあ何で覗きみたいな真似してんだ?」

 ルイズは、口をモゴモゴさせて何やらボヤいた。

「だって…わたしは虚無の担い手に選ばれちゃったのよ…こんなにわたしが不安がっているのにさ…アイツは人の気も知らないであのメイドなんかと…」

 タルブでの戦い、最後に起こった現象は人々にとって『奇跡』の一言で片付いた。

まさかあの光を起こした張本人がルイズだと、誰も思わなかったらしい。

 だけど、虚無の力を使っていけばその内バレる。ルイズは不安だった。いきなり手にした力の強大さに。

 だから、剣心に相談しようとした矢先、あのメイドと一緒に歩いているのが物凄く気に入らなかった。やっぱり何かあるんじゃないか、そう勘ぐってしまう。

 

「そういえばさ、何でアイツはあんたを使わないのよ、折角買ってあげたのに!!」

 と、ルイズは怒りの矛先をデルフの方へと向けた。ルイズの見る限り、デルフの使用はワルドとの戦い以降、全然使ってはいないようだった。

 それに関しては、デルフも大きくため息をつくかのような声で言った。

「仕方ねえよ。相棒は『不殺』を掲げてるんだ。俺じゃあどうしたって斬っちまうもんな」

「…前から思ってたけど、何でアイツはあんな面倒臭い戦い方するんだろ?」

 ルイズは思った。あれほど強いにも関わらず、剣心が一度も人を斬るのを見たことがない。強いから成せる手加減なのだろうが、時々過剰にも思えるくらい『人を殺さない』事にこだわっているみたいだった。

「さあな、けど一つだけ言えることがある」

「へえ? 何なのよ、勿体ぶらずに教えなさいよ」

 ルイズの問いに、デルフは遠い向こうを眺めるかのような口調で言った。

 

「少しだけでも、振るわれて分かった。『飛天御剣流』だっけか…あれは相当えげつねえってことさ」

 

「…どういうこと?」

 困惑する様子のルイズを他所に、デルフは続けた。

「あれはな、何というか…人をどれだけ速く、かつ正確に、そして一斉に斬れるかっていうのを重点に置いてある。手加減なんて効きやしねえ本当に実質本意な『殺人剣』さ。もし相棒が逆刃刀じゃなく俺や普通の剣で戦っていたら、娘っ子は今頃沢山の惨殺体を目の当たりにしてきたことだろうぜ」

「…え……?」

「だから相棒にとって逆刃刀ってのは、かなり特別な存在なんだろうな。まあ、出番が全くない訳じゃねえし、俺は今のままでも構わないっちゃあ構わないけどな」

 どこか諦めたような風に呟きながら、デルフは言った。

 ルイズは、遠くにいる剣心を見やった。そう言えばワルドを相手にしていた時も、最初の決闘はデルフの峰で戦っていたし、最後の決戦も結局命までは奪わなかった。やろうと思えば出来た筈なのに。

 ルイズに気を使って殺さなかった、というのもあるのだろうが、それ以上に剣心は自分に『殺す』という事を戒めている感じだった。

 するとまた、デルフが再び口? を開いた。

「少なくとも、あの信念を見つけ出すのに相棒はかなり苦労してきた筈だ。挫折しかけたことだって一度や二度じゃないだろう。だからこそあんなに風格が身についているんだ。そんな相棒が、本気で娘っ子の事を考えてねえとでも?」

「う……」

「キュルケって娘も言ってたろ? もう少し使い魔を信用してみな。娘っ子だって、相棒が頼れると心の中で思っているから相談しようとしてんだろ?」

 諭すようなデルフの口調に、ルイズは渋々ながらも頷いた。

「そうね…分かったわ。てかあんた、いい加減娘っ子って呼ぶのやめなさいよ」

 ぼやくようにそう言うルイズ。

「おおーい! ぼくの愛しのウェルダンデ!! 何処に行ったんだい?」

「やばっ…!」

 そんな中、丁度ギーシュが使い魔を探しに通りかかってきたので、この追跡ごっこも取り止めとなった。

「あんた、このことギーシュに絶対言うんじゃないわよ…! いいわね…!」

 去り際に、使い魔のモグラを思いっきり脅しつけながら、ルイズはいそいそとその場を去った。

「喋れねえモグラを脅迫って…そういうとこだぞ娘っ子よ…」

 

 

