鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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お待たせしました。
今日はどうしてもこの時間に投稿したくて遅れました。

賛否が分かれる衝撃の展開。
でも、個人的にはここでこれが来なくてはいけない。そんな風に思っています。

サブタイをつけるなら『もう一度ここから』。






七十話

「……よお」

「あ、チヒロさん……先程ぶりです」

 

さすがに見過ごすことができなく、うつ伏せに倒れるストラトスちゃんに話しかける。

 

「……何してんの?」

「転びました。どうもチャンピオンとの試合のダメージがまだ残っていたらしく、足がもつれて……」

 

なるほど。まぁ今日だしな、試合。

つか……

 

「何でここに? 八神司令ん家に泊まってんじゃねえの?」

「あ、いえ……着替えを取りに」

 

あぁ、そっか。

 

「送ってもらえばよかったのに」

「いえ、さすがにそこまで迷惑は掛けられませんから……」

 

俺には掛けまくってたけどな。

いや、まぁ、それよりさ。

 

「……起きれば?」

 

いつまでうつ伏せで話してるんだコイツは。

 

「……そうですね」

 

俺の言葉を聞いてやっとストラトスちゃんはゆっくりと起き上がる。

……ん、膝を擦りむいてるな。

 

「はぁ……」

 

仕方ねぇな……。

財布を漁り、絆創膏を取り出す。

 

「ほれ、使え」

「……ありがとうございます。女子力高いですね」

「引き千切るぞクソガキ」

 

ナメてんのか、コイツ。

 

「ハリーのやつが持ち歩けってうるせーからだよ」

「“ハリー”って……砲撃番長(バスターヘッド)ですか?」

「そうそう。アパートの隣の部屋に住んでるからな」

 

もはや同居レベルだけど。

 

「知りませんでした……くっ……!」

「悔しがる意味が分からないから。いいから絆創膏貼れよ」

 

馬鹿かお前は。

 

「…………私たちは」

 

ん?

 

「もしかすると私たちは、出会いかたが間違っていたんでしょうね」

「出会ったこと自体が間違いだろ」

 

何いきなり語りだしてんの?

 

「いえ、間違いなんかじゃないです」

「何で分かんだ、そんなこと」

「何て言うか……本能的にでしょうか?」

 

獣かお前は。

 

《間違いなく遺伝ですよ……獣の血族です、彼女は……!》

 

だよな。

俺もそう思った、謎の声よ。

 

「……よし」

 

ストラトスちゃんが絆創膏を貼り終え、立ち上がる。

 

「助けていただいてありがとうございました、チヒロさん」

「おう。どういたしまして、ストラトスちゃん」

 

……ふと、ストラトスちゃんの口から零れた“もしも(if) ”の話を考えた。

もしも……出会い方が違えばコイツもオモチャになったのだろうか。

 

「……まさかな」

「どうかしました?」

「いや、なんでもねぇ」

 

そういやコイツ……最近まとわりついて来てないな。

 

「あー……最近うち来ないよな、お前」

「あ、はい。……ある時ふと冷静になったんです。『あれ? これはいわゆるストーカーではないか?』と」

 

いわゆらなくてもストーカーだよ。

 

「だからその……ご迷惑をお掛けした……といいますか……」

 

恐怖も与えてくれたな。

 

「……あの……申し訳ありませんでした!」

 

……う~む。

今までが今までたから素直に信じていいものなのか。

 

「あと……」

「あん?」

「ずいぶんと遅くなってしまいましたが……あの時は助けていただいてありがとうございました」

「……おう」

 

……ま、今後見極めていけばいいか。

信用(オモチャに)できるかどうか。

 

 

 

 

 

 

 

その後、ストラトスちゃんと別れたあとにヴィヴィオちゃんから連絡があった。

 

『今日、うちに泊まっていってくれませんか? 私もフェイトママもいないので、なのはママが寂しいかもしれないので』

「あー……了承取れればいーーーー」

『あ、もう取ってあります!』

「あ、そうなの? 早いね」

 

 

(……よし。これで少しは進展するかな……?)

 

 




ストラトスちゃん、ストーカー脱却。
きっとこれには賛否が分れるでしょうが、これ自体は“鮮烈なのは~”が始まったときから決まっていました。


ストラトスちゃん(のストーカー化)から始まり、ストラトスちゃん(の脱ストーカー)で終わる。


アインハルト・ストーカーが好きだった読者様、申し訳ありません。
ですがまだまだ壊れキャラは出てくる予定ですので、どうか最後まで生暖かい目でもってお付き合いいただけると嬉しいです。

でもストーカー枠はまだいますから。司書長とかあの娘とかあの娘とかあの娘とか。


まぁ、というわけで。
これにて、






第一部完ッ!




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