鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
ついに、というべきか。
どれだけこの日を待ち望んだか……。
昨日くらいかな、確か。
『ーーーーそれでは昨年度都市本選ベスト10選手、エルス・タスミン選手に第1会場に集まった選手に激励の挨拶をお願いしたいと思います』
ついに今日から第27回インターミドルチャンピオンシップが始まるのだ。
それもいきなり我らがデコ助の出番である。
『えー……エルス・タスミンです。年に一度のインターミドル……皆さん、練習の成果を十分に出して全力で試合に臨んでいきましょう』
……運動会かよ。
もうちょっとこう……胸の熱くなるようなの出来なかったのか……?
『私も頑張ります! みんなも全力で頑張りましょう!ーーーーえいえい!』
ーーーーおぉーっ!
…………………………えー………………ちょ、えいえいおーって……。
嘘だろ……これからガチバトル繰り広げるのに“えいえいおー”って……。
参加者もさ、それでいいのか!?
そんなんで気合い入るのか!?
《ちなみに貴方なら何て言ってました?》
「わんわんお」
《……なかなかに可愛いです。やりますね》
「だろ」
最近、こいつに普通に反応するようになったなぁ……俺。
本当、誰なんだ……。
さて。
開会式が終わり次第デコ助と合流する予定なんだけど……お、いたいた。
「タウリン!」
「1000㎎配合! ……じゃなくて! タスミンですから、私! 何させるんですか!?」
いや、やったのお前じゃん。
ノリノリだったじゃん。
「で、どうでした?」
「あ? 何がだよ?」
「激励の挨拶ですよ。さっきやった」
あぁ……あれか。
「酷評と批判、どっちがいい?」
「それ選択肢として成り立ってなくないですか!?」
だってなぁ……。
「運動会の開会宣言かと思った」
「え、いやっ、そんなことないはず……!?」
「しかも“えいえいおー”って、お前」
無いわー。
超無いわー。
「うっ……じゃ、じゃあ篠崎くんならどう言ってましたか?」
俺?
そうさなぁ……。
「ーーーー
「いやいやいや! 死人出ませんから、この大会! 極めて安全なやつですから!」
「戦うのに!?」
「なんで驚いてるんですか!? 当たり前でしょう!」
『まったく……』と言いながら呆れるデコ助。
まったくもって解せぬ。
しかも聞いてきたのお前じゃんか。
「ーーーーん? 」
ふと。
デコ助が近くの客席を見た。
何か見つけたのか?
「……はぁ。あの人たちは……!」
「あ、おい!」
ため息を吐き、走っていく。
何だってばよまったく……!
シュ ラ バ ノ ヨ カ ン 。
おまけ
《今日から使える後輩ちゃん顔文字》
・笑顔
[壁]∨〈・〉)ニタァ……
・不安
[壁]∧〈・〉)センパイ……?
・怒り
[壁]Ξ〈・〉) ……
・失恋
[壁]<ナカニダレモイマセンヨ……♪