鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
「すー…………はぁー…………ふぅぅぅぅぅ…………!」
「せ、せんせっ……! ボク、試合終わったばっかりで……汗かいてっ…………!」
ミウラちゃんのいる試合会場に着くとすでに試合は終わっていて控え室にいると連絡があった。
ダッシュで向かってミウラちゃんを捕獲し、今にいたる。
「しっかしいきなり来たときは驚いたぜ、チヒロ」
そうそう、何かヴィータさんもいた。
ミウラちゃんのセコンドらしい。
「色々あったんです。……色々」
「そ、そうか」
うん……忘れよう。
それより今はもっと気になることがある。
「そちらのムキムキガチムチメンはいったい誰ですか?」
「あ? あぁ、コイツか?」
ヴィータさんが褐色の肌でいかにもソッチ系ですみたいな男の人を見やる。
「……自己紹介がまだだったな。俺はザフィーラだ」
「篠崎チヒロっす。よろしくお願いします。……男の犬耳はウケませんよ?」
「……犬ではなく狼だ」
一緒じゃね?
「ヴィータさんのペットか何かですか?」
「……違う」
「あぁ、ヴィータさん“が”ペットなんですね」
「お前バカじゃねえの?」
じゃあ何だというのか。
「……ところで何してるんだ?」
何ってそりゃあ……ねえ?
「ミウラちゃんの匂い嗅いでます」
「……い、いや、それは分かる。なぜ匂いを嗅いでるのだ?」
「え?」
「……む?」
「やめとけザフィーラ。こいつは別の次元に生きてるんだ」
ふぅ……落ち着いた。
ミウラちゃんを解放する。
「あっ……」
ゆっくりとヴィータさんの背後に回る。
そして……
「ぎゅー」
「うわっ!? チヒロ!? お前何して……っ!?」
「あ、ヴィータさんも結構いい匂いですね」
「うがぁぁぁぁぁあああああッ!?」
ちょっと!
ジタバタしないでくださいよ。
「離せっ! はーなーせーっ!」
「落ち着いてくださいヴィータさん! 大人でしょ!?」
「お前頭おかしいんじゃないのか!? おい、ミウラ! 助けろっ!」
ヴィータさんに助けを求められて、寂しそうな顔をしていたミウラちゃんが寄ってくる。
そしてヴィータさんに言った。
「あの……そんなに悪くないですよ……?」
「ミウラ!?」
「ミウラちゃんもこう言ってることだし……ね?」
「やめろぉぉぉぉぉおおおおおおッ!!」
もう遅いッ!
脱出不可能よッ!
「いいから離せよッ!」
だが断る!
さらに抱きつきを強めてやるッ! 倍プッシュだ!
「だぁぁぁぁぁぁぁああああああっ! 離しやがれぇぇええっ!」
「いいなぁ……ヴィータさん」
「ミウラ! お前本気か!?」
「……うむ。うらやましい」
ファッ!?
「……ザフィーラ…………お前……本気か………………?」
「……冗談だ」
鳥肌たったわ。
おまけ
《チヒロの妹に関するエピソード》
【委員長】
※インタビューしようとしたが「篠崎チヒロの妹について……」と言ったところで逃げられてしまった。
【デコ助】
※インタビューしようとしたが吐瀉物を吐き散らし、泡を吹いて倒れてしまった。
【後輩ちゃん】
※インタビューしようとしたが錯乱し、鞄から取り出した包丁を振り回し始めたので危険を感じ中断せざるを得なくなった。