鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください…… 作:ふーあいあむ
朝起きると、植物の実が茎から落ちていた。
直径は10㎝ほど。
たった一夜でまた成長したのか。
「実が落ちたってことは……もう食えんのか?」
エレミアさん呼ぶ?
それにしても……こんな実、見たことないな。
「いったい何て名前なんだ?」
実を手に取る。
割れた。
「……え?」
手元を確認する。
綺麗に真っ二つに割れていた。
「え、えぇっ!?」
手に取っただけで割れるってどういうこと。
急いで断面を確認する。
そこに果肉はなく、中は空洞になっている。
そして俺が右手に持っている方の断面には
『……ん、ぅ……』
ねんど〇いどだ。
喋るねんど〇いどが入っていた。
『……はっ!? こ、ここはいったい!?』
何か騒ぎ出した。
ねんど〇いど(仮)はひとしきり騒ぐと落ち着いたようで、今は俺の前で正座している。
さっきまで『な、なぜわたしは……。あのとききえたはずでは……?』とか、黒い花を見て『なっ!? まさか……ナハトヴァールか!? なぜこんなすがたに……』とか『わたしのなかにまだのこっていたのか……?』とか舌っ足らずな声ですっごい厨二染みたことを言っていた。
意味はまったく分からなかったが。
「ふむ……実に面白い」
気分は教授だ。
俺は厨二の妖精を発見したぞ。
とりあえず……
「名前がいるな」
『……あ、あぁ、そういえばなのっていなかったな。わたしのなはリイン……』
「……ぐにゅ子。お前の名はぐにゅ子だ!」
『ぐ、ぐにゅ子!? い、いや、わたしにはしゅくふくのかぜというなが……!』
黒いぐにゅぐにゅから生まれたからぐにゅ子。
うむ、いい名だ。
「よろしくな、ぐにゅ子」
『いやだからわたしは……っ!』
こいつのことを研究して学会で発表する。
俺は一躍有名人だ。
学会とかまったく関わりないけど。
「まずは解剖……」
『ま、まて! まってくれ! なにをかんがえているんだ、おまえは!?』
……妖精の生態調査?
『わ、わたしはようせいではない! いいからきけ、わたしは……』
「ぐにゅ子。妖精。厨二病」
『どれもちがう!』
指先でぐにゅ子の頭をグリグリする。
腕でそれを止めようとしているが、当然ながら止められるはずもない。
人間VSねんど〇いどだぞ。
『あぁっ!? ぐ、グリグリしないでくれ!』
「ぐにゅ子。お前はぐにゅ子。妖精で厨二病」
『だからちがうといっているだろう!』
グリグリを強くする。
『わぁっ!? やめてくれ! あたまがもげっ……わかった! ぐにゅ子だ! ぐにゅ子でいい!』
「妖精」
『よ、ようせいだ……!』
「厨二病」
『ちゅうにびょうだっ!』
「俺のペット」
『ぺっ……それはいってな……わかったペットだ!』
認めたか。
頭を加減して撫でてやる。
「よしよし」
『あっ…………おまえ、あたまをなでるのがうまいんだな……』
ぐにゅ子が顔を真っ赤にしてうつ向く。
何これ可愛い。
「ぐにゅ子可愛い」
『かっ……かわっ!? か、からかうのはよせ! わたしはかわいくなど……』
声に出してしまったようだ。
真っ赤になってさらにうつ向く姿はマジキュート。
「からかったつもりはないんだけど……まぁいい。これからよろしくな、ぐにゅ子」
『あ、あぁ! よろしくたのむ……ん? まて! けっきょくなにもかいけつしていないのではないか!? わたしがふっかつしたのは!? ここはどこだ!? そもそもおまえはだれなんだ!?』
細かいこと気にしてると禿げるぞ。
『こまかくはない! ちゃんとこたえろ!』
細かいこと気にしてると剥ぐぞ。
『ひぃっ!?』
打てば響くようにいちいち俺の言葉に反応するぐにゅ子。
面白いなぁ。
「まぁお前の気になっていることはおいおい話していくさ」
『それはいつだ!?』
「そんな先のことはわからないさ」
『おい!』
まぁ何にせよ。
今日、ついに俺はペットを手に入れた。
……別にそこまで欲しいとかは思ってなかったけど。
幼児退行気味なぐにゅ子さん。
本来のクールビューティーさは何処。
ちなみに復活理由は……まぁ、ぐにゅ子も花も本体ではなく、本体の記憶を持った闇の書の残滓だとでも思ってください。
あとギャグですから、あんまり厳しいツッコミはなしでお願いします(笑)
おまけ
《もしもチヒロとヴィクターが付き合っていたら》
「ジークと付き合って来てくださいな。適当な所で寝取りますので」
「おけ把握」