鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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三話

さて、ストラトスちゃんから逃げ仰せた俺は自宅へと戻ってきていた。

まぁアパートなんだけどね。

 

「ただいま~」

 

独り暮らしなので当然返事はない。

制服を脱ぎ、部屋着へと着替える。

 

『チヒロさん! アインハルトです! 開けてください!』

 

聞こえない聞こえない。

だからドアノブガチャガチャすんな。

 

「さぁ、ネトゲを……ん? メール来てる」

 

PCの電源を点けるとメールの着信を知らせるアイコンが出ていた。

早速開いてみると、それは少し前に知り合ったボイスチャット友達からだった。

 

「おっ、スカさんからじゃん。うわ! 頼んでたバッ〇モービルの設計図だ!」

 

スカさん。

それが彼の名だ。それ以上は知らないし、知ろうとも思わない。

スカさんはスカさん。それだけで十分だ。

よく見ると設計図の最後に文章がある。

 

「ん、何々? 暇なとき連絡ください? ……今日のネトゲは中止だな」

 

今日は久しぶりにスカさんとボイスチャットでもするか。

 

『ネットゲームは中止して友人とボイスチャット……と』

 

メモすんな。

ボイスチャットアプリを開いてスカさんへとコールする。

ワンコール半で出た。

ボイスチャットだから当然声だけ。

 

「ようスカさん。ワンコール半で出るとかあんた暇なのか?」

『やあチヒロくん。僕のいるここは案外暇なのだよ』

 

前に聞いたことがあるのだが、スカさんはどこかに閉じ込められているらしい。

場所までは教えてくれなかったが“監視役が無能だからボイスチャットとかできちゃうんだよ”と言っていた。

スカさんのいる場所が何となく分かりそうだったのだが、面倒くさいので考えるのはやめた。

 

『そう言えばアレ見たかい?』

「バッ〇モービルの設計図? 見た見た。すげぇよマジで作るなんて!」

『あれくらい余裕さ。なんならコ〇ボイの設計でも……』

「それならハ〇クバスターのがいい」

 

下らない冗談を交わし合う。

ただ……ハ〇クバスターに関しては結構ガチだ。

 

「で、どうしたのスカさん? 連絡欲しいとか……珍しいな」

『うむ……実は困った事態が発生してしまってね』

 

スカさんは深刻な声でそう言った。

 

「どうしたし」

『うむ……実は娘の着替え現場に遭遇してしまってな』

「死ねよ」

 

スカさんが前に娘の写真を送ってきたことがある。

確か……ウーノさんとかいう名前だったと思う。

超美人だった。

 

『ちょっ、チヒロくん!? 真剣な悩みなんだ! あれ以来私を無視するようになって……』

「そのまま忘れ去られてしまえ」

 

こっちはビリビリ……じゃなくて格闘家中学生に終われる毎日なのにきっちり覗きイベントこなしやがって。

 

『頼むよ、君だけが頼りなんだ!』

「あー……じゃあアレっすね。裸見たんだからスカさんも裸見せればいいんすよ。それでおあいこ」

『なるほど……確かにそれなら……! ありがとうチヒロくん、感謝するよ!』

 

スカさんとのボイスチャットが切れる。

……破滅しろ。

 

「あ~あ、時間無駄にした。ネトゲやろ」

 

そうして俺はストラトスちゃんの言っていた通りに夕飯までネトゲをしてから宿題を終わらせ、その後入浴して眠りにつくのだった。

 

ちなみにストラトスちゃんは俺が寝る前までドアノブをガチャガチャやっていたので、夜食を作って郵便受けから渡してやった。

 

『はぐはぐ……料理がお上手、と……はぐはぐはぐ』

 




スカさんとのボイスチャットの内容が自分的に納得がいかない部分があります。
もうちょっと面白くできたのでは、と。

ギャグなので「ハァ? あの場所(・・・・)でどうやって着替え現場に遭遇すんだよ」とかは無しでお願いします。
きっと自由に抜け出せるんですよ。外部とボイスチャットできる位なので。

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