鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
「ふぅ……お風呂いただきました」
「いえいえ……っ! 湯加減大丈夫、だった……かなっ!」
「大丈夫でした」
ハラオウンさんに連れられて(強制)、やって来ました高町家。
さっそくお風呂を頂いてしまった。
「ほらフェイトちゃん……! チヒロくんもう出たから……いい加減デバイスしまって……っ!」
「…………………………………………ああああぁぁぁぁぁぁぁ」
ちなみに今がどういう状況かというと、俺が入っている風呂にハラオウンさんが特攻しようとしたらしく、なのはさんがそれを文字通り体を張って止めてくれていたというわけだ。
ソファの陰に隠れて震えるヴィヴィオちゃんが可愛い。
「ありがとうございました。……色々と」
「ううん、むしろごめんね。……色々と」
わけがわからないよ……。
「ヴィヴィオちゃんもなんかごめん……」
「い、いえ……。あの……フェイトママどうしちゃったんですか……?」
「……俺が聞きたいよ」
住処は燃えるわ変質者が来るわ。
踏んだり蹴ったりだぜ。
「それよりも大変だったね」
なのはさんが労ってくれた。
ことのあらましは話してある。
「いえ……」
「これからどうするの? ご両親はなんて?」
「あ、まだ……」
「なのは! ダメだよそんなこと聞いちゃ!」
「……え?」
……あーあ。
「チヒロのご両親はもう……。そんな辛いこと思い出させるようなこと言わないで!」
「えっ……と……?」
なのはさんがこっちを見つめてきたので無言で首を降る。
「あー……ヴィヴィオ? フェイトちゃんとお風呂入ってきたら?」
「えっ?」
お願いだよヴィヴィオちゃん。
少しだけこの人を何処かにやっておくれ。
「あっ……! フェイトママ、お風呂入ろうよ!」
「えっ? あ、うん。いいよ! じゃあ入ろっか」
ヴィヴィオちゃんが振り返り、ウィンクする。
……天使!
「素敵っ、抱いて!」
「抱く……って、何をですか?」
「チヒロく~ん?」
「悪ふざけが過ぎました申し訳ありません」
悪魔たん……。
「親と連絡取れました」
「そう、なんだって?」
「別のアパート借りることになりました」
明後日あたりに親が来てくれる。
それまではとりあえずホテル暮らしかなぁ……。
「ふ~ん……じゃあうちに泊まっていけばいいよ」
「……え?」
なんですと?
「だから、アパートと契約するまではうちにいなよ」
「でも……迷惑じゃ」
「子供なんだから気にしないの」
……こういう時、大人ってずるいよな。
「そうだよ!
「チヒロ先輩、うちに泊まるんですか!?」
いつ上がってきた君たち。
そしてハラオウンさん、あんたの言う子供は別の意味だろ。
「……ヴィヴィオちゃんはそれでいいの?」
「泊まってってください! 私、先輩とお話ししたいこといっぱいあります!」
天使!
「じゃあ……お世話になります」
「ふふ、はぁい。自分の家だと思って寛いでね?」
「……え? なのは、何言ってるの? 思うもなにも、ここは私となのは、ヴィヴィオにチヒロ、家族四人の家だよ?」
もう気にしない。
なのはさんも学んだのか反応していない。
とりあえずわたわたしているヴィヴィオちゃんが可愛い。
「あ……チヒロくんどこに寝てもらおっか?」
「う~ん……私たちのベッドでいいんじゃない?」
……私たち?
まさか一緒に寝てるのか、この二人?
……え、えっと……邪魔しちゃ悪いよな。
「いや、気を使ってもらわなくて大丈夫ですよ。ヴィヴィオちゃんと一緒でいいです」
「いやいや! それは普通にダメだから!」
「私はいいよぉ」
「ヴィヴィオ!?」
さすが天使。
なんと寛大なことか。
「じゃあ私と寝よっか?」
「待ってフェイトちゃん、私は!?」
「なのはは廊下で寝て」
ーーーー結局、ソファで寝ることになった。
おまけ
《暇をもて余したクズどもの遊び~第一話~》
「ふぅぅ……あー、笑いましたわ。……あら?」
ヴィクトーリア・ダールグリュンは通信が来ていることに気付いた。
通信は友人のジークからのものだった。
「ジーク、どうしましたの?」
『ヴィクタぁぁ……チヒロが……チヒロがぁ……』
恐らく先ほどライブ映像でやっていたニュースのことだろう。
友人以下の篠崎チヒロのアパートが火事になっていたはずだ。
『チヒロが死んでもうたぁ……!』
「……はい?」