鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
いきなり走り出したデコ助の後を追う。
思ったより足が早くてかなり離れてしまったが、姿までは見失わなかった。
その後、デコ助が何だか騒がしい集団のもとに行って大声が聞こえたと思ったら会場まで沸いた。
「まぁそんなことはどうでもいいけど」
遠目からだからよくわからないが、ポニーテルのヤツがデコ助に話しかけたようだ。
俺はそこに向かって全力疾走中。
もうすぐ追い付く。
「ーーーーそういや、アホのエルス」
「誰が『アホの』エルスですか!?」
……てめーはーーーー
「アホだろうがァァァァアアアアッ!」
「うあっ!?」
デコ助の背中目掛けてドロップキックをかまし、そのまま
「いだだだだだっ!? ちょ、篠崎くん!? 腕ひしぎ十字固めって女の子にやっていい技じゃ……っ!?」
「うっせー! お前、知ってるだろ!? 俺が知らない場所に一人で残されるの嫌いなの!」
「地味に可愛くてムカついた覚えはありーーーーいたたっ、まって本当に外れちゃいますからっ!」
本当に外してやる……!
「……何やってるんですの、チヒロ」
「よう、ヴィクター」
何でチェーンで縛られてんだ?
バインドってやつ?
「この子がやったんですわ」
「ぐえっ!?」
そう言ってヴィクターはデコ助を踏んだ。
やっぱ
「ち、チヒロ……何でここにいんだよ?」
「おっす、ハリー。お前も縛られてんのか」
「あ? あ、あぁ……」
俺の言葉を聞いてチェーンをブチブチと引きちぎる。
「お前……ヘンテコお嬢様とアホのエルスと知り合いだったのか……?」
「不本意ながらな。言ってなかったっけ?」
言ってないけどな。
「ーーーーチヒ、ロ……?」
「……ん?」
誰かが俺を呼んだ。
声の方を向く。
「……ホンマに、チヒロなん……?」
「おぉ、ジーク! 会いたかったぜ!」
「ばかっ!」
ジークに声をかけた俺をヴィクターが大慌てで止める。
何だよ?
「忘れたんですか……!? ジークはまだ……!」
ジークはまだ何だ…………………………………………あ。
忘れてた。
「ーーーーチヒロぉっ!」
こいつ……俺のこと死んでるって思ってるんだった。
ジークが飛び付いてくる。
「あぁぁ……チヒロや……! ホンマにチヒロやぁ……!」
やっばい。
罪悪感とかはないけど……これ、下手しなくても殺されるんじゃね?
「……やれやれですわ」
「どうなってんだよ、この状況……?」
「チヒロぉ…………チヒロぉぉ……!」
さて。
どうやって回避するか……?
「そろそろ関節技外してくれませんかねぇっ!?」
おデコちゃんの他選手の呼び方がわからないよぉ……。
修羅場延期。
次回にて……申し訳ない(笑)