鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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二十五話

「あ、ヴィヴィオ~!」

「コロナ、リオ!」

 

しばらく歩いていると、前方からヴィヴィオちゃんを呼ぶ声があった。

確か以前に高町家へと遊びに行ったときにいた子達だ。

ヴィヴィオちゃんは繋いでいた手を離して二人に駆け寄っていってしまった。

 

「おはよう、ヴィヴィオ」

「おはよう!」

「ヴィヴィオおはよ~……って、先輩!?」

 

八重歯が特徴的な子が駆け寄ってくる。

 

「なんで先輩が!?」

「……えっと」

 

誰だっけ?

 

「……まさか先輩、私のこと忘れたとかじゃ」

「そ、そんなわけないだろ! えっと……で、デイジーちゃん?」

「リオ! ウェズリー! です!」

 

記憶にないよ……。

 

「……『八重歯へし折りたい』」

「あぁ、ウェズリーか! 久しぶり、元気だったか?」

「先輩のばかぁぁぁあああッ!」

 

罵倒されちゃったでござる。

わけがわからないよ……。

 

「って、そんなことより先輩! この前ニュースでやってた火事って……」

「うちのアパート」

「怪我とかはしてないんですか?」

「大丈夫大丈夫」

 

幸い怪我とかはまったくしていない。

 

『わたしのおかげでな』

 

確かにぐにゅ子のおかげなんだが……そういう風に言われると腹立つな。

埋めるか。

 

ーーーーうめちゃえ~♪

 

最近うちの幼女がバイオレンスな件。

 

「……そう言えば何でヴィヴィオと当校を?」

「あっ、それはね、リオ……」

「俺がヴィヴィオちゃんの恋人だから」

「えぇっ!?」

「ちっ、ちがうよ!? 先輩、適当なこと言わないでくださいっ!」

 

幼女で遊ぶの超楽しい。

 

「あっ……さっきヴィヴィオと篠崎先輩、手を繋いでなかった……?」

 

目敏いな、ティミルちゃん。

 

「……ヴィぃぃぃヴィぃぃぃぃオぉぉぉぉぉぉ?」

「ひぃっ!? だれか助けてっ!」

 

俺はやだよ。

しかし、意外なところから助け船は出た。

 

「ーーーー朝から賑やかですね、ヴィヴィオさん」

「アインハルトさん!」

 

最悪だ。

ヴィヴィオちゃんにとっての救いは、俺にとっての絶望でしかなかった。

 

「リオさんにコロナさんも。それ、か……ら…………チヒロ、さん……?」

「よ、よう……」

 

 

 

 

 

 

「なぁストラトスちゃんや……」

「何でしょうか?」

「歩き辛くない?」

「いえ。全然」

 

ストラトスちゃんが俺から離れない。

腕を絡めて寄り添ってくる。

 

「あ、アインハルトさん?」

「何でしょうか、ヴィヴィオさん」

「え、えっと、何してるんですか……?」

「……何か変でしょうか?」

 

まったくブレないな、こいつ。

 

「離れろ」

「いえ、いつ先日のようなことがあるかわかりません。もう一時も離れないほうがいいと思いますも」

「てめぇシエルさんバカにすんなよ!? 俺の嫁だぞッ!」

「もう離れません。死が二人を別つまで」

「聞けやコラ!」

 

こいつもうやだよ。

 

「むぅぅぅ……」

「リオ可愛い」

「こ、コロナぁっ!」

 

ヴィヴィオちゃんと二人で登校したかった。

いや、ティミルちゃんは居てもいいや。

 

「はぁ……」

「あ、あはは……その、お疲れさまです」

「……ヴィヴィオちゃんはやっぱり天使だわ」

「も、もうっ!」

 

 

 

「……ヴィヴィオ、ちゃっかり先輩の隣キープしてるね」

「むぅぅぅぅぅぅ…………!」

 

 




おまけ
《暇をもて余したクズどもの遊び~第三話~》

「やっぱり出ない……」

目が覚めてからジークは、何度もチヒロに通信を試みていた。
しかしそれが通じることはなかった。

「……チヒロ……本当に」
「……ジーク? 少し良いかしら?」
「あ……ヴィクター……」

友人であるヴィクターが沈痛な顔でやって来た。

「どうしたん?」
「その……落ち着いて聞いてくださいな」

ヴィクターが顔を見せた時からスデに嫌な予感はしていた。
そしてそれは、見事に的中する。

「……チヒロの葬式の日取りが決まりましたわ」



※ご指摘があったのでおまけ最後の文章を変更しました。

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