鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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今回のおまけは今やっている無限書庫編が終わったあとか、その次くらいにやる本編の予告です。




七十九話

とりあえず、俺はジークちゃんをつれて本棚の影に隠れることにした。

 

「ぎゅ~……♡」

 

弱冠うっとおしくなってきたぞ、この娘。

これがジークだったら一本背負いなのに。本棚目掛けて叩き付けるのに。

 

「……ま、今はそれどころじゃないしな」

「ん? おにいちゃん、どーしたん?」

「何でもないよ」

 

さて、少し整理しようか。

現在、クロはヴィヴィオちゃんの拘束魔法を破りガチ戦闘中だ。

しかし、やはりというか天使はつおい。かなり圧されてる。

 

「……あれ? でも、確かヴィヴィオちゃんは封じたはずじゃ?」

 

ストラトスちゃんもいるし。

瓶詰め魔法を何とか解除したってことか?

 

「……となると、かなり不利だな」

 

クロは一人、あちらにはヴィヴィオちゃんにストラトスちゃん、そして見知らぬガキ(たぶんヴィヴィオちゃん側だろう)がいる。

はっきり言って勝ち目はない。無力化されるのも時間の問題だろう。

 

「……と、なればやることは一つ」

 

あとはタイミングを……お?

ヴィヴィオちゃんがクロの手を取って何かを話している。

まさかもう終了……と思いきや。

 

 

 

「ーーーーブチ抜けェーッ!」

 

 

 

突然ハリーの声が聞こえ、ヴィヴィオちゃんとクロの方に光が放たれた。

 

「ーーーーって、ヴィヴィオちゃん!?」

 

無事か!?

……どうやら寸前で避けていたようだ。良かった。

そして光の放たれたもとを見るとハリーやその取り巻き、デコ助にシャベル……あと何か知らない娘がバリアジャケットを装着し、クロと対峙していた。

 

「あ、やばいこれクライマックスだ」

 

俺も動かなくては!

この期を逃したら後はないッ!

 

「あっ、おにいちゃん!? どこいくん!? まってや~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーー待ってくださいってば! 今、私がファビアさんと話してるんですから!」

「い……いや、そりゃそうなのかもしれねーが……」

 

かかったなアホが!

 

稲妻十字(サンダークロス)……じゃなくて、確保ぉーッ!」

「なっ……ち、チヒロっ!?」

「チヒロ先輩っ!?」

 

後ろからクロを羽交い締めにする。

 

「俺はッ! 最初からこの機会を伺っていたッ! 油断したところを拘束できるようになッ!」

 

大声で強調する。

 

「ーーーーハッ!? ルーテシアさん、今です!」

「えっ? あ、あぁ、そっか!」

 

突然の俺の出現に一同ぽかんとするなか、いち早く再起動(リブート)したストラトスちゃんが叫ぶ。

それに反応して、先ほどの見知らぬガキが近寄ってきてクロに手錠をかけた。

 

「魔力錠オン!」

「あ……!」

 

クロの変身魔法が解けた。

よし。計画通り……!

 

(……リオちゃん、あれ本当かい?) (あの油断したところをっていうの)

(そんなわけないじゃないですか!) (だって先輩ですよ!?)

 

聞こえてんぞ。

君らあとで殺す。

 

「ジーク! ヴィヴィ! 無事ですか!?」

 

何てやっている間にヴィクターとそのペアであるコロナちゃんまで到着。これはもうチェックメイトだな。

ていうか。

 

「おい、ヴィクター。ヴィヴィオちゃんについてはいいとして、お前はジークの心配しかしねえのかよ」

「あら、他はともかくあなたはそう簡単にやられたりしないでしょう? 守るべき存在である初等科組は()()()()()()()()()()()()()()()()()なのですから。心配すべきはジークが無事かどうか(自分のおもちゃが壊されていないか)だけです」

「中等科組とか他の連中は?」

「自己責任ですわ」

 

なるほど。一理あるな。

……っていうかジークいなくね? ジークちゃんならいるけど。

ま、どうでもいいか。

 

「さぁて、と」

 

クロについては見知らぬガキ……確か、ルーテシアとか呼ばれてたか? そいつに任せておいて……。

 

「ヴィヴィオちゃん、大丈夫? 酷いことされなかった?」

「……先輩のばかっ!」

 

な、なぜにっ!?

 

「ヴィ、ヴィヴィオちゃん……? いったい何で怒ってーーーー」

「かくほぉーーっ!!!」

「ーーーーって、うおっ!? ジークちゃん!?」

 

いきなりジークちゃんが俺へ飛び付いてきた。

 

「しかし甘ァいッ! 勢い生かして一本背負いっ!」

「なんでやぁぁぁぁぁあああああっ!?」

 

ヴィクター目掛けて投げ飛ばす。

正式な背負い投げは地面に叩きつけるんだけど……こっちに投げるべきだろう。

 

「……ま、まさかジークですの!? まぁまぁまぁまぁ、何て弄り……もとい可愛らしい姿に……! 安心してくださいな、ちゃんと受け止めてさしあげーーーーあら? 靴ひもがほどけてますわ。結ばないと」

 

ーーーージークちゃんは靴ひもを結ぶために屈んだヴィクターの後ろの本棚……ではなく、そこにいたチャイナ服の少女に激突した。あのチャイナ服誰?

 

 

 

 

 

 

「あ、バリアジャケットだから靴ひも関係ありませんでしたわ。てへっ☆ ……って、ウ〇コ踏んじゃいましたわ」

「ぷぎゃッ!?」

 

ジーク……憐れな子。

 

 




おまけ
《【予告】“V” has come to》


この作品が始まってから約6ヵ月。





僕たちは教えてもらった。





友を弄ぶ快感を。





見つかった時のスリルを。





反省しない心がゲスの必需品であることを。





僕たちは教えてもらった。





数多くの生き様を。





だが僕たちはまだ教えてもらっていない。
















誇り高き雷帝が、なぜゲスに堕ちたのかを。
















この作品最大の謎に、決着がつく。


「6ヵ月間、待たせましたわね」


ヴィクトーリア・サーガ、近日公開。




“V” has come to(“V” が 目 覚 め る) .



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