鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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三十四話

ついに、というべきか。

どれだけこの日を待ち望んだか……。

昨日くらいかな、確か。

 

『ーーーーそれでは昨年度都市本選ベスト10選手、エルス・タスミン選手に第1会場に集まった選手に激励の挨拶をお願いしたいと思います』

ついに今日から第27回インターミドルチャンピオンシップが始まるのだ。

それもいきなり我らがデコ助の出番である。

『えー……エルス・タスミンです。年に一度のインターミドル……皆さん、練習の成果を十分に出して全力で試合に臨んでいきましょう』

 

……運動会かよ。

もうちょっとこう……胸の熱くなるようなの出来なかったのか……?

 

『私も頑張ります! みんなも全力で頑張りましょう!ーーーーえいえい!』

 

ーーーーおぉーっ!

 

…………………………えー………………ちょ、えいえいおーって……。

嘘だろ……これからガチバトル繰り広げるのに“えいえいおー”って……。

参加者もさ、それでいいのか!?

そんなんで気合い入るのか!?

 

《ちなみに貴方なら何て言ってました?》

「わんわんお」

《……なかなかに可愛いです。やりますね》

「だろ」

 

最近、こいつに普通に反応するようになったなぁ……俺。

本当、誰なんだ……。

 

 

 

 

 

 

さて。

開会式が終わり次第デコ助と合流する予定なんだけど……お、いたいた。

 

「タウリン!」

「1000㎎配合! ……じゃなくて! タスミンですから、私! 何させるんですか!?」

 

いや、やったのお前じゃん。

ノリノリだったじゃん。

 

「で、どうでした?」

「あ? 何がだよ?」

「激励の挨拶ですよ。さっきやった」

 

あぁ……あれか。

 

「酷評と批判、どっちがいい?」

「それ選択肢として成り立ってなくないですか!?」

 

だってなぁ……。

 

「運動会の開会宣言かと思った」

「え、いやっ、そんなことないはず……!?」

「しかも“えいえいおー”って、お前」

 

無いわー。

超無いわー。

 

「うっ……じゃ、じゃあ篠崎くんならどう言ってましたか?」

 

俺?

そうさなぁ……。

 

「ーーーー戦え(殺れ)。最期まで立っていたヤツが最強だ」

「いやいやいや! 死人出ませんから、この大会! 極めて安全なやつですから!」

「戦うのに!?」

「なんで驚いてるんですか!? 当たり前でしょう!」

 

『まったく……』と言いながら呆れるデコ助。

まったくもって解せぬ。

しかも聞いてきたのお前じゃんか。

 

「ーーーーん? 」

 

ふと。

デコ助が近くの客席を見た。

何か見つけたのか?

 

「……はぁ。あの人たちは……!」

「あ、おい!」

 

ため息を吐き、走っていく。

何だってばよまったく……!

 




シュ ラ バ ノ ヨ カ ン 。


おまけ
《今日から使える後輩ちゃん顔文字》

・笑顔
[壁]∨〈・〉)ニタァ……

・不安
[壁]∧〈・〉)センパイ……?

・怒り
[壁]Ξ〈・〉) ……

・失恋
[壁]<ナカニダレモイマセンヨ……♪

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