鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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おまけ
《実は……》

初期設定段階、チヒロは魔導師だった。
えげつない戦術をとるものの、ゲスではなかった。




いつもよりちょっと多めになってます。



五十六話

フローリアン姉妹から元の時代に帰る際の話を聞かされた。

二人(+ハニーたち)が元の世界に帰る途中で俺たちを未来へと連れていくらしい。

そして、何らかの影響を及ぼさないように記憶は消去されるんだとか。

 

「えぇー!?」

「せっかく出会えたのにぃ……」

 

後者について何人かは不満を漏らしていたが……まぁ、仕方ないことだ。

それから、二人には何度も何度も謝られた。

一応、俺は『被害者』になるらしいからな。

 

「ーーーーそれでは、転送を開始しまーす!」

 

そろそろ時間のようだ。

 

「何だか寂しくなるね、フェイトちゃん」

「……そうだね」

 

こっち見んな。

 

「私たちは……私は記憶消去しませんよね!? ダーリンのことを忘れるくらいなら私は自害しますーーーー」

 

どうぞどうぞ。

 

「ーーーーダーリンを道連れにして!」

「おい!」

 

こいつ……!

 

「ねぇ……ヒロヒロぉ……」

 

レヴィが話しかけてきた。

 

「なんだよ?」

「もう会えないのかなぁ……? ボク、ヒロヒロともっとゲームしたいよ」

 

んーむ……。

 

「『神々の黄昏オンライン』」

「え?」

「俺が今、元の時代でやってるオンラインゲームだ。これからお前のいく場所からできるのかは知らないけど……」

「やる! 絶対にやるから、また一緒にゲームしよう!」

 

まぁ……タイムマシンもどきが作れるくらいのフローリアン姉妹(あの二人)に頼めばできるのかもな。

キャラ名を教え、レヴィの小さな手と指切りをした。

 

「やくそく!」

「あぁ、約束だ」

 

レヴィは大喜びしてハニーたちの方へと駆けていった。

入れ替わるように、今度はユーリが近寄ってくる。

 

「仲、良いんですね」

 

少し不機嫌そうだった。

 

「まぁ、な。友達だし」

「そうですか」

 

少しの間、お互いに無言になる。

そしてユーリは真剣な表情になり、俺に言った。

 

「多くは言いません。一つだけ」

 

ユーリはそこで1度区切り、そして。

 

「ーーーー必ず。必ず会いに行きます」

 

そう一方的に告げて、ユーリは戻っていった。

王様は……俺を睨み付けてる。睨み返してやった。

 

「ひっ……!」

 

……あぁ、そうだ。

俺も話をしなくてはいけない人がいるんだった。

 

「スクライアさん」

「ん? なんだい、えっと……シノザキさん?」

 

せめて、なのはさん(我が同志)だけでも救ってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……スクライアさん、なのはさんが好きなんスよね?」

「ち、直球だね…………うん、好きだよ」

 

スクライアさんも案外直球だな。

 

「なら積極的に行かないと。……あんまり未来のことは言えませんけど、後悔しますよ」

 

なのはさんが。

 

「……そう、だよね。積極的に行かないとダメだよね! ありがとうシノザキさん!」

「わかってくれたならそれでいいんスよ」

 

ふっ……いい仕事したぜ。

同志を失うわけだが……仕方ない。ストーカー被害が減るのならそれでいいさ。

 

 

 

「ーーーーよし、まずは双眼鏡と盗聴機を買ってこよう!」

 

 

 

「……はい?」

「サーチャーも仕掛けるけど……やっぱり自分の目で見ないと安心できないもんね」

 

えっ?

えっ? なに? なんなの?

 

「い、一体何を!?」

「えっ? 何って……『積極的に』なのはを観察して好みを調べるんだよ? あとは万が一の時に守ってあげたり……」

 

いやそれストーカー………………あれ?

いやいやいや……待てよ。

 

「あ、記憶消されちゃうんだっけ? 危ない危ない……メモしておこう。……っと、そうだ。本当に君には感謝してるよ! ありがとうね!」

 

まさか……まさかこの人がストーカー化したのって……!?

 

 

『転送始めるよー!』

 

 

フローリアン姉の声が聞こえたと思ったら体が光だした。

 

「えっ!?」

「あぁ、時間なんだね。シノザキさん、未来の僕によろしく。きっと仲良くなれるよ、僕たち」

 

いやちょっと待って!

マジで! 30秒でいいから!

 

『それじゃ、行きまーす!』

「ちょ、まっーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

俺……何してたんだっけ……?

確か……インターミドル開会式の帰りで…………カレー作ったような…………カレー?

そんでなんか……なのはさんに謝らないといけないようなことした……?

何だろう、思い出せない。

 

「あれ?」

 

ふと、時間を見ようとして通信端末を見るとメールが来ていた。

スカさんから?

 

「何々? 『久しぶりだね。君のアドバイスのお陰で娘と仲直りできたよ。それどころか、最近妙に私を気遣ってくれるようになったんだよ』……?」

 

なるほど、()()()()扱いになったか……。

ざまぁ。

 

「ん? 『P.S 君に頼まれていた私の極秘研究所のマップを一緒に送っておいたよ』? ……なんだそれ?」

 

そんなの頼んだ覚えは……。

 

ーーーーにゃぁ。

 

「ん?」

 

いつの間にか足元に猫がいた。

俺の足に顔を擦り付ける。可愛い。

 

「……ま、いっか」

 

頭の中をぐるぐるしていたことは全て忘れよう。

きっと気のせいだ。

 

「よぉし、この猫飼おう!」

 

あのアパート、ペット大丈夫だったよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

ーーーーおかえりなさ…………あ、リニスだぁー♪ でもなんでぇー?

 

猫の名前はリニスに決定した。

 

 




おまけ
《未来組転送時のアースラ》

「艦長! 今、闇の書の欠片の反応が!」
「なっ!? いったいどこから!?」
「そ、それが……反応はここで、未来組転送時に一瞬だけ検知されて……。恐らく未来組とともに転送されてしまったようです」
「そ、そんな……!?」



※おまけ《襲い来る、新たなる試練》は、委員長の委員長が成長したため、下着を買いに行くのでお休みします。

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