鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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四十九話

「……あの~」

 

思いきってなのはさんとあの人(・・・)に話しかけてみる。

 

「あ、篠崎さん」

「……どうも、なのはさん。カレーどうですか?」

 

まずは当たり障りのない感じで。

きっかけさえ作ればあとはあっちから来るはずだ。

……それにしても、やっぱりなのはさんの「篠崎さん」呼びは慣れないなぁ。

 

「あ、はい! とっても美味しいですよ!」

「そうですか」

「ーーーーなのは、この人って……」

 

来た!

 

「私が保護した人で、篠崎チヒロさんって言うの!」

「どうも、ご紹介に預かりました篠崎チヒロです」

「あ、どうも。ユーノ・スクライアです」

 

やはり……あの禍々しさがない。

……うーむ。

 

「あ、もしかして……なのはさんと付き合っーーーー」

「あーん……」

 

ハラオウンさん……大事なとこなんだから。

食べるけど。

 

「あむ……あ、ハラオウンさん、福神漬けも欲しいな」

「あ……はい、すぐに取ってきますね?」

 

ハラオウンさんがキッチンへの方と消えていく。

よし、これで邪魔するヤツはいなくなったな。

あ、そうだ。ついでに……。

 

「ーーーーおい、アヴェニール! お前、未来から来たってことは年下だよな? ちょっとコーラ買ってこいよ!」

「えぇっ!?」

「あ、隣町のな!」

 

隣町どころか、ここがどこなのかもよく分かってないけど。

 

「で、でも、俺、お金っ……!?」

「何とかしろ」

『あ、トーマ、私スプライトね!』

「リリィ!?」

 

よし。

 

「で、何でしたっけ?」

「に、にゃはは……」

「な、何て言うか……フリーダムな人だね……」

 

あなたには言われなくない。

 

「あ、そうそう。お二人は恋人か何かですか?」

「ブッ!?」

「ふぇ……?」

 

スクライアさんは吹き出し、なのはさんは頭の上に疑問符を浮かべる。

この反応は……違うみたいだな。

 

「い、いやっ……僕たちはそういうのじゃーーーー」

「ユーノくんはお友だちですよ?」

「ーーーーないん…………です…………」

 

あっ。

好きは好きなのね。

 

「あの……」

「ん?」

 

斜め後ろに座っていたヴィヴィオちゃんが話しかけてくる。

いったいどうしたのだろうか。

 

「何、ヴィヴィオちゃん?」

「なのはママとユーノさんの関係……気になるんですか?」

気になると言えば気になるな。

未来があんな感じだし。

 

「気にならないって言ったら嘘になる、かな」

「……そう、ですか」

 

そう言ってヴィヴィオちゃんは何かを考え込むような顔になった。

本当にどうしたんだ?

 

「ーーーーあの、福神漬け、持ってきました」

 

福神漬けの入った皿を手に持ちハラオウンさんが戻ってきた。

ふふ……俺は完全にフェイト・T・ハラオウンという女を克服し、屈服させたようだな。

 

「ありがとうございます。では食べさせて頂きましょうか……!」

「あ、はい」

 

勝利の福神漬けか……実に、実に美味いぞッ!

 

 

 

 

 

 

 

「なんや、面白い人やなぁ」

 

 

 




おまけ
《襲い来る、新たなる試練 ※委員長視点》

「どうやら逃げ切れたようですね……」

何とかツインテールの女の子から逃げ切ることができた。
本当に、いったい何が起こってるの……?

「あの人は……?」
「……兄様の幼馴染みです」

お、幼馴染み?
なんであの人はあんなに怒っていたのだろう……。

「……義姉様(ねえさま)、これを見てください」

妹ちゃんが何か差し出してくる。
通信端末?

「……メール?」
「はい」

内容は……な、なにこれっ!?



『あなたは篠崎チヒロに相応しくない。今すぐ手を引いて』



これ、私の名前が書いてある。
しかもこのメールアドレスは…………私のものだ。

「恐らくあの人にも送られてきたのでしょう」
「わ、私、送ってないよ……!?」
「分かっています、義姉様(ねえさま)じゃないのは。……すみません、義姉様(ねえさま)の通信端末を見せてもらえませんか?」

えっ?

「あ、うん……はい、どうぞ」
「ありがとうございます」

妹さんは私の端末を受けとる。
何をするんだろう?

「……やっぱり」
「えっ? な、何が?」
「……ハッキングされた形跡があります」

は、ハッキング!?

「そ、そんなの分かるの?」
「はい。……あれ、知りませんでした? 兄様と私、こういう電子機器系とか情報システム系強いんですよ?」

そうなの……?

「はい。一応、私は自動車のある時代に生まれてますからね。……懐かしいなぁ、昔は二人で据え置きPCに予備バッテリー製作して、コンセントなしでも少しの間電源入るようにしたっけ」

……それって結構すごいんじゃ?

「兄様なんて小5の夏休みの自由研究で……って、今はそんなこと言ってる場合じゃないですよね。これからハッキング元を調べます」
「あ、うん。お願いね?」
「はい、任せてください」





「こ、ここって……!?」

しばらくすると、妹さんが驚愕の声をあげた。

「どうしたの!?」
「……ハッキング元が分かりました」
「ほ、本当に!? どこだったの……!?」


「私の……実家です」

えっ……?

to be continued……













次回、パパン登場。



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