鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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おまけ
《実は……》

設定段階では篠崎姉妹は四人いた。




五十三話

あの後、食堂へと戻りカレーを一皿持ってきた。

 

「ほれ」

「……これは?」

「うん……カレーだ」

 

金髪娘は恐る恐る受け取ると、一緒に手渡したスプーンで一口よそる。

それをゆっくりと口の中に含んだ。

 

「どうだ?」

「……おいしいです」

 

当然だ。誰が作ったと思ってる。

そしてどれほどの量を一緒に煮込んだと思ってる。

 

「あなたが作ったんですか?」

「あぁ」

「……すごいですね」

 

ふっふ~ん!

 

「……私には破壊しか産み出せません」

「何だそれ?」

 

意味が分からない。

 

「……あなたが作ったこれは、きっと大勢の人を喜ばせることができるのでしょう。ですが私が作るものは……人の心を傷付ける」

「はぁ……そうなのか」

 

……え? 何なの?

厨二劇場始まったの?

 

「あー……でも『壊す』のって全部が全部悪い訳じゃないんじゃないか?」

「ーーーーえっ」

 

金髪娘は弾かれたように俺を見る。

 

「例えばさ、馬鹿げた古い()()()()とかは壊した方がいいだろ?」

「……え、えっと……そういう『壊す』じゃなくて……。こう、物理的と言いますか……」

 

えっ?

 

「じゃあ新しいビルを建てるなら元々あったビルを壊す必要がある、とか?」

「た、確かにそれは物理的ですが、そうじゃなくて……」

 

これも駄目か。

じゃあ……。

 

「えーっと……」

「……ふふふっ」

 

唸る俺を見て金髪娘が小さく吹き出した。

なんだ?

 

「あっ……ごめんなさい。何だか可笑しくて……」

「……変なヤツ」

 

コイツの笑いのツボはようわからん。

 

「……ありがとうございました。何だかちょっと元気が出ました」

「そもそも何か落ち込んでたのか?」

「そう……ですね。落ち込んでたのかもしれません」

 

自覚なし?

 

「完全に呑まれてしまう前に……私が私でなくなる前に、貴方に出会えて本当に良かった」

「……はぁ?」

 

訳のわからない言葉を言い、金髪娘は立ち上がる。

 

「カレー……ご馳走さまでした。残してしまってごめんなさい」

「あ、あぁ……別にいいけど」

「これ、とっておいてください。用事が済んだらまた戻って来ますので、その時に食べますから」

「わ、わかった」

 

ありがとうございます、と微笑んで金髪娘は歩いて行く。

途中で振り替えると笑顔を浮かべ俺に言った。

 

「それから、食堂にいる皆さんに『本来の役目』を果たすようお伝えください」

「お、おうよ。任せとけ」

 

もう一度笑顔を浮かべると、今度こそ金髪娘は歩いて行った。

 

「……結局、アイツ誰だったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

「おいオメーら! 何か知らんがやることあったんじゃねえのか!」

「え? 篠崎さん、やることって…………あっ!?」

 

俺の言葉を聞いて、食堂で寛いでいたヤツらがいっせいに慌て出す。

……ちゃんと伝えたぞ、金髪娘。

 

 

 

 

 

「おらっ! さっさと行けっ!」

「痛ッ!? ちょっ、何で我だけ蹴られるのだ!? あ、痛いからやめッ…………!?」

 

 




おまけ
《襲い来る、新たなる試練 ※委員長視点》

「……義姉様」
「あ……どう? 何かわかった?」

しばらく経つと、妹さんが難しい顔をしてやって来た。

「……ハッキングをしたのは間違いなくここからです。けど……ハッカーの正体はわかりませんでした」
「そっか……」
「痕跡すらありません。……ただ」

ただ……何だろう?

「“ある場所”に何度もハッキングを行っていることが分かりました」
「えっ……? その場所って……?」

妹さんは黙ったまま何かを考えるような顔をしている。

「……今からそこへ向かいましょう」
「えっ!? い、今から!?」
「少し遠出になりますが……幸い、明日から週末になりますから大丈夫ですよね?」
「えっ……う、うん……たぶん大丈夫」

お母さんたちには友達の家に泊まるって言えば……。

「なら一旦解散しましょう。次元運行艦のチケットを買ってきます。今から2時間後に乗り場にて。それまでに色々準備もしておいてください」
「うん、わかった」

なら今からすぐに……。

「……………………後、それからもうひとつ」


ーーーー妹さんから告げれたことは、衝撃的な内容だった。


to be continued……

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