 その日、特に何事もなく一日は過ぎ去っていった。

 夜、ルイズはいつもの様にベッドに寝転がり、座るように目を瞑る剣心を見る。

「ねえ、ホントにベッドはいいの?」

「大丈夫でござるよ」

「いいって言ってるのに……」

 ちょっと不満そうに口を尖らせたが、これ以上は変に勘ぐられそうなので、ルイズは仕方なく諦めた。

 だけど、ルイズはそんな事を話したいのではなかった。もっと色んなことを剣心に聞きたかった。シエスタの事、虚無の事、知りたいこと確かめたいこと。

 その中で、まず最初に質問したのは、こうだった。

 

「ケンシンさ、何で逆刃刀なんて使っているの?」

 

 それを聞いた剣心は少しの間固まっていたが、やがてゆっくりとルイズを見て、切なげな表情で言った。

「拙者の剣は、そのままでは人を殺めかねない。だからこそこの刀は拙者にとって、重要なものなのでござるよ」

「どうして、『不殺』をそんなにも貫いているの?」 

 今度は押し黙ってしまった。言おうか言うまいか、迷っているようだった。それを見かねたルイズは、余程言いたくないことだろうと思い、追及をやめた。

「いいわよ、そんなに話したくないなら。聞いたわたしが悪かったわ」

「…済まないでござる」

 そのままルイズは布団に潜り込んだ。ただ、時々顔を上げては剣心の横顔…についている十字傷を見た。

 普通の斬り傷なら、あのくらい時間が経てば直ぐに消えてしまうだろう。でも剣心のそれは、一生掛かっても消えないかのように今でもくっきり残っていた。

(一体何で傷つけられたんだろう…?)

 というより、そもそも剣心に傷を付ける相手がいたのだろうか。そんな事を考えながら、ルイズは眠りについた。

 

 

 この時はまだ、本当に分からなかった。『不殺』の意味。『逆刃刀』の意味。―――そして、『十字傷』に込められた意味のこと。

 その日、ルイズは夢を見る。遠い記憶、昔の話。それは、彼の『もう一つの顔』の時の夢だった。

 

 

 

 

「…ここ…どこ?」

 ルイズは、辺りを見回してそう呟いた。

「…こんな建物、見たことないわ…」

 既に暗い夜道の中、ルイズは一人佇んでいたのだ。

 周りには、木で出来た家が一列に並んでいる。上から照らす光を見上げてみれば、そこには一つしかない月が光っていた。

(じゃあこれ…またケンシンの…)

 すると、不意に話し声がこちらに聞こえてきた。声は小さいながらも大きくなっていき、こちらに近づいてくるのが分かる。

 慌てて隠れようとするが、これは剣心の夢だということを思い出し、それなら堂々としてもいいか、とやって来る人影を見た。

 やがて、姿を現したのは三人の男達だった。先頭が提灯(無論ルイズは知らない)を持っているおかげで、その三人の顔がルイズにはよく見えた。

 前から順に、優しそうな青年、好々爺に見える老人、筋骨隆々な大男と続いていった。

皆剣心と同じ服装に刀を差しており、改めてここが剣心の世界であることを実感させられた。

「遅くなりましたね、少し急ぎましょう」

 先頭を歩いていた青年が、後ろの老人へと話しかけた。老人は頷くと、朗らかな口調で青年へ声をかける。

「聞いたぞ清里、来月祝言だそうじゃないか。あの幼馴染の器量良しを貰うか、果報者め」

 清里、そう呼ばれた青年は幸せそうな笑みを浮かべた。

 ルイズには会話の内容から、あの青年が結婚するんだということは分かった。

 そして思い出した。アンリエッタが結婚すると告白したときにした、悲しい表情。そしてウェールズがあの晩に一瞬だけ見せた、やるせなさそうな表情を。

 

「やっぱり、結婚ってああいう風な顔をするわよね…」

 

 ルイズも一度、結婚というのを考えさせられたのだから、清里の笑顔はよく理解できた。本当に幸せそうで、多分相手の女性も嬉しいんじゃないかなって、そうルイズにも思わせるような笑顔。

 何というか、ウェールズやアンリエッタの様な二人を見てしまっただけに、彼には幸せになって欲しいな、とルイズに思わせていたのだ。

 というより、あの笑顔にウェールズの姿を、無意識に重ね合わせているのかもしれない。

 

「でも、悪い気もするんですよ。世の中が荒んでいるというのに自分だけ…」

「コラコラ、何を言っとる」

 どこか申し訳なさそうにする清里に対し、真ん中を歩く老人は優しく諭した。

「世の中がどうであろうと、人一人が幸せになろうとするのが、悪いわけがなかろう」

「そうよ、良いこと言うじゃない」

 いつの間にか、すっかり共感したようにルイズが言った。勿論、これは夢なのだから見えないし聞こえないのだが。

 結婚かぁ…ルイズは思った。そして何故か無意識に、アイツの姿が現れた。

(な、何でアイツが出てくんのよ…!?)

