鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
ーーーー火事だーっ!
外からそんな叫び声が聞こえてきた。
「おっ! 火事だとよ」
『……なんでおまえはうれしそうなんだ』
野次馬根性が身に染みてるからな。
ーーーーかじだかじだ~♪
金髪幼女もはしゃいでいる。
ちなみにぐにゅ子には金髪幼女が見えないらしい。
……まぁ幽霊だし、基本的に見えるやついないけど。
そして、俺と金髪幼女以外のやつらにはぐにゅ子が見えていないということも最近判明した。
「ベランダから見えっかなぁ」
『はぁ……あまりほめられたこんじょうではないな』
と、言いつつもぐにゅ子は肩に飛び乗ってきた。
お前も見たいんじゃねえか。
『べつにそういうわけではない。たんじゅんにおいていかれるのがいやなだけだ』
なんだそりゃ。
まぁ、いい。
ベランダに出る。
「さぁどこが燃えてるの、か……な…………」
ーーーー燃えているのは隣の部屋だった。
「……マジかよ」
アパート全焼なう。
その様子を眺めている。
『……かんいっぱつだったな』
「……あ、あぁ」
燃え盛る隣の部屋を見て茫然としていた俺をぐにゅ子が現実に引き戻してくれた。
その後、ぐにゅ子の指示で財布、通信端末、通帳、印鑑、植木鉢を持って避難した。
「……これからどうしよう」
とりあえず両親に連絡して……今日はホテルか?
「ーーーーチヒロ!」
「……げっ」
何か声が聞こえたと思ったらハラオウンさんだった。
残像を残すほどのスピードで迫ってくる。
キモいを通り越して怖い……!
「チヒロぉっ!」
「うぶっ!?」
抱き締められた。
くっそ……で、でもおっぱいに罪はないから無理にほどいたりはしない。
「大丈夫!? 怪我してない!?」
「だ、大丈夫です。ハラオウンさんは……あ、管理局関係でここに?」
火事だからか。
いやでも執務官が来るような事件かこれ?
「ううん、ニュースで見て……チヒロが心配で……!」
「おい待て。ここに住んでるって教えてないはずだぞ」
なのはさんの家に遊びに行ったときに(ストラトスちゃんが)教えたのは『ここからそう遠くないアパート』であって、正確な場所は教えていない。
「ママだもん。分かるよ」
どうしよう。
この人がキ〇ガイだってことしか分からない……!
「とにかく無事でよかった……!」
さらに抱擁を強めるハラオウンさん。
何度も言うがおっぱいに罪はないから無理にはほどかない。
「……それで、これからどうするの?」
「あー……とりあえずホテルに」
「ばか! 家族でしょ!? 私を頼りなさい!」
訳の分からない罵倒されたんだけど。
これキレていいよね?
「ほら、行くよ! 煤だらけだしまずはお風呂に入れないと……」
「あらやだ嫌な予感」
半ば強制的に連行される。
……ま、なのはさんもいるだろうし何とかなるだろう。
『……まさか……テスタロッサか……?』
ーーーーふぇーとだぁ♪
まさかのぐにゅ子他人に不可視。
いずれ来るであろう八神家編、どうなるのか。
おまけ
《暇をもて余したクズどもの遊び~プロローグ~》
どうしてもあの黒い花が気になったジークリンデ・エレミアは、篠崎チヒロの住むアパートの前に来ている。
「……何なん……これ……」
そして、その愛しき者の住むアパートは今、大きな炎に包まれていた。
ごうごうと燃え盛るそれを見てジークは茫然としていた。
「おい! まだ人が残っているみたいだぞ!」
「何だと!? 人数は!?」
消火に来ていた局員の声が聞こえる。
その時、ジークの頭に浮かんだのは意地悪な彼の顔だった。
「ーーーーチヒロっ!」
気が付けば野次馬をかきわけてアパートへと駆け出していた。
当然、局員に止められる。
「お嬢ちゃん、何してる! 危険だぞ!」
「いややぁっ! 離してっ! チヒロがっ!」
騒ぎを聞き付けたのだろう、他の局員たちもやってきてジークを止める。
もはや彼女に出来ることは何もなかった。
「チヒロおぉぉぉぉぉーっ!」
さらにおまけ
《ニュースを見た人たちの反応》
なんちゃらの場合
「えっ……ここって確か……先輩の……」
アインハルトの場合
「……………………」
※たまたま用事があり、チヒロの側にいなかった。ショックのあまりフリーズ中
フェイトの場合
「バルディッシュ」
《Sonic Move》
ヴィクターの場合
「あひゃひゃひゃひゃひゃwwwwもっ、燃えっwwwうぇひひひwwぶわははははははwww」