鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
「……あの~」
思いきってなのはさんと
「あ、篠崎さん」
「……どうも、なのはさん。カレーどうですか?」
まずは当たり障りのない感じで。
きっかけさえ作ればあとはあっちから来るはずだ。
……それにしても、やっぱりなのはさんの「篠崎さん」呼びは慣れないなぁ。
「あ、はい! とっても美味しいですよ!」
「そうですか」
「ーーーーなのは、この人って……」
来た!
「私が保護した人で、篠崎チヒロさんって言うの!」
「どうも、ご紹介に預かりました篠崎チヒロです」
「あ、どうも。ユーノ・スクライアです」
やはり……あの禍々しさがない。
……うーむ。
「あ、もしかして……なのはさんと付き合っーーーー」
「あーん……」
ハラオウンさん……大事なとこなんだから。
食べるけど。
「あむ……あ、ハラオウンさん、福神漬けも欲しいな」
「あ……はい、すぐに取ってきますね?」
ハラオウンさんがキッチンへの方と消えていく。
よし、これで邪魔するヤツはいなくなったな。
あ、そうだ。ついでに……。
「ーーーーおい、アヴェニール! お前、未来から来たってことは年下だよな? ちょっとコーラ買ってこいよ!」
「えぇっ!?」
「あ、隣町のな!」
隣町どころか、ここがどこなのかもよく分かってないけど。
「で、でも、俺、お金っ……!?」
「何とかしろ」
『あ、トーマ、私スプライトね!』
「リリィ!?」
よし。
「で、何でしたっけ?」
「に、にゃはは……」
「な、何て言うか……フリーダムな人だね……」
あなたには言われなくない。
「あ、そうそう。お二人は恋人か何かですか?」
「ブッ!?」
「ふぇ……?」
スクライアさんは吹き出し、なのはさんは頭の上に疑問符を浮かべる。
この反応は……違うみたいだな。
「い、いやっ……僕たちはそういうのじゃーーーー」
「ユーノくんはお友だちですよ?」
「ーーーーないん…………です…………」
あっ。
好きは好きなのね。
「あの……」
「ん?」
斜め後ろに座っていたヴィヴィオちゃんが話しかけてくる。
いったいどうしたのだろうか。
「何、ヴィヴィオちゃん?」
「なのはママとユーノさんの関係……気になるんですか?」
気になると言えば気になるな。
未来があんな感じだし。
「気にならないって言ったら嘘になる、かな」
「……そう、ですか」
そう言ってヴィヴィオちゃんは何かを考え込むような顔になった。
本当にどうしたんだ?
「ーーーーあの、福神漬け、持ってきました」
福神漬けの入った皿を手に持ちハラオウンさんが戻ってきた。
ふふ……俺は完全にフェイト・T・ハラオウンという女を克服し、屈服させたようだな。
「ありがとうございます。では食べさせて頂きましょうか……!」
「あ、はい」
勝利の福神漬けか……実に、実に美味いぞッ!
「なんや、面白い人やなぁ」
おまけ
《襲い来る、新たなる試練 ※委員長視点》
「どうやら逃げ切れたようですね……」
何とかツインテールの女の子から逃げ切ることができた。
本当に、いったい何が起こってるの……?
「あの人は……?」
「……兄様の幼馴染みです」
お、幼馴染み?
なんであの人はあんなに怒っていたのだろう……。
「……
妹ちゃんが何か差し出してくる。
通信端末?
「……メール?」
「はい」
内容は……な、なにこれっ!?
『あなたは篠崎チヒロに相応しくない。今すぐ手を引いて』
これ、私の名前が書いてある。
しかもこのメールアドレスは…………私のものだ。
「恐らくあの人にも送られてきたのでしょう」
「わ、私、送ってないよ……!?」
「分かっています、
えっ?
「あ、うん……はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
妹さんは私の端末を受けとる。
何をするんだろう?
「……やっぱり」
「えっ? な、何が?」
「……ハッキングされた形跡があります」
は、ハッキング!?
「そ、そんなの分かるの?」
「はい。……あれ、知りませんでした? 兄様と私、こういう電子機器系とか情報システム系強いんですよ?」
そうなの……?
「はい。一応、私は自動車のある時代に生まれてますからね。……懐かしいなぁ、昔は二人で据え置きPCに予備バッテリー製作して、コンセントなしでも少しの間電源入るようにしたっけ」
……それって結構すごいんじゃ?
「兄様なんて小5の夏休みの自由研究で……って、今はそんなこと言ってる場合じゃないですよね。これからハッキング元を調べます」
「あ、うん。お願いね?」
「はい、任せてください」
「こ、ここって……!?」
しばらくすると、妹さんが驚愕の声をあげた。
「どうしたの!?」
「……ハッキング元が分かりました」
「ほ、本当に!? どこだったの……!?」
「私の……実家です」
えっ……?
to be continued……
次回、パパン登場。