 振り払うようにその事を頭から追い出しながら、ルイズは改めて清里を見る。

 そしてやっぱり、ルイズの中にあの男の笑顔が脳裏に過る。

「アイツとは、ただの使い魔の筈なのに…」

 そんな顔を赤くしながら一人悶々としているルイズに…いや、本当は夢の三人に向けてだろう…声が掛かった。

 

 

「京都所司代、重倉十兵衛殿とお見受けする」

 

 

 聞き覚えのある声、ルイズはハッとしてその方向を向いた。

「…ケン―――」

 そして、ルイズは目を丸くした。

「―――シン…?」

 声を聞いて、三人もそちらの方を見る。そこには、ルイズのよく知る男が立っていた。

 いや、よく知るなんてものじゃない。一緒に暮らし、今さっきまで脳内に勝手に現れてルイズを悶々とさせていたその男。

 緋村剣心は、その深い双眸でルイズ達を見つめていた。

 しかし……。

 

(違う…ケンシンじゃない…)

 ルイズは何故か無意識に首を振った。そして改めて彼の姿を見やる。

 まず頬の十字傷がない。髪の括り方も変わっており、そして身長も少し低く、どこか若々しく見えた。

 そして何より違うのが、その身に纏う雰囲気。

 ルイズ達を見る瞳は、刃のように冷たく、鋭く、そして黒い。いつもニコニコしている、あの優しい笑顔が、今は無表情で塗り固められてどこにもなかった。

 この彼には覚えがあった。確かアルビオンで、ウェールズが殺された時…これに近い雰囲気を彼は醸し出していた。

 けど…今感じる殺気は怒りによる荒々しさこそないものの、あの時以上に冷徹な雰囲気をルイズに伝える。

「ねえ…どうしたの……?」

 そんな彼の変わりように、ルイズは軽く戸惑っていると、三人に向かって剣心は冷たく言い放った。

 

「これより、天誅を加える」

 

「ケンシン……?」

 呆気にとられるルイズを他所に、その意味を悟った他の三人は慌てて刀の柄を手に取って叫ぶ。

「刺客か!!?」

「たかが剣のひと振りで、世が動くと思うのか?」

「名乗れ!!!」

 一番強そうな大男が、剣心に向かって叫ぶ。しかし、彼は何も言わず只そこに佇むばかり。

「名乗らんかぁぁぁぁあああああああああああああ!!!」

 遂に痺れを切らしたのか、男は大声を上げて突進した。

「ちょっと…待って!!!」

 ルイズが止めよう動いたときはもう、男は刀を振りかぶっていた。

 剣心は、それを刀の鍔で受け止めると、おもむろに鞘尻を男の目に向かって抉るように突き立てた。

「ぐあっ……!!!」

ドゴッと、嫌な音を立てて悶絶する男に向けて、剣心は鞘から、逆刃刀ではない…本物の真剣を抜き放った。

 

 閃く一筋の光。一瞬のうちに横一文字に斬られた男は、その腹に真っ赤な血の花を咲かせて、そして崩れ落ちた。

 

「―――え…?」

 血が、かかった。

 夢の中である筈なのに、なぜかルイズの顔に、桃色の髪に…鮮血が纏わりついた。

「あっ…え……っ?」

 未だに状況が呑み込めないルイズは、飛び跳ねる血の跡の上を、ただ呆然と立っているだけだった。

 その間にも剣心は他の二人に向かって駆け出し、一気にその距離を縮めていく。

 二人も呆気にとられていたが、すぐさま本能的な危機を悟ったのか、刀を構えた。

だがもう間に合わない。重倉と呼ばれた老人は、清里を突き飛ばして庇った。

「清里、お前は今死んではいかん!!!」

 その次の瞬間に、重倉の顎から脳天に向かって刀が深々と刺さっていた。一時の沈黙の後、剣心は刀を強引に引き抜いた。 

 重倉は顔の血を縦から流し、そのまま倒れていく。

「し、重倉さん!!!」

 清里がそう叫んだ時には、剣心は彼に刀を振りかぶっていた。

 清里は、奇跡的な反応でそれを防いだが、そのまま剣心に壁へ押し迫られていく。何とか切り返しその剣幕から逃れた清里は、改めて剣心と対峙した。

 

