鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
「ヴィクター! 遊びに来たでー!」
ジークに『無理やり』連れられて、ヴィクターことヴィクトーリア・ダールグリュンの屋敷へと来ていた。
もう一度言うが『無理やり』だ。
別に騙されてなんかないし。
「あらジーク、いらっしゃい」
ヴィクターは屋敷の庭でティーセットを準備していた。
傍らには執事のエドガーもいる。
「……よう。久しぶりだな、へちゃむくれ。元気にしてたか」
「えぇ、それはもう。あなたこそ元気そうでなによりですわ、ドブネズミ」
……こいつ。
「おー、元気有り余りすぎて困ってるくらいだぜ。この前なんて元気すぎて4時間くらいお尻カスタネットしてたわ」
「私は5時間ですわ」
「あ、悪い間違えた。6時間だったわ」
「すごいですわね。『毎日』5時間の私では到底足元にも及びませんわ」
あはははは。
プッツンしたぜ。
「てめぇ! やんのかコラ!」
「上等ですわ。どこからでもかかってきなさい」
「ちょ、二人とも喧嘩はやめてや!」
ジークが慌てて止めてくるが関係ない。
「てめぇはもう少し可愛くできねぇのかよ!」
「あら、十分可愛くしてると思いますけれど」
「内面と外面だけな!」
「……それって全部やないの?」
どうしてこいつは可愛くできないのか。
ジークに紹介されて初めて会ったときからこんな感じだった。
「あなたこそ、もはやひた向きなまでのその失礼な態度をどうにかしたほうがいいですわよ」
「余計なお世話だ! 『ヴィクターはチーくんのことが大好きだにゃん』って言ったら考えてやるよ」
「ヴィクターはチーくんのことが大好きだにゃんっ♡ ……これでいいかしら?」
「……も、もう一回…………あ、録音させて」
録音させてくれた。
「むぅ……二人って仲ええよね」
「はぁ? 何言ってんだ急に」
ティーパーチーがスタートしてしばらく経ってから、突然ジークがそんなことを言い出した。
ジークは頬をどんどん膨らませていく。
「ズルい……」
「なぁヴィクター、こいつ何言ってんの?」
「さぁ?」
ヴィクターは我関せずとでも言うかのように紅茶を楽しんでいる。
仲良いって言われても……
「こいつとは妄想だけの関係だぞ?」
「も、妄想!? 妄想ってなんや!?」
「こらチヒロ、言葉に気を付けなさい。それではまるで私が毎日あなたの妄想をしているようではありませんの」
俺の言葉を聞いたジークがわめき散らしていると、それまで紅茶を飲んでいたヴィクターが話に入ってきた。
「せいぜい週に5回程度ですわ」
「まじか。俺、週4だわ」
週6まで回数増やすか。
「……やっぱり仲ええやん」
「そうか?」
「そうでしょうか?」
そんな意識全くないけどな。
気が合うとは思うけど。
「やっぱり……もっと積極的に……」
「おいジーク? 何ぶつぶつ言ってんだよ」
真っ赤になって俯くジーク。
ぶつぶつ何かを言っていたかと思ったら何かを決意したかのように顔を上げた。
「ーーーーじ、ジークはチーくんのことが大好きだにゃんっ!」
「あ、ヴィクター。お前のガブリアス頂戴? さっき捕まえたケムッソやるから」
「ガルーラならいいですわ」
「む、無視せんといてっ!」
※エドガーもいるよ!