鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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いつもよりちょっと多め。
糖分も……いや、糖分はかなり多め。





七十二話

「あ、チヒロ! 起きたん? よかったぁ……意識ないまま運び込まれてきたから心配してーーーー」

「死ねぇぇぇぇぇえええええッ! マジカル八極拳の恐ろしさを教えてやらぁぁぁあああッ!」

「ーーーーって、ちょっ!? 何!? 何なん!?」

 

ヴィクターとともにみんながいるところに行くと、普通にジークが話しかけてきた。

 

「わかってんだぞ、テメェ! 俺のこと殴ってここ連れてきたのテメェらしいじゃねえか!」

「えぇっ!? う、(ウチ)やないよっ!?」

 

こいつ……しらばっくれる気かッ!?

 

(ち、ちょう、ヴィクター!)(これどういうことなん!?)

(……恐らく気絶させた時の影響で)(混乱しているのでしょう)

(えぇ……!? )

 

何をこそこそ喋ってるッ!?

まさか……やはりヴィクターも共はーーー

 

「ーーーーおいおい、チヒロよぉ、なに怒ってんだよ?」

「……ハリーか。邪魔するならお前もまとめてーーーー」

 

ぼふっ、とハリーに抱き抱えられた。

 

「ふあっ!? ば、番長!? なにしとん」

「ジーク、少し黙ってろ。……よ~しよし、落ち着けチヒロ」

 

ハリーが頭を撫でながら語りかけてくる。

 

「チビッコどももいるんだ、何に怒ってんのか知らねーけど落ち着けって」

「ふー……ふー……!」

「ば、番長そこ代わって! (ウチ)が……!」

「ガルルルルルッ!」

「な、なんでやぁ!?」

「だから邪魔すんなって! よーしよしよし…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「見苦しいところをお見せしました」

 

ハリーに宥められること約10分、なんとか落ち着くことができた。

 

「い、いえ……先輩らしいと言えば先輩らしいですし……」

 

それはどういう意味かな、ヴィヴィオちゃん。

可愛いから許す。

 

「ヴィヴィオちゃ~ん」

「きゃー♪」

 

ヴィヴィオちゃんに後ろから抱き付く。

……娘に欲しい。

 

「あっ…………ぅぅ…………!」

「……なに? どうかしたの、ミウラちゃん?」

 

沈んだ表情だけど。

財布でも落としたとか?

 

「……じぃぃぃぃ」

「ジークこっち見んな」

「なっ、なんでやぁ!?」

 

うっとおしいから。

 

「ーーーーはーい、みなさん! 行きますよー!」

 

俺の腕の中からヴィヴィオちゃんが声をあげてみんなを先導する。

俺はヴィヴィオちゃんに引っ付いたままなので、数人がぎょっとして見てくるけど関係ない。ヴィヴィオちゃん好き。

 

「ここが……無限書庫?」

「いえ、ここは一般解放区です!」

「目的地はこの先ですよ~!」

 

再び先導されて、受付のようなところにやって来る。

……あ、ヴィヴィオちゃんが俺の腕の中からするりと出ていってしまった。振り向き、片目を瞑りながら舌を出す。

………………この小悪魔天使ちゃんめ……ッ!

 

「いらっしゃい、ヴィヴィオ」

「こんにちは~♪」

 

受付嬢らしき人たちと挨拶を交わすヴィヴィオちゃん。

 

「未整理区画の調査だよね? 一般人のお友逹がいるってことだったけど……」

「えーと、一般人っていうか……」

 

ちらっと後ろを振り返り、ヴィヴィオちゃんは受付嬢たちに言い放った。

 

「インターミドル上位選手(トップファイター)のみなさんです!」

「ど~も~!」

 

…………なぁ。

 

「何でお前キメ顔なわけ? デコ助」

「……私だって上位選手なんですよ!?」

「だから?」

「もういい……もういいです……ごめんなさいでした…………!」

 

な、泣くなよ……。

 

「わ! テレビで観た子がいるッ!」

「さ……サインもらっていいかな?」

「だ、そうだよ、ジーク?」

(ウチ)ですかっ?」

 

いらねー。

 

「あと八神司令もいらっしゃいます」

「こんにちは~」

「お……お疲れ様ですっ!」

 

慌ててあいさつする受付嬢たち。……あ、八神司令は上司になるからか。

その時、受付嬢の片割れと目があった。

 

「あれ……? チヒロくん……!?」

「ん? ……あぁ、あんた確か……」

「先輩、お知り合いですか?」

 

みんなの視線が俺に集まる。

 

「あ、いや……なんだ、親父の知り合い? っていうか部下?」

 

諜報班だとか何とかって……。

 

「えっ、チヒロくんのお父さんって局員なんか?」

 

八神司令が聞いてくる。

 

「え? あ、いや、違いまーーーー」

「まぁ、そんなとこですわ」

 

ヴィクターが前に出てきて俺の言葉を遮った。

そしてみんなに聞こえないような小声で一言。

 

「いいですか? あなたのお父様のことをむやみやたらに喋ってはいけません。わかりましたか?」

「……わ、わかった」

 

変な迫力が……なんか質問とかもできる雰囲気じゃねえし。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーでは、こちらのゲートから入ります! 書庫の中は無重力ですので慣れていないと気分が悪くなる方もいらっしゃいます。そういう時はお伝えくださいね!」

 

みんなで声を揃えて返事をする。

 

「それでは古代ベルカ区画に…………ゲート・オープン!」

 

 

 

 





もちつけ……もちつくんだ……。
もう少ししたらクズくな(



おまけ
《THE ROAD TO “INFINITY WAR” ※委員長視点》


「私ね……チヒロくんが好きなの」

双子の妹から告げられたことに、私はびくりと体を大きく震わせた。

「お姉ちゃんがチヒロくんを好きなことは知ってる。けどね、少女漫画や小説のヒロインみたいにお姉ちゃんのために身を引くことなんてできないよ」

唇が乾いてうまく話せない。
……ううん。話そうとしても、言葉が突っ掛かる。

「お姉ちゃんのことは大好き。お姉ちゃんが不幸になるようなことはしたくない。だから一時期は身を引くことも考えたけど……やっぱりできない」

顔をまっすぐ見ることができない。

「……ごめんね。でもそういうことだから……」

嫌だ。
嫌だよ。


「どっちが勝って(実って)負けて(フラれて)も恨みっこなしだからね!」


篠崎くんを取らないで……!












「ふーん……チーくんを巡っての女の戦いかぁ……。面白そうだねぇ……! まぁ、ボクの大切な大切な息子の取り合いみたいだし、少し引っ掻き回しちゃおうかな♪ あ、ヴィクターちゃんも呼んであげないと! こんな面白そうなこと、独り占めじゃあ勿体ないからね……!」




……Continue to “THE INFINITY WAR” .


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