 この間約数秒の出来事。

 

「あっ…うっ……」

 ルイズが、ようやく事の顛末を理解したときには、既に剣心によって二つの屍が築かれていた後だった。

「何…で…?」

 ルイズは、只々愕然としていた。涙を流し、腰砕けになりそうな身体を震わせ、吐きそうになる気分を必死に抑えて、理性を何とか保とうとしていた。

 そして顔に触れるたび…自分の手もまた赤く染まっていることに気づく。飛んだ血が、顔や手にかかっているのであった。

(どうして? そんなに悪い人たちなの…?)

 だけど、今この場ではルイズは、どう見ても剣心が悪者にしか見えなかった。

 なんの躊躇もなく、人を殺した。

 それでいて、表情は依然として変化を見せず、感情のない眼で清里を睨んでいる。

 死への恐怖を感じながらも、勇気を振り絞り必死で刀を構えている清里に対し、剣心はどこまでも冷たく言い放つ。

「諦めろ」

 生きること全てを捨てさせるような言葉。絶望しか覚えないような言葉でも、清里は諦めず、刀を握る手を強くした。

「そうはいかん!!」

 清里は立ち向かった。拙い剣術ながらも、それでも必死に剣心に食らいついていった。

 だが、徐々に実力の差が現れ始めたのか、刀で所々を斬られていく。

(死ねない…今死ぬわけにはいかない…)

 腹を斬られ、悶絶するも清里は必死で刀を振るう。

(死にたくない…死んでたまるか…!!)

 肩を斬られ、血が噴き出すも、清里は耐えて立ち上がった。

「死なん…絶対に……っ」

 最早ボロボロの状態にも関わらず、それでも清里は諦めなかった。

 おそらく待っているだろう婚約者を想って、その先の幸せを願って……。

 それなのに、剣心はどこまでも変わらない。ただ彼を生かしてはおけない。目がそう語っているだけだった。

「いや…やめて…」

 ルイズは、震える声で呟いた。それを合図に、清里は最後の抵抗を試みる。刀を突き出し、大声を上げて特攻をかけた。

「うおおおおおおおおおおああああああああああああああああああ!!!!!」

「やめてええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

 ルイズの悲鳴と清里の叫び。それが街中に響き渡った。

 だが、二人の声の願いは、届くことなく終わった。

 

「がっ…ぁ…!」

 剣心のすれ違いざまの一撃、それが清里への止めとなった。

 清里も、真っ赤な血の雨を撒き散らしてその場に倒れ込む。

 だがそれでも、清里は生きていた。震える手を動かして、その先にいるルイズに訴えかけるように呟いていた。

「…死に…た…く…ない…」

 涙を流し、そうルイズに話しかける清里は、本当に…本当に悲しかった。

 普通に大切な人の幸せを願っただけだろうに…こんなことになるなんて、きっと夢にも思わなかったことだろうに…。

「今は…まだ………死に…たく…ない…」

 剣心は、彼がまだ生きていることを知ると、真剣を向けてこちらにゆっくりとやって来た。その目は、どこまでも感情のない瞳をしていた。

 

 

「と…も…ぇ…」

 

 

 その最後の言葉を遺して、清里は事切れた。否……剣心が首筋向けて剣を突き立て、息の根を止めたのだった。

 なのに、剣心は激昂するでも悲しみを見せるわけでもなく、ただずっと変わらない無表情で、彼の死体を見下ろしていた。

 ルイズは、何も言えなかった。ただショックで…放心するしかなかった。限界が来たのか、遂に腰を抜かして剣心を見上げていた。

(何…で…こんな…)

 そしてルイズは見た。彼の左頬に、一つ目の傷が出来ていることに。

(どう…して……ねぇ…何か…言ってよ…)

 それを最後に、ルイズは意識を手放していった。

(ケン…シン……)

 鋭く冷たい、彼の表情をその目に焼き付けながら…。


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