鮮烈なのは構わないけど、俺を巻き込まないでください……   作:ふーあいあむ

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二十話

朝起きると、植物の実が茎から落ちていた。

直径は10㎝ほど。

たった一夜でまた成長したのか。

 

「実が落ちたってことは……もう食えんのか?」

 

エレミアさん呼ぶ?

それにしても……こんな実、見たことないな。

 

「いったい何て名前なんだ?」

 

実を手に取る。

割れた。

 

「……え?」

 

手元を確認する。

綺麗に真っ二つに割れていた。

 

「え、えぇっ!?」

 

手に取っただけで割れるってどういうこと。

急いで断面を確認する。

そこに果肉はなく、中は空洞になっている。

そして俺が右手に持っている方の断面には何か(・・)がいた。

 

『……ん、ぅ……』

 

ねんど〇いどだ。

喋るねんど〇いどが入っていた。

 

『……はっ!? こ、ここはいったい!?』

 

何か騒ぎ出した。

 

 

 

 

 

 

ねんど〇いど(仮)はひとしきり騒ぐと落ち着いたようで、今は俺の前で正座している。

さっきまで『な、なぜわたしは……。あのとききえたはずでは……?』とか、黒い花を見て『なっ!? まさか……ナハトヴァールか!? なぜこんなすがたに……』とか『わたしのなかにまだのこっていたのか……?』とか舌っ足らずな声ですっごい厨二染みたことを言っていた。

意味はまったく分からなかったが。

 

「ふむ……実に面白い」

 

気分は教授だ。

俺は厨二の妖精を発見したぞ。

とりあえず……

 

「名前がいるな」

『……あ、あぁ、そういえばなのっていなかったな。わたしのなはリイン……』

「……ぐにゅ子。お前の名はぐにゅ子だ!」

『ぐ、ぐにゅ子!? い、いや、わたしにはしゅくふくのかぜというなが……!』

 

黒いぐにゅぐにゅから生まれたからぐにゅ子。

うむ、いい名だ。

 

「よろしくな、ぐにゅ子」

『いやだからわたしは……っ!』

 

こいつのことを研究して学会で発表する。

俺は一躍有名人だ。

学会とかまったく関わりないけど。

 

「まずは解剖……」

『ま、まて! まってくれ! なにをかんがえているんだ、おまえは!?』

 

……妖精の生態調査?

 

『わ、わたしはようせいではない! いいからきけ、わたしは……』

「ぐにゅ子。妖精。厨二病」

『どれもちがう!』

 

指先でぐにゅ子の頭をグリグリする。

腕でそれを止めようとしているが、当然ながら止められるはずもない。

人間VSねんど〇いどだぞ。

 

『あぁっ!? ぐ、グリグリしないでくれ!』

「ぐにゅ子。お前はぐにゅ子。妖精で厨二病」

『だからちがうといっているだろう!』

 

グリグリを強くする。

 

『わぁっ!? やめてくれ! あたまがもげっ……わかった! ぐにゅ子だ! ぐにゅ子でいい!』

「妖精」

『よ、ようせいだ……!』

「厨二病」

『ちゅうにびょうだっ!』

「俺のペット」

『ぺっ……それはいってな……わかったペットだ!』

 

認めたか。

頭を加減して撫でてやる。

 

「よしよし」

『あっ…………おまえ、あたまをなでるのがうまいんだな……』

 

ぐにゅ子が顔を真っ赤にしてうつ向く。

何これ可愛い。

 

「ぐにゅ子可愛い」

『かっ……かわっ!? か、からかうのはよせ! わたしはかわいくなど……』

 

声に出してしまったようだ。

真っ赤になってさらにうつ向く姿はマジキュート。

 

「からかったつもりはないんだけど……まぁいい。これからよろしくな、ぐにゅ子」

『あ、あぁ! よろしくたのむ……ん? まて! けっきょくなにもかいけつしていないのではないか!? わたしがふっかつしたのは!? ここはどこだ!? そもそもおまえはだれなんだ!?』

 

細かいこと気にしてると禿げるぞ。

 

『こまかくはない! ちゃんとこたえろ!』

 

細かいこと気にしてると剥ぐぞ。

 

『ひぃっ!?』

 

打てば響くようにいちいち俺の言葉に反応するぐにゅ子。

面白いなぁ。

 

「まぁお前の気になっていることはおいおい話していくさ」

『それはいつだ!?』

「そんな先のことはわからないさ」

『おい!』

 

まぁ何にせよ。

今日、ついに俺はペットを手に入れた。

……別にそこまで欲しいとかは思ってなかったけど。

 




幼児退行気味なぐにゅ子さん。
本来のクールビューティーさは何処。

ちなみに復活理由は……まぁ、ぐにゅ子も花も本体ではなく、本体の記憶を持った闇の書の残滓だとでも思ってください。
あとギャグですから、あんまり厳しいツッコミはなしでお願いします(笑)

おまけ
《もしもチヒロとヴィクターが付き合っていたら》

「ジークと付き合って来てくださいな。適当な所で寝取りますので」
「おけ把握」

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