鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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今回もいつかと同じ『静』なる回。
ハイエロファント・グリーンです。半径20メートルです。


つまり……こんなこと言っちゃアレだけど、笑える部分が少ないかも。




六十四話

アピニオンちゃんで遊んだあと、とあるアナウンスが流れた。

なんでもヴィヴィオちゃんが試合のアクシデントで医務室に運ばれたとか。

 

「ここか?」

 

先ほどスタッフに聞いた部屋の前に到着。

……とりあえずノックしてみよう。

 

『はーい!』

 

ノックしてすぐに返事があった。

 

「失礼しま~す……」

「あぁ、チヒロくん」

 

中にいたのはなのはさんだった。

ベッドではヴィヴィオちゃんが眠っている。

 

「ヴィヴィオちゃん、大丈夫なんですか?」

「うん。軽い脳震盪(のうしんとう)と体力と魔力の消耗による一時的な昏睡だって」

 

……それは本当に大丈夫なのか?

 

「うん、知り合いの医者に診てもらったから」

 

ヤブ医者じゃねえのか、そいつ。

 

「ま、まぁなんにせよ、無事なら良かったです」

「うん。ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくするとヴィヴィオちゃんが目を覚ました。

 

「ヴィヴィオ……起きた?」

「ヴィヴィオちゃんおはよー」

「ママ……クリス……? それに先輩まで……」

 

ヴィヴィオちゃんはゆっくり周りを見回す。

 

「そっか……わたし負けたんだ」

 

ヴィヴィオちゃんはかなり落ち込んでいるようだ。

負けちゃったのか……頭を撫でておこう。

 

「あ……えへへ」

 

微笑んでくれるも、その顔にはやはり落ち込みの色が見られる。

誰だ、俺の可愛いヴィヴィオちゃん(天使)を負かしたヤツぁ。

 

「わたし……いい試合できてた?」

「うん。会場も盛り上がってたよ。格好よかった」

「そっか……」

 

……俺、見逃しちゃったんだよなぁ。

 

「そういえばヴィヴィオちゃんの対戦相手って……」

「あぁ、それは……」

 

 

ーーーーコンコン。

 

 

ヴィヴィオちゃんが対戦相手について話そうとした瞬間、扉がノックされた。

入ってきたのは……

 

「ぐすっ…………すいません、なのはさん…………ボクのせいでヴィヴィオさんがーーーー」

「ヴィヴィオちゃんいじめたのは貴様かァァァァアアアアッ!!!」

「えっ、えぇぇぇっ!? せ、先生っ!?」

 

 

 

 

 

 

ミウラちゃんに襲い掛かろうとしたした直後、なのはさんとヴィータさんに止められた。

ヴィータさんはミウラちゃんのセコンドらしく、ヴィヴィオちゃんの安否確認の付き添いに来ていたらしい。

 

「な、なんでヴィータちゃんはチヒロくんの膝の上に座ってるの?」

「コイツはあたしかミウラを抱えてりゃ大人しくなるからな」

「……ごめん、全然わかんない」

 

今はリニスがいるからミウラちゃんはいらないし。

ヴィータさんは……賛否が別れますな。

 

「で、ヴィヴィオの様子は? ……って、聞くまでもないか」

 

いまだにぐずるミウラちゃんをヴィヴィオちゃんがあやしている。

……ミウラちゃんのが年上だよな?

 

「あっ、そうだ……ミウラさん! わたし、リオの試合を見に行かなきゃなんです!」

「あ……えと……?」

「一緒に見に行ってもらえませんか?」

 

そして気遣いもできる!

 

「あ……先輩もご一緒にどうですか?」

 

俺の存在も忘れてない!

 

「行く!」

「おう。行ってこい」

「しばらく見ないうちにヴィータちゃんはいったいどこのポジションに着いたの……?」

 

 

 

 

 

 

「ところで『リオ』って誰?」

 

ヴィヴィオちゃんとついでにミウラちゃんを支えながら試合会場へと向かう廊下を歩いている。

 

「えっ!? り、リオですよぅ! リオ・ウェズリー」

「……んん? ミウラちゃん知ってる?」

「ぼ、ボクは知ってますよ……?」

 

まぁいいや。

 

「で? 対戦相手は?」

「あ、えっと……『砲撃番長(バスターヘッド)』のハリー選手です!」

「えっ? ハリーなの?」

「せ、先生の知り合いなんですか?」

「あー……まぁな」

 

マジかぁ。

 

「じゃあ……ヴィヴィオちゃんには悪いけど、ハリーが勝つな」

「……それはまだ分からないですよ! リオだって強いんですから!」

 

うーん……ヴィヴィオちゃんのチームメイトを想う気持ちはわかるけど……。

 

 

 

 

ーーーーしかし、現実はやはり非情。ハリーの勝利で幕を閉じた。

 

 




ヴィヴィオちゃんのチームメイト:私の出番ッ!?


おまけ
《ヨメンジャーズ・アッセンブルド! エピローグ ※委員長視点》

戦いを終え、早読みちゃんの説得に成功した私たちはミッドチルダに戻ってきていた。

「ったく、ワケわかんないわよ。気がついたら戦いは終了してるわ委員長(アンタ)早読みちゃん(コイツ)が抱き合ってるわ」
「あ、あはは……」

苦笑いしか出てこないよ……。
件の早読みちゃんは私と手を繋ぎ、キョロキョロと辺りを見回している。

「さて、皆さん」

妹さんが私たちを呼ぶ。

「今回は本当にお疲れさまでした」
「お、『お疲れさまでした』じゃないですよ! お願いですから私にも説明を……!」
「黙ってろ」
「は、はひぃぃ……!」

……タスミンさんは妹さんに何かしたのかな。

「さてーーーー」
「ちょっと待ちなさい」

妹さんが何かを言おうとしたのをツインテールさんが止めた。

「何を話すつもりなのかは知らないけど、アタシはここで抜けさせてもらうわ。アタシは別にアンタたちの仲間になったわけじゃないんだから」

ツインテールさんは私の方を見た。

「アンタとはいずれ決着をつける。チヒロは渡さない……ってべべべ別にチヒロのことなんてどうも思ってないんだから!」

それだけ言ってツインテールさんは行ってしまった。

「……はぁ、なんだかよく分かりませんでしたが……私たちも帰りましょうか」
「な、何か言おうとしていたんじゃないんですか?」
「色々と疲れました。また後日にします」

じゃあ……解散かな。

「あ……そうだ」

タスミンさんが私を見た。

「妹さんはお元気ですか?」
「あ……う、うん。元気だよ」
「……義姉様(ねえさま)、妹いるんですか?」
「うん。双子なんだ」

よろしく言っておいてください、とタスミンさんが言う。

「じゃあ義姉様、私はこの方を送り届けなくちゃあならないので」
「ひっ! ひ、一人で帰れます!」
「あぁん……!?」
「……一緒に帰りますぅ」

妹さんとタスミンさんも行ってしまった。

「じゃあ……私たちも帰ろうか」
「キュルキュル!」


ーーーーこうして、私たちの初共闘はあっけなく終わった。



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