鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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六話

 

今日は学校が創立記念日で休み。

ストラトスちゃんは普通に学校があり、俺の前には現れない。

なんて素晴らしい日だ! ……と、思っていたのに。

 

「お願いやぁ! 何でもええから食べさしてぇ!」

「るっせぇ失せろ乞食(こじき)女! うちは飯屋じゃねぇって何回言えば理解すんだてめぇは!」

 

今日はこいつに襲来されて気分は下々。

針なんて落とせない。

 

「お願いや、チヒロ! お腹空いて倒れそうなんや!」

「知らんがな! ビリビリお嬢様んとこ行きゃいいだろ!」

「チヒロがええの!」

「訳分かんねぇこと言うな!」

 

ジークリンデ・エレミア。

それがこの乞食女の名だ。

前に行き倒れていたのを助けてやったらうちの食料品に寄生してくるようになった。

 

「チヒロぉ!」

「泣きついたって無駄だぜ無駄無駄!」

 

今まではなし崩しに冷蔵庫の中を食い尽くされて来たが、今日は違う。

 

「何を言ってもノーだ! 今日という今日は絶対にーーーー」

「おっぱい揉ましてあげるから!」

「ーーーーとりあえず上がれよパスタでいいか?」

 

 

 

 

 

 

「ぷへぁ~……ごちそーさま、や」

 

結局、冷蔵庫の中は食い尽くされてしまった。

パスタが出来上がるのを待てなかったらしい。ちなみにパスタも全部食べていた。

……まぁどうせストラトスちゃんが買ってきてくれるからいいけどさ。

 

「……最近ストラトスちゃんの行動を受け入れ始めてる自分がいるから怖いよな」

「ん? なんか言うた?」

「いや、なんでもない」

 

そんなことよりも。

 

「おい、揉ませろよ」

「ん、ええよ」

 

了承も得られたので早速……

 

「ーーーーヴィクターのやけど」

「………………………………………………………………………………………………はぁ?」

 

……………………はぁ?

 

「今日はそれで来たんよ。一緒にヴィクターのとこ遊びに行こ?」

「待てよおいちょっと待て」

 

何を言ってるんだこいつ。

 

「おっぱいは?」

「ヴィクターの」

「お前のは!?」

「えっ……うーん……ち、ちゅうしてくれたら考えても…………って、ホンマにやろうとしなくてええから! ちょ、ま、すとっぷ! すとっぷやって!」

 

すっかり騙されてしまった。

もう二度とこいつは信用しない。

 

「……こ、こういうのはちゃんと段階を踏んでやな…………」

「……はぁもうお前帰れよ」

「あ……そんな怒らんといてよ」

 

別に怒ってないし。

 

「激おこなだけだし」

「怒ってるやん!? なぁチヒロ、機嫌なおして?」

 

ジークが後ろから抱き付いてくる。

 

「やめろ暑苦しい」

「……嫌?」

「嫌だね」

 

むー、と唸ってジークはさらに抱き付きを強めてくる。

普通に苦しい。

 

「なぁ、ヴィクターのとこ行こ?」

「嫌だ。せっかくの休日なんだ。ゆっくりしたい」

「そんなこと言わずに!」

 

どんなことを言われても俺はーーーー

 

「おっぱい揉ましてあげるから!」

「何してるさっさと行くぞ!」

 




次回に続く